星の海へ   作:ステルス兄貴

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百二十話 決着

 

 200年後の地球とされる星はやはり、200年後の地球ではなかった。

 

 全ては地球艦隊の乗員たちを騙す暗黒星団帝国の策略だった。

 

 しかし、それを看破した地球艦隊は、地球に打ち込まれたハイペロン爆弾の起爆装置を破壊するため、200年後の地球‥‥いや、暗黒星団帝国の本星へと引き返す。

 

 それを追撃してくる暗黒星団帝国が誇る猛将、サーグラス大将が率いるサーグラス艦隊。

 

 地球艦隊と暗黒星団帝国‥‥今まさに最後の戦いが始まろうとしていた。

 

 敵は前衛に高速の駆逐艦、護衛を突撃させてくる。

 

 そして、周辺のアステロイドには狙撃戦艦を潜ませている。

 

 対する地球艦隊は横一線にならんで、対処する。

 

 まほろば、ヤマトからはコスモタイガーが発進し、アステロイド帯に潜んでいる狙撃戦艦の対処へと当たる。

 

「高速推進ポット点火!!一気に距離を詰めるぞ!!」

 

 狙撃戦艦のピンポイント攻撃が来る前に一気に狙撃戦艦へと接近して屠る。

 

「見えた!!敵、狙撃戦艦だ!!全機、強化ミサイルハッチ開口!!攻撃開始!!」

 

 狙撃戦艦へ一気に距離をつめたコスモタイガー隊は強化ミサイルで狙撃戦艦を攻撃する。

 

 アステロイド帯ごと敵艦隊をふっとばしてやりたいところだが、近くには暗黒星団帝国の本星があり、波動融合反応が気になるので、波動砲は使用できない。

 

 前衛の敵はそれぞれ左右から接近してくる。

 

 中央のヤマトと雪風・改は砲門をそれぞれ左右に向け、左舷側には、まほろば、ファルシオン。

 

 右舷側には、春藍とハルバードが展開して敵を迎え撃つ。

 

 前衛を撃破突破すると、次に現れたのは巡洋艦部隊。

 

 更にアステロイド帯にはまたもや狙撃戦艦が控えていた。

 

「くそっ、また狙撃戦艦か!!」

 

「馬鹿の一つ覚えみたいに同じ手を繰り出しやがって!!」 

 

 確かに前衛と中堅‥‥駆逐艦・護衛艦か巡洋艦の違いはあるが、アステロイド帯に狙撃戦艦を控えているのは確かに馬鹿の一つ覚えっぽい戦略配置である。

 

(確かに馬鹿の一つ覚えだが、敵がこんな作戦をとるだろうか?)

 

(それに、気になるのは一番後方に控えているあの戦艦‥‥)

 

「通信長」

 

「はい」

 

「ヤマトと春藍に打電。進撃ペースを落とすように伝えてくれ」

 

「は、はい。でも、どうしてですか?」

 

「あの一番後ろに居る戦艦の存在が気がかりなんだ‥‥」

 

 ガトランティスとの土星圏で繰り広げた攻防戦‥‥

 

 あの時もガトランティスの艦隊旗艦はこれまで戦ってきたガトランティス艦艇と異なる形状をしていた。

 

 そして、その艦はワープによって絶対回避不可能である転移砲を使い、地球艦隊を大いに苦しめた。

 

 あの艦もこれまで戦ってきた暗黒星団帝国の艦艇とは異なり、プレアデス級よりもデカい。

 

 それに艦隊の他の艦がこうして地球艦隊と戦っている間、沈黙を保ち続けている。

 

 その巨体だけで存在感を遺憾なく発揮しているが、旗艦がただの置物ってことはない。

 

 あの艦もガトランティスの火炎直撃砲搭載艦の様になにか切り札である兵器を持っている筈だ。

 

 良馬の予想は当たっており、

 

 

グロデーズ 艦橋

 

「敵艦隊、前衛を突破し、第二ラインへと接近!!」

 

「よし、無限β砲、発射用意!!」

 

「無限β砲、発射準備!!」

 

 サーグラスがグロデーズの切り札でもある無限β砲の発射命令を下す。

 

 すると、艦首の装甲板の一部が開き、その中からは、二つの巨大な大砲が姿を現す。

 

