星の海へ   作:ステルス兄貴

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永遠に編開幕です。


九十三話 地球占領

 

 

時に西暦2202年‥‥。

 

それは漆黒の大宇宙を背景に移動する小さな黒いシミの様に見えた‥‥。

 

だが、それこそ巨大で不吉な前代未聞の事態を地球へと運ぶ恐怖の巨大飛行物体だった‥‥。

 

 

太陽系外縁、第十一番惑星軌道付近

 

 銀河系中央側空域に敷設されている無人監視衛星が、何の前触れもなく直近にワープアウトしてきた物体を捉えた。

 その物体は亜光速で監視衛星をフライパスし、冥王星に向けて飛び去っていく。

 衛星からの信号はタキオン通信で地球に向けて放たれたが、その直後、各衛星はその機能を突然停止した。

 衛星からの信号をキャッチした防衛軍司令本部と、針路上にある各基地や部隊は騒然となった。

 

 

地球 メガロポリス東京 地球防衛軍司令部

 

「エマージェンシー!!エマージェンシー!!」

 

「外洋センサー全て停止!!」

 

「どういう事だ?」

 

「もう一度チェックをしてみろ!!」

 

 司令長官室で執務に当たっていた藤堂平九郎はすぐさま中央司令部に降り、参謀長の西郷ら幕僚と共に現状報告を受ける。

 

「外宇宙より飛来した未確認飛行物体は光速の95%以上の速度で冥王星に向かっています。あと10分で冥王星宙域に到達します!」

 

 報告を受けた藤堂はスクリーンを見る。

 そこには、水星から最外縁の第十一番惑星軌道や両極方面に展開している防衛軍の各戦力が表示されていた。

 

(‥‥天王星以外の惑星は、冥王星から火星までほぼ一直線に整列している。誰の仕業なのかはともかく、太陽系の惑星が直列になることを見越した上で、あの物体を送り込んできたのではないのか?地球に向けて‥‥)

 

「相変わらずこちらからの通信には応答せんのか?」

 

 藤堂と司令部入りをした西郷がオペレーターに訊ねる。

 

「はい。何の応答もありません」

 

「相原君、冥王星基地所属艦隊に至急通信を送ってくれ。こちらからの通信に答えない以上、領海侵犯とみなすしかあるまい‥‥攻撃命令だ!!よろしいですな?長官」

 

「うむ‥相原君、命令を伝えてくれ。それと念の為、大統領官邸にも通信を繋げ!」

 

 防衛軍司令部はこの未確認飛行物体を領海侵犯とみなして攻撃、撃墜する命令を下した。

 藤堂は、本能的にこれは侵略だと思っていた。

 そして、冥王星基地で撃破できるだろうかと言う不安も抱いていた。

 しかし、最優先すべきは市民の安全だ。

 過剰反応、独断専行と言われようが、自分たち軍人は全てを賭けて市民を守らなければならない。

 藤堂にとって三度目にわたる地球の未来を賭けた戦いが今、幕を開けた。

 

「了解。冥王星基地、冥王星基地。こちら地球防衛軍司令部。未確認飛行物体への攻撃を許可する」

 

 相原は冥王星基地に攻撃命令を打電するが、

 

「‥‥」

 

 冥王星基地からは何の応答もない。

 

「‥‥ん?これは・・・・冥王星基地、通信途絶!!」

 

「通信が途絶えた!?あの一瞬の内にか!?」

 

「未確認飛行物体、尚も速度を上げて地球へ接近中」

 

「ならば、土星のタイタン基地と木星のガニメデ基地にも攻撃命令を!!」

 

「そ、それがタイタン基地、ガニメデ基地も通信が途絶しました‥‥」

 

「なっ!?」

 

「その他にも海王星トリトン基地、天王星チタニア基地も通信が途絶しました」

 

「ど、どういう事なんだ?相原君」

 

 太陽系内の主要基地との通信が途絶したこの異常事態に通信関係のスペシャリストである相原に藤堂は事情を聞く。

 

「非常通信回線も使用しているのですが、どの基地も応答がありません」

 

 相原自身も様々な手を使い、各基地とコンタクトを取ろうとしていた様だが、やはり。基地からの応答は無い。

 

「何と言う速度だ‥‥それに全ての基地が‥‥」

 

 西郷は未確認飛行物体の速度に舌を巻く。

 

「未確認飛行物体さらに加速!!火星まであと一万五千!!」

 

 そうこうしている間に未確認飛行物体はもう地球と目と鼻の先まで来ていた。

 

「全市民に避難警報を発令しろ!!それと火星に一番近い防衛軍の艦はどれだ?」

 

「第十パトロール艇が一番近い艦です」

 

「艇長は誰だ?」

 

「古代進少佐です」

 

「急ぎ古代に連絡しろ」

 

「了解」

 

 その頃、古代が艇長を務めている第十パトロール艇は火星のすぐ近くへ来ていた。

 

 

