ハイスクールD×D忌避されし存在   作:ダーク・シリウス

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天皇家VS刃狗チーム

 

 

一人の魔法使いがアザゼルとメフィストの前に降り立って口を開いた。

 

「初めましてアザゼル総督。そして四年振りですな、メフィスト卿」

 

「そうだね。もう一度このような形で再開するとは思わなかった。また彼のことで対立することも含めて」

 

何かしらの因果が働いたか、四年前のようにメフィストと式森家が対峙し合う。鳶雄達もその光景を見るのも二度目で今度はあの時と違い、自分達も参戦する姿勢に入った。和真は病院の方へ一瞥してからメフィストに問いかけた。

 

「・・・・・まだ見つけていないようですが、どうか彼から手を引いて下さらないでしょうか」

 

「理由は? 彼の生存は様々な者たちにとって希望であると思うのだがね」

 

「逆にそうで無い者もいることも事実です。天皇家の当主として、もはや彼の生存は許し難いことになりました。殺しは出来ずとも冥府の深奥で永久的に封印するぐらいならば我々でも出来ます」

 

苦笑するメフィスト。

 

「それは困ったね。万の人間を救うのに一の特別な人間を斬り捨てる場所がコキュートスとは。あそこにいる死神とも好ましくはないんだが」

 

「そうでしたか。しかし我々には関係のないこと・・・・・」

 

和真のが挙手して何かの合図を出した。周囲の闇夜から音もなく静かに現れた不穏なオーラを纏う黒いローブの者達。その手には大鎌が持っており、アザゼルは目元を険しくした。

 

「お前ら、ハーデスのジジイと契約したのか」

 

「前回の反省を活かしたまでです。おそらく、堕天使か悪魔の者達が動き出すならば最高の魔法使いの我々とて被害は出ると分れば戦力を整えるのは当然のこと」

 

さらに遅れて兵藤家の者達も現れては、和真の横に源氏と誠が現れた。皮肉たっぷりにアザゼルは源氏へ話しかけた。

 

「よー源氏殿。自分の孫をとうとう厄介者扱いにするとは思わなかったぜ。お前だけは最後まであいつの味方になると思っていたんだがな?」

 

「・・・・・個人の感情で国に危険を及ぼすわけにはいかない」

 

「は、あいつが信頼と信用・・・慕っていた祖父にこんな仕打ちを受けるなんてよ。もう兵藤家に対して容赦しなくなるな。式森家もまた然りだぜ」

 

「・・・・・覚悟の上だ」

 

「お父様!!」

 

「お父さん!!」

 

楼羅と悠璃が悲痛に叫ぶ。本音はこんなことしたくないし祖父として生きていた喜びで抱きしめたいはずだ。なのに当主としての義務を全うする父親を説得しようとする二人の皇女たちだが。

 

「楼羅、悠璃・・・・・当主として命令だ。我等の邪魔者を排除し、禁忌の者を我々の下に連れてこい」

 

「「っ!!?」」

 

源氏の命令に従うつもりはない。なのに絶句する二人の身に異変が起きる。楼羅と悠璃が鳶雄達に襲い掛かった。最初に狙われた夏梅と鳶雄は反射的にかわして襲ってくる二人に目を丸くして当惑した。

 

「うわっ、二人共どうして!?」

 

「ごめんなさい・・・・・!! 兵藤家の血の呪縛が・・・・・!」

 

「お父さんを殺すしか、この支配は解けないの!!」

 

攻撃を仕掛けてくる二人の状態は他者によるもので、術者は当然・・・・・この場で一人しかいない。

 

「源氏、このクソガキが!! 自分が何をしているのか、わかっているのかよ!!」

 

「・・・・・行け」

 

「アザゼルに同感だ、このクソ親父がぁああああああああああ!!!」

 

誠まで支配の力を受けてアザゼルたちに嗾けられる。メフィストは式森家が狙う病院の防衛をしつつ死神たちの相手を強いられ、アザゼルと刃狗チームは兵藤家と死神たちの相手を。しかし、最強の人間の誠と本気で戦えない楼羅と悠璃相手に鳶雄達は苦戦する。

 

「くそ・・・っ! 厄介すぎる! リアス達にも声をかけておけばよかったか!」

 

「おいアザゼル、俺の息子はどんな状態なのか教えろ!」

 

