ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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Dという男

 

 

体育祭兼文化祭が終わりを迎えた駒王トレセン学園。親も生徒もウマ娘も帰路に着く頃、来訪者が現れる。

 

「よぉ、D。ちょっくら話を聞かせて欲しいことがある」

 

「少しだけいいかな?」

 

夕日が沈む朱色に焦げたような空、窓から入ってくる朱色の光に照らされるアザゼルとサーゼクスの二人から学園内の見回り中に話しかけられ、無視する風に二人の間を通り過ぎるもついてくる。アザゼルとサーゼクスは無視されたわけではなく、歩きながら答えてやると背中で語るDに察したのだ。

 

「・・・・・内容」

 

「兵藤の若造共の額のことだ。ありゃ呪いの類いか? お前がやったのか?」

 

「・・・・・兵藤家当主、大統領、性欲の獣、死刑宣告、恐怖と絶望、アジ・ダハーカ、魔法、魂、共有、共感」

 

「共有ってことは、死もか?」

 

「・・・・・肯定」

 

「共感とはすべての苦痛を味わわせるためだね?」

 

「・・・・・正解、犯罪、言動、激痛、解呪、死」

 

 

否が応でも呪いを受けた彼らはもう死んだようなもの。一人死ねば一人も残らず他の者にも平等な死を与えられる話はまだされていない様子。アザゼルはその話を知ってるのかと問い掛けたら、知らないと返された。

 

「・・・・・教える、勝手、満足?」

 

「とりあえずな。というか、どうしてしなかったんだ? お前なら死刑宣告されて、生殺与奪の権利を得られたら喜んで殺しても不思議ではなかったんだが」

 

否定しないDは淡々と答える。

 

「・・・・・あっという間、終了、拒絶、今日、苦痛と恐怖、絶望、因果応報、優先」

 

「おいサーゼクス。ここに魔王がいるぞ。コエー発想を現実にした魔王がな」

 

「彼等が今まで積み上げた罪の清算をするための、一足早く地獄を体験しているだけのことだよアザゼル」

 

首肯するD。アザゼルとサーゼクスも自業自得として彼等に助け舟を出さない。

 

「それで、彼等は?」

 

「・・・・・教室、謹慎、断食」

 

歩きながら話している間に件の教室の扉を開いて入ると、自分の席に腰を落としてピクリとも動かない兵藤家の生徒が外がいた。暗くなってきても誰一人、灯りを点けない辺り自由も禁じられてトイレにも行くことができずにいるようで、異臭が漂っている。

 

「・・・・・現状、終了、維持」

 

「なるほどな。死刑宣告をされた者の末路は相変わらず人権を奪われるな」

 

「彼等は死を招く結果を自らしてしまっただけだが、それも日頃の悪い行いをした事だと受け入れるしかあるまい」

 

「・・・・・死んで当たり前、学園内、生徒及び教師、誰も悲しまない、当然の報い、殺害、現状、許容」

 

人差し指から雷が迸り、威力は静電気並みであるが絶え間なく浴びされると静電気を受け身体を打ち震わせてる一人に呼応して他の者達にも同じ苦痛が感じてる様子なのに、声をあげれずただただ苦痛を受けるしかないでいる。

 

「本当に共有してるな。だが、もっと早く呪いを施したら被害も少なくできたんじゃないか?」

 

「・・・・・同感?」

 

「似た気持ちはあるが、相手は国を統治する一族の者だから呪いなどすれば黙ってはいない。だからずっと殺さずにいたのだろう?」

 

「そういうことか。生殺与奪の権利を得たから遠慮する必要なくなったんだな」

 

無言で頷くDが教室を後にする。アザゼルとサーゼクスも続いて出てから扉を閉めた。

 

「そういや、綱引きは見物だったぜ。次はドラゴンアップルパイが報酬だったらもっとやる気出るか?」

 

「・・・・・ん」

 

「そうなのか。では、冥界やリアス達が―――」

 

「そっちは断固拒絶する。頑張って」

 

「お前なぁ~・・・・・」

 

アザゼルとサーゼクスと別れ、仕事を終えて寮長室に戻るDはパソコンと面向かって誰かと喋っている貞塚玲子の横を通り、魔法の道具である大きなガラス玉に触れて、中にいる戦車道の少女達の様子を確認しに入った。

 

現時刻は21時過ぎであるが、別荘ではまだ起きている者は多かった。寝ている者もいるだろうが、複数の学園艦から集まった者同士が会話の花を咲かせるのは当然だろう。

 

