透明に輝く新入りの話 作:凍血
何なんだろ。
大きくて……怖くて。
興味深いけど恐ろしさばかりがさきに立つ。
こんなの初めて。
「はっ」
考え込んでる場合じゃない。
ずっと続いてる地響きはあのおっきいやつが原因みたいだし、走るだけでこれだけ影響があるならきっと力もつよい。
ダイヤは硬度はたかくても靱性はひくいから、ジェードみたいに強靭なわけじゃないらしい。
だとしたら、めちゃくちゃピンチなんじゃない?
「……ま、待って!」
硬度が高くない上に経験なんて全くない僕が行ったところで、なんの戦力にもならないだろうけど。
地響きだけで、からだが崩れてしまいそうだけど。
それでもやっぱり、見捨てるなんてできる
冬には想像力をかきたててくれた学校の広さが、今だけはうらめしい。
ダイヤと謎のおっきいのは僕がぼうっとしているうちにずいぶん遠くに行ってしまったらしく、もう影さえも捉えることができなかった。
さっきは勢いでおいかけちゃったけど、正直ちょっとくじけそう。こんな時にかぎって誰もいないなんて!
いちおう走りながら探してはいるけど、みんなの部屋も廊下もがらんとして、虫一匹の気配もない。
「うぅ……」
つい立ち止まりそうになった、そのとき。
視界のすみっこに動くものがあった。
綺麗な
ここまでの長髪はそうそういない。
「……アレキサンドライト」
「…………」
「……アレキ?」
心ここに在らずというか、目の前にいる僕にも気づいてないっぽい。
なんだか心配になってもういちど声をかけてみようとした。けど。
口を開きかけた瞬間、見覚えのある黒い刃が鼻先をかすめる。
「ひ__」
「アレキ!」
フォスの声だ。
今ぶつかりかけたのはボルツの髪だったらしい。それ危ないよやっぱり……。
でもよかった、帰ってきてくれたんだ。
そう思ったら急に安心して、今になって足が震えてきちゃったし……。
「ふぉ……ふぉすぅ〜!!」
はぐっ。
「どぅお!?割れる!割れちゃうって!!」
「割れないようにぎゅってするからあ!」
「髪!髪落ちた今!」
とかいちゃいちゃしてたら、ボルツとアレキがなんか話してた。
なぜかちょっと息切れしてるアレキ。
髪がなんとなく赤みを帯びて見えたけど、すぐに元通りになる。
「そろそろ離してよダイオ……」
「あ、ごめん。えへへ」
なごりおしいけど本当に割っちゃったらシャレにならないし。
視線をずらしたらボルツと目があった。
そんなあからさまに『またお前か』みたいな顔しなくても。
「どこいった、あいつは!」
アレキに聞かなくても、僕だって知ってますけどー。
そりゃあ仕事もない新入りより信頼できる方を選ぶのはわかってるけど。
なんか、ボルツに会ったらもやもやしてばっかりだ。わるいこじゃないのは分かってるのに。
けっきょく僕はさっきみたいに学校の中を探すってことになったらしいけど、ボルツは外に出るって。
勝手に嫌いになりかけてるのが申しわけなくて、せめてちょっと手をふってみる。
でも、アレキの声がそれをひきとめた。
「ダイヤが追われてんのはボルツの作戦?」
ぎゅ。
剣を持つ手に力がこもったように見えた。