透明に輝く新入りの話 作:凍血
暇だ。
とんでもなく暇である。
さきほどダイヤをナンパして振られてから、僕はけっきょく自分の部屋に引っ込んでしまった。
ベッドの上で教科書を読んだりしてみるけど、もうほとんど覚えたことばかりですぐに飽きちゃう。
ダイヤにあまり元気がなかったのが気になるけど、ついきのう出会ったばかりの僕に何ができるわけでもなく。
とりあえずそっとしておこう、と思って、お互いひとりで過ごすことにした。
お日様は少し高くなっている。
いい天気。
遠くの方に花がたくさん咲いている。
近くで見たいなー、できたら摘んできたいなー。でもだめなんだよなー。
とか考えてぼーっとしてる。
だけどそんなふうに過ごしても、けっきょく頭に浮かぶのはさっきのダイヤの笑顔だ。
そうなるとだんだん放っておいたのは間違いだったような気がしてくる。
もやもや。
「……わかってる」
あんなふうに笑う彼を無視できるわけがない。
特に理由はないけど、そんな感じがする。
「やっぱり、そばにいさせてもらおう」
べつに会話できなくてもいいから。
あんなに優しそうなこがひとりでいるのは、僕が嫌だ。
お花の観察もできて一石二鳥だし。
「──よっし!」
ごろごろ寝転がっていたベッドから飛び降りて、廊下へ出る。
どうせ外には出られないんだから、どこにいても同じだ。
ダイヤ、移動してないといいけど。
そんなことを独りごちて、いちど大きく視界を巡らす。
「ダ──」
ダイヤ、と叫ぼうとして。
なんとなく。
低い地響きと、床が揺れているのに気づいた。
ぐらぐらぐら。
ダイヤがいた場所に近づくほどに、揺れと地響きは大きくなっていく。
「ななな何事……!?」
早くダイヤに会いたい。というかもうダイヤじゃなくていいから誰かこの恐怖をやわらげてほしい。
だって考えてもみてほしい、ついさっきまで全てにおいて信頼し何もかもを預けていたこの世界──正確には地面だけど──が今、ほとんど信用ならない。
気をつけないと転びそうだし、ぼんやり大きく響く音はあまりにも不気味だし。
前にいちど教えてもらった『地震』ってやつかと思ったけど、ごく稀にしか起こらないって聞いた。
それなら僕はどんだけ悪運が強いんだ。
「だ……ダイヤー!ダイヤ、返事してぇ!!」
情けないけど、大声で助けを求めたくもなる。
それでも返事がなくて、正直ちょっとくじけそうになっていると。
綺麗な緑色が。
いや、黄色が。赤色が。
目が
すごい勢いで。
「だ」
彼の名前を呼ぶ間もなく、地響きと共に、なにかものすごく大きくて白いものがそれに続く。
しばらくすると、地響きがちいさくなる。
「……あれ」
ほんの一瞬でよく分からなかったけど。
「ダイヤ、と」
誰だ、あの白いやつ。