「あ、アニキー!」

 

アンツィオ高校の一人の女子が気付き、その声に反応する面々。Dに歩み寄る彼女等が次々と話し掛けた。

 

「お仕事お疲れっす!」

 

「何か食べるならパスタどうっすか!」

 

「お風呂入るなら背中を流しますよ」

 

「私らと遊びますかー?」

 

矢継ぎ早に言葉をぶつけてくるアンツィオの勢いに一言も話せないまま、受け取ったパスタを一先ず食べる。

 

「・・・・・美味」

 

その一言でアンツィオ高校の少女達はDをテーブルに案内して置いてあった料理を持って、食べさせようと盛り上がる。

 

 

Dさんが来ていると知ったみほ達は話してみたいと思いで別荘から出てすぐ、土でできた複数の大きな人形を動かして取っ組み合いをしている少女達の光景に出くわし、最初は面を食らったものDの後ろ姿やその隣にピッタリと立っているまほの姿を見つけて、近づいた。

 

「Dさん」

 

「・・・・・ん」

 

「これは、何をしているんですか?」

 

「・・・・・魔法、土人形、ゲーム」

 

魔法により作られた土人形で少女達が遊んでいる、という言外にみほ達は理解した。実際に押し倒して勝利したアンツィオ高校が盛り上がっている。負けた黒森峰女学園側はどんまいムードで勝負していた少女に労いの言葉を掛けていた。

 

「楽しそうだな」

 

「そうですねー。動かし方はどういう感じなんです?」

 

「・・・・・魔方陣、光る円陣、立つ、全身を動かす、動かすイメージ、簡単」

 

次は知波単学園とアンツィオ高校とゲームする様子で、二人が鎮座しているずんぐりむっくりした高さ5メートルの土人形の前に展開してる魔方陣の中に立つと土人形が立ち上がり、少女達の動きに合わせて同じ動作をする。

 

「まるでロボットですね」

 

「戦車よりもつよそー」

 

「さすがにそこまでではないだろ」

 

「そうです!」

 

不意に別荘から飛び出してきた三つの影が土人形を見て騒ぎだした。

 

「おおおー! すごいぴよー!」

 

「逞しい筋肉だもも! あ、土だから筋肉なかったもも」

 

「本物のゴーレム! ゴーレムだにゃあー!」

 

桃の眼帯を付けた少女、猫耳を付けた金髪にメガネを着けた少女、灰色の長髪の少女が土人形を見て楽しそうに盛り上がる三人に小首をかしげる。

 

「Dさん」

 

まほがDを見上げ、まっすぐ見つめながら呼んだ。

 

「この中、魔法の道具はどこに保管されているのですか」

 

「・・・・・俺の部屋、寮長室」

 

「え、Dさんって寮長もしているんですか?」

 

「・・・・・兵藤家、性欲の獣、不法行為、女子寮、利用、一般女子、ウマ娘、守護」

 

「ここの外は女子寮でDさんのお部屋の中だったんですか!?」

 

驚く要素が理解できない、大袈裟に驚く武部佐織の声が他の少女達の耳にも入ってしまった。ざわめく少女達の反応を窺いながら首をかしげる。

 

「・・・・・ダメ?」

 

「あ、えっと、ダメってじゃなくて驚いただけですよ」

 

「・・・・・そう」

 

「ですが、男の人の部屋にいたのですか私達は。気付きませんでしたよ」

 

「空が暗いですからね。この中から出ないと私達はどこにいるのか、道具がどこにあるかわかりませんから」

 

「海の中に沈められても同じことだな」

 

「麻子、それは笑えないよ」

 

空を見上げながら感想を漏らすみほ達の前でまほがまた問う。

 

「Dさんの部屋に入ってもいいですか」

 

「・・・・・興味?」

 

「はい」

 

「・・・・・許可」

 

案内するため歩き出すDと彼の背中を追うまほの姿に、みほまでも姉と一緒にみたいと言い出せば。

 

「あ、あの、私もいいですか!」

 

「男の人の部屋は興味あります!」

 

「私もいいでしょうか?」

 

と便乗する少女達も行きたいと願うので、事前に説明する。

 

「・・・・・幽霊、同棲、不問?」

 

「え、幽霊? もーDさん、幽霊がいるって冗談を・・・・・」

 

「・・・・・いる、見える、触れる、女性」

 

「あはは、Dさん、嘘を言っちゃダメですよ?」

 

「・・・・・百聞は一見に如かず、論より証拠」

 

