はーーっ!清々しい朝っ!!
見て!こんなにいい天気!ほら空も真っ青!俺の顔も真っ青だけど!
雲ひとつない空!屋根ひとつない部屋!風が心地いいや!壁ないから当たり前だけどね!17歳、滝藁太一。ホームがレスです。
なんでこんなことになってるのかは、実を言うと滝藁自身もよく分かっていなかった。急に朝早く叩き起こされたかと思えば急に家が取り壊されることを父から聞かされ、いやそれ今言う?それ、遅くても昨日までには話してくだせえよ、という感じの言い合いをしっかり済ませてから家を出ただけだからだ。
「ねえ、父さんなにこれ?どういうこと?」
「すまない・・・父さん、倒産だ・・・ぷっ、くすす」
「いやうまくねえし笑えねえから。説明しろよクソ親父」
「恥ずかしいから言いたくない」
「ねえ!何したの!?ほんと怖いんだけど!!」
謎すぎた。謎が多すぎるのにひとつも解決しなかった。
我が滝藁家は、そこそこ歴史のある使用人一族である。
それなりに頑張って来た方だったし、割と屋敷もでかかった。
滝藁は一人に忠誠を誓うわけではない。デリバリーというか、頼まれればそこへ行くし、やめろと言われればまた邸に戻って来て次の依頼を待つ。そのため全国には滝藁の使用人が散らばっていたりする。かくいう俺たちもこの前ここに引っ越して来たばかりだった。
父の顔から察するに、どうやら主人に粗相をして解雇され、怒りの収まらない主人に、追い討ちとばかりに家まで解体されたと。
一体何をしたらここまでやられるんだ。ならない口笛を一生懸命吹こうとして、唾しか飛ばせない父の姿に何故だか目頭が熱くなる。
「本家は?流石に解体はされないだろ。つーか裁判でも起こせばよくねえ?」
「馬鹿者、これは使用人の不備のせいだ。一時とはいえ主人であった方に恥をかかせられんだろう!滝藁の恥だぞ!」
「うーん、ブーメラン。使用人の不備っつーかあんたの失敗だし、滝藁の恥はあんたなんだけどな。」
「やだ、息子容赦ない」
しかし我が父の名誉のため少し弁解させてもらうと、父・滝藁平祐は本当に優秀な執事である。その道では割と知られている方ではなかろうか。それほどに能力のある男なのだ。ただ、いかんせん感受性が豊かすぎるというか、曲がった事がだいっきらいというか、主人がゲスの極み乙女であったのならば悪・即・斬と言わんばかりに叱る。どれほどの人物であってもお構いなくだ。それが行き過ぎるとこうなる。過去にも二度ほどあった。家を壊されるのは初だが。執事としてそれはどうなんだ。とか思うのだが、それを言うとバツの悪い顔をしながら「直そうとは思うんだけどなあ、性分みたいで治ってくれんのだよ。私もまだまだだなあ」なんて言うのでそれから何も言えなくなるわけだ。
「で、本家の話なんだけど」
「ああ、一旦そっち帰ろうぜ。分家の方にも掛け合って・・・」
「封鎖。」
「あ?」
「いやだから封鎖です」
「え、は?なんで?」
「お父さん喧嘩しちゃったのってね、結構・・・っていうか、ものすごい人だったらしくてね。うーんと、どっかの国の王様の従兄弟みたいな?や、ほらお父さん人気じゃない?だからそういう人にも割と呼ばれちゃうんだけど、カッとなっちゃって。そういうの忘れちゃってて、つまり何が言いたいのかというと、」
「てへぺろ★」
「クソジジイ!!!」
というわけだった。
いやあ世知辛い。もうね、人生何が起こるかわからんね。
「なあ、どこに行くのこれから。」
「あー、それは心配しなくていいぞ。」
太一はキョトンとした顔で父を見やった。
「友達が引き取ってくれるから。」