ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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Dの不在

 

 

 

ロキとの戦闘後・・・Dが行方不明、もしくは死んだ。リアス達はその話をアザゼルから聞かされ、信じられないと瞠目した。

 

「嘘、嘘よ! 彼が、イッセーが死ぬはずがないわっ! 変な冗談を言わないでアザゼル!」

 

「・・・・・あいつは何者かにオーディンと日本 神々に放った毒矢の毒を食らい不安定になってしまった相反する力を押さえきれず、海で自爆した。・・・・・源氏殿。それに誠と一香。Dの魔力と闘気が暴走した。この意味は分かっているよな」

 

「「「!?」」」

 

兵藤家と式森家しか分からない単語を、機敏に反応する。

 

「奴の体は極上のドラゴンの肉体そのものだ。相反する力を抑え込むことができた強固な器だ。だがそれにドラゴンを殺せる猛毒を受けたら、あっという間に器が脆くなって二つの力のバランスが乱れに乱れて爆発を起こした。それがことの顛末、経緯だ」

 

諭すように説明口調で語るアザゼルの話に耳を傾ける。

 

「俺だってあいつがまた同じ目に遭った時のための対策はしていた。だが、予想していたより何十倍の規模だったから実行するより失敗すること結果が先に浮かんでしまった。神ですらお手上げだった」

 

「・・・・・その毒・・・・・誰が毒を使ったのですか」

 

それは一度は思う自然な事であった。神を守って毒を受けたのだ。それも天龍クラスの命を脅かす程のだ。相手はただ者ではないと誰もが思う。子猫の問いにアザゼルは難しい顔をして言った。

 

「今のところ不明だ。あの場にいた俺も含め、誰も見ちゃいない。外に警備していたソーナたちもだ。顔すらも見れなかったらしい。だが、現場に弓が残されていた」

 

「弓・・・・・? それで彼を毒に侵させたというの?」

 

「一応、会談をした神々たちの見解では一致している。だがな、問題なのはその弓の持ち主が・・・・・オーディンと同じ北欧の神、女神アルテミスのものであるのがオーディン自身が認めた」

 

女神アルテミス・・・・・狩猟と貞潔を司る三大処女神の一柱。顔を見たことが無いもの、オーディン自身が認めたとあらば女神もロキを協力した決定的な証拠を残して逃走したのだと誰もが思うところであるが。

 

「だが同時に、アルテミスはロキに協力するような女神ではないことも口にした。あのロキのことだ。赤龍帝対策に北欧で色々と準備をしていた最中にアルテミスから奪っただろうよ。・・・・・だからってテュポーンを引っ張ってくるとは予想外過ぎたが」

 

「・・・神や伝説の魔物だけでなく、その魔物の王まで現れた時は生きた心地がしなかったわ。クロウ・クルワッハが相手してくれたおかげで、こちらに被害は出なかったけれど」

 

同じ戦闘狂同士が戦うとどうなるか理解もした瞬間だった。

 

「念のためにアルテミスを聴取することになっている。誰がアルテミスの弓を使ったか知らんが、ロキ以外にもオーディンの行動に快く思わない神はまだいるってわかった」

 

そいつが恐らくDを死に追いやったかもしれない元凶だ。と言ってもDを慕っていた者たちのショックはとてつもなく大きい。特に悠璃が涙を流して死んでいないことを切に願っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。トレセン学園の理事長室にチームシリウスのウマ娘が召集された。秋川やよいから重大発表を聞かされるために。

 

「緊急! Dトレーナーが行方不明になってしまった! 彼が発見されるまで諸君らは各トレーナーのチームに一時移籍してもらい次のレースに備えて―――」

 

『はっ?』

 

あのトレーナーが行方不明に? 何で、どうしてな上に一時的であろうと別のチームに? シンボリルドルフたちは理事長の言葉を遮って詰め寄った。

 

「どういうことなのか、説明をしていただきたい。トレーナーさんは無事なのですか?」

 

「そうだよ! トレーナーが、行方不明って、なにがあったのさ!」

 

