「お静かに!今から寮の組み分けをします。呼ばれた生徒は前の椅子に座るように。」
でかいおっさんの案内でホグワーツに着いた俺は上級生が集まるホールで同級生の中に埋もれている。前にパブで会ったばぁちゃん先生が寮の組み分けって言ってるけど、どういうこった?あの椅子に座ってなんかあんのかなぁ?変な帽子だけ置いてっけど。全寮制とは聞いてたけど、どういう風なんかはイシズさんも詳しくは知らないっぽいし。
「アボット・ハンナ!」
おっ!1人目の奴が呼ばれたな。Abbottだからスペル順か。なら俺は早い方だな!
「ハッフルパフ!!」
うわっ!!!?帽子が喋った!?マジで魔法なんでもありだな!ってかあいつが決めてんのかよ!
順々に新入生の入寮が決まりホール内が沸き立ってはいるが、教師上級生共に早く本命の番になってほしいかのように少し落ち着かない雰囲気の中ペップの番がやってきた。
「ゲイム・ジョゼップ!」
「えっ!!!???」
ペップの名を聞いて1人の声が響き渡る。この名前の時は静寂になっているので一際だ。
その声の主は皆の目当てとなっているハリーであった。
「ん?」とその声に後ろを振り向いたペップだったが、小柄なハリーは前の者に隠れて見えてはいなかった。
(な、なんでペップがホグワーツにいるんだ!?)
まさかの同郷との再会に目を剥くハリー。そして一方、教師陣に目を向ければ校長のダンブルドアがペップを品定めするかのように注視していた。
面白そうな顔をして組み分け帽子を手に取って眺めるペップを帽子自身が早くするよう促して、やっとこさペップは椅子に座り帽子を深々と被る。
すると帽子はううむ、と唸りだした。
「・・・魔法使いとして才能がある、という訳ではないが、底知れない何かを確かに持っておる。そしてその性格は様々だ。興味が尽きないその探究心は確かにレイブンクローに当てはまる。ハッフルパフの特徴の優しさ、グリフィンドールの勇猛さも兼ね備えておる。だが、スリザリンの狡猾さ・・・言い方を変えれば駆け引きの上手さも垣間見える。君はいずれ偉人になる素質がある。何の、とは言えないがね。」
「褒めてくれるのは嬉しいけどさ。早く言ってよ。もう待ちきれねぇよぉ!」
「逆に君はどこの寮に行きたいかね?」
「そんなパターンもありなん?・・・そうだな。じゃあどの寮が俺にとって面白い?」
自分にとって異世界をこれから体験していくのだ。例えどの寮になろうがペップは十二分に楽しんでいくだろう。その上でどこに入ればこの世界を1から100まで味わい尽くせるのか、そこが彼が求めているものである。
「ホッホ!ならば・・・・スリザリン!!!」
おおっ!?と異様な歓声が湧き上がる。
中でもそのスリザリン生が一番面食らった顔をしているのは、おそらくペップが名前からしてマグル出身であると思っていたからだ。スリザリンは純血主義が濃い寮なのでまず純粋なマグル出身者が入ることがない。
そして1人愕然としていたのはペップの友人ハリーである。
ロン・ウィーズリーから聞いていた話ではスリザリンは闇の魔法使いを多く輩出していることから印象は大分悪かった。そんなところに選ばれてしまったペップを何かの間違いだと言わんばかりに口を開いて惚けていた。
「へへ、スリザリンか!緑がイメージカラーはちょっと嫌だけど、なかなか個性的な奴らがいてそうだな!顔的に。」
ペップが揚々と席に座れど戸惑うかのように上級生も彼に声を掛けづらいようであった。
遠巻きな視線を受けながらも目の前のお菓子に手をつけ後の同輩の番を眺めていると、帽子に触れもせずスリザリンに選ばれた金髪オールバックの少年がこちらの席へ向かってきた。
「早いな〜お前!あれか!スリザリンの申し子か!?」
