ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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奪還開始

 

 

初日の夜―――。

 

 

アザゼルside

 

京都の町の一角に構えている料亭『大楽』で、京都の妖怪を束ねる八坂と協力の提携を求めに来た着物姿のセラフォルーと源氏殿の娘っ子から奴らが潜んでいそうな場所と目的の仮定の話を聞かされた。次元の狭間で疑似空間か・・・・・そこなら隠れるのも何かの計画を企てて実行するのもうってつけの場所だな。問題はそこを特定して侵入する事だ。それもディオドラの件のように強固な結界を張って、容易に出入りできなくしているだろうしな。

 

「これからどうする気なんだ?」

 

「仕事からお戻りになる一香お義姉さまの力を借りて探し出すかと思います。今は先に現地に派遣された式森家当主を含めた多くの魔法使いが次元の狭間を調査しております」

 

楼羅が淡々と説明してくれる。

 

「そうか。となると見つけ次第すぐに強行突破・・・誠と一香を送り込んで短期決戦を決めるつもりだな。仕事が早くてこっちも楽になる・・・・・が、二人の精神状態でいつもより力が出せなくなっていないかそこが気になるがな」

 

「最愛の子が行方不明になったら心配するのは当然だよアザゼルちゃん。私だってソーナちゃんが行方不明になったら、夜も眠れず・・・ううん、見つけるまで眠らず探すし誰かに殺されたら・・・・・殺した奴を生かしたまま半永久に閉じ込めた氷の中で痛みを味わってもらっちゃうもん☆」

 

笑顔で怖いこと言うセラフォルーの言葉に俺は口元を引くつかせた。こいつなら絶対にやりかねねぇからだ。妹を溺愛しているのはセラフォルーを知っている奴なら誰でも知っている事柄だからな。間違っても手を出しちゃいけないしソーナと結婚するならば、自分の課した無茶苦茶な試練を突破できないなら許さないだろうよ。だから一応訊いてみたくなる。

 

「ソーナと結婚を申し出しにきた相手が現れたら祝福するか? それとも条件があるか?」

 

「もっちろんあるわよ! 私が課す試練をクリアする前提で最低限の条件はサーゼクスちゃんを倒せる、もしくは傷を与える実力者でなきゃ私は許さない!」

 

「・・・・・自分の妹の結婚条件に巻き込むなよ」

 

やっぱり巻き込もうとしていやがったと呆れて溜息を吐く。

 

「では、確とお伝えしました。またすぐにご連絡をするかと思います」

 

「わかった。京都旅行を楽しんでいるリアスとソーナの眷属にも言っておく」

 

「ええ、よろしくお願いします。・・・・・正直に申し上げますと悪魔の力を借りることを良しとせず否と主張する者もおります。事が事なので、念には念の保険程度でしかよく思われておりません」

 

やっぱり、俺たちに対してよく思わない連中はいるか。わかっちゃいるが、こういう時に協力態勢を柔軟にしなくちゃこの先やっていけないだろうに。長年凝り固まったもんがそれを邪魔しているんだろうなぁ。

 

「そういう意味もあって俺たちの力を借りずの短期決戦か。だが、相手は神器使いだ。昔はともかく今の兵藤家や式森家の連中が誠と一香抜きでどこまでやれるのやら」

 

「主力は古い者達だと思います。私を含め若い世代の者たちもこの戦いに参戦しますし」

 

「ってことはあの悪ガキ共もか? そりゃあいくらなんでも・・・・・」

 

「強制的に戦わせるつもりです。今の今まで好き勝手にしてきた報いを受けてもらう意味も兼ねて」

 

おいおい・・・・・過激じゃないか源氏殿? 死地に送り込み、死んでもお構いなしってか。おっかねぇ、と思いながら懐から出した茶封筒を楼羅に渡す。

 

「戻るついでで悪いが、秘密裏で源氏殿に渡してくれ。お前たちも見ちゃいけない機密事項のモノだ」

 

「わかりました。それでは」

 

楼羅が自身の影の中に沈んでいなくなった。悠璃の能力だろう。姉の影の中に隠れていたんだな。

 

「さて、そろそろ喚ぶか」

 

「誰を?」

 

