ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

52 / 74
デートと北欧の主神と襲撃

 

 

 

若手の兵藤家の当主と大統領の親類同士が体育祭中に一同に会してから幾日が経過した頃。駅近くのコンビニ前に佇む真紅の長髪の青年が私服姿で誰かと待ち合わせをしている風に佇み、待ち合わせ時間である午前十時になろうとした時、しばらくその場から動かないでいると黒基調にベージュのジャケットという、落ち着いた服装一人のウマ娘が青年の眼前に現れた。

 

「お待たせしました。時間通りですね」

 

「・・・・・新鮮、可愛い」

 

「ありがとうごさいます。Dさんも素敵ですよ。今日のために用意したのですか?」

 

「・・・・・ん」

 

首肯するDにウマ娘、エイシンフラッシュは腕時計に目を通して時間を気にした。

 

「それでは行きましょう。時間は有限ですからね」

 

「・・・・・エスコート」

 

「よろしくお願いします」

 

Dから差し出された腕に腕を絡め、嬉しそうに密着しながらエイシンフラッシュはDと歩き出した。

 

『・・・・・』

 

電柱の陰から数多のウマ娘や一般学生の少女達が暗ーい顔を浮かべて、二人を睨んでいたことにその視線に気付いているDと気付いていないエイシンフラッシュであった。

 

 

エイシンフラッシュと出掛け始めて三時間ほど経過した。彼女の趣味であるケーキ店巡りをし全品一つずつ買い出すDにエイシンフラッシュは三種類だけケーキを半分に分けて食べ比べ、ケーキに使用されている材料やカロリーの話題で花を咲かせメモにも取る。その後、服のブランドショップに行っては「Dさん。どうでしょうか?」「それともこっちでしょうか」とエイシンフラッシュの洋服を選ぶだけでなくDの洋服を比べて新しく買うと、次にウマ娘用のスポーツショップに足を運んだ。

 

「いらっしゃい。お、Dさんか」

 

「・・・・・発注、品」

 

「勿論できておりますとも」

 

何か発注をしていたようで店の奥へと姿を消した店長が、大事そうに大きめの箱をDの前に置いた。箱を開け中から出したモノ―――蹄鉄を見て満足そうに頷いた。

 

「・・・・・感謝」

 

「また御贔屓にお願いしますよ!」

 

箱を抱えたまま店長に見送られながら出るDと歩くエイシンフラッシュが訊く。

 

「チームシリウスの蹄鉄ですか?」

 

「・・・・・特注、チーム、証」

 

「彼女達も喜ぶと思いますよ」

 

「・・・・・アレ、でも?」

 

え? とエイシンフラッシュの視界にもう我慢ならんといった具合で爆走してくるウマ娘が入った。その後ろにシンボリルドルフ達や慌てる表情の愛花達まで。

 

「トレーナーァッ!!!」

 

「ト、トウカイテイオーさん!? きゃっ!」

 

「・・・・・撒く」

 

箱を魔方陣の中に収納しながらエイシンフラッシュを横抱きに持ち上げるDが、トウカイテイオーに捕まる前に高々と跳躍、爆発的な脚力でどこかへと移動しながら飛んだ。

 

「よかったのですか? 彼女達から逃げるように撒いて」

 

「・・・・・事前、説明、邪魔、言語道断」

 

それなのに突撃したのはトレーナーのことが気になって仕方がなかっただろうと察したエイシンフラッシュの心情を知らないDは彼女を見た。

 

「・・・・・今日、エイシンフラッシュしか見ない、エイシンフラッシュ、優先」

 

「―――――っ」

 

お姫様抱っこされながら自分を夢中だと言われてしまえば、慕っている相手だったら誰でも胸が高まり動悸が激しくなる。彼女も例外ではなく、熱が帯びて紅潮した顔を隠すこともしないままDを見つめるエイシンフラッシュは脳裏で初めて会った時を思い出した。兵藤家の生徒の被害者であるのは変わりないが、彼女の場合は兵藤家の権力に屈服したトレーナーに裏切りに遭い、見捨てられて無理矢理裸にされてその姿を撮られ、人権が無い奴隷のように扱われる日々を過ごしていた。最初は動物のように扱われ、次にメイドのように扱われいよいよ処女を奪う公開ショーが他のウマ娘達と交えて始まろうとした時。

