ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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あと一歩

 

式森家から魔法攻撃を受け、兵藤家から猛追されている状況の中、鳶雄はアザゼルに解いた。

 

「どうして彼等は本気で攻めてこないんですか? その気なら、俺達より先回りして行けるはずだし、この船だってひっくり返すことも乗り込むことだってできる筈です」

 

「あ、言われてみたら確かにそうね?」

 

「助っ人の存在に気付いているからじゃね?」

 

「もしくは、敢えて泳がせているとか」

 

夏梅達も疑問を口にすればアザゼルはこう答えた。

 

「おそらく全部がそうだろうよ。だが、奴らはそうせず全然本気じゃないのは確信が無いからだ」

 

「確信・・・・・?」

 

何の―――と言うまでもなくDの生存の可否だということを察する。

 

「俺だって確信があるわけじゃない。希望に縋っているだけだ。こうして向かっていてもお互い空ぶるかもしれないしな。・・・・・だが、そうなることはなさそうだぞ。前方を見てみろ」

 

意味深な事を言ったアザゼルの視界に巨大な影が海の上に鎮座していた。鳶雄達もその存在に見て気付き、真紅の宝石から発光して伸びる道標もあそこが最終地点だとばかり差している。

 

「船・・・・・輸送船か?」

 

「―――違うよ」

 

雹介を否定する刃狗チーム以外の声。影から二人の少女が出てきて、鳶雄達は久しぶりの再会を果たした。

 

「兵藤、楼羅と悠璃? 何時の間に乗っていたの!?」

 

「最初からです。一香お姉様からDさんが生きている可能性があると、アザゼル総督が何か隠しているか掴む可能性があると教えてもらい、今日までずっと影から監視しておりました」

 

「影って・・・・・刃、影を見ていたのは二人が潜り込んでいることに気付いていたからなのか」

 

だが、何もしなかったのは鳶雄達に危害を加えなかった故、危険性はないと刃は判断した。

 

「ですが、アザゼル総督も気付いておりましたよね私達のことを。このような状況になることも予想していたはず。どうして野放しにしたのですか?」

 

「買いかぶり過ぎだ。あいつのことになると熱くなることがあるお前らがあいつの身に危険を及ぼすような真似をする筈が無いと踏んでいたんだ。だから敢えて放置していた」

 

心外だと悠璃が憤慨する。

 

「私たちがいっくんに危険なんて・・・・・!」

 

「今の現状がそれを物語らせているじゃねぇか。今から会う奴を心から喜んで出迎える雰囲気なのか? 逆だろ、あいつらはあいつのを総力以ってどうこうしようってするつもりだぞ」

 

「・・・・・っ」

 

「大方、お前ら二人は二人で確保して安全な場所で囲うつもりだろう。兵藤家も式森家も信用できねぇから消去法でリーラの下に預ける予定か?」

 

アザゼルの予想の答え合わせに楼羅が淡々と応じた。

 

「・・・・・彼は人間ではありません。もしも人間の技術に及ばない影響を受けているならば、アザゼル総督・・・あなたにお願いするつもりでもあります。リーラさんもそれに承諾しております」

 

「なるほど、そりゃあこっちも願ったり叶ったりだ。お前ら二人、特に悠璃を傷つけたら川神院の再来が起きそうだから余計な諍いをしないでくれるなら大歓迎だ」

 

当事者しかわからないことに鳶雄達は蚊帳の外に置かれ、悠璃は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「・・・・・もう一度、いっくんの前で傷ついた状態で会おうかな」

 

運転中にも拘わらず条件反射で振り向き、アザゼルが冷や汗を流しながら焦燥の色を顔に出して叫んだ。その理由も、その原因も、アザゼルは今でもはっきりと鮮明に覚えている。

 

「本気で止めろ!? そうしたらマジであいつは敵味方関係なくガチギレすんだぞ!! 今のあいつは神クラスかそれに近い存在じゃないと手に負えないレベルで強いんだから!! 楼羅、お前も絶対に傷つくなよ、理由は同じだからな!」

 

「・・・・・それだけ彼は私たちのことを大切に想っているということですよね。不謹慎ながらも嬉しい自分がいます悠璃」

 

「うん! 私も同じ気持ちだよ楼羅!」

 

ダメだこいつ等!! 頭がお花畑だ!! アザゼルは不安で堪らなくなったのと、鳶雄達はミッションが増えたことを悟ってしまった。

 

「もしかしなくてもこの二人の護衛をしなくちゃならないのか。鳶雄、あいつと真正面から戦って勝てるか? ガチギレした状態のあいつの意味で」

 

「正直、勝てるビジョンが浮かばない。オーフィスとクロウ・クルワッハぐらいじゃないかな抑えられるのって」

 

「マジかぁ~・・・・・」

 

「抱きしめて頭をなでなでしたら止まるのです?」

 

「そこまでピュアじゃないわよ」

 

「なにおう!? いっくんは可愛いんだぞお前!」

 

「恥ずかしがらないって意味じゃないかな・・・・・?」

 

「そうね。一緒にお風呂入っても恥ずかしがったところ、見たことが無いわ」

 

「その話、もう少しお聞かせください」

 

シリアスな状況の筈なのに、Dの話題になると和気藹々とした明るいムードになる。後に輸送船と思われる船は、大洗学園艦というものだと教えられ、Dを知っている友人もいるという情報が発覚した。

 

「もしかすると、彼は彼女等の保護を受けている可能性があります」

 

「場所は分かるか」

 

「いえ、学園艦まで行くほどの交流はしておりません。知識として学園の場所は知っておりますが、悠璃が必ず彼の居場所を見つけます」

 

「いっくんの影にマーキングしたからね! 学園艦に入ればすぐにでも!」

 