「エネルギーチャージ完了!!」

 

「フフフ‥‥ヤマトめ、見るがいい‥‥これが我が帝国が誇る無限β砲の威力だ!!無限β砲発射!!」

 

 グロデーズの艦首の大砲からはオレンジ色の高出力のエネルギー砲が発射された。

 

 

「なんだ!?あの兵器は!?」

 

「それになんて威力だ‥‥」

 

「おそらく波動砲と同じ粒子砲だ‥‥エネルギー組成は我々の波動砲とは異なるようだが‥‥しかし、威力に関しては波動砲と同等かそれ以上の威力なのかもしれない‥‥」

 

「あと少し進んでいたら、ヤバかった‥‥」

 

 地球艦隊は無限β砲の射程ギリギリの圏外に居たので、くらうことはなかったが、グロデーズ周辺のアステロイドは完全に消滅しており、その威力は波動砲と同じがそれ以上の威力があることを物語っていた。

 

「やっぱり、切り札を持っていたか‥‥」

 

 以前、ゴルバと同じα砲を搭載した砲艦の様な艦が居たが、どうやらあの砲艦はあの大型戦艦の建造のための実験艦だったのだろう。

 

 

グロデーズ 艦橋

 

「ヤマトはどうした!?」

 

「‥‥健在です」

 

「なにっ!?どういうことだ!?」

 

「敵は無限β砲着弾前に速度を落としていたようです。そのため、ヤマトはギリギリで無限β砲の射程外に居た模様です」

 

「くぅ~‥‥あと少しだったものを‥‥」

 

 サーグラスは歯をギリギリと噛みしめて悔しがる。

 

「無限β砲、次弾発射準備!!」

 

「はっ、無限β砲エネルギーの再充填を開始します!!」

 

 グロデーズは無限β砲を再度撃つための準備に取り掛かる。

 

 

「ほぉ~まさか、あの新造艦の切り札がこれ程の威力とはねぇ~‥‥」

 

「‥‥」

 

 暗黒星団帝国本星の近海で地球艦隊とサーグラス艦隊がドンパチしている中、ジェレミアとサーシアは、ロベルが運転するエアーカーで地表よりも奥深くを目指していた。

 

 もし、地球艦隊の流れ弾がこの星に命中すれば、波動融合反応でこの星の表面を覆っている地球に見せかけているシートが燃えるからだ。

 

 スカルダートやサーダもこの戦いが始まってから既に地表にあった宮殿から退避している。

 

 ジェレミアとサーシアは退避の過程で、地球艦隊とサーグラス艦隊との戦いをタブレット端末で見ていた。

 

 ジェレミア自身もまさかグロデーズの無限β砲があれほどの威力があるとは予想外だった。

 

「これはもしかして、ヤマトも苦戦するんじゃないかい?」

 

 ジェレミアは、隣の座席に座るサーシアをチラッと見ながら訊ねる。

 

「‥‥大丈夫です‥ヤマトは‥‥お父様と叔父様は勝ちます」

 

 例え相手が強力な粒子砲を装備した戦艦であっても、サーシアはやはり、ヤマトの勝利を信じていた。

 

 ジェレミア自身も口には出さないが、ここはヤマト‥地球艦隊には勝ってもらいたかった。

 

 折角、この星から脱出する機会が来て、なおかつ、それは自分の知る地球よりも科学・技術力が発達した世界‥‥

 

 確かにこの暗黒星団帝国よりは劣るかもしれないが、それでもすべての技術が劣っているとは限らない。

 

 少なくとも管理局よりはあのヤマトが属する地球の科学・技術力は上だろうし、この暗黒星団帝国にはない技術もあるはずだ。

 

 無限の欲望としてはその技術力も見てみたいと言う欲があった。

 

 

「どうします?敵はあの位置からは動いていませんが、かなり厄介ですよ」

 

「くそっ、波動砲が使えたら、あんな奴、吹っ飛ばしてやるのに‥‥」

 

「しかし、あの粒子砲もかなりのエネルギーを消費するはずだ。あの粒子砲も連射は出来ないはずだ。奴がエネルギーを充填中に懐深く入り込んで仕留めるしかない」

 

