ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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早期解決

 

場所の下見を終えたみほ達。カフェテリアを選んだ聖グロリアーナ女学院と黒森峰女学園以外の少女達はDの協力のもとで出店の準備を始めた。大洗だけでも複数の場所を占拠した上、当然ながら警備員がトレセン学園の制服ではない制服を着た多くの見知らぬ少女達を連れて歩き回っているので、直ぐにウマ娘達の間でその話題が瞬く間に広がった。

 

「あの、トレーナーさん。彼女達は誰なんですか?」

 

「・・・・・体育祭兼文化祭、出店、売買、来訪、女子生徒」

 

「違う高校のヒト達がわざわざここで出店を?」

 

「・・・・・肯定」

 

訊ねに来るウマ娘相手に同じ答えを繰り返せば、その話もあっという間に広がりあっさりみほ達を受け入れた。一方のアンツィオ高校も慣れた手つきで屋台兼車丸ごと配置したり出店を組み立てていく。

 

「あ、Dさん。私達の仲間がもうすぐ到着するみたいなので迎えに行ってもいいですか?」

 

携帯から通達を受けたみほに許可して一緒について行く。来賓用の駐車場に足を踏み入れた二人と同時にレンタルをしただろう複数台の荷台付きの車が入って来た。小柄でルインテールの少女が髪を揺らしながら車から降りるとみほと一緒に来たDを見て朗らかに話しかけた。

 

「やぁDさん。久しぶりだね」

 

「・・・・・息災」

 

「明日からよろしく頼むよ。西住ちゃん、いい場所確保できたかな?」

 

「はい。皆さんバラバラに同じ場所ですが、他の出店と挟む形だったり離れて出店を構えなくちゃなりませんが」

 

「そこのところは西住ちゃんに一任したから文句はないよ。ってことで、これからウチらも出店を構えるために組み立てるから案内してちょうだーい」

 

了承するみほ。続々と車を停車してから降りる女子高生たちを視界に入れながらみほに訪ねる。

 

「・・・・・昼食」

 

「学園外で買って食べる予定ですけど、それがどうかしましたか?」

 

「・・・・・カフェテリア、一時間前、利用、今回、許可、特別」

 

「え、いいんですか? じゃあ、お願いできますDさん」

 

任されたと料理長に一時間早く外部の学生の為に提供してほしいと頼むと、二つ返事で了承してくれたので一時間前に戦車道一同の少女達をカフェテリア招集した。

 

「Dさん。値段が見当たらないですが?」

 

「・・・・・全部、何でも、ギガ盛り、メガ盛り、お代わり、無料」

 

「む、無料ですか!?」

 

「私達の為に無理をしていませんか?」

 

「・・・・・元々、無料提供、無遠慮、食事」

 

お手本としてDが見たことが無いぐらいの山盛りのチャーハンと肉厚のステーキ、大盛りのパフェにサラダを注文して見せた結果、代金を払わずあんな量を食べられると知った継続高校の三人も真似して大量の盛られた料理を受け取り、味を舌鼓する。

 

「うんまーい!! この量で無料だなんて信じられないや!」

 

「美味しい! ウマ娘の人達は毎日ここでこんなに美味しい物を食べているなんて羨ましいなー」

 

「来てよかっただろう? 吹く風に身を任せれば素晴らしい出来事に巡り合えるのさ」

 

三人の様子を見てみほ達も注文した適性の量の料理を受け取って適当な席に座って食べ始める。その際にわざわざDの横の席をまほが相席して、一緒に食べ始める姿にみほと黒森峰の女子生徒達は目を張った。

 

 

その日の深夜―――。鳶雄から渡された封筒の中身通りならば今頃レーティングゲームが行われている時間帯。その最中に発生するかもしれないアクシデントに臨機応変の仕事を求められたが、警備員は学園の方を優先し今夜も見回りをしていた。

 

「・・・・・」

 

深夜の学園に侵入する輩がいれば直ぐに対応する。それが例え―――学園を襲撃しに転移して来た悪魔達も例外ではない。ただし、破壊活動をするのであれば数人生かして捕え、他は捕まえず殺す。

 

 

―――『真なる覇龍(アポカリュプス・ジャガーノートドライブ)

 

 

一方リアス・グレモリー達はレーティングゲーム中に反魔王派―――『禍の団』に傾倒する数千という数の悪魔達の襲撃に遭い、それに乗じてグレモリー眷属のアーシア・アルジェントが対戦相手だったディオドラに奪われてしまった。

