ヴァーリ・ルシファーは鎧を装着して兵藤誠へ一直線に跳び出し、兵藤誠は直立不動するDに肉薄し、兵藤誠輝はDの正体に愕然として動揺で動けないでいた。
『兵藤誠がDを狙いに行ったぁー!! 衝突する兵藤誠とDの親子対決が始まるかぁー!?』
衝撃的な事実を明かされた二人を他所にDが大きく蹴る姿勢に入った。だがしかし、離れたところから一体何を蹴ろうというのだろうか? 誰もがそう思っていたら―――。
「・・・・・嵐脚」
鋭く振り払った脚から鎌風が発生して、飛ぶ斬撃と化しながらステージを切り裂き兵藤誠へ向かう。
「なんだそりゃ!?」
飛ぶ斬撃を交わしたが、そのまま斬撃は会場の壁まで飛んで深く傷跡を残した。
『今のは一体なんだぁー!? 蹴っただけで斬撃が飛んだぁー! 源氏様、今のは体術なのですか!?』
『・・・・・兵藤家でも知り得ぬ技法だ。おそらく「蹴る」という行為を必殺技にまで昇華させた技であろう。川神百代も正拳突きを必殺技にまで昇華した技があるからな』
正解。と心中で肯定するDは、宙を蹴って高く上がって足に魔力を帯びた状態で再び『嵐脚』を放った。
「・・・・・嵐脚『風魔』」
名の通り風を切るほど速い斬撃が兵藤誠と兵藤誠輝に襲い掛かった。それすら難なく躱した―――筈が数多に分裂して流れるように軌道を変え、蛇の如く狙った斬撃の一つが兵藤誠の背を裂いた。
「ぐっ!? お前、本当に―――」
それ以上の発言は許されなかった。Dが空から殴りかかってきたのだ。受け止めて話を聞きたい兵藤誠が突き出される拳を掴んだつもりが、Dの拳を掴んでも触れてもいないのに、何かの力によって阻まれて掌に鈍い痛みを覚えながら弾かれた。
「なん―――!?」
ゴッ!
横顔を直接殴られず、殴られた。分かる者にしか分からない。身体を覆っている闘気の鎧をすり抜け、内側に直接ダメージを受けて、与えられていることに。
「・・・・・その程度、弱い」
「一誠・・・・・!」
「・・・・・右手に魔力」
横に伸ばした右手に巨大な魔力の塊を生み出し、
「・・・・・左手に闘気」
右手と同じように横へ突き出した左手に巨大な闘気の塊を生み出す。それで攻撃するのかと予想した者達を裏切るD。魔力と闘気を持つ両手を動かして―――相反する力を一つに重ね融合させたDが眩い閃光を迸らせ、不思議な色のオーラを全身に纏ったのであった。
『し、信じられません!? こんなことがあり得るのでしょうか! 闘気と魔力が一つにすることが出来る事例は未だかつてありません!! なのに闘気と魔力を一つにしたDが不思議なオーラに包まれた!! これは兵藤家と式森家の血を引いている者だからこそ成せる業なのでしょうか!?』
『『!!』』
勢いよく立ち上がる兵藤源氏と式森和真。露にも考えもしなかったそんな技法を見せつけるDにアザゼルも聞かずにはいられなかった。
『D、その状態は一体なんだ』
「・・・・・感卦法」
「感卦法・・・・・闘気と魔力を一つにできるなら、俺達もできるのか?」
「・・・・・試せばいい」
そう言って莫大なオーラを纏いながら兵藤誠の懐に飛び掛かった。
「はぁっ!」
鋭い剣の振り下ろし。迫ってくるヴァーリ・ルシファーのオーラを斬った兵藤誠輝の持つ一振りの剣は魔法の剣であることを察する。
「聖なるオーラを感じるな。聖剣の類いか」
「そうだ。お父さん達が湖の精霊に新しい聖剣エクスカリバーを作ってくれたんだ」
「アーサーが興味持つことだな。だが・・・・・」
兵藤誠輝に斬りかかったDの手にはこの世に二つもない筈の同じ剣で、改めて兵藤誠輝と闘う姿を見た。
「お前よりDの方が凄いさ」
幾度も交じり合う剣戟と響く金属音。同系の武器を所持していても扱う者の熟練の差が違えば優勢も変わる。どちらも攻防一進一退、舞台の上で舞っているようにも見えて一つの美がそこで繰り広げられていることを認識している人間は魅入っているだろう。
だがしかし、当人達は残頃は穏やかではなかった。かつて死んだと思われていた弟が目の前にいて、その現実をすぐに受け止めきれないでいる兵藤誠輝は口を震わせながら発した。
「生きて、いたのかっ・・・・・!」
「・・・・・」
「どうして今になって兵藤家に戻ってきたんだ。もうお前の居場所なんて・・・・・」
「・・・・・勘違いするな」
「なに?」
「・・・・・あの時、謝れなかった。だから謝りに来た」
「一体、誰に・・・・・」
「・・・・・俺を見捨てた奴が気にする必要はない。あの時の恨みを晴らされ果てろ愚兄」
徐に分裂した二人のDに魔方陣からある物を取り出して渡した。赤と白の二つの籠手を装着させ膨大な魔力を込めだした途端。籠手から赤と白のオーラが迸り分身体達を包み込んで―――。
「―――
『
『
かけ声と音声と共に一気に弾けた。そこに出現したのは。赤い龍と白い龍を模した全身型鎧を装着したDの分身体の姿だった。背中に四枚の青色の光翼が生えている白い鎧に対して、赤い鎧の方も四枚の赤色の光翼があった。赤い極光と白い極光の極大なドラゴンのオーラを身に纏う分身体達に兵藤誠輝へ嗾けさせた。