 火炎直撃砲と異なり、水蒸気爆発を狙って敵の砲を破壊することは出来ない。

 

 しかし、火炎直撃砲や波動砲と同じように一発撃った後、次の発射までエネルギーを充填しなくてはならない。

 

 敵があの場から動いていないのは、砲撃とエネルギーの充填を優先しているのだろう。

 

 だが、あの戦艦以外にもまだ敵の艦船が存在している。

 

「相原、まほろばの月村艦長と春藍の山南艦長に通信を繋いでくれ」

 

「はい」

 

 守は良馬と山南に通信を繋ぐ。

 

「山南艦長、月村。ヤマトはこれより敵旗艦の撃滅に向かいます。敵旗艦撃破までの間、援護をお願いします」

 

「うむ、承知した」

 

「了解です」

 

 ヤマトはグロデーズの撃破を目指し、グロデーズが無限β砲のエネルギーを充填している最中に、肉薄するためバーニアを吹かしてグロデーズを目指していく。

 

 雪風・改は、まほろば と行動を共にし、サーグラス艦隊の相手をする。

 

 

グロデーズ 艦橋

 

「ヤマト接近してきます!!」

 

「フハハハハハ‥‥これは飛んで火にいる何とやらだな‥‥無限β砲、次弾発射準備急げ!!」

 

「はっ!!」

 

 

ヤマト 第一艦橋

 

「超高密度のエネルギー反応!!敵の粒子砲、来ますっ!!」

 

 グロデーズの無限β砲の発射準備はヤマトでも観測できた。

 

「島っ!!全速回避だっ!!」

 

「了解!!」

 

 島は操舵桿を右に思いっきり切る。

 

 すると、グロデーズから無限β砲が発射される。

 

 グロデーズから発射された無限β砲はヤマトの艦尾を掠めた。

 

「か、回避‥成功‥‥」

 

「今のは、なんとか避けられたが、この状態ではジリ貧になるかもしれない!!早めにカタをつけなければ、いずれは命中するかもしれないぞ!!」

 

 プレアデス級を上回る大きさの新型艦であるが、当然プレアデス級にも採用されていた偏向型バリアを張っている筈だ。

 

 故にショックカノンの様な光学兵器は役に立たない。

 

 ダメージを与えられるのは、ミサイル、魚雷、砲弾による実弾攻撃だけだ。

 

 ヤマトはミサイルと砲弾による実弾でグロデーズを攻撃する。

 

しかし‥‥

 

「敵反応、変化なし!!‥‥なんてこった!!」

 

「ダメージを‥‥与えていないのか!?」

 

 プレアデス級ならば、これで少なからずダメージを与えられていた。

 しかし、グロデーズは全くの無傷だった。

 

「そのようです!!‥‥なんて分厚い装甲なんだ‥‥!!」

 

「くっ、人が作ったモノであるならば、必ずどこかに弱点はあるはずだ!!」

 

 このまま止まったら、無限β砲の餌食になるので、ヤマトはグロデーズの周辺を旋回しながら、実弾攻撃を繰り返す。

 

「真田さん、波動カートリッジ弾なら敵に決定的なダメージを与えられるんじゃないんですか!?」

 

 波動砲は無理でも波動エネルギーを仕込んだ波動カートリッジ弾ならば、あの分厚い装甲でも突き破り破壊することが出来るかもしれなかった。

 

だが、

 

「波動カートリッジ弾はもうない‥‥」

 

「えっ?」

 

「波動カートリッジ弾は試作品だったから、大量には作っていなかった‥‥まほろば や春藍にも分けたからな‥‥」

 

 この事態を突破することの出来るかもしれない波動カートリッジ弾は既に弾切れだった。

 

 その間にもグロデーズは無限β砲のエネルギーチャージをしつつ、スラスターを吹かしながら回頭してヤマトを無限β砲で仕留めようとする。

 

 ヤマトは必死に旋回してグロデーズの正面に追い付かれないようにする。

 

 あれだけ分厚い装甲ではコスモタイガーの強化対艦ミサイルでも、致命傷を当たられるかも怪しい。

 

 グロデーズはその巨体故か旋回する動きもヤマトよりも遅かった。

 