火星付近 第十パトロール艇 操縦室

 

「こちら、第十パトロール艇。艇長、古代進。ただいまより地球時間55分後に火星基地に着陸する」

 

 古代が火星基地に通信を送ると、

 

「古代さん待っていました。聞いてください、今火星に未確認飛行物体が‥‥」

 

 火星基地との交信はコレを最後に途絶えた。

 

「火星基地?応答せよ。火星基地?」

 

「‥‥」

 

 古代は呼びかけるが火星基地からの応答は無い。

 

「火星基地、謎の未確認飛行物体がどうしたというんだ!?火星基地、応答せよ!?」

 

「‥‥」

 

 それでもやはり、火星基地からの応答は無い。

 

「くそっ、エンジン出力全開!!火星基地に向かって直進!!」

 

「了解」

 

 古代は操縦士の小栗浩に命じ、速度を上げて火星基地へと急いだ。

 その直後、謎の光球物体が火星軌道を通過して行った。

 

「なんだ?アレは?まさか、あの飛行物体のせいで火星基地との通信が途絶えたのか?」

 

「どうします艇長?あちらを追尾しますか?」

 

「いや、火星基地の方が心配だ。そちらを優先する」

 

「了解」

 

 当初の予定通り第十パトロール艇は火星へと向かう。

 

そこに、

 

「こちら、地球防衛軍司令部。第十パトロール艇、応答せよ」

 

 司令部から通信が入った。

 

「相原か?なにが起こっているんだ?」

 

 スピーカーから流れ出る声で通信を送って来たのが、ヤマト元通信長の相原義一だとわかると、古代は急ぎ現状を訊ねる。

 司令部ならば、自分たちよりも詳しい事情を知っているかもしれないと思ったからだ。

 

「それが、こちらからでは確認できません。未確認飛行物体から発する巨大な重力波が干渉して、レーダーに捉えられないんです。それに速度が余りにも速すぎて‥‥」

 

 司令部の方でも状況が判断出来ていない様だ。

 

「やはり、外宇宙から飛来して来たあれか‥‥太陽系内の基地で破壊できなかったのか?」

 

「冥王星基地に攻撃命令を出したのですが、通信が途絶えてしまって‥‥同じくトリトン、チタニア、タイタン、ガニメデの各基地も同様です」

 

「そうか‥‥実は、それらしき物体が俺達の前方を飛んでいくのを見たんだ‥‥その直後、火星基地との通信が途絶えた」

 

「ええっ!?」

 

「それは本当か?古代」

 

 相原は基地との交信途絶の事実に驚いたような声を上げるが、藤堂は毅然としている様子でスピーカーから流れる声にも動揺の様子は見られない。

 

「はい、長官。つい今しがたです」

 

「そうか‥‥分かった。とにかく今は一刻も早く火星基地へ向かってくれ」

 

「了解」

 

 古代は急ぎ火星基地へと向かった。

 そして、基地の近くでもう一度、基地へと連絡をいれるが、誰も出ない。

 

「小栗、着陸前に一度、基地の上空を旋回してくれ」

 

「了解。旋回します」

 

 そのまま、パトロール艇は基地の上空を二、三度旋回したが、基地からはなんの通信も信号も送られてこない。

 

「‥‥着陸だ」

 

「はい」

 

 パトロール艇は基地へと着陸した。

 基地へ降り立つと、あたりはシーンと静まり返っている。

 

「なんか、不気味ですね」

 

「ああ」

 

 古代たちは急ぎ、基地の中へと向かう。

 

すると、

 

「こ、これはっ!?」

 

「一体何が‥‥」

 

 そこには大勢の人が定位置に着いたままの姿勢でいたのだが、誰も動かず、喋らない。

 

「まさか‥‥」

 

 嫌な予感を覚えつつ古代は近くに人の肩を揺するとその人の身体はグラっと床に倒れる。

 そこで脈拍を確認すると、

 

「し、死んでいる‥‥」

 

「艇長、ダメです。この辺りに居る人は皆死んでいます」

 

 小栗も周辺の人の生死を確認したのだが、皆死んでいた。

 

(どういうことだ?一体、何があったんだ?)

 

 ここに居る人たちの身体には死因となるべく外傷は全く無く、死に顔も苦痛に歪んでおらず、普段通りの様に見える。

 恐らく彼は自分たちの身に何が起きたのかさえ、分からない内に絶命したのだろう。

 

「兎に角、現状を地球司令部に報告するぞ」

 

「は、はい」

 

 古代は火星基地の現状を地球へ知らせることにした。

 

 

 未確認飛行物体が接近している地球でもただ手を拱いている訳にはいかなかった。

 戦闘衛星や攻撃ステーションも全て起動させ、迎撃態勢を取る。

 地上でも迎撃ミサイルの発射が用意された。

 

 

地上 迎撃ミサイル基地

 

「第一級戦闘指令!!迎撃ミサイル速射六連!!」

 

