ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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七泊八日の宿泊(9)

兵藤家の本邸の一室でDは、布団の中で一緒に川の字となって眠る楼羅と悠璃に挟まれた形で横になっていたが、早朝に目が覚めてしまい素早く二人から抜け出した。部屋の外へ出ると朝日が昇りかけている空が見えた。

 

「起きたか、孫よ」

 

「・・・・・」

 

どうしてここにいるんだと、寝ている部屋は互いに離れているはずなのに源氏が縁に腰を下ろしていた。

 

「娘達が迷惑をかけたな。・・・手を出してはいないだろうな」

 

「・・・・・?」

 

「わからないならそれでいい。・・・・・ついてきなさい」

 

腰を上げた源氏がDを促す。2人は当主の家族しか入れない屋敷を後にして、四方の石造りの闘技場へと足を運んだ。

 

「・・・・・お爺ちゃん?」

 

「一つ、私と組み手をしてもらう。純粋な組手故に魔法及び魔力と禁忌の力や神器の力の使用は禁ずる。闘気だけ許す」

 

腰を落とし闘気を纏う全身に纏い拳を構える源氏に応じ、頷いたDは拳を黒く染めて構えた。力の大会では見たことがない未知の力に源氏は聞いた。

 

「それは・・・黒く染まったそれは何だ。また並行世界の技法か」

 

「・・・・・“覇気”、全ての人間に潜在する『意志の力』」

 

「意志の力・・・・・」

 

「・・・・・覇気、実戦の極限状態、更に力、開花。あの人曰く、強敵と向き合うほど更に強くなる。・・・・・多分、切っ掛け、お爺ちゃん、クソ親父、できる。ただ、力、習得、容易、否、長期の鍛錬、力を引き出す必要。意志の力、感覚的、気配、気合、威圧、殺気、闘争心、同じ」

 

あの人とは誰だろうとこの際無視し、孫からの説明を一言一句聞き逃さず、この世界の人類の新たな力となり得る未知の力を習得するべく、年下の者から伝授をプライドをかなぐり捨てて乞うた。

 

「“覇気”とは何ができるのか教えてもらえるか」

 

「・・・・・実戦、体験、早い」

 

「ああ・・・そうさせてもらう」

 

どちらからでもなく引き寄せられる様にとてつもない速度で闘技場の中心に飛び出し、二人の拳がぶつかり合い激しく音が出たことで眠っていた者はそれで起きた。それに気に掛けない二人は力を高め合い引き出し合い、源氏に稽古をつけるDと指導を受ける源氏は朝餉まで戦い続けた。

 

「まったく、朝からいい歳になった大人が怪我をするほどはしゃいじゃってはいけませんよ」

 

「いつの間にかいっくんがいなくなって心配したよ?」

 

「Dさん、次は声を掛けてくださいね」

 

顔中殴られた跡がある2人の手当てをする妻と娘。息子と祖父だけ拳を交えていたことに羨望の眼差しを向ける誠。あの兄が怪我をしたのは何時以来だと少なからず衝撃を覚えた玄弥。

 

「んで、朝っぱらお爺ちゃんと殴り合って何がしたかったんだ?」

 

「・・・・・伝授」

 

「何の?」

 

天王の疑問はDと源氏が腕を突き出し、腕まで拳が黒く染まったのを見た者は全員驚きを隠せなかった。

 

「・・・・・これ」

 

「いや、これって言われてもな・・・誰でもできるのか?」

 

「・・・・・人類全員、可能性、あり」

 

全ての人類にも会得できる未知の力に少年少女達は信じられないと目を丸くした。

 

「親父・・・・・一誠から、何を教えてもらったんだよ」

 

「“覇気”というものだ。確かにこれは切っ掛けがあればお前でも扱えるモノだと実感した。が、その前に残る“覇気”の力も身に付けてみせよう」

 

「ぐっ、き、気になって仕方がねぇ!! 一誠、覇気ってなんだ覇気って! 俺にも教えてくれ!」

 