 ヤマトとグロデーズが戦っている頃、まほろば と 春藍はグロデーズ以外のサーグラス艦隊と交戦していた。

 

 サーグラス自身がヤマトに対して執着していたので、他の艦艇と交戦している まほろば と 春藍に対して無限β砲を撃ちこんでくることはなかった。

 

 交戦中の まほろば と 春藍に対して無限β砲を撃てば、味方の艦も巻き添えにしてしまう。

 

 部下を大切にしているサーグラスは味方殺しまではしなかった

 まほろば と 春藍の前には空母が二隻、護衛艦が四隻の機動部隊。

 

 空母なので、当然相手は艦載機を展開していた。

 

 対艦戦を意識していた為か戦闘機の姿はなく、どれも爆撃機のみを展開している。

 

 まほろば と 春藍は、爆撃機の攻撃を受けながらもまずは、爆撃機の大元である空母へ攻撃をかける。

 

 とはいえ、対空のパルスレーザー砲を連射しながら、敵爆撃機への攻撃と牽制は忘れない。

 

(ヤマトがあのデカブツを相手にしているが、早くこいつ等を片付けて援護に行きたいところだが、敵も死に物狂いで戦っているから、手こずるな‥‥)

 

「砲雷長、空母は船体ではなく、なるべく飛行甲板を狙え」

 

「飛行甲板ですか?」

 

「そうだ。甲板には爆撃機が居る‥‥そいつらに当てて誘爆を誘う」

 

「分かりました」

 

 フェリシアは目を凝らして照準器を睨みながら、砲撃地点を敵空母の飛行甲板へと定める。

 

 そして照準がロックされると、

 

「発射!!」

 

 フェリシアは主砲の発射ボタンを押す。

 

 すると、まほろばの第二主砲が火を吹き、敵空母の飛行甲板めがけてショックカノンが勢いよく向かって行く。

 

 敵空母では、新たに爆撃機の発艦作業中だった為、まほろばから放たれたショックカノンが飛行甲板に命中した際は大惨事となった。

 

 飛行甲板にて発進準備をしていた爆撃機は、ショックカノンが命中し爆発。

 

 爆撃機に搭載されていたミサイルや爆弾、燃料に引火して大爆発を起こす。

 

 衝撃と爆風の影響で、飛行甲板で作業中だった作業員は宇宙空間へと投げ飛ばされる。

 

 爆撃機の爆発と引火はたちまち空母全体へと回り、たちまち火だるまとなり、空母は轟沈する。

 

 空母の護衛をしていた護衛艦も空母の近くに居た為、空母の爆発の巻き添えになる。

 

 残った空母も、まほろば と 春藍の集中砲火を受け、轟沈した。

 

 こうして、グロデーズを除くサーグラス艦隊は壊滅した。

 

「敵反応、一隻ヲ除イテ、スベテ消滅シマシタ」

 

 サーシアの代わりにレーダー手の任務に就いているアナライザーがサーグラス艦隊の壊滅を報告する。

 

「あと一隻‥‥あの化け物艦だけか‥‥」

 

 島は操舵桿を握りながらグロデーズを睨む。

 

「でも、どうします!?敵の装甲の厚さはケタ違いです!!エネルギー弾も実弾だって、貫通しませんよ!!」

 

 ヤマトが無限β砲を回避しながらもグロデーズに攻撃を仕掛けてきたが、グロデーズの分厚い装甲の前に、グロデーズはかすり傷一つ負っていない。

 

 地球艦隊全部の一斉攻撃を仕掛けても傷をつけられるか分からない。

 

 もっとも波動カートリッジ弾があれば話は別だったが、既に全艦、波動カートリッジ弾は打ち尽くしていた。

 

 自軍の艦隊の壊滅はサーグラスも知ることとなる。

 

「味方艦すべて撃破されました!!残っているのは本艦だけです!!」

 

「くぅ~忌々しい奴らめ‥‥何としてでも彼奴等を撃破し、亡き戦友たちの無念を晴らすのだ!!」

 

 サーグラスは無限β砲の威力から、命中さえすれば、ヤマトも地球艦隊も簡単に撃破できると考えていた。

 

 それに、これまでのヤマトの攻撃を受けてもびくともしなかったこのグロデーズの装甲にも自信があった。

 

