星の海へ   作:ステルス兄貴

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百十話 侵入者2

 

 

 褐色矮星の爆発に巻き込まれ、ヤマトは僚艦の中で一番ひどい損害を受けた。

 そこでヤマトは修理を行うことになり、他の僚艦は周辺の偵察することになった。

 だが、修理中のヤマトに突如、異変が起きた。

 メイン動力が落ち、通風孔からガスが流れ込んできた。

 ガスを吸ったヤマトの乗員は次々と昏睡し、倒れいく。

 ヤマト艦長の古代守と今後の航海計画を練るため、ヤマトに訪れていた良馬もこの異変に巻き込まれた。

 間一髪、ガスを吸い込まず助かった古代、坂本らと共にヤマト艦内を調査する中、ロボットのアナライザーが何者かに手によって壊されていた。

 さらに昏睡していたヤマトの乗員たちが起き上がり、襲い掛かってきた。

 そして、洗濯室には血の付いた制服が落ちていた。

 そのことから何者かがヤマトに侵入して、メイン動力を落とし、ガスを艦内に流し込み、アナライザーを壊した犯人だと思われた。

 そんな中、昏睡したヤマトの乗員が襲い掛かってきたのであれば、第一艦橋にて昏睡していた南部、相原、太田も襲い掛かる可能性があった。

 第一艦橋にはガスを少し吸い込んで体がマヒしている島と護衛のサーシアが居る。

 三人は急いで第一艦橋へと急いだ。

 

「島!!サーシア!!大丈夫か!?」

 

 第一艦橋に到着すると、古代は島とサーシアの安否を確認する。

 

「おう、古代。‥‥みんなはどうだった?」

 

「お父様はどうでした?」

 

 島は第一艦橋に戻ってきた古代たちに他の乗員の状態を訊ね、サーシアは父親である守の事を訊ねる。

 南部たちは未だ昏睡している状態で襲い掛かってくる気配はない。

 

(今のうちに結束バンドで手足を縛っておいた方がいいか?)

 

 良馬は南部たちが昏睡しているのであれば、いつ起き上がり襲い掛かってくるか分からないので、昏睡している今のうちに手足を拘束しておいた方がいいかと思った。

 

「兄さんだが、間に合わなかったようだ‥‥他のみんなと同じ昏睡している」

 

「‥‥」

 

 サーシアは古代から父親の状態を聞いて、表情を暗くする。

 

「島君、サーシアちゃん、あれから、南部君たちに異常はなかった?」

 

 良馬は島とサーシアに南部たちの様子を訊ねる。

 

「異常?どういうことです?相変わらず、三人は昏睡したままでしたけど‥‥」

 

 島は、南部たちは意識を取り戻す事無く、昏睡したままだと言う。

 島の発言と二人の様子から、第一艦橋には他のヤマトの乗員が襲来して来ず、南部たちもずっと昏睡したままだったのだろう。

 そこで、事情を二人に説明しようとした時、今まで昏睡していた南部たちがゆっくりと起き上がりだした。

 

「きゃっ!!」

 

 突然起き上がりだした南部たちを見てサーシアは思わず悲鳴を上げる。

 傍から見たら完全にゾンビに見える。

 

「こ、古代さん‥‥あれ‥‥!!」

 

「間に合わなかったか‥‥」

 

 昏睡している間に南部たちの身柄を拘束したかったが、起き上がってしまっては仕方がない。

 他の乗員の様に最低出力のコスモガンでまた昏睡させるしかない。

 

「ど、どういうことだ‥‥?」

 

 事態を把握できない島は困惑している。

 

「事情は後で説明するから、今は伏せて!!」

 

 戦えない島に対して良馬は姿勢を低くするように言うと、この三人の中で射撃の腕が一番の南部をまっさきに倒すため、彼に近づく。

 そして至近距離から南部を撃つ。

 南部を倒し、彼が持っていたコスモガンを素早く拾うとそのまま隣に居た相原に向けて撃つ。

 南部、相原を倒した良馬だが、反対側に居た太田まで対処できず、太田がコスモガンを撃ってきた。

 その一発は相原の席‥‥ヤマトの通信機に命中する。

 

「くっ‥‥」

 

 初弾は許したが、それ以上撃たせないため、良馬は素早く身をひるがえし、太田も撃った。

 三人は再び昏睡して床に倒れた。

 

「ふぅ~‥‥まさか、ヤマトの艦橋で銃を撃つことになるなんてな‥‥」

 

 これまでの人生でコスモガンを撃つ機会は何度もあったが、ヤマトの第一艦橋内で撃つなんてこれが最初で最後だろう。

 

「‥‥おい、何が起きているんだ?説明してくれ‥‥!!」

 

 南部たちを倒し、安全確保が出来、島が事態の説明を求めた。

 三人は島とサーシアにこれまで見てきたヤマト艦内の状況を説明した。

 

「――――そうだったのか‥‥しかし、なぜなんだ?テレパシーのようなもので、操られているのかな‥‥?」

 

「うん‥‥以前のイスカンダルでの航海で、ヤマトと離れた時、連中が似たような実験をしているところに遭遇したことがあった‥‥その時、連中は被験者の頭部に受信機を埋め込んで、衛星から電波を送って人を操っていた‥‥今回の件もそれに似ていることから、連中‥今度は受信機も衛星も使わない方法を思いついたのかもしれない」

 

「俺もそう思う。であれば、南部の動きが鈍かったのもわかる‥‥」

 

「南部さん、そんなにすごいんですか?」

 