知りたがりの子供のように自分の子供に追求する誠だったが、Dにそっぽ向かれた。

 

「・・・・・一通り、お爺ちゃん、教えた、教えない」

 

「そう言うことだ。教えてほしければ私に乞うがいい」

 

「うわっ、クソムカつくほどいい笑みを浮かべやがって!! 優越感か、俺が知らない力を先に一誠から教わって得た優越感か!?」

 

妻と娘でも初めて見たかもしれない源氏の笑みに、悔しがる誠を交互に見て苦笑を浮かべた。玄弥もDに乞うた。

 

「・・・・・私にも教えてくれるか。分家の者達にも扱えるならそれを得てみたいのだが」

 

「・・・・・詳細」

 

「感謝する」

 

亜空間から“覇気”の詳細が綴られたファイルを取り出して玄弥に渡した。それを受け取った彼はさっそく興味を持った天王と読み始める。

 

「“武装色の覇気”“見聞色の覇気”“覇王色の覇気”・・・? へぇ、名前が格好いいし、それぞれの覇気の力も凄い有用じゃんお爺ちゃん」

 

「有事の際にもこれは・・・・・是が非でも皆にも得て欲しい“覇気”の力なのは間違いない。すぐに戻りこれを取り組むことにする。天王、お前にも身に付けてもらうぞ」

 

「やる気満々だお爺ちゃん」

 

朝食を済ませると旅館へ戻る5人であったが香織と聖華が一緒に行きたいと言い出した。

 

「お兄さんがトレーナーをしているところを見学したい」

 

「将来の目標のために早く学んだ方が後学のためになると思うし」

 

という理由で、同行を求めたが源氏と羅姫は一度反対したもののDが構わないと許可したので、今日の夕方までの条件を課して許された。

 

「じゃあ、私も!」

 

「ダメだ。二人は将来の為に孫から学びたい理由で許したのだ。孫と一緒にいたいだけのお前はダメだ。楼羅もだ」

 

許されなかった二人に対してDの腕にくっつきながら勝ち誇る笑みを浮かべた聖華。誠同様に悔しい顔を浮かべて嫉妬も込めた目で聖華と香織に騒いでいると、徐にDが近づいて・・・悠璃の頬にキスを落とした瞬間。

 

「ッ!!?」

 

悠璃の頭から煙が噴火してボンッと音が鳴った幻聴がした。

 

「・・・・・落ち着く」

 

「・・・・・」

 

無反応だったが、これで大人しくなったと思い踵を返すDの肩を掴んだ楼羅。

 

「私にも、してくれないのですか?」

 

「・・・・・」

 

振り返れば彼女は寂しそうに懇願するので、悠璃と同じ頬にキスを落とした。楼羅の反応は、キスされた頬を触れて淡い朱を散りばめながらも嬉しそうに微笑んだ。転移魔法陣を展開したDは、祖父達に手を振って旅館へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、トレーナーさん。お帰りなさい」

 

「・・・・・ただいま」

 

旅館に戻ったトレーナーをいち早くマンハッタンカフェが話し掛けたのを皮切りにトウカイテイオー達もトレーナーを迎えて、朝食を既にすませた彼女達とトレーニングに臨んだ。

 

「トレーナーさん。彼女達は・・・?」

 

一緒に道具の中に入り、周囲を好奇心で見回す聖華と香織を見つめるチームシリウス。どうして彼女達も一緒に来たんだ、しかも大統領一行まで、と。トレーナーはウマ娘達に聖華と香織のことを説明した。

 

「・・・・・後学、将来、トレーナー、見学」

 

「え、トレーナーになるの?」

 

「兵藤家の方がトレーナーなんて・・・・・」

 

不安でしかない。それだけ兵藤家に悪い印象しか抱かないことをされたり、聞いたりしてきたのだ。例え女性だろうと警戒する対象でしかない。

 

「すげえ・・・・・ここがガラス玉の中だなんて、俺達が小さくなったのって魔法なのか?」

 