 長期戦にもちこめば自分たちに分があると‥‥

 

そこへ、

 

「サーグラス司令、本星より電文です」

 

「むっ?」

 

 そこへ、暗黒星団帝国本星から通信文が送られてきた。

 

 サーグラスが電文に目を通すと、サーグラス艦隊の壊滅は本星も確認していた。

 

 その為、第二陣を送り込むまで、グロデーズは本星の援護へと回れと言う内容だった。

 

 ここで地球艦隊との決着をつけたいところではあるが、敵はヤマト一隻ではない。

 

 自分たちがヤマトを相手にしている間に他の地球艦が本星へと向かってしまうかもしれない。

 

 ここは援軍が来るまでグロデーズ自らが本星の盾となり、地球艦隊に睨みを利かせなければならなかった。

 

「転進、回頭。本艦は本星の護衛に回る」

 

「了解」

 

 グロデーズは一時戦線から後退した。

 

 グロデーズの後退は当然、ヤマトでも探知できた。

 

「うーん‥‥敵戦艦は母星の援護に回ったか‥‥艦長、エネルギー充填の時間が十分あります。この隙に最大出力の波動砲で一気に撃滅しましょう」

 

 真田がグロデーズの行動を見て、一気に波動砲でカタをつけようと提案する。

 

「しかし、真田さん‥‥波動融合反応のことがあります。サーシアのいる敵本星への影響は?」

 

 古代はもし、波動融合反応の影響でサーシアがまだいる敵本星が波動融合反応の影響で誘爆しないかを危惧する。

 

「どうなんだ?真田」

 

 守もやはり、娘のことが心配なので、真田に波動融合反応の影響はないかを訊ねる。

 

「敵本星まではまだ距離がある‥‥射軸を外しさえすれば、サーシアのいる敵本星には影響はないと思われます‥‥」

 

 グロデーズと敵本星との距離から真田は影響ないと判断する。

 

「よし‥‥波動砲、発射準備だ!!波動砲への回路を開け!!」

 

 真田の見解を聞いて守は波動砲の発射準備を命じる。

 

 このままグロデーズを敵本星に近づけては波動砲での撃滅がより困難になるし、敵の援軍がくればそれはそれで厄介だ。

 

 であるならば、グロデーズを撃破できるのはこのチャンスしかない。

 

「はいっ!!波動砲への回路を開きます!!総員、対ショック、対閃光準備!!」

 

「波動エンジン出力上昇‥‥波動砲へバイパス接続‥‥!!」

 

 ヤマトで波動砲の発射準備が進められ、通信長の相原は、まほろば と 春藍に波動砲の発射をする旨を伝える。

 

「艦長、ヤマトが波動砲を撃つようです」

 

 ギンガが相原からの通信を受け、それを良馬に伝える。

 

「波動砲をっ!?」

 

「大丈夫なんでしょうか?波動融合反応の影響は‥‥」

 

「通信長、その点はどうなんだ?」

 

「ヤマトの真田副長の話では、敵艦と敵本星の距離から波動砲を撃っても敵本星に波動融合反応の問題はないそうです」

 

「そうか‥‥では、こちらも対閃光防御。ヤマトの波動砲の閃光で目が潰れるぞ」

 

 まほろばの艦橋員たちは閃光防止ゴーグルをかける。

 

 

「ターゲットスコープ、オープン!!」

 

 古代の座席に波動砲の反射式照準器と発射トリガーが飛び出す。

 

「電影クロスゲージ、明度20!目標、前方敵戦艦!!距離5000!」

 

 ヤマトが波動砲の発射準備をしているのはグロデーズからも確認できた。

 

「サーグラス司令!!ヤマトが!!」

 

「むっ!?」

 

 ヤマトは艦首をこちらに向けており、その艦首にある波動砲の発射口が青白い光が集まり始めている。

 

「波動砲とやらで、一気にカタをつけようという魂胆だろうが‥‥そうはいかんぞ!!貴様らの波動砲‥‥そして、我々の無限β砲‥‥!!どちらが勝つか、これで雌雄を決しようではないか!!無限β砲、発射準備!!」

 

「はっ、無限β砲発射準備!!」

 