 

「ああ、もう一ついいことを教えてあげるよ。君達が通う学園にもエージェントを送って学園の破壊をしてもらっているんだ」

 

「なっ!?」

 

「この僕に屈辱を与えた彼を許せておけなくてね。大事な学園を破壊されたらきっと屈辱で悔しがるだろう? そう思うと胸が空いて清々しい気分になるよ」

 

敵に与したディオドラの発言にリアスは顔を真っ青にした。ドラゴンの巣を悪戯に攻撃して逆鱗を触れさせる行為に等しい。もしもその襲撃の首謀者がディオドラのものだと知ったら・・・・・。

 

ビシィッッッ!!! バギンッッッ!!!

 

突然、レーティングゲーム用の戦闘フィールドの空間に巨大な亀裂が音を立てて入った。リアスは直感した。ゲームフィールドにいる全員が第三者の介入に警戒する中でリアスだけは―――!

 

「来る―――!!」

 

ガラスが砕け散る甲高い音と共にフィールドの空間に穴を作って飛び込んできた禍々しいドラゴン。黒い光の軌跡を残しながらディオドラへ迫った。

 

『ディオドラァァァァァァァァッァァァァァァァァァッッ!!』

 

「イッセーッ!?」

 

『真なる覇龍』状態のDの拳がディオドラに当たるより先に「ぶぅぅん」と空気が打ち震え、空間が歪んでいくとディオドラとアーシアの体がぶれていき、次第に消えていった。目標を失ってその場で急停止するDを狙わないはずがない。

 

「奴を殺せ! 殺せたら名を挙がるぞ!」

 

反魔王派の悪魔達がDに向かって手元を怪しく光らせ魔力を放った。その数は数千以上もあり、リアス達が直撃したらタダでは済まされない。しかし―――相手は怒り狂っている赤龍帝。

 

『―――』

 

黒い魔方陣を展開する。攻撃魔法? 防御魔法? ―――いや、違う。最高潮に達し弾ける閃光から蛇型の巨大な邪龍を召喚したのだ。数多の魔力は邪龍の身体で阻まれてDに当たらず・・・・・。

 

『・・・・・喰え』

 

《ぐへへへっ! お、お前についてよかった。い、一匹残らず食べる!》

 

グアアアアアアッ!!

 

名も知らぬ邪龍が反魔王派の悪魔達に襲い喰らっていく様はリアス達に緊張感を引き締めさせた。

 

「部長、この隙に行きましょう。彼はあのドラゴンが『禍の団』の構成員を喰い終わるまで動かないと思います」

 

「・・・・・アザゼルは知っているのかしら」

 

「うふふ、悲しいですわ。お父様にまたお仕置きする必要があるかもしれませんわね♪」

 

「・・・・・嬉しそうに見えますよ朱乃さん」

 

「ヒィィィィッ!?」

 

グレモリー眷属が宮殿へと走っていくが、それよりも速くDが赤黒い魔力の塊をどんどん大きく膨らませた後に、それを極限までにビー玉サイズほど圧縮すると二つある宮殿に向かって投げ放つ。煌めきながら宮殿と宮殿の間に落ちた魔力球は、一気に膨張してブラックホールのごとく地面や宮殿を凄まじい引力で吸い込みながら―――。

 

ズォォォォオオオオオオオオオッ!!!

 

丸々と宮殿を呑み込み、中に誰がいようと最後は平等にクレーターだけを残し消滅させた。

 

「私達を攻撃したわけじゃ、ないわよね?」

 

「そう信じましょう」

 

悪魔達を喰らう邪龍と命を刈るDを背にアーシアを取り返しに奥の宮殿へと急ぐ。心の片隅に自分達ごと、またクレーターを作るほどの魔力を放たないよう願って。

 

だが、そう思っている場合ではなかった。宮殿に駆け込んだグレモリー眷属を待ち構えていたのは、ディオドラの眷属悪魔ではなかった。

 

「およよ? や、オヒサーだねぇー?」

 

「来たか」

 

白髪に赤い目の青年。白い戦闘服を身に包み光る剣を片手にグレモリー眷属に手を振った。青年の隣には意匠が凝った黒い服装を着た長身の男がいた。

 

「お前は、フリードッ!」

 

「あなたは、堕天使コカビエル。どうしてここにいるのか聞いても?」

 

