ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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七泊八日の宿泊(4)

 

2日目も1日中トレーニングを行い、3日目は自由行動と休みを得れたウマ娘達はDを囲い海辺で遊んだり、川神百代やエスデスに勝負を吹っ掛けられて円の中から出ない勝負であっさり負かして悔しがらせたり、それに便乗した釈迦堂刑部も負かし、川神鉄心とはいい勝負を繰り広げて―――どうやって居場所を突き止めたか中国のウマ娘等までやってきて、セキト達まで勝負に参加して負けていられないとシンボリルドルフ達も不慣れながらも交ざった。

 

「くっ・・・」

 

「悪くはなかったが、勝負の駆け引きに一瞬ですら躊躇していると負けるぞ」

 

「素敵ですっ、お姉様ぁああああ!!」

 

数々のウマ娘相手に勝ち星を築き上げた赤兎を止める最後の壁、Dが対峙することになり・・・・・。

 

「・・・・・(ニヤリ)」

 

「・・・・・?」

 

『・・・・・(なんか、嫌な予感が)』

 

始まった勝負。腕だけでなく足も駆使して相手を外へ出さんとする二人を応援して見守るが、不意に赤兎がジャージのポケットからある物を取り出し、それをDに見せつけながら真上に放り投げた。

 

「・・・・・!」

 

真上に投げられたものをしっかり見てしまい、勝負事より最優先に動いてしまったD。高く跳躍して落ちる前に掴み取り、それを―――アップルパイを一口食べると―――ショタ狐と化となって赤兎の胸の中に落ち着いた。

 

「ふふ、随分と可愛らしい姿になったではないか」

 

『あーっ!?』

 

夢中に食べているDを円の外へ優しく置いて勝利したものの、それは反則だー! と異議を唱える前にエスデスと川神百代が獲物を見つけた猛禽類のごとくDへ飛び掛かった。

 

「「邪魔だっ!!」」

 

「Dの傍で喧嘩はダメなのですよ?」

 

第三者からの氷による攻撃で二人は回避を余儀なくされた。ラヴィニアの横に氷で作られた姫君がいた。高さは三メートルほどの大きさ、ドレスを着たかのような女性のフォルム。しかし、その面貌は人のそれではない。口も鼻もなく、左半分に六つの目が並び、右半分にはイバラのようなものが生えて突き出ていた。腕の数も四本あり、どれも細い。しかし、手は腕の細さに反比例して大きかった。エスデスはそれを見て警戒する風に目を細めた。

 

「私と同じ、氷系の神器か」

 

「そうなのです。でも、私の神器は神を滅ぼす可能性を秘めた神器の上位、神滅具なのです」

 

あなたより格上の氷の力を有していると言外したラヴィニアにエスデスは、巨大な氷の槍を具現化しつつ川神百代から戦意を向ける相手を変えた。

 

「同じ属性の神器を有する者が目の前にいたとはな。だが、神器の上位だろうが何だろうが戦ってみなければ勝敗は分かるまい」

 

「・・・・・ダメ」

 

ポツリ、小さな声だが二人の耳には届いた。

 

「・・・・・エスデス、ウマ娘、一般生徒、巻き込む、ダメ。それでも、なら・・・・・」

 

セキトから離れたDの背中から生える紋様状の二対四枚と黒い異形になった両腕。顔や体に黒い刺青のような紋様も浮かび上がり―――。

 

「・・・・・許さない、止める」

 

「D、お前・・・・・っ!!」

 

「・・・・・」

 

「わかっているのです。私は本気で戦うつもりはないのですよ」

 

氷の姫君を消失させて戦意はないとアピールするラヴィニア。エスデスは悪魔のような姿のDの真剣な眼差しを見つめ氷槍を消した。

 

「すまない。私もお前の身近な者達にまで危害を加えるつもりはない」

 

「・・・・・エスデス、身近、一緒」

 

「・・・いつか必ず、もう一度勝負しろ」

 

「・・・・・ん、約束」

 

兵藤家にとって禁忌の力を消したDが小さな小指を出すとその指に小指を絡めるエスデス。

 

「って、私は!? 私も勝負してくれるんだろうな!!」

 

