『D選手が強力なライバルを倒しました!! 圧倒的過ぎるその力は未だ世界を塗り替えたままだ!! このまま挑戦者達も体力を奪って勝ち残ることが出来るのだろうかぁー!』
現実世界で大いに沸く観客達の声。Dの勝利に様々な思いを抱く者達。
『いやー、誰も予想だにしていなかった戦いでしたね』
『まっ。本気も出しちゃいなかったがな』
『え? 割合で申しますと・・・・・?』
『
『そ、そうですか。しかし武神 川神百代を圧勝したのは驚きでしたね』
『負けちゃあ武神なんてもう名乗れねぇがな。なっ、当主殿』
『真の武神の神の前では赤子も当然。この機をもってして川神百代から武神の称号をはく奪し、零から鍛え直してもらう』
『武に関しては厳しい当主殿ですな。次の試合もどんな者達が闘いを魅せてくれるのか期待しないので?』
『決勝戦まで勝ち残りし者達の戦うまでの試合など茶番でしかない。その茶番ごときに振り落とされた敗者で築き上げられた者共はたった一人の勝者を生み出す糧にすぎん』
『―――だがよ。その敗者に埋もれた者が勝利に向かって這い上がって、やがて勝者の脚を掴む事実も変わりはない。そうだろう?』
『・・・・・否定はしない』
フィールド全体を塗り替えた異空間はまだ解けない。体力が減っていく感覚を体感するヴァーリ・ルシファーは妖炎の世界に変えた元凶の下へと白い全身鎧の姿で空から移動していた。
「一週間もいる気はないようだな。先ほどの炎の壁も強者達だけ炙り出すためのものだろう」
『威力はかなり抑えられていた。全身が火傷程度の火力ならば簡単に乗り越えられる。そうではない者はリタイアするだろう』
「強力な力の気配が消えたが、まだDの気配は感じるな?」
『ああ、ドライグはまだいる。が、お前の体力を奪うこの空間をどうにかしなければお前とて不味いぞ。魔力は奪われないでいるが体力を消耗し続ければ鎧の維持もままならん』
それをどうにかするためにアルビオンのドライグの気配を感じる方へ教えてもらいDを探して飛んでいた。
が、ヴァーリ・ルシファーを見つけた者がいて攻撃を仕掛けた。地上から飛んでくる膨大なオーラに察知して身体を捻って回避する。
「ヴァーリちゃん、みっけ♪ 久しぶりね」
「・・・・・できれば、決勝戦まで戦いを避けたい相手が現れてしまったか」
「釣れないことを言わないの。ここで会ったのは偶然だけれど、後にも先にも避けれない戦いをしなくてはならないのは必然でしょう?」
兵藤一香がヴァーリ・ルシファーと同じ位置まで浮かび上がり数多の魔方陣を展開した。
「さっきの大炎とこの体力を奪う異空間を展開した者は同一人物だとして、厄介なヴァーリちゃんを倒してこの異空間を解除しなくちゃね。流石の私も体力を奪われちゃどうしようもないもの」
「できるかな?」
「できるわよ?」
そう言ってオーラの塊を放ったヴァーリ・ルシファーの一撃を真正面から薙ぎ払う手で反らして断言する兵藤一香は、数多のオーラを鋭く魔方陣からマシンガンの如く放った。それに対して彼女へ背を向けながら光の速さで移動し始める。
『戦わないのかヴァーリ』
「負ける気はしないが、悪戯に体力を消耗してしまうだけだ。Dと合流して―――」
「逃がさないわよ?」
ヴァーリ・ルシファーの目の前で転移した兵藤一香が展開した魔法陣を目の前に、十二角形と十二芒星を合わせた魔方陣の結界によって閉じ込められた。
「これはっ・・・・・!」
「私オリジナルの封印式魔方陣でね。初めて使うのだけれど
「感想も何も・・・・・『半減』の効力が激減してこの封印を破ることが極めて難しくなっている」
『ああ、直接私のところにも結界の力が働いている。よもや私の能力を低下させるとは思いもしなかった』
「ふふっ! やったわ、二天龍でも効果があるならこれは成功ね! 次は神を封じるための魔方式を構築しなくちゃね」
一人喜ぶ彼女は封印されているヴァーリ・ルシファーへ手を伸ばし、掴む仕草をして力を籠めるとそれに呼応する結界が縮み始めた。
「というわけで、一足早くヴァーリちゃんは退場してもらうわ」
「ぐっ! ―――いや、先に退場するのは私ではないようだ」
「? なにを言って・・・・・」
不思議なことを言うので小首を傾げる兵藤一香の全身が炎に包まれた。突然の出来事に目を丸くした彼女の真後ろから巨大な狐が駆けて来て、狐の頭部に乗っているDが手に持っていた一振りの剣を鋭く振り下ろし、飛ぶ斬撃がヴァーリ・ルシファーを閉じ込めていた結界を切ったことで解き放った。
「・・・・・間に合った」
「来てくれたか。だが、どうしてここに?」
『私がドライグを呼んだ。封印されてしまったのでは外から助力を求めるしかなかった。お前がDと戦いたいなら負けるわけにもいかないはずだ。一先ずDよ。この異空間を解除してくれ。ヴァーリの体力が消耗しては満足に戦えない』
アルビオンの乞いに応じて異空間を解き、
『おおっと! 白い鎧を着た挑戦者と対極的に、赤い全身型の鎧の姿になった!? アザゼル総督、あの二人の解説をお願いしたいのですが!』
