戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~ 作:翠晶 秋
「校内対抗戦ってのはね、トーナメント形式でクラスごとに模擬戦闘をする、いわば簡単な校内行事なの。大将、副将、兵士三人の合計五人でクラスから参加して、優勝したら学園から賞状とできる範囲の願いを一つづつ叶えてもらえるんだよ」
「なるほど。ブリーチは大将と言ったが…大将と兵士は組めるのか?」
クラスに戻り、校内対抗戦の説明を聞いていた。
まだここに来てから少しも経っていないのに、俺は大層面倒なことに首を突っ込んだらしい。
後悔はしていない。
「無理だね。兵士と兵士なら指定することができるけど…」
「ブリーチは大将として出ると言ったからな。ノインもこちらのクラスから大将として出て、勝ち抜いてSクラスと当たるしかないだろう」
「…セルカ。先ほどから気になってはいたんだが、クラスのアルファベットに地位のような物はあるのか?」
ブリーチがノアのことをFクラスだと呼んだ瞬間、周りの俺とノアを見る目が蔑んだものに変わった。
「あぁ。学級が上がるタイミングでテスト成績上位者から順にクラスに入る。Sクラスは、言わば秀才の集まりだ」
「俺らは…まあ、Sからしたらバカの集まりなんだろうよ」
「ゼータのは悪い言い方っスけどね。ノインとノアちゃんは転校生なので強制的にFクラスっス」
ブリーチの取り巻きの蔑んだ視線はそういうことか。
調べたがこの学園の学力の水準は相当高いので、一蹴にバカとは言えないが。
「いいタイミングだし、校内対抗戦のメンバー決めよっか!大将はノイン君として、他!」
レンナ先生が机に手を置き、クラスのみんなに呼び掛ける。
計算だと二人余るな。
「ノアは、副将をやりたい、です」
「の、ノアちゃんがやるの?まぁダメとは言わないけど」
レンナ先生は黒板に『大将:ノインス 副将:ノア』と綴り、辺りを見渡した。
しかし、クラスメイトの表情は暗いもので、むしろ校内対抗戦を嫌っているかのような表情だ。
「…ん?待て、俺たちが入る前はどうやって校内対抗戦をしていた?四人しかいなかっただろう?」
「一人いないから、俺がもう一人兵士の役をした。だから余計に身に染みてるんだよ、Fクラスがどれだけ弱いのかが」
ゼータはずうううん、とした表情で俺に言う。
他の面々も同じな様で、『無理です。Aクラスのとこまで行ける気がしません』と顔に出ている。
俺は1つ息をつくと、立ち上がって言った。
「今まで散々な目にあってきたのだろう?見返してやりたいとは思わないのか?」
「ノイン君…?」
「ゼータ!お前はどうなんだ?やりたいのか、やりたくないのか。そんなもので、ルーンマスターになどなれるのか?」
「───ッ!!」
「フィオナ!どうどうと、町を歩きたくはないのか?後ろめたい事をしたわけでもないのに、路地裏を歩いてそれで町歩きと言うのか?」
「…っス」
「ライカ!ずっとルーンの研究をしているのはなんのためだ?火のルーンで目眩まし、風のルーンで逃げるためか?違うだろう?お前の夢はなんだ!?」
「…僕の、夢…」
「セルカ!そのまま心労を抱えて生きていくのか?ただでさえ苦労している今、さらに『落ちこぼれ』というレッテルが貼られるぞ?」
「…それは、遠慮願いたいものだな」
「Aクラスがなんだと言うのだ!さあ、ついてこい!
「「「「ノインっ!!ノインっ!ノインっ!」」」」
両手を拡げて歓声を受ける俺と、希望を取り戻して俺の名前をコールするクラスメイト。
その後ろ、レンナ先生の方から嬉しそうな声が聴こえて来た。
「あぁ、良かった。子供たちが光を取り戻してくれて…」
「レンナ先生を喜ばすためだ!「えっ私!?」我らは戦うぞ!さあ、声をあげろ!!」
そして俺が拳を天に突き出せば、クラスメイトも拳を天に掲げた。
「「「「「おおーーーっ!!!!」」」」」