「なんだそれはっ!! うぐっ!?」
二対一では対応が厳しくなり、そこにDが加わればもはや兵藤誠輝に勝ち目が無いと言っても過言ではない苛烈な攻撃を受ける。その上―――。
『Boost!』
『Divide!』
その音声が聞こえる度に兵藤誠輝が一方的に蹂躙される。
『何ということでしょうか!? 分裂したDが赤と白のガントレットを装着したと思えば赤龍帝と白龍皇の鎧を纏ったぁっ!! アザゼル総督、あれは一体何なのですかご説明を!』
『ノーコメントだ』
『はい! ・・・・・はい?』
『ふむ・・・・・差し詰め、人工の
『絶対にダメだ』
式森和真の推察は大体当たっているが、敢えて何も言わず拒否の姿勢のアザゼルに動きを止めたDが一言申す。
「・・・・・俺の目の前なら、触らせる」
『D! 止めろ! 余計な情報をこれ以上曝すな!』
「・・・・・人のこと言えない、秘密、暴露」
『総督殿、先ほどの発言で貴殿に発言力が皆無になっている。止める事はできまい』
兵藤源氏の言葉に思いっきり頷くDだったため、アザゼルはこの後とんでもない羞恥心に襲われたのであった。
それはドドンッ! と擬音が聞こえそうな、Dがある資料を魔方陣から取り出して高々と見せつけたのだ。
『☆ぼくが考えた最強の
「なまえ あざぜる」
「・・・・・アザゼルの黒歴史、今ここで暴露」
『それこそ止めろお前ぇええええええええええええええええええええっ!!!』
「・・・・・それ、今の気持ち、今の俺」
アザゼルにとって世界で唯一、自分の黒歴史が詰まった資料を手にしているDから奪わんと放送席から飛び出してきたが、異世界で培った力の一つである天使に至る
「・・・・・邪魔」
「それを渡せDィ!!」
伊達に堕天使の陣営の頭を張っておらず、戦闘力はかなり高かった。上空に数多の光の槍を作り出してDに向けて放っただけでなく、自身の漆黒の翼も刃と化して自ら攻撃を仕掛けて来た。また魔法で分裂しなければいけないほど対処が出来ないDはアザゼルと刃翼、手に持つ光の槍と光と闇が入り交じった剣で激しい攻防の剣劇を繰り広げた。
「っ・・・! おい、その剣は―――!!」
「・・・・・もう一人の|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネース・ブレード》総督から貰った」
それを聞いた瞬間。カッ! とアザゼルの顏が怒りで真っ赤になった。
「何渡してんだよもう一人の俺はァああああああああああああああああああああああああああ!!?」
『Divide!』
その音声が発するたびに兵藤誠から力が抜けていく。宙にいるヴァーリ・ルシファーは地を見下ろす姿勢を保っていた。
「人類最強もドラゴン相手には勝てないか」
「まだ負けたと決まっていないぜヴァーリちゃん」
姿が掻き消える速度で一度姿を暗ました後、ヴァーリ・ルシファーへ向かって跳躍した兵藤誠が殴りかかってくる。その一撃は巨岩をも粉砕する威力が誇っていた。今では『半減』され続けて力は激減してしまっているが兵藤誠の目は戦意の光で満ちていた。
だが―――フッと音もなく現れたDがかかと落としで兵藤誠の背中を蹴りつけ舞台に叩きつけ踏んだ。
「D? 何やらアザゼルと戦っていたみたいだが、もう終わったのか?」
「・・・・・邪魔だった」
視線を変えれば、芋虫状態に鎖で何重にも縛られて拘束されているアザゼルと、何故か服が飛び散っていて全裸にされている兵藤誠輝が局部を隠すために座り込んでは、羞恥と怒りで真っ赤な顔でDを睨んでいた。
「・・・・・立つことも出来なければ戦うことも出来ないな。あれは」
「・・・・・合理的」
蹴り上げて飛ばすDによって兵藤誠はバク転で体勢を立て直し、Dに問うた。
「本当にお前なのか。お前が、一誠なのか」
「・・・・・」
息を呑むほど緊張感を漂わせる二人は、耳を傾ける。Dの返事をまって。
「・・・・・棄てた名前、呼ぶな。D、それが今の名前」
「なっ―――本当にお前なのか一誠!?」
「・・・・・騒ぐな。五月蝿い」
幾度も赤い閃光に狙われた兵藤誠は躱し続けた。
「生きていたなら、どうして今まで教えてくれなかった一誠!!」
「・・・・・家族愛、情愛、家族の絆、形骸化、風化。そこの愚兄、見捨てられた。教える、不必要」
「誠輝がお前を見捨てた? 何を言って、そんなことあるはずがない。あんなに仲の良い兄弟だったじゃないか」
否定はしない。だが、今は違うとDが目元を細める。
「・・・・・時が経てば性格、変わる。実力主義の兵藤家、弱者、人権ない、俺がそうだった。・・・・・愚兄、助けほしかった、俺に雑魚の弟はいない、拒絶された。・・・・・兵藤家、絶望、腐りかけのパン、水の食事、大人から子供、毎日虐められた、生きるのが嫌だった、死にたかった、殺してほしかった。・・・・・だから心死んだ、壊れた」
今もそうだと、ポツポツと呟いて語るDは兵藤誠輝を隻眼で睨み付ける。
「・・・・・今一度、問う」
