政宗くんのリベンジ 外伝   作:焙煎豆一

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記憶喪失とかいう文明はリアルでやるとつらいだけ

何も起こらなかった。

うん、なーんにも起こらずに今日が終わった・・・。

友達とかできる気がしないよ。いやいやでもまあ初日だし。俺はスロースターターだから。うん、きっと大丈夫・・・うん・・・

涙目で帰路につく高3男子。なんとも哀れな姿である。

はあ。夕焼けが眩しいや。

と、柄にもなく感情的になりつつ父から渡されていたメモを見る。

 

『よっ、太一くん学校はどうだい?楽しかった?お父さんは今、訳あってブラジルにいまーーす!サッカーボール持って行ったんだけど、誰も相手してくれないよう、とほほ・・・.°(ಗдಗ。)°.下に書いてあるのがお世話になるお屋敷の地図だよー!迷わないようにね★お土産楽しみにしててねー!!チャオー』

 

ツッコんでいたらきりがないので、ここはスルーしておこう。

しかし、達筆な文字とふざけた内容があまりにもミスマッチで気持ち悪いとだけは批評しておく。

 

「えー、どれどれ、ここをずっとまっすぐ・・・」

 

しかし、どれほどの屋敷なのか。

そもそもあの父に、自分の息子を預けるに値する信頼関係を築いていた友人がいること自体信じられない。

 

「ふはっ、親父に友達の数で負けた・・・」

 

昔から転勤転勤転勤で、友達を作ることも億劫になって、気づけば「どうやって友達ってつくんの?」状態。そんな俺とは違うというわけか、あの脳内御花畑は。敗北感。敗北感なり。なんであんなのに負けるの俺。執事スキルなんて雲泥の差だし。友達もいないし、親父の方がなんかかっこいいし。あれ、あの男割と高スペック?アホなこと以外あれ?すごい人?いやいや俺はファザコンじゃねえから。

なんて脳内で繰り広げられるアホ極まりない自問自答をひとしきり終え、太一は見上げた。何を、といえば建物を。と返すべきか。

「でっか」

 

屋敷なんて見慣れてるけど、なんかここのは風格があるなあ。

「・・・・えっと。」

はて。ここからどうすればいいのか。

門は閉まっているし、インターフォンを押してみようか。

カチッ

『はい、安達垣邸。小岩井成乃がご用件をお伺いします。』

早いなおい。

しかも小岩井ときたか。流石だなくそ!

というのも、小岩井家が優秀だというのは使用人の間では周知の事実であり、滝藁家なんて小岩井に比べれば『え?しらたき?あ、何?滝藁?、あったっけそんなとこー?パッとしねえからすぐ忘れちゃうわあー』とか普通におでんの具と間違われ、さらに陰口言われてたりするようなマイナー一家なのである。歴史はあるのにパッとしない。なのでちょっとだけ俺は妬んじゃったりしている。

・・・・ん?あれ、ちょっと待てよ。

 

「ええっとお、あの・・・俺、滝藁の・・・」

 

なんかここ、来たことあるぞお?

ちっちゃい頃に親父に連れられて・・・・

 

『あー!君か!今日着いたのねー。今そこ開けるから、入っといでー!』

 

安達垣って家で・・・

小岩井とかいう人たちが・・・

 

「あーーーーーーッ!!!成乃さん!?」

 

『どぅわ!何急に!!』

 

思い出した。そうだそうだ、俺ここに来たことありました!

謎の既視感はそのせいね!ああスッキリ

 

『まさか太一くん今の今までここのこと忘れてたの?』

「お恥ずかしい・・・」

 

スピーカーからため息が聞こえた気がしたけども、きっと俺の幻聴でしょう。うん、今日耳かきしよ。

成乃さんには小さい頃よくいろんなことを教えてもらった。お姉さんというかなんというか大恩ある先輩という感じ。今はなんかガラ悪そうな声だけども(失礼極まりない)。

間もなくして扉が開いた。もう一度屋敷を見る。そうすれば、先ほど思い出したばかりで都合のいい話なのだが、なんだか懐かしさがこみ上げてくる。よーし!やるぞ!ここで成果を上げてあわよくば就職!この広いお屋敷で俺は一旗あげるんだ!

「ふわあー!ここから俺の新しい生活g「誰この人。」

『あ、吉乃。おかえりー』

 

 

・・・・・・・・えっ。

 

 

 

 

時が・・・止まったようだった・・・・。

お豆腐メンタルの俺は・・・、「誰こいつ?」とか言われるのが

いちばん・・・うん、もういちばんへこむの。

 

 

「・・・ああ、噛んだ人か。うちに何か用?」

 

________はうっ.

はいまたしても大ダメージ〜。

え?え?噛んだ人?そういう認識?転校生とかじゃなくて噛んだ人?

なになに俺そんなに変だったかな、噛んだ人なの俺、いや噛んだ人だけど噛んだ人って認識なの?ねえ!怖いよ!

 

 

「おっ、俺はあれだ、その、滝藁____」

『あれ、覚えてない?太一くんだよ太一くん、会ったことあるっしょ吉乃』

 

そうだぞ、会ったこと、会ったこと・・・?

ありましたっけ、ありましたっけ?あり、え?

・・・・はわわわわわわわわっ!!!!

 

「新事実ッッ!!!!」

『うわっ、急に叫ぶね君』

 

あ、なに、そういうこと!?俺がこの子見たことあるなーとか思ってたの勘違いじゃなくて本当だったの!?うわ、なんかいきなり記憶が鮮明になって来ましたよ!怒涛の展開すぎるよ!これ書いてるやつ馬鹿だろ!焦らせよもうちょっと!!俺は頭がショートしそうだよべらんめい(?)!!!

 

「あー・・・」

 

おっと、あっちも思い出しそうだぞ、

そっかそっか、俺には友達いないとか思ってたけど、やっぱり何人かはいるんだなあうんうん。

 

「牛乳買うの忘れた・・・」

 

 

はい、俺のHPゼロ。お疲れ様でしたー。

 

『吉乃やりすぎ。太一くん灰になってるから。』

 

「張り合いのない・・・」

 

まあとりあえず屋敷まで連れて来てー

なんて成乃さんの声が聞こえた気がしたけどやっぱり幻聴だろう。

耳かきします。

 

 

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