星の海へ   作:ステルス兄貴

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九十四話 パルチザン結成

 

 

 イカルスへと向かっている連絡艇で、古代は相原を殴りつけた。

 

「相原!!何故あの時、俺を止めた!!何故雪を見殺しにさせた!!」

 

 古代だって分かっている。

 しかし、分かっていてもこの怒りと悔しさをぶつけなければ気が収まらなかったのだ。

 そしてさんざん殴られながらも相原は一切抵抗しなかった。

 戦友として古代の気持ちは痛い程理解していたし、相原自身も断腸の思いだったからだ。

 

「古代!!」

 

 そこに佐渡が止めに入る。

 

「止めるな!ヤブ医者!!」

 

 古代が再び相原に殴り掛かろうとした時、佐渡が古代の腕に一本の注射を突き刺す。

 

「イテッ!!な、何を‥する‥‥」

 

 注射された古代はその場に倒れた。

 

「先生、何をしたんですか!?」

 

 突然倒れ、動かなくなった古代に相原が訊ねる。

 すると、佐渡はとんでもない事を言い放った。

 

「とりあえず、死んでもらった」

 

「っ!!」

 

「次は島、オマエの番だ」

 

「な、何故です!!先生!?」

 

「全員死んでもらう必要がある」

 

 佐渡の言動に戸惑う一同。

 

「一時的に仮死状態になって生命反応を消さねばならん。後ろを見ろ」

 

「えっ!?」

 

 連絡艇の背後には敵の駆逐艦らしき艦影が数隻こちらへ追って来た。

 

「怖がるな、一定の時間が経てば、目は醒める」

 

 こうして佐渡はアナライザーを除く皆に仮死状態にする薬を注射し、最後は自らの腕にも注射器を突き刺した。

 

 連絡艇を追ってきた敵艦はまずライフメーターでこの連絡艇が有人か無人かを調べた。

 有人ならば、接舷するか攻撃し撃破するつもりであった。

 しかし、連絡艇に生命反応はなかった。

 

「ライフメーターに反応なし、これは無人艇です」

 

「うーむ、ヤマトに何か関係あると思ったのだが‥‥」

 

「どうします?念の為、撃破いたしますか?」

 

「捨て置け、こんな事で貴重なエネルギーを消費するわけにもいかん。いずれ、エネルギーが切れて停止するだろう」

 

 眼前の連絡艇が無人だと分かると、追尾して来た敵艦は針路を反転させ、地球へと戻って行った。

 

「オレハ、イキテイルウチニハイランノカ!?」

 

 乗員が仮死状態と言う事で連絡艇を操縦していたアナライザーは一人(?)憤慨していた。

 

 

地下都市・海鳴地区

 

 過去二度にわたる侵略戦争の教訓から、首都地域以外での地下都市への避難は迅速に行われ、謎の超大型物体の降下・着陸と同時に発生した敵の空挺兵との戦闘による一般市民の犠牲者は、メガロポリス東京以外では僅かだった。

 というより、メガロポリス東京との一切の連絡が断たれてしまったのだ。

 正体不明の敵の攻撃は横須賀の防衛軍基地にも及び、恐らくは地球近くに空母を直接ワープさせてきたのか、空からの航空機攻撃も仕掛けてきた。

 爆発によるものか、ズシンズシンという衝撃が地上側から響いてくる。

 不気味な震動にまだ幼い子供の怯えた泣き声が響く。

 大半の子供は付き添っていた親に宥められるのだが、親とはぐれてしまった子供はそうもいかない。

 フェイトが付き添っている女児も、そんな子供の一人だった。

 避難指示を受け、フェイトたちは地下都市に避難したのだが、途中で迷子になっていた子供も一緒に連れて来ているため、一行は最初に避難した時よりも増えていた。

 

「泣き疲れて寝ちゃったようね」

 

「はい」

 

 先程まで親を求めて泣きじゃくっていた女児は、今は目元を赤く腫らしながらも静かに寝息を立てていた。

 ヴィヴィオは最初避難指示が出された時には不安そうにしていたが、途中、迷子になったこの女児を励ましていた。

 そして、今彼女もこの女児に寄り添うようにして静かに寝息を立てている。

 

「疲れた?ティアナ?」

 

「いえ、大丈夫です。私より、この子の方が遥かに辛いでしょうから‥‥」

 

 寝息を立てるヴィヴィオと女児に支給された毛布をかけてやりながら、フェイトとティアナは会話を続ける。

 

「攻撃してきたのは暗黒星団帝国でしょうか?」

 

「今は何とも言えないけど、地球そのものを滅ぼすつもりはないんじゃないかな?」

 

「何故です?」

 

「初めからそのつもりなら、それこそ巨大な波動砲みたいな兵器を直接地球に撃ってくると思うんだけど‥‥」

 

「確かにそうですね」

 

