「なぁレーテ、なんか気を紛らわせるような話ってあるか!? ちょいと頭がおかしくなりそうだ!」
「んなこと言ってる場合があるか! 真正面に集中しろって! うっかり死んだら笑い話にもならないぞ!」
走る、走る、走る。爆炎と銃声の轟く街中をひたすらに走り回る。軽口を叩きながらも感覚だけはひたすらに研ぎ澄ます。夜の帳と赤い炎に彩られたベルリンの街並みは地獄もかくやと言わんばかりの様相を呈していて、一年以上も戦場を駆けてきたオレでも非現実感を強く感じてしまうのだ。
なにか一つ違えば、オレらのよく知るフランクフルトの街もこうなっていたかもしれない──感傷に浸ってしまいそうだが、戦場でそんな命とりをする余裕はない。
「十メートル先、敵が出てくるぞ。各自構えたまえ」
「ッ、
普段と変わらぬ涼やかなギルベルトの声に即座に反応、懐から拳銃を抜いて準備した。
数秒後、きっかり十メートル先の物陰から飛び出してきたのはアンタルヤの傭兵たちだ。予言めいた先読みのおかげで先手必勝とばかりに銃撃で応戦、一発二発当たったような感触はあるが、あまり分からない内に物陰に飛び込んだ。
「ったく、遭遇戦が多いな。こうも銃持ちが多いとやってられねぇぜ」
「なに、心配することはないさ。相手の銃の種類からしてあと三秒後に弾切れだ。そこを突いて一気呵成に畳みかければいい」
「その前から突っ込んでる奴もいるけどな……!」
呆れたようなアルの言葉に呼応するかの如く、敵の悲鳴が響き渡った。銃弾が飛び交うはずなのにお構いなし、刀剣の間合いに一足飛びに突撃してるのはクリスを置いて他にない。
戦場に幻想なんて持ち込む余地はない。ないはずなのだが、しかしこれは、もはや冗談のような流れだった。複数人で、銃を持った傭兵たちが、剣を携えた唯一人の兵に斬り伏せられる。真正面から道理をひっくり返して勝利を掴み取ってしまう男こそ、クリストファー・ヴァルゼライドという男に他ならないから。
「なるほど、さすがはヴァルゼライドだ。この状況でなお前へと進み、敵を粉砕してしまうとは。素晴らしい、やはり全ての障害は意志の力の前に無意味だったか!」
「喜んでる暇があるならクリスのフォローだろ! ったく、オレたちも行くぞ!」
「ああ、分かってるっての! 物陰でいつまでもビビってちゃあいつに顔向けできねぇからな!」
ただ安全地帯からクリスの活躍を眺めているようで、どうして彼の友人を名乗れるというのか。いつまでも引っ込んだままでいられない。
ギルベルトに関しては……まぁ、今日の彼はそういうものだと思っておく。このベルリン戦線が始まって以来ずっとこんな調子というか、クリスが奇跡的な勝利を繰り返し積み上げる度に感激している有様である。それでも平時は非常に優秀な上官兼指揮官として活躍してくれるので文句はないのだが。
などと考えている間にも身体は淀みなく動き、クリスの援護をすべく射撃を繰り返していた。この辺りは短いながらも濃密な戦場経験をした為か、ほぼ無意識の内に身体が動くようになっている。どこまでも効率的に敵を殺せるよう、三人でのコンビネーションが染みついているのだ。これに今はギルベルトも加えて、より円滑な連携が可能となっている。
そうしてオレたちより戦場経験豊富なはずの傭兵たちを呆気なく屠り、さらなる敵影を求めてベルリンの街を走り出す。
──東部戦線における要、旧・ドイツ領はベルリンの争奪戦は次第に佳境へと差し掛かっていた。
◇
話は変わるが、まずは結論からまとめてしまおう。四人だけのささやかな酒宴を終えた数日後、影隊長の言及していた交流会は意外なオチを見せた。
これは別に予想外でも何でもないのだが、ひとまず軍上層部の悪意かそれに近しい意思があったのは本当らしい。というのも、佐官階級の人間たちがこぞってアルコールを大量に持ち込んだのである。しかもご丁寧に『上官の酒が飲めないの?』というアピール付きでだ。