「ああ、オリンピック級の狙撃手さ。当然、早撃ちも凄腕の実力者だ。普通に戦っていたら、お前なんか三秒ともたないぜ」

 

 南部の実力を知らない坂本が南部の実力訊ねると、島が南部本来の強さを説明する。

 南部が銃の名手だからこそ、良馬は真っ先に南部を倒したのだ。

 しかし、本人の意思でないためか、動きが鈍く、銃を抜くにも撃つにしろ、動きにタイムラグがあったからこそ、良馬は南部が銃を撃つ前に倒すことが出来た。

 夜の一族のため、常人よりも体力、動きなどは上であるが、それでも南部ほどの腕ならば、初弾は許してしまうくらいの腕を本来の南部なら持っていた。

 

「う~っ、桑原、桑原‥‥」

 

 坂本は今後、何があっても南部を怒らせないこと、彼と銃に関しての勝負はしないと心の中で誓った。

 

「ところで島、春藍かまほろばと連絡はついたか?」

 

 古代が僚艦と連絡が取れたのかを訊ねる。

 

「それがな‥‥呼びかけてみたんだが、まったく反応がないんだ‥‥かなり離れているみたいだし、なにぶん、非常動力でまかなえる分の通信出力しかないからな‥‥だが、もしかすると通信は届いていて、こちらが返答を受信できていないだけかもしれん。まぁ、メイン動力が落ちている状態じゃあ、確認しようがないが‥‥」

 

「見て‥‥」

 

 そんな時、サーシアは通信機が壊れているのを見つける。

 

「通信機器が‥‥!!」

 

「さっきの戦いでか‥‥」

 

「この様子だと、真田さんかトチローさんでもいないと、修理は無理だな‥‥」

 

「メイン動力が落ちているのであれば、交信室の通信機器も使えないか‥‥」

 

「トチローさんは医務室で倒れていた。あとは真田さんだけだな‥‥下層デッキの機械工作室か‥‥」

 

「連絡がないとなると、真田さんも倒れている可能性があるけど、行ってみるしかないか‥‥ただ、その前にこのガスを何とかしよう‥‥みんなを操っている原因がこのガスかもしれないし」

 

「そうですね」

 

 古代たちは念のため、昏睡している南部たちの手を縛った後、機関室へと向かった。

 機関室付近ではやはり、ヤマトの機関員たちが襲い掛かってきた。

 しかし、彼らはコスモガンではなく、レンチなどの工具で殴り掛かってきた。

 飛び道具ではないので、比較的に倒しやすかった。

 そして機関室へと入ると、

 

「っ!?」

 

「おい、誰だ‥‥」

 

 古代と良馬は機関室にて怪しい人影を見つけた。

 

「だ、誰かいたんですか?」

 

「一瞬、誰かが居たようにも見えた」

 

「山崎さんや徳川たちじゃないんですか?」

 

「そうかもしれないけど‥‥なんか違うような気もしたんだよね‥‥」

 

「ええ‥‥あの人影は確かこっちへ‥‥」

 

 三人は謎の人影が向かった方へと進む。

 すると、今度は機関室に居た機関員らが三人に襲い掛かってきた。

 

「山崎さん‥‥!!徳川も‥‥!!」

 

 山崎や徳川も他の機関員同様、工具を手に持ち殴り掛かってきたが、なんとか倒すことはできた。

 しかし、山崎はなかなかタフであり、倒すのも苦労した。

 

「ふぅ‥‥手間取ったなぁ‥‥まっ、山崎さんたち相手じゃしょうがないか」

 

 倒れている山崎たちを見て坂本はなかなかの強敵だったとつぶやく。

 

「後でまた暴れだしたりしないように手足を縛っておきましょうか?」

 

 南部たち同様、山崎たちも身柄を拘束するかと訊ねる坂本。

 

「そうだね‥‥攻撃目標をエンジンに切り替えて徹底的に壊されたら大変だし‥‥」

 

 今は自分たち正常な人間に標的を絞っているが、それが艦の設備にいつ変更されるか分からない。

 エンジンをこれ以上壊されたりしたら大変だ。

 工具の結束バンドや縄で機関員らの手足を縛っている中、

 

(さっきの人影‥‥機関部の人間じゃなかったように思えたが‥‥気のせいだったんだろうか?)

 

 古代は最初に見た人影が気になっていた。

 機関員たちの身柄を拘束した後、三人は動力パネルを見てメイン動力を回復できるかをチェックする。

 

「これだな‥‥動力パネルは‥‥」

 

「メインの動力は完全に止まっちゃっていますね‥‥あっ、でも、サブ配線の方はショートしているだけみたいですね。こっちなら何とか直せそうですよ」

 

「本当か?」

 

「技師長や山崎さんたちみたいにうまくはいかないんですが、この程度ならなんとかなります」

 

 坂本がチェックしてみてメイン配線に関しては真田やトチロー、山崎たち機関員でなければ無理だが、比較的に損害が小さいサブ配線は自分でも修理できると言う。

 

「へへ、いつもコスモタイガーの整備ばかりやらされていますからね。‥‥さて、と‥‥」

 

 普段から罰でコスモタイガーの整備をさせられてきた坂本の知識と腕が今回は活かされる結果となり、彼はさっそく修理作業を始める。

 

「うわっ!!」

 

 修理の中、バチバチと火花が散る場面もあった。

 しかし、艦内に充満したガスは火花で爆発することはなかった。

 このガスは、やはり地球に存在しているガスとは性質が異なるようだ。

 

「本当に大丈夫?」

 