「違うチームに移籍なんて・・・・・」

 

「それはちょっと・・・・・」

 

難色を浮かべ、抗議するウマ娘たち。こうなることもわかっていたし、Dトレーナーを慕っていたウマ娘がすぐに納得するはずがないことも秋川やよいは大きく「謹聴!」と言った。

 

「決定! これはどうしようもないこと! Dトレーナーの行方は捜索中であるが、トレーナーがいないチームではレースに出バ出来ないのは重々承知のはず!」

 

「そんなことより、トレーナーがどうして行方不明なのか、その経緯を教えてくれないか理事長」

 

ナリタブライアンが秋川やよいの目を貫く風に睨んだ。否、真実を知りたいシリウスのウマ娘が全員、説明を聞くまで一歩も動かない心構えでナリタブライアンと同じく秋川やよいを見たところで。

 

「そいつは俺が説明する。やっぱり納得してくれなかったか」

 

その声と共にいつの間にか理事長室のソファに座っていたアザゼル。最初からいた理事長室にいた秋川やよいや俊川たづなすら気付いていなかった様子で、驚いていた。

 

「あなたは、アザゼル総督」

 

「どういうことですの。もしや、トレーナーさんと共にいたのですか?」

 

「ああ、Dの協力が必要だったことがあってな。その際に行方不明になったんだ」

 

だから、その時のことを詳しく教えてほしいんだよとトウカイテイオーはアザゼルに向かってそう言った。返ってきた言葉は・・・・・。

 

「・・・・・お前ら、今は行方不明だがこの先ずっと見つからないどころかこの学園に、お前たちの前にも戻ってこなかったら、最悪の場合は・・・・・」

 

Dの奴は死んだと事実を受け入れる覚悟の準備をするんだ。

 

『・・・・・』

 

真顔でそんなことあり得ない話を言い放ったアザゼル。ウマ娘達が全員顔に影を落としてハイライトが消えた瞳で睨みつつアザゼルに近寄った。

 

そして、一瞬で床に倒した状態で腕や足を使っての関節技、踏み抜き、鋭い蹴りがアザゼルの身体に振る舞われた。

 

「いでっ! いだっ!? あだっ!? ぐえっ!」

 

「トレーナーを勝手に死なせるな!」

 

「許せませんわ!」

 

「そうです・・・・・っ」

 

「いくらあなたでも私たちは許すことはできませんなー」

 

「ライスも、許さないよッ」

 

ウマ娘の本気や全力の蹴りを食らって無事でいられるはずがなく、アザゼルがボロボロになるまで続き、同時に秋川やよいや理事長秘書のたづなが皆を落ち着かせるまで止まらなかった。

 

「理由を言ってください!」

 

「お願いします。どうしてトレーナーさんの死を受け入れなければならないのか」

 

「納得できないことだったら、さっきのをもう一セット追加するんでー」

 

暴力が止んでもまた暴力が再発する。さすがにまたこのダメージは受けたくないとばかり身体中を痛め付けられたアザゼルは、ヨロヨロと立ち上がって口を開いた。

 

「単刀直入に言わせてもらうとだ。Dは敵の毒に侵された」

 

「え、毒っ!?」

 

「その毒のせいでいままでずっと抑え込んでいた力が、大瀑布の如くDに激痛と苦痛を与えながら身体から解き放たれてしまったんだ。お前らも覚えてるだろ。源氏殿と初めて会った京都で話し合った時に出た相反する力の暴走のことだ。それが周囲を巻き込む大爆発が起きる前にあいつは一人、海へ飛んでいって・・・・・東京がまるごと消滅するほどの超広範囲の爆発がDを中心に光ながら起きた」

 

『・・・・・っ!?』

 

そんな事件が起きていた事すら気付かなかったウマ娘達は絶句した。

 

「今のところ遺体どころか何一つ見つかっちゃいない。捜索してまだ日が短いのもあるが、海のなかに沈んだか爆発で消滅してしまったかの予測が出ている。だからしばらく戻ってこなかったら、死んだと思ってあいつの死を受け止める覚悟をしろと言ったんだ」