 ガミラスは、寿命が尽きかけている母星に代わる新たな母星を地球にするつもりであったし、白色彗星帝国は国家首脳陣の保養地兼新たなる労働者(奴隷)確保として地球へと侵攻して来た。

 そして今回の敵も、惑星を破壊するような巨大戦略兵器ではなく、ある意味オーソドックスな降下制圧戦闘を行っている。

 つまり、ガミラスや彗星帝国同様、今回の侵略者たちもこの地球に何らかの利用価値を見出だしている可能性が高い。

 だとすれば、地球防衛軍には反撃の可能性がまだあるということだ。

 しかし、詳しい事は聞かされていないものの、良馬の まほろば と新造艦の春藍は太陽系外での任務に就いているようだし、あのヤマトは所在不明。

 先行きは不安である。

 

「なんか、とんでもない事に巻き込まれていますね、私たち‥‥」

 

「そうね‥‥」

 

 この第二の97管理外世界と関わってからフェイトとティアナの常識と言うモノが根底から覆された。

 管理局や管理世界の常識や法律、階級や役職等、この世界に来てからは紙屑以下の価値しかない。

 巻き込まれた事も普通管理局や管理世界で起こる事件のスケールを超えている。

 しかし、一番驚いたことはガミラス、彗星帝国とも遣り合ったこの第二の97管理外世界の地球が敵の上陸を許し、占領されたことだった。

 

「今は、静かに成り行きを見守るしかないよ‥‥この地球で私たちが出来ることは何もないのだから‥‥」

 

「‥‥」

 

 フェイトはそう言うが、ティアナは本当に何もする事が無いのか?

 何も出来ないのか?

 と、そう考えていた。

 やがて、地球連邦合同会議場から驚愕の事実が報道された。

 

 

地球連邦 合同会議場

 

 地球連邦合同会議場‥そこには地球連邦の政府、軍の高官らが集まっていた。

 そして、会場の至るところに銃を所持している多くの敵兵も居た。

 やがて、黒いボディースーツ状の軍服を身につけ、同じく黒いマントを着けた一人の男が会場へと入り、上座にある大統領席についた。

 

「私が地球占領軍総司令のカザンである。本日、我等が暗黒星団帝国は地球全土を完全に占領した事を此処に宣言する。もし我々に反抗する者があれば、都市周辺部に撃ち込んだ重核子爆弾を直ちに爆発させる」

 

 カザンと名乗る男が発した「重核子爆弾」と言う言葉にざわつく会場。

 

「諸君‥‥見るがいい‥‥」

 

 そう言ってカザンは背後にあるモニターを作動させる。

 そこには地球に降下した例の巨大なミサイルの映像が映し出された。

 

「我が母星の文明の粋を極めた爆弾だ。あの爆弾一発で、地球の自然には何ら影響を与える事無く一瞬の内に『ある特定の生物』の脳細胞を破壊し、絶滅させることが出来る‥‥この『ある特定の生物』と言うのが何なのか、賢明な諸君ならばもうお分かりの事だろう?」

 

 カザンの言葉で『ある特定の生物』と言うのは直ぐに察しがついた。

 

「人間‥‥我々人類の脳細胞のみを破壊するというのか!?」

 

 防衛軍の幕僚の一人が震える声でカザンに訊ねると、

 

「左様‥‥」

 

 カザンはその問いを肯定した。

 

「この脅威にさらされたくなければ、我々の命令に服従する事だ」

 

 カザンのこの言葉を聞き、何人かの軍幕僚たちは悔しそうに唇を噛んだ。

 地球市民に伝えられた情報はここまでで、以下は会場で起こった事になる。

 カザンがここでの事を地球市民にテレビ中継したのは、地球市民に対する脅しに寄る為であった。

 現にこの中継を見た地下都市の地球市民は皆、顔色が悪くなっている。

 単なるはったりの脅しなのかもしれない。

 しかし、本当にカザンの言う通り、あの爆弾が人間だけの脳細胞を破壊できる爆弾だとしたら、それは地球人類の絶滅を意味した。

 それは当然、魔導師とは言え、フェイト、ティアナ、ヴィヴィオ、紅葉も例外ではない。

 テレビ中継を切った後、カザンは地球連邦政府、防衛軍に対し、最初の命令を下した。

 

「最初の命令を下す‥‥宇宙戦艦ヤマトの所在を明らかにせよ」

 

「ヤマト‥‥だって?」

 

 カザンの口から出たヤマトと言う言葉でざわつく会場。

 軍の幕僚の何人かが無意識的に藤堂へ視線を向けてしまった。

 その辺は軍の悪い癖とも言える。

 突発的な事態が起きた時、つい上官の指示を受けようとし、視線を向けてしまったのだ。

 そして、その仕草を同じ軍人であるカザンは見逃さなかった。

 

「そこの男‥‥お前は地球防衛軍の長官だそうだな?お前なら知っていよう。答えろ、ヤマトはどこだ?」

 

「‥‥ヤマトの所在を知ってどうしようというのだ?」

 

「質問は許さん」

 