加えて一気飲みの誘導だとか、意図的に酔い潰そうとしたりだとか、それはもう分かりやすいアルハラというヤツで……だいぶ酒に弱いことが判明してたオレとしては非常に困った。
意図は非常に明白だろう。影隊長が内心どう思ってるかはともかくとして、他の上役たちはオレらの活躍が目の上のたん瘤だったのだ。特にクリストファー・ヴァルゼライドに至っては未だ一兵卒でありながら他の兵達の信望を一身に集めてしまうとなれば、多少なりとも腐敗の自覚がある者からすれば面白くない。放っておけば部下が全員下っ端に寝取られた、なんて笑えない事態にも発展しかねないからだ。
なので酒の力を使って強引に不祥事を起こさせるか、飲まなくても上司の言う事を聞かなかったとかで難癖付けるつもりだったのだろうが……さすがに相手が悪かったと言うしかない。英雄はこんなところでも英雄だった。
なんとも剛毅なことに、クリスはアルハラをかましてくる上司全員──確か四人はいたはずだ──と飲み比べをした挙句、全員を逆に潰してしまったのである。さすがにこれにはオレたちも度肝を抜かれた。
あいにくとオレはまたも記憶が朧気なので後でクリスに聞いてみれば、「酒は好かないがそれを武器に迫って来るものはもっと好かん。負けるのも癪だから全員に勝利してみせたまでのことだ」なんて軽く言ってくれたもので。あまりの
まあそのおかげで大した問題が起きることもなく、どうにかその場は丸く収まってくれたのだが。もう少しドロドロとした意思や展開が絡んでくるかと身構えてただけに拍子抜けも良い所で、代わりに顔合わせという本来の目的が息をしてないけれどそこはそれだ。
後日改めてギルベルトが顔を合わせたらしいが、その際にはもうこの件はすっぱり無かったことにされていたようだった。まあ、アルハラしようとして撃退されたなどと恥ずかしくて言える訳もないか。こっちからも取り立ててネタにするつもりは無いし。
ただし、いったい影隊長の意図はどこにあるのだろうか? これはもう考えてもよく分からないので考えるのを止めた。こういう悪意の場を用意した割に自分は特に手を出してこない辺り、妙にねちっこい印象を受けてしまう。
などと疑問も残しつつ、相変わらず性根の腐った軍上層部とそれを跳ね除けるクリスの強さを再認識して交流会なるものは終わったのである。ぶっちゃけ慰労も何も無いけれど、そこは
そういう訳で無事に関門を一つ乗り越えたオレたちであったが、悲しいかな次の試練はすぐにやって来る。特に何もしてなかったオレたちにも、一人でアルハラ上官を撃退したクリスにもお構いなしな平等さでだ。
「で、次はベルリン攻略戦か……帝国軍も来るところまで来たという感じだな」
「これも君たちが各地の戦線で予想以上の活躍をしたからだろうさ。私はまだ聞き及んだだけだが、今からその活躍を目にするのが楽しみでならないよ」
「なんだか他人事だなおい。頼むぜ指揮官殿、上手くやってくれよ」
「無論俺たちも努力は惜しまないがな。帝国の勝利のために、ハーヴェス少尉の力になれるならば喜んで剣を執ろう」
それはありがたい、いつも通りの薄ら笑いを浮かべてそうギルベルトが言ったのだ。
旧・ドイツ領のフランクフルトにはアドラー帝国軍が、同じくベルリンにはアンタルヤ商業連合国の戦力が陣取っている。目下のところ帝国軍の目標はこのベルリンの奪取であり、これを足掛かりにフランクフルト、ベルリンの二方面から東の方へ攻め込む算段なのだ。おそらく次の目標は旧・チェコ領にあるプラーガのはず、
フランクフルトから東へ一直線にプラーガに攻め込まず、遠回りをしてまで帝国がベルリンを先に落としたがったのは、単純に進軍に際して後顧の憂いを無くすのと、