 

「できません、そんな覚悟を・・・・・。私たちは信じます、信じて帰りを待ちます・・・・・」

 

マンハッタンカフェの静かなる決意の表明は他のウマ娘達が抱く心情でもあった。アザゼルは、Dの担当ウマ娘たちの顏を見て否定も肯定もしなかった。

 

「お前たちの自由だ。だが、心に留めておけと言わせてもらう。あいつばかり意識を向けているほど俺たちも暇ではないどころか忙しいからな」

 

「・・・何をしているのですか」

 

「色々さ。全てのウマ娘達には関係のない、知る必要が無いことをしている」

 

それだけ言って先に退室するアザゼルから秋川やよいに視線を変えた。

 

「復唱! チームシリウスの諸君らは別のチームに移籍してもらう! これは決定事項などで諸君らに決定権はない! だが、今すぐではないのでしばらくは自主トレーニングをしてもらいたい! 以上解散!」

 

解散の宣言をされたからにはナリタブライアンが何も言わず先に退室したことに誰も咎めない。ただし、その表情はありありと不満が浮かんでいた。―――事実上のチームの解散であるから。

 

「・・・・・理事長、彼の後釜となる警備員は?」

 

「維持! 当面は兵藤一香に奮闘してもらうことになる!」

 

「そうですか。・・・・・失礼いたします」

 

秋川やよいにお辞儀をして退室するシンボリルドルフに続いて他のウマ娘達も退室したその日。俊川たづなによる全トレーナーに緊急招集がメールに送られ、集まったトレーナー達に秋川やよいが告げた。

 

「報告! Dトレーナーが行方不明となった! 駒王学園の教師アザゼル先生の話では、何時発見されるか不明であり、長期間発見されない場合は死亡扱いとなる可能性が浮上!」

 

『は?』

 

「さらにDトレーナーの不在でチームシリウスは解散とする! シリウスのウマ娘の勧誘は君達次第!」

 

『え?』

 

また突拍子のない話をされたが、今度ばかりは目を瞠目するほど驚くなと言うのが酷な話を打ち明けられたトレーナー陣は、至極当然に追求した。

 

「どういうことです、Dトレーナーが行方不明など。事件に巻き込まれたのですか」

 

「肯定! 詳しくは教えてもらえなかったもの、確実にDトレーナーは一日二日程度でトレセン学園に戻ることはないとのこと! 故に大変心苦しいがレースの出場を望むのであれば、チームシリウスを解散させ、違うチームに所属してもらう他ない!」

 

彼女の言い分に理解できなくもないし納得できる部分はある。しかし、仮に戻って来たDトレーナーが今日まで築き上げたチームが無くなったと知ったら、彼はどう思うのであろうか。会談は終わり、トレーナー室へ戻る各々のトレーナーの中で沖野とハナが二人だけ共に行動した。

 

「・・・・・どう思うおハナさん」

 

「どうもこうも、今日Dがいない時点で事実なんでしょう」

 

「そうだよなー・・・・・。まさか、俺たちの後輩が行方不明になるなんて今でも信じられないや」

 

「これからのトレセン学園が不安だわ。彼無くしてこの学園の平和は取り戻せなかったもの」

 

その人物が不在ないま、トレセン学園の平和と秩序は不安定になった。Dトレーナー、警備員がいないと知ったウマ娘たちは若い兵藤家の生徒たちに襲われないか不安な日々を過ごすことに怯えるのだ。

 

「どこにいるのかわからないけど、早く帰って来てくれDくん」

 

「本当にそうね。あなたがいないと寂しくなるウマ娘がたくさんいるのだから」

 

「それはおハナさんもだろ?」

 

ニヤリと口端を吊り上げる沖野に振り返るハナは笑みを浮かべたまま―――。

 

「ふんっ!」

 

「あだっ!?」

 

思いっきり足のつま先で沖野の脛を蹴り抜いた。

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