「ふっ、恐ろしいのか?ヤマトが‥‥」

 

「くっ‥‥」

 

 藤堂はカザンを鼻で笑った。

 藤堂のその態度にカザンは僅かに顔をしかめる。

 

「たかが戦艦一隻をなぜそれほど恐れるのだ?」

 

「なんだと!?」

 

「そうだ‥‥貴様たちが恐れる様にヤマトは地球の希望だ。地球にはまだまだ力が残っている。我々はまだ完全に敗北したわけでは無い。知りたければ貴様たちで探すがいい」

 

「愚か者め‥‥ええい、この男を連行しろ!!地球人類の見せしめの為、公開処刑せよ!!」

 

 藤堂の言動にキレたカザンは会場に居た警備兵に藤堂を処刑する様に命じた。

 

 

火星軌道沖 イカルス天文台

 

「物資搬入はどこまで進んでいますか?」

 

「水、食糧等の生活物資は完了しました。後は、弾薬と医薬品の積み込みがあるので、一時間程かかります」

 

「急がせて下さい」

 

「了解」

 

 発進準備の指揮をとる真田志郎と山崎奨は準備の進捗状況を確認している。

 イカルス天文台でヤマトの改装工事と新人乗組員の養成を主導していた二人は、暗黒星団帝国軍の太陽系侵入の報せを受けるや、即座にヤマトの発進準備を命じた。

 古代たちはとうに地球を発ち、あと一時間ほどでこちらに到着するはずだ。

 彼らと合流したら直ちに発進し、敵の侵攻部隊を叩く算段でいたが、事態は常に流動的だ。

 この時、真田はまだ地球に撃ち込まれた重核子爆弾の存在を知らなかった。

 そして、彼自身も最悪の可能性も考えていた。

 つまり、古代たちがここへ辿り着けないという可能性だ。

 敵はかなりの大部隊で地球へ侵攻した。

 途中で古代たちが敵に拿捕あるいは撃破されてしまった可能性もある。

 無線封鎖の為、お互いに連絡を取れない事がこうした最悪の予測を生む。

 しかし、状況は切迫している。

 時間が経てば敵の捜索網はより細かくなり、ここが発見されるのも時間の問題なので、その場合は古代たちをまたずに見切り発進するしかない。

 だが、真田の最悪な様相は覆された。

 観測用のレーダーがイカルスに接近する物体を捉えた。

 モニターに表示されたその物体は防衛軍の連絡艇だった。

 真田は天文台上部の物資輸送船発着ドームを開口させ、連絡艇を招き入れた。

 

 仮死状態から目覚めた古代はまず、相原に謝罪した。

 感情が高ぶり、公私混同の挙げ句、私怨のまま同僚に私的制裁を加えたのだ。

 本来なら即日解任の上謹慎となり、最低でも査問委員会にかけられてもおかしくはない。

 しかし、殴られた相原も事態が事態なので、水に流すと言った。

 こうして、古代が相原を殴った件の正式な処分は、取りあえず両者が和解しているので、今はそれ以上の話は不要となった。

 それよりも今は暗黒星団帝国の地球侵略を止める事が最優先なのだから。

 

 イカルス天文台へと降り立った古代たちは誰も居ない天文台に不安と疑問を抱いた。

 着陸をしたイカルスのターミナルには出迎えの者はおらず、声を上げて誰かを呼んでも、誰も出てこなければ、返事も無い。

 それでも古代たちは真田を信じ、イカルス天文台の奥へと進んだ。

 そしてある部屋を見て、違和感を抱いた。

 

「ここは‥‥」

 

「まるで、ヤマトの第三艦橋にそっくりだ‥‥まさか‥‥」

 

 古代たちは、近くのエレベーターへと飛び乗り、ある階へと昇る。

 

すると、そこは‥‥

 

「間違いなくヤマトだ‥‥」

 

 古代たちが辿り着いた階‥‥

 そこは、自分たちが一時も忘れたことのない場所‥‥

 そして、自分たちの勤務地‥‥

 ヤマトの第一艦橋だった。

 

「俺たちはヤマトに帰ってきたんだ‥‥」

 

 古代たちは、懐かしむかの様に第一艦橋内を歩き回ったり、座席や機材に手を触れる。

 すると、機械が作動し、メーターやモニターに光が灯る。

 そして、先程古代たちが乗って来たエレベーターの扉が開き、真田と山崎が艦橋に姿を現した。

 

「真田さん!!山崎さん!!どうして出迎えてくれなかったんです?少し不安になりましたよ」

 

「いや、すまん、すまん。山崎さんと一緒に機関の整備に追われていたんだ。何しろ、ここにはそれほど人が居ないのでな」

 

「皆の事だ。間違いなくここに来ると思っていたよ」

 

 真田と山崎は地球から脱出してきた古代たちを出迎えるが、その中である人物が居ない事に気がつく。

 

「ん?雪が居ないな‥‥どうしたんだ?」

 

