アザゼルとバラキエルが帰ってきたその日。アザゼルから戻って来いと言われても、ドラゴンの数は足りているだろうから協力しないと全力で拒否したD。その後のことはDの与り知らないことであるが、北欧の海に眠っているミドガルズオルムの意識だけを呼ぶことは本当にできたため、ロキとフェンリルの倒す秘訣を得ることができたその日の夜。朱乃の母親、朱璃が暮らす家に招かれ朱璃と挨拶をし、夕餉の時間を過ごし、帰って来たバラキエルを三人で確保し―――バラキエルを介してすごく勉強と観察をする濃厚な時間を過ごした次の日の朝。
「D、これを受け取れ」
「・・・・・大工?」
「ちげーよ。雷神トールのミョルニル、そのレプリカのものだ。神の雷が宿っていて、ハンマーにオーラを注げば任意に大きさを変えられる。オーディンのクソジジイからお前に貸すってよ」
豪華な装飾やら紋様が刻まれているハンマーを持たされたDは、左眼を細めての中のレプリカを見下ろした。
「・・・・・神、武器、可能?」
「お前の言う通り。神しか使えないんだが、バラキエルの協力でこいつの使用をお前でも扱えるよう一時的に変更した。無暗に振るうなよ? 高エネルギーの雷でこの学園が消え去るぞ」
「・・・・・試す、見学」
魔方陣から召喚したガラス玉の中にアザゼルと中に入ってから一分後。出てきた二人、心底困った様子のアザゼルと心底どうでもよさそうなDの表情が別々だった。
「・・・・・いらない」
「いや待て待て! まいったな・・・・・事前に判明できて幸いと喜ぶべきか、しかし・・・・・」
レプリカのハンマーを受け取らないなら捨てるととんでもないことを言い出すDから、仕方なく回収したアザゼルから離れる。そしてまた、誰一人授業を受けている最中にいない無人の廊下を歩くDを求め来たヴァーリと遭遇する。
「D、ロキを圧倒したという北欧の魔術を伝授してほしい。他にも覚えがあるならそれも頼めれるか?」
「・・・・・今夜」
「それでも構わない。そのついでにロキ戦に備えて私と勝負をしてくれ」
「・・・・・そっち、主、目的」
「ふふふ、否定しないよ。だが、その時クロウ・クルワッハも誘ってみるか?」
最後の一言にDは頷いた。
「・・・・・邪龍、オンパレード」
「・・・・・っ。たまらないな、それは」
後日、クロウ・クルワッハはヴァーリからの誘いを嬉しそうに笑みを浮かべながら承諾した。
昼休憩―――。
トレセン学園の警備員室で弁当箱を広げて食べるDと同じ空間で、わざわざ駒王学園から神器の能力で影移動してやってくる悠璃と一緒に来た楼羅達も購買部から購入した食品で食べようとする。敷物が一切ない床で初めて食べた時から、自分達でクッションや座布団、お尻の下で敷けるものを持参するようになったが、最終的にDが8畳ほどの畳を用意して今はそこに座ってもらっている。
「・・・・・駒王学園、警備員室」
「たまにいっくんのように義姉さんと食べてるよ? でも、いっくんと毎日食べたいな」
「お母さんが一緒に食べたいとごねるけどね・・・・・」
「誠輝兄さんや天王と迦楼羅達も行かせているから今はいいけどね」
生贄を差し出した感はあれど、本人達はよければそれでいいらしい。
「ところでいっくん。神器の力で影からいっくんたちの話を聞いていたんだけど、いいの?」
「・・・・・不安要素、皆無」
「うん? 何の話?」
「えっとね、簡単に言うと外国の神様が狙う同じ国の神様がこの国、というかこの学園にいてね? いっくんの力を借りたがっているんだけど。いっくんは学園の警備の方を優先するから戦いたがらないの」
本当に簡単な省略を言ってくれた上に、本当に話を聞いていた事実にDは微妙な気持ちになった。だって、プライバシー侵害な上にストーカー行為なものであるから。
