戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~ 作:翠晶 秋
深海の少年少女
外からの侵入を感知し、国はその船に信号を放つ。
内容を簡単に訳せば、『ちょっと、そこ俺達の領土なんだけど。なんの目的で来たん?正式な理由が無ければ、早く出ていって?さもなくば撃つ』という物だった。
が、その信号には裏がある。
世界全ての国共通の暗号。
それに暗号で答え返せば、易々と国に入れるという物。
軍や国の重鎮しか知らない、言わばパスポートを信号にしたような物である。
信号を受け、海中から出てきたのは黒い船体に赤いラインと溝の出来た、潜水艦だった。
潜水艦は信号の答えを暗号で返し、国の中へ入って行くのだった。
場所は変わって潜水艦の船内。
赤い縁取りの服を着た男が、機械をいじくっていた。
「ふぅ。しっかり暗号は解読できたな」
男の手元には先程潜水艦が受けた信号のパターンが細かく記載されており、素人が見てもこの男が国の関係者で無いことがわかる。
「お疲れさま、です。お茶、淹れました」
「あぁ、ありがとう」
奥から青を基調とした服の女が、お盆に紅茶を乗せて出てきた。
美女とも美少女とも言える女は男に紅茶を渡すと、机の地図を眺める。
「次の任務、ここ、です?」
「そうだ。まずはここに向かえ、と。なにやら、情報が漏れるのを防ぐため、任務の内容は現地で伝えるらしい」
男は目頭を揉み、紅茶をすすると一つ、深い息をついた。
女は男の後ろへ回り、その肩を揉み始めた。
「この国、紅茶と、陶器が、名産、らしいです」
「ほう。なら、皿やコップを買い換えるのもいいかもしれんな。紅茶も、お前が淹れるのならさらに良いものになるだろう」
男達がこんな会話を続けている間にも、潜水艦は進んでいく。
船体についた窓は水圧で割れることもなく、外の景色を写し出していた。
「肩はもういい。疲れたろう、休憩としよう」
「わかり、ました、です」
男は窓の外をチラリと見ると、その速度を上げた。
実はこの男、会話をしている最中にも手中のリモコンで船を操作していたのだ。片手で。
さらに男は手元の携帯のような液晶に目を見やると、「燃料も残り少ない。また作らねばならないな」と呟いた。
ワインレッドの目に首もとまである髪、白い手袋やブーツ等の服装、落ち着いた雰囲気と合わさって、男は探偵やエージェントのような印象を持っていた。
「次の国なら、燃料も、安く買えるそう、です」
「そうか、なら上からの必要経費として追加しよう」
物価を伝えた女は、ぱたんと見ていた手帳を閉じ、窓に駆け寄って外の景色を眺めた。
カイヤナイトの瞳を持ち、雪のように真っ白い髪を腰もとまで垂らす女は、他人の心を吸い込むような美貌と合間って、人形か、人魚か、精霊かと思うような印象を持っていた。
「そろそろつくぞ。荷物を整え、艦内を見てまわれ」
「わかり、ました」
そうして潜水艦は、そして二人は、自らの任務を果たすため、国の港へと向かって行った。
お試しとして投稿いたしました。
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ではでは、稲葉さんでした。