 真田は一緒に脱出してきたであろう雪の姿が見えない事に疑問を感じて訊ねる。

 

「‥‥」

 

「な、な~に、雪の事じゃ。無事でいてくれることじゃろう」

 

 真田の質問に古代は顔を俯かせ、代わりに佐渡が曖昧ながらも答える。

 

「そうか‥‥雪は‥‥」

 

 佐渡の答えで、雪は地球を脱出出来なかったのだと察する真田。

 

「でも、ヤマトが健在で良かったです」

 

 雪の話はこれ以上古代にとって禁句なので、島が話を逸らした。

 

「うむ‥‥長官から私が預かり、非常事態に備えて管理と改修をしていたんだ」

 

 真田が、ヤマトが何故、地球では無く、イカルスに置かれていた訳を話す。

 そこへ、コスモタイガー隊のメンバーも古代たちを出迎えに来た。

 

「山本!!坂本に椎名も!!お前たちもここに居たのか?」

 

「ああ、そうだ。名目上では小惑星哨戒隊って事になっているが、長官にイカルス‥‥つまりヤマトの警護を任されていた。此処に居る間、自分の訓練も兼ねてこの二人を徹底的にしごいていたのさ。何しろすぐ外が宇宙‥‥しかもアステロイドベルトだからな、コスモタイガーも飛ばしがいがあったよ」

 

「そうか‥‥坂本に椎名‥二人とも腕は上がったか?」

 

 古代は山本にしごかれた坂本と椎名本人に訊ねた。

 

「当たり前だろう。誰が指導していると思っているんだ」

 

 まずは指導にあたった山本が自信ありげに言う。

 

「椎名なんて腕が上がり過ぎて参りましたよ。このままじゃ、俺も追い抜かれそうなんで、毎日頑張っています」

 

「あら?まだ自分が追い抜かれていないと思っているの?」

 

「この調子ですよ。まったく‥‥」

 

 相変わらず体育会系なコスモタイガー隊である。

 

「しかしまぁ、向上心が有ると言う事は良い事である」

 

「ええ、そうですね」

 

 真田と古代は苦笑しながら言う。

 

「坂本、椎名。この戦いでも良い所を見せてくれよ」

 

 古代が二人に期待を込めて言う。

 

「腕が鳴りますよ。それになんといっても、実戦が一番の教師ですからね」

 

「期待に応えてみせます」

 

 二人は自信満々で答える。

 

「それじゃあ古代、俺たちはパイロットルームで待機している。用が有る時は何時でも呼んでくれ」

 

「ああ。頼んだぞ、山本」

 

 山本、坂本、椎名の三人は第一艦橋を降りていった。

 

「ところで新艦長には真田さんが?」

 

 古代は未だに不在となっているヤマトの艦長について真田に訊ねた。

 真田はヤマト就航当時から技術長と共にヤマトの副長も兼務していたので、序列から言えば、真田がヤマトの艦長に就任するもの不思議では無かった。

 

しかし、

 

「いや、俺はそんな柄じゃない。今まで通り、お前が艦長代理だ。古代」

 

 と、真田は自らがヤマトの艦長で無い事を告げると同時に、今回の出撃に当たって古代が今まで通り、戦闘班長兼ヤマトの艦長代理であると告げる。

 

「だが、何もかも今まで通りと言う訳にもいかない。見かけは殆ど変らないが、ヤマトは新しく生まれ変わったんだ‥‥主砲、レーダー、CIC‥‥至る所に改良を加えてある。中でも特筆すべきは、つい最近になって完成した超ワープ機関‥‥スーパーチャージャーを備えた新型波動エンジンだ」

 

「波動エンジンがパワーアップしたんですか?」

 

 エンジン関係は航海に大きく影響するため、航海長の島は興味津々で真田に訊ねる。

 

「ああ、大幅にな。近距離のワープは通常通りだが、完成型のHWVDを組み込み、長距離の連続ワープが可能になっている」

 

「あの新型エンジンが‥‥」

 

 前回のイスカンダル救援任務の時にはまだ未完成だった例の新型エンジンが完成し、既に組み込まれている事実に同じ航海班の太田も関心ている様子。

 

「さすが、真田さんですね」

 

「いや、エンジンに関しては、俺はサブでね、メインは大山がやった」

 

「トチローさんが‥‥?そういえば、トチローさんは何処に居るんですか?」

 

 古代は新型エンジンの改良を施したトチロー本人の姿が見えない事に疑問を感じ、真田に訊ねる。

 トチローならば、こういう時、真っ先に自分から説明する筈なのだが、その本人が居ない。

 ならば、彼は何処に行ったのだろうか?