「それ、本当なの? どうして外国の神様がこの国にいるわけ?」
「・・・・・異文化、交流」
「神様でも他の国の神様と交流するんだ。でも、それが認められない、許せない神がいるから狙われているんだ」
「この国、日本の神々と交流と言うことは兵藤家と式森家はこのことを?」
教えるまで一切何も知り得ていなかった両家の当主たちだった。首を横に振るDの仕草に天皇家の頭の上を飛び越えられたんじゃあ、人類最強も世界最高の一族も神の前では良くも悪くも『人間』なのだろうと、そう思った楼羅だった。
「ねぇ、神同士が戦うならこの学園は危なくない?」
「・・・・・会談、別、戦場、別」
「あ、そうなの? でもまぁ、まさか白昼堂々と襲ってくるわけないか。前のような奴らと同じで」
実際に英雄派というテロリストは存在することを聖華は知らない。いや、裏の世界に生きている者以外は殆ど知らない事情だ。兵藤家、式森家ですらたとえ知っていようと深く関与しないだろう。
「前のような? どういうこと?」
「えっとね、似た服装を着た集団がいっくんを殺そうとしてきたの」
「全員、それほど強くはありませんでしたが今でもDさんを襲う理由に疑問を抱いてます」
「ふーん? 誰かに恨まれてるとかされてる?」
恨みを買っているなら兵藤家ぐらいだが、他はそうではないDは否定した。
「・・・・・テロリスト、一派、英雄派」
「テロリストだったんだ? それもあいつら、英雄派なんだね」
「どういう構成かお聞かせ願えても?」
楼羅の質問に淡々と吐露する。
「・・・・・人間、英雄、勇者、子孫、末裔、魂を引き継ぐ、大体、他、全員、神器、所有者」
「「全員、神器の所有者!?」」
驚く聖華と香織に同意するよう頷くDを見て、直接戦闘した楼羅と悠璃は納得の面持ちで理解した。
「普通の人間にしては妙に手強かったなっと思ったよ」
「私たちと戦ったものたちだけでも、兵藤家同世代の者たちと渡り合えますね」
「・・・・・食べる、寝る、性欲、怠惰、連中、勝利、不可能」
「「それはそう」」
遅れて楼羅と悠璃も頷く。
「英雄派かぁー。神器が持っているだけでも入れるなら潜入できるんじゃない?」
「・・・・・気付かれている、調べられている」
「天皇家からテロリストが出たならば、もう兵藤家は事実上の転覆ですよ」
「・・・・・あいつら、なってもおかしくない?」
聖華の一言で神妙な顔を浮かべる。楼羅たち三人
「うん。私たちの知らないところで勧誘されてテロリストの下っ端として、水面下で何かするつもりで秘密裏に動いてるかも」
「否定できないのが何とも」
「本当にねー」
呆れと苦笑と共に達観すると昼休憩が終わるチャイムが鳴る。
「あ、もうこんな時間。戻らなくちゃ」
「もっといたいのになぁ・・・・・いっそのこと、私もウマ娘になれたら・・・・・」
「そんな方法はありませんよ。諦めなさい」
「それじゃ、D兄さん。今度は放課後で」
悠璃の影が広がって四人がその中に沈むと、影が消えたのを見届けたDのテーブルに九本の尾を生やす金毛の狐が乗り出した。
「意外と鋭いところがあるのあの娘は」
「・・・・・九桜、真意」
問いかけられた独立具現型の神器であり、討伐される前は大妖怪だった白面金毛九尾の狐、玉藻の前、妲己と呼ばれた狐の答えは。
「英雄派が奴らと接触した」
「・・・・・」
「額の呪印を何とかする代わりに組織に加わることが条件らしいが、今の自分たちの置かれた状況を脱することができるならば、全てを捨て裏切ってもお構いなしであるようじゃ。まだ少人数ではあるが、呪印を刻まれた者のみ声をかけ集まったら後日、学校外から離れるそうじゃ」