冗談そうにドラコ・マルフォイと呼ばれていた少年にペップは声を掛けたが、鼻で笑うかのようにドラコは見下した目をペップに向ける。
「悪いが、同寮とはいえ魔法族ではないだろう君と僕は馴れ合うつもりはない。格というものを知った方がいいよ。特にこの寮では、ね。」
「はあ?」
発した第一声がこれである。当然ペップはこの発言に憤慨するが、周辺のスリザリン生を見渡すにドラコと同一な視線を感じた。
(なるへそ、こういう感じね。)
11歳ながらもこのような差別的な感情はペップはある程度理解している。お国柄というべきか、イングランドは階級制が存在しているのでこういう風潮はこっちでもあるのかと少し感心すらしていた。
そんな態度を隠そうともしないドラコは続けざまに言葉を続ける。
「そして忌々しいことに今年はあのハリー・ポッターが入学してくる。両親は魔法使いだが、母親の方は元はマグルの出だ。なのに純血の僕らを差し置いて今や魔法界の英雄さ。冗談じゃない!」
「は?ハリー・ポッター??」
「知らないのかい?・・・無理もないか。あの有名なポッターもマグルの世界までは届いてないだろうからね。ほら、丁度よく奴の出番だ。」
ドラコに顎で視線を誘導されると目線の先にはよく見知った友人が上段の席に座っていた。
「は、ハリー?何でこんなとこに居んだよ?」
「じ、じゃあ元からハリーの入学は決まってたんか!?」
「ち、違うよ。僕も突然の話でびっくりしたんだ。でも僕の親は魔法使いだったらしいけど、ペップこそどうしてホグワーツに?両親は普通だったよね?」
「まぁ、説明するとなんか・・・説明しきれる自信ないんだけどな・・。」
ペップはハリーがグリフィンドールの席に着く前に摑まえ、久々の再会をした。
しかし今しがたスリザリンに選ばれたペップがグリフィンドール生の中にいるのがあまり良く思われていないのか、こちらでも嫌悪感のある視線を向けられてしまう。
(案の定嫌われてんな俺の寮・・。ああも高圧的だとなぁ〜〜。)
「ちょっと!私に対して挨拶はないのかしら?」
ハリーの後ろから彼と同じくグリフィンドールに選ばれたハーマイオニーが姿を見せる。実はペップのすぐ後に彼女が組み分けされていたのだったが、ペップは一切気づいてもいなかった。
「ハーマイオ・・・レンジャー!お前もグリフィンドールかよ!」
「あのね!それ全然まっったく面白くないからやめてくれる?・・それにしても貴方がスリザリン なんて驚いたわ。同じマグルだし、なんていうか・・気は良い人だと思っていたから。」
「何だよ?スリザリンだとそんな悪いのかよ?確かに雰囲気の良い寮ではなかったけど。」
「当たり前だよ!闇の魔法使いはみんなスリザリンの出身なんだから!ロクなもんじゃない!」
3人の会話の中に入ってきてスリザリンに対して辛辣な意見を言ってきたのは、赤毛の少年ロン・ウィーズリー。
スリザリンを毛嫌いする態度はありありでハリーとハーマイオニーをペップから引き離す。
「ロン!ペップは悪い人間じゃないよ!」
「どうだか!ぱっと見は良くても組み分け帽子は人の本当の姿を見抜くんだ!」
「じゃあ何だよ!俺が悪人になるって言いたいのかよ!」
「ああ!いずれアズカバンの世話になるだろうさ!」
「アズカバンって何だ!?」
ギャアギャアと騒ぎ立てるペップとロンに当然マクゴナガルの雷が落ち、この場がお開きになった後、各それぞれが自分たちの寮へと向かっていった。ペップはスリザリンの寮がある地下へ向かう。そしてホールでは数名の教師が残っており、座る校長の席の前で響かせない大きさで話し合っていた。
「・・・彼が例の女から言われていた少年ですかな?さして何も、我輩は感じませんでしたが?」