「8088よりプラス追尾!!」

 

 やがて、全ての迎撃ミサイルの発射準備が整い、

 

「発射!!」

 

 地上のミサイル基地からは多数の迎撃ミサイルが発射された。

 同時に戦闘衛星、攻撃ステーションも未確認飛行物体への攻撃を行った。

 しかし、発射されたミサイルは不明物体に接触する前に軌道がズレて次々と爆発し、効果が全く無く、不明物体は無傷のまま地球へ迫って行った。

 

 

メガロポリス東京 地球防衛軍司令部

 

「不明物体、地球軌道に到達!!減速を開始!!」

 

「迎撃態勢を確認!!」

 

「それが、攻撃は行ったのですが、全ての兵器が着弾せずに爆発し、無効化されました」

 

「なんだと!?」

 

 あれだけのミサイルや戦闘衛星、攻撃ステーションの迎撃網を無傷で突破してきた事に驚愕する西郷。

 

「か、拡大投影しろ!!」

 

 地球に接近した事により、ようやく未確認飛行物体の映像を捉えることが出来た。

 モニターにはその正体が映し出された。

 

「こ、これは‥‥」

 

「大型のミサイル‥‥?」

 

「‥‥」

 

 モニターに表示されたのは、命中したら地球に甚大な被害を出しそうな程の巨大なミサイルの姿が映し出された。

 

「不明物体は現在、日本、メガロポリス東京上空に静止‥‥いや、動き出しました!!降下してきます!!」

 

「着陸地点は!?」

 

「旧防衛軍司令部、未開発エリア付近です」

 

「長官」

 

「うむ、地球全区域を第一級戦闘態勢に指定する。特に科学調査隊は全力をあげ、一刻も早く敵の実態を究明しろ‥‥以上だ」

 

 司令部全体が緊張した空気に包まれる。

 

そこに、

 

「第十パトロール艇、艇長より入電」

 

 火星基地に到着した古代から通信が入った。

 

「古代‥火星基地は?」

 

「火星基地に生存者なし‥‥全滅です」

 

「全滅!?‥それじゃあ他の基地も‥‥」

 

「ぬぅ~‥被害状況は?」

 

 全滅と言う事は基地が何らかの攻撃を受け、破壊されたモノだと推察され、その被害状況がどれほどの規模なのかを訊ねると、古代からは意外な答えが返って来た。

 

「施設には何の損傷もありません‥‥不思議な事に遺体にも何の外傷がなく‥‥」

 

 古代は戸惑った様子で報告する。

 敵の攻撃を受け、基地は破壊、その影響によって死亡と言うのであれば、分かるが、基地を破壊せず、その基地の中に居た人間のみ‥‥それも遺体に何の外傷も無く大勢の人間を殺す‥‥。

 そんな方法があるのだろうか?

 古代の報告では毒ガスや細菌兵器がばら撒かれた様子も無いと言う。

 

「何の外傷も無く、全員死亡しているのか?」

 

「はい」

 

 古代の報告に西郷も戸惑う。

 

「自分はこれから更に状況を調査して帰還します」

 

 そう言って古代は通信をきった。

 

 その間、例の巨大なミサイルはロケットの様に地球へと不時着した。

 

 皆の目が巨大なミサイルに釘付けとなっている時、

 

「大変です!!正体不明の降下兵が多数地球へ降下してきます!!」

 

「なんだと!?」

 

「‥‥いました!!軌道上に大型輸送船らしき艦影と空母を確認!!」

 

「不明物体のレーダー妨害にあわせ、ワープアウトしてきたものと思われます!!」

 

「しまった!?こちらに気を取られている隙に!!」

 

「市街地に敵兵多数降下してきます!!」

 

「空間騎兵隊に出動命令!!本部職員も第一戦闘武装!!」

 

 藤堂は至急迎撃態勢をとるが、完全に不意を突かれた防衛軍は総崩れとなり、

 

「迎撃ミサイル基地占領!!」

 

「大統領官邸も敵に包囲されました!!」

 

「首相官邸応答なし!!」

 

「敵は防衛軍司令部へと向かっています!!」

 

 地球連邦の軍、政府主要施設が次々と敵の手によって落ちていく。

 

「くそ、なにやっているんだよ、空間騎兵隊は!?斎藤さんが泣くぞ!!」

 

 相原が思わず毒づく。

 こんな事でもいわなけりゃ、恐怖でパニックを起こしそうになる。

 

「と、藤堂長官!!」

 

「どうした?」

 

「み、見て下さい!!」

 

 現に今、報告を入れたオペレーターは恐怖で声が裏返っている。

 モニターに表示された映像では、20階建てのビルに相当し、細長い3本の歩行脚で歩き回るロボットのような戦車の映像が映し出された。

 

「市街地の外れに多数出現!!」

 

「海岸線からも接近!!」

 

「戦車隊を出撃、迎撃に当たらせろ!!」

 

「了解」

 

