戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~   作:翠晶 秋

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馬の骨

 

授業課題は全員クリアし、俺たちは次の授業のために教室へ戻ることになった。

 

「ノアちゃんノアちゃん、あの威力は何?」

「俺と同じ量のルーンで、俺以上の威力をだせるなんて…。クソッ、なんて変換効率してんだ!?」

 

ノアはこのクラスの誰よりもルーンによる魔法の威力が強いらしく、先程から注目を浴びていた。

 

「ノアは、特に何もしてません、よ?」

「ええぇ~…」

「ノアは戦場でも良い戦果を上げたからな。ノアにとってはなんてこともないだろう」

「初めてでルーンをたくさん扱うノイン君もすごいと思うけどね」

 

廊下でわいわいと話していると、向かい側から女生徒の集団が…いや、真ん中に男がいるな。

 

「あ、ブリーチさんっスね」

「ブリーチ?」

「そっス。学年で成績1位、さらに顔まで良いと来た。女の子の憧れっスよぉ…今見ると、ノインもなかなか良い顔をしてまスね」

「世辞は要らない」

 

そのブリーチとやらは、こちらに近づくと急にノアに接近した。

ノアは避けようとするが、壁際まで追われてしまう。

ブリーチはノアの首の横に…つまり壁に右手をドンと置き、ノアの顔をよく監察する。

 

「…ふむ。君、Fクラスだろう?」

「…?はい、ノアは、Fクラス、です」

「ふむ、ノアか。良い名前だ…どうだ、僕の物に…」

 

ブリーチはそのままノアの顔に触れようとして───

 

 

───ペシッと、その手を払われた。

俺の手に。

 

「…なんの用だ」

「ああ、すまない。俺のノアにどこともわからない馬の骨が触れようとしていたものでな、手が当たってしまったようだ」

「ふうん…?()()()()、ねぇ…」

「ん?どうした?『当たり前』だろ?」

 

ブリーチはたなびく金髪をかきあげ、やれやれと言った風に肩をすくめる。

 

「『当たり前』?ノアは誰の物でもないだろう?」

「その前に貴様がノアの名を呼ぶな。穢れる」

「ええっ、ちょっ!?学園1位の秀才と成績優秀な謎の転校生二人に言い寄られるなんて…!?ノアちゃん、アナタ一体何者っスかぁ!?」

「…?ノアはノア、です?」

「天然属性だったぁーっ!!」

 

俺の肩にぽんと手を置くブリーチ。

目でわかる、そのまま腕を絡めて投げるつもりだろう。

ぱしりとその手を弾き、ブリーチの手が触れたところを手で払う。

まるで、穢らわしい物が触れたかのように。

ブリーチは真顔で俺を睨み付けるが、戦場で突きつけられた銃口と比べれば赤ん坊の笑顔のようである。

 

「かっ、かっくいい~!ブリーチ君の真顔攻撃にあんなクールな表情!」

「おおお、落ち着くっス、ライカ!まだ何か隠してる表情っスよ、あれは!これくらいでかっくいいとか言ってると…!」

 

わーぎゃーと騒ぐクラスメイトとブリーチの取り巻き。

爽やかな顔で歯軋りをするブリーチは苦し紛れに言葉を発した。

 

「…ノアは誰の物でもないのだから、誰を選ぶかは自由だろう?」

「誰を選ぶか、か。悪いな、ノアは…」

 

俺はノアの腰に手をまわし、ノアを抱き寄せる。

 

「最初から、俺の物だ」

 

抱き寄せられてきょとんとしていたノアは、とりあえず俺の胸に顔をうずめた。

 

「……………ぐ。そんな幸せそうな表情…」

「「「「ぶはっ!!」」」」

 

ノアの幸せそうな表情にやられたのだろう。

少し言い過ぎたかもしれないが、ノアのことを何も知らないやつにノアを任せたくはない。

肩をいからせたブリーチは(きびす)を返すと、背を向けて言ってきた。

 

「…校内対抗戦。そこでお前のクラスを潰す」

「…ほう?」

「お前も出ろ。僕は大将として出る。勝ったほうがノアを手にいれる」

 

取り巻きは青ざめたような、勝ち誇ったかのような不思議な表情を見せ、クラスメイトはしきりにノアの肩を揺らしていた。

当のノアは未だに状況がわかっていなさそうだが。

 

「…ノアの意見が取り入れられていないのが不服だが、いいだろう」

「フン。せいぜい修行でもしておくんだな」

 

革靴の音を響かせ、自分のクラスへ戻っていくブリーチ。

俺は口をぱくぱくさせているクラスメイトへ向き直ると。

 

 

 

「…で、校内対抗戦とはなんだ?」

「「「「そこからですか!?!?!?」」」」

 

 

 

校内対抗戦とは、重要な物であるらしい。

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