 ちょっと不安になった良馬が坂本に訊ねる。

 

「まぁ、見ていてください。え~と、ここをこうして‥‥っと‥‥これでよし、っと。サブ動力だけでだから完全じゃないですけど、これだけあれば充分でしょう」

 

 ヤマトの波動エンジンが普段よりも小さいながらエンジン音を奏でだした。

 すると、周りのガスも薄れてきた。

 

「あっ、ガスも薄れてきた‥‥」

 

「空気清浄機構がうまく動き出したんだ‥‥」

 

 サブではあるが、動力を回復させた三人は次に真田のいる機械工作へと向かった。

 

「この先が工作室だ‥‥いいか?ドアを開けるぞ‥‥」

 

 古代が工作室の前で良馬と坂本に声をかけてから扉を開ける。

 この異常事態から、かなり時間が経っているにもかかわらず、真田からの連絡はない。

 となると、彼も十中八九ガスを吸って昏睡しているのだろう。

 機械工作室で昏睡して倒れていればいいが、起き上がっていたら、自分たちに襲い掛かってくる可能性はかなり‥‥と言うか絶対に襲い掛かってくる。

 ドアが開き、三人は恐る恐る機械工作室の中へと足を踏み入れる。

 

「真田‥‥さん?」

 

 古代は声をかける。

 機械工作室の奥に真田は立っていた。

 

「真田さん‥‥」

 

 古代が声をかけても真田は答えない。

 それどころか‥‥

 

ウィーン、ウィーン

 

「うわっ!!な、なんですか!?これはっ!?」

 

「工作用のマニュピレーターだ!!コントローラーは真田さんが持っているぞ‥‥気をつけろ!!」

 

 真田は機械工作室に備え付けのマニュピレーターをけしかけてきた。

 銃撃はしてこないがあんなもので弾き飛ばされたり、挟まれたりしたら、痛いや怪我では済まなそうだ。

 

「とりあえず、真田先輩が持っているあの端末を何とかすればいいんだね?」

 

「えっ?ええ‥‥」

 

「それじゃあ‥‥」

 

 良馬は真田めがけて走り出す。

 当然、真田はマニュピレーターで良馬を迎撃するが、マニュピレーターはそこまで俊敏な動きが出来るわけでもなく、動きが単調‥‥しかも南部の時のようにマニュピレーターの操作もぎこちない感じだ。

 

「くっ‥‥」

 

 良馬はマニュピレーターを躱し、真田が手に持っている端末に狙いを定める。

 

「そこだ!!」

 

バキューン!!

 

 良馬のコスモガンから放たれたエネルギー弾は一直線に真田が手に持っている端末へと向かう。

 

バキッ!!

 

 コスモガンのエネルギー弾を受けたマニュピレーターの端末は砕け、コントローラーを失ったマニュピレーターは動きを止める。

 

「真田先輩、すみません!!」

 

 マニュピレーターのコントローラーである端末を破壊した良馬は真田へと接近し、その勢いを殺す事無く、真田の鳩尾に拳を叩き込む。

 

「がはっ‥‥」

 

 良馬の拳を鳩尾にくらった真田はその場に倒れる。

 

「真田さん!!」

 

(月村艦長も南部さん同様、怒らせないようにしないとな‥‥)

 

 第一艦橋で見せた動きや射撃の腕、そして、この機械工作室での動き、そして真田へ打ち込んだ一撃‥‥良馬も怒らせたら必ず痛い目に合うと思った坂本だった。

 良馬は倒れた真田に胸部に手を置き、法術で気を送り込み、真田の意識を戻す。

 今のヤマトには真田の知識と助言が必要だったのだ。

 

「うっ‥‥うぅ~‥‥ここは‥‥」

 

「真田さん、大丈夫ですか!?」

 

 意識を取り戻した真田に声をかける古代。

 その後、古代たちは真田にヤマトの現状を説明した。

 

「なるほど、お前たちの話を聞いていると、事態はかなり深刻なようだな‥‥」

 

「それに、謎も多いんです‥‥敵がなぜガスを流し込み、みんなを操っているのか‥‥アナライザーはなぜ壊れていたのか‥‥そして、この服‥‥」

 

 古代が事態を説明し、洗濯室で見つけた血の付いた技術班の制服を良馬は真田に見せる。

 

「これは‥‥船外作業用の制服‥‥技術班の小島のものだな‥‥」

 

「大きく破れていますし、血もついています‥‥艦内なら兎に角、もし真空の宇宙空間で、この出血量を負うほどの傷を負ったのであれば‥‥」

 

「ああ、生きてはいないだろう‥‥」

 

 良馬は真田の部下の一人、小島が宇宙空間でこの傷を負った場合の仮説を言うと、真田も小島の生存は絶望的だと言う。

 

「となると、敵は船外で作業をしていた乗員を襲って、その服を着て艦内に侵入した‥‥ってことになりますね」

 

「変装して‥‥ってことですか?」

 

「うむ、ヘルメットのバイザーを下ろしていれば、顔を見られることもない。服の破れ目を隠せば誰にも疑われないだろう」

 

「そうか‥‥そういうことか‥‥」

 

(なるほど、だから、制服が洗濯室にあったのか‥‥洗濯室にあった他の部署の制服に着替えて破れ目がある服から着替えたわけか‥‥)

 

「アナライザーを壊したのもうなずける。アナライザーは優秀な分析ロボットだからな。アナライザーがいると分析されて正体が判明してしまう‥‥邪魔になる前に破壊したんだろう」

 

 真田曰く、アナライザーを壊したのはガスが利かないだけでなく、アナライザーの分析機能で自分が偽物だとバレてしまうからだと言う。

 

「くそっ、なんてことだ!!じゃあ、やっぱり、侵入者がこの艦内に潜んでいるわけですね!?」

 

(さっき機関室で見たあの人影はもしや!?)