Dが子供に変身した。だが、眼帯を着けてない頃のその身体はあの時の再現しているのか、血で汚れ、折れている骨、湧く蛆虫、骨と皮だけで今にも死んでしまいそうな姿になって兵藤誠輝に訊ねた。その姿は世界中のお茶の間に放送されていてもだ。ウマ娘達も話を聞いていた以上の酷い姿をしている過去のトレーナーを目の当たりにしていい顔をしなかった。
「・・・・・どうして、助けてくれなかった」
「っ・・・・・」
「・・・・・この姿を見て、何も思わない? この姿が雑魚だと呼ぶなら、こんな姿にさせた輩は一体なんだ、答えろ」
真っ直ぐ見上げ、兵藤誠輝の答えを待つが目の前の現実を見たくないのか、目を横に反らしてDの問いを返さなかったことでDは兵藤誠にも質問を投げた。
「・・・・・旅に連れて行けない、なのに愚兄を連れた・・・・・最初から、できた? できたのに、兵藤家に置いた、どういうこと? 邪魔な存在だった?」
「違う!」
「・・・・・違う、理由」
「旅をしたら、長くその場にいることがないんだ。それじゃ友達だってできないだろ」
「・・・・・できる、会おうと思えば、会える、違う?」
「それは・・・・・そうだが、一時しかいられないなら兵藤家で友達をたくさん・・・・・」
「・・・・・実力主義、兵藤家、弱い奴がいたらどうなるかわからない?」
「強くなる気持ちがあれば兄弟頑張って・・・・・!」
「・・・・・そんなこと、本当に望んでいたと思っている? 俺達がどんな人間なのか、知らなかった、教えてもらっていない。なのに、無理矢理強いられる特訓、訓練をされること、わからない?」
「・・・・・」
「・・・・・今日からお爺ちゃん達と住むんだよ、それしか教えてもらえずお前等は旅に出た。そしてその結果、俺の心、壊れた。こいつらのせいで」
手を伸ばすと、兵藤誠輝の身体がDの方へと吸い込まれていくように移動し、黒い異形の手に首を掴まれた。それから餓鬼状態のDは体中に黒い紋様の刺青、背中に紋様状の二対四枚の黒い翼と腰に黒い尾も生やした。
「ぐっ!?」
「・・・・・こいつのせいで、今の俺がいる、感謝、同時―――憎悪」
「かっ・・・・あっ・・・・・!?」
そう話している間に兵藤誠輝の肌が荒れ、枯れ木のように萎れていった。ぎょっと目を丸くした兵藤誠が焦燥に駆られて全力で息子を助けんと動いたが、淡々と告げるDに兵藤誠輝を投げられて受け止めた。
「・・・・・故に絶縁、永遠に接触、厳禁を超えた極禁」
「なっ!? ま、待ってくれ一誠! 絶縁だなんて、また俺達と一緒に生活を―――!」
壊れた心が怒りに震え、今まで顔に出してもここまで怒りを露にしたことないだろうDは|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネース・ブレード》を魔力で浮かせ避ける兵藤誠へ飛ばしながら怒声を張り上げた。
「ふざけるな! お前等と離れた十四、十五年の時間は短くない! その間、俺がどんな気持ちで生きていたのか知らないくせに家族面して何事もなかったようにするつもりか!? お前等が、お前等のせいで今の俺が出来たんだ! 少なからず感謝することはあれどそれ以上に事情や理由がどうであれ、お前等を絶対に許さない! 憎悪の対象だ! 俺が生きている間、お前等が死ぬまでの間、永遠に関わってくるな! じゃなきゃ、憎悪と嫌悪、恨みの対象でしかない兵藤家を潰してやる!!! ―――この力でな!!」
次の瞬間。Dの全身から赤いオーラが迸った。オーラの量と力はとても巨大で危険で―――。
我、目覚めるは
人類の頂により生と心の理を奪われし二天龍なり
絆を嗤い、愛を憂う
我が宿りし真紅の天龍よ、孤王と成り啼け
人類の頂よ世界よ
際涯を超越する我らが無限の希望と不滅の夢を抱かず我道を行く我等を見届けよ
我、赤き龍の孤王と成りて汝を紅蓮の煉獄に沈め―――
玲瓏に詠うDの呪文のような言葉をヴァーリ・ルシファーは警戒する。
「Dが『
『いや、違う。これは・・・・・!!』
Dは最後の一節を唱えた―――。
「我は至らん、
全ての呪文を唱えたDの姿が大きな異形と変化した。赤と黒が入り乱れた鎧を着込んだまま、逆関節の脚で地面に立ち三つ首の頭部、背中から生え、龍の頭部がある四対八枚の手翼に16の凶暴で凶悪そうな目が兵藤誠を睨みつけ、胸部に凶暴で獰猛なドラゴンの顏が意思を持っているかのように瞳を輝かせ、手の平と膝、肩、足の甲に凶悪な牙が生え揃えていて、八本の尾が腰から伸びている。
『
そう熟知している
『ああ、
―――っ。
ヴァーリ・ルシファーとアルビオンが息を呑んだ。同じ天龍を宿し
『・・・・・バカ、な。呑み込まれたのではなく、受け入れただというのか』
『正気の沙汰ではない、と思うだろうアルビオン。確かにその通りだ。狂気としか思えないことをしてみせる今の相棒は全ての歴代の赤龍帝達の想いを鎧に具現化にした。俺達、相棒の中に宿る全てのドラゴンの力も加えて具現化した結果・・・・・この姿だ』
『歴代の赤龍帝達を具現化・・・・・そんなことが可能だったのか』