 

「うむ、新型エンジンの設計図を持って冥王星基地へ向かったのだが‥‥」

 

 気まずそうに真田がトチローの行方を答える。

 

「冥王星基地!?あそこは全滅したんですよ!!それじゃあ、トチローさんは‥‥」

 

 古代の脳裏に最悪の結果が浮かぶ。

 

「わからん‥‥だが、あいつのことだ、そう簡単に死ぬようなやつではないんだが‥‥もし、無事だとしても、無線封鎖の為に連絡がとれんのだ‥‥生きていてくれればいいが‥‥」

 

 古代が雪の生存を信じている様に真田も悪友の生存を信じていた。

 

「そうですか‥‥」

 

 艦橋内に気まずい空気が流れた時、一人の少女が艦橋に入って来た。

 

「ユキサン?」

 

アナライザーがその少女を一瞬雪と見間違える。

 

「ああ、紹介しよう。真田澪、私の姪だ。雪が居ないので、今後は雪の代わりにレーダー担当を務めてもらうつもりだ」

 

「しかし、ずいぶんと若いようですが‥‥」

 

 真田の紹介と今後の役割に古代は「こんな若い子で大丈夫か?」と、少し心配になる。

 あのテレザートへと向かう航海の中で、雪がレーダー担当となる前にレーダーの担当をしていた新人の乗組員だった新米俵太は度々敵の発見が遅れると言うミスを犯していたので、古代が心配になるのも当然だった。

 

「その点は心配ない。宇宙戦士として恥ずかしくない教育はしてある」

 

「はぁ‥‥」

 

 まぁ、真田のお墨付きならば大丈夫だろうと一応は納得する古代たち。

 そして、ヤマトは地球を占領している暗黒星団帝国を撃滅するために出撃準備をするが、その前に相原が待ったをかけた。

 相原はイカルスに到着する前、敵が流した例のプロパガンダ放送を傍受していた。

 そして、地球に撃ち込まれた重核子爆弾について話し、モニターにその爆弾の映像を映し、敵の指揮官(カザン)が言った『あの爆弾一発で、地球の自然には何ら影響を与える事無く一瞬の内に『ある特定の生物』の脳細胞を破壊し、絶滅させることが出来る』と言う宣言が事実かどうかを真田に訊ねた。

 もし、敵の宣言が事実通りならば、今、地球の占領軍を攻撃するのはあまりにも不味い。

 なにせ、地球人類を人質にとられている状況なのだから。

 真田は映像に映る重核子爆弾を見て、この爆弾が『ハイペロン爆弾』である事を見抜き、敵の指揮官が言っている事が事実である事を言う。

 そこで、ヤマトの方針は地球占領軍の撃滅から、重核子爆弾のコントロールの破壊へと変更された。

 だが、その爆弾のコントロールが何処で行われているのかが問題だった。

 真田曰く、この爆弾の機能、目的から地球側の捜索の手が届かない所‥‥

 暗黒星団帝国の本星にあるのではないかと推測された。

 ヤマトは三度、地球人類を救う為、暗黒星団帝国本星へと旅立つことになった。

 しかし、それはかつてのイスカンダルの航海と同じ‥‥いや、それ以上の困難が予想された。

 何せ、暗黒星団帝国本星の位置が分からないのだから‥‥。

 だが、このまま手を拱いている訳には行かない。

 イカルスの偽装岩盤を脱ぎ去り、新しく生まれ変わった宇宙戦艦ヤマトは星海へと船出した‥‥

 

 しかし、暗黒星団帝国もタダでヤマトを自分たちの母星へと向かわせる訳には行かなかった。

 

 

地球~火星間宙域

 

 万が一、地球本土にヤマトが不在だった場合を想定し、カザンはミヨーズに太陽系周辺の哨戒任務を行わせていた。

 そして、ミヨーズが座乗するガリアデスはそのヤマトを捕捉した。

 

 

プレアデス級指揮戦艦 特務第二艦隊 旗艦 ガリアデス 艦橋

 

「ミヨーズ司令、ヤマトを発見いたしました」

 

「ふん‥‥とうとう姿を現したか。で、ヤマトは何処だ?何処に向かっている?」

 

「方向からすると、我等が暗黒星雲へ進行するものと思われます」

 

「ふん‥‥我々の母星へと向かうつもりか。カザン総司令が言われた通り、地球人というのはつくづく愚かだな。この期に及んでも、まだ我々に歯向かうつもりでいるらしい。しかし、総司令はさすがだな‥‥地球を決してなめてかからず、ヤマト追撃隊をこうして配備していたのだからな。まぁ、偶然とはいえ、一度はあのゴルバを倒した程の相手だ。警戒して当然だが‥‥」

 

「あの‥‥司令。ヤマトをどうしますか?」

 

「知れた事‥‥追撃しろ。我等が母星の有る暗黒星雲へと向かわせるわけにはいかん。まずは前衛部隊を出して様子を見るのだ」

 

 前衛部隊は巡洋艦を旗艦とする駆逐艦を中心とする高速部隊だった。

 ミヨーズはそれら高速部隊をまずは様子見としてヤマトへとけしかけた。

 

