ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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発覚 その3

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食堂を後に学園内の他にも案内したことで西住家の帰省の時間となった。来賓用の駐車場にヘリコプターが鎮座していたことに、コレで来たのかと唖然の悠璃と楼羅。

 

「・・・・・また、三人、食事」

 

「都合が悪くなければ」

 

まほとみほにも話しかける。

 

「・・・・・学園艦、遊びに行く」

 

「あ・・・えっと・・・・・」

 

「みほ?」

 

言い辛そうに言葉を濁すみほ。観光できない理由でもあるのかと彼女の言動の核心を突く楼羅が代弁した。

 

「Dさん、大洗学園艦が廃艦される決定事項で大洗学園は他の学園艦の振り分けが決まる時まで待機状態なんです」

 

「優勝校を廃校にする文科省の考えは理解したくないよ」

 

どうしてそのことを知っているのか、どうしてそんなことになっているのか、しほたちの反応がバラバラだった。

 

「・・・・・まだ、問題?」

 

「あぅ・・・・・」

 

出来れば知られたくなかった別問題の発覚に恐れてたようだったみほは、シュンと顔を俯かせて落ち込む。そんな妹にまほはジッと神妙な顔で見つめ、しほは携帯を取り出して操作をする。

 

「・・・・・戦車、問題、戦車、解決、協力できない、ごめん」

 

「あっ、いえ、えっと、お兄さんが気にする事ではありませんっ。こればかりは本当にどうしようもなくて」

 

「・・・・・学園艦、廃艦、阻止、望む?」

 

「・・・・・できるなら、その機会があるなら挑戦したいです」

 

彼女の気持ちを聞いた。悠璃と楼羅へ振り返り視線を送る。

 

「・・・・・お爺ちゃん」

 

「任せていっくん!」

 

「廃艦の決定は簡単に覆せませんが、説得を試みましょう。優勝校を廃艦にする理由について問い質してもらいます」

 

何とか解決できる立場の二人にお願いすることで事態は急速的に動いた。西住家はヘリコプターで帰るとD達は京都に向かった。第二の本邸である兵藤家の広大な家屋の門を潜り、真っ直ぐ実父と祖父に顔を出した。息子の兵藤誠に当主としての心構えを教育しているところであるが、そんなことどうでもいいとばかりに話しかけた。

 

「お父さん! お願いがあるんだけど!」

 

「・・・・・孫も一緒か。今度は何の問題だ」

 

「夏季の戦車道の優勝校である大洗女子学園の学園艦が廃艦されることを知っておられましたか?」

 

「・・・いや、日本戦車道連盟が決めたことは兵藤家の関知しないことだ。何か理由があるのだろう」

 

「その理由をどうかお父様から聞いてくれませんか。大規模な学園艦を簡単に廃艦にしその船に住まう数万人の人生を巻き込む理由が何なのかを」

 

娘の願いに源氏は考え込むように逡巡しようとした矢先、悠璃が詰め寄った。

 

「私達が住んでいる学園艦も他人事じゃないんだよお父さん。大洗学園艦よりも古いし、ここ数十年も戦車道の大会に出場していないよ? それに調べた限りでは近年生徒数も減少してるし、目立った活動もしてないからそれが理由なら廃艦の対象になってもおかしくない」

 

一切兵藤家の関知しないことなら大和女学園も廃校されてもおかしくない。言外せずとも断言する娘の言葉に源氏は唸るように声を漏らす。

 

「結果を残さない学園艦を廃艦。大洗の学園は戦車道大会に優勝したにも拘らず廃校にする理由は何なのか、お父様から問い質し且つ出来得るならば廃校の撤回をしてほしいのです」

 

「さっきも言ったけど、私達の学園艦も古いから他人事じゃないんだよお父さん。古いからって学園も学園艦も廃棄して学生を別の学園艦に移籍させても、また古くて実績のない学園艦が廃艦にするなら結局たらい回しされて、大人の決定に振り回されるのが目に見えるよ」

 

「・・・・・叩けば増えるネズミの様に」

 

その例えはどうだろうか、と思うもDの指摘は的を得ているので誰もツッコまない。

 

「孫も、大洗学園艦の廃艦に反対か」

 

「・・・・・関われない問題。反対、友人の学園、廃校」

 

「・・・・・」

 

誰かの為に行動するD。幼い頃の同じ孫とは思えない真っ直ぐな意思を聞き源氏の重い腰が上がった。

 

「わかった。問い質すが、学園艦の廃艦の撤回は日本戦車道連盟の理事長達の協力が必要不可欠だ。相手が撤回の拒否を突っぱねてしまうなら、私達はどうしようもない」

 