 

「可能性は高い‥‥」

 

「じゃあ、アナライザーは自分を壊した者の正体を知っているかもしれませんね」

 

 良馬は真田にアナライザーは自分を壊した犯人を目撃した可能性があることを示唆する。

 

「ああ‥‥すまないが、アナライザーをここまで連れて来てくれ。俺が修理する。月村の言う通り、あいつなら、敵をじかに見ているかもしれからな‥‥」

 

「でも、あいつ、かなり重いですよ‥‥三人がかりでも、うまく運んでこれるかどうか‥‥」

 

 坂本が三人でアナライザーを運ぶのは無理があると言う。

 

「分解されているんだろう?‥‥持ってくるのは頭部だけでいい」

 

「なるほど」

 

「さあ、急げ!!もしかすると、事態は一刻を争うかもしれんのだ‥‥アナライザーを修理し、記憶を再生させて敵の正体を暴き出すんだ!!」

 

 敵がまだ艦内に居ることは明白であり、一刻も早く敵の正体を掴まなければならない。

 そのためにはまず、敵の正体を掴むため、それを知っているかもしれないアナライザーを真田の下に連れてこなければならなかった。

 

「確かアナライザーは第二居住区の女子トイレの前に居たはずですよね?」

 

 坂本がアナライザーの所在確認し、三人でアナライザーを迎えに行く。

 

しかし、

 

「あれ‥‥ありませよ?‥‥ここだった筈なんだけどなぁ‥‥」

 

 三人はアナライザーが壊されていた女子トイレに着いたのだが、そこにアナライザーはなかった。

 

「どこへ行ったんだ‥‥?」

 

「まさか、敵は完全にアナライザーを抹殺するためにどこかに運んだんじゃあ‥‥?」

 

「操られたクルーを使っている可能性もありますね」

 

 侵入してきた敵は制服の件から見て一人だが、アナライザーを運ぶには一人ではとても無理だ。

 それこそ、侵入者が月を見て大猿に変身する戦闘民族の宇宙人か、日光を苦手とする兎の名を持つ宇宙最強最悪の傭兵部族でなければ一人でアナライザーを運ぶなんて真似は出来ない。

 しかし、今のヤマトには操られているヤマトの乗員が居る。

 彼らに運ばせた可能性もある。

 

「どこにやったんだ‥‥考えろ‥‥考えるんだ‥‥運ぶ‥‥どこへ‥‥?」

 

「機械を使って処分するのは手間もかかるし時間もかかる‥‥となると、二度と修理できないように手早く捨てるんじゃないか?」

 

「捨てる‥‥宇宙‥‥外か!?」

 

「エアロックですね‥‥大きなエアロックは、メイン動力が落ちている今は動きません。手動でも動く小型のヤツに限定できますね‥‥」

 

「それでもかなりの数があるはずだ‥‥急ごう!!」

 

 アナライザーを運ぶ手間を考えると、運ばれたのは第二居住区の下にある下層デッキの小型エアロックだ。

 三人は急いで下層デッキに降りた。

 小型エアロックの射出口前では四人の機関部の乗員がアナライザーを小型エアロックに押し込もうとしていた。

 

「いたぞ!!急げ!!エアロックを開けさせるな!!」

 

 古代たちの存在に気づいた機関員たちはアナライザーを小型エアロックに押し込めるのをやめて襲い掛かってきた。

 彼らは武器を持っていなかったので、比較的に簡単に倒すことが出来た。

 しかし、もし彼らがエアロックを開けていればアナライザーは宇宙に放り出されることはもちろんのこと、彼らもアナライザーと共に宇宙へ放り出されていた。

 船外作業装備をしていない生身の人間が真空の宇宙へ放り出されれば、結果はどうなるかは火を見るよりも明らかである。

 古代たちはアナライザーの他に彼らの命を救うこともできたのだ。

 

「間一髪でしたね‥‥まったく‥‥世話をかけるなぁ、お前も」

 

 愚痴りつつ、坂本がアナライザーの頭部を持つ。

 三人は真田が待つ機械工作室へと向かう。

 

「よし、持ってきたな‥‥作業台の上に置いてくれ‥‥」

 

 真田はさっそくアナライザーの修理に取り掛かった。

 

「メイン動力が落ちている分、時間がかかる‥‥ちょっと待っていてくれ」

 

「わかりました。その間、艦内を捜索してみます」

 

 ただここで修理が終わるのを待つのも時間の無駄なので、その間に侵入者の手掛かりがないか、古代たちは再び艦内の捜索へと向かう。

 

「うむ、だが、無茶はするなよ」

 

 真田に見送られ、古代たちは艦内の捜索へと出て、第二艦橋、作戦室を捜索したが、侵入者の痕跡も手掛かりも見つからなかった。

 

「佐渡先生やトチローさんもまだ昏睡しているのかな?」

 

 そんな中で、良馬は佐渡とトチローがそろそろ目を覚ましているのではないかと思いつぶやく。

 

「ほかのみんなもまだ昏睡しているか、操られていますからね‥‥まだなんじゃないんですか?」

 

「うーん‥‥でも、佐渡先生なら普段からお酒を飲んでいるから、酔いが醒めるのも普通の人よりも早いかも‥‥」

 