 敵の接近は当然ヤマトでも捕捉していた。

 敵艦隊はその高速機動を生かし、ヤマトに対して、一撃離脱の戦法を繰り出し、翻弄、ダメージを蓄積させていくが、新しく生まれ変わったヤマト、そしてアステロイドベルトで日々、厳しい訓練を行っていたコスモタイガー隊もその性能と訓練の成果を十分に発揮し、敵に見せつけた。

 

 

プレアデス級指揮戦艦 特務第二艦隊 旗艦 ガリアデス 艦橋

 

「前衛部隊が‥‥全滅!!」

 

 送り出した味方の部隊の全滅と言う事実にガリアデスのオペレーターは驚愕した。

 

「思っていた通り、なかなかやるな‥‥」

 

 しかし、ミヨーズにしてみれば、ここまでの戦果は予想通りなのか、慌てる様子も、驚愕する様子も無い。

 

「よし、お遊びはこれまでだ!!我々が直に出るぞ!!」

 

 ミヨーズはガリアデスを中心とする第二特務艦隊全ての投入を決断し、命令を下す。

 

 

宇宙戦艦ヤマト 第一艦橋

 

「更に敵艦隊が現れました!!」

 

 古代は当初、迎撃しようかと思ったが、太陽系内で時間を潰すわけにも行かないので、ここはワープにて逃げる事にした。

 敵母星の正確な座標はまだ分からないが、敵艦隊が襲来した方向は特定できているため、連続ワープのテストも兼ねてワープにて戦線離脱を試みた。

 

 

プレアデス級指揮戦艦 特務第二艦隊 旗艦 ガリアデス 艦橋

 

「敵が退却していきます!!ワープを開始するようです!!」

 

 オペレーターはヤマトが艦載機(コスモタイガー)を収容し、更に艦のエネルギー波長を調べた結果、ヤマトがワープによる戦線離脱を試みようとしているのを掴んだ。

 

「ワープだと?‥‥ええい!!させるな!!」

 

 ミヨーズはヤマトがワープをする前に攻撃を加えようとするが、

 

「き、消えました‥‥!!」

 

 時すでに遅し。

 ヤマトはワープして、この宙域から撤退した後だった。

 

「むぅ‥‥なんと早いワープだ!!」

 

 ミヨーズはヤマトのワープ速度に舌を巻いた。

 

「フフフフ‥‥地球の艦もなかなかやるなではないか‥‥ヤマトか‥‥カザン総司令が‥‥そして、聖総統閣下があれほど気に留めておられる理由が、益々わかるというものだな‥‥」

 

「あの‥‥司令?」

 

「なんだ?一々命令されんと次の行動の判断がつかんのか?」

 

 ミヨーズは要領の悪い自分の部下を叱り、指示を出す。

 

「ヤマトのワープアウト地点を計測しろ。すぐに後を追うのだ」

 

「いえ、それが‥‥」

 

 ミヨーズの指示に対し、部下はすまなそうに言う。

 

「どうした?」

 

「敵のワープが余りにも速く、突然だったもので、ワープアウト地点の算出は不可能です‥‥」

 

「ならば、計測するな。我々もすぐワープの態勢に入れ。ヤマトがどの方向へ向かうかは分っているのだからな。先回りをして網を張るのだ!!」

 

「はっ、はい!!」

 

「ふん‥‥使えん部下だ‥‥」

 

「は‥‥申し訳ありません‥‥」

 

「つまらない事に一々反応するんじゃない!!ええい!!さっさと動け!!」

 

 第二特務艦隊は急ぎワープの態勢へと入った。

 

その最中、

 

(逃げられんぞ‥‥ヤマト‥‥このミヨーズから逃れた敵など、存在しないのだからな‥‥)

 

 こうしてヤマトは狩人のミヨーズにとって最高の獲物として認識された。

 

 

その頃、地球では‥‥

 

 カザンより死刑判決を言われた藤堂は処刑場へと続く通路を連行されていた。

 

その途中、

 

「長官‥‥」

 

「君もか‥‥」

 

 同じく死刑判決を受けた西郷と出会った。

 

「誰が口をきいて良いと言った!!」

 

 連行する兵が声を上げる。

 そして、再び歩みを始める二人。

 そんな中、西郷は敵兵に気づかれぬように小声で藤堂に話しかける。

 

「長官‥‥まだ諦めてはなりません‥‥処刑場に着くまでに、私が何とか抵抗します‥‥その隙に逃げて下さい‥‥」

 

「参謀長‥‥」

 

「私はこれまで何度となく見誤りをしてきました‥‥こんな私に出来ることと言えば‥‥」

 

「‥‥」

 

 突然歩みを止める二人。

 

「何を立ち止まっている!?さっさと歩け!!そんなに歩きたくなかったら、ここで射殺しても良いんだぞ!!」

 

 そう言って銃を構える敵兵。

 

「おい、ここではまずい‥‥見せしめの為に公開処刑を行えとの命令なんだ」

 

 そんな敵兵に対し、同僚の敵兵が止める。

 その隙に西郷が、

 