 

『・・・・・発情、獣、調教、駆除』

 

―――圧倒的な力がウマ娘達を守り性欲の獣を蹂躙した。相手が脅迫しようが恐喝しようが、制止を訴えようが、泣き喚こうが、一切合切無視して暴力を振るい続け文字通り力尽くで黙らした若き警備員と目が合った。が、警備員が性欲の獣を拘束した鎖を掴んで引きずりながらいなくなったので、互いに名を言う事はなかったしできなかった。

 

それから度々トレセン学園までやってくる兵藤家の生徒がウマ娘達に手を出せば、若き警備員が粛清する光景が何度も見受けられ、ウマ娘達を助ける警備員の噂はあっという間に広がった。女子寮も彼が寮長として守っているという話も聞き、トレーナーを信じられなくなってチームから離れていたエイシンフラッシュはようやく話しかける。

 

『あの時、助けていただきありがとうございました。私はエイシンフラッシュです』

 

『・・・・・D』

 

『Dさん・・・Dさん、お礼をしたいです。何か私にできることありますか?』

 

『・・・・・アップルパイ、所望』

 

『それをご用意すればいいのですか?』

 

『・・・・・ん』

 

ならばそれに応えようとドイツ生まれで実家はケーキ屋の娘として、最高のアップルパイを作った後日に渡すと警備員は―――。

 

『・・・・・美味い』

 

『え・・・・・?』

 

身体が子供のように小さく、頭や腰から狐耳と九本の尻尾を生やすという信じられない姿になったのをエイシンフラッシュは一番最初に目撃したのだ。そしてそれから度々アップルパイを作って警備員を喜ばしつつ交流をしていくうちに、惹かれていき好意を抱くようになった。警備員がトレーナーまでなったことを知った時にはすでにエイシンフラッシュは、女性トレーナーのチームに加わっていたためにチームシリウスに入ることができなかったが、理事長が決定した学園内限定の恋愛届を提出済みなので警備員と恋人関係になった居間では幸せ絶頂期である。

 

「・・・・・エイシンフラッシュ?」

 

いつの間にか地上に降り立っていたDの呼び声で我に返った。名残惜しくも逞しい腕から降りて離れた矢先・・・・・エイシンフラッシュの視界に「休憩〇円」「宿泊〇円」の文字があちらこちらに・・・・・。辺りはラブホテルばかりでエイシンフラッシュは顔を最大まで真っ赤にした。

 

「ディ、Dさん・・・・・! こ、ここって・・・・・!」

 

「・・・・・? 適当、降りた。場所、初めて」

 

D本人は意図的ではなく偶然だと主張するもエイシンフラッシュは羞恥心のあまりにもじもじしながら顔を俯いた。

 

「・・・・・あ、あの、ここがどんなホテルか・・・・・知っていますか?」

 

「・・・・・不明、エイシンフラッシュ、認知? 楽しい?」

 

「・・・・・ぁぅ」

 

好きな人と、またはそういうことをしたい者同士が利用する宿泊施設だと口から出せるはずがなく、もじもじと乙女で純情な反応を見せた。

 

―――お父さん、お母さん。エイシンフラッシュは今日、慕っている男の人と結ばれるかもしれません。

 

不思議そうにホテルの看板を見つめるDを視界に入れながら、誰よりも近くに居座っているシンボリルドルフ達より早く一バ身、二バ身・・・いや、三十バ身以上も大逃げすることができるかもしれないこの機会を逃したらいつ巡れるか分かったものではない。

 

「・・・・・休憩、願望?」

 

休憩するためのホテルならば、休憩しようかと純粋無垢に問いかけたDの反応にエイシンフラッシュは小さく恥ずかし気に頷いた。彼にその気も変な気は起こしはしない。それはDに対して断固たる信頼と信用しているエイシンフラッシュが父と同じぐらい心を開いている証。だから頷いた。しかし、しかしだ。万が一、そう言う事をする雰囲気になってしまったら・・・・・流されてもいいと思っている自分がいることも事実だ。

 

伸ばしてくるDの手を見て、エイシンフラッシュも手を伸ばして二つの手が重なった時に話しかける者がいた。

 