蚊帳の外に置かれ気味だった川神百代は自分に指しながら追求して来るが、面倒臭げな表情をするD。

 

「・・・・・学校、いつも、吹っ掛けて来る、分身体、勝てない」

 

「何だお前、本人じゃない相手にあしらわれているのか。武神の名が泣くぞ」

 

「うるさいっ! こいつじゃなくても強いんだぞ、分身体に勝つまで私と戦ってくれないんだからしょうがないだろ! 魔法まで使ってくるんだから尚更だ!」

 

「ほう、武神とあろう者が言い訳か。なら、私もDの分身体と戦ってお前より先に倒してやる」

 

「はっ、どうやって戦うんだ。お前はもう学生の年齢じゃないし私より年上のババアじゃないか」

 

なんだとっ!? と口喧嘩を始める二人を放置して離れる一行。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Dさんに訊きたい事ありますけどいいですか?」

 

混浴場で今日もDとウマ娘に交じって入っていた一般生徒の愛花達。天使の翼と胡坐を掻くDの足の争奪じゃんけん大会は左右の翼は黒子とナイスネイチャ、グラスワンダーが勝ち残ってDと正面に向き合う形で抱きしめられた。皆に顔を見られながら抱きしめられるのは恥ずかしい、という理由で背を向けての座位の筈が逞しい腕が背中に回され抱きしめられると、お互い顔が近くなることを頭から抜けていたグラスワンダーは顔を真っ赤にしてDの胸板に顔を押し付けて隠す格好になった。

 

「・・・・・なに?」

 

「警備員としてトレセン学園に働きに来た頃の話を聞きたいです。その後、女子寮の寮長になったですよね?」

 

「・・・・・そう」

 

「あ、その辺りの経緯って誰も知らないかも。いつの間にか『あの兵藤家に暴力を振るう不良警備員がいる』って噂があったし」

 

「そんな噂はどうせ、って思っていたから信じなかったけれどね」

 

「同じく」

 

「実際に見かけた時は言葉を失いましたよ」

 

「不良より不良な殴る蹴る暴行を加えていたところを見たら誰でも言葉を失うよ」

 

何も知らないウマ娘達はそうだったんだと風にウマ耳を傾けていた。そしてその話をもっと聞きたいと言う気持ちが籠った目で見られるDは目を細めた。

 

「・・・・・面白くない」

 

「いいんです。ただ知りたいだけなんです。どうして女子寮の寮長になったのかその経緯を」

 

「・・・・・」

 

そんなこと知っても意味はないだろう、と思ってもそれを決めるかどうかは彼女達次第。しょうがなく、当時の記憶を見せる魔方陣を展開して自分の口より直接見せる方が早いDの判断で大広間で教えることにした。

 

 

時を遡り4年前―――。

 

 

「D。お前さんはこれからどう生きていくんだ?」

 

「・・・・・」

 

「その様子じゃあヴァーリと同じで何も考えていないようだな。あいつも学生として過ごせる年齢だと言うのに行くだけ無駄だとか興味がないとか言って行きやしねぇ」

 

「おいラードラ。そんなんじゃあ簡単な数字も計算できないぞ。頭の悪い白龍皇でいいのかよ」

 

「私は天才だから学校など通わずとも平気さ」

 

「じゃあ問題だ。―――と―――は?」

 

「・・・・・それは今のお前達が学んでいるレベルだろう。そんな数式と形式を学んでいない私をからかって楽しいのかネコザメ」

 

「・・・・・いやこれ、小学生レベルなんだが」

 

「―――――」

 

「あらあら、ラヴィニア。ちょっとこのお子様に算数の勉強を教えなきゃいけないみたいよ?」

 

「ヴァーちゃん、一緒に勉強するのです」

 

「因みにDは鮫ちゃんの問題に答えれる?」

 

「・・・・・。―――――」

 

「おい、ヴァーリ。Dの奴が何を当たり前な、みたいに当然のように正解を答えたぞ。未来のライバルが小学生レベルの問題も答えれないようじゃあお笑い草だぞ」

 

「歴代の白龍皇や赤龍帝だって勉強などしていないぞ!」

 