『だが、この状態になる代償は凄まじい。魔力と体力、そして理性を低下する。ある種、邪龍に近い存在になっている。故に気を付けるがいい。この姿は怒りと悲しみ、恨みつらみ、憎悪、呪いを内にこめ、怨嗟を吐きながら負をまき散らす歴代の赤龍達の想いによって具現化した。相棒はそれに心から共感し、共鳴して歴代の赤龍帝達を受け入れ適応したから、命を削るというリスクを無くすことができた』
ドライグは語り続ける。
『この状態の相棒を倒すことが出来る者は、歴代の赤龍帝達の渦巻くものをどうにかすることが出来るのはお前しかいないぞヴァーリ・ルシファー』
息を呑むヴァーリ・ルシファー。
「・・・・・私も同じことをしたら、あんな姿に変貌するのかアルビオン」
『お前の純粋な強者と戦いたいという気持ちを歴代の白龍皇達に伝えれば、ああはならないはずだ。ドライグの宿主、Dは歴代の赤龍帝達の怨念と呪い、負も受け入れてあのように鎧に具現化した。受け入れただけで歴代の赤龍帝達の解放をしていない。今のDは非常に危険な状態だ。ヴァーリ、悪いが兵藤誠よりあちらに専念してほしい。天龍が邪龍になるなど、見過ごせん!』
アルビオンの強い気持ちに同調したヴァーリ・ルシファーは戦意を込めて魔力のオーラを手に宿す。
「理性が低下していても、私の言葉は聞こえるだろうD。私は、キミを倒す」
ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
咆哮を上げながら目の前の男の懐に飛び込んで、見たくもない顔に目掛けて拳で殴りかかった。本気で殺すために殺意と殺気を剝き出しにしていたDは邪魔をされた。ヴァーリ・ルシファーに横から身体を蹴られ、ステージの端ギリギリまで吹っ飛ばされながら迫りくる膨大なオーラに気付いた時、Dは爆発に巻き込まれた。
「今のDは邪龍に近い存在となっているぞ兵藤誠」
「一誠が、そんな、そんなことが一誠に遭っていただなんて・・・・・っ」
「私もあんな姿になるまで虐げられていたとは想像以上だったよ。本当によく生きていたと感嘆の念を抱かされた」
ダメージが通っていない。まだ兵藤誠輝を狙っている様子のDを警戒しながら、耳の傍で展開した小型の魔方陣以降、兵藤誠が何を考えたのか知らないが兵藤誠輝を空へと放り投げだすと、展開した一つの魔方陣が兵藤誠輝をどこかへと転移した。その後は二人がかりで止めんと攻撃を仕掛けるが人工の赤龍帝、白龍皇が十数人も分裂したのでそれに足止めをされてしまう。
「ちくしょう・・・・・っ。思っていた以上に力が・・・・・!」
「分身体だけでもこの強さか。なら、私も相応の力で以てお前を倒そう!」
ヴァーリ・ルシファーも呪文のような言葉を紡ぎ始めた。
我、目覚めるは
覇の理に全てを奪われし二天龍なり
無限を妬み、夢幻を想う
我、白き龍の覇道を極め
汝を無垢の極限へと誘おう
『って、ちょっと待てお前等ぁっ!? ここで『
『アザゼル総督。聞き捨てになりませんな。式森家が長年懸けて開発・構築を繰り返して編み出した結界がそう簡単に―――』
バリィィィィィィィン・・・・・ッ!!! (二人が衝突しただけの余波で結界が砕けるガラスのような音)
『二天龍を知らないからそんなこと言えるんだよお前。まだ一香の魔法の方が頑丈だったかもしれないぞ。結局最後は砕かれるかもしれないがよ』
『っっっ・・・・・』
そう示唆するアザゼルが正しく、『
その間に、分身体達に相手取っている兵藤誠が作った隙を逃さず、握った拳と筋肉が膨らんだ腕に力を込めて強烈な殺意と殺気、隠そうとしないDが兵藤誠を転移式魔方陣で自分の目の前に転移させ、腕の筋肉を膨張したまま拳を振った。ただし、常人からすれば腕がブレたように見える。次の瞬間。兵藤誠が会場の上空へ、五回も凄まじい衝撃音を立てながら吹っ飛んで激突した。
『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』『Boost!』
莫大な力のエネルギーが胸部の顏に集束した。それに呼応して三つ首の頭に魔力が流れた後。
『ロンギヌス・スマッシャー!』
高い空にいる兵藤誠へ伸びる極太の光線に兵藤誠は闘気で両手からビームの如く放った。だが、ヴァーリ・ルシファーに『半減』の力で削がれた今の力では押し返すこと等できず、Dの魔力砲撃に呑み込まれた。そのまま天を衝く魔力の塊は空の彼方に消えたその直後―――地上を照らす大爆発と同時に嵐のような爆風が京都を襲い、地上に少なくない被害を与えた。
「・・・・・ハァァァァァァァ」
『真なる覇龍』の状態を解いて赤龍帝の鎧の姿で深いため息を吐いて息を整えるD。ヴァーリ・ルシファーも
「怒りで我に返ったか? それとも元々理性を繋ぎ止めていたのかD」
「・・・・・低下、意識ある」
「さすがだなD。だが、兵藤誠を殺したのか?」
「・・・・・加減」
「今のあの一撃が加減していたのか。まぁ、Dの全力ならば京都を消滅させる力はあるぐらい知っているが・・・・・兵藤誠も大概だな。加減されていたとはいえ五体満足で済んでいるのだからね」
ドオオオオオオオンッ!!