木場とリアスが相手の名を挙げて問うた。問いを投げられたコカビエルはなんてことなさげに語り出す。

 

「奇数なことにな。白龍皇と世界の強者と戦う旅の途中に『禍の団』とやらに加わったのだ。俺からすれば『禍の団』などどうでもいいが、戦える相手が選り取り見取りとなるならば何でもよかったまでだ」

 

「ってことで、俺っちらは愉快な組織の団体に入ってから丁度ボスと暇だったんで、ディオドラの坊っちゃんのお手伝いをしているわけでさぁ!」

 

平伏してるディオドラの眷属悪魔達の一人の頭に向かって懐から出した銃で発砲した。

 

「まぁー。ここで待ってる間も暇だったもんで坊っちゃんの元聖女ちゃん達と遊んでたけど、すぐに飽きちゃってヤっちゃったぜ♪」

 

「・・・世界を回っても性格は相変わらずか」

 

「ひゃははは! これでも俺はあの時よりちょーっとばかし強くなったんだぜぇ? いやほんと、何度死ぬ思いしたことか」

 

死ぬ体験ならこっちも何十回何百回もしたとリアス達はあの時の修行を思い出す。

 

「また聞いてもいいかしら。今こうしてここにいるということは私達の敵と認識しても?」

 

「お前達がそう思いたいなら勝手に思え。俺達はここに通る者共と戦うことが仕事だ」

 

「ってことで、へいナイトくーん。あん時の続きでもしようぜベイベー?」

 

光剣を木場に突きつけ、挑発的な笑みを浮かべるフリード。白と黒の剣を具現化して構える木場は応じる。

 

「・・・僕をご指名するならば受けてたとう」

 

「では、俺は残り物を纏めて相手にしてやろう」

 

「言ってくれるわね。堕天使陣営から離れた今のあなたを滅しても、アザゼルは何も言わないでしょ」

 

互いに臨戦態勢の構えを取り、リアスの言葉に笑うコカビエル。

 

「今の俺がいるのは赤龍帝の提案のおかげだ。よもや、聖剣絡みの事件で相対する筈だったろう貴様らとこうして改めて戦うことになるとは思わなかったがな」

 

「そう、ならこれから滅せられる後悔させてあげるわ!」

 

「ふ、やってみろ」

 

瞬時に具現化した光の槍を掴み、リアスに投げ放った。無防備に立つリアスは回避も防御もせず迫る光の槍を睨みつける。

 

「ぶ、部長!?」

 

「ギャスパー、手出し無用よ」

 

首だけ動かし、顔に直撃する筈だったコカビエルの光の槍を躱してみせたリアス。

 

「ほう? あいさつ代わりとはいえ、完全に見切って躱すとは。俺が知っているリアス・グレモリーと違うようだな」

 

「ええ、訳も分からず赤龍帝のおかげで何百回も死ぬ前提の修行や特訓をさせられたからね」

 

「くくく・・・・・面白い。俺達はさらなる成長へ赤龍帝に導かれたか!」

 

バッと片腕を天に衝き上げ数えきれない数の光の槍が具現化し、リアス達に向かって打ち下ろすコカビエルに呼応して光の槍が豪雨のごとく降り注いだ。

 

「朱乃」

 

「はい部長。―――はっ!」

 

堕天使の黒い翼を複数も生やした朱乃が気合を籠った声を短く発し、巨大な雷光の槍を具現化すると激しく回転させて、降り注ぐ光の槍を弾き防ぐその後はコカビエルへと放った。

 

「バラキエルの娘! 父親の血を濃く受け継いでいるようだな!」

 

同じ大きさの光の槍を生み出し放って、朱乃の雷光の槍とぶつけ合い鍔迫り合う。

 

「はぁぁぁぁぁぁあああああああっ!」

 

「ぬぅうううううううんっ!!」

 

気を抜いたら押し負けるそんな戦いに、コカビエルの懐に素早く飛び込む白い小猫。

 

「はっ!」

 

「っ!?」

 

腹部に掌底打ち+仙術を受ける直前に黒い翼を硬質化にして小猫の一撃を防いだが、その一瞬の隙で朱乃の雷光の槍が押し返した。小猫の掌底打ちも防御に徹する黒い翼へ打つべし打つべしと連続で打ち、消滅の莫大なオーラを拳に纏ってリアスが小猫と一緒にコカビエルを殴りにかかった。