「いや、お前と関係ないじゃん。おら、俺様も教えてやるから勉強しようなー。鳶雄、お前も手伝え。逃亡阻止の為にだ」

 

「ははは・・・・・紗枝、行ってくるよ」

 

「行ってらっしゃい」

 

「私も興味あるから行ってみるわ」

 

「・・・・・」

 

「まぁ、あいつらは人として思い思いに生きるだろう。だが、お前さんは人型のドラゴン。この世界よりかなり時間が進んだ並行世界で10年間も過ごした分、この世界に生きる俺達にとって未知な力と知識を学んで戻って来たんだ。それを活かせる職業に就けばいいと思うぜ」

 

「・・・・・わからない」

 

「そうか・・・・・時にDよ。並行世界にウマ娘って種族はいたか?」

 

「・・・・・ウマ、娘? 馬、雌?」

 

「どうやらいないようだな。ウマ娘ってのは、女にしか発現しないウマの魂を宿した神器によって体にウマの耳と尻尾を生やした存在だ。そいつらは今―――」

 

「・・・・・いい、興味ない」

 

「・・・そうか。だが、そいつらがいるところには悪魔や天使、堕天使、兵藤家や式森家の人間もいるぞ」

 

「・・・・・並行世界、同じ」

 

「お、そうなのか。直接見たんなら感想を聞かせてくれ」

 

「・・・・・普通?」

 

「ん-・・・お前さんの普通の基準がわからん。が、今後どうしようか決めていないなら俺が決めさせてもらう。D、お前はトレセン学園の警備員となれ!」

 

「・・・・・」

 

「何でだ、と言いたげな顔をするな。理由はあるぞ、つーか、お前向けだ。話だけ聞いたことなんだが、どーやら兵藤家の若い連中が連日やんちゃをしているらしい。お前はそれを抑える抑止力となってやれ」

 

「・・・・・学園側、兵藤家側」

 

「問題が起きているなら学園側が対処できてればいいんだが、相手は天皇家の一族だ。兵藤家の権力を悪用して相手を逆らえなくしている。学園側は兵藤家に泣き入りしたいところだが、兵藤家の人間がそんなことする筈がない、子供に甘い親や、世間に敏感で問題が起きたことすら揉み消すか闇に葬る。よって学園側が対処するしかないってことになっているんだが、結果は学園は無法地帯と化した」

 

「・・・・・」

 

「そこまで知っているなら俺が何とか出来るだろうって目をすんなよ。兵藤家は強さと人間至上主義の頭がお堅い連中なんだぞ。日本神話の神々から言われたらさすがに動くだろうが、そうじゃない俺から言っても動いちゃくれない。だから元兵藤家の人間のお前さんなら兵藤家の権力なんざ無いも当然で何でもできる。そして学園側はお前を頼るようになる」

 

「・・・・・」

 

「目の前で兵藤家の若い連中が傍若無人な事をしていたら、それに困っているか悲しんでいる奴らがいるなら、助けられるのはお前だけだD。いや、兵藤一誠」

 

 

―――――・・・・・―――――・・・・・―――――・・・・・―――――

 

 

「キミがD君だね。私は駒王トレセン学園の警備員の長を勤める荻名。とはいえ、今は私一人しかいないがね」

 

「・・・・・よろしく、お願いします」

 

「さて、先ずは学園内を案内しよう。ここはとても大きいから時間は掛かるよ。何たって2つの学校を一つにした変わった学校だからね」

 

「・・・・・そう」

 

「そしてもう一つ。決して手を出してはいけない生徒がいるから、何を見掛けても決して近寄ってはいけないし声を掛けてはいけないよ。家族諸共、路頭に彷徨いたくなかったらね」

 

「・・・・・」

 

「では、案内しよう。ついてきなさい」

 

 

―――――・・・・・―――――・・・・・―――――・・・・・―――――

 

 

「ここは小学生から高校生まで教育できるエスカレーター形式で、一般生徒とウマ娘が分かれて学生生活を送っている。何たってウマ娘の邪魔をしてはならないからね」

 

「・・・・・」

 

「これからキミが警邏してもらう場所はウマ娘が通うトレセン学園。私は駒王学園となるが、いくら可愛くて若いウマ娘だからって変なことしちゃダメだからね」

 