『構わないぜ、知らない奴が殆んどの者はまさに幸運だ。その前に源氏殿、どうせ何時かは知られることだから赤い方の詳細を言っていいか?』
『・・・・・いいだろう』
意味深な会話からの承諾した兵藤源氏の後、アザゼルは激しく衝突し合う赤と白の挑戦者達の詳細を説明する。
『まずは白い奴の名はヴァーリ・ルシファー。今は亡き魔王ルシファーの血縁者にして、その身に宿すのは二天龍
『なっ!? 魔王ルシファーの血縁者!? その事実も驚きですがあの二人に子供がいたのですか!!? しかも
『そいつは秘密だ。知ったら命は無いぜ?』
と言いつつ、悪寒が収まらないアザゼル。ぜってー、後でDに殺される。と確信してはドラゴンアップルを大量に贈呈しないとな。と心に決めた。
「赤い龍・・・・・まさか、赤龍帝かしら? 初めて会うけれどこんなところで二天龍と戦うことになるのは予想外ね」
「・・・・・負かす」
「負けないわよ。さっき天龍を封じ込めることが出来る検証をしたのだから。でも、その剣、聖剣デュランダルを持っているのは些か無視できないわね。教会から奪ったの?」
「・・・・・教えない。ヴァーリ、昔考えたアレ、試す」
当人同士しか知らない話に疑問符を浮かべる兵藤一香を目にして、ヴァーリ・ルシファーはアルビオンに問うた。
「アレをか? 何度試しても出来なかったアレか? アルビオン、今なら可能か?」
『机上の空論に片づけられるものだ。とても可能にできるとは思えない』
「・・・・・ドライグ、アルビオン、心を一つにできる」
『無理難題な事を言ってくれるな相棒。どうやったらできると言うのだ?』
「・・・・・ヴァーリ、アルビオン。あっちの世界のドライグ、アルビオン、別の名前で言われていた。訊きたい?」
あっちの世界と言われ、ドライグとアルビオンはDの言いたい事を察し、興味を持ってしまった。
『別の名前とは?』
『待て相棒。まさかあの話を―――!?』
訊いたアルビオンにDは答えた。
「・・・・・白龍皇、ヴァーリ・ルシファーの形のいいお尻に対してケツ龍皇」
『・・・・・はっ?』
「・・・・・赤龍帝、性欲の塊の宿主が女性の胸が大好き過ぎて乳龍帝と呼ばれていた」
『・・・・・ぐはっ!?』
「・・・・・遺憾、俺達も呼ばれる可能性がある」
避けられない運命だとして残念そうに呟くDの言葉から押し黙ったアルビオン。ドライグは吐血。
「・・・・・あっちのドライグとアルビオン、泣いていた、嘆いた、慟哭していた。俺達も、可能性ある」
『・・・・・』
『止めろ、止めてくれ相棒その話はぁ・・・・・・っ』
「・・・・・最後、二天龍、和解した。新しい力、覚醒した」
「そうなのか? それはとても興味があるぞD」
「・・・・・二天龍、和解、必要」
「そうか・・・・・ならば一度、ケツ龍皇と呼ばれる必要があるのか私は」
新しい力というワードに惹かれ、二天龍の和解が必要という事で残念過ぎる新しい二つ名を得るつもりでいるヴァーリ・ルシファーにアルビオンが焦燥に駆られた声を上げた。
『待てヴァーリ!! 私はそのような二つ名を定着され呼ばれたくない!? 今後一生その名で呼ばれたら私の精神が死んでしまう!!』
『俺もだ相棒!! なにが悲しくて誇り高き二天龍が乳龍帝などと呼ばれなければならぬのだ!?』
「・・・・・お互い、そのせいで苦難、苦痛、よき理解者となって、和解、効率的」
『嫌だぁあああああああ!?』
『早まるな! 早まるではないぞDよ!? お前とヴァーリにとってもいいことではない筈だ!!』
「・・・・・一時的、二天龍、復活、可能」
「アルビオンが現世に召喚できるのか?」
肯定するDにヴァーリ・ルシファーはその力を得るのが楽しみになってアルビオンに説得し始めた。Dもまた説得する。
「・・・・・和解、じゃなきゃ、乳龍帝と呼ばれる羽目になる」
『宿主が俺を脅迫するな!? 初めてだぞ、二天龍を脅す人間など!』
「・・・・・あっちの乳龍帝ドライグ、勝てない? 乳龍帝以下?」
『そんなことはない! 俺と相棒なら負けはしないぞ! あんなふざけた名前で定着された者達なんかに負かされたら二天龍の恥だ!』
「・・・・・なら、心を一つにする」
『・・・・・ちくしょうっ、ああ、ああっ! やってやる! やってみせてやる! 不名誉な名前を呼ばせてたまるかぁあああああああああああっ!!』
ドライグの半ば自棄になって絶叫する瞬間。莫大なオーラを迸るDに対してヴァーリ・ルシファーからも白い莫大なオーラを迸った。何となく静観していた兵藤一香は魔方陣を展開して放たれた力の衝撃波を防いだ。
『アルビオンよ! 俺達はこれからも二天龍だ!』
『無論だ宿敵ドライグよ! 私達はこれからも二天龍と呼ばれしドラゴンだ!!』
『『ならばやることは一つ、
二つの光が一つに入り乱れるようにしながら天を衝く最中、Dとヴァーリ・ルシファーは奇怪なポーズを取った。
「D、これなら行けそうだ」
「・・・・・やる」
鏡合わせのように同じ動きと仕草をして―――。
「「リュウージョン」」