星の海へ   作:ステルス兄貴

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映画にてサーシアがデザリアム星の機械を知っていたかのように扱っていたり、銃を入手していたりしていましたが、どこでそんな情報を手に入れ、銃を入手したのか、謎でしたが、この世界ではオレンジ‥ジェレミア‥もとい、スカさんから情報と銃を得た設定としました。

サーシアとスカさんのコンビ‥ちょっと好きです。



百十九話 行動開始

 

 

 

 

200年後の地球とされる暗黒星団帝国本星から自分たちの知る地球へ帰還することを決めた地球艦隊。

 

サーシアを残しての出航は心苦しいが、守も古代もサーシア一人よりも地球にいる大勢の人々を選んだのだ。

 

しかし、暗黒星団帝国も地球艦隊をやすやすと地球に還す訳もなく、追っ手を差し向けた。

 

それは、地球艦隊‥‥ヤマトに親友や大勢の同胞の敵討ちの執念を燃やしているサーグラスだった。

 

地球艦隊にサーグラス率いる新鋭艦隊が迫っている中、200年後の地球とされる星に残ったサーシアは現地にて、ジェレミア・ゴットバルトと名乗る紫色の髪に白衣を着たなんとも胡散臭い男性とロベルと名乗る感情が薄い女性と出会った。

 

そして、ジェレミアはサーシアにこの星の秘密を教えると言ってきた。

 

正直、この男の言うことも100%信用できないが、この広い星を一人で敵に怪しまれずに調査をするなんて無理がある。

 

それもヤマトが近くに居る間に‥‥

 

だからこそ、サーシアはこのジェレミアから話を聞くことにした。

 

「では、教えようこの星の秘密を‥‥」

 

「は、はい」

 

「結論から言うと、この星は君たちの故郷の星‥‥地球ではない。当然、200年後の地球と言う話も嘘だ」

 

「やっぱり‥‥」

 

ジェレミアはこの200年後の地球とされる星は地球でもなければ、200年後の地球でもないことをサーシアに告げる。

 

「この星の外装、宮殿の通路にあった美術品、全ては彼らが地球のデータを基に作った偽物さ」

 

「じゃあ、あの映像も‥‥」

 

「すべては作り物だ」

 

「なんで彼らはそんなモノを‥‥あなたは彼らの目的を知っていますか?」

 

サーシアはスカルダート‥‥暗黒星団帝国の目的をジェレミアは知っているかを訊ねる。

 

地球人類のみをいつでも抹殺することができるハイペロン爆弾を地球に打ち込んでいながら、彼らはその爆弾を起爆させる気配がない。

 

現地で占領軍がパルチザンと派手にドンパチやり合っているのに‥‥

 

パルチザンが目障りならば、ハイペロン爆弾を起爆させれば一気にカタがつく筈だ。

 

一体彼らは何の目的で地球にハイペロン爆弾を打ち込んだのか?

 

あんな兵器を地球へ打ち込むのであるならば、何か目的があるはずだ。

 

「ああ、知っている‥‥」

 

すると、ジェレミアは彼らの目的を知っていると言う。

 

「彼らは一体何の目的があって、地球へハイペロン爆弾を打ち込んだんですか?」

 

「君は確かスカルダート閣下やサーダ君と出会ったね?」

 

「は、はい」

 

「彼らを見てどう思った?」

 

「えっ?」

 

サーシアはジェレミアの言う言葉の意味がよく分からない。

 

確かにスカルダートの第一印象はジェレミア同様、胡散臭い男、サーダの方は妖艶というか怪しい雰囲気がある女で、見た目だけでは地球人と同じ肌の色をしており、雰囲気以外では別に怪しいところはなかった。

 

「まぁ、戸惑うのも無理はない。彼らの外見は君たち地球人とそっくりに見えただろうからね」

 

ジェレミアは当然、サーシアが地球人とイスカンダル人のハーフだなんて分かるわけもないので、彼はサーシアが地球人だと思っていた。

 

そして、ジェレミアの言葉はまるでスカルダートとサーダが人間ではないかの様に聞こえた。

 

「あ、あの‥‥」

 

「なんだい?」

 

「貴方の話から、まるでスカルダートやサーダが人間の様に聞こえないのですが‥‥」

 

サーシアはジェレミアに自分が抱いた疑問を投げかける。

 

「ふむ、彼らはその外見は人間だが、血が通っているのは、頭だけ‥‥身体は機械なんだよ」

 