「俺達も知らねぇよ! まだ顔すら見てないんだからよ!」

 

「生きているのは間違いないんだな!? おーい!! 一誠、俺だお前のお父さんが迎えに来たぞー!!」

 

「止めろ! 近所迷惑だバカ野郎!!」

 

「なにおう!?」

 

拳と光の槍が本気でぶつかり合う。何とか誠と渡り合えているがそこへ源氏まで乱入してきたのでは分が悪い。防御式魔方陣を展開したアザゼルに黒くなった腕を鋭く突き刺して、魔方陣をガラスのように粉砕した勢いのままアザゼルの頬を殴り吹っ飛ばした。源氏はその結果に黒い拳を感慨深く見つめる。

 

「・・・・・なるほど、この力は魔法にも影響を及ぼすのか」

 

「てめぇ・・・何時そんな力を得たんだ」

 

「・・・・・孫から伝授した人類の可能性だ」

 

ガシャンッ!!!

 

何かが割れる音。振り返れば病院を閉じていた扉を破って中に侵入する死神たちがいた。焦るアザゼルがラヴィニアを疾呼した。

 

「ラヴィニア! Dを守りに行け! 最悪、氷漬けにしないよう氷で守れ!」

 

「わかったのです!」

 

「させん!」

 

和真がラヴィニアへ束縛の術式を発動した。身体に巻き付く何かの文字を表現した螺旋状の魔力の帯が浮かぶ。

 

「―――邪魔なのです」

 

彼女の碧眼は―――深く、深海のような色をしていた。魔力の帯に霜が発生して凍り付き、音を立てて砕けた。ラヴィニアは白い息を吐く。そして。その小さな唇から、この世のものとは思えないほどに呪詛めいたものを漏らそうとしたのを夏梅は焦燥に駆られた。

 

「ま、待ちなさいラヴィニア! 私達まで凍っちゃう―――!」

 

《―――悠久の眠りより、覚めよ。そして、永遠なる眠りを愚者へ―――》

 

冷気が―――集う・ラヴィニアの横に、凍えるような空気が渦を巻いて集まっていく。それは、氷となり、さらには何かを形作っていった。氷が手となり、足となり、胴体を創り上げて、頭部を載せた。

 

「おや、ラヴィニアがここまで怒るとは珍しい」

 

「だぁー!! こっちも怒らしたらダメな奴がいたんだったー!!?」

 

『永遠の氷姫』を顕現したラヴィニアを、氷のドーム状を形成していく光景を見てメフィストとアザゼルがそれぞれ感想を口にした。

 

「・・・・・不味いな」

 

「十三の内の神滅具、あれを防ぐ術は今の我々にはない―――!」

 

完全に閉じ込められた氷の世界の中で人類最強の一族も世界最高の魔法使いも、自然の力には勝てない。ましてや神を滅ぼすことが可能とする神器の所有者が本気にしてしまった。

 

「ぬぉおおおおおおおおおおおおおお!!?」

 

その時、二階の部屋の窓が割れる音と一緒に何かが躍り出た。それは鳶雄の側で落ちて一同は鳶雄へ視線を向けたら、黒い大きな狗こと刃が背中に真紅の長髪の男と九本の尻尾を生やす小さい狐を背負っていた。遅れて突き破られた二階の窓から死神が顔をだした。

 

「こ、これ! もう少し丁寧に脱出できぬか!?」

 

「「「「九桜!!!」」」」

 

独立具現型の神器にして九尾の狐を視界に入れた鳶雄達は一斉に呼んだ。

 

「む、お前達・・・・・。―――兵藤家と式森家の者達もおるのか」

 

彼等を見た途端に厳しい目つきとなり警戒心が一気に高まった九桜は残念そうに息を吐いた。

 

「やはり、Dを狙うか・・・・・」

 

「九尾の狐・・・・・孫の最初の死の原因の神器か」

 

「否定はせん。が、それ以前にDは死に掛けておったがな。お主らの誤った教育の賜物での」

 

「・・・・・・否定はしない。原因が我々にある事実はもちろん受け止めている」

 

自分のせいで辛い思いをさせてしまった同士。似た共感を持っておりDに対して申し訳ない部分もあるため、共通の気持ちを抱いているのが判ってしまっている。

 