「注目するのは彼が持っているパズルの方です。遠目では分かりづらいですが、確かに異質な力を感じさせます。」
「ふっ・・しかし完全なマグル出身で我が寮へ入るとは・・・今後の彼の生活に同情しますな。」
「同情するなら気にかけておやりなさい。彼はホグワーツから出ることは死に近くなるのです。決して退校させるような事態にならぬように!」
黒髮のねっとりした雰囲気をしたスリザリンの寮監スネイプとマクゴナガル。
ペップが正式な入学者ではないことを校内では彼らだけが知っており、噂の少年がどうだったか談合していた。
「あまりセブルスにプレッシャーをかけるでない、ミネルバ。セブルスもゲイムに気を揉む余裕はないのじゃ。」
「どういうことです、それは?」
「・・校長。」
「あぁ、悪いのセブルス。とにかく様子見じゃのう。まだパズルは完成してはおらぬのじゃろう?ならば気にかけるのはハリー1人で十分じゃ。」
「しかしイシズの話ではクラウチJrがゲイムに既に接触しているのですよ?あの辺りの輩は何をしでかすか・・本来なら考えたくもないですが。」
「校内ならば問題はないでしょうな。巣を壊された蟻のように地べたを這う彼らに余力はあるとお思いか?・・・話はもう結構。無駄に警戒して労力を割かれては明日からの授業に支障がきたしますので、我輩はもう休ませてもらいます。」
スネイプはローブを翻してホールを出て行く。スリザリンの寮監ということでペップに関することを校長らから吹き込まれたが、彼にとってそれはどうでも良いことである。彼の目的は別にある。面倒事なら他でやってくれ、これが彼の本心であった。
「ミネルバ。イシズは千年アイテムの他に何か言ってはいなかったか?」
「ええ。彼女は奴らの他に別のアイテムを狙う者たちがいると言っていました。その名はグールズ。地中海周辺を主にした野盗集団らしいのですが、その首領が何でもアイテムを所持しているのだとか。」
「ほう・・・。それは厄介そうじゃの。」
「それともう一つ、アイテムを持つ者はそれに秘められし特殊技能の他に魔物を操る力を得る、だそうです。」
「魔物じゃと?」
「ええ、魔獣などとも違う古代エジプトより用いられる怪物です。」
◆
あまり幸先も良くなさそうなペップの学校生活が始まったが、意外にも不自由の無い日々をペップは過ごしていた。
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じた物を加えると何になるか?」
「眠り薬!!」
「ベゾアール石を見つけて来いと言われたらどこを探すかね?」
「山羊の胃から!」
「・・・ほう。見事だゲイム。普段から教科書を読み込んでいるだけあるな。旺盛な姿勢を評してスリザリンに3点をあげよう。」
「よっしゃ!スネイプ先生おっとこ前!」
魔法薬学の授業では秀才のハーマイオニーを差し置いて答えを当てるなど今までのマグルの授業では考えられないほどに充実していたペップである。
「すごいよペップ!こんな勉強できるタイプだった!?」
「ヘッヘッヘ!まぁ楽しいからな!学校の勉強でも社会とかは好きだったし。」
「ああ〜・・・。でも凄いよ!ハーマイオニーなんていつも一番で誰も敵わない。」
「おかげでいっつもアイツに睨まれてるけどな。」
中庭でハリーと談笑するペップは後ろの廊下から睨みつけるハーマイオニーを指差す。プライドの高い彼女の癪に障ったようだ。もちろん悪意のあるものではないが。
「確かに!部分的ではあるけど・・・あなたの方が詳しいこともあるわ。でも勘違いしないように!総合では私の方が頭二つ上なんだから!!」
「だから俺は争ってるつもりないっての!大体成績とかどうでも良いし。」
「そうだね。成績気にしてたらマグル学で居眠りしないだろうし。」