 すぐさま、空間騎兵隊の戦車部隊にも命令が下され、戦車部隊は謎の巨大ロボ?の迎撃に当たるが、

 地球の戦車の連装ビーム砲を受けても、ビクともせず、圧倒的な攻撃力の前に防衛軍の戦車隊は次々と撃破されていった。

 更に敵は小型の戦車も輸送船から直接降下させ、歩兵部隊の援護にまわらせた。

 小型とは言え、戦車相手に歩兵では荷が重く、空間騎兵隊の兵士たちは敵戦車の攻撃を受け、次々と斃れていった。

 

「奇襲をかけた上に次から次へと追い打ちをかけてきおって‥‥」

 

 西郷がモニターを睨むが、敵は空母からも爆撃機を発艦させ、制空権までも握ろうとしていた。

 

「第四機甲師団全滅!!」

 

「第307歩兵連隊全滅!!」

 

 地上においては次々と防衛軍の地上部隊が壊滅もしくは全滅していく。

 

「長官、無人艦隊コントロールセンターが出ました」

 

「島です」

 

 無人艦隊コントロールセンターにはヤマト元航海長の島大介と同じく元ヤマト機関科の徳川太助が勤務していた。

 

「島、直ちに各衛星軌道上の無人艦隊を第七周回軌道上に集結させ、地上援護に向かわせてくれ」

 

「了解。集結から地球到着までの所要時間は約10分‥それまで何とか持ちこたえてもらえれば、背後から奇襲する事ができます」

 

「よし、頼んだぞ‥島」

 

「はい」

 

「今の防衛軍にとって無人艦隊が最後の頼みの綱ですな‥‥」

 

「‥‥」

 

 藤堂は沈黙したまモニターを見ていた。

 

 

メガロポリス東京 無人艦隊コントロールセンター メインコンピュータ室

 

 島はコンソールを操作し、地球周辺に展開している無人艦隊を集結させた。

 無人艦故に例のミサイルの通過時も何の影響も無く、無人艦隊は艦隊行動がとれた。

 無人艦隊は無事に集結し、地球へと向かった。

 

「よし、艦隊到着まであと三分だ」

 

「よかったこれで地球を救う事が出来る」

 

 徳川もホッとした様子で言う。

 今、地球を攻撃している敵の艦種は輸送船と空母のみ、反対に無人艦隊は戦艦、巡洋艦、駆逐艦を中心にした戦闘艦隊‥‥背後から武装した無人艦隊の一斉射撃を受ければ、混乱するだろうし、撃破はいとも簡単だろうと思っていた。

 しかし、事態はそう簡単にはいかなかった。

 無人艦隊のレーダーが後方から接近して来る大艦隊を捉えた。

 

「見ろ!!無人艦隊の背後に敵の大艦隊だ!!」

 

「畜生何時の間に‥‥」

 

「ここは迎え撃つしかない」

 

 島は無人艦隊を巡航モードから戦闘モードへと移行し、後方から迫る敵艦隊を迎撃しようとするが、やはり遠距離からの無人コントロール故か反応が鈍く、モタモタと艦首を回頭している間に無人艦隊は敵に先手を打たれた。

 後方の敵艦隊からの一斉射撃で、反転中の無人艦隊は側面から攻撃を受け、大損害を受け、さらに無人艦隊をコントロールしているこの施設にも敵の攻撃が始まった。

 恐らく電波を飛ばしていたのをキャッチされたのだろう。

 コントロールセンターへの爆撃が開始され、その爆風と衝撃で島も徳川も座席から放り出される。

 

「徳川、大丈夫か?」

 

「な、なんとか‥‥でも無人艦隊のコントルールが‥‥」

 

「アンテナをやられた‥‥無人艦隊の弱点を突かれたか!!」

 

 完全に壊されてしまった無人艦隊のコントルールシステム。

 この有様では、もう使用は出来ない。

 そして、コントロールを失った無人艦隊も今頃は敵艦隊に壊滅されているだろう。

 

「徳川、銃を取れ!!ここから脱出する!!」

 

「で、でも何処へ?防衛軍司令部もこの様子じゃあ、危ないですよ?」

 

「なに、俺たちの行く場所は一つだ!!」

 

 島と徳川は、銃(コスモガン)を片手にコントロールセンターから脱出した。

そしてある所へと向かった。

 

 

地球~火星 宙域

 

 火星基地から地球へ向かっていた古代は、パトロール艇の窓の外で次々と撃破されていく無人艦隊の姿を見た。

 中には味方の無人艦同士で衝突し、爆沈する艦もあった。

 

「くそっ、コントロールセンターがやられたんだ」

 

 古代は急ぎ地球へと向かおうとしたが流れ弾がパトロール艇に命中した。

 

 何とか間一髪で古代は救命ポッド脱出に成功して、地球へと辿り着くことが出来た。

 ただ、地球に辿り着いた際に操縦士の小栗とは逸れてしまった。

 彼の無事を祈りつつも古代は急いでこの事態を何とかしなければと思い、近くの有人機基地へと向かった。

 