「・・・・・駒王、トレセン?」

 

「2つの学園を一つにしたと、説明したね? 元々はウマ娘と一緒に通える学園だったのだが・・・・・ある事情でもう一校増えたのが駒王学園の方なんだよ。今駒王学園側の相談役の方に会わせる。失礼のないように」

 

 

―――――・・・・・―――――・・・・・―――――・・・・・―――――

 

 

「失礼します。本日新しく就いた警備の者を紹介しにまいりました」

 

「うむ、入ってよいぞぃ」

 

「では、失礼します」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「彼はDと申します。以後お見知りおきを川神鉄心さん」

 

「相分かった。警備の者がいつも不足しておったからの。長く居てもらえれば大助かりじゃ。荻名、少々外してもらえんかの。この者と話をしたい」

 

「はい? はぁ・・・わかりました」

 

ガチャ・・・バタン。

 

「・・・・・面影があるがの、見間違えでなければこう言ってよいかの・・・。生きておったか、源氏殿の孫よ」

 

「・・・・・久しぶり、川神百代、の、お爺ちゃん」

 

「・・・そうか・・・そうか・・・・・喋れるまで身体と共に成長したのじゃな。じゃが、どうして儂の想像より成長したのか教えてもらえぬか?」

 

「・・・・・(フルフル)」

 

「教えれない、か。じゃが、いい。源氏殿達にはもう会ったのかの」

 

「・・・・・会わない、今、秘密」

 

「なら、儂もお主のことを秘密にしておくべきか。何より、この儂さえまったくお主の気配を感じられなかった。故にそれ相応の強さも身についているのじゃろう?」

 

「・・・・・うん」

 

「ふぉっふぉっふぉっ。これは天命じゃな。これであのやんちゃ共を大人しくさせることができる。D、じゃったな。これからお主には頑張って働いてもらうぞぃ。儂から直接任務を与える。手段は選ばなくてもよい、責任は全て儂と理事長が請け負う。その代わりにこの学園の秩序と平和を取り戻してほしい」

 

「・・・・・昔、お礼、恩、返す」

 

「うむ、よろしく頼むぞぃ。後日、アップルパイをたくさん用意してやるわぃ」

 

「・・・・・楽しみ」

 

 

―――――・・・・・―――――・・・・・―――――・・・・・―――――

 

 

 

「川神鉄心さんからなんと?」

 

「・・・・・よろしく、頼む」

 

「そうですか。そう言われるのも自然でしょう。一ヶ月前までは君以外の警備員はいたのですが、この仕事に堪えきれず身体を壊して辞めてしまいましたからね」

 

「・・・・・壊れてない?」

 

「私は老いてなお身体だけは丈夫ですからね。まだ若い者には負けませんよ」

 

「・・・・・」

 

「さて、駒王学園の校内の構図は大体覚えてもらったけど、案内したところだけ私が朝、君が夜にと別れて警邏する。気になることはあるかい」

 

「・・・・・発見、拘束、その後」

 

「生徒だったら私に連絡をしてくれ。もしもということがある」

 

「・・・・・もしも? 具体的」

 

「悪いがそれは教えてられない。ただ、暴力で捕まえてはならないよ。警察沙汰になりこの学園に迷惑をかけてしまうからね」

 

「・・・・・生徒、以外」

 

「あり得ないがこの学園の関係者、もしくは卒業生だったら私に連絡するように。警備員として新米な君には対応が難しいだろうから」

 

「・・・・・新米、当然。対応、対処、教えて」

 

「それはまた今度だ。今日は学園内の案内だけ時間を費やしてしまったからね」

 

「・・・・・警備員、その心得、取扱い説明書、マニュアル、本、ない?」

 

「トレセン学園の警備室にいてもらうから、そこに行けばあると思うよ」

 

「・・・・・場所、は?」

 

「ついてきなさい」

 

 

―――――・・・・・―――――・・・・・―――――・・・・・―――――

 

 

「D君、道を間違えた。戻ろうか」

 

「・・・・・警備員室」

 

「あそこは名前だけ変えず別の部屋として活用しているのだよ」

 

「・・・・・別の活用、どんな?」

 