「進軍の方向性に不満はないが、しかしかつての大事件には今も驚かされるばかりだ。
「いや、それにしてもなぁ……
「そんなに凄いのが集まってるのか、えーっと、その──」
「嘆きの壁、ベルリンの壁、それから万里の長城の一部だったか。ふむ、私としても興味深いよ。まるで作為的とすら感じる程に著名な建造物が集まっているが、さてこれもまた
これがまたなんとも恐ろしいことに、旧・ドイツ領の東寄りの地域ではユダヤ教の聖地である嘆きの壁と、かの有名なベルリンの壁、それに中国の万里の長城の一部が融合したのが鎮座してるとか。そのせいで南北に渡って塞がれてしまい直進出来ず、破壊しようにも旧暦の遺物を不用意に壊せない困った状況らしい。
なのでまずはベルリンから陥落させ、しかる後にプラハへ行こうという作戦のようだ。うん、真面目に考えても訳が分からないような話である。まるで悪夢だ。
「意外とベルリンにも何か変な旧暦の遺物があるのかね?」
「いや、それはおそらく無いだろう。そのような噂は聞いたことがない。むしろ
今より遥かに科学技術の発展していた時代ともなれば、未だに発見されてない機能やらがあっても不思議ではない。もしかしたらオレも見覚えがあるようなアレやコレやらがあるのだろうか。ちょっとばかり楽しみである。
アルもそのように感じたのか、ニヤリと笑みを浮かべた。こういう時、彼はノリがいい。
「へぇ、そりゃ面白そうだわな。もし首尾よくいって国のお膝元まで戻れたら、そん時は存分に探索してやろうぜ」
「果たして鬼が出るか蛇が出るか……いいや、その前に悪を貪る腐った輩と遭遇するのが先だろうな。旧暦の遺物がどうこうより、今を生きる恥知らず共の方が問題だ」
吐き捨てたクリスが拳を硬く握り締め、その言葉に思わずオレたちも押し黙ってしまう。話の転換としては急だが、首都の話となれば避けては通れない問題であるのも事実だからだ。
そんな人間が悪徳を行いほくそ笑むような輩を許せるはずもなし。いずれ対面することになるだろう帝国腐敗の元凶たちを考えると今から頭が痛いくらいだが、目を逸らす訳にもいかないのだ。
「……ま、確かにな。
「それも悪意増しましでだろ? ったく、今から考えるだけでも嫌になるぜ。こう、旧暦の遺物とやらで嫌味な奴らをパーっと一掃出来たら良いのにな」
「だが、そう都合のいい展開など訪れまい。夢を見るよりもまず現実に足を着け、叶わぬ夢想をするよりも努力を重ね確実な力を得なければ話にもなるまい。悪を重ねる者は悪を重ねるなりに努力しているのだ、それに劣るようではどうしようもない」
「そのために必要な”功績”という力は、まさに目の前に寄越されたのだ。であれば、これを活かさぬあなた達ではあるまい?」
クリスを含むオレたち全員に投げかけられた言葉。もちろん答えなど決まっているから、全員揃って頷き返した。こちらの意志を確認したギルベルトは満足そうだ。
「今度のベルリン攻略戦で成果を挙げれば、いい加減に上も君たちの実力を評価せざるを得なくなるだろう。これまで東部戦線を転々としながら生き残り、かつ成果を挙げた者に対して一等兵の地位はあまりに安い。もしそうならずとも私が微力ながらサポートしよう、これでもやり口は幾つか知っているのでな」
「そりゃまた、頼もしい限りだよ」
若き天才がオレたちの味方であることに改めて感謝しつつ、思わず苦笑してしまうのだった。
◇
「へぇ、ここがドイツの誇ったブランデンブルク門か──ッと!」
炎に巻かれた街を走ることしばらく、記憶の中で覚えのある建造物が目に入った。炎に赤く照らされてなお荘厳な門に目を奪われるのもつかの間、反射的に伏せた頭上を銃弾が駆け抜けた。即座に右手に握った銃で応戦、門の陰に潜んだ敵手が頭をひっこめた間にクリスたちが猛然と突撃する。