 

メガロポリス東京 地球防衛軍司令部

 

「雪‥‥」

 

 藤堂は秘書官の雪を呼ぶ。

 

「はい」

 

「いずれここは占拠される‥‥」

 

「長官‥‥」

 

 敵の上陸を許し、軍、政府関連の施設は次々と敵に占領されていき、頼みの綱であった無人艦隊も今や壊滅。

 

 もはやこの状況下では起死回生の手はもう無い‥‥。

 

 この防衛軍司令部は地球軍における最後の要‥‥。 

 

 敵が放置する筈がない。

 

 となれば、敵は大挙してここへ押し寄せてくる。

 

 現に職員らは机や椅子などでバリケードを作っている。

 

 その前に、藤堂は打てる布石を打った。

 

「コレを持って第四有人機基地へ行ってくれ」

 

「え?」

 

「古代は必ずそこへ行くだろう‥‥この命令書を渡してくれ」

 

「わかりました」

 

「うむ、頼んだぞ‥‥」

 

「はい」

 

 雪は命令書を携えて戦場となっているメガロポリス東京の市街地へと向かった。

 しかし、極力敵との接敵を防ぐために、地下道を通る事にした。

 そして、地下道への入り口で二人の空間騎兵隊員と出会った。

 出会い頭だったため、一人は雪が敵だと勘違いし、彼女にコスモガンの銃口を向けたが、もう一人の隊員が即座に雪が敵でない事を見抜くと、

 

「撃つな!!‥‥敵じゃない」

 

 仲間の隊員に銃口を降ろす様に言った。

 

「貴方は‥‥?」

 

「空間騎兵隊、第一都市防衛師団の古野間だ。こいつは副官の宗像」

 

「どうも」

 

 宗像と呼ばれた空間騎兵隊員は雪に一礼する。

 

「‥‥そう言うアンタは?」

 

 空間騎兵隊員は自らの所属と氏名を雪に名乗り、今度は雪に対し、所属と氏名を訊ねる。

 

「防衛軍司令部の森雪です」

 

「森?‥そうか、あのヤマトの‥‥」

 

「地表はどうなっているんですか?」

 

 地上から来た古野間に上の様子を訊ねる雪。

 なにせ、地上はこれから雪が向かう場所なので、その状況を知りたかったのだ。

 

「残念だが、全滅と言っていいだろう‥‥第一都市防衛師団も生き残ったのは俺たちだけだ‥‥くそっ!!通信機もやられちまってな、今から被害状況を長官に報告しにいくところなんだが‥‥そういえば、あんたはどこへ行く気なんだ?こっから先は戦場だぜ?」

 

 ここに居ると言う事はこれから地上へ出ていくと言う事だ。

 しかし、地上は地獄の様な戦場の有様だ。

 幾ら防衛軍軍人とは言え、女性では余りにも過酷な環境だ。

 

「第四有人機基地へ‥‥長官命令により伝令として向かう所です」

 

「防衛軍も墜ちたもんだ‥‥かよわい婦女子一人にそんな任務をまかすなんて‥‥」

 

「それは‥‥」

 

「わかっている。言ってみただけさ。それだけ状況が切羽詰っているってことだろう。持って行きな、丸腰じゃ第四有人機基地はおろか、市街地までたどり着けねぇぜ‥‥エネルギーは十分にある」

 

 そう言って古野間はホルスターから自分のコスモガンを抜いて雪に手渡す。

 

「でも‥‥」

 

「俺はこれから報告に戻らなきゃならん。当分必要ないさ‥‥本当のことを言うと、あんたみたいな美人を一人で行かせたくない。できれば俺がエスコートしてやりたい‥とこなんだが‥‥」

 

 古野間はそう言って少し苦痛で顔を歪める。

 彼の空間騎兵隊の戦闘スーツには薄らと血が滲んでいるのが見えた。

 

「古野間さん。貴方、ケガを‥‥!!」

 

「かすり傷だ‥‥敵の豆鉄砲でくたばるような体はしてねぇよ‥‥さぁ、俺に構わず行ってくれ‥‥急ぎの用なんだろう?そこを直ぐ出た所にある三番倉庫に地下ケーブル通路への入り口が有る‥‥ケーブルは第四有人基地まで通じている‥‥もう敵が侵入してきているかもしれないが、地表よりは幾分安全な筈だ‥‥」

 

「分かりました。三番倉庫、地下ケーブル通路ですね」

 

「無事に会えるといいな‥‥」

 

「えっ?」

 

「アンタの目だよ。任務の為だけじゃない。アンタの目は違うモノを目指している‥‥アンタの大事な人が其処に居るんだろう?第四有人機基地に‥‥」

 

「はい‥‥古野間さんも御無事で‥‥」

 