 グロデーズも後退する足を止めて、ヤマトに無限β砲の発射口を向け、エネルギーを充填する。

 

 

「古代さん!!敵巨大戦艦に高エネルギー反応!!例の粒子砲のチャージを始めたと思われます!!」

 

「‥‥!!やる気か‥‥!!」

 

 ヤマトが波動砲の発射準備を進めているのをグロデーズが確認したのと同じように、ヤマトの方もグロデーズが無限β砲の発射準備を行っているのを確認した。

 

「シアーロック開放!!内圧限界へ!!‥‥カウントダウン開始!!10‥‥9‥‥8‥‥7‥‥」

 

 南部がカウントダウンを始める。

 

 一方、グロデーズも無限β砲の発射はカウントダウン段階へとなり、砲術員がカウントダウンをする。

 

「6‥‥5‥‥4‥‥」

 

「3‥‥2‥‥」

 

 ヤマトの艦首の波動砲発射口には青白い光が、グロデーズの無限β砲の発射口には二つのオレンジ色の光りが集まる。

 

「艦首、波動砲‥‥」

 

「無限β砲‥‥」

 

「「発射!!」」

 

 ヤマトの波動砲とグロデーズの無限β砲が同じタイミングで発射される。

 

 最大出力の波動砲の発射で猛烈な反動のショックが艦橋を揺さぶる。

 

 ヤマトから唸りを上げた波動砲の光の束とグロデーズから放たれたオレンジ色の光の束がぶつかり合う。

 

 しかし、元々暗黒星団帝国の鉱物組成が波動エネルギーと相性が悪いことから、ヤマトの波動砲はグロデーズの無限β砲を撃ち破り、グロデーズへと迫る。

 

「司令!!敵の波動砲が!!」

 

「か、回避!!」

 

「だ、ダメです!!間に合いません!!」

 

 サーグラスたちに波動砲の青白い光が迫ってくる。

 

 回避が間に合わないと分かっていても、グロデーズは左舷のスラスターを吹かして、波動砲の回避を試みる。

 

 しかし、回避が間に合わない事実は変わりなく、ヤマトの波動砲はグロデーズの左舷の船体をえぐるかの様に命中する。

 

「ぐわぁぁぁぁー!!」

 

 グロデーズは誘爆を繰り返しながら、暗黒星団帝国の本星へと墜落していく。

 

 コントロールが既に効かないグロデーズは針路を変えることなく、暗黒星団帝国の本星へと墜ちていく。

 

「あっ!!」

 

「敵戦艦が!!」

 

 全員が思わず息をのんだ。

 

 一瞬の間をおいて暗黒星団帝国の本星が大爆発を起こす。

 

 地表にある地球を模した超近代都市は次々と爆発と火災の誘爆に巻き込まれ、積み木を崩すかの様に倒壊していく。

 

 海の水もあっという間に蒸発して無くなっていく‥‥

 

 空には稲妻が走り、それはまるでこの世の終わり‥‥地球の終わりの様な光景が広がっている。

 

 暗黒星団帝国の地下にある本当の都市部へと向かっていたサーシアはその光景をタブレット端末越しに見て思わずゾッとした。

 

 しかし、地表の都市には誰も居ない無人の世界‥‥

 

 人的被害は無かった。

 

「ほぉ~まさか、あのサーグラス閣下までもが破れるとはねぇ~‥‥」

 

(あの無限β砲とやらは、この帝国の最先端技術で作られたはずの兵器だった‥‥それさえも、ヤマトは破った‥‥やはり、あのヤマト‥‥地球の技術は興味ある‥‥ぜひともこの世界の地球を見てみたい‥‥)

 

 ジェレミアはサーグラスとヤマトの交戦を見て、ますますヤマトの故郷である地球へと行きたくなった。

 

「まぁ、ここまでは君の予想通りの展開となった‥‥あとはヤマトに私が教えた情報を伝えてくれたまえ‥‥顔を知らぬ私が話すよりは、向こうも信じてくれるだろう?」

 

「はい」

 

 サーシアにとってもここからが正念場であった。

 

 

 暗黒星団帝国本星の表面の崩壊はとどまることを知らず、まるで新聞紙に火をつけたかの様に広がっていき、星全体が炎に包まれた。

 