「まぁ、ありえそうな話ですけど‥‥」

 

 確認のために三人は医務室へと向かう。

 すると、医務室の居住スペースにて佐渡は座っていた。

 

「佐渡先生!!」

 

「おわっ!!な、な、な、なんじゃい!!」

 

 突然声をかけられ、佐渡はビクッと身体を震わせ驚く。

 

「あれ?‥‥先生、正気なんですか?」

 

 見たところ、佐渡は他の乗員たちと異なり正気を取り戻している様子だった。

 しかし、トチローはまだ昏睡しており、医務室のベッドで横になっている。

 古代が佐渡に現状を説明する。

 

「――――というわけなんです」

 

「そーかぁ、ワシはまた、大山君と二人で酔い潰れたんじゃと思っとったよ」

 

「ハハ、実際、そう見えましたけどね」

 

「確かに‥‥」

 

「しかし、頭痛がひどいわい‥‥迎え酒でもやらんとやっとられんぞ。まっ、ワシは酒で酔っ払って昏睡することになれとるから、それで早めに気が付いたのかもしれんなぁ‥‥いや、酒飲みでよかったわい。それにひきかえ、大山君は酒には弱いからのう‥‥ガスにも弱いんじゃろうか?」

 

 佐渡が意識を取り戻した理由がまさか、良馬の推測通り普段から酒を飲んで酔って昏睡することに慣れていると言う事だった。

 

「ともかく、患者を運び込みたいところですが、いつ操られて動き出すかわからないですし、外に出るのも危険です。佐渡先生はここで待機しておいてください」

 

「わかった。ボチボチ酒でも飲んどるよ」

 

「トチローさんもいつ暴れだすかわかりませんよ。手足を縛っておいてください」

 

「あ~~~、わかったよ。ホラ、お前たちは行け」

 

 佐渡の無事が確認できたところで、真田からアナライザーの修理が終わったと連絡が入ったので、三人は再び真田の下へと向かう。

 

「いいか、動力を入れるぞ‥‥」

 

 真田が動力を入れるとアナライザーの頭部のメーターが光りだす。

 

「おい、アナライザー、聞こえるか?」

 

 古代がアナライザーに声をかける。

 

「アレ‥‥ココハ‥‥?」

 

 アナライザーが音声を発する。

 

「無事に直ったようですね」

 

「ンンン‥‥技師長‥‥?古代サン二‥月村サン‥‥?」

 

「おいおい、俺の名前はなしかよ」

 

「坂本ノヤローハ、ドウデモイイトシテ、ワタシハナゼ、コンナトコロニ‥‥?」

 

 アナライザーは現状を理解できていない様子。

 

「この野郎‥‥」

 

 坂本は顔を引き攣らせている。

 

「説明はあとだ。アナライザー。お前は何者かによって壊されていたんだ。どうだ?壊される寸前の記憶を再生できるか?」

 

「記憶‥‥再構成中‥‥最後二見タノハ、椎名サンデス」

 

「椎名?コスモタイガー隊の椎名か?」

 

「ハイ‥‥椎名サンカラ声ヲカケラレテ、振リカエッタ次ノ瞬間ニハ‥‥」

 

(それ以前にアナライザーが女子トイレの前に居たことが気になるんだが‥‥)

 

 アナライザーが言うにはあの場で椎名に壊されたと言うのたまが、それ以前にロボットのアナライザーが何故女子トイレの前に居たのかが気になる良馬だった。

 

「椎名が‥‥アナライザーを‥‥?」

 

「いや、椎名の訳はありませんよ!!椎名は山本さんと一緒にパイロットルームで待機していた筈です。実際にガスが流れ込んできた時、椎名はパイロットルームで倒れていました。月村さんも確認しましたよね?」

 

「ああ、確かに彼女が倒れているのは確認した」

 

「デモ、椎名サンニ見エマシタ」

 

 坂本と良馬は椎名を弁護するが、アナライザーは確かに椎名に見えたと言う。

 

「アナライザーの記憶力は人間と違い完壁だ。間違っている可能性は低い‥‥」

 

 真田もロボットであるアナライザーが見間違えるとは考えにくいと言う。

 普段の行動は人間っぽいアナライザーでも記憶力はロボットなので、人間よりもはるかに繊細に覚えている筈だ。

 

「でも、椎名は‥‥」

 

 坂本は椎名がアナライザーを壊すなんて信じられなかった。

 

「わかっている。いいか、アナライザーは『椎名だ』と言ったわけじゃない‥‥『椎名に見えた』と言ったんだ。椎名じゃないとすると‥‥」

 

「敵は変装できると言うことですね?」

 

「ああ」

 

「あれ‥‥?でも、服はどうしたんでしょう?技術班の服は破られ状態で洗濯室に捨てられていましたよね?‥‥服が必要だったと言うことは、敵は服装まで真似できないと言うことでしょう?椎名のフリをするには、椎名と同じ服が必要ですよ」

 

「多分、その洗濯室で着替えたんだろう‥‥あそこなら、替えの制服はたくさんあるからね」

 

「なるほど‥‥最初に技術班の服を奪って艦内に侵入して、機関員に化けて艦内にガスを流しこんでエンジンをショートさせる‥‥次に椎名に化けてアナライザーを壊す‥‥女性の椎名が相手なら、アナライザーは油断するだろうしな‥‥」

 

「油断‥‥ソノ通リデスネ」

 

「じゃあ、今は誰に化けているんでしょう‥‥?」

 

「わからん‥‥椎名かもしれんし、別の誰かかも‥‥」

 

(変装できると言うことは、侵入者は暗黒星団帝国とは別の星の人物なのか?)