「まったく、見ない内に昼間っから、女を抱こうなどとするまで成長しておったか、やりおるわい」

 

二人が声のした方へ振り向く。現れたのは帽子を被ったラフな格好の老人。背後にガタイの良い男とパンツスーツを着込んだ真面目そうでサラサラしてる銀髪のロングストレートの女性を連れていた。

 

「・・・・・オー爺ちゃん、バラキエル?」

 

「・・・お知り合いですか?」

 

「・・・・・交流、知ってる」

 

掴んだ手は離さないまま三人に寄るD。

 

「・・・・・バラキエル、久しぶり、オー爺ちゃん、何故?」

 

「久しぶりだな。お前の話はアザゼルから聞いている。だが、質問を質問で返すがお前はどうしてここにいる」

 

「・・・・・偶然、休憩」

 

「この辺りのホテルがどういう意味があるのか知っているのか」

 

「・・・・・? 休憩、見聞、否?」

 

ガタイの良い男性、バラキエルは困ったように眉根を寄せて、久方ぶりに合う少年から大人になった男は相も変わらずかと内心溜息を吐いた。

 

「なんじゃ孫よ。まだその手の知識をちっともないのにここにおったとは。この辺りはのぉ、エロいことをたくさんして子作りをするホテルばかりなんじゃ」

 

「オ、オーディン様! 口出さなくていいことを言ってどうするんですか!」

 

銀髪の女性が怒り出した。それに対してオーディンと呼ばれた老人は呆れ顔で言い返した。

 

「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」

 

「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。あなた達もお昼からこんなところにいちゃダメですよ」

 

ロスヴァイセと言う女性の一言にきょとんとするD。

 

「・・・・・休憩、拒絶?」

 

「・・・ロスヴァイセ殿。彼、Dは色々と知識不足であり、心にも問題がある。何が良し悪しなのかも理解できない時がある。それが今なのだ」

 

「その彼が今世の赤龍帝なのですか。あのレーティングゲームの時に見た禍々しい姿の結果がこう言う事なのですね?」

 

「それに関しては俺からは何も知らない故に語れない。心の問題に関しては彼が小さい頃―――」

 

それ以上は言わせないと魔力で具現化した剣をバラキエルの首元まで伸ばして突き付けた。

 

「・・・・・余計、不要」

 

「・・・すまなかった、Dくん」

 

直ぐに謝罪したバラキエルから魔力の剣を消失させて、エイシンフラッシュをお姫様抱っこして再び違う場所へと移動した。

 

「Dさん。知り合いの人達を放っていいのですか?」

 

「・・・・・無問題、今、エイシンフラッシュ、優先」

 

「・・・Dさん、はい、デートの続きをしましょう」

 

あれ、これ、デートだったのか? と思いが浮かんだのはエイシンフラッシュに内緒だが、ともかく彼女とのお出かけは夕暮れまで続行した。

 

―――だが、最後まで平和にデートができなかった。女子寮へ帰路を着く途中、闊歩する人々に紛れて赤になった信号の前に待っていた時だった―――。突然、ぬるりと生暖かい感触がDとエイシンフラッシュの全身を包み込んでいった―――。

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

「・・・・・え?」

 

状況が理解できなかった。霧で目の前が見えなくなったと思えば急に霧が晴れた。一瞬だけ起きた自然現象のものかと思ったが、周囲にいた人々がDとエイシンフラッシュを残して突然いなくなってしまった。逆にそれが不気味だとDの腕にしがみ付き周囲を不安げに見回す。

 

「Dさん、これは一体・・・・・」

 

「・・・・・」

 

片目を細めるDを見て、最後まで言えなかった。兵藤家の生徒には見せなかった警戒しているDの表情は、この状況は好ましくないという表れに見えてますます緊張するエイシンフラッシュ。少しして二人の足元に霧らしきものが立ちこめてきていた。これからどうするかエイシンフラッシュはDに身を委ねるしかない最中、二人の前方の歩道から複数の気配が現れる。薄い霧のなかから人影がいくつも近づいきて、二人の前に姿を現す。

 

全員学生服の上から漢服らしきものを身に包んでいるか着込んでいる。そして全員、日本人や外国人と武器を持っていたりいなかったり特徴がバラバラだ。

 

「赤龍帝だな」

 

「・・・・・・だったら?」

 

「貴様を殺す」

 

「・・・・・そう」

 

なぜ―――っ!?