「マグル学ったってもう知ってる事聞くだけだしなぁ。2人も一緒だけど。」
「・・それよりハリー、例のことだけど。」
「あ、あれの事?」
会話に加わったハーマイオニーが急に話を替えるとハリーの表情もどことなく引き締まり、話が重要なものか感じさせる。それを感じ取ったペップは何の話か問うも2人して言い淀んでしまう。
「・・・どうしよう。」
「あまり言いふらすのは良くないわ。それにこの事、彼に話したらどんな行動に移すかなんて目に見えてるわ。」
「ああ、授業なんてすっ飛ばしてあの部屋に突入するだろうね。」
ボソボソと会話する2人を不審がっていると、「おーい」とこちらを呼ぶロンが近寄ってきた。
「ハリー!ウッドが君を探してたぜ!クディッチの練習始めるってさ!」
「ええ!?今日は休みだって言ってたのに!」
「急にグラウンドが空いたんだってさ。クディッチ狂いのウッドがそれを見逃すわけないよ。」
「・・・。そんなわけだから、ペップ。それじゃ同じ授業の時までまたね。」
「お、おい?ハリー、さっきの話は〜!!」
「さっきの話って?」
「例の部屋に関する事よ。」
「は!?話したのかよコイツに!?」
「だから何の話なんだよ?」
「お前に話すことなんてない!ハーマイオニー行くぞ!」
「じゃ、じゃあねペップ。」
「お、おう。」
どうにもロンに目の敵にされていることに困惑するペップは一方的な嫌悪に反発する暇もなくハーマイオニーたちを見送った。
何でこんなにもロンがペップに対して当たりがキツイのかというと、スリザリンが大部分を占めてはいるが、不器用で勉強も今ひとつなロンに対し、ペップはバラツキはあるが勉強を苦にはしておらず顔もそこそこにハンサム。そして極めつけはチェスの勝負で負けたことである。ロンはチェスの腕前だけは負けない自信がかなりあったようで、そこでペップを気に食わないやつから明確に嫌いな奴にランクアップしてしまうのであった。
簡潔に言うと妬みでしかないのだが、この年頃には仕方のないことなのかもしれない。
思春期には友達関係の悩みは付き物だが、ペップもその例に洩れずにいた。
人間界では友達もそれなりに多くいたペップだったが、こちらではハリーたち以外では友と呼べる交流がないのだ。
如何せんスリザリンの性質上か、ソリが合わないことが多々あった。マグル出身の自分を蔑み、下に見る輩を迎合することは誰だって無理だ。初めはよく言い争いもあったが、今ではそれさえも無くなっている冷戦状態という最悪の空気感で寮内を過ごしている。
そして最も対立しているのがこの少年、マルフォイだ。
「おい見ろ。穢れた血がまた一人でいるぞ。いい加減他の寮に代わってもらうようダンブルドアにでも頭を下げればいいものを。」
「マルフォイ・・。」
「寮監の授業では上手く媚を売ってるが、誰もお前をスリザリンなんて認めていないからな。」
「また殴られたいのかマルフォイ?」
「っ何だと!?」
「ま、殴り返す勇気があればだけど。クラッブとゴイル頼みだからなお前は。」
マルフォイの挑発に挑発で返すペップ。
両者の関係が冷え切ったのは以前に面白半分でマルフォイらがペップの両親を貶したことから殴り合いの喧嘩に発展してからだった。
その時ペップ対マルフォイ・クラッブ・ゴイルの3人で結果はペップが一番殴られた形とはなったものの、マルフォイは3発殴られ反撃もできぬまま気絶してしまっていたため実質はペップに軍配が上がった。
「箒もまともに乗れないマヌケが、純血の僕に対してよくもそんな無礼をっ・・!」
「はっ・・パパに言いつけるか?」
そんな経緯があるためペップはマルフォイに対して余裕あるし、マルフォイは激しい苛立ちを感じている。しかし根が臆病な彼でもペップに受けた屈辱に流石に腹を据えかねたか、懐の杖をペップに差し向ける。