舞台場外に落ちた、頭がアフロになってる全身黒こげの兵藤誠を一瞥して残っている二天龍のみの戦いを始めようと臨戦態勢になる。
「さぁ、ようやく二天龍の戦いをしようD。思う存分に戦おう」
「・・・・・見せる、面白い物」
Dは横に展開した魔方陣からある物を取り出した。それは機械的なベルトと数枚のメダルだ。Dはそれを腰に固定すると、三枚のメダルを機械のベルトに差し込んでスライドした。
「・・・・・変身」
『アルビオン』! 『ドライグ』! 『ティアマット』!
音声が流れ、それぞれドラゴンの顔を模った紋様の三つの光の輪が一つに重なってDの鎧と化した。
その現象を目の当たりにしたヴァーリ・ルシファーは信じられないと呟いた。
「何だそれは・・・・・? Dからアルビオンの気配を感じるぞ」
『Dにティアマットが宿っている? いや、そんなはずはない。どういうことだD』
皆目見当がつかないと当惑している白龍皇に刺した|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネース・ブレード》を舞台から抜きながら語り出す。
「・・・・・ドラゴンの魂の一部をメダルにした。能力が振るえない代わり、ドラゴンの力を得られる。・・・・・名称、仮面ドライダー龍王騎」
「ドラゴンの魂・・・・・なるほど、あのメダルにアルビオンの魂の一部があるから気配を感じるのだな」
『末恐ろしいことをしてくれるなD。だが、その鎧ではヴァーリには勝てないぞ?』
「・・・・・問題ない。倒してみせる」
口から蒼い炎を吐き出して攻撃開始した。避けるヴァーリ・ルシファーを追いかけ、白い極光のビームを放った。
『新たな変身した力でヴァーリ・ルシファーを攻撃するD! 相手が二天龍だろうと後れを取っていません!』
それもそのはず。人工の赤龍帝と白龍皇のDの分身体がまだ残っているからだ。分身体と連携してヴァーリ・ルシファーを追い詰めていく。
そして戦いの末―――勝ったのは―――。
「・・・・・ドライダー・キック」
「っ!?」
場外にヴァーリ・ルシファーを空から凄まじい勢いで落ちながら蹴り落としたDだった。蒼い炎を足に纏って、直撃するとヴァーリ・ルシファーの全身型鎧を粉砕したのである。落ちた所が自身の敗北の場であることを悟って上から声を掛けてくるDを見上げた。
「・・・・・強くなった」
「当たり前だ。クロウ・クルワッハに鍛えてもらっているからな」
「・・・・・また戦う」
「ああ、また戦おう。今世代の赤龍帝は本当にキミで嬉しいよ。今度こそ勝ってみせる」
こうして力の大会の優勝者はDとなり舞台上で表彰式が始まる。優勝賞金を得た後、兵藤家当主が優勝者に3つの願い事を叶えるという周知のとおり、Dは願い事を叶えた。
「・・・・・兵藤源氏、兵藤羅姫、兵藤悠璃、兵藤楼羅、昔、死ぬところ見つけてくれた人以外の兵藤家、式森家、マスコミ、メディアからの接触禁止・・・・・」
「式森家もだという理由は?」
「・・・・・天皇家、関わり、したくない」
「私達も天皇家だ。関わりたくないならば矛盾しているぞ」
「・・・・・守ってくれた家族。特別、お爺ちゃん」
「・・・・・他にあるか」
「・・・・・他・・・・・アップルパイ、もう一つ・・・・・保留」
Dの気持ちを汲んで兵藤源氏は頷いた。
「よかろう。その願いを叶えよう。―――これによって第一回目の力の大会は閉幕だ! 今年の人類最強の者は赤龍帝Dである!」
高らかにそう叫ぶ兵藤家当主の言葉と天に向かって拳を握るD。一連を見聞した会場の観客達は沸いた―――。
同時に。
「終わったな!? これから俺達と話し合いをするぞ一誠!」
「一誠、今までどこにいたのか説明しなさい! それに絶縁なんて許さないわよ!」
兵藤誠、兵藤一香が音もなく現れながらDの肩を掴む。自分達の主張に対して二人の首を逆に掴む石ころを見る左目でDは、また顔に黒い紋様の刺青と背中から二対の黒い紋様状の翼、黒い異形の両腕、腰から生える黒い尾という、姿に変貌した。
「・・・・・黙れ」
「「っ!?」」
全身から力が抜けていく感覚に目を見張り、Dから離れようと首を掴む手を解こうとしたが、腰から生えた黒い尾に二人纏めて締め付けられ、簡単には逃れられなくされた。しかも黒尾も力を吸収する能力があるようで、成す術もなく二人は全身から力が抜けたようにぐったりとした後・・・・・Dが解放した二人の顔に容赦なく蹴って飛ばした。
実の親の顔を敢えて蹴った孫の中では本当に家族愛も情もないことを悟るまでもなかった兵藤源氏。黒い異形の姿の孫に対して問いかけた。