 

いきなり現れた謎の集団にDの命が狙われている。しかもそれを当然のように受け入れるDもDもだ。まるでこうなるのが当たり前だとばかりエイシンフラッシュがいる中でも、殺し合いが始まろうとしている。

 

「ま、待ってくださいDさん、彼等は兵藤家の・・・!?」

 

「・・・・・・別、テロリスト、兵藤家、それ以上、強者、集団、その一つ」

 

テロリスト!? 何故トレーナーがテロリストと戦っているのかエイシンフラッシュは理解に苦しんだ。そしてこれからテロリストの彼等を殺そうとするなら、止めなければならない。

 

「無茶は承知です。殺さないでくださいっ」

 

「・・・・・甘い、殺さない、生かす、テロリスト、逃走、二度目、襲撃、同じ、繰り返す」

 

「あなたなら捕まえることが容易い筈です。彼等を警察に連絡して受け渡しをすればいいではないですか」

 

「・・・・・人間、警察、不可能、全員、多種多彩、異能持ち、神器、所有者、ウマ娘、同様」

 

私達が宿しているウマの魂が封印された神器―――!? 話している内にテロリスト集団の一人が弓矢に摩訶不思議な力を宿して放った。それは二人に向けられたものではなく、二人の足元の影に突き刺さった。

 

「・・・・・動けない」

 

「え、あっ!?」

 

「今だ、攻撃しろ!」

 

影に矢で刺すと相手の動きを封じる能力の神器らしく、Dですら動けなかった。―――否、動く必要はないと言った方が正しい。何故なら・・・・・二人の影から華奢な手が生えて、矢を抜きながらずるりと出てきた二人の少女達の存在に気付いていたからだ。

 

「あなた達・・・・・覚悟は良いですね・・・・・?」

 

「いっくんを殺すつもりなら絶対に容赦しないよ」

 

影と闇が水のように悠璃に集まり、掌の中で小さく灯る黒い炎を握り潰した楼羅の全身が発火した風に燃えだした。二人が手を振るうと炎の壁が出来上がり、さらに闇色の壁が出来上がって二重の防壁が出来上がった。それは四人を半球状に囲いつつ上に穴を残して形成している。

 

「・・・・・戦う?」

 

「いっくんを手出しする輩は許さない。だからいっくんは見ているだけでいいよ」

 

「強くなった私達を見守ってください」

 

「・・・・・わかった」

 

代わりに戦うというならこれ以上は何も言わない、とばかりにエイシンフラッシュを金色の翼で覆い腕の中に抱き留め静観の姿勢に入る。そんなDに抱きしめられているエイシンフラッシュが羨ましいとばかり悠璃が口に出した。

 

「いっくん! 戦いが終わったらご褒美に今夜は一緒に添い寝したい!」

 

「同じく」

 

「・・・・・頑張れ」

 

やる気を漲らせる二人の手によって障壁は解除されると、防御障壁を突破せんと奮闘していた様子のテロリスト集団がすぐ目の前にいて、楼羅と悠璃の実力に圧倒される。

 

「もう一度!」

 

相手の動きを封じる矢が放たれる。それを悠璃の物質化した闇が蠢きながら粉々にするほどの力で打ち払った。ならば近距離だと武器を構えながら接近する数人の前に楼羅が立ちはだかり、神器によって具現化した武器の一撃をその身で受け止めた。これで戦闘不能―――。

 

「効きませんね」

 

受けて負った傷が燃えながら再生した。それどころか一人の持っている槍に腹を貫かれている状態だというのに、まったく痛がらないどころかダメージを負っている感じではないことに目を見開くなというのは無理がある。

 

「な、何の神器だお前!?」

 

「敵に情報を公開する筈がないでしょう」

 

自分の腹を貫く槍を掴む楼羅の手から黒い炎が発生して使い手まで燃え移る。全身に黒い炎で燃える痛みは壮絶の様子で暴れ狂い、炎を消さんと激しく動く槍使いと接触した者まで燃えだす。

 

「殺しはしませんよ。しかしその代わりに痛みを味わってもらいますが」

 