「二度と舐めた口をきけなくしてやる!!」
負けじとペップも杖を取り出すが、ここは人通りの多い中庭だ。生徒は当然、教師も通りすがる訳で二人を取り囲んだ野次馬を掻き分けマグゴナガルが間を割って入ってきた。
「こんなところで何をやっているのです?杖を人に差し向けるなど誰がそんなことを教えましたか?」
「うっ・・・先生。」
「貴方方随分と余裕を持ってますが既に予鈴はなっていますよ!お行きなさい!」
マグゴナガルが生徒らをすべからず言葉を投げかけると、野次馬たちは蜘蛛の子が逃げ出すように自分たちの授業へと向かっていく。
「スリザリンに3点ずつ減点します。よろしくて?」
「「はい、先生・・。」」
「さぁ、貴方達も授業にお行きなさい。」
「命拾いしたなゲイム!」
「どっちが!!」
「んん〜、実際問題魔法のセンスが絶望的すぎて泣ける・・。満足に箒も自在に乗れないとは。」
マルフォイの言う様に予想以上のセンスの無さにペップは軽く落ち込み、寮の自室のベッドに倒れこむ。
同じマグル出身で馴染みのハリーはクディッチのメンバーになる程箒の扱いが上手く、ハーマイオニーは言わずもがな。比較対象が中々に高レベルなこともあって悔しく思ってる様だ。正直グリフィンドールで言えばネビルやシェーマスとドッコイかそれ以下、下から数えれば片手で足りる。純潔で魔法族出身が大半のスリザリンでは特に悪目立ちしていて先ほどのマルフォイの様に揶揄われることもしばしば。
入学してから数ヶ月経っているが、パズルが完成していないので当然イシズから言われていたカードは扱うには至っていない。
「本当に必要になった時か・・・でも別に今コレが必要ってわけじゃないんだよな。コレ以前に魔法に手一杯だし。」
ペップは首に掛けた作りかけのパズルを下ろして寝台の横の机に置く。興味が尽きたわけではないが、解決しないそれを少し鬱陶しげに見つめる。
「コレ掛けてると首痛いんだよな。金だからめっちゃ重いし、ペンダントとしては絶対向いてねぇよコレ!プラス残りのピースと持ち歩いたら嵩張るし、しばらくは棚にしまっとくか・・・。」
共同部屋の机の棚に超がつく秘宝を使わなくなったおもちゃの様にしまい出すペップ。子供ゆえの危機管理の無さである。確かにパズルを持っていても他人には奇特な目で見られるわ、邪魔くさいわで気持ちはわかるがそれはどうなんだと問いたい。
就寝時刻が過ぎる頃、学校の側にある禁断の森ではここに住む魔法生物の中である騒ぎが起きていた。ケンタウロスのフィレンツェはこの森に潜伏する複数の影に厳戒態勢を敷く様周りに呼びかけ、ここ数日森の中を駆け回っている。
「一体どうなっているんだ。あの傷跡・・相当獰猛な獣の爪痕だった。私を超える様な体躯の・・。なのにこれだけ探し回っても痕跡が見つからないとは。」
ユニコーンを始め、数体の生物が得体の知らない巨大な獣に襲われているこの騒ぎをフィレンツェは突き止めようとしているが、彼が言う様にその問題の獣が見つからないでいた。
(ユニコーンの胴体を切り離すほどの力を持つ獣だ。足跡ぐらいあっても良さそうなものだが・・・。一つ気になると言えば人間の足跡が複数あることだが。)
高度な魔法を使う人間にこの疑念を向けるが、仮に人間がその獣を引き連れているとしたらそれこそ見つけるのは容易いはずだと彼は考える。学校の敷地内であるこの森に闇眩ましはできないので特にだ。妙なこの騒ぎに得体の知れない気持ち悪さをこの聡明なケンタウロスは感じる。学校の森番ハグリットに伝えるべきか迷っていたが、彼が森の中に顔を出さない限り接触は難しくフィレンツェはこの問題をまず自分たちで解決することを第一に考える。