「天皇家なのに?」

 

「兵藤家でもできることとできないことがあるのだ」

 

「・・・・・それでいい。可能、性欲の獣、同類」

 

「確かに・・・権力が暴走してしまえば兵藤家は犯罪集団と変わりありません」

 

犯罪集団と言われて顔を顰める源氏に更なる言葉の追加が。

 

「あ、そうだお父さん。今日、いっくんにトレセン学園の案内をしてもらったら学園のOGだって言う兵藤家の五人組の男が狼藉を働いていっくんに粛清されたよ」

 

「なんだと」

 

それが証拠とばかり写真と映像に残した携帯を突き出して、源氏の怒りを交わせたのであった。

 

「・・・・・毎年、たまにこういうの来る」

 

「その者達はどうしている」

 

「・・・・・ウマ娘の科学による実験モルモット扱い。死なない、安心」

 

「・・・・・終わったらここに寄こしてくれ」

 

罰を受けているなら、止めさせない方針で決めた。そうでなくとも源氏の中では追放確定なのだ。情けは掛けない。

 

「お父さん。さすがにどうにかした方がいいよ。三年前より昔に卒業した犯罪者たちが今も犯罪していないはずがないんだからさ」

 

「どんな手を使ってでも徹底的な調査をするべきです。またどこかで白昼堂々と女性に対する強姦や凌辱を強いる兵藤家の者達が、権力を我が物顔で振るって欲望を満たしていると思います」

 

「わかった。時間はかかるが調査をしよう。それとその証拠を提供してもらいたい」

 

首肯するD。そして大洗学園艦の件は聞き受けれてくれたので後は源氏と日本戦車同連盟の理事長次第だ。

三人は良い結果になることを願い、この件の話は終わった雰囲気を醸し出す。

 

「ところで・・・さっきからお兄様、静かですけれど何故です?」

 

「秘術で黙らせている。これが一番だからな」

 

意識だけはあるようだが、身体が岩石のごとくに動かず、口唇は糸で縫い付けられたように閉ざされている誠に心から願う。

 

「・・・・・一生、それで」

 

「いっくん、本当に毛嫌いしているんだねぇ」

 

好きになれる理由がある方がおかしすぎる。家族愛など砂粒の大きさすらないのだから。

 

「そう言えば、誠輝とあの子たちは?」

 

「兵藤家の専属家庭教師の教えを受けている」

 

「・・・・・あの子、たち?」

 

「む、そう言えば孫は知らなかったな。このバカ息子とあの義娘はまた子供を作ったのだ。双子の姉妹でお前の妹でもある」

 

妹・・・・・? 知らなかった事実に受け止められず困惑するDだったが、直ぐに無表情になった。他に兄弟姉妹がいようと誠輝と同様にどうでもいい存在に格付けしたのだ。

 

「会うか?」

 

「・・・・・絶縁、会わない」

 

「・・・・・そうか」

 

向こうから会いに来ようと適当にあしらう。それ以前にDの中では親も兄もいない存在として扱っている。勝手に新たな家族が増えたところでDの関知しないことだ―――。

 

「・・・・・あのぉ」

 

第三者のおずおずと話しかける声が加わって来た。全員がその声に反応し、縁の方へ振り返れば完全回復した誠輝と母親の一香に似た美少女が二人も佇んでいた。

 

「香織ちゃんと聖華ちゃん。どうしたの?」

 

「稽古が終わったのでお母さん、式森家の魔法の講座を受けに向かう前にお父さんと話をしたいと思って」

 

「・・・・・もうそんな時間だったか」

 

不意に誠が動き出す。ただし、上半身だけ動けて下半身が動かせれないようだ。

 

「クソ親父。足が動かせないぞ」

 

「喋られるようになっただけでもありがたく思え。貴様にはまだ叩き込めねばならない兵藤家当主としての心構えがあるのだ。生理現象と夕餉の時間まではその場から動かさん」

 

「この鬼畜親父!」

 

「・・・・・帰る」

 

聞いてられない親子喧嘩が始まりそうで展開した転移魔法で一人学園に帰ろうとするDに、悠璃と楼羅が魔方陣に足を踏み込んで一緒に転移してしまった。

 

「お爺ちゃん、今の赤髪の人って?」

 

「・・・・・お前達のもう一人の兄だ。このバカ息子と家族の縁を切っているがな」

 

「だから、それが納得できないから話し合いをしたいのにクソ親父がそうさせてくれないじゃないかよ!」

 