「えっ!?」

 

ジェレミアから語られた暗黒星団帝国の人々の正体に驚愕するサーシア。

 

「じゃあ、貴方も‥‥」

 

サーシアはジェレミアも頭部のみは生身の体で、あとの身体は機械かと思ったが、

 

「あっ、一つ訂正させてもらうと、私はそもそもこの星の人間ではない。ある目的でここへ連れてこられただけに過ぎない。もっとも、純粋な人間ではないと言う点においては私も彼らとご同類なのかもしれないがね‥‥」

 

「ある目的‥‥それはこの星の人と何か関係が‥‥?それに同類って‥‥?」

 

「それを踏まえて教えよう」

 

ジェレミアはサーシアに自分の事を含めたこの星の秘密を語る。

 

まず、ジェレミアについて‥‥

 

彼は本人が言うように、本来はこの星の人間ではなく、別の星からある目的でこの星に連れてこられたのだと言う。

 

そして、ジェレミアが言ったこの星の人間とご同類と言う意味‥‥

 

それは、元々彼は、ここに連れてこられる前の星にて、ある技術で生み出された人造人間だった。

 

作られた目的は、その星の治安維持組織が法律で禁止している違法行為の研究・開発。

 

そして、彼を生み出したのはその治安維持組織のトップだった‥‥

 

生まれた当初、彼は何の疑問もなく言われたことを行い、自らを生み出した治安維持組織から広域指名手配を受けながらも研究と開発を続けていた。

 

指名手配をしたのがその星の治安維持組織であるのだから、彼は絶対に捕まることはなかった。

 

しかし、長年の研究生活でだんだんと知恵をつけてきた彼は、このまま治安維持組織のスケープゴート生活を続けることに嫌気がさし、自由と独立、そして今まで自分をスケープゴートにしてきた治安維持組織への復讐のため、自身が生み出した戦闘機人と呼ばれる人造人間と発掘した古代の兵器を使い、治安維持組織に対して独立戦争を挑むも敗北した。

 

敗北後、治安維持組織の人間は組織の発展のために自分の知識を貸せと司法取引を持ちかけてきた。

 

彼らの司法取引に対して、配下の戦闘機人たち内、半数以上が治安維持組織からの司法取引に乗ったが、自分と残りの四人の戦闘機人たちは司法取引を受けずに刑務所へと収監された。

 

その後、刑務所に収監されていた自分はミヨーズと呼ばれるこの暗黒星団帝国の大佐に刑務所から連れ出されてこの星に来た。

 

何故、自分がこの暗黒星団帝国に連れてこられたのか?

 

それは自分が元居た星で行っていた研究とこの星の人間の事情に関係していた。

 

自分は主に生物‥クローン培養技術を研究してきた。

 

元居た世界ではクローン研究など、生命・生物に関する研究・開発を法律で禁止していた。

 

しかし、自らを生みだしたその治安維持組織は、その禁止された方法でジェレミアを生み出し、彼をスケープゴートにすることで違法な研究をさせていた。

 

その結果、彼は人造魔導師製造計画「プロジェクトF」なるクローン培養技術の理論を生み出した。

 

そのクローン培養技術に目をつけたのは例の治安維持組織だけでなく、この暗黒星団帝国も同じだった。

 

暗黒星団帝国がジェレミアを収監されていた刑務所から連れ出した理由について、彼はサーシアに伝える。

 

「先程、言ったようにこの星の住人‥‥あのスカルダート閣下を含めて、首から下の身体は機械の身体だ‥‥その理由は、どうもこの星は科学技術、機械文明が発達しすぎて、脳みそさえあれば、あとは強靭な生命体であると結論づけた結果、あの様な機械の身体になったのだよ‥‥」

 

「‥‥」

 

ジェレミアはそう言うと、証拠と言わんばかりにこの星の住人のレントゲン写真をサーシアに見せる。

 

すると、確かに彼の言う通り、首から下の身体の部分には本来の生物にはない機械の部品がふんだんに使用されていた。

 

いくら暗黒星団帝国が宇宙人とは言え、ここまで身体に金属の部品らしきものがあれば、『元々こんな身体で生まれてきました』なんて事は通じない。

 

使われていた機械の部品はそれこそ、戦闘機人以上の数の機械部品が使用されていた。

 

「しかし、いくら優れた頭脳や科学技術・機械文明を持っても、生物として‥‥人として、種を後世に残すことは難しかった‥‥それもそうさね、機械の身体同士では、交配なんてできないからねぇ~」

 

「‥‥」

 

ジェレミアの言う『交配』と言う言葉を聞いて、サーシアは思わず頬を染める。

 

「生物として当然、交配が出来なければ、後世に種を残すことは出来ない」

 

(交配、交配って、女性の前でそんな恥ずかしい単語をおくびもなく連発しないでよ‥‥聞いているこっちが恥ずかしいじゃない!!)