 

「クッ!」

 

さすがに消滅の魔力で殴られるのは身の危険すぎる故、光の槍を消す代わりに朱乃の雷光の槍を防御式魔方陣で防ぎながら後ろへ逃げつつ雷光の槍の軌道を強引に反らし、背後の壁へぶつけることで回避をした。

 

「ギャスパーッ、停めなさい!」

 

「はっ、はぃぃぃぃ!!」

 

「っ!?」

 

主の指示に人見知りが激しい弱いハーフヴァンパイアの目が妖しい赤い光を放ってコカビエルの体を停止させた。常人では見えない高速移動しながら剣を振るい斬り合っている木場とフリードも反応する。

 

「あんれぇボスゥッ!? さすがに雑魚っすぎやしまいませんかねぇー!?」

 

「キミも同じ末路を迎えるさ」

 

「調子くれてんじゃねぇぇぇぇぞぉぉぉぉっ!」

 

鍔迫り合い中に起きた出来事に目を丸くするフリードが、木場の一言に憤怒の形相と共に力任せで戦いの最中にしなかった雑な振るい方をしてしまい―――。

 

フッ!

 

木場がフリードの視界から消え―――。

 

バッ!

 

刹那、フリードは無数に切り刻まれて大量の血を迸り床を赤く染めた。

 

「―――んだ、それ。強すぎんだろ・・・・・世界を相手に強くなったはずの俺と何が違うんだよ」

 

「決まっている。自分自身と戦った経験の有無だ」

 

「意味がわかんねー・・・・・」

 

木場の前に倒れ伏せるフリード。

 

「部長、どうしますか」

 

「白龍皇のメンバーである以上、放置できないわ。後で連行するために殺さず拘束して先に進みましょう」

 

「では部長。その役目は私にお任せください。その手の方法も取得しましたの」

 

そう言う朱乃が簡単に解除できない拘束の術式魔法をコカビエルとフリードに施した。

 

「さぁ、おそらくディオドラはあの向こうよ。気を引き締めてアーシアを取り戻しに―――!」

 

ドッガァァァァァアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

『ディオドラァァァァァァァァッァァァァァァァァァッッ!!!!!』

 

爆発の轟音と同時に獣の叫びにも似た声が神殿の奥から聞こえだした。忘れてはいなかったが怒り狂っている赤い龍が今度は獲物を逃さんと襲っているのだろう。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアァーッ!!?」

 

次にディオドラらしき叫びが聞こえすぐに駆け出した。リアス達が辿り着いたのは―――最深部にある神殿だった。その内部に入って行くと、前方に巨大な装置らしきものが姿を現す。壁に埋め込まれた巨大な円形の装置で、あちこちに宝玉が埋め込まれ、怪しげな紋様と文字が刻まれていた。装置の中央に連れ去られたアーシアが磔されている。

 

「アーシア!」

 

「部長さん!」

 

見た限り外傷は無い様子で安堵で胸を撫で下ろす。次にDとディオドラの存在だ。しかし―――どこにもいない。あの邪悪な気配と膨大な魔力のオーラすらも感じない。強いて言うなら、神殿の床を赤く汚している液体ぐらい二人がこの場にいた証だけ残っていた。どちらの血なのか、リアス達はそれよりもアーシアの救出の方へ優先するべく装置に近寄るが―――アーシアは恐怖の色を顔に浮かべて叫んだ。

 

「皆さん逃げてください! ―――上にいます!!」

 

上―――!?

 

アーシアの指摘に全員が見上げると・・・・・トカゲのように神殿の天井に四肢で張り付いているDがいた。それだけならいいが、三頭の内の二頭が真っ二つに分かれたディオドラを頬張って捕食している最中だった。さらに体の大きさが一回り大きくなっているのでリアス達は絶句した。

 

「イッセー!?」

 

「・・・・・理性を失っていませんか」

 

「もしそうでしたら、戦うしかありませんわ」

 

「こ、怖いですぅぅぅっ!?」

 

「・・・・・っ」

 

下にいるリアス達に気付き頬張っていたディオドラを吐き出し、リアス達の前に捨てるとDも降り立った。『真なる覇龍』を解除して一言。

 

「・・・・・疲れた」

 

「・・・・・え? あ、そ、そう・・・・・お疲れ様」

 