ここまでに何人倒してきたのか、もはや数えていない。きっと頼んでもいないのにギルベルトが勝手に数えていることだろう。なので気にすることなくオレたちは眼前の敵へと集中した。射撃で牽制し、突撃役のクリスが斬り殺し、アルが油断なく周囲を警戒して伏兵を確認し、ギルベルトが全体の指揮を執る。とても分かりやすい役割分担だ。
この四人で連携して戦うのはこれが初めてのはずなのだが、意外なほどすんなり協力が取れていた。突出して強く、また躊躇のないクリスを筆頭にその脇を固める戦い方はギルベルトという
「これで全部か」
チン、と鞘を鳴らしながらクリスが刀剣を収めた。ギルベルトの計らいで彼の腰にはさらに一本の武器が増え、今や四本の刀剣を自在に操り抜刀しながら戦っている。その様はまるで四人の相手から同時に切り刻まれているかのように高速かつ正確無比なものである。
それに合わせてオレたちもいったん武器を収めた。クリスに比べればオレたちの武器は特に代わり映えもないが、別に不満は無い──実はオレもこっそり直刀と拳銃のスタイルも気に入っているのだ。
「みたいだな。随分と殺して回ったんじゃねぇのか、俺たちもよ」
「四人合わせれば軽く百は超えていよう。それだけの相手をしてなお五体満足で立っている、誇って良い成果だよ」
「一人頭で二十五人以上か……まったくそんな自覚は無かったけどなー……」
黒い煙をあげて大炎上するベルリンの街並みを見上げながら、これまで遭遇してきたアンタルヤの傭兵たちを振り返る。誰も彼も出会い頭に倒して回る戦い方だったが、まさかそれほどまでに死骸を積み重ねていたとは。今更怖くなどならないが、どこか遠くに来てしまったような寂寥感を覚えてしまう。
旧暦から続く歴史ある街並みもこうして戦争の動乱に巻き込まれればひとたまりもない。最初に攻め込んだ時は火の手なんてちっとも無かったのに、いつの間にここまで燃え広がってしまったのか。この地に根を下ろしている人たちからすれば堪ったものではないだろう。
「せめて、この戦いに報いるような結果を出したいものだな」
なんだかクリスみたいな事を呟いてしまい、らしくないなと恥ずかしくなって頭を掻いた。
オレはそこまで真面目になることも出来ない半端者だが、やっぱり奪ってしまったからには報いるだけの光が有れば良いなと思ってしまう。例えそれが誰に頼まれた訳でもなく、また自らが悪い訳ですらない勝手な想いだろうと、善いことがあって欲しいと願うのは何も悪いことではないだろう。
「──まったくもってその通りだよ、異論を挟む余地もない」
「クリス……」
ふり返って仰ぎ見た若き英雄の瞳は、今この時も覚悟と怒りを薪とくべて燃え輝いていた。自らが斬り伏せた敵兵たちも、このベルリン攻略戦で巻き込まれた無辜の人々の犠牲も、
「例え全てに報いることが出来ずとも、今このとき犠牲になった者たちを背負って進むことは可能だ。俺たちが倒してきた相手にも抱いた想いがあったのだ、なればこそ彼らの無念を背負わずしてどうして前に進めるというのか」
「すべては、”勝利”をこの手に掴むため……か?」
「そうだ。勝利とはどこまでも重いのだ、踏み躙ってきた者たちの分まで勝利を積み重ねなければ、いつか負けた時にどう償うというのだ? 故にこそ俺は負けられんし、いずれ必ずこの光景にすら報いると誓おう。女々しい言い訳など断じて不要だ」
「…………あぁ」
どこまでも雄々しく。
どこまでも真っすぐで。
たった一つの意思を始点から微塵もブレず、曲がらず、貫けるからこの男はカッコいいのだ。
そして今、オレと同じ感想を抱いた男がもう一人いた。彼は震える身体を抱きとめるように腕を回し、狂喜とも思えるような笑みをその顔に張り付けている。
