戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~ 作:翠晶 秋
「今日は、フォールンの歴史について説明するよ!」
「えぇ〜、また歴史かよ〜」
ゼータが不平を垂れる。
いつもの事なのでスルーし、ノートを開く。
「まずはフォールンって名前なんだけど……寝るの早いねゼータ君」
「はッ!?」
「えっと、フォールンの名前。これ、どこかで聞いたことない?」
辺りを見渡すが、俺とノア以外は分かっていない様子だ。
「うーん……この国出身の子はわからないかもね。ノイン君やノアちゃんならわかるんじゃない?」
「はい」
「ノイン君」
「クロウズ・フォールン十三世。現国王の名前に入っている」
「正解!」
ほえは〜という声が響く。
フィオナによる者だった。
「もしかして、初代国王がフォールンだからフォールンなんですか?」
「お、フィオナちゃん当たり。話はだいぶ前になるんだけど寝るの早いねゼータ君」
「はッ!?」
「ゼータ。夜眠れないのか?購買に睡眠薬があったと思うが」
「それ魔獣眠らせるやつじゃろがい死ぬわ」
「ハイハイ無駄話終わりー」
パンパンと手を叩くレンナ先生。
扱いに慣れている。
「それで、最初は何もない野っ原に……」
昼下がり、授業を聴きながら窓の外を見る。
日の光が、俺たちの教室を照らした。
『ごめんなさい、アイゼン。あなたに辛い思いをさせてしまって』
アイゼン。
あのとき、俺はそう呼ばれた。
だが、物心ついた時からノインスと呼ばれて来たのだ。
……いや、一回。
機械の国でスキャンされたとき、名前の表記が……。
「ノイン君?ノーイーンーくーん?」
「む、すまない、ぼうっとしていた」
「気をつけてくれたまえ。では、罰としてこの式の穴を埋めてみたまえ!」
レンナ先生に指示されて立ち上がる。
これは……ルーン式。
以前の授業でルーンが絵に表せることを教わり、それイメージを注ぐことでルーンが集積される【スクロール】というものがあることをしった。
歴史の授業でルーン式とは……昔使われた術式だとか?
しかし、こんな物は見たことがない。
この国に来る前に予習はしたはずなんだが……。
「先生、これは何の術式だ?」
「ん?えっとね、外壁を作る術式かな?」
「なるほど」
「やる気かい?天才君。これは何十年も前から研究されていて未だ穴埋めされていないハメ問題だよ」
ちくしょう。
しかし、一度立ち上がった以上、間違えても答えなくてはいけない。これは俺の信条だ。
外壁を作る……。使うなら土系統のルーン。
歯車のような形だ。ところどころがぼやけている。
「…………」
これなら、ルーン式の穴埋めを考えるより最初から作った方が早いのでは?
外壁だったらまずはトラップが必要だよな。だったら歯車を使って重量感知のにしたほうがいいな。
問題として書かれた式の隣に、外壁を作るルーン式を綴る。
「え、ちょ、ノイン君?」
「下からせり出すような岩の塊……。門の部分を作る式を書いて……」
いや、壁単体を作る式の方が汎用性が高いか……?
だとしたら【秩序】のルーンを使って投げた座標の下から出てくるように……。
「まあ、こんなものだろう。俺なりにやってみたぞ」
「あーうん、後で提出してみるねー」
流された。
いい術式だと思ったんだが……まあプライベートで使うことにしよう。
「それで、そのフォールンさんが王国を立て上げたってわけね!わかった?」
「質問です!」
「ライカ君、どぞ!」
「フォールンさんはノイン君と同じようにたくさんのルーンを一度に使えたんですか?」
「書物では一度に3つまでのルーンを同時に使えたらしいね。ノイン君、初代国王を超えちゃった!」
「今は罰則で1つしか使えないぞ」
「罰則期間終わったら鬼神になるんでスね、わかりまス」
フォールンはルーンの適正が多く、さらに3つまでのルーンを同時に扱えた。
俺とノアの良いとこ取りと言ったところだ。
と、そこでノアの存在を思い出してノアの方を見ると。
「すや……すぅ……」
「んが……ずう……」
ゼータの陰で寝ていた。
「二人とも、起きてよー!!なんでこのクラスには不良しかいないのー!?」
「先生!一緒にしないでもらいたい!」
「ぼ、僕は寝てません!!」
昼下がり。
シャカとの戦闘の傷を癒しながら、俺は平凡に授業を楽しんでいた。