透明に輝く新入りの話 作:凍血
「……合金、便利だねえ」
「うん」
「……」
「……」
「……僕、手伝うことある?」
「……ないかも……」
みんなの冬眠室。
窓の板をぱかぱか外して部屋に光を入れている。……フォスが。
確かに「手伝って」と言われて来たはずなのに、手持ち無沙汰というか、結局何もしていない。
伸びる腕いいなー、もう寝る体勢に入ってるのに遠くのもの取りたいときとかめっちゃ使えるよなー。欲しい。
……とか考えて、適当に時間を潰す。
既にほとんどの板をとっぱらって、お日様の光が溢れるいい感じの大部屋になった。
みんながもぞもぞと起き出してきている。
なんとなく、フォスの後ろに隠れる。
いざご対面となると、なんか急に恥ずかしくなってきた。
冬の間に寝顔を見て優しそうだなーとか頭良さそうだなーとか想像していたからなんとなく親しいような気がしてたけど、よく考えたら普通に初対面だし全員めちゃくちゃ怖い奴だったらどうする。
僕人見知りなのかしら……。
「もうすこし寝ててもいいよ、やっておくから」
「ひぇ」
急に喋らないでフォス。
「助かります……アンターク」
「うおぅ」
……そういえば、話では聞いたけどあの宝石だけは結局声を聞けなかった。
どんな声だったんだろう。
名前も綺麗な響きだし、きっと素敵な声だったんだろうなあ。
「アンタークは」
月にいる。
さっきまで幾分か柔らかかったフォスの声が急にかたくなる。
僕に話をしてくれたときもそうだった。
よっぽど酷い別れ方をしたのかなあ……。
ちょっと切ない。
なんて考えたら、さっきの声の主が──色からしてルチルクォーツかな──他の宝石たちと一緒にびっくりしたようにこっちを見た。
あ、僕も見られてる。怖恥ずかしい。
ちょっと遠くのぴかぴかした白いこに手を振ってみる。返してくれた。
少なくともあのこは怖くなさそうだ、よかった。
別のこたちとも無言でコミュニケーションをとってたら、その間にフォスとルチル(仮)がなにか話していた。
「そうですか……その子も?」
ルチル(仮)の視線がこっちへ向く。
「……ん?」
僕?
「ん」
僕らしい。
「うん、少し前に新しく」
「えっと、よろしく」
戸惑いつつも両手でブイサインを作ってみる。
いえーい。仲良くしてね。優しくしてね。
彼はそんな僕とフォスを見比べて、なにか言いたそうにしていたけど。
「ちょっとぉー!」
突然肩を揺さぶられる。がっくんがっくん。
「意味わかんないんですけど何この制服!!全ッ然体にあってないし一個前の型だしあちこちほつれてるし、これじゃモデルの魅力を全くもって表現出来てない!!」
「え、は、はい!ごめんなさい!」
さっきまで「夏服配るよー」って走り回ってたこだ。
髪型はよく変わるらしいから欲しえてもらってないけど、この
「……ついてきて」
「え?でも冬眠のあとはみんなで集まるんだって」
「多少の時間はあるでしょ!とりあえず新しい服だけでも来て!」
「はい……」
想像以上にぐいぐい来るタイプだったなこのこ。こっちはちょっと怖い。
「じゃあフォス、僕ちょっと行ってくる」
「うん……」
あれ、なんだか
フォス先輩、僕不安なんですけど……。