放射状に広がる黒い炎に触れればたちまち毒に蝕まれるが如くテロリスト達の体が燃えて永遠の痛みを与えられる。本人に物理攻撃を与えても通用しないのであれば敵うはずがない。

 

「ほらほら、早くしないと沈んじゃうよ?」

 

テロリスト達が自身の影の中に沈んでいく。それは悠璃の影と繋がっている状態であって、彼等が水の中に沈むが、泥のように重たく動けば動くほど、もがけばもがくほど闇に沈む速度がさらに進む。

 

「く、くそっ・・・!! こうなったら道連れにでも―――!!」

 

脱出は不可能と察した一人が全身を眩しいまでの発光の閃光を迸らせた。何をする気なのか悠璃は相手の情報を毛頭もないが、知らずとも別にいい。理由はただ一つ。

 

「えい」

 

ヌプン。

 

さっさと影の中に沈めればいいだけ。影の中は暗黒の世界。広さは地球規模、その中での移動速度は夜間限定で北海道と沖縄・・・悠璃に触れながらではないとダメだが、数人以上だろうとどこへでも一瞬で移動ができる。なお、そうじゃない場合は影に閉じ込められるわけでなく地中に沈められるだけで、最悪その中で圧死する。

 

一方―――。

 

「「・・・・・」」

 

天使の翼に覆われて戦闘は見れない、戦いの音とテロリスト達の声も聞こえない。翼の向こうはどうなっているのか、気になるがDが知らずともいいとばかりにウマ耳を手で押さえるので何も分からない。

 

「・・・Dさん。Dさんはいつも私達の知らないところで戦っているのですか? これからも戦うのですか?」

 

「・・・・・誕生、ウマ娘、足る、駆ける、運命、同じ」

 

戦いから逃れられない、避けられない。そして傷つくDを思うと胸が痛く苦しくなり、エイシンフラッシュは兵藤家の生徒にも抗えない無力な己を初めて恨み呪ったところで翼が広がった。Dから視線を変えてみると、楼羅と悠璃だけしかおらず、テロリストたちの姿はどこにも見当たらなかった。

 

「いっくん、終わったよー」

 

「帰りましょうか」

 

「・・・・・ん、感謝」

 

徐に握った拳を横凪ぎに振るって何かを殴ると一部の空間が、大気がガラスのように砕けて穴が出来上がると先にDとエイシンフラッシュが潜り、楼羅と悠璃も続いて現実世界へ帰った。

 

 

 

 

アザゼルside

 

 

「・・・・・却下」

 

北欧の主神オーディンが日本に来訪したその日の夜の帳が降りた頃を見計らってDに誘いの一言を掛けた。理由は護衛だ。本来、爺さんの来日は俺が聞いていた日程はもう少し先だったはずなのに、北欧の神界で厄介事を抱え、厄介なやつに事を起こされる前に早めに行動したらしい。今回来日の主目的は日本の神々と話をつけたいからだ。ユーストマとフォーベシィが仲介で、俺が仲介に同席―――とな。それを難癖をつけた北欧神話の神々の誰かに狙われているとならば、護衛に力を入れるのは当然だろう。真っ先にその護衛に適した人材に声を掛けたのがDなんだが・・・・・案の定断ってくれた。

 

「断る理由は? 相手は神でその護衛だぞ。結構重要な仕事なんだが」

 

「・・・・・優先、学園、学園外、問題、巻き込むな」

 

「ディオドラみたく協力してくれないか?」

 

「・・・・・ディオドラ、学園の破壊活動、禍の団、反魔王派、指示、報復、今回、否」

 

こいつ・・・・・学園というドラゴンの巣にちょっかいを掛ける奴が現れない限り、世界がどうなろうと知っちゃこっちゃないって考えをしていやがる。俺が警備員になれって仕向けた手前、融通が利かなくなっちまったか。

 

「兵藤家のガキ共はすっかり大人しくなっているじゃないか。少しぐらい目を離しても問題ないだろ」

 

「・・・・・その少し、油断大敵、油断禁物、戦闘、同格」

 

「そりゃそうだが・・・分身体だけでも賄えるだろ」

 

「・・・・・ヴァーリ、クロウ・クルワッハ、連絡」

 

