戦場最強の二人が学校で生活するそうです~魔術と機械のエージェント~   作:翠晶 秋

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ルーンアーマー

頭に霧がかかったように意識がはっきりしない。

ぼやけた視界は焦点が合わず、自分がどこにいるかでも定かではない。

意識をしっかり持てノインス。俺はどうなった?

そうだ、学園長にペンダント……ルーンアーマーをつけさせられ、ルーンに体が耐えきれなくなって意識を手放したはず。

そして、再び意識が戻る前に、最後にノアの声が聞こえた気がする。

 

「おう、またこっちにきたのか」

「……師匠」

 

眩しい世界の中、はっきりと師匠の姿が見える。

 

「こっち、とは?」

「意識の混濁で起きる……ま、あの世と現世の境目みたいなもんだ」

「俺は死ぬんですか」

「死にはしない。いったろ、境目()()()()()()()()って」

 

境目……死者の魂の本流する場所?

 

「ノインス。学園長が言ってた言葉は覚えてるか?機械の国と、魔法の国について」

「……あぁ、親睦を深めるために互いに贈り物をしたという……」

「そうだ。……それで?」

「あ、えっと……機械の国からの贈り物が、あのルーンアーマーだったという話です」

 

師匠は目を閉じると、魂だけとは思えないようなそぶりで考え込む。

もしかしたらこの師匠は俺の妄想なのかもしれない。すべて、俺の頭の中で起きている出来事だったとしたら……?

どっちにせよ情報が増えるのはありがたい。余計なことをして情報をなくすよりは、乗っておいて知識を求めるのがいいだろう。

 

「ルーンアーマーは」

 

師匠が口を開く。

 

「機械の国からの贈り物でありながら、魔法の国の技術を宿していた。ほんの少しだがな。なら、魔法の国からの贈り物は?」

「機械の国の技術で作った、魔法主体の贈り物……?」

「鎧があるってことは、大砲か剣か……いや、魔法の国なら魔物やゴーレムもありえるな」

「…………」

 

なるほど。

魔法の国からの贈り物も深海に眠っているのか……。

アルゴノート……最近まったく使っていない潜水艦を使えば、捜索はできそうだ。

 

「歴史についての資料がある」

「どこにです?」

「砂の国だ」

 

砂の国。

一面の砂漠が広がるその国は、その大地の下に無数の遺跡が眠っているらしく、既に発見された遺跡からでも歴史的価値のある書物、もしくはそれの文字が見つかっている。

そこに、魔法の国と機械の国の技術についての記述が?

 

「師匠はなぜそれを?」

「……さあな。思い当たる節がない。俺もなぜ、こんなことを知っているのか……」

 

とにかく、長期の休暇でも取れたらノアと共に向かうのがいいだろう。

少なくともこの状況で「ただの夢」だったということはないだろう。

砂の国には、何かがある。

 

「っと、師匠。続けて聴きたいんですが、俺の名前がアイゼンというのはどういう……」

「おっと、時間みたいだな。じゃあな弟子よ」

「ちょっ……!!」

 

手を伸ばすも、師匠の姿はその場で消えさった。

はぐらか、された……なんのために……?

それと同時に、俺の体も後ろに引っ張られるような感覚がする。

この空間が夢の中のような世界なら、もちろん俺は生きていて、覚醒する。

謎が多すぎて、何もわからない。

 

いつか……ノアの……ひみ……つ……を───

 

 

 

 

「がっ、はっ!!」

「ノイン!!」

「ようやく起きたっスね!!」

「ったく、ヒヤヒヤさせんなよ……」

 

痛む頭を抑え、上体を起こす。

焦げ臭い。辺りを見渡すと、火事でも起こったのか学園の廊下が熱を帯び、どこからかチリチリと音がなっている。

 

「この惨状はどういうことだ?」

「ノイン、が、暴走、して……」

「俺が暴走?何故?」

「この、首飾り、が……原因だと思う、です……」

 

赤と青の装飾の、金のペンダント。

装着するとルーンアーマーを纏い、膨大なルーンに体を蝕まれる。

 

「なるほどな……この火事のような状況も俺がやったのか」

「そうだぞ、ノインのせいだz「ちょっと黙ってましょうねー」むぐ、ぐ……」

「ノイン、は、悪くないのです。きっと、これが、原因で」

「あぁ。それをつけた瞬間にルーンが大量に流れ込んできて、意識も強制的に切られた。そのペンダントは、危険だ」

 

ノアが手にしているそれを奪いとる。

じゃらと鎖の音のなるペンダントからは、やはりそのような凶暴性は感じない。

首にかけない限り、力が発動しないのだろうか?

ルーンアーマーをポケットに押し込み、立ち上がる。

 

「ここから出なければ……」

「あっ、たしかにそうっス!」

「早く脱出しねぇと!」

「ノイン、肩を貸します」

「助かる」

 

なんとか這うようにして脱出した学園は火が燃え広がったのか、俺たちがいた場所などの既に消化された場所を除いて、炎に包み込まれていた。

先生や生徒が揃って【水】や【氷】のルーンで消化を試みているが、勢いが強すぎて止められない。

……事実上の、学園の滅びだった。

おかしい。学園長だってこうなることはわかっていたはずだ。

自分の学園を、どうして。

 

痛む頭でルーンを集めるが、操作がおぼつかなくてうまく行使できない。

 

「任せて、ください」

「ノア……」

 

ノアの掌に俺が集めた【水】のルーンが集まる。

やはり、俺とは比べ物にならない最高の親和性。ややルーンは不安定だが、ルーンの力を最大限に引き出せるのが、ノアの強みだ。

……ゼロか100かしかないないのが玉に傷だが、最近は練習しているようだしな。

とにかく、集まったルーンが実態として権限したときには、ノアのかざす手の向こうには池でも作れるのではと思える量の水が集まっていた。

……【土】のルーンを集める。

 

「消化、します!」

「えっちょっこのサイズは……」

 

誰かが言いかけた、が、時すでに遅し。

土の壁を作る。

一瞬で決壊した。

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド。

 

「「「「ほぎゃああああああああああああああ!?」」」」

 

まさか、再び眠ることになろうとは。

流れる奔流の中、俺はもうなんでもいいやと、意識を手放した。

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