 

この場には自分の他にロベルも居るのであるが、ジェレミアは平然とサーシアに恥ずかしい単語を述べている。

 

まぁ、彼自身が恋愛なんて興味ないし、もしかしたらこれでも彼なりにオブラートに包んだのかもしれない。

 

そうでなければ、『交配』の部分を世間一般で知られている言葉、『セッ○ス』とでも言っていただろう。

 

サーシアは恥ずかしいと思う反面、ロベルの方は、そう言った知識の方は持ち合わせていないためか、何故サーシアが顔を赤らめているのか理解不能と言った感じだった。

 

「だからこそ、彼らは新しい体を欲したのさ‥‥機械の体ではなく、純正の血肉がある身体をね‥‥」

 

「‥‥」

 

「君はここに来るまでの間に、通路にあった培養槽を見ただろう?」

 

「は、はい」

 

「あれは、私が用意したこの星の住人のための新しい身体さ」

 

「新しい身体‥‥あれが‥‥」

 

ジェレミアの言う通り、サーシアはロベルにここまで案内してもらうまでに沢山の培養槽とその中に居た人の姿を見てきた。

 

はじめはコールドスリープ装置か別の星で拉致された人々かと思っていたのだが、ジェレミアの話からどうやら異なるようだ。

 

「そう、あれは私が一から培養して生成したクローン体だ」

 

「それなら、何故暗黒星団帝国は地球を狙ったんですか?貴方が彼らに新しい身体を提供できる筈なのに‥‥?」

 

「ふむ、君の疑問は最もだ‥‥」

 

サーシアの言う通り、ジェレミアの研究‥‥クローン培養技術があれば、この星の住人の問題である種の保存には何ら問題はない筈で地球にわざわざハイペロン爆弾を打ち込む必要なんてない筈だ。

 

「彼らは確かに私にこの星の住人のための新たな身体の生産を頼んできた。しかし、どうもこの星の上級国民はなにかと贅沢でね、クローンなどと言う養殖な身体ではなく、天然物‥‥その星で育った純正の肉体が欲しいみたいでね」

 

「なっ!?」

 

ジェレミアの言葉に思わず絶句するサーシア。

 

知的生命体‥‥人間であれば、獣以上に欲が存在する。

 

それはこの暗黒星団帝国の人間も例外ではないのだろう。

 

しかし、ジェレミアの研究で暗黒星団帝国の問題は既に解決しているにもかかわらず、彼らはそれ以上のモノを求めていた。

 

サーシアにとって、父や叔父の故郷である地球を滅茶苦茶にしなくてもいい筈なのに、新しい身体欲しさに地球を滅茶苦茶にした暗黒星団帝国の行いに怒りが湧いてくる。

 

「さて、これで、君が知りたかったこの星の秘密は終わりだ」

 

ジェレミアの彼自身の出生やこの星に連れてこられた経緯はともかく、この星の秘密については信憑性があった。

 

「っ!?」

 

ここまでジェレミアの話を聞いて、サーシアはあることに気づく。

 

(ちょっと、待って‥‥ここが200年後の地球ではないことであるならば、地球に打ち込まれたハイペロン爆弾を起爆させてもなんら問題はない筈‥‥それにあの映像が作り物なら、ヤマトは地球へ帰れる可能性が十分にある‥いいえ、お父様や叔父様がいるんですもの、絶対に地球へ帰れるわ)

 

(でも、それをスカルダートに知られてはまずい‥‥)

 

(せっかくこの星の秘密を知ることが出来たのに‥‥)

 

(問題は地球に打ち込まれたハイペロン爆弾ね‥‥)

 

サーシアはヤマトを地球へ無事に帰すにはやはり、地球に打ち込まれたハイペロン爆弾がネックであるので、なんとかハイペロン爆弾の起爆装置を破壊しなければならないという結論に至る。

 

「あ、あの‥‥」

 

「なんだい?」

 

「貴方は、地球に打ち込まれたハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法を知っていますか?」

 

サーシアは次いでジェレミアにハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法を知っているかを訊ねた。