「うわぁぁぁぁあ!!」

 

 敵兵の一人に体当たりをし、藤堂を逃がす隙を作ろうとするが、

 

「このっ!!」

 

 敢え無くもう一人の敵に蹴られ、倒された。

 怒った敵兵はこの場で西郷を射殺しようとしたが、天井からレーザーが照射され、敵兵は斃れた。

 

「うぐっ!!」

 

「ぐぁ!!」

 

 敵が排除されると、天井の通風孔の蓋が外れ、そこから一人の空間騎兵隊隊員が降りて来た。

 

「お待たせしました」

 

「君は‥‥空間騎兵隊の‥‥」

 

「古野間君ではないか」

 

「御無事で何よりです。長官、参謀長。遅くなって申し訳ない‥‥」

 

 藤堂と西郷を助けたのは、空間騎兵隊第一都市防衛師団所属の古野間だった。

 

「なにぶんガタイがデカイもので、通風孔を抜けるのに手間取っちまいましてね」

 

 苦笑交じりで古野間は救助に遅れた事を詫びる。

 

「いやいや。そんな文句は言わんよ。来てくれただけでもありがたい」

 

 射殺される寸前だった西郷は古野間に礼を言う。

 

「礼は上手く脱出できてからにして下さい。さっ、行きますよ」

 

 古野間は斃した敵兵からライフルや銃を奪い、藤堂と西郷に渡して脱出を図った。

防衛軍司令部付近は敵の哨戒がかなり厳重だった。

 歩兵の他にも軽戦車(パトロール戦車)も加わっていた。

 外へ出ると古野間は藤堂と西郷にインカムを手渡す。

 

「これは?」

 

「通信機能を兼ね揃えたインカムです。これがないと意思疎通が出来ないので‥‥」

 

「「?」」

 

 古野間の言っている事が理解出来ずに首を傾げる藤堂と西郷。

 

「しばし、お待ちを‥‥」

 

 すると、古野間は物陰に隠しておいたスーツに身を包む。

 二人の下に戻って来た古野間の姿は、

 

「ふもっふ‥‥『おまたせしました』」

 

 ボ○太くん(ソ○ッド・ス○ーク Version)の着ぐるみを纏っていた。

 

「「‥‥」」

 

 着ぐるみを見て藤堂と西郷は唖然とする。

 

「こ、古野間君‥それは一体何だね?」

 

 藤堂が古野間に着ぐるみの正体を訊ねると、

 

「ふもふもふも、ふもっふる」

 

 と、外部スピーカーではこうした訳の分からない音声が流れるが、インカムからは、

 

「月村グループが開発した新型戦闘スーツです。流石にコイツを着て、ダクトを通るのは無理だったので、一旦コイツを脱いでから潜入しました」

 

 と、古野間の声でこの着ぐるみがなんなのかを説明する。

 

「では、参りましょう」

 

 と、インカムからは古野間の声がするのだが、外部スピーカーからは「ふもふも」などと訳の分からない音声がする。

 なんとも奇妙な光景ながらも藤堂と西郷はボ○太くん‥もとい、古野間の後をついて行った。

 

「行ったようです」

 

 敵兵を物陰からやり過ごした三人。

 市街地は相変わらず、敵兵、敵のパトロール戦車がウヨウヨしていた。

 

「それにしても凄まじい破壊ぶりだな‥‥」

 

 西郷は改めて周辺の被害状況を見て、呟く。

 

「なぁに、もっと酷い所は幾らでもありますよ。それはそうと、大統領をはじめ、他の政府上層部連中は全て収容所に移されたみたいです。残念ながら、降伏文書にも調印したみたいで‥‥」

 

「‥‥」

 

 藤堂は現在の地球の状況に苦悶の表情を浮かべる。

 しかし、大統領の決断があり、敵の殺戮が終息したのもまた事実であり、一概に大統領の事を批難する事も出来なかった。

 

「残るは、ワシらだけか?」

 

 西郷は、防衛軍関係者はもういないのか古野間に訊ねる。

 

「いえ、数は少ないですが、我々は反抗組織として『パルチザン』を結成しました。私の任務はその本部にお二人を無事にお連れする事です」

 

「パルチザン‥‥その本部はどこにあるのかね?」

 

 西郷が本部の場所を訊ねる。

 

「お二人ともよくご存じの場所ですよ。まぁ、本部と言っても突貫工事で作った物ですから、あまり期待しないでください」

 

 そして三人はパルチザン本部を目指したが、そこまでの道のりには敵が多数いる市街地を通らなければならなかった。

 

「これは‥‥完全な焼け野原じゃないか‥‥」

 

 防衛軍の備蓄倉庫街は完全な焼け野原となり、破壊された建物、爆撃によって出来たクレーターが彼方此方に出来ていた。

 

「ええ‥‥敵はここに絨毯爆撃を仕掛けてきました‥‥今じゃ何もかもか瓦礫の中です。倉庫にあった物資も‥‥俺の仲間も‥‥」

 