直ぐに戻らないのか、リアス達から離れ石柱に背中を預けながら座れば、展開した魔法陣から大量のアップルパイや他の料理を出してショタ狐になりながら食べ始める。

 

「・・・・・大丈夫、みたいね。・・・・・よかった」

 

「あらあら、うふふ。可愛らしい姿ですわ♪」

 

「・・・・・狐、妖狐?」

 

「え、えっと・・・・・」

 

「部長、今の内にアーシアさんを」

 

木場の催促にリアス達は今度こそアーシアを拘束する装置に近づき、彼女を解放するべく色々と試してもビクともしなかった。剣を斬りつけても力尽くでも、雷光と消滅の魔力を当ててもビクともしない。

 

「・・・・・手足の枷が外れない、どうして?」

 

「・・・・・私達ではアーシアさんを解放できないみたいです」

 

「となると・・・・・」

 

最後の希望、一縷の望みとして全員がDへ視線を送った。まだアップルパイを食べている最中だった彼に近づくリアスが訊く。

 

「イッセー、あの装置は何なのかディオドラから訊いた?」

 

「・・・・・結界系神滅具(ロンギヌス)、『絶霧(ディメンション・ロスト)』。効果、神器(セイクリッド・ギア)能力、増幅、反転(リバース)。効果範囲、このフィールド、観戦室」

 

「・・・発動条件は?」

 

「・・・・・ディオドラ、倒れる」

 

そのディオドラはDが殺害してしまったために、発動条件は満たしている。

 

ギュゥゥウウウウウウウウン。

 

静かに装置が動き出した。ついに稼働した装置にリアス達は再度攻撃を加えるが―――ビクともしなかった。アーシア自身にも神器(セイクリッド・ギア)の影響が及んでいて、彼女に降りかかる魔力なども装置が強力に弾いていた。

 

「イッセー、あなたも手伝いなさい!」

 

「・・・・・魔力、体力、無し、体力、回復中」

 

「・・・・・その為に食べていたんですか」

 

空腹ではなく、体力を戻すための食事行為だとわかったところで危機的状況は変わらない。

 

「では、魔力をどうにか回復できればこの装置を何とか出来るのですか?」

 

「・・・・・可能、体力、皆無、現状、一つ。でも、言いたくない」

 

「ダメよ言いなさい。それは何? 今すぐできることなのならば協力をするわ。アーシアを救えるなら何だってよ」

 

「・・・・・何でも、安請け合い、後悔、ダメ」

 

「今は本気よ」

 

本気と書いてマジ、と訴える真摯な瞳を見てしまったDは危機的現状の打破をするべく行動する他なかった。

 

「・・・・・魔力の譲渡、魔力吸収、両者、キス「私がしましょう」密着、効果向上・・・・・そう」

 

「朱乃!? 答えるのが早いわよ!?」

 

素っ頓狂に驚くリアスにそう言わせる朱乃の返事。

 

「この場において私が適任である以上当然ですわ。リアス、あなたは公爵家の令嬢なのだから付き合ってもいない殿方に唇を捧げたら問題でしょう? 主の操を守るのも眷属の務めよ」

 

そそくさとDに近寄る朱乃の肩を掴み止めに掛かるリアス。

 

「アーシアの主として身体を張って助けるのは当然でしょう。家のことや世間のこととか関係ないわ」

 

「あなたがどうこう言おうと周りはそう限らないですわ。ライザー・フェニックスの時のようにもうわがままを言える立場ではないでしょう」

 

「大切なアーシアを助けたい気持ちがわがままなのかしら? そう言う朱乃からは不純な動機で助けたいだけじゃないの?」

 

「困りましたわ。アーシアちゃんを妹のように可愛がっていたのはリアスだけじゃないというのに」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・ッッッ!!!

 

両者、引かず。蚊帳の外に置かれた、いつの間にか木場と小猫、ギャスパーがDの傍に移動していてDと共に呆れていた。

 

「・・・・・こうなる、予想、言いたくなかった」

 

「・・・・・あなたの気持ちが判りました」

 

「部長、朱乃さん。喧嘩している場合ではありません!」

 

「ア、アーシアさんを助けないとぉー!?」

 

二人のお姉様が言い合っている間に、装置の方も宝玉が点滅し出して時間の問題であった。小猫がDに訊く。

 

「・・・・・あの、私の魔力でも足りますか」

 

「・・・・・男女、問題なし」

 