無言で頭を抱えるDの許可を取らず、警備兼トレーナー室の扉を開けて入るアザゼルが目撃した。
「・・・Dが頭を抱えるって、よほど面倒事が起きたって認識でいいのか九桜?」
「うむ、妾がそれを報告したところじゃ。英雄派が兵藤家の童共に接触したことをな」
「・・・・・Dが頭を抱えるのも当然の理由だわな。奴らは何も知らずにホイホイついて行くつもりなのか?」
「呪印を解呪する代わりに組織に加われと誘い文句を受けた。まだ全員ではないが、恐らくは呪印を消してもらうために、今の自分達の置かれた状況から脱したい思いで誘いに乗るだろう」
肯定する九桜に呆れが籠った溜息を吐くアザゼル。
「・・・・・放置、否、時期、機会、待機」
「ああ、そうするべきだな。決定的な瞬間を取り押さえてからでも遅くはない。が、あいつらをどうするつもりだD」
「・・・・・返答、必要?」
胸の内では既に定まっているDの決意。アザゼルは特に何も言わず、本題を口にした。
「D、フェンリルの牙を奪ってくれたおかげで少なからず脅威は削がれたが、まだ油断はできない相手だ。ロキもいるからな。だからお前も参加してほしいんだが、どうしても共闘してくれないのか」
「・・・・・護衛対象、オー爺ちゃん、会談、傍、護衛、間違い?」
「間違いではないが、ロキを倒せず北欧に逃がしてしまえば俺たちの手の届かないところでオーディンが危険な目に遭う」
「・・・・・それ、北欧、神々、問題、こっち、関与、関係ない」
「これから別の神話体系だからって関係が無くなるようになる」
「・・・・・個人、どうでもいい」
「親しい神が死んでしまってもか」
自分まで巻き込むなと億劫な気持ちを隠さないDにそう問いかけたら、Dは首肯した。
「・・・・・神、不在、世界、変わらない」
「・・・・・」
「・・・・・俺も、アザゼルも、不在、変わらない」
その発言はアザゼル自身も同意するものであった。聖書の神が不在の世界でも何も変わっていない。それを証明するかのように世界、地球は今日も変わらず存在し続けているのだから。
「・・・ああ、世界からすれば世界に何の影響は及ばないし受け付けないだろう。だがなD、これだけは違うと言っておくぞ」
「・・・・・?」
「世界からそうでも、個々に繋がった者同士の中から、お前と言う存在が消えてなくなれば大いに変わるぞ。特にお前と深く関わり、お前の死から立ち直れないお前を慕っている者から出てくるようにな」
「・・・・・だから、トレーナーになりたくなかったんだよ」
珍しく流暢に言いながら、また溜息を吐くDを見てアザゼルは苦笑いした。
「シンボリルドルフに三ヵ月間もストーカーされたからトレーナーになったもんな」
「・・・・・アザゼル、体験、解る」
ジト目で言うがアザゼルは困った風に肩を竦めた。
「悪いが女を作る暇が無くてな。お前にストーカーをするほど執着してくれる女は見つからないんだ」
「・・・・・未婚、堕天使、説得力、神レベル」
Dの言葉に対して笑みを浮かべる。ただし、アザゼルのその笑みに圧があり笑ってもいなかった。
「おうこら、神レベルは言い過ぎなんじゃねぇかD・・・?」
「・・・・・? ・・・・・事実、神、同等、生存、物語っている」
・・・・・顔に陰を落として沈黙するアザゼル。爆笑して身体を震わせ、前脚を机に叩く九桜。二人の反応に理解できないDは不思議そうに首を傾げたのだった―――。
―――〇●〇―――
口約束通り、夜の時間帯にヴァーリとクロウ・クルワッハがDの元へ訪れた。寮長室の中にある魔法の道具を利用してその中で北欧の術式を身につける―――のだったが。
「さぁ、やろうか」