 あの夜の戦闘の事を思い出し、悔しそうに顔を歪める古野間。

 

 三人はこの旧防衛軍の倉庫街を横断し、隣の地区へと入った。

 

「お二人とも大丈夫ですか?」

 

「なぁに、これしきの傷」

 

 藤堂も西郷もかすり傷程度の負傷はしたが、根を上げる様子は無い。

 

「軍上層部の連中はただ、命令してふんぞりかえっている連中ばかりだと持っていましたけど、見直しましたよ」

 

「否定はせんよ。だが、地球人としての誇りは無くしてはおらんつもりだ」

 

「上出来です。さぁ行きましょう。もう少しです」

 

 市街地を抜けていくと、そこに司令部で見た例の三脚戦車が姿を現した。

 

「戦車か‥‥」

 

「近くでは初めて見るが‥‥これほど巨大だったとは‥‥」

 

「敵の掃討三脚戦車です‥‥どんな地形でも自由に出動出来るように、あんな形をしているのでしょう。しかもかなりの装甲で、我々防衛軍の戦車ではこの瓦礫の中では自由に身動きが出来ませんし、あの分厚い装甲を破る事はできません。そのため、我々パルチザンは戦車を確保するのを断念しました」

 

「戦力、武装共に敵の方が優秀と言う訳か・・・・」

 

「ですが、あれも完璧な兵器と言う訳ではありません。弱点はあのヒョロ長い脚の付け根部分です」

 

 古野間が敵の三脚戦車の弱点を説明していると、遠くの方で爆発が起きた。

 その爆破音を聴き三脚戦車はその方角へと向かって行った。

 

「あの爆発音は?古野間君、街ではまだ交戦状態が続いているのかね?」

 

「いえ、あれは囮の陽動部隊です。貴方がたを無事本部へ送り届けるために、仲間が敵の目を逸らしてくれているんです」

 

「そうか‥‥」

 

 敵の三脚戦車が離れた隙に三人はパルチザン本部へと急いだ。

 

 パルチザン本部は地下に設置されているのか、瓦礫の中に上手い具合に隠れていたエレベーターで下へと降りた。

 そして、藤堂と西郷はパルチザン本部へと無事に到着した。

 

そこは‥‥

 

「ここだったのか‥‥」

 

「ヤマトの地下改修ドック‥‥」

 

 西郷の言う通り、パルチザン本部はヤマト専用の地下ドックだった。

 

「敵がヤマトを血眼になって探している事はご存知でしょう。奴等はまず先にここを捜索し、至る所を引っ掻き回して去って行きましたよ‥‥まっ、ヤマトどころかここには何もなかったんですからね」

 

「そうか‥‥敵も同じ場所をもう一度探したりはしない‥‥絶好の隠れ場所と言う訳だな」

 

 ここがパルチザン本部として選ばれた理由に納得した様子の藤堂。

 

「藤堂長官、参謀長。御無事で」

 

 二人の姿を見つけ、本部に居た皆が集まって来た。

 空間騎兵隊に航空科、司令部要員、整備課等の所属がまちまちな軍人や警官たち。その中には民間人も含まれていた。

 西郷は所属の違う軍人や警官たちと素人な民間人たちを纏め上げたここの司令官に感服した。

 そして、その司令官が古野間である事を告げられると、古野間は、司令官職を藤堂と西郷に譲渡した。

 そんな中、陽動部隊も本部に合流した。

 陽動部隊を率いていたのはヤマトを降り、第十四パトロール艇艇長を務めていた北野だった。

 

 その後、肝心のヤマトの行動に関し、当初は動揺が広まった。

 何故ならば、ヤマトは太陽系外方向へと向かってしまったからだ。

「地球を見捨てて逃げたのか?」と言う意見も出てパルチザン本部は重い空気に包まれたが、そこを北野、藤堂、西郷が反論し、ヤマトは敵の母星へ向かったのだと三人はそう予測を立てた。

 そこはやはり真田同様、地球に撃ち込まれた重核子爆弾の起爆装置を地球圏からではなく、敵の母星から操作していると言う結論だった。

 そして、西郷は地球に残った自分たちは地球を解放する準備を整える事だと諭した。

 いくらヤマトと言えど、地球の占領軍を殲滅し、敵母星の起爆装置を破壊する事を同時には出来ない。

 ヤマトは地球の人々を信頼して、旅立ったのだ。

 ならば、自分たちもその信頼に答えなければならない。

 ただ、ヤマトが帰って来るのを何もせずに待っているのではなく、地上に居る敵の数を減らし、あの重核子爆弾を逆に占拠する所まで行かなければならない。

 ヤマトが帰って来るまでに自分たちはやることが山ほどある。

 地球人としての誇りを賭け、戦わなくてはならない。

 パルチザン本部も先程の重い空気から一転、明るく士気が高まった。

 地球の方でも新たな戦いが幕を上げた。

 

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