 雪は古野間と分かれ、彼から教えられた通路を辿って行った。

 その途中で、無人艦隊のコントロールセンターから脱出した島と徳川と合流した。

 島と徳川はある場所へと向かおうとしていたが、雪が第四有人機基地へと向かうと言う事で、一緒に行くことにした。

 そして、三人は第四有人機基地へと向かった。

 

 その第四有人機基地では、古代が物陰に隠れながら滑走路へとやって来た。

 周りを見渡すと、滑走路にあるのは敵の攻撃を受け、破壊されたコスモタイガーだらけである。

 しかし、その中で、まだ飛べそうな機体を一機見つけた。

 

「しめた。あの機体まだ飛べそうだ」

 

 古代がその機体に近づくと、上空から敵機一機がやって来た。

 いち早くその敵機の存在に気がついた古代はまたも物陰へと隠れた。

 そして、敵機は先程、古代が乗ろうとしたコスモタイガーを破壊すると、近くにあったコスモタイガーにも攻撃を加えた。

 完全に飛べなくするためか、それとも隠れた古代をいぶり出す為なのかは、分からないが、敵機は数分間の間、滑走路のコスモタイガーに攻撃を加え続け、飛び去って行った。

 

 敵機が完全に去って行ったのを確認し、再び物陰から出た古代だったが、その背後から自分に近づく気配を感じ、コスモガンをホルスターから抜き、

 

「誰だ!?」

 

 気配がした方向へ銃口を向ける。

 そこに居たのは敵兵ではなく、自分が最もよく知る人物‥‥

 婚約者の雪だった。

 

「雪!!」

 

「古代君!!」

 

 雪は古代の姿を確認すると、彼に走り寄った。

 また、雪の他に島と徳川の姿もあった。

 

「島、徳川も!!」

 

「お久しぶりです」

 

「無事で何よりだ、古代」

 

 島と徳川も古代に近寄った。

 

「そうだわ、命令書を‥‥」

 

 雪は懐から藤堂に託された命令書を取り出す。

 

「命令書?」

 

 雪が取り出した命令書には以下の事が書かれていた。

 

『命令――――

古代進、旧ヤマト乗組員を集め、小惑星『イカルス』天文台の真田志郎と連絡を取れ』

 

「真田さんに‥‥?」

 

「イカルス‥‥火星軌道外にある小惑星だな‥‥真田さんはそんな所に居るのか‥‥」

 

「とにかく行きましょう。皆を集めて!!」

 

「私も手伝うわ、古代君」

 

「しかし、どうやって皆を?」

 

 徳川と雪はやる気だが、この戦場と化したメガロポリス東京でどうやってヤマトの乗組員を集めればいいか分からない。

 何処かでまだ戦っているかもしれないし、残念ながら、敵の手にかかってしまった者もいるだろう。

 それに通信機能が完全に破壊されて居るこの状況で、どうやってコンタクトを取れば良いか全く方法が分からない。

 戦場となっている市街地を回るのは余りにも危険だ。

 

「英雄の丘へ行こう」

 

 島がポツリと呟いた。

 

「そうよ、苦しいときや辛いとき‥‥皆であの丘に集まったじゃない」

 

「英雄の丘‥‥沖田艦長‥‥」

 

 古代たちはきっと生き残っているヤマトの乗員は英雄の丘に居ると信じ、英雄の丘へと向かった。

 

その英雄の丘では‥‥

 

「沖田艦長、とうとう地球もこんなザマになってしもうた‥‥ガミラスからも白色彗星帝国からも直接侵略を受けなかった地球がなぁ‥‥だが、ワシは諦めんぞ!!万に一つ希望がある限り‥‥艦長、あんたがそうじゃったようにな‥‥」

 

 佐渡はアナライザーと共に沖田艦長の銅像の前にどっかりと座り込み、酒を煽る。

 

「ン?アレハ?」

 

 その時、アナライザーがこちらに近づいてくる人の気配に気がつく。

 

「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥」

 

 そこに息を切らしながら非常用の通信機を背負った相原が来た。

 

「相原じゃないか!?よお、生きとったのお、相原!!」

 

「ハァ‥‥ハァ‥‥勝手に殺さないで下さいよ‥‥佐渡先生もよく御無事で」

 

「ソレニシテモ、相原ハ防衛軍司令部ニイタンジャナカッタノカ?」

 

 アナライザーが防衛軍司令部に居た相原がよくここまで来れた事に疑問を感じ、訊ねる。

 

「司令部ヲ放って、一人デ逃ゲテキタノカ?」

 

「違うよ、地球に打ち込まれたあの飛行物体の調査に向かえと命令されたんだよ。その途中で敵の襲撃を受け、司令部に戻ろうとしたんだけど、そこも既に敵に囲まれて近づけなかったんだ」

 

「雪はどうなった?」

 

 佐渡は同じく司令部勤務の雪の行方を訊ねる。

 

「分かりません‥‥僕の方が先に司令部を出たので‥‥」

 