「・・・なんか、この二人だけで回収させたほうがいい気がするんですけど総督」

 

「間違っても傷つけたら爆発の連鎖反応を引き起こす危険性が高すぎてやらせねぇ! だから声を掛けなかったんだよ!」

 

「そうだったのですか」

 

二人を危険物、腫物扱いするアザゼルの気持ちはわからなくない。立場的にも人柄的にも、Dの身内としても今回の作戦に関わらせたくなかったのは本音だろう。それでも、二人だけでも行動に出てしまう胆力にアザゼルはあらためて思い知らされた。恋する女はとてつもない力を発揮するのだと。

 

「それで、これからどうするんだい?」

 

メフィストが全員に聞こえる声量で穏やかに言った。

 

「こちらの目的も目指す先も相手に気取られている。すでに式森家は先回りしていて彼を探しているだろう」

 

「信じるしかありませんが、彼は闘気も魔力も存在自体も完全に消して過ごしています。視界に入らないと見つからないほどにです」

 

鳶雄の信頼に不思議がる闘戦勝仏。

 

「完全に消すってのはかなりの修練をしなくちゃ到底できない芸当だぜぃ? そのためだけ時間と人生を費やすのはよっぽどの変人だそれは」

 

変人、と友人を称されても鳶雄は苦笑を浮かべる。信じてもらえないのは当然だと悟っているから、昔話を語った。

 

「それが本当なんですよね・・・・・四年前、一度だけ俺達はかくれんぼしたんですけど。全然見つからなかったことがありました。俺達のすぐ傍、視界に入らない位置でずっと立っていたと言われたら信じますか?」

 

「ああ・・・・・あったな。その証拠に服に落書きをされていたことも気付かなかったぞ」

 

「逆に私達ばかり一人も残さず見つけるんだから勝てっこないわよ」

 

「と言うことで初代。もしかしたらアンタでも簡単には見つからないと思うぜ」

 

締めくくるアザゼルから一言に、闘戦勝仏はブツブツと何かを呟くと足元から金色の雲を召喚してそれに乗った。

 

「そこの娘っ子や。ちっとばかしここで待っていてくれんか。なーに、ほんの五分でいい。赤龍帝の坊やを他の坊主たちより先に見つけてくるからのぉ」

 

そう言ってクルーザーから離れて一足先に学園艦へ飛んで行く中、式森家からの魔法攻撃に狙われるが一度も当たらず難なく潜り抜けて行ってしまった。

 

「すごっ、雨みたいに放たれる魔法をすり抜けて行っちゃったわ!」

 

「あれくらいは目を瞑ってでもできるぜ。そこにいる魔法教会の理事様も敵じゃないさ」

 

「買い被らないでくれアザゼル総督。僕は魔法と魔術を長らく触れていただけに過ぎないから。しかし、式森家は四年前と変わっていないようだ。進展する切っ掛けと未だ巡り合えていないようだね」

 

ステッキを床に小突くと上空にいた全ての式森家が見えない圧力によって海を走る兵藤家のところへぶつかりながら落ちて行った。

 

「彼女・・・一香くんはこの場にいないようだが?」

 

「この後必ず来るだろうよ。自分の息子のことになれば居ても立っても居られない」

 

「なるほど、それは楽しみだ。あれから彼女の成長はどのぐらいか知りたいので協力に応じたのだからね」

 

「それができなかったら悪いな。よし、全員座れ。船ごと跳び乗るからな!」

 

「・・・・・跳び乗る?」

 

一末の不安が抱く。アザゼルが何をするつもりか訊く前にクルーザーの速度が一気に加速しては、学園艦に向かって伸びる魔方陣の道の上を滑って行った。

 

「わわわわわー!?」

 

「あっはっはっはー!! こういうこと一度やってみたかったんだー!!」

 

「ちょー! アザゼル総督、安全運てーん!?」

 

満月をバックに弧を描いて夜空を飛ぶクルーザー。中は一瞬だけ無重力になって席から体が浮く鳶雄達と優雅に座った姿勢のままのメフィストは魔法で水から浮いて物理の法則を無視していた。

 

「落ちるのですよ?」

 

「こんなこともあろうかと、陸上用に改造しているぜ!」

 

アザゼルはラヴィニアの手の中の宝石はまだ一条の光が放っていて、ある所へ伸びているのを見た。空からそこまでの場所を特定、魔方陣の道を幾重も展開しながらスイッチを押すアザゼル。船の底にハッチが開いて車用のタイヤが出た状態で魔方陣の上を走りとある建物に着地、安全に停止できずアザゼルとメフィストとラヴィニア以外もみくちゃに転がった状態でようやく止まった。事前に察知して影の中に避難していた楼羅と悠璃も影から出て無事に済んだ。

 

「こ、こんな乗り込みをするなよ・・・・・」

 

「悪いな。だが・・・・・着いたぞ」

 

「え・・・・・」

 

「ここがそうみたいだ」

 

赤い宝石から伸びる一条の光は二階建ての建物のカーテンが閉まり切った部屋の窓を差していた。鳶雄達はその部屋を見つめ込み上げる気持ちを感じながらも、まだ抑える。

 

「悠璃、どうです?」

 

「うん・・・・・間違いないよ。いっくんが、この建物にいる」

 

「ここって病院、みたいだね」

 

「当然っちゃ当然か。あの大規模で莫大なエネルギーの奔流の中を無傷でいられるはずがない」

 

「さて、迎えに行こうか。だが、その前に場の空気を読まない者達の相手をしなくてはならないが」

 

メフィストの指摘からアザゼルたちを取り囲む式森家の魔法使いたちが数多の魔方陣から出てきた。今度こそ臨戦態勢の構えをする鳶雄達は、それぞれ禁手に至った。

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