クロウ・クルワッハが待ち遠しいと催促して来た。まず最初は自分との模擬戦だと言わんばかりにだ。そんな彼女を見てヴァーリに提案を持ち掛けた。
「・・・・・ヴァーリ、リュージョン」
「そうだな。今の時点の私達が目の前の邪龍を倒せるか試してみようか。その間にDの北欧の術式を使いつつ覚えれば一石二鳥だな」
クロウ・クルワッハの目の前で少し距離を置いてから鎧をまとった状態で、変なポーズをしだす二人は両手の人差し指をタイミングよく合わせた。
「「リュージョン」」
眩い光に包まれた二人は紅白の鎧をまとい、一人の天龍となった。それを見てクロウ・クルワッハは笑みを浮かべた。
「それが、ドライグとアルビオンが合体した姿か。その状態で私と戦ってくれるとは嬉しいぞ」
≪喜ぶのはまだ早いクロウ・クルワッハ。神と戦う前の前菜をしっかり味わってもらわないと≫
「―――勿論その通りだ」
トップスピードで天龍の懐に飛び込んだクロウ・クルワッハ。条件反射で殴りかかって来る拳を拳で殴って、殴り返しながら北欧の術式を放った。天龍の魔力を紙一重で躱すが、髪が何本か犠牲となった余波として地中も深いところまで消失した。
「それがヴァーリが習得しようとしていた北欧の術式か。当たれば私でも致命傷は避けられんものを感じさせる」
≪だろうな。それはこっちも同じでもある≫
光の軌跡を残しながら逆に光速で迫った天龍から逃げるように空へ舞い上がるクロウ・クルワッハ。追いかけてくる天龍と何度もぶつかるように衝突を繰り返しながら衝撃音を轟かせる。片や拳に莫大な質量を誇るオーラと炎を纏い、片や二天龍の能力を駆使して最凶の邪龍と戦う。
≪ハァアアアアアアアアアアッ!!≫
「オオオオオオオオオオオオーッ!!」
激しい戦いが繰り広げられているのをDに宿るオーフィス達も見ていた。
『クロウ・クルワッハ、楽しそう』
『一つになった天龍と戦っているのだ。当然と言えよう。だが、クロウ・クルワッハも相当鍛えているようだ』
『ああ、赤いの。もはや生前の私達より強いぞ目の前の邪龍は』
血反吐を撒き散らし、身体に深いダメージが負っても二人は闘志の炎を燃やし続けるどころか、オーフィスの言う通り楽しんでいる。だが、二人の戦いは永遠には続かない。合体での戦いは制限時間が過ぎて天龍が二人に戻って二天龍になってしまった。が、それでも途中で戦いを止めないDは拳に莫大な炎とオーラを宿してクロウ・クルワッハへ拳を突き出して神速で向かった。遅れてヴァーリも追いかけるように神速の動きでDと肩を並び、深い笑みを浮かべているクロウ・クルワッハと近接戦闘をオーラを繰り出して怒濤の戦いを経て―――。
「・・・・・負けた」
「ああ、完敗だ。生前の二天龍の強さはこれほどだとはな」
赤と白の全身の鎧が見事に砕け散り、地面に横たわる男女は疲労困憊で満身創痍であるのに邪龍の女性は軽傷ではないがしっかりと二本の足で地面を踏みしめ立っていて、二人を笑みで見下ろしていた。
「久方ぶりに楽しめた。現代の赤龍帝と白龍皇、ドライグとアルビオンの宿主のお前達は遠からずまた力を身につけるだろう。その時、また私と戦ってくれ」
「・・・・・次、オーフィス、力」
「そうだなD。オーフィスの力、無限の力を得た天龍の力で再戦をしようクロウ・クルワッハ」
「楽しみだ・・・時が来るまで私は待つぞ最高の天龍達よ」
その時は必ず・・・・・と今回の敗北を倍返しをする思いを口にした天龍達に心底楽し気に笑みを浮かべたクロウ・クルワッハ。そこへ―――。
「うむうむ。いいのぅ。青春だのぉ」
いつの間にかオーディンとお付きのロスヴァイセや、グレモリー眷属がいた。何やら偉く感心している様子だった。