「そうか‥‥でも、雪はきっと無事じゃよ」

 

 そこへ、ヤマト元航海長補佐の太田と同じくヤマト元砲雷長の南部も姿を現した。

 

「太田!!南部!!お前たちも無事じゃったか!!」

 

「二、三発敵の弾丸がかすりましたが何とか‥‥」

 

「くそ、宇宙どころか地球さえも守る事が出来なかった‥‥なんて無力なんだ‥‥」

 

 太田も南部もボロボロ姿であったが、何とか無事な様子。

 しかし、地球を守れなかったと言う事に無念さが感じられた。

 

「いや、ようやったよ‥お前らは‥‥」

 

 そんな太田と南部を佐渡は褒める。

 そこに第四有人基地から来た古代たちが合流する。

 

「おお~!!古代!雪!!島に徳川もおるじゃないか!!」

 

「皆‥無事だったんだな」

 

 この戦場の中、無事に再会を果たせたことに皆はホッとした。

 

「皆、よう来た‥‥沖田艦長、さすがアンタの息子たちじゃよ‥‥本当に皆‥よう来よったわい‥‥」

 

 その後、相原の持っていた非常通信機で真田と連絡を取る事になった。

 当初、無線電波なんて飛ばして大丈夫かと言う懸念は有ったが、地球の無線波長ではなく、ガミラスが使用していた無線波長へ変換をかけて飛ばす事にした。

 これならば、敵に傍受される心配もないし、真田ならば気がついてくれる筈である。 

 相原が真田の居るイカルスと連絡を取っている中、

 地球へと侵攻してきた暗黒星団帝国太陽系方面軍総司令カザンも本国へ通信を入れていた。

 

「聖総統閣下、奇襲は大成功の結果に終わり、我が軍は地球全土をほぼ制圧いたしました」

 

「奇襲成功は当然の事、それより例の戦艦‥‥ヤマトはまだ見つからんのか?」

 

「はっ、申し訳ありません。只今鋭意捜索中ですが、まだ発見の報告は入っておりません」

 

「何よりもまずはヤマトだ。必ず探し出せ!!良いな?」

 

「はっ!!必ずや探し出して見せます!!」

 

 カザンが緊張した面持ちで答えた。

 

 

 英雄の丘では、戦火により焦土と化したメガロポリス東京を見ながら、徳川が呟いた。

 

「古代さん、地球はこのまま占領されてしまうのでしょうか?」

 

「そんなバカな事があってたまるか!!」

 

 古代としては何もしないままこのまま降伏なんて真っ平ごめんだ。

 あの白色彗星帝国にもギリギリの線で地球を降伏から救ったのだ。

 生きている限り戦う覚悟が古代にはあった。

 それは他の防衛軍軍人たちも同じだろう。

 

「真田さんと連絡が取れました」

 

 漸くイカルスの真田と連絡が取れた。

 古代たちは通信機の傍に駆け寄った。

 

「真田さん」

 

「久しぶりだな‥‥」

 

 非常用の通信機の為か、それとも敵の妨害電波の影響か、画面の映像と音声がブレている。

 

「真田さん、そちらの状況は?」

 

「何の被害も無い‥‥小惑星だから、敵も見落としたのだろう‥‥我々も敵の不明物体をキャッチしていたが‥‥強力な‥‥妨害電波の‥‥影響で‥‥地球との連絡ができなかった‥‥」

 

「真田さん、ヤマトを知りませんか?何処でどうなっているのか‥‥?」

 

「そうか‥実は私もそれを待っていた」

 

「待っていた?」

 

「あるんだよ、ヤマトが」

 

「ヤマトが!?」

 

「ヤマトがある!?」

 

 真田の言葉にざわつく一同。

 

「そうだ。あるんだ‥‥私が‥‥ここで‥‥!!」

 

 その言葉を最後に真田との通信が切れた。

 相原が再び通信を再開させようとするが、画面に真田が映る事は無かった。

 

「相原、どうした?」

 

「一番大事な所じゃないか!!」

 

 古代と島は肝心なヤマトの行方が分かりそうだったのに、聞けなかった事に不満な様子。

 

「駄目です敵の妨害電波の影響で‥‥」

 

 相原はすまなそうに通信不能な理由を言う。

 結局敵の妨害電波の影響で真田との通信が再開される事は無かった。

 

「しかし、真田さんははっきりと『ここで』と言いましたよ」

 

 徳川の言う通り、真田は通信が切れる寸前にはっきりと『ここで』と言った。

 それはヤマトがイカルスに有るのかもしれないと言うことだ。

 仮にイカルスにヤマトが無くても真田はヤマトの行方を知っている様子だった。

 イカルスに行けば、ヤマトの行方が分かるかもしれない。

 

「行きましょう!イカルスに!!」

 

 相原が意気込んで言う。

 

「そうだ、ヤマトのあるイカルスに行こう」

 

 古代も相原の意見に賛同し、イカルスへと向かおうとしたが、問題が一つ‥‥。

 

