政宗くんのリベンジ 外伝   作:焙煎豆一

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友達百人できるかな

新学期が始まるし、転入するのもちょうどいい。

あれよあれよと話は進み、地元の高校への編入が決まった。

偏差値がまあまあ高いこの学校、果たして滝藁は編入試験を合格できるのかといえば、ぶっちゃけちょっと厳しかった。ちょっとというか、結構ギリギリだった。なにせ将来もずっと使用人として働いていくのだから、というありきたりな考えと根本からの勉強嫌いが相まった末路である。後半は諦め半分で鉛筆を転がして決めるという古典的で最も愚かな暴挙に出た。それが幸いしたのかは知るところではないが、それでもなんとか試験をパスしたのがこの男。______そう、扉の前でチワワのように細かく震えている大型犬。滝藁太一だ。

「うおあああ・・・やべえ緊張するう・・・友達できなかったらどうしよう・・・」

ぶつぶつと思案している内容は先程からそればかり。

仕事上転勤の多い滝藁だったが、何度経験してもこれだけは慣れなかった。体育のペアで余るとか、弁当食うやついなくて遠目から自分の話をされると悪口じゃないかと邪推しちゃうあれとか、そういうあるあるはずいぶん体験したものだなあ。なんて遠い目でつぶやく滝藁。

 

「入って来ていいぞー」

 

はい、急にくるやつー

心の準備とか出来てないから。あのいつも思うんだけどそういういきなり言うのやめてほしいよね。あと1分したら入って来てとか時間設けてほしいよね。こっちの気持ち考えてよばかばかばかーーっ!

「ふっ、バカは俺だな・・・」

自嘲気味に呟いて一歩踏み出した。

そして__________

 

「おはようございます!転校生の滝藁太一です!

これからよりょしく______っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

はい終わった。

噛んだ。

一発目で噛んだ。

みんなもさ、俺が入って来てすぐ噛むからフォローのしようがなかったよね。なんかごめん、微妙な雰囲気にさせて。

ハアーーーーーーーー

それはそれは深いため息をつきながら頭を抱える滝藁。

クラスメイトもどう扱っていいものやら逡巡するものが多い。

自己紹介で事故らなければ今頃転校生の特権、怒涛の質問タイムに突入しているはずだったはずなのに・・・。

・・・・ハアーーーーーーーー。

もう過ぎたことは仕方ない。次は授業だ。集中しよう。

頭を切り替えようと鞄から教科書類を取り出そうと動いた時だ。

「・・・・んあ?」

なんだか既視感のある少女が目についた。

何を考えてるんだかわからない顔で窓の外を眺める生徒だ。

知っているはずがないのだが、なんだか見たことがあるような気がして滝藁は密かに首を傾げる。

「んーー?なんだ?どっかで会ったことあるような」

「はい授業始まるよー日直ーごうれーい」

思い出そうと思案しようとした直後に先生のご到着。

まあいいかと、その後は特に気にすることもなく昼休みを迎えた。

 

 

 

 

 

 

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考えてみれば朝に転校生は来てたかもしれない。

あの、一発目に噛んだ人。

我ながらなぜあの怪事件を今の今まで忘れていたのかが謎だ。

容姿は確かに整っていた方だと思う。

なんというか、やはりうろ覚えなのでもしかしたら違っているかもだが、一言で言うなら狼、みたいな。髪は少し逆立っていて、体が大きく、目つきが鋭い。ただそれでいて威圧感を与えない。なんだか安心するような、矛盾した変な感じ。確か、たき。たき、滝なんとか。

と、愛姫と豚足の目の前で話せばふむふむと関心があるのかないのかよくわからない相槌を打たれた。

「面白そうなやつだな、ちょっと会ってみたい」

「やめなさい、あなた好きあらば自分語りするでしょう。反感買うわよ。」

「なんだよ、俺は流石に初対面じゃ性格出さないぞ。なにせ学校じゃ外面良すぎだからな。」

そう言う間にも愛姫はパン5袋目に手を伸ばしている。

「・・・まあ、わたしにはかんけいないことですから。」

どうせ話すこともないだろう。

いつも通り過ごしていればそれでなんら問題はない。転校生などわたしみたいなものには縁のないことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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