 

この星の秘密を知っている人物だ。

 

きっと、ハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法も知っている筈だ。

 

「まぁ、知っていると言えば知っている」

 

やはり、ジェレミアはハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法を知っていた。

 

「では、その方法を教えてください!!」

 

サーシアはジェレミアにハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法を教えてくれと頼む。

 

すると、

 

「まぁ、教えてもいいが、その代わりに条件がある」

 

ジェレミアはハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法に関しては教える代わりにサーシアに条件を提示してきた。

 

「な、なんでしょう‥‥?」

 

サーシアは、ジェレミアが出す条件にやや警戒する。

 

先程の種についての話からまさか、自分と関係を持ちたいなんて条件を打ち出すかもしれない。

 

「君の髪の毛を一本貰いたい‥‥もちろん、毛根がついた状態のモノをね‥‥」

 

「えっ?」

 

てっきり、エッチな条件を出すかと思ったら、ジェレミアは自分の髪の毛が一本欲しいという。

 

それもそれで、変な条件だが、髪の毛一本で、ハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法を知ることが出来るのであれば、十分に安い。

 

ジェレミアはサーシアが、地球人だと思っていたが、マッドサイエンティストとしての勘が継げていたのだ。

 

目の前の娘はただの地球人ではないと‥‥

 

だからこそ、ジェレミアはサーシアのDNA情報を確保したかったのだ。

 

ここまで案内する時にロベルにも頼んだが、DNA情報を得る機会がなかったが、ハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法を教える見返りに堂々と彼女のDNA情報を得る機会を得た。

 

「わ、わかりました」

 

「それともう一つ‥‥」

 

「まだなにか?」

 

「私とロベルをここから連れ出すのを手伝ってほしい」

 

ジェレミアはサーシアの髪の毛の他に自分とロベルをこの星から連れ出してほしいと言う。

 

「えっ?」

 

「君は、命を捨てる覚悟でこの星に残ったみたいだが、こうして私たちと会うことで、君は私たちの協力を得ることが出来た。ならば、無駄にその命を散らす必要もないのではないかい?」

 

「‥‥」

 

ジェレミアの言う通り、彼とロベルの協力があればなんとか出来るだろう。

 

しかし、今更どんな顔をしてヤマトに‥‥父親と叔父の前に出ればいいのだろう?

 

あそこまで叔父に啖呵を切って‥‥

 

「まぁ、二つ目の条件に関しては、この作戦を成功させなければならないがね‥‥現状ではハイペロン爆弾の起爆装置の解除方法はまさに命をかけなければならないからねぇ~‥‥」

 

「それはどういうことですか?」

 

「説明しよう‥‥あの地球に打ち込まれたハイペロン爆弾は、その爆弾の機能と特性から、あの爆弾自体にある起爆装置と、この星にある起爆装置の両方を破壊ないし停止しなければならない二重構造になっている。よって、ハイペロン爆弾自体にある起爆装置を解除しただけでは何の意味もない」

 

「そんなっ!?」

 

「そして、もう一つの方法‥‥それは、この星もろとも破壊するしかない。この星自体を破壊してしまえば、起爆しないかもしれないが‥‥それでも懸念がある」

 

「懸念?」

 

「そうだ‥‥メインの起爆装置が破壊されたことで、サブであるハイペロン爆弾の起爆装置が働かないか‥‥だ‥‥」

 

「‥‥」

 

「この星を破壊せずに起爆装置だけを破壊してもこの星の住人がいれば、すぐに修理されてしまうので、意味がない‥‥ならば、この星の住人もとろも起爆装置を破壊するしかない」

 

「で、でも、この星を破壊すると言っても方法が‥‥」

 

「それならば、君が乗ってきたあのヤマトとか言う艦‥‥あの艦に搭載されている戦略砲をもってすれば、何とかなるだろう」

 

「戦略砲‥‥?ああ、波動砲のことね」

 

「あれは、波動砲と言うのかい?‥‥まぁ、今は名前なんてどうでもいい‥‥この星の外部装甲はその波動砲をもってしても決定的なダメージを与えることは不可能だが、内部の人口中心都市へ打ち込めば、簡単にこの星は自己崩壊する‥‥どうもこの星のエネルギーは、君たちの使用しているエネルギーと相性が悪いようだからね」

 

(波動融合反応のことね‥‥)

 

あのゴルバとの戦いで、真田が提唱した説はやはり正しく、それはこの星も例外なく波動融合反応が起きるようだ。

 