「しかし、古代さん火星の向こうまでどうやって行くんです?」

 

 太田の言う通り、敵の手によって宇宙港も占領され、宇宙船は破壊されているこの状況でどうやって地球を脱し、ヤマトのあるイカルスまで行くのかが問題だった。

 

「それなら私に任せて。防衛軍の地下ターミナルにある大統領避難用の高速連絡艇を使えば行ける筈よ」

 

「よし、じゃあ行こう!!」

 

 雪の案内の下、古代たちは防衛軍司令部の地下道を走っていた。

 その後ろからは敵兵がビームライフルを撃ちながら迫って来るが間一髪、連絡艇の有るターミナルへと入る。

 古代はターミナルの出入口を閉め、更にシャッターが閉まる前に出入り口の開閉装置を壊し、時間を稼ぐ。

 追いついて来た敵兵たちは防壁シャッターに体当たりをするが当然ビクともしない。

 

「くそっ、開閉装置を破壊された!!」

 

「ならば、撃ち破れ!!」

 

 敵兵たちは防壁シャッターにビームライフルを撃ちまくり、防壁シャッターを破ろうとする。

 

 一方、古代たちは連絡艇の発進準備を整え、後は出発するだけなのだが、肝心の出入り口のハッチが開かない。

 連絡艇の強度では出入り口の分厚いハッチを体当たりで打ち破る事は出来ない。

 

「確か外のコンピューターのロックだわ」

 

 雪は一度連絡艇から出て、ターミナルの管制塔へと向かい、出入り口のハッチを開口させようとする。

 

「雪、自動発進まで60秒だぞ!!」

 

「大丈夫よ。それまでには間に合わせるわ!!」

 

 雪は管制室に入り、出入り口のロックを解く。

 その間にも通その防壁は破られそうだった。

 そして遂には防壁が破られて敵兵がターミナル内に侵入してくる。

 

「雪!!早くしろ!!」

 

 古代は連絡艇から侵入してくる敵兵を銃撃しながら援護し、雪に早く連絡艇に乗る様に促す。

 やがて、発進口が開き、連絡艇も自動発進装置が作動し、徐々に高度を上げ始める。雪は管制塔から連絡艇へ向かい走り出す。

 しかし、ターミナルの上部から雪を狙う一人の敵兵が居た。

 雪が連絡艇に乗る瞬間、一発のレーザーが雪の左肩を掠め、彼女はその場に倒れる。

 

「雪!!」

 

 古代は必死に手を伸ばし、雪も古代に向け手を伸ばす。

 その間、連絡艇は発進し徐々に高度を上げていく。

 無理な体勢で雪を引き上げようとしている古代と撃たれた事により、身体が上手く動かない雪。

 次第に二人の手は離れ、遂に雪の身体はターミナルへと落ちていった。

 

「雪!!くそっ!!」

 

 古代は飛び降りようとしたが、

 

「古代さんダメです!!」

 

 相原の手によって止められた。

 

「離せ!!相原!!」

 

 古代は何としても雪を助けたかった様だが、飛び降りるには高さが有り過ぎるし、降りたらもう連絡艇には乗ることは出来ない。

 ターミナルには敵兵が多数いる。

 そして、無情にも連絡艇の扉は閉じられた。

 無事に飛び去って行く連絡艇を見た後、雪は意識を失った。

 そして、雪を狙撃した敵兵が彼女に近づく。

 意識を失い、倒れている雪の姿を見て、その敵兵は目を見開いた。

 

「‥‥」

 

 やがてその敵兵は雪を抱き上げ、他の兵と共にターミナルを後にした。

 

 その頃、防衛軍司令部も既に多数の敵兵が侵入し、司令室では激しい銃撃戦が繰り広げられていた。

 床には敵、味方区別なく、死傷者が転がっている。

 

「ぐぁっ!!」

 

「参謀長!!」

 

 その最中、西郷が敵弾に倒れた。

 

「ちょ、長官‥‥あれを‥‥」

 

 破壊された壁の向こう側には地球を飛び立っていく連絡艇の姿があった。

 

「まだまだ‥‥希望は‥‥残っていた‥‥様ですな‥‥」

 

 傷口をおさえながら弱弱しく呟く西郷。

 

「頼んだぞ‥‥古代」

 

 藤堂は飛び去って行く連絡艇に最後の望みをかけた。

 その後、大統領官邸も占拠され、大統領は暗黒星団帝国に降伏し、彼の口から防衛軍に対し戦闘中止命令が下された。

 これにより地球防衛軍は暗黒星団帝国に敗北した‥‥。

 それはたった一夜の短い時間の事だった。

 たった一夜‥‥

 たった一夜の短い時間で、地球は突如襲来した暗黒星団帝国に負けたのだった‥‥

 しかし、地球人類は滅ぼされたわけでは無い。

 まだ、諦めていない者たちも居た‥‥。

 

 

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