 

 暗黒星団帝国の人間が怪人二十面相みたいに容姿を変える能力を持っているようには見えない。

 ならば、ガミラスの様に暗黒星団帝国に協力する第三者が今回の侵入者で、その星の人間が容姿を変えることのできる能力を持つ人間なのだろうか?

 

「ともかく、誰と出会っても用心するんだ‥‥誰が敵であってもおかしくはないんだからな‥‥」

 

「「「‥‥」」」

 

 侵入者が自由にヤマトの乗員に変装できると言うことで古代たちの間に疑心暗鬼の感情が芽生える。

 

「とりあえず、この事を第一艦橋に居る島君とサーシアちゃんにも伝えに行きましょう。通信機越しではなく、直接会って話した方がいいでしょう‥‥真田先輩も一人でいるよりは二人のいる第一艦橋の方が安全でしょう?それに第一艦橋の通信機が壊れてしまって、その修理を頼みたいんです」

 

「わかった」

 

 真田は修理道具を用意した後、彼を含め、古代たちは第一艦橋へと戻り、島とサーシアに注意を促すことにした。

 第一艦橋に戻ると、

 

「古代、他の艦と連絡がつきそうだぞ!!」

 

 島が頑張って他の僚艦との連絡をつけていた。

 

「本当か?」

 

「ああ、さっき第二艦橋の緊急通信回線をこっちにまわしたんだ。すると、微弱だが反応があった。音声通信がまだ出来ないが、こちらからのSOSは受け取ってくれている可能性は高い。もし、こっちに向かっているようなら、そのうち通信圏内に入ってくるだろう」

 

「それはなによりの吉報ですね」

 

「ところで、そっちの方はどうだ?」

 

 古代たちは島とサーシアに現状を伝える。

 

「――――そうか‥‥クルーの誰かに化けているのはやっかいだな‥‥」

 

 侵入者がヤマトの乗員に化けることが出来るのはあまりにも厄介だ。

 だが、少なくとも島、サーシア、古代の三人はガスが送り込まれてからは常に二人以上で行動を共にしていたので偽物という可能性は低い。

 しかし、この状況下では誰もが怪しいと感じてしまう。

 古代、島、サーシアからすれば、良馬や坂本、真田はアリバイがあやふやであるから、『もしかしたら‥‥』という思いもある。

 でも、こういう状況下だからこそ、相手を信じる気持ちも必要なのだ。

 

「あっ、佐渡先生にも伝えないと‥‥それにトチローさんの様子も気になりますし‥‥」

 

「よし、次は佐渡先生の所に行こう」

 

 真田に通信機の修理、島には引き続き僚艦との連絡を任せ、三人は医務室へと向かう。

 

 医務室の扉の前に来た時、

 

「にゃ~~~」

 

「ん?この声は‥‥」

 

「ミーくんの声だ‥‥」

 

「医務室の中から聞こえましたよ」

 

「まさか、佐渡先生の身に何かあったんじゃ‥‥」

 

 三人が医務室の中に入ると、佐渡は床で倒れていた。

 酒に酔ってまた昏睡したようには見えない。

 頭には大きなタンコブを作っていたし、手や近くの床に酒瓶がない。

 それにベッドで寝ていたはずのトチローの姿も消えている。

 

「まさか、トチローさんが暴れて佐渡先生を襲ったんじゃ‥‥」

 

「とにかく、佐渡先生を起こしましょう」

 

「佐渡先生!!佐渡先生!!」

 

 佐渡をベッドに横たえ、何があったのかを聞く。

 

「う‥‥うう‥‥」

 

「大丈夫ですか?いったい何があったんです?」

 

「だ、第三艦橋じゃ‥‥第三艦橋へ急げ‥‥」

 

「第三艦橋?」

 

「大山君‥‥が‥‥」

 

「まさか、トチローさんが‥‥偽物だったのか‥‥」

 

「いや、ただガスの影響で暴れだしたのかもしれない」

 

「とにかく、急ごう!!」

 

 三人はトチローが居るとされる第三艦橋へと急いで向かった。

 そして第三艦橋ではトチローが居た。

 

「トチローさん!!動かないでください!!」

 

ただし‥‥

 

「お、おい、俺じゃねぇぞ!!」

 

「だまされるな!!そいつが敵だ!!」

 

二人いた。

 

 一方はシャツとパンツ姿のトチロー‥‥

 

 そして、もう一方はヤマトの機関部の制服と上着、帽子と普段のトチロースタイルのトチローが‥‥

 

「と、トチローさんが二人‥‥!!」

 

「そいつは俺に化けようとしたんだ!!よく見ろ!!服を着ていないのが何よりの証拠だぞ!!」

 

「なに~~!!馬鹿言え~!!お前が俺の服を脱がしているときに目が覚めたんじゃねぇか!!あいにく、シャツとパンツだけはなんとか死守したけどな!!」

 

「馬鹿だと~~~ぉ?そっちこそ馬鹿じゃねぇか!!もう、逃げ場はないぜ!!観念しな!!」

 

 二人のトチローは互いにコスモガンを突き付け合って罵り合っている。

 

「ど、どっちが本物なんでしょう?」

 

「わからない‥‥」

 

 声も体系も何もかもが瓜二つ‥‥

 違っているのは服装だけ‥‥

 ここまで完壁に変装されるとどっちが本物のトチローなのか分からない。

 プロフィールなどを聞いて炙り出したいところだが、彼の正確なプロフィールを古代たちは知らない。

 知っているのは守か真田ぐらいだ。

 真田をここへ連れて来てもいいが、その間に偽物が逃げる可能性もある。

できればこの場で捕まえたい。

 