「今回の赤白は、個性的じゃい。昔のはみーんなただの暴れん坊でな。各地で大暴れして、勝手に赤白対決なんぞして周囲の風景を全部吹っ飛ばしながら、死におった。『覇龍』も好き勝手に発動しておってな。山やら島やら幾つ消えたかの」
ため息交じりにオーディンはそう語った。オーディンの後ろに付いてきていたロスヴァイセも言う。
「確かに片方は働き者のドラゴンで、片方は手方はテロリストと言うおかしな組み合わせですけど、意外と冷静ですね。出会ったら即対決が赤龍帝と白龍皇だと思っていました」
どうでもよさげに聞きながら起き上がるDに続いてヴァーリも起き上がり立ち上がった。
「ところでお主は・・・・・どこが好きじゃ?」
オーディンがDにいやらしい目つきで訊く。首を傾げるDはオーディンの深意を読み取れないでいた。
「・・・・・どこ?」
訊き返したDをオーディンはロスヴァイセの胸、尻、太ももを指さしていく。
「女の体の好きな部分じゃよ。こっちの白龍皇はいいケツをしておるからケツ龍皇と思っておるが、お主は男じゃから、女の体で好きな部分ぐらいはあるじゃろう?」
何気にヴァーリに対してそう言い放つオーディンの言葉に。
『・・・・・ぬ、ぬおおおおん・・・・・』
『し、白いのぉー!?』
アルビオンが無念の涙を流している様子だった。ドライグがそんなアルビオンを慰める側になった最中にDは答えた。
「・・・・・女の体、部位、好み、理解不能、理由、不明」
「ふむ・・・では、一番に触りたい女の体の部位は何じゃ?」
「・・・・・。・・・・・。・・・・・?」
それすらも理解できないDの頭上に疑問符がいっぱい浮かんだ。オーディンは心配する眼差しでDを見つめた。
「性欲が無いのか欠落しておるのか? 可哀想に・・・同じ男として不憫であるわぃ。じゃあ、最後に訊くがの。お主を慕う仲が良い女の体の部位で一番多いのは?」
「・・・・・慕う、仲、良好、女、身体、特徴・・・・・」
脳裏に浮かべる女性や少女達を思い出し・・・・・何気に呟いた。
「・・・・・豊か、胸」
「・・・・・なるほどのぉ。おっぱい龍帝、いや、おっぱいドラゴンということか」
オーディンがぼそりと呟くと―――。
『・・・・・ぬ、おおおおおおおん・・・・・』
『あ、赤いの・・・・・っ!』
ドライグもまた無念の涙を流している様子だった。慰められていたアルビオンが今度は慰める側になった。
「・・・・・心外、おっぱいドラゴン、否、訂正」
心底心外そうな表情でDは言った。しかし、オーディンは恥ずかしい事ではない、寧ろ男として当たり前な感性であると訂正しようとしてくれなかった。
「話は変えるが孫よ。わしの護衛をしてくれぬとは本当かの?」
「・・・・・? オー爺ちゃん、護衛、傍、全う」
「そういう事か。じゃがわし的には、できればロキをどうにか倒してほしい。頼まれてくれぬかのぉ?」
「・・・・・生死問わず、神、全力」
「手加減できぬ相手と言うことか。孫が死ぬことはわしも忍びない事じゃ」
暗にオーディンは会談を無事に終わらせてくれるならば、Dに一任するという気持ちを伝えた。
「しかしなぁ。フェンリルの牙を奪ったお主をロキはかなり警戒しているはずじゃ。わしがお主の傍にいる限りは手出ししてこぬかもしれぬ。が、それも北欧に戻るその限りじゃ」
「・・・・・思案」
「そうさなぁ・・・・・」
白い髭を擦り、ロキがどう動くか考えるオーディンだったが、最有力なのは二つまで絞った。日本神話の神々を滅ぼすこと、確実にオーディンを殺すため北欧の神界に戻って来た時に襲う事。仮に前者の通りになってしまえば日本、北欧神々の戦争が勃発しかねない。それだけはなんとしてでも避けなければならぬな事態故、これはこの国の神々に報せねばなるまいと魔法の道具から出るオーディン達と一緒にD達も出た。