「それで、さんざんDに尻拭いをされていたお主らは、再びあの学園を無秩序と無法地帯に逆戻りをさせるためにDを殺しにくるとは」

 

「・・・・・義娘がいる。二度とそのようなことはさせないだろう」

 

「だろう、とな? 結局お主らは他者に問題を押し付けて自ら何も解決せんと言う事か? 結局貴様等は何一つ変わろうとしないでいるではないか」

 

「・・・・・今すぐは変わらない。時間を掛けねばならない改革が山積みなのだ」

 

「Dを殺す、もしくは封印した後に学園で起きた不祥事を闇に葬る改革も含まているのだな。そんなこと絶対に許さぬぞ」

 

牙を剥く九桜の下にアザゼルが鋭く投げた。それに気付き、口で受け止めて煌めく赤い結晶を銜える九桜に叫んだ。

 

「そいつをDに渡せ! できなければ体の上に乗せろ!」

 

「これが何なのか、聞くのは後回しにしておいた方がよさそうであるな」

 

そうはさせまいと兵藤家と式森家、死神が九桜へ強襲するため魔法を放ったり駆けるが、氷のドームを砕いて入って来た闘戦勝仏が持っていた棒を太く巨大化にして振り回しながらすべて薙ぎ払って守った。

 

「すまんすまん、遅れ悪かったのぉ」

 

「おっそいわ闘戦勝仏!!」

 

「だから悪かったわぃ。遅れた分、しっかり戦うからよぅ。しかし、こんな近くにおると言うのに闘気も気配も感じんとは、本当なんじゃな。死んでおらんよな?」

 

「当たり前じゃ! でなければ妾はここにおらん! ただずっと目覚めておらんだけじゃ!」

 

九桜からの話を聞きながらふむ、と闘戦勝仏はDの背中に手を置いてすぐ何か察する。

 

「なるほどねぃ。こりゃあ、抜け殻じゃねぇの」

 

「抜け殻・・・・・だと?」

 

「死んではおらぬが、魂・・・心がなくなっておる感じじゃわぃ。闘気も魔力もちっとも宿っておらんぞ」

 

闘戦勝仏の話を聞き、アザゼルは神妙な顔で催促した。

 

「どうすれば復活するか教えてくれ」

 

鎌を打ち下ろす死神相手にいなし、棒を伸ばして兵藤家の人間を十数人纏めて薙ぎ払って吹き飛ばした。

 

「簡単じゃて。どこかに行ってしまった心を探して肉体と一つにすればいいだけ。となれば、心を探すのは簡単じゃないがよ、この赤龍帝の坊主が心から大事なもんのところにいるんじゃねぇか?」

 

「―――」

 

アザゼルはDの大事なものは何なのか察し、大の男を無造作に肩に担いで転移魔方陣を展開した。

 

「全員集まれ! 行くぞ!」

 

「えっ、どこに!?」

 

「アザゼルさん!?」

 

「どういうことだ、説明しろ!」

 

「つべこべ言わず早く集まれ! 肉体は回収できた上に、良くも悪くも兵藤家と式森家がここに集まっているのが功を奏した! この機会を逃したらあいつらと三大勢力の戦争の発展になり兼ねないんだ!」

 

唾を飛ばしながら叫びつつ鳶雄達を呼び集めるアザゼル。その指示に従い集まる彼等彼女等の様子に源氏の命令で、アザゼルを捕える動きをさせられる誠が闘戦勝仏に阻まれながら懇願した。

 

「待てアザゼル! 俺も連れて行ってくれ!」

 

「支配されているお前を連れて行けるか! 楼羅と悠璃も同じ理由で悪いが置いて行くぞ!」

 

「そんなぁー!?」

 

「お父様・・・・・しばらくは許しませんよ。お母様に報告します」

 

阿鼻叫喚ではないが、非常に残念な声が上がる中。攻撃の手を緩めない三勢力からアザゼルを守るメフィストと闘戦勝仏。

 

「先に行ってくれ。少しばかり彼等を大人しくさせたら追いかけるから」

 

「ほいほい、とっとと行ってこい坊主たち。ここは儂ら年寄りに任せぃ」

 

「悪い、二人共!」

 

「「逃がすな!」」

 

二人の当主が疾呼し、アザゼルたちを守る闘戦勝仏とメフィストに苛烈な攻撃を仕掛ける。それを防ぐ二人に守られながらアザゼルたちは無事に魔方陣の光に包まれ別の場所へと転移した。