「その力、使いこなせるようになったのか」
「・・・・・便利」
「・・・・・後で詳細を求める。よいな」
「・・・・・ん」
了承として肯定するD。今まで禁忌として長く存在しなかった相反する血の能力の者の詳細は殆どない。奇跡的に長らく生存でき、かつ兵藤家と式森家の血を引く者としての戦いを魅せてくれた。闘気と魔力の合一―――その技法を会得できるならば真の意味で人類は強さの壁を超えることが出来るかもしれない。
それからすぐの事。Dは蹴り飛ばした二人に指して指摘した。
「・・・・体力、魔力、奪った。しばらく動かない」
「何かするなら今の内、ということか」
「―――ではその言葉に甘えさせてもらおう」
式森和真がそう言うなり、他の式森家の魔法使い達に目を配らせた。彼等は兵藤一香の周囲に立ち、結界や拘束、その他諸々の魔法を駆使して閉じ込めたのであった。
「今の姉に体力も魔力もなければ私達でも対処が出来る。回復しようが簡単に式森家からは逃がさない」
「愚息については問題ないがな。この機に絶対に京都から脱走すらさせんよう見張ってくれる」
兵藤家の者達に運ばれる兵藤誠も見ず言う兵藤源氏だった。二人にとって悩みの種である者達がようやく手元に置くことで一つの問題が解決したことになる。
「さて、ここでは落ち着かない。どこかの場所で人工の物を見せてくれないか。先ほどの変身する道具もだ」
「・・・・・お爺ちゃん」
「本邸で構わぬな孫よ。娘達もお前に会いたがっているはずだ」
「・・・・・遺憾、わかった。・・・・・アップルパイ」
ジーと見つめてくるDに服の中からアップルパイを隠し持っていることを気付かれていることを察する兵藤源氏は、無言で和服の中からアップルパイを取り出してDに手渡した。
「・・・・・ん、美味しい」
食べた瞬間、ショタ狐の姿になって満面の笑みを浮かべた。その笑顔はとても可愛らしく愛らしくあり、犬や猫みたいに嬉しそうに九つの尾を揺らすそんな先ほどまで強さを見せつけた者とは思えないギャップに人々は母性と父性を激しく刺激され、可愛いあまりに萌え死になりかけたとかならなかったとか。
―――数時間後。
兵藤誠は兵藤家第二の本邸に連行され、居間で兵藤源氏と対面して話し合っていた。立って歩けれるまで回復できたが、十全ではないために大人しくしているのであった。
「バカ息子、約束通り兵藤家当主に舞い戻ってもらう。今まで犯して来た禁忌や罰の清算も含め、しっかりと当主として務めてもらうつもりだから覚悟しろよ」
「待ってくれ親父! 一誠のところへ行かせてくれよ! このままじゃ納得できねぇっ!」
「お前の息子、兵藤一誠は正式に死亡扱いされている。勘違いするな、あの者の名はDだ。お前の息子ではない。それにお前は接触禁止状態だ。会いに行くことは許されん」
「ふざけんな! くそ、こうなったら意地でも・・・・・うぐっ!?」
居間から飛び出そうとしたが、見えない力によって身体が不自然に硬直して倒れ込んだ。
「無駄だ。既にお前が兵藤家本邸、仕舞にはこの京都から抜け出すことが出来ないよう術式を組んでいる。これは本来兵藤家の罪人を封じ込めるだけに過去の兵藤家の者達が編み出した秘術。兵藤の血をその身に流れている限りは何人たりとも抗えん。例えお前も例外ではない」
「んなっ!?」
「本邸を破壊し尽くそうが秘術は絶対に解けないぞバカ息子。これは前当主の私の意思で解くか、私の死で解かれることになっている」
「クソ親父・・・・・一体いつからそんな秘術を俺に・・・・・!」
「産まれた頃だバカめが。それだけではない。兵藤家全員の血に秘術が掛けられているのだ。例外があるとすれば外から婿として来た者だけは秘術の対象外であるがな」
言われると納得できる事実であるが、そんなことはどうでもいいと自身に掛けられた秘術を解く方法の鍵を探る一心で問うた。
「じゃあ、俺もその秘術を行使できるってのかよ」
「その方法は書物に記されている。当主のみしか言い伝えられている秘術であるが、貴様には無理だ」
「何でだよ!?」
「兵藤家の者同士の血を濃く受け継いでいる当主でなければならない。お前はどちらかと言うと羅姫の血を濃く受け継いで人体発火と言う兵藤家の人間が得る筈のない異能を有しているからだ。つまりは五大宗家姫島家の血が濃いから秘術は使えんという事だ。逆に私の両親はどちらも兵藤の人間だからこそ秘術を行使できるということだ」
「・・・・・じゃあ、一誠や誠輝達もその秘術の対象者か?」