信じてもらえないなら直接見てもらうまで。という、考えに至りーーー。

 

「・・・・・彼女、貞塚玲子、幽霊」

 

「コ、コンバンワー」

 

魔法の道具から出てすぐに自己紹介する。長い前髪を分けて見える赤い瞳と白い肌。少女達を凌駕する圧倒的な存在感を誇ってる胸の持ち主は、先程まで生配信していたから黒いワンピースと頭にカチューシャを着けたままであった。

 

「・・・あの、本当に幽霊なのですか? 生きている人にしか見えませんが」

 

「・・・・・ん」

 

大型テレビのリモコンを手に取りビデオ画面に変更すると、画面の向こうに深き森とぽつんとある意味深な井戸。テレビ画面に手を触れ、叩いたりしても画面の向こう側に入れることはできないのは、当たり前なのだから。しかし、彼女だけは違った。

 

「・・・・・幽霊、証、入って」

 

「信ジテモラエナクテモ、私ハ気ニシマセン」

 

「・・・・・虚言、認識、やだ」

 

「仕方アリマセンネ」

 

苦笑を浮かべ、Dの為にテレビ画面に頭から潜らせて、胸、腹部、下半身の順にビデオの中へと玲子は入って行った。逆に現実世界に出ようと頭から・・・・・顔を隠す形で長い前髪が玲子の赤い目を隠し、D達を隙間から見る瞬間は、まさしく幽霊が生者を襲おうとする姿そのものだった。

 

「お、お化けだぁ~!!?」

 

「きゃー!?!?」

 

「お、おおう・・・・・」

 

「凄いですね。テレビを自由に出入りできるなんて」

 

「ちょっと、言う感想が違うと思うよ・・・・・?」

 

「・・・・・」

 

Dに抱き付く佐織と麻子。口を開けて唖然な優花里。怖がるどころか感嘆の念を口から漏らす花に苦笑いするみほ。まほは口を閉ざしてじっと玲子を見つめるだけであった。

 

「・・・・・真実、理解?」

 

「く、来るんじゃなかった・・・・・! どうしてくれる、これから一人でテレビを見れなくなったじゃないかっ」

 

「いや、麻子。夜だったら早く寝ればいいだけじゃん」

 

「不思議です! テレビでこうなるならパソコンだとどうなるのでしょうか!?」

 

「確かに気になりますね」

 

「あはは・・・・・二人とも、すっかり慣れちゃってる。・・・・・お姉ちゃん?」

 

「・・・・・」

 

まほは周囲を見回す。寮長室の中とは思いの外広く、業務用の冷蔵庫やベッド、テーブルにキッチンといった私生活に欠かせないものは同じ空間に揃っている。何やら女の子が持っていそうな人形や雑誌、D以外のマグカップまである。

 

「・・・Dさんは、いつもこの部屋で暮らしているんですか?」

 

「・・・・・肯定、寮長室、家」

 

「他に家を借りないのですか?」

 

「・・・・・性欲の獣、兵藤家、女子寮、守護、仕事、寮長室、懇意、親しい少女、多数、来訪、借りない、結果、同じ」

 

みほ達の心情は穏やかではない。無理矢理服を脱がされて全裸にされたどころか、触られたり人を道具のように椅子代わりにする、そんな大人と同類な学生がこの学園でも傍若無人な言動をしている。それが許していい筈がない。

 

「兵藤家は、そいつらに対して罰を与えないのか」

 

「・・・・・兵藤家当主、大統領、事実、認知、激怒、死刑」

 

「し、死刑!?」

 

「・・・・・当主、大統領、死刑、生殺与奪、権利、許可、執行」

 

「執行・・・・・Dさんが殺したのですか」

 

問うまほだけでなくみほ達に首を縦に振った。

 

「・・・・・今後、未来、確実、結果的」

 

「未来・・・まだ生きている、ということですか? でも確実って・・・・・」

 

「今はまだ殺していない。でも、未来では確実にDさんが殺す、殺した結果になるってことですか」

 

「・・・・・肯定」

 

優花里の推測は正しいと頷くD。どちらにしろ、死刑執行は生殺与奪を与えられたDの一任されていることは間違いない。人を殺す―――という事実をどう受け止めているのだろうか?