「黙れバカ息子!! 今のお前達の言葉など孫の心に届くことが無いだろうが!! 無遠慮に近づいて執拗に話しかけるならばあの子は確実に拒絶するのが目に見えているわ!!」

 

想像難くない結果が脳裏に浮かび、実の父親を殴ることも躊躇しないDも想像できてしまった。

 

「ぐっ・・・だけど時間が解決するわけでもないしよ・・・・・」

 

「当たり前だ。孫を放っておいても仲直りをしたい情が湧くはずがない。それだけ兵藤家とお前達に失望と嫌悪しているのだ。お前が今すべきことは立派に当主としている姿を見せるようになること。お前が今の兵藤家を変えねば、この先孫はお前達を見限るままだぞ。それでよいのか」

 

「さらっと堅苦しい当主をやる気にさせる言い方をするなよ!! 大体、俺以外にも当主を勤める奴ぐらいいるだろう? どうしてそいつに当主の座を明け渡さないんだ」

 

「当主就任と襲名の儀式を終えた後に義娘と世界に逃走した貴様が言うなッ!! 天皇家の当主の儀式を何だと思っている!! 貴様から別の者に鞍替えできるなら喜んでとっくにしているわ!! できないから前当主の私がお前の代理として当主の代理を勤めているのだぞ!!」

 

どうやらとことん貴様を調教と矯正せねばならないようだな・・・・・ッ。源氏の孕んだ怒気と共に聞こえた言葉に誠は冷や汗を浮かべた。

 

「すまないがお前達の愚かな父親はこれから一週間、当主として必要な教訓・家訓を教え込む。それまでは会いに来ることを禁じる。よいな」

 

「「は、はいっ・・・」」

 

「・・・・・お父さん、死なないでくれ」

 

「俺を見捨てないでくれ子供たち!! 今の俺の癒しはお前たちしかいないんだ!! って、体が勝手に動く・・・・・!! どこへ連れていく気だ親父!!」

 

「精神の部屋だ」

 

「あそこだと!? い、嫌だ。あそこは俺にとって地獄の部屋だから行きたくない!! ずっと座って音読しないといけない退屈な部屋なんてぇー!」

 

一種のお仕置き部屋みたいな部屋を祖父に連行される父親。その姿を見送るしかできない三人の子供達は同情した。今まで遊び呆けた代償として、一日中ずっと親に勉強を強いられる子供みたいな父親だったと後に語ったのは言うまでもない。

 

「もう一人のお兄ちゃんか・・・・・」

 

「でも、大人だったよね? どういうことなの?」

 

「・・・・・知らない。とにかく、あいつのことは忘れろ。絶対に関わってはいけない」

 

「なんで? そう言われると逆に気になるよ」

 

「私達が納得する理由を教えてもらうよ。じゃなきゃ、会いに行くからね」

 

「ダメだ!! お前たちのために言っているんだぞ。俺の言うことを聞け!!」

 

「「は・・・?」」

 

香織と聖華。二人もまた親の遺伝子、自由奔放を受け継いだ双子。また堪え性がなく短気で特に納得できないこと、無理強いに従わせること、生意気な相手だと認識した瞬間―――相手が家族だろうと関係なく攻撃的になるのが玉に瑕な双子でもあった。

 

「あんた、何様なわけ?」

 

「いくら兄だからって、はいそうですかって私達が素直に言うこと訊くと思ってる? 私たちは知りたいの。知らないならそれでいい、知っているなら教えて欲しいの」

 

「それなのに一方的に忘れろだの関わるなだの・・・もう一人の兄弟に何かしたわけ?」

 

「・・・・・」

 

答えられるはずがない。幼少期、自分が弟に何をしたのかなど。あの酷い姿を見て自分は・・・・・。

 

「ふーん・・・・・黙るってことはしたんだ。ちょっとそこのところも含めて根掘り葉掘り教えてもらおうよ」

 

「そうだね。一応、私たちと同じ兄弟姉妹みたいだから知る権利はあるよね」

 

ファイティングポーズを取り襲い掛かった妹たちに対して誠輝は制止の言葉を掛けるが止められず、騒がしさに聞きつけた兵藤家に仕える者が三人の戦いを目の当たりにし、止めに入りに来るまで続いた。

 

 

 

一緒に来てしまった二人に夕食を振る舞うことにした。元々手作り料理を振る舞う口約束をしていたからそれを実行するだけのDは寮長室で料理を作り始める。

 

「「・・・・・」」

 