地球人の肉体を欲しがる事、以外にも暗黒星団帝国が地球を恐れる理由が波動砲なのだろう。

 

だからこそ、暗黒星団帝国は地球へとやって来たのだ。

 

「でも、この星の外部装甲は波動砲でも破壊できないのでしょう?どうやってヤマトをこの星の内部へ?」

 

「先程言ったが、今、この星の外見は君たちを騙すため、地球そっくりのコーティングをしているが、その実はスカスカの空洞惑星になっている」

 

ジェレミアはモニターにこの星の本当の姿を映し出してサーシアに教える。

 

「そして、南極と北極に大きな出入り口が存在している。まず、南極の入口を開けてヤマトを侵入させる。我々はその間にこの星にあるハイペロン爆弾の起爆装置を破壊して時間を稼ぎ、都市を脱出、ヤマトが中心部に来た時、ヤマトに避難、その後、波動砲を討ち、都市部を破壊、北極の出入り口から脱出するプランだ」

 

ジェレミアがこの星の破壊と脱出のプランをサーシアに伝える。

 

かなりリスクのあるプランであるが、元々命をかける気概でこの星に残ったのだから、それも覚悟の内だ。

 

ただ、自分が知りえたこの情報をなんとかして、ヤマトに伝えなければならない。

 

都市を破壊するにはヤマトの波動砲がどうしても不可欠だからである。

 

 

そのヤマトを含む地球艦隊は、地球への帰還行動に入っていたが、背後からは暗黒星団帝国の追手が迫っていた。

 

「急げ!!奴らが追ってきたぞ!!」

 

「応戦しますか?」

 

「いや、ここで時間を無駄に費やすわけにはいかない。振り切れ!!」

 

「了解!!」

 

敵艦隊の追走を受けつつ、地球艦隊はオーロラが輝く暗黒星雲の出入り口を目指す。

 

応戦準備とあんな歴史なんて信じないという決意があるが、やはり不安は隠せない。

 

それに今は一刻も早く地球へ戻らなければならない。

 

連続ワープで振り切りたいところであるが、敵の追走速度が思いのほか早く、ワープの準備をしている暇はなくなった。

 

敵艦隊は地球艦隊の周囲を取り囲むように展開し始めた。

 

典型的な狩猟陣形である。

 

しかも、地球艦隊の前方にも敵影を捕捉した。

 

「前方に敵反応!!」

 

「くそっ、やはり待ち伏せもしていたか!!」

 

「前方、三十宇宙キロに大型艦反応!!これまでにないエネルギー質量‥‥敵の新型戦艦です!!」

 

「応戦準備!」

 

「応戦準備よし!!」

 

地球艦隊は地球を目指すため、前方の艦隊を撃破して追走してくる敵を振り切るつもりだった。

 

 

グロデーズ 艦橋

 

「フハハハハハ‥‥まっていたぞ!!」

 

グロテーズの艦橋にて、サーグラスは、モニターに映るヤマトを見て拳をギュッと握り、不敵な笑みを浮かべる。

 

周りは友軍が地球艦隊を包囲し、前方にはこの新鋭戦艦、グロデーズ。

 

既に地球艦隊は暗黒星団帝国本星の位置を突き止めたため、航跡を気にしての撤退なんて、しなくてもいい。

 

いや、スカルダートはこの戦いを本星にてモニターで見ている筈。

 

敗北は許されないし、サーグラス自身も負ける気はなかったし、絶対の自信があった。

 

「全艦、攻撃準備!!」

 

「全艦、攻撃準備」

 

 

やがて、攻撃準備が整うと‥‥

 

「全艦、攻撃準備完了!!」

 

「攻撃開始!!」

 

「攻撃開始!!」

 

サーグラス艦隊からはもう攻撃が始まり、いくつものビームが地球艦隊へと襲い掛かる。

 

ズガーン!!ズガガーン!!

