戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~   作:翠晶 秋

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決勝戦~翻せ、革命の団旗~

 

「本当に決勝戦で合うとは。寒気がしたぞ」

「そちらも、Sクラスは名ばかりでは無いようだな」

 

グラウンドに、俺たちは並んでいた。

こめかみを筋ばらせてこちらを睨むブリーチ。

意には返さない。低能に構うだけ無駄だろう。

そんな事を考えている反面、俺は焦っていた。

 

「道具に頼って何を偉そうに」

「使えるものはなんでも使う。悪いか?」

 

試合を見たが、Sクラスの彼らは性格はともかく実力は本物だ。

……大量の魔法で逃げ場を無くしたり、槍による連撃で押しきったり。

無論、一対一なら誰にも負ける気がしない。

戦闘能力は俺の方が上だ。

しかし、五対五だと話は別になる。

最悪の事態として、五人全員が大将である俺を狙ってくるパターン。

さすがに五対一は反応しきれないだろう。

 

「今回は五対五だから、大将である俺が狙われる確率が高い。俺は最初はルーンをかき集めるために動けないから、俺の存亡はお前らにかかっている。頼んだぞ」

「わわ、ノインからの直々の依頼っス!」

「ぼ、僕らでやらないと!」

「ノインは、私が守り、ます!」

 

鼻息を荒くしてやる気を全面に出すメンバー。

直々の依頼って……俺は王様か何かか。あ、大将だった。

 

『それでは決勝戦!FクラスVS Sクラス!戦闘、開始!』

 

そして全員が同時に走り出す。

それぞれがルーンの取り合いとなり、近接と精神の二つで戦うことになっていた。

 

「お前ら!Sクラスは派手な魔法を好む!ルーンの消費を抑えろ!」

「それ、敵前で言っていいのかなッ!?」

 

叫んだ俺に、ブリーチが切りかかってくる。

迫り来る刃は、しかし俺には当たらない。

なぜならば。

 

「触れさせないよ!」

 

ライカによる【旋風】のルーンで、刃が押し返されていたからだ。

さらに、俺を巻く風が途端に灼熱を帯び、超熱でブリーチの刃を溶かしてしまった。

膨大な量の【熱】のルーンが送られている。

熱は風の外側に渦巻き、俺にはそこまで被害が無いように創られていた。これは……

 

「ナイスフォロー、ゼータ君!」

「そっちこそ、だッッ、ぜぇえええ!!」

「うおわっ!?ちょ、こっちくんな、うわああっ」

 

遠くでゼータが叫び、Sクラスの生徒が今度は悲鳴を上げた。

ルーンを集めきるまであと少し、なんとか耐えてくれ……!

 

「なに突っ立ってんの?隙あり!」

 

フィオナと戦っていた女生徒が俺に向かって駆け出す。

手にはリーチの長いハルバード。

このままでは刃先が触れる、少しだけルーンを消費するか……いや、その必要は無さそうだ。

 

「ノインッ!!」

 

フィオナが掌より【秩序】のルーンを放出し、空を跳ねるように翔ぶ。

いともたやすく女生徒を飛び越すと、右手で俺の制服の襟首を掴み、左手で衝撃波を出して横にスライドした。

衝撃波の余波で生まれた【風】と【秩序】のルーンも回収する。

 

「アンタの相手は私っス!」

「くっ……このぉ!!」

「せらあっ!!」

 

フィオナと女生徒が打ち合いを始めたため、余波でごろごろと地面を転がる。

もう少し……もう少し……もっと早く集められれば!

 

「やる気無し子ちゃんなのかい?」

「油断、大敵!」

「………………ッ!!」

 

今度は三人で切りかかってくるSクラス。

ライカ、ゼータ、フィオナは俺を守るために遠くにいる。

今度は誰も来ることは……いや、これも大丈夫か。

一瞬、白い閃光が走る。

 

「ノインは渡しません。私の物だ」

 

白い髪をたなびかせ、青いカイヤナイトの瞳をらんらんと輝かす、俺の相棒。

計算しつくされた軌道でブレイド・チャクラムを振るうその姿は、戦場には似つかわしくない可憐な乙女と、天からの命を受け戦いの化身となる戦乙女の、矛盾した二つを兼ね備えていた。

 

「ハッ!!らッ!!」

「ちょ、そんなしゃべり方しない……ぐえ」

「腕ッ!!腕が!」

「首、ある!?俺、首、ある!?」

「安心してください。ただの峰打ちです」

 

ちなみに、ノアの普段の口調に「、」のようによくよく間が空くのは、ノア自身の過呼吸による喋り辛さだったりする。

こうして戦う時は一定感覚で息を止めているので、口調がマシになるわけだ。

 

「ふう。これで、どうです、か?ノイン」

「大丈夫だ。これでルーンも溜まった」

「なら、良かった、です。すう……ッ!!」

 

再び駆け出す相棒。

ブレイド・チャクラムを逆手に持ち、戦場をかける姿が絵になっている。

 

「全員、下がれ!」

「行きますよ、フィオナ」

「の、ノアちゃん、どこ掴んで……おぼふっ」

 

ライカとゼータが声に反応して俺の後ろに下がり、ノアはフィオナの腹部に手を回して跳躍した。

 

 

さあ、大魔法を展開しよう。

 

 

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