調理をする姿のDを横から見る悠璃と楼羅。あのDの手元を見て見る見るうちに出来上がっていく料理の様は見ていて飽きない。何より心が壊れて自分から殆んど動かなかった頃のDが、料理を作るまでに成長していたなどDを知る者として凄く嬉しいことだ。時間をかけて作ってくれることも喜ばしい。

 

「・・・・・できた」

 

「ビーフシチュー!」

 

「蜂の巣や七輪まで使って焼いた肉も色んな部位の肉を入れたビーフシチューは初めてです」

 

寸胴鍋から四枚の皿に盛りつけられたビーフシチューをテーブルに置かれる。

 

「四枚? 他に誰が・・・?」

 

テレビを点ける。画面はうす暗い井戸がある映像を映し出して、その中にいた長い黒髪の女性がテレビから出てくる光景に驚きを隠せない。

 

「・・・・・幽霊、貞塚玲子」

 

「幽霊!?」

 

「悪霊ならば成仏しますよ」

 

「チ、違イマス・・・ッ。ワタシハ悪霊デハナイデスッ」

 

「そう、なの? じゃあ、いっくんとどういう関係なの?」

 

「同棲サセテモラッテマス。彼ノ仕事ノ手伝イモシテオリマス」

 

同棲・・・・・凄く羨ましい関係で、当然の如く用意された自分用のビーフシチューの前に座る。Dの隣に自然体でだ。

 

「・・・・・幽霊って、料理食べられるの?」

 

「・・・・・食事可能。食べなくても問題ない」

 

「実体を持っている霊ですか。初めてみました。触れられるのですね?」

 

玲子の髪を掬うように持ち上げて、さらさらとDの指の間から零れ落ちる髪の動きを見て疑問が解消された。

 

「もしかして、一緒に寝てたりする?」

 

「ハイ、添イ寝ヲシテマス」

 

「羨ましいっ。楼羅、今夜はここで泊らない?」

 

「私だってそうしたいですが、無断での外泊はお母さまが許さないでしょう? 断わりの連絡を試みますが駄目だったら帰りますよ」

 

携帯を手にしながら言う楼羅に宥められ、許可が得られることを願う悠璃。

 

「アノ、ドチラ様デスカ?」

 

「・・・・・幼馴染、天皇家の皇女」

 

「エエエッ!?」

 

「ああ、お構いなく。今の私たちはひとりの女子学生としてここにいますから」

 

「いっくんの幼馴染としてね」

 

幽霊とビーフシチューを食べる奇妙な関係を持ってしまった悠璃と楼羅だが、Dと同じ空間で食事をする楽しさを噛みしめた。だがその後、母の羅姫からメールで宿泊は許されなかったので二人は本邸に帰ることになった。凄く後ろ髪を引かれる悠璃に余ったビーフシチューを移し替えた鍋で渡した。

 

「・・・・・返す」

 

「あっ、なるほど!」

 

「また会える口実を作ったのですね」

 

純粋に返して欲しいだけのDの考えを気付かないままな二人は、兵藤家の本邸へ魔法で送くられた。

 

「・・・・・緊張した?」

 

「皇女ノ方ト食事ヲスルコトニナルナンテ思イモシマセンデシタ」

 

「・・・・・また来る」

 

「ワカリマシタ」

 

Dと玲子は今夜も二人で添い寝をする。豊かな胸ごと玲子を抱きしめるD、逞しい胸の中で抱きしめられる玲子。毎夜変わらない寝方をする玲子は幸せを感じていた頃。

 

「いっくんの手作りビーフシチューのお裾分けを貰ってきたよ」

 

「あら、あの子が料理を?」

 

「・・・・・そこまで成長したかあの孫は」

 

「少しだけでも食べてもらえないですか? まだ出来立てで温かい内が美味しいですから」

 

「そうね。あなた、いただきましょ?」

 

「ああ」

 

祖父祖母の口の中に伝わったビーフシチューは、孫の手作り料理の美味しさに笑みを浮かばせた。ゆっくりと舌と鼻で堪能した翌日には誠たちの口にもビーフシチューが入り、子供の料理を食べられた狂喜のあまり小躍りする誠や、複雑極まりない表情を浮かべる誠輝、同じビーフチューを作ってもらった母親よりも美味しく、顔を輝かしてますます興味を持った聖華と香織。

 

「はっ!?」

 

「どういたしました姉上」

 

「なんか、物凄く羨ましいことが逃した気がする」

 

「そうですか。それは日頃の行いが悪かったからでしょうね。ほら、まだ作業が終わっていませんよ。手を動かしてください」

 

「少しは休ませなさいよ!?」

 

「だめです」

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