 

 

場所は―――トレセン学園。

 

 

 

「よし、今度は全員で挑むぞ」

 

「うん、頑張ろう!」

 

「ライスも、頑張るよ・・・!」

 

「そろそろ勝ちたいからねー」

 

あの夜以降からずっと夜の帳の幕が降ろされる度にトレーニングコースに集まるウマ娘達とそれを見に来たウマ娘は幾人も増えた。時には謎の光と並走して負ける不思議な経験を味わい、興味を持ちもう一度走りたい気持ちを抱くウマ娘はこうしてコースに集まる。今宵は十数人のウマ娘がスタートの位置に並んで一人分の隙間を空け、現れる光を待った。そんな彼女たちの気持ちに応えるかのように、虚空から人の形をした光が静かに空いた隙間に入り走る姿勢に入った。合図を出すのは、ミスターシービー。

 

「よーい・・・スタ―――」

 

「ちょっと待ったぁあああああああああああああ!!!」

 

スタートダッシュのタイミングを第三者の叫び声で阻まれ、誰だ? 自分達の邪魔をするのは誰だ? と、気持ちで声がした方へ振り向けば、大洗学園艦から転移して走ってくるアザゼルたちがいた。

 

「お前ら、その光を捕まえて逃がさないでくれ!」

 

「アザゼル総督? 急に何を・・・・・」

 

「その光が、Dの魂かもしれないんだ!」

 

駆けてくるアザゼルの話にウマ娘達は、その認識は既に自分達もしているという反応だった。だからこそ併走して勝つために毎夜毎夜コースに集まって・・・・・。

 

「あ、光が先に走っちゃったよ?」

 

『あっ!?』

 

ミスターシービーの指摘にバッと振り返れば、すでに二〇〇メートル近く先の無人のコースに走っていた光に大きく出遅れていた。が、一人だけ・・・セキトが追いかけていた。今更走ろうと結果は見えていて、自分達の邪魔をしたアザゼルたちが目の前まで来ると苛立ちを隠さない。

 

「邪魔しないでよ! また明日の夜まで待たないといけないじゃんか!」

 

「また、だと? つまり何度もここにあの光が現れているんだな?」

 

「そうですわ! だから私達は毎夜ここに・・・・・」

 

アザゼルの肩に担いでいる何かに目が留まり、最初は赤い毛の何かだと思っていたがこの赤、いや真紅の毛は・・・・・。

 

「・・・・・アザゼル総督、肩に担いでいるものは・・・・・」

 

「ああ・・・・・お前らが望んで止まない奴だよ」

 

芝の上に寝転がせたそれは、意識が無いDだった。ウマ娘一同、激しい衝撃を受けて恐る恐るDを凝視、シンボリルドルフが未だ眠る男の頬を触れてみれば温もりがある。まだ死んではおらず生きているのだと言う実感を得て、シンボリルドルフの目尻から雫が溢れ頬に流す。

 

「トレーナーさん・・・・・!」

 

「感動しているところ悪いが時間が無い。ラヴィニア、魔法で―――」

 

次の瞬間。Dと、セキトと走っている光が十二角形と十二芒星を合わせた魔方陣の結界によって閉じ込められた。一度だけ見覚えがある結界のものを構築したただ一人の魔法使いにアザゼルは条件反射でその名を口にした。

 

「一香!!」

 

上空から舞い降りる一香を睨むように見上げるアザゼル。

 

「ご苦労様アザゼル。後は任せて。息子が生きていた実証をしてくれて。その感謝のお礼に私が甦らすわ」

 

最後の最後まで気を許せない相手だが、兵藤家と式森家よりは話が通じてマシな方だと警戒心を解いた。

 

「・・・・・てっきり、そのままどこかに連れ去って隠すもんだと思ったんだがな」

 

「私は一誠の母親よ!? 子の生存を喜ばない親はどこにいいるのよ! 和真から連絡が入った時にはふざけんなって断ったし!」

 

今頃頭を抱えてんなーと一人の当主を頭の中で想像し、一香は皆の目の前でDの肉体と光を閉じ込めた結界を一つにした。一同が見守る中、光は魂が無い抜け殻の肉体に定着、固定を施された際に強い光が生じてDが見えなくなるほど包まれ・・・・・。

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