「くく、ハハハッ、ハハハハハッ……! ああ、まったく、あなたはどこまで私を喜ばせてくれれば気が済むのだ! その思想、その意志、どれをとっても素晴らしすぎる。生まれが劣悪ならそれに準じた才能しか持たない? なんて下らない言い訳なのか、あなたを見ていよいよ私は確信したよ」
心の底から愉快でたまらないとばかりにひとしきり笑い声をあげ、ギルベルト・ハーヴェスは生まれて初めてと言わんばかりに盛大な喜びを発露させていた。
普段の冷静さとは明らかに違う変貌ぶりに驚くが、それすら遮って炯眼の男は言葉を紡ぐ。
「折れず曲がらぬ意思さえあれば、才能など所詮は誤差なのだ。こうして戦場を駆けるあなた達を直に見てようやく確信できた、今までほんの少しでも疑いのあった自分が情けなくて死にたくなってしまうよ」
「……おーい?」
「改めて頼む、どうか私にその輝きを間近で見せてほしい。人は誰しも”頑張りさえすれば出来るのだ”という証を知らしめて欲しいのだ」
こいつ大丈夫か? といった具合のアルの問いかけなどお構いなし、それどころでない歓喜がギルベルトの明晰な頭脳を支配しているらしい。およそ戦場にすら似つかわしくない光景だが、どうにもそれを止める気にもなれないのは、本質的にオレもまた彼と同じ思想だからだろうか。
そしてまた、未来を目指して歩むことを止めない男の返答などただ一つに決まっている。
「無論だ、ハーヴェスよ。例えどのような困難があろうと、俺は決して歩みを止めるつもりはない。いつの日かこのアドラー帝国に光を齎すまで──そう、”勝つ”のは俺だ」
「なればこそ、どこまでもお供しよう。不肖な我が身ではあるが、どうかその先に役立ててほしい」
感極まったように頭を下げ、そして戻した時にはもう、若き少尉は常の薄ら笑いを顔に戻していた。
「であれば、このようなところでいつまでも留まってはいられないな。英雄には英雄に相応しい舞台が必要だと、かつて告げた通りだ。存分にその力を振るってみせてくれ」
「……その様子じゃ、激戦区にアテがあるって感じだな。俺たちをそこに突っ込ませる訳だ」
「最短で行くにはそれが一番だろうさ。なに、大丈夫だ、
「なんて言われても安心できるはずがないけど……」
クリスも、ギルベルトもやる気なのだ。ならばオレとアルが乗り遅れるなどあり得ない。
何より彼は、意志の力を見せてくれと言ったのだ。ならば英雄の友として遅れる訳にはいかなかった。
「任せろ、望むだけ輝いてやるさ。そんでこのベルリンを生き残って、さらに土台を固めなきゃな」
やることなど単純明快。なら、迷う余地なんて最初から存在しないのである。
◇
アドラー帝国とアンタルヤ商業連合国によるベルリン攻防戦は、蓋を開ければアドラー帝国の圧勝で終わった。
中でも最大の戦果を挙げたのは言うまでもなく若き英雄クリストファー・ヴァルゼライドとその仲間たちだった。縦横無尽にベルリンの街を走り回り、自分から激戦区に飛び込んではあらゆる敵を薙ぎ払う。もはや一兵卒と呼ぶのすらおこがましい活躍を成し遂げたその戦果、実に数百にまで上るという。非現実的なまでの戦果はしかし、後になって回収された遺体の数から鑑みても決して誇張ではないと断言できる。
もはや認めるしかないだろう。この男は英雄であり、それに着いて行く仲間もまた英雄に近しい者たちなのだと。この異常なまでの戦果にはさしもの帝国軍も報奨を渡さざるを得なかったのか、即座に彼らの階級は一つ上がることになる。
だが、その程度で満足できるはずもなし。彼らの本質は格下の立場からの下克上なれば、このようなところで停滞など無理な相談なのだ。さらにさらにと戦果を積み上げ──月日は、飛ぶように過ぎていくのだった。
ちょっと詰め込みましたがギルベルトがついに糞眼鏡へ。
たぶん次回くらいにはニルヴァーナ壊滅かその触りまで行けるかなーと思います。