 

「急速反転!!応戦せよ!!」

 

「了解、急速反転!!」

 

「砲撃開始!!」

 

地球艦隊はサーグラス艦隊に応戦する。

 

しかし、数が多ければ今まで戦ってきた暗黒星団帝国の艦船と異なり、攻撃力も防御力も高い。

 

地球艦隊は次々と被弾していく。

 

「第一砲塔損傷!!」

 

「右舷、ミサイル発射口損傷!!」

 

「艦載機発進口損傷!!」

 

「格納庫で火災発生!!応急班と医療班は至急現場へ急行せよ!!」

 

艦橋には次々と被害報告が入り、各パートのチーフは被害状況と応急処置の指揮でてんてこ舞いとなる。

 

被弾するたびに艦橋でもその衝撃と振動が伝わってくる。

 

「ぐっ‥‥やはり、これが運命なのか‥‥?」

 

「未来は‥‥歴史はやっぱり、変えられないのか‥‥?」

 

「情けない事を言うな!!まだ、我々は死んでないぞ!!」

 

良馬は弱音を吐く者たちを叱咤激励したが、やはり歴史は‥‥運命は‥‥未来は変えられないのだという悲壮感が環境にも漂い始めていた。

 

 

サーグラス艦隊と戦いつつ、新見は違和感を払拭出来ずにいた。

 

(あの地球がもし、200年後の地球だとして、いったいどうやってあの様な専制君主が生まれたの?)

 

(やはり、暗黒星団帝国が地球を占拠したせい?)

 

(でも、何かがおかしい‥‥何かが間違っている‥‥)

 

(妙な違和感がある‥‥)

 

新見の中で何かどう間違っているのか、明確に答えは出せないし、出ないのだが、何かが間違っているのだ。

 

彼女が顎に手を当てた時、

 

(考える人‥‥そうよ!!考える人だわ!!)

 

新見は戦闘中だが、アナライザーがあの宮殿でカメラに収めた映像と まほろば のメインコンピューターに保存されている考える人の画像データを見比べる。

 

すると、あの宮殿にあったロダンの考える人の銅像は左手を顎に当てているが、まほろば のメインコンピューターに保存されている考える人の画像は右手を顎に当てている。

 

「艦長!!」

 

「どうした?副長」

 

「考える人が変なんです!!」

 

「考える人?」

 

「はい。アナライザーが宮殿にあった美術品を撮影した時から妙な違和感があったのですが、今、分かりました!!これを見てください」

 

新見はモニターに宮殿にあった考える人とメインコンピューターに保存されている考える人の画像を映し出す。

 

「見てください、本物は右手を顎に当てているのですが、あの宮殿の銅像は左手を顎に当てているんです。おそらく、贋作を作る際、顎に当てる手を間違えたのでしょう」

 

「それって‥‥」

 

「つまり‥‥」

 

「あの星は200年後の地球なんかじゃないってことよ」

 

新見があの星が200年後の地球ではないと正体を見破った時と同じくして、ヤマトでは、

 

 

ヤマト 艦橋

 

「みんな、聞いてくれ!!相原が持って帰ってきたグラスや土を解析してみたんだが、大変な事がわかったぞ!!」

 

相原があの星から失敬してきたグラスと土を解析した真田が解析結果を持ってきて、みんなにそれを伝える。

 

「なにか特殊な物質で出来ていたんですか?」

 

「それとも、やはりあの星は200年後の地球だったんですか?」

 

「そうじゃない‥‥まず、グラスの表面だが、指紋が検出できなかった‥‥」

 

「指紋?」

 

「そうだ。案内した女がお前たちに渡したようだな‥‥それも素手で‥‥」

 

「えっ?ええ‥‥」

 

アナライザーが録画した映像からもあの時、調査隊のメンバーにグラスを渡した際、サーダは手袋を脱いだ素手の状態で調査隊のメンバーにグラスを渡していた。

 

「奴らが200年後の地球人であるならば、本当ならグラスに指紋がつく筈だ」

 

「しかし、暗黒星団帝国に占領され、それから200年経ったとなると、地球人と暗黒星団帝国の人間との交わりでそう言った人類が生まれるのでは?」

 

「そうだな、その可能性もある‥‥だから、次に俺は土とグラスの鉱物組成を調べてみたのだが‥‥その二つはいずれも解析できんのだ」

 

「どういうことです?」

 

「グラスや土を構成しているのは、地球上‥‥いや、銀河系に存在していない物質なんだ」

 

いくら200年経ち、地球人類と暗黒星団帝国の人間との間に生まれた新人類の特徴として指紋がない人類として生まれたとしても、地球の鉱物そのものが、銀河系に存在しない鉱物組成に変換するなんてありえない。

 

「なっ!?」

 

「!?」

 

「しかも、両方ともヤマトの波動エンジン出力の上昇に合わせ、熱を持って反応し始めた‥‥おそらく、グラスも土も、あの星のすべては、例の波動融合反応物質で出来ているんだ‥‥」