まぁ、見て居ろって。俺は召喚魔方陣用をあらかじめ書いて用意した紙を広げて魔力を流した。光り輝く魔方陣から一人の子供が出てきた。

 

「待たせたな。飯の時間だ。どんどん頼んで食べていいぞ」

 

「いいの? わーい!」

 

ポカーンと開いた口と目を見開いて固まるセラフォルーの目の前で、店員を呼んで食べたいもんを注文する子供。

 

「・・・・・アザゼルちゃん、どういうことなの?」

 

「先に言わせてもらうがな。こいつはDであってDじゃない子供だ」

 

信じられないモノを見る目で訪ねてくるが、俺は首を横に振って否定した。

 

「どういう、ことなの?」

 

再度問うセラフォルー。研究所でありとあらゆる方法を駆使して調べた結果、解ったことが幾つもある。

 

「細胞レベルまでD本人であると結果が出た。だがな、D本人と言わしめる赤龍帝がいないんだ。邪龍も含めて他の神器もなかった」

 

「赤龍帝がいないDちゃん? そんなことあり得るの? 神器と邪龍がいないなんて」

 

「邪龍を解放すれば神器だけとなるんだが、神器は所有者の魂みたいなもんだ。強制的かつ強引に抜き取れば所有者は必ず死ぬ。しかし、こいつは元から持っていないドラゴンだから生きている」

 

俺たちの話が理解できていないらしく小首を傾げるD.D.。

 

「年齢はおそらく5歳だ。兵藤家に預けられる前の頃だろうよ。だが、どーやらこいつを囲っている人間たちがいるらしい。そいつと話し合う必要がある」

 

今どこにいるかわからんがな、と付け加えD.D.に訊いた。

 

「お前、帰らずにいていいのか?」

 

すると、D.D.がお冠になってバンバン! とテーブルを叩いた。

 

「変なところに連れて行ったアザゼルのおじさんがした健康診断って凄く長かったせいで帰してくれなかったじゃん! 注射も痛かった!」

 

「いや、大事なことだから長くなってしまったんだよ。これからお前の家に送るから許してくれ。注射に関してはどうしようもねぇって」

 

頬を膨らませて怒るD.D.。こーいう純粋無垢な所を見るのは本当に十数年振りだな。懐かしく感じてしまうあたり俺も年を食ったんだなって思わされる。

 

「そんで、お前の家・・・家族はどこにいるんだ?」

 

「わかんない。夜になったら迎えに行くって言ってたし」

 

夜って何時だ? もう夜になっているんだが・・・・・。というか、待ち合わせをしているのか? それも聞こうとしたら、D.D.の真後ろに魔方陣が浮かび上がった。

 

「あぅ、来た・・・・・うう、ご飯食べれない・・・・・」

 

D.D.も背後の魔方陣に気付き、残念がってしょんぼりしながらもその魔方陣に手を触れた。

 

「じゃ、またねアザゼルのおじさん」

 

「ま、待てD.D.!」

 

俺の制止よりも早くD.D.が魔方陣の光に包まれて消えていなくなってしまった! 人間の親・・・魔方陣を操ることができる人間、どこぞの魔法使いか! しかも龍を呼び出す『龍門』の知識も知っている・・・ここにきて嫌な予感がして来た俺は不安を覚えてしまった。

 

 

 

???side

 

 

「お帰りD.D.。冒険は楽しめたかな?」

 

「おとうさん、おかあさん、ごはん、食べれなかった! 食べようとしていたのに!」

 

「それは悪かった。だが、俺たちの敵がこの場所を見つけてな。D.D.も手伝ってくれ」

 

「逃げないの?」

 

「赤くて大きいドラゴンをこの場所に呼んでみたいからね。D.D.も見たいだろ?」

 

「・・・・・お腹空いた」

 

「わかったよ。ご飯をたくさん用意するから俺たちを守ってほしい。いいかい?」

 

「うーん、わかった。おとうさんたちを守る。今すぐ食べたい。じゃなきゃ寝る」

 

「ああ、用意するよ」

 

 

―――〇●〇―――

 

 

一香が警備員の仕事を終わるや否や、京都に転移して八坂姫を誘拐した輩の潜伏場所を探し出してから一時間後、発見できた。その場所へ、その疑似空間に侵入するため次元に裂け目を作った式森家たちの魔法により、兵藤家の者たちが総出で先に入った。その様子を見守っていた一香は感嘆していた。