 ヤマトの乗員はもちろん、地球艦隊の誰もがその光景を啞然とした表情で見ていた。

 いや、見ているだけしかできなかった。

 

 誘爆を繰り返しながら崩壊を続けているあの星の崩壊を停める術はない。

 

「敵の本星が‥‥」

 

 真田もまさか自分の予想よりも波動融合反応の影響がここまで大きいとは予測できなかった。

 

「ま、まさか、こんなことになるなんて‥‥波動融合反応がこれほどの威力があるなんて‥‥」

 

 真田は自分の判断ミスに思わず頭を抱え込む。

 

 だが、今になってもそれは全て手遅れだった。

 

「‥‥」

 

 守も唖然として崩壊していく暗黒星団帝国の本星の様子を見ている。

 

 暗黒星団帝国の本星が崩壊していったのだから、地球は救われたのだと言う実感が全く沸かない。

 

 あの様子ではとてもじゃないが、生きている人間なんて居るはずがない。

 

 当然、あの星に残ったサーシアもあの爆発と崩壊に巻き込まれて落命してしまっただろう‥‥

 

「あの星にはサーシアが‥‥サーシアが‥‥」

 

 古代の脳裏に最後にあったサーシアの姿と言葉が蘇る。

 

 こんなことならば、例え嫌われてもいい‥‥罵られてもいい‥‥

 

 サーシアを強引にあの星から連れ出すべきだった。

 

 あの星が200年後の地球ではないことは相原が持ち帰ってグラスと土から分かる事実だったのだから‥‥

 

 誰もが唖然としながらもサーシアの死を覚悟している中、まほろば の医務室でリニスと共に暗黒星団帝国の本星が崩壊していく様子を見ていたユリーシャは、

 

「‥‥生きている」

 

 ポツリと呟く。

 

「えっ?」

 

 原田は、ドキッとした様子でユリーシャを見て、

 

「だ、誰が生きているの?ユリーシャちゃん」

 

 リニスがユリーシャに、さきほどユリーシャが言った言葉の意味を訊ねる。

 

「姉さま‥‥」

 

「えっ?姉さん?」

 

「ユリーシャさんの姉さんって‥‥でも‥‥」

 

 原田が崩壊していく暗黒星団帝国の本星が映し出されているモニターを見る。

 

 とても、あの状況で人が生きているなんて信じられない。

 

 でも、ユリーシャはあの状況下でもユリーシャの姉‥‥サーシアは生きていると言う。

 

 ユリーシャの様子から決して現実逃避をしているようには見えない。

 

 元々イスカンダル人には不思議な力がある。

 

 だからこそ、ユリーシャが言っているようにサーシアは生きているのではないだろうか?

 

 ガトランティス戦役の時も、都市帝国をヤマト、まほろば、さつま で、艦砲射撃で攻撃し、崩壊させた時もこれで終わったかと思ったら、中から漆黒の超巨大戦艦、ガトランティスが出てきた。

 

 そうした経緯から、リニスはあれだけ高い技術力を持ち、地球を占領した暗黒星団帝国本星がこうも簡単に崩壊するとは考えにくかった。

 

「ユリーシャちゃんがそう言うからには戦いはまだ続きそうですね‥‥原田さん、引き続き医療体制はこのまま維持してください」

 

「は、はい」

 

 戸惑いながらも原田は薬や包帯などの応急処置に必要な医療品を用意した。

 

 そして、リニスはユリーシャと共にモニターを見た。

 

 リニスが思っていたことは、本当は地球艦隊の誰もが予測していた可能性でもあったのだが、あの星のサーシアが残っていた事と崩壊していく様子から、てっきりサーシアはあの星と運命を共にして、これで地球は救われたのかと思った。

 

 古代が悲しみを押し殺して、崩壊していく暗黒星団帝国本星を見ていると、どういう現象なのか、大爆発の中から苦悶する魔女や醜い顔の老婆の顔のようなモノが浮かんでは消え、やがて、惑星全体が白色の大閃光に包まれた。

 

 その閃光が薄れていくと、暗黒星団帝国本星は地殻の土壌、岩層が吹っ飛び、その残骸の中から異様な形の物体が浮かび上がってきた。

 