 

「つまり、どういうことなんだ?」

 

「‥‥あの星は200年後の地球ではないし、スカルダートもサーダも地球人類ではないと言うことだ‥‥」

 

「それじゃあ、あの未来の映像は‥‥?あれには古代の顔と声がありましたよ」

 

「そうです‥‥あれは確かに、俺の声と顔でした」

 

「子供だましの作り物だ!!あの宮殿の廊下にあった美術品もな!!‥‥以前、敵のロボットが、ヤマトに侵入した時、直接戦ったのは古代、お前だろう?」

 

「は、はい」

 

「あの時に声紋パターンとお前の顔の画像が取られており、本国‥つまり、あの星へデータを転送したのであれば、納得がいくだろう。そうでなくとも、占領した地球のデータベースを調べれば、お前の顔写真くらい簡単に入手できる」

 

「あのロボット、そんなことを‥‥」

 

「映像も、声も、歴史も‥‥あの星そのものが地球に似せられて作られた偽物だったんだ!!」

 

「じゃあ、ヤマトは‥‥」

 

「‥‥沈まないんだ!!」

 

「では、太陽系の崩壊という話も‥‥すべて‥‥」

 

「奴らの作り話だ」

 

「くそっ、人を騙しやがって!!おかしいと思ったんですよ。ヤマトが沈むなんて‥‥」

 

絶望から一転、希望へと変わる。

 

その時、まほろば から通信が送られ、新見が気づいた考える人の件であの星が200年後の地球ではない可能性が高い事が伝えられると、ヤマトも、まほろば と 春藍に真田の分析結果が伝えられ、あの星が200年後の地球ではない事が証明された。

 

「しかし、何故敵はこんな手の込んだことを‥‥」

 

「敵は我々を恐れているのかもしれない‥‥考えてもみろ‥‥あの星が200年後の地球で、我々が滅びる未来まで知っていたというのならば、敵はどうしてここまで確執に攻撃してくるんだ?」

 

「敵はどうあっても、我々を倒すか拿捕したい‥‥」

 

これまでの敵の攻撃で暗黒星団帝国は、地球艦隊の撃沈はもとより、ヤマトを拿捕したいという思いから、あのロボットを送り込んできた。

 

しかし、ここである問題が生じる。

 

「ちょっと、待ってください!!あの星が200年後の地球ではないとなると‥‥」

 

「そうだ‥‥あのスカルダートとかいう奴が、言ったこともすべて嘘だとすれば‥‥」

 

「地球に打ち込まれた重核子爆弾の話も嘘になる‥‥」

 

「それなら、あの重核子爆弾の起爆装置を破壊することができるかもしれない」

 

「だが、その反面、現状で地球人類を絶滅させても連中にとっては何の影響もなくなる‥‥」

 

「となると、奴らは‥‥」

 

「地球に打ち込んだ重核子爆弾を起爆させるかもしれない‥‥」

 

未だに地球人類が人質になっている事実に直面する。

 

スカルダートは重核子爆弾の解除は不可能だと言うが、彼が言っていることが全て嘘であるならば、爆弾の解除も可能と言うことになる。

 

だが、急いで爆弾の起爆装置を破壊しなければ、スカルダートは重核子爆弾を起爆させて地球人類を絶滅に追い込む可能性も出てきた。

 

「艦長!!」

 

「うむ、これで、ますます敵に背を向けるわけにはいかない」

 

「艦を反転させろ!!急いで敵本星に戻るぞ!!」

 

「了解、コースターン!!目標、敵母星!!」

 

地球艦隊は180度旋回して、地球への帰還コースからもう一度、敵の母星へと戻り始める。

 

「サーシアが残ったのは、あの星が地球ではないことに気づいていたからなんだ‥‥」

 

「でも、それなら、どうしてサーシアはそのことを教えてくれなったのでしょう?」

 

「我々があの時にあの星の秘密について知ろうと知らなかろうと、サーシアはきっとあの星に残っただろう‥‥我々を巻き込まないために‥‥」

 

「‥‥サーシア、待っていろ‥‥すぐに迎えに行くからな」

 

地球艦隊が反転したことで、サーグラスは、

 

「ぬぅ~逃がすか!!ヤマトぉ!!包囲艦隊はこのまま奴らを追撃しろ!!本艦は小ワープにてヤマトの前に立ちふさがる!!このまま奴らを聖総統閣下のお膝元に近づける訳にはいかん!!」

 