「対象外だバカ者が。秘術を施していないのだからな。それ以前に貴様という奴は忌み子を作った且つ、兵藤家に預けさせるとはどういう精神だ! 禁忌の子は即処刑されることを知らぬとは言わせぬぞ!」
「一香の魔法で暴走しないようにできたんだから安全だろうが!」
「バカ言え! 安全ではなかったわ! 封印の術式を自ら破り禁忌の力を解放したのだぞ貴様の息子は! ・・・・・それ故、他の者達から狙わせんよう川神院に預けたが、結局別の問題で狙われてしまったがな」
不覚をとってしまったことは今でも罪悪感で申し訳ないと感じてる兵藤源氏の顔を見て黙る兵藤誠。
「せめてもの情けで貴様にも孫が今までどう過ごしていたのかだけは教えてやる。だが、孫と接触する事だけは絶対に許さん。それが孫の望みである確固たる意志で抱いている証なのだからな」
「・・・・・一香は?」
「式森家当主が連れて行った。家族一同で色々と話し合うそうだ。無論、貴様も同罪だからな」
「同罪って・・・・・罪を犯してないけどな」
開き直るどころか本当にそう思っていない能天気に言う息子に、ここでブチ切れた兵藤源氏。
「当主の座を身勝手に棄てた上に禁忌を犯した貴様らは天皇家始まって以来の大罪人だ!! 全て精算されるまではお前達二人は会えると思うなよ!!」
「いーや、絶対に会うからな!」
「それができそうだから厄介極まりないのだこのバカ息子が。だが、負けたら当主に戻る約束は果たしてもらう。そのための準備は既に済ませてある」
「おい待て。何で俺が負ける前提で進めてんだよ!」
「決まっている。私は孫が勝つと確信していたからな。そして、今まで世界で培ってきた経験を兵藤家のため下の者達に伝授してもらうぞ。当主として初めての仕事だ。逃げることは許さん。きっと式森家の者達も同じことをするつもりだろう」
―――そこへ、二人がいる空間に天から落ちる光と共に神威を放つ数人の影が現れた。その者達がどうしてここに、と信じられない思いに駆られて目を丸くした兵藤源氏だった。
式森家―――。
「そういう訳で姉上。しっっっかりと今まで旅して蓄えたであろう魔法の知識を伝授する役目を果たしてもらいます! 逃げられると思わないでくださいよ!」
「嫌よ! そもそも息子達をどうする気なのよ!」
「ご心配なく、あなたのもう一人の子供がいる学園に通ってもらうことにしたので。寮で生活することもできますし、なにより兵藤家、式森家の血を引く者達が野にいることこそ危うい。立派に仕事をしている赤龍帝の者のように、居場所を把握できる場所にいてもらわねば、対処ができません」
「アンタ、まさかだけど一誠の存在を知ってた?」
弟の発言に意外だと思って聞いた兵藤一香に式森和真は首を縦に振った。
「二度目で初めて知りましたがね。姉に子供がいたことすら知らなかった時の俺の気持ちなど、解るはずもない。顔を見ても全然姉上の要素が無いので疑った程だ」
「昔は可愛かったわよ」
「今は、心が壊れた状態で成長してしまった憐れな者ですがね」
沈黙で返す。が、式森和真は言い続ける。
「今さら姉上とあのクソ野郎が家族として接しようと、十数年心が壊れたまま親元からはなれた生活の時間の方が長い。あなた方が前に現れようとよくて赤の他人、悪くて石ころのような存在だと思われることでしょうよ」
「んなっ!? そ、そんなこと・・・・・!」
「それ以前に親の顔を覚えられてるか怪しいのに、温かく受け入れてくれると断言できますか? 試合とはいえ思いっきり殴られ踏みつけられた実の母親のあなたが」
「ぐふっ!?」
「さて、無駄話はここまでにして父と母を筆頭に他の者達もいい笑顔で仕事を手伝ってくれるそうなので、今までの知識と経験を書物に書き残してもらいますよ。ああ、その前に今日は宴を開くかもしれませんね」
「ううっ・・・・・絶対に抜け出してやるんだからっ!」
駒王トレセン学園
「トレーナー、お帰りー!」
京都から戻り凱旋を果たすトレーナーを正門前―――ではなく大食堂で出迎えたチームシリウスのウマ娘達。更にスピカやリギルのウマ娘、トレーナー達も姿を見せて迎える。
「・・・・・」
担当しているウマ娘達を一瞥したDの口が開いた。
「・・・・・変わらない、不思議」
「いやいや、こっちはビックリしたわ!」
「本当よ。あなたが兵藤家当主の孫で兵藤家と式森家、元当主達の息子なんて事実を知ったときは驚いたわ」
沖野と東条ハナの言い分にスピカとリギルのウマ娘達も同感だと力強く揃って頷く。