「外にいるかのような気温と風、土の香りがします」

 

「「・・・・・」」

 

あっちはあっちで、初めて遊園地に来たような家族の言動や反応をしていた。

 

「・・・・・トレーニング、開始」

 

ウマ娘達は誰がいようと変わらない日常を繰り返すトレーナーに困惑してしまうが、先に歩くその背中を見てはついていくしかない彼女達を大統領達もついていく。

 

そして、トレーナーとウマ娘達とのトレーニングの日常を見守った。

 

「えええ・・・・・なに、あの巨大なタイヤを引きずってトラックを押しながら歩くの。あれもトレーニングなのか?」

 

「初めて見ました。兵藤家より凄まじい身体能力ですね」

 

「「・・・・・」」

 

歯を食い縛り何トンもある物量のタイヤとトラックを押して引っ張って移動するチームシリウスのウマ娘達を。これが何のトレーニングになるのか問いたいなら、彼女等と一緒にトレーニングをしてるトレーナーが終わるまで待つしかない。

 

「あんな風にウマ娘と一緒にトレーニングするのがトレーナー?」

 

「だとしたら、凄く大変で苦労しそう。でも、それが一緒に頑張ってレースに勝ってくれたらこっちも嬉しいかもしれない」

 

あんなことしてるのは彼だけだと認識を訂正する者はこの場にいない。いたとしても兵藤家相手にそんなこと言える筈がなく、聖華と香織はトレーナーをトレーニングを模範的に解釈してしまい、次はうさぎ跳でコースを回るトレーニングを始めるトレーナー達を見守った。

 

ウマ娘達が全員地面に横たわり全身で息をして、顔が汗だくになるまで続けたトレーニングは終わり、ケロリと疲労感を感じさせないトレーナーに天王はドン引き。

 

「疲れていないのかよ?」

 

「・・・・・朝メシ」

 

「マジかよ。どんだけ体力あるんだよ」

 

「・・・・・鍛えた、できる?」

 

「できるって・・・・・さっきまでのトレーニングのことか?」

 

そうだと天王の前に魔法で巨大すぎるタイヤを置いたトレーナーに目で催促されて、仕方なく身体に縄を縛って引き始めた。

 

「ふんぬぐぐぐぐぐっ・・・・・!! うおおおー!!」

 

足腰を使って踏ん張り体を前のめりで足を前に出し、頭に血液が溜まって顔が真っ赤になる天王は・・・・・タイヤを動かすことは叶わなかった。

 

「・・・・・兵藤家、これ?」

 

「・・・・・おそらく今の若い世代どころか現存してる兵藤家の者でも一部を除き、これなのだろう」

 

「天王、もっと力を入れなさい。その股に下げてるものはただの飾りなのですか」

 

野次を入れられた怒りをバネにして、体力の限界まで引っ張った天王が雄叫びを上げながら足を前に出して地面を踏んだ分、タイヤが前に進んだ。

 

「・・・・・疲れた」

 

一歩前進するだけで体力を使い果たした様子。その場で倒れた天王に向かって気を放ったトレーナーに目を丸くする玄弥。

 

「何を・・・・・」

 

「あれ、体力が戻った? なんでだ?」

 

疲労困憊でしばらくは動けないと思っていた天王が、あっさりと起き上がって身体の変化に疑問符を浮かべた。

 

「・・・・・仙術、体力回復」

 

「仙人、神秘の力も扱えるのか。誰から学んだのだ」

 

「・・・・・ひみつ」

 

安易に広めてはならない情報は教えられないゆえ、口が固い者や信頼に足る者ではないとダメだとお世話になった人達との約束を守るトレーナーに玄弥はダメ元で乞う。

 

「・・・その仙術も教えてくれまいか」

 

「・・・・・仙術、生命エネルギー、闘気、干渉」

 

それだけ言うと他のウマ娘達にも闘気で体力を回復してトレーニングを再開させた。

 

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