戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~   作:翠晶 秋

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番外編 降り積もる雪と騒ぎ立てる聖夜

 

寮の外では、雪が降り積もっている。

ちらちらと舞うそれは幻想的な雰囲気を作り…

 

「トラップカード発動!【機械の侵略】!これによりゼータのモンスター全員は動けないっス!」

「ハッ、そんなのお見通しさ!カウンターカード!【魔術師団の後方支援】!モンスター全員をスタンドして再攻撃!さらにフィオナのガードモンスターを全て破壊!」

「なんだってぇーっ!?」

 

寮の中では、そんな雰囲気をぶち壊す作業が行われていた。

今日は冬の月に一度だけ訪れる、聖夜というイベントだ。

正式な名称はなんだったか…忘れてしまった。らしくないな。

とにかく、その聖夜はめでたい行事らしく、(いわ)く、神様が幸運を授けてくれる日なんだとか。

『あなたに聖夜の祝福を』。それが聖夜の合い言葉だ。

そんなわけで、寮はレースやらで華やかに飾りつけされ、客間のテーブルにはチキンやらジュースやらが並べられ、寮は賑わっていた。

現在はゼータとフィオナのカードゲーム大会となっているが。

と、唐突にレンナ先生が手を叩き、今回の聖夜の一大イベントの始まりを告げた。

 

「今から…プレゼント交換をしたいと思いまーすっ!!」

「「「「うおおおおおおおっ!!」」」」

「前日にみんなから預かっていたプレゼント&私のプレゼントを追加して、シャッフルして皆に配っていくよー!」

「「「「うおおおおおおおっ!!」」」」

 

ちなみにだが、現在寮にはEクラスの者も集まっている。担任教師は奥さんと過ごすらしく、寮には来ていない。

みんな、勉強で厳しい学園の中で大手を振って遊べるということで、はしゃぎにはしゃいでいた。

いつもはとやかく言うセルカも、今日ばかりは黙っている。

ノアは先ほどまで人だかりの真ん中で着せ替え人形と化していた。

聖夜の衣装を着せているらしい。

と、窓際でシャンパン(ノンアルコール)を飲んでいる俺の元にも、プレゼントが回ってきた。

軽いな。タオルケットなどの類いだろうか。

 

「よぉし、プレゼントは行き届いたね?それじゃ、プレゼントっ、オープン!」

 

レンナ先生の合図で紐をほどく。

中から出てきたのは…マフラーか?

 

「あ!それ私のやつっス!」

「フィオナの?」

「はい!手編みっスよ、感謝するがいい!」

「まぁ、言うところはあるが、素直に受け取っておこう。ありがとう」

「ノイン、これ、なんですか?」

 

くいくいと俺の服の袖を引っ張ったノアが自らのプレゼントであろう包みを渡してくる。

中をのぞき込むと…

 

「研石だと…?誰が喜ぶんだ、こんなもの…?」

「さすがにこれはセンスを疑うっスね…」

「あ、それ俺の!ノアちゃんに渡ったかぁ!」

「あんたっスかぁ!!」

 

Eクラスの者がひょこりと顔を出し、フィオナに裏拳をされた。

ノアはノアで砥石を大事そうに懐に…本当に何に使うんだ、あんなもの…。

ライカは大きな絵本を抱えている。

セルカは熊のぬいぐるみを抱いて「年じゃないのだがな…」といいつつもまんざらでもなさそうだ。

フィオナのプレゼントは男物だったらしいのでEクラスで女物が出た者と交換、猫の髪飾りを手にいれたらしい。

ゼータは…

 

「このプレゼント、誰だあああああ!」

「ゼータ、何もらったんスか?」

「見ろよこれ!爪切りだぞ爪切り!!!!」

「なんだ、俺のじゃないか」

「ノインのかああああ!!」

 

ゼータは俺の出した爪切り。

怒り、俺に爪切りを返品しようとするゼータだが…

 

「まあ待て。それは爪切りとしても使えるがあるギミックがあってな」

「ギミック?」

「そうだ。そこの指を置くところを開いて…そう。そこにマッチ大の棒を置けば簡易的なボウガンとなる。懐剣とはまた違うが、スパイ活動するときなどに役にたつだろうな」

「………………」

「まあ要らないというのなら仕方がない。俺のプレゼントはフィオナの手編みマフラーだが、これでよかったら交換を…」

「やっぱこれ、貰っていいかな」 

 

喜んでもらえたようで何よりだ。

そっと爪切りを懐にしまうゼータを横目に、俺は気配を消して寮から抜け出た。

そのまま裏庭に回り、小さく声を上げる。

 

「ネイア。いるなら出てこい。誰もいない、俺一人だ」

 

すると木の陰から小さい少女が現れ、俺に困ったような笑みを浮かべる。

 

「まさかばれていたなんて。どしたの?」

「あなたに聖夜の祝福を」

 

俺は用意していたプレゼントボックスをネイアに差し出す。

一瞬目を見開いたネイアだが、すぐに笑みを浮かべて俺からボックスを奪い取った。

ルンルンと口で言いながら包みをほどいている。

 

「まさかの聖夜プレゼント?何が入っているのかな…って、これって───!」

「そのネックレス、欲しがっていただろう?働きに比べてネイアの報酬は少なかったからな」

「ノイン…好きっ!」

「また調子の良いことを。その手にはのらん」

 

えへへと笑いながらネックレスをしまいこむネイアの頭をぽんと撫で、俺は寮に戻った。

 

 

 

 

あなたに、聖夜の祝福を。

 

 

 

 




これはネイアが正ヒロインな線も…あ、ないですかすみません
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