「了解」

 

グロデーズは小ワープをして、母星の前‥‥地球艦隊の前に移動する。

 

サーグラスの他に地球艦隊の行動は敵の本星‥デザリアム星でも捕捉していた。

 

「地球艦隊は転進し、そのままこちらに向かっております。聖総統、奴らは我々の芝居に気づいたのでは‥‥?」

 

「‥‥」

 

地球に戻っていったはずの地球艦隊が突然転進して自分たちのところへと戻ってくる。

 

降伏するために戻ってくるような連中でないことは先程、宮殿で出会って分かっている。

 

それに降伏するのであれば、宮殿であの映像を見せた時に降伏している。

 

ならば、何故連中はこの星に戻ってきた?

 

それはこの星が彼らの故郷‥‥地球ではないことに連中が気づいたためではないだろうか?

 

「どうなさいますか?この星系の鉱物祖型が全て奴らの波動砲に脆いと言うことが奴らにバレれば‥‥」

 

「心配は無用だ、サーダ‥‥サーグラスには新兵器、無限β砲搭載艦を与えた‥‥いくら連中の波動砲が強力でも、我が帝国の技術の結晶である無限β砲にはかなうまいて‥‥フフフフ‥‥」

 

スカルダートにとってこの星が偽物だとバレるのはすでに織り込み済みであり、まだ彼には余裕があったのだ。

 

しかし、後々にその余裕が焦りと変わるのはそう時間がかからなかった。

 

 

地球艦隊がスカルダートの策を見破り、敵の母星へと反転し戻ってきたのは、スカルダートの他にジェレミアとサーシアも知ることとなった。

 

「ヤマトが‥‥」

 

「ふむ、どうやら、彼らはスカルダート閣下の策を見破ったみたいだね」

 

サーグラス同様、ヤマトが降伏しに戻ってきたのだとはとても思えず、地球艦隊が戻ってきたのは、この星が200年後の地球ではないことを突き止めたから戻ってきたのだと判断したサーシアとジェレミア。

 

「さて、では迎えも来たようだし、こちらもそろそろ行動を開始しようか?」

 

ジェレミアはデスクから暗黒星団帝国の兵士が使用している拳銃を取り出しサーシアに手渡す。

 

「銃?」

 

「ここから先は、ドンパチ賑やかになるからね。丸腰ではキツイだろう?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

ロベルもサーシア同様、暗黒星団帝国の兵士が使用しているビームライフルを手に持つ。

 

しかし、ジェレミアは丸腰だ。

 

「貴方は武器を持たないんですか?」

 

サーシアはジェレミアに武器は持たないのかと訊ねる。

 

「もともと私は科学者で戦闘能力は皆無だし、銃を撃っても当たるか分からない。下手に撃って、君やロベルを撃ったりしたら、大変だろう?」

 

「そ、そうですね」

 

(それって、足手まとい‥‥お荷物ってことになるんじゃあ‥‥)

 

サーシアは自ら戦力外通告をするジェレミアはこの先の作戦でお荷物になるのではないかと思った。

 

「ご安心を‥‥ドクターにはわたくしが、指一本触れさせません」

 

無表情ながらもロベルからはやる気の様なものを感じた。

 

「では、まず何とかしてヤマトと連絡をつけよう‥‥スカルダート閣下に逆探知をされてはかなわないから、ダミー情報を流す‥‥ただし、そのダミー情報の構築にはちょっと時間がかかるがね‥‥」

 

ジェレミアはまず、この星の現状とハイペロン爆弾の起爆装置についての情報をヤマトに伝えるため、ヤマトとコンタクトを取ろうとするが、スカルダートに通信システムを逆探知されては自分たちの行動がバレてしまう。

 

そうなれば、この星の秘密をヤマトに‥‥父親や叔父たちに伝えることが出来ないし、この星にあるハイペロン爆弾の起爆装置を破壊することが出来ない。

 

その為、ジェレミアはヤマトとコンタクトをとる前に通信システムがスカルダートたちに逆探知出来ないようにダミー情報を構築し始める。

 

これだけ、機械文明が発達した星のコンピューターを欺くわけなのだから、流石のジェレミアでも、ダミー情報の構築には時間もかかるし、そのダミー情報もそう長くは連中を騙すことは出来ないだろう。

 

ジェレミア&サーシア&ロベルたち‥‥

 

そして、ハイペロン爆弾が打ち込まれた地球‥‥

 

すべては時間との勝負となった。

 

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