「ちょっとまって‥‥」

 

 良馬は意識を集中し、法術で気を探る。

 

「ん?‥‥」

 

 すると、服を着ているトチローの気の流れが、地球人とは異なる異質な流れをしていた。

 

「こっちが偽物だ!!」

 

 良馬は服を着ているトチローに向かって発砲すると古代と坂本も少し遅れて服を着ているトチローに向け、発砲する。

 すると、服を着ているトチローはまるで画家、ムンクの作品、『叫び』に描かれているような頬がこけ、髪がない真っ白な人?の様なものに変化する。

 

「なんだ!?あれはっ!?」

 

 ソイツはジャンプして古代たちの上を飛び越えると、そのままエレベーターに乗り込み逃走する。

 

「くそっ!!」

 

「逃げられた!!」

 

「早く追いかけましょう!!また別の誰かに変装されたら厄介だ!!」

 

「でも、奴はどこに‥‥」

 

「あいつは俺に正体がばれてから、すぐ逃げようとしやがった。この第三艦橋には後部ハッチがあるからな‥‥まぁ、お前らのおかげでなんとか阻止できたが‥‥だが、古代、月村、これで諦めるような奴じゃないぞ‥‥!!エアロックから逃げるといかんので、さっきここから艦内のエアロックは全てロックした。窓を破って逃げようとしても、ヤマトの窓は全て硬化テクタイトだ‥‥」

 

 トチローのおかげで奴は今、袋のネズミとなった。

 

「じゃあ、奴が向かう先は‥‥」

 

 ヤマトから逃げるとするならば、逃走経路は一本に絞られた。

 

「ああ、外に出られる場所はもうあそこしかない‥‥十中八九‥‥格納庫だ!!」

 

「急ごう!!」

 

 奴を逃がすわけにはいかず、三人は急いで格納庫へと向かう。

その途中、

 

「そういえば、月村さんはなんで、トチローの違いを見分けることが出来たんですか?」

 

 坂本は良馬にトチローを見分けることが出来た訳を聞いてきた。

 

「その説明は長くなるから、この事態が終わったら説明するよ」

 

 流石にこの状況下で法術を伝えるのは手間なので、あとで教えることにした。

 

 格納庫へ到着すると、侵入者がエアロックを必死にいじり、何とかヤマトから脱出しようとしていた。

 

「無駄だ!!もう観念しろ!!そこのハッチはもう開かない!!今ごろ、トチローさんがロックをしているさ‥‥!!」

 

 古代は侵入者に対して投降を呼びかける。

 

「‥‥」

 

 しかし、侵入者は投降するどころか、両手に鋭い鎌のような爪を伸ばし、古代たちに襲い掛かってきた。

 侵入者はものすごいスピードで古代たちに迫ると、バク転をしつつ斬りつけてきた。

 

「気をつけろ!!奴の爪は船外作業用の制服でさえ、切り裂くほどの威力があるぞ!!」

 

 洗濯室で見つけた技術班の服から、あの服の主はこの爪で切り裂かれたはずだ。

 

「散開しつつ、撃て!!絶対に立ち止まるな!!止まった途端、狙われるぞ!!」

 

 ある程度ダメージを当たると、次に侵入者は四つん這いになり襲い掛かってくる。

 

「こわっ!?」

 

 その姿に坂本は思わず、立ち止まってしまう。

 しかし、確かにホラー映画に登場する化け物の様にこの光景は怖い。

 

「坂本君!!」

 

 良馬はまずいと思い坂本にタックルし、侵入者の爪から坂本をかばう。

 しかし、その中で、侵入者の爪の先は良馬の肩にあたる。

 すると、服が切り裂かれ、肩の一部も切られた。

 それによって良馬の肩からは真っ赤な血が流れ出る。

 

「いっ‥‥」

 

「月村さん!!」

 

「大丈夫だ!!かすり傷だ!!」

 

「このっ!!よくもっ!!」

 

 侵入者が坂本と手負いの良馬を狙ったことで、古代は侵入者の背後に回ることが出来た。

 流石の侵入者も三対一では多勢に無勢だったようだ。

 古代の撃ったコスモガンのエネルギー弾が二発同じ場所へと命中する。

 それは人間でいう所の心臓の部分だった。

 侵入者は動きを鈍らせると、仰向けに倒れた。

 

「終わったか‥‥」

 

「月村さん、大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ‥‥あとで佐渡先生かウチの医務長に見てもらうよ」

 

 坂本が自分をかばって負傷した良馬の傷の状態を訊ねる。

 そんな中、先程倒した侵入者がゆっくりと起き上がり、右手を振りかざし、今にも良馬に切りかかろうとした。

 しかし、何かに気づき、背後を見ると、

 

「くたばれ!!」

 

 良馬が乗ってきたコスモゼロに古代が乗っており、パルスレーザーで侵入者を撃った。

 流石の侵入者も拳銃タイプのコスモガンより威力の高いコスモゼロのパルスレーザー砲にはかなわず、バラバラとなる。

 

「まったく、派手にやったな‥‥あとで山本にちゃんと事情を説明しろよ」

 

 そこへトチローがやってきた。

 格納庫の壁にはパルスレーザーで空いた銃痕が出来た。

 トチローはバラバラになった侵入者の近くにより、侵入者の正体を探る。

 

「ロボットか‥‥」

 

