戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~   作:翠晶 秋

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意外と重い足枷

 

「「「「「おかえり!そしてありがとう!」」」」」

 

ドアを開けた瞬間、謎の破裂音と細長い紙が俺たちを出迎えた。

 

「……なんだこれは?ライカ、説明してくれ」

「今日の優勝はノインの力あってのものだったでしょ?だから、みんなでお礼を言おうと思って!」

 

なるほど。

未だにクラスメイト全員が夢見心地でメダルを首にかけているのはそういう意味があったのか。

 

「よぉーし、ここは王都に詳しい私が今から良いお店を予約して───」

「フィーオーナーちゃん?学校はまだ終わってないよぉ?」

「ヒッ!?先生、いたんスか!?」

「いるよ!」

 

この場の雰囲気では、俺もみんなに習ったほうが良いだろう。

ポケットからメダルを取り出して、俺は皆の努力の証を首にかけた。

 

 

 

 

「と言うことで、今日から俺はしばらくの間ルーンの多重展開ができなくなった。ルーンを複数使うときは皆の力を借りると思うから、そのつもりでいて欲しい」

「任せろって!俺はお前についてくぜ!あー……。あと、これ」

「あ、私もっス」

 

ゼータとフィオナが差し出してきたのは、二人の補助具。

ゼータはルーンの収集機、フィオナはメタルナックル。

 

「ん?これが、どうした?不調か?」

「いや、返そうと思って。助かったわ。ありがとな、ノインス」

「私も、助かりました。感謝するっス!」

 

そうやって俺に補助具を返してくる二人に俺は合点がいき、そして苦笑した。

 

「いや、返さなくても大丈夫だ」

「……え?」

「どういう意味っス?」

「文字通り、返さなくても大丈夫と言うことだ。それは二人専用に作ったものだからな、しかもまだ改良の余地がある不良品だ」

「つまりは、これは俺たちが持っていていい、と?」

「もちろんだ。盤上娯楽でも、仲間の装備を強化するだろう?」

「「おっしゃああああ!」」

 

狂喜乱舞する二人。

……そんなに嬉しいか?アレ。

 

「良いなあ、二人とも」

「ライカの装備も作ってあるぞ。まだ安全が保証できないから渡していないが、ちゃんとしたのをな。もちろん、セルカの分もだ」

「私もか?私は何もしていないぞ?」

「セルカも、応援、してくれた、です」

「ノアの言う通り。俺は平等に扱いたい(さが)でな」

 

セルカは照れ臭そうに頭をかく。

 

「そうか……。それなら、完成を期待しようか」

「ああ。待っていてくれ」

「勝利の喜びを分かち合うのは良いけど……授業の存在は忘れないでね?」

「「「「そんなあああああ!?」」」」

 

勝者は常に忙しい。誰の言葉だったか。

 

「学ぶのは好きだ。先生、次の授業は?」

「実技だね。ルーンによる耐性付与の研究だよ」

 

 

 

 

「……つまりはルーンの影響によって人間は加護を受けて……。さてと。せんせーは遠くで見てるから、存分に暴れたまえ。ノイン君、忘れないようにね」

「分かっている。今日は武器作りに専念する。まずはライカの武器だな……」

 

ライカは自分で体が弱いと行っていたから、軽めで、リーチのある武器がいいん……。

そうなると、鉄をルーンで変形させながらルーンの通り道を……。

ダメか。ルーンの多数使用は禁止されている。

 

「なるほど……。普段武器造りにルーンを多数使っている弊害がでたな」

 

この国の武器のクオリティの低さも納得できる。

ならば、ルーンを使ったパーツを複数に分け、それぞれに違う能力を付与させる。

その方法ならば、一度に複数のルーンを扱う以外にも、一つの武器にたくさんの機能をつけられる。

 

「ん。何してんスか、ノイン?」

「ライカの武器製作に着手している。だが、なかなか進まない。ルーンを複数使えないのがここまで不便だとは」

「普通はルーン1つが限界なんスけどね」

 

考えものだな。

ルーンの課題は、もっとたくさん時間をかけて考える必要があるのかもしれない。

 

「ノア。少し手伝ってくれるか」

「はい、です」

「私も手伝いまスよ?」

「じゃあ実験台になってくれ」

「酷くないスか!?」

 

それでも手伝うつもりはあるのか、メタルナックルを装備するフィオナ。

鉄パイプのような長い棒を持って構える。

……ライカ用だと少し重いかも知れないな。

軽量化のために素材を削るか。

 

「よしフィオナ、かかってこい」

「えぇ……。マジもんで戦うんスか……。恨みっこナシっスよ!」

 

手から衝撃波を出してアクロバティックに飛んだフィオナ。

そのまま俺に手を伸ばして来る。

 

「あほか」

 

フィオナは空中にいる状態。

放物線を描いて来るフィオナの進行方向に棒を置いておく。

 

「うっわあぶな!」

 

そのままだと棒が突き刺さると思ったフィオナは手から衝撃波を出して急旋回、グラウンドに転がった。

 

「こ、殺す気っスか!」

「当たりそうなら止めていた。フィオナ、正面から突っ込んでどうする。槍や薙刀の類の武器はリーチが長いんだぞ。その上逃げ場のない空中に出ようものなら、自分の勢いに貫かれて死ぬぞ」

「ふーっ、ふーっ……。怖。超怖いっス」

 

鳥肌をさすりながら恨みがましい視線を送るフィオナでは話にならない。

代役が欲しいところだが、ゼータもセルカも忙しそうだ。

かと言ってライカ本人に相手をさせるわけにも……。

 

「ふむ。じゃあノア。俺と戦ってくれるか」

「分かりました、です。全力で、行きます」

「試作品だからな。お手柔らかに頼むぞ」

 

途端に始まるバトルに、突風が吹き荒れる。

どこからか竜の咆哮が響き、同時に刃物が付き合う音が鳴り、後にグラウンドが凄いことになってしまったが、それはまた別の話だろう。

 

 

 

 

俺の見据える先には、忌々しい忌々しい『銀弾』が『舞姫』と模擬戦をしているようだった。

 

「その名前、必ず貰い受けるぞ、銀弾……いや、ノインス!」

 

新しい学び舎の制服に袖を通した俺は、岩肌から飛び降りた。

高かった。足じいんてなった。

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