「それは・・・とにかく、警備室以外の所に案内するから今だけ近づいてはダメだ」

 

「・・・・・警備員、学園の異常、知る」

 

「君のために言ってるんだ。今だけでいいんだ、あの部屋に入ったら・・・・・!」

 

「・・・・・知ってる? 中で何が、誰が、してる、いること、なのに? 警備員、避ける必要?」

 

「・・・・・ッ!!」

 

「・・・・・学園、異常、知ってる、なにもしない、見て見ぬふり・・・・・共犯?」

 

「共犯だと、ふざけるなっ、何を根拠に言っている―――!」

 

「さっきから声が聞こえると思ったら、荻名さんじゃーん。ん? 誰そいつ、新しい警備員?」

 

「・・・・・仲良し?」

 

「へへっ、まぁ、仲良しどころか人には言えない秘密を共有している仲だ。お前も仲間になるなら教えてやってもいいぜ。ただし、条件はあるがな。他の警備員は全然ダメだったけど、荻名さんが直接連れてきたってなら、話がわかるやつってことでしょ。いい趣味を持っているからな―このジジイ」

 

「お、おいっ! 何を勝手に決めている!」

 

「・・・・・興味」

 

「なら、金を五万用意してくれるか? じゃなきゃ、中に入らせねぇよ」

 

「・・・・・即金」

 

「準備がいい・・・おいおい、三十万も上乗せしてくれるのかよ! 荻名さん、本当に話がわかる上にあんたより金使いがいい警備員を連れてきてくれたじゃん。サンキュー。もう帰っていいよ。今月の支払期限、これで済ましてやるから来月分はよろしくな」

 

「・・・・・(ジー)」

 

「わ、私は何も知らないっ。ここで何がしているのかもだっ!!」

 

「へっ、今さら無関係でいられると思うなよ荻名さーん? お前だって随分とお盛んで長い間楽しんでいたじゃんか。最近は金がねえって理由で来なくなったけど、次の仕入れまで待ってるぜ?」

 

「・・・・・仕入れ?」

 

「くっ・・・・・!!」

 

「ははっ、不様な逃げ方だぜ。んじゃ、新米の警備員さん一名ごあんなーい!」

 

 

―――――・・・・・―――――・・・・・―――――・・・・・―――――

 

 

「おい、お前外で見張ってろって言ったよな? しかも誰だそいつはよ。勝手にいれるんじゃねぇよ」

 

「いやいや先輩。この新米の警備員、金遣いがいいんスよ。ほら、三十万!!」

 

「は? マジで三十万? 随分と上客な奴が来たもんだな!」

 

「あの老いぼれが連れてきたんですよ。仕入れ以外にも役に立ちますねぇ」

 

「ははっ、俺達が搾りに搾り取ったから身代わりでも差し出したんだろうよ! たが、その身代わりの奴はかなりの金を持っていそうだな」

 

「へへっ、でしょう? ってことで、この警備員にも楽しい思いをさせてくださいよー」

 

「一括で三十万も出してくれたんだ。それぐらいはしてやらないとな。今後もここに来て、俺達に小遣いをよこして一緒に快楽を堪能してもらうためにな」

 

「・・・・・」

 

「で、お前は何固まってるんだ? まさか、ドーテイとか?」

 

「ギャハハッ!!! マジでドーテイか? 三十万も出しておいて、裸の女共の前でいざ緊張しちまったのかよおもしれー!」

 

「おいおい、しょうがねぇ上客だな。ま、先に俺達が顔や身体、全身の至るところに白い化粧を掛けちゃったから手も出しづらいってのもあるんだろうがな」

 

「ちょっと、俺の分も残しておいてくれって言ったじゃないですか先輩ー」

 

「おら、いつまでも突っ立っているんだよ。お前も早く服を脱かせろよ」

 

「って、俺が!? はいはい、しますから睨まないで下さいよ。ほら、お兄さんも脱いでくれって」

 

「・・・おい、なに見てるんだお前」

 

「・・・・・見覚え」

 

「は? お前と会ったことなんざ一度もねぇぞ」

 

「うわっ、こいつすげー傷跡がある。刀か何かに切られたのか?」

 