 侵入者は人間ではなくロボットだった。

 

「関節部の組み換えで、骨格と身長は自由自在‥‥表面はただの軟質ゴムだが、ホログラムを薄く纏って誰にでも化けられるってわけだ‥‥」

 

 バラバラになった侵入者‥‥もとい、変装ロボは、この後ヤマトの技術班の手によって回収され、徹底的な技術調査が行われた。

 

 ヤマトにて変装ロボが倒された頃、デザリアム星では‥‥

 

 

「聖総統閣下、サーダ様‥‥D3号との交信が途絶え、シグナルもロストしました。どうやら、破壊されたもようでございます」

 

 側近の一人が聖総統とサーダにヤマトに侵入させた変装ロボが破壊されたことを報告する。

 

「失敗か‥‥まぁよい‥‥」

 

「そう上手くはいかないものですわね‥‥」

 

 作戦が失敗したにもかかわらず、聖総統とサーダはそこまで落胆した様子も憤怒する様子もなかった。

 

「だが、ヤマトの内部データも十分に取れた‥‥ヤマトを捕獲できなかったのは惜しまれるがな‥‥」

 

「ともかく、まだ打つ手は無数にあります。とりあえずは、サーグラスにでも相手をさせておきましょう」

 

 サーダは地球艦隊の相手をサーグラスに任せることにした。

 前回の褐色矮星での作戦時、サーダはサーグラスにグロータスの仇討ちを解禁していた。

 これで地球艦隊を撃滅できればそれはそれで良い。

 

「それにしても、危険なのは、あの波動エンジンと波動砲‥‥ゴルバ級のα砲だけでは太刀打ちできますまい‥‥」

 

 現在、暗黒星団帝国で一番の威力を持つ、α砲も波動砲と比べるとやはり、見劣りする。

 ゴルバ級の装甲や偏向型バリアで防げても攻撃力が勝っていなければ、敵には勝てない。

 

「よし‥‥一刻も早く、β砲の完成を急がなければな‥‥」

 

 暗黒星団帝国も手をこまねいているわけではなかった。

 既にα砲の威力を超えるβ砲の設計を行っていた。

 そして、そのβ砲を搭載する戦艦と戦うのはもう少し先になってからの事だった。

 

 一方、ヤマトでは、まほろば、春藍と連絡がつき、僚艦が戻ってきた。

 リニスをはじめとする、まほろば の医療班と春藍の医療班がヤマトにやってきて、昏睡していた乗員の手当てを行う。

 

「しかし、まいりましたよ‥‥パラライザーで撃つなら、もっと出力を下げてくださいよね‥‥まだあちこち痺れていますよ」

 

 意識を取り戻した南部が愚痴る。

 

「ほーれすよ。まら、ひたがひびれてうまくひゃべれないんれすから‥‥」

 

 徳川が何やら聞き取れない言語を喋っている。

 

「ん?太助のヤツ、何て言っているんです?」

 

 太田には徳川が何を言っているのか分からなかった。

 

「『まだ舌が痺れてうまく喋れない』‥だそうです‥‥まったく、もう‥‥おい、徳川。一緒に撃たれたワシは全然大丈夫だぞ。だいたい、お前は鍛え方がなっとらんのだ」

 

「ひょ、ひょんなぁ~」

 

 山崎はもうどこダメージも後遺症もなく、ピンピンしている。

 

「でも、敵の目的は一体何だったんだろう‥‥?」

 

 島はあの時変装ロボの目的が未だに分からなかった。

 いや、島だけでなく、あの騒動を体験した皆がそれを思ったに違いない。

 犯人であるあのロボットは壊れてしまったので、目的は永遠の謎だ。

 

「ああ‥‥考えてみたんだが、敵はこのヤマト自体が欲しかったんじゃないだろうか?」

 

 古代は敵の目的はヤマトの拿捕にあったのではないかと推測した。

 

「ヤマトの波動砲は敵から見れば、致命的な武器であるわけだしな‥‥それに、俺たち乗組員を生きたまま捕虜にできれば、地球での反乱を簡単に沈めることが出来る‥‥」

 

「確かに古代君の言う通り、ガスで乗員全員を昏睡させ、操り、敵の本星、または地球に引き返させることも出来ただろうしね」

 

「なるほど‥‥我々は地球に居る人にとっては、唯一残された希望なわけだからな‥‥」

 

「なんて奴らだ‥‥でも、とにかく、パルスレーザーで撃たれただけで済んでよかったですけどね」

 

「お前らんぞ、まだマシじゃい。ワシなんぞ、あの化け物に殴られてえらい怪我しちまったんだ。見ろ、この包帯を‥‥」

 

 佐渡は頭に包帯を巻いていた。

 良馬も今は肩に包帯を巻いている。

 

「イヤイヤ。ワタシナド、一度壊サレテイタンデスヨ!!」

 

 確かにアナライザーは生存者の中では一番の被害者であるが、今回の騒動で技術班の乗員一人が敵の手にかかって死んでいる。

 

 敵の本星を目指す旅はまだまだ続くことになる。

 その過程で命を落とす乗員も必ず居るだろう。

 しかし、それでも地球艦隊は行かなければならない‥‥

 故郷を救うために‥‥

 地球で待つ大勢の人々のために‥‥

 




祝2202の続編制作決定!!

旧作通り、暗黒星団帝国なのか?それともボラー連邦か、はたまたリメイク版オリジナル勢力か‥‥?

いずれにしても楽しみですね。

ですが、その前にまずは2202の全話を見ないと‥‥
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