「・・・・・じゃあ、私の魔力をあげます。ですからアーシアさんを助けてください」

 

「・・・・・了解」

 

元の姿に戻ったDが胸の中に抱きしめた小猫と口づけを交わし、口の中に舌も入れて小猫の目が驚きで見開いても、蛇のように舌を絡め貪欲に啜るように吸い、彼女から魔力を吸収していく。

 

「「あああっ!?」」

 

二人の口からいやらしい水音が漏れ、小猫の顏は酸素不足に陥ったかのように紅潮し、足がガクガクと打ち震える。それでも魔力吸収もとい供給行為は数十秒も続き、Dが小猫から離れるまで終わらなかった。

 

「・・・・・ん、少しだけ、感謝」

 

二人の口からできた銀糸で繋がり、すぐに名残惜しそうにプツと途切れた。小猫に感謝の言葉を送っても初めての感覚に翻弄され、意識が朦朧として魔力をほぼ吸い尽くされて体力を無くした小猫はグロッキー状態。疲弊した彼女を床に寝かせてDは手に赤い宝玉がある紫色の籠手を装着した。アーシアに近づき枷となっている装置を触れると。

 

ギュゥゥゥゥン・・・・・。

 

装置の動きが止まり、Dの握力だけで破砕して次々とアーシアの枷となっている部分を壊してようやく解放が叶った。

 

「・・・・・助けた」

 

「ええ、ありがとう。・・・魔力はもういいのかしら」

 

「・・・・・グレモリー家、痴態、詳細」

 

「待ちなさい!? どうして晒してもいない痴態をお母様に報告するのよ!」

 

自分の胸に手を当てて聞けと言いたげな目をするDの心情を気付かない、慌てふためくリアス以下の眷属達は先ほどの件で報告されようと擁護しなかった。木場は改めて質疑した。

 

「今更ですが、どうしてここに? アザゼル総督の指示で?」

 

「・・・・・否、この一件、非優先、学園警備優先、ディオドラ、指示、学園の破壊、数多の悪魔による襲撃、報復」

 

「やはり、ディオドラの話は本当だったのですね。被害は?」

 

「・・・・・甚大、放置、女子寮、無傷」

 

『女子寮の守護者』の名だけは守った。しかし、学園の被害はどうしても守り切れなかったことに怒りを覚え、次元の狭間を越えて冥界で何事もなく行われる筈だったレーティングゲームのフィールド空間を単独突破し、ディオドラの殺害でやってきた事実をリアス達は容易に思い付き、脱帽した。

 

「・・・・・仕事、増えた。おのれクソ悪魔どもめ」

 

「ねぇ、こっちを見ながらクソ悪魔ってなんだか私達まで含まれている気がしてならないから、別の言い方をしてくれると嬉しいのだけれど」

 

「・・・・・わがまま」

 

「これすらわがままなのかしら・・・・・っ」

 

理不尽に思えてきたリアス。さすがに苦笑を浮かべる木場は礼を述べる。

 

「Dさん。今回はありがとうございました。僕達だけじゃアーシアさんを助けることはできませんでした」

 

「・・・・・結果的」

 

「だとしてもです」

 

「・・・・・そう」

 

出しっぱなしの食糧のところへ戻り、まだ回復していない体力のため再び食べ始めだすD。それを見てリアスは尋ねた。

 

「食べて足りるの?」

 

「・・・・・雀、応急」

 

「じゃあ、家に来てくれるならもっと食べさせてあげれるわよ」

 

「・・・・・やだ」

 

断られてしまったリアスは思わずムッと腹が立った。

 

「何でよ。お礼に食べてほしいだけなのよ?」

 

「・・・・・貴族、礼儀正しい、作法、食べ方、強いられる、食べた気がしない」

 

「それ、兵藤家の方でも変わらないんじゃないの?」

 

Dは元天皇家の一族の出身の元人間だったことはリアス達も知っている。なら貴族と異なる作法を教え込まれているはずだ。それも当主の親族ならばなおさらだと思ったリアスだったが。

 

「・・・・・普通、途中、一人、暗い牢屋、腐った、カビのパン、水、主な食事」

 

力の大会時の映像で知ったDの新事実。最初は耳を疑ったが、それが事実だと知った時は言葉では言い表せない気持ちを抱いた。どうしてあの子が、何であの子が―――と自分が何を言ったところで思ったところでDには意味ない事だろうとわかっていてもだ。

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