「・・・・・小さい頃、刀を持った、子供に切られた」

 

「だから知らねーって言ってんだろ!」

 

「・・・・・兵藤家、子供、に」

 

「は? 兵藤家の? お前、兵藤家の人間なのかよ? だったらこいつは何て奇遇な運命なんだかな!」

 

「・・・・・勘違い、ごめん、じゃあ、仕事、開始」

 

「あ? 仕事だぁ? まさか、マジで警備員の真似事でもするつもりかぁ? ドー見ても俺達と変わらない歳だろうが」

 

「コスプレに徹底してもいいことねぇーぜ?」

 

「・・・・・問答、無用」

 

「なッ―――!!」

 

 

ぎゃああああああああ―――――ッ!!!

 

 

―――――・・・・・―――――・・・・・―――――・・・・・―――――

 

 

「・・・・・お爺ちゃん、犯罪、共犯」

 

「・・・初日に早々、喜ぶべきか悲しむべきか・・・・・荻名、おぬしも共犯者じゃったとはな」

 

「違います川神さんっ。この男は生徒に金を渡して賄賂の取引をしておりました!! 私にその濡れ衣を着せるためにここへ無理やり連れられたんです!!」

 

「ふむ、Dよ。実際のところはどうなのじゃ?」

 

「・・・・・トレセン学園側、警備員室、入場料、中、性的行為の部屋」

 

「なるほどの・・・・・その者共が己の欲望を貪るために誰もおらぬ部屋を勝手に利用しておったのじゃな」

 

「・・・・・どう、する?」

 

「そうじゃな・・・・・Dはどうするべきじゃと思う?」

 

「・・・・・犯罪者、もっと、こうする」

 

「お、おい、何をする気ぎゃっ! がっ、(バギッ!)ああああああああっ!?」

 

「・・・・・次」

 

「やめっ、ぶっ!? てめ、俺達にこんな仕打ちしていいと思って(グシャッ)いでぇえええああああああっ!!?」

 

「・・・・・次」

 

「同じ兵藤家の人間だとしてもタダで済むと(ボキンッ!)ぎゃあああああっ!?」

 

「・・・・・次」

 

「ま、待ってくれ!? 俺達が犯罪者ならそこのジジイも同じ犯罪者だ!!」

 

「・・・・・理由」

 

「女子更衣室に小型のビデオカメラを隠して盗撮していたんだよ! たまたま俺達はその更衣室に入ったら、ジジイがカメラを持っていて女共が着替えている映像が映っていたから脅してコキ使っていたんだよ! そのカメラだって俺達が持っているから信じてくれ!」

 

「そ、そうだ・・・そいつだけ何の痛い思いをしていねぇってのが納得いかねぇっ」

 

「ジジイ、てめぇも社会的に殺してやるっ。俺達は兵藤家だから何でも許されるし社会に出ても誰も気づかれやしねぇ」

 

「お前だけはざまぁな人生を歩めよ盗撮野郎!」

 

「お、お前らっ・・・・・!!」

 

「・・・・・お爺ちゃん」

 

「・・・・・好きにやるがよい。荻名に至っては今日限りで解雇にする。警察にも証拠の確認次第で突き出すとしよう」

 

「・・・・・好きにやる・・・・・覚悟する」

 

「えっ、待ってくれ、教えただろ? なぁ、もうこれ以上痛めつけても意味はないだろ。ジジイの証拠も、必要だろ、なぁっ!?」

 

「・・・・・今まで、罪、周りに対する人間、痛みと悲しみ、この程度?」

 

『・・・・・っ?』

 

「・・・・・否、それ相応、死ぬ直前、もっと、もっと―――お前達が殺してと懇願しても殺さない、圧倒的な暴力を、徹底的に、学園にいる限り、恐怖と絶望、与える、今、決めた」

 

「なっ・・・!?」

 

「・・・・・楽しい、嬉しい・・・・・誰にも邪魔されない蹂躙、できる―――」

 

 

 

兵藤一誠改めDの駒王トレセン学園での警備員として初めての出勤は―――誰もが見たことがないぐらい邪悪な笑みと血塗れの拳と返り血を浴びた警備員の服と共に始まった。

 

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