そう来たか。神と戦う可能性があるから協力してくれないかと言えば喜々と来てくれるだろう。だがなぁ、今のあいつらの立場はそう簡単に動かせれないんだよな。ていうか、こっちから言わずともやってきそうな節があるがな。

 

「あいつらは勝手に来ると思うぞ。その上でお前にも協力を求めているんだ」

 

「・・・・・」

 

「おいこら、心底面倒臭いって表情をするんじゃねぇよ。じゃあ、お前の代わりに学園を警備する奴を派遣するって言ったら?」

 

「・・・・・誰?」

 

あー・・・・・そう言われると適任者がいねぇな。D自身も納得いくやつじゃなきゃ認めてくれなさそうだ。イチかバチか・・・・・。

 

「鳶雄達とかどうだ?」

 

「・・・・・不向き」

 

「デスヨネー」

 

やっぱり駄目かー・・・・・。言っておいてなんだが俺もそう思う。弱くはないが、Dみたいに鬼どころかドラゴンのように兵藤家の若造共を蹂躙できない奴ばかりだ。ラヴィニアに至っては周囲まで氷漬けにしちまうから論外だ。

 

「・・・・・バラキエル」

 

「あいつは元からそうさせている。リアス達やゼノヴィア達にも協力態勢だ」

 

「・・・・・数、十分」

 

「オーディンの爺さんを狙う奴が俺等より格上、神だったら手に負えないんだよ」

 

「・・・・・格上、戦い、成長」

 

「わかっているが、下手したら死ぬぞあいつら。それでもいいのか?」

 

嫌な質問をするが事実でもあるから敢えて言わせてもらう。Dは返答として首を縦に振った。

 

「・・・・・弱者、死、当然、俺も、同じ」

 

「D・・・・・!」

 

「・・・・・二択、一方、見捨てる、リアス達、オー爺ちゃん、どっち?」

 

意趣返しのつもりか、Dも俺に選択肢を突き付けてきやがった。・・・・・だが、その選択をしてくるってことは、お前も護衛に参加してくれるって道理であることを分かって言っているんだな?

 

「・・・・・オーディンを守れD」

 

「・・・・・了解、リアス達、見殺す」

 

「見殺すな。そいつ等も守ってやれ」

 

「・・・・・アザゼル、選択、オー爺ちゃんのみ、適用外、信用、否?」

 

「お前・・・・・」

 

もしかしてお前、リアス達のことを? だとしたら俺は・・・・・くくく、してやられたな。こいつは変なところで甘いようだ。完全に冷徹になり切れないらしい。ま、一部を除いてだがな。

 

「・・・・・仕事」

 

「ああ、仕事中に悪かったな。頑張れよ」

 

「・・・・・アザゼル、気を付ける」

 

「お、お前が心配してくれるなんて珍しいな」

 

「・・・・・多数、女の霊、しがみ付いてる」

 

「ハハハ、何を言ってんだが。・・・・・嘘だよな? おいD、嘘だと答えてくれおーい?」

 

 

 

Heros.

 

「赤龍帝の力は見られず、結果は失敗か」

 

「思わぬ力を確認できただけでも良しとしよう曹操。赤龍帝の方は大体周知されているから多少対応できる」

 

「今世の二天龍は歴代の赤龍帝と白龍皇と逸脱している。ベースは同じだろうが、今後確実に既存の情報が無駄になる変化を遂げるぞジークフリート」

 

「でも本望だろう?」

 

「そうかもな。そうだろうな。それでこそ俺達の目標の達成感が最高になるだろう。それよりオーフィスの方は?」

 

「ダメだ。居座っているだけで何もしようとしない。存在するだけでも力の象徴となるのだからありがたく思えと一点張りだ。そばにいる最凶の邪龍がそう言ってね。反魔王派の苦労の一端を感じたよ」

 

「奴らはオーフィスの力を頼ったが悉く断られ、あまつさえオーフィスを独占しようとした結果がクロウ・クルワッハの蹂躙に遭い、見せしめに数多く屠られたから誰一人として安易に近づこうとしなくなった。オーフィスに近づけてもそれ以上のことはあの邪龍が許さないからな」

 

「ま、力を借りれたとしても反魔王派が潰れる結果は同じだっただろう」

 

「ああ、そうだな」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。