「・・・・・変えようがない事実、三年前の頃の学園の事情、公できない。なのに公された。・・・・・はぁ~・・・・・」
「溜息吐くほどか。しかも深い」
「でも、今後のあなたの身の回りが心配なのは確かね。一般生徒やウマ娘達が兵藤家から救ってくれたのが兵藤家の孫だなんて事実、知ったらどんな反応をされるのかわかったものじゃないわ」
「・・・・・確実、勃発、面倒事」
断言する自分達のトレーナーにシンボリルドルフは頼もしいことを言ってくれる。
「大丈夫だトレーナーさん。トレーナーさんに何か遭ったら私達が全力でフォローやサポートするよ」
「うん、トレーナーさんが心配することはありませんから」
「そうだよ! ボク達を頼ってよね!」
「いざという時はメジロ家の力を守ってみせましょう」
励ましの言葉を口にする他のウマ娘達だが、トレーナーはそれすら懸念の材料にしか見えなかった。
「・・・・・『兵藤家当主の孫に媚びるウマ娘』、なり兼ねない」
「「「ええーっ!?」」」
とっても心外だそれは! と思うウマ娘は少なくないものの。冷静に指摘する沖野と東条ハナだった。
「いや・・・・・実際そう見えてしまうかもしれないから否定できないわな」
「ええ、度を過ぎたスキンシップは避けた方がいいわよあなた達。ウマ娘だろうとまだ未成年なんだからね。最悪、Dが『俺は兵藤家当主の孫なんだぜ。俺の担当になればお前等を一生遊んで暮らせてやる』的な甘い誘惑、甘言、誑かし、唆したトレーナーだとマスコミやゴシップ記事に好き勝手に叩かれるわ」
「「「「「そんなぁー!?」」」」」
接触禁止とまでは言わないが、控えろと言われたのも当然の発言に大体トレーナーに引っ付いているウマ娘達からすれば、納得できないと残念と不満が入り混じった声を出した。
「・・・・・アザゼル、余計な事言った」
「堕天使の総督相手にタメ口かよ」
「・・・・・昔からの知り合い」
「・・・・・なんだか、あなたの周囲の話を聞いたら疲れそうだから敢えて聞かないようにするわ。それで、これからどうする?」
「おお、そうだな。何なら奢ってもいいぜ? なんせ、お前に賭けたおかげで抽選で見事に大金を得たからな! しばらくは金欠に悩まされずに済むぜ! やったー!」
「そうそう! ライスが七泊八日の無料宿泊チケットを貰えることになったんだよ! 夏休みが終わる前に高級旅館へ行こうよトレーナー!」
どうやらトレーナーの知らないところでいいことがあったらしい。ただ一つだけ懸念があった。ミホノブルボンが泊まる宿泊先を選出していたはずなのだ。
「・・・・・ミホノブルボン、泊まる場所」
「問題ありません。ライスの宿泊チケットであれば費用が限りなく抑えれます」
「・・・・・わかった。なら、数日後に行く。準備する」
チームシリウスは異口同音で返事をする。
Boss×Boss
『そうか、彼は堕天使の陣営から離れてしまったか。主にキミが原因で』
「うっせぇよ。遅かれ早かれこうなる事は薄々と思っていた予想図になっただけだ。俺の元から離れようと協力だけはしてもらうから問題ねぇ」
『人間界はしばらく騒がしくなるだろう。それにしても人工の
「さて、何のことやら。ま、あいつに驚かされるのは昔からであって今更の話なだけだ。今回も色々と驚かされたがな」
『ああ、魔力を持つ者同士の合体・融合と闘気と魔力を合一にする技法。並行世界、異世界ではそのようなものを編み出していたとは感嘆の念を禁じ得ない。これからも彼から異世界の情報を教えてもらいたいものだ。冥界の子供達がDくんの仮面ドライダー龍王騎になる瞬間を目の当たりにして、熱狂的なまでの盛り上がっている報告が届いているからね』
「ほう。そいつは意外だな」
『今度、彼にその手の仕事をしてもらえないか交渉するつもりだ。もし成立した場合、キミにも一枚噛んでもらいたいアザゼル』
「ククク・・・・・いいぜ。そう言うことなら俺も喜んで協力してやろうじゃないかサーゼクス」
???
「どうだった」
「直接交えなかった者もいるが、おおよその把握はできた。そして、次の計画が思いついたよ」
「その話は後々聞かせてもらうとして興味深い報告が挙がったよ。北欧の主神が冥界に向かっているってさ」
「そうか。確かに気になる話だ。冥界と言えば確かヴァーリ一派の者達がいたね」
「既に侵入して見張りに徹しているようだ。ま、大したことじゃないかもしれないから僕等は気にしていないけど」
「それなら次の計画の準備をしよう。―――あのドラゴンに対する可能性を確かめるためのな」