 

「随分と強力な結界だったわね。これだけの強固な疑似空間と結界ならかなり優秀な魔法使いがいるわよ」

 

「やはりそう思われますか」

 

「そう思わない方がおかしいっての。だとしたら兵藤家の彼等だけじゃ生きて帰られないわ。ぶっちゃけ魔法耐性がない脳筋だし」

 

「あ、姉上・・・・・」

 

兵藤家に対する辛辣な感想を述べる姉に和真は周囲の兵藤家たちの反応を伺いながら、五人ほど残して他全員と疑似空間に侵入した。

 

「・・・・・やはり、京都をトレースした空間を創っていたか」

 

「ええ、そしてこの規模・・・・・私たちが発見して侵入する前提で創られているのかもしれません」

 

「つまり、敵は目の前のように最初からそのつもりでいたということか」

 

一同が突入した先は京都駅前で、さらにそこら中に黒い異形系のモンスターが街を覆い尽くさんばかりに集まっていて、先に侵入した者達がモンスターたちと戦っていた。

 

「敵の気配、なしか。まずは目の前のモンスターを倒さなければ話にならないという事か。・・・・・舐めおっているな」

 

「先に私たちの体力と力を消耗させるハラでしょう」

 

「つまらないわね。ねえ、誠」

 

「そうだな・・・・・」

 

真っ向から戦うつもりはないのか、それとも別の目的があるのか・・・・・今は目の前のモンスターを蹴散らして先に進むことが優先であるもの・・・・・。

 

「う、うわぁあああああ!?」

 

「た、助けてくれぇえええええ!!!」

 

「殴っても蹴っても、どうして倒れねぇんだこの化け物どもは!?」

 

「こいつら、強すぎる! 無理だ、倒せれない!」

 

「に、逃げるしかない! 俺たちじゃどうしようもねぇよ!」

 

先に送り込んだ死刑宣告を下された者も含め、若い兵藤家の者たちが敗色濃厚で強いモンスターから逃げようとする言動があちこちから多発し、現世に出られる次元の裂け目へ逃げる者には刀剣類を突き立てられる。

 

「逃げるな! それでも兵藤家の人間か! この事件は京都という都市と、都市に住む者たちの命を守るための戦いでもあるのだ! それを解らず自分の身可愛さに戦いから放棄するとは何事だ!」

 

「兵藤家は天皇家であり昔から日本を統治する日本一の権力を有している! だが、日本の国民を命を落としてでも守る義務もあることを忘れたわけではあるまい!」

 

「我々の世代も、お前たちの世代も、お前たちより先の世代も変わらず日本を統治し、国民を第一に守るのが兵藤家の絶対の掟である!」

 

「これより先、兵藤家の者として相応しくなく敵前逃亡した者は即死刑だ! 日本を、京都を守って死ぬのが誇りとして戦い続けろ!」

 

逃げようとした若い兵藤家の者たちには「二度目は無い」と厳しく睨み付け、強制的に戦場へ送り返したら大人たちも拳や武器で戦うつもりで一斉に駆け出し、黒い人型のモンスターを一気に十匹以上屠って見せた。

 

「そう言うわけだ和真。敵前逃亡した者には捕えよ」

 

「わかりました。そのようにいたします。そして私たちも戦うとします」

 

宙に浮く和真を含めた十人以上の魔法使いたち。式森家の魔方陣を展開して様々な魔法を放って兵藤家の者たちより数多く霧散していく。

 

ドドドドドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

京都駅前にいた異形たちが消滅したことで先に進むことができた。

 

「誠。お前だけでも八坂姫を救い出すことは出来るだろう。別行動して見つけ次第救出をしろ」

 

「・・・ああ」

 

「私もいくわ。見つけたら全員召喚をします。お義父さん」

 

「頼んだ」

 

覇気がない返事をする誠と一香が瞬時に姿を暗ませた。源氏たちも遅れながら京都中の城を虱潰ししてでも探し回り八坂姫を見つけるために奔走する。主に人の気配が多く感じる場所、二条城へ駆けだす。

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