 

「Dさん・・・辛くないんですか? 当主や大統領から死刑をやらされるなんて・・・・・」

 

心配そうに語り掛けるみほであったが、Dはきょとんとした顔で小首を傾げた。

 

「・・・・・否、志願、殺害、初体験、否、慣れ、敵、平然、何十人、殺害、事実」

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

「・・・・・故、兵藤家、生徒、殺害、平常心、無問題、寧ろ、殺害、願望」

 

至極当然のように言うDを少女達は絶句し、既に人を殺している事実を知った怯えた表情で沙織が一歩引いた。それが心底不思議で堪らないDは、手を伸ばすと「いやっ!」と沙織の手で弾かれた。

 

「・・・・・?」

 

何故弾かれた、拒まれた? 自分の手を見下ろして不思議がるDは、怯えた目をして体を委縮している沙織に理解できないと眉間に皺を寄せる。

 

「・・・・・理解、否、恐怖、何故?」

 

「・・・本気で言っているのですか? 人を殺すのは犯罪でありますよ」

 

「・・・・・? 理解、認知、戦争、敵、倒す、殺す、当然」

 

「・・・Dさん。あなたは今まで、今日までどんな人生を過ごしてきたのですか? 殺すのは当たり前なんて言う人はいませんよ」

 

そうなのか? だけど今までそうして来た、そうしないと終わらない戦いを何度も繰り広げてきた、手加減もして殺さずに生かしていた。殺していい者とそうじゃない者は区別、自重もした。それの何がいけない? 自問自答するDは結局答えが出ず、絶対に揺らがない決意を口にした。

 

「・・・・・敵、倒す、絶対」

 

「敵って一体誰なんですか? Dさんにそこまで言わせてさせるほどの敵とは? 兵藤家なんですか?」

 

「・・・・・他、みほ達、関わり、無縁、裏の世界、闇の住人、人ならず者、ドラゴン、神」

 

「Dさんはそれに深く関わっている。だから敵を倒して殺していると言う事なんですか」

 

そうだと頷くDの日常を知らないみほ達は神妙な顔で見つめる。誰にも言えない事情を抱え、誰にも気づかれない、知らない内に敵と戦う日々を送っているDなど想像が難しくて何も言えない。

 

「戦争って、どこの人達も戦っているのですか?」

 

「・・・・・一言、テロリスト」

 

「テロリスト・・・・・あなたもその戦争に身を投じて戦っているのですね」

 

「・・・・・だから、人を殺すのは慣れているとそう言ったんだな」

 

ガラス玉へ指を差す。それに釣られてみほ達もガラス玉に視線を送った。

 

「・・・・・会話、終了、就寝」

 

と言われてしまえば従うしかなく、ガラス玉の中へと戻りに足を運ぶ少女達。

 

「・・・・・問、怖い?」

 

全員を見送った後に玲子へ質問を飛ばした。玲子は首を横に振る。

 

「私ハ死ンデイマスカラ、アナタヲ怖イトハ思イマセン。生キテイタ頃ダッタラ、キット怖ガッテイタト思イマス」

 

「・・・・・恐怖、何故?」

 

「人ヲ殺サナイノガ当タリ前ダカラデス。戦争以外ハ絶対ニデス」

 

「・・・・・」

 

「Dサンハ、敵ヲ殺シテ当タリ前ダト思ッテイテモ、他ノ人マデソウジャナイデス。人殺シハ怖イモノナンデス」

 

怖いもの・・・・・? だから沙織は自分を怖がったのか訊くと玲子に頷かれた。

 

「・・・・・動物、殺害、怖がれるもの?」

 

「動物ハ人間デハアリマセンカラ」

 

「・・・・・分類、人間、動物、生物、同類」

 

「デハ私ハ?」

 

「・・・・・一応?」

 

死んだ人間の霊がしっかりと日常生活をしているために、こればかりは答えに悩むDであった。

 

「Dサン、親シイ人カラ怖ガレルノハ嫌デスカ?」

 

「・・・・・疑問、不明、理解不能」

 

「私ニ怖ガラレルノハ?」

 

「・・・・・逆、怖がられる方」

 

「モ、モウッ! Dサン意地悪デス!」

 

ぷんぷんと怒る玲子が面白いと薄く笑い、彼女の頭を撫でると改めて答えた。

 

「・・・・・・恐怖、非優先、優先、死亡」

 

「・・・Dさん」

 

「・・・・・恐怖、対象、興味なし、理解不能、故、構わない」

 

どうでもいい。それが真っ先に浮かんでくる気持ちだった。怖いなら近づかなければいいだけ。Dもそんな人間がいると知れば自ら好んで近寄らない。沙織がそうであるならそうすると思いながらDは寝る支度をする。

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