 それは、中心部から無数の蜘蛛の巣みたいに巨大なパイプが突き出たメカニックな球体が姿を現した。

 

 

 

 暗黒星団帝国本星の至近距離で地球艦隊と暗黒星団帝国が激しい攻防戦をしている中、その暗黒星団帝国に占領下の地球では‥‥

 

 地球でも暗黒星団帝国の占領軍とパルチザンが激しい攻防戦をしている中、海鳴の月村邸から中嶋家に避難していたフェイトとヴィヴィオは、この戦いが終わったら、忍にバリアジャケットを改良してもらおうと考えていた。

 

 使用する生地も、ヤマトを始めとする地球防衛軍で採用している制服の生地で作ってもらおうとしていた。

 

「それで、ヴィヴィオはどんな感じのバリアジャケットがいいの?」

 

 フェイトはヴィヴィオにどんなデザインのバリアジャケットがいいのかを訊ねる。

 

「うーん‥‥子供の姿の時はなのはママのバリアジャケットと同じで、やっぱり大人モードの時は、カッコイイデザインがいい」

 

「大人モードの時、なのはママと同じバリアジャケットのデザインじゃなくてもいいの?」

 

 フェイトはヴィヴィオに子供の姿の時、なのはと同じバリアジャケットのデザインであるなら、大人の姿の時も別になのはと同じバリアジャケットのデザインでもいいのではないかと聞くと、

 

「大人の姿であのバリアジャケットのデザインはちょっと‥‥なんか、痛い大人に見える」

 

(‥‥なのは‥‥ヴィヴィオに痛い大人と思われているよ‥‥)

 

 知らなかったヴィヴィオの本音に対して、ミッドに居る親友を憐れむフェイト。

 

「じゃ、じゃあ、フェイトママと同じデザインはどうかな?」

 

 次にフェイトは自分のバリアジャケットのデザインはどうかと聞くと、

 

「私の戦闘スタイルはフェイトママと違って、スピード戦じゃないから‥‥」

 

「そ、そっか‥‥」

 

 戦闘スタイルの違いからヴィヴィオはフェイトのバリアジャケットのデザインをやんわり却下した。

 

 そんなヴィヴィオの反応にちょっとシュンとするフェイト。

 

 しかし、ヴィヴィオの本音は‥‥

 

(あんな布の部分が少ない、バリアジャケットのデザインは嫌‥‥なんか変態みたいだし‥‥)

 

 と、なのは以上に辛辣なヴィヴィオであったが、さすがに本人を前にしてそれは言わなかった。

 

 紙に絵を描きながら、あーでもない、こうでもないとバリアジャケットのデザインを考案していると、

 

「二人ともなにやっているんですか?」

 

 そこへ、紅葉がやってきた。

 

「あっ、紅葉おねえちゃん」

 

「実は‥‥」

 

 フェイトが、紅葉に事情を説明する。

 

「なるほど、新しいバリアジャケットのデザインですか‥‥それなら‥‥」

 

 と、紅葉は一旦部屋を出て、戻ってくると、沢山のファッション雑誌やゲーム、漫画・アニメの設定資料集を持ってきた。

 

「これを参考にするといいよ」

 

「こ、この本は?」

 

「ファッション誌は私たち女性陣が買ったやつで、アニメ・漫画の設定資料集は、忍さんや良馬さんが買ったやつです」

 

「へぇ~あの月村艦長が‥‥」

 

 フェイトは良馬の意外な趣味にちょっと驚いた。

 

 忍がゲームやアニメ好きなのは、向こうの海鳴に居た頃から知っていたが、まさか良馬もアニメ好きな一面があったのは意外だったのだ。

 

 ともあれ、フェイトとヴィヴィオは紅葉が持ってきたファッション誌や漫画・アニメの設定資料集を見て、新たなバリアジャケットのデザインを考案するのであった。

 

 もちろん、そこには紅葉の姿もあり、魔導師つながりで、彼女もヴィヴィオとフェイトの新たなバリアジャケットのデザイン作りに協力した。

 

 地球が暗黒星団帝国の占領下と言う状況でもそこには普段と変わらない風景が存在していた。

 

 一見それは現実逃避のようにも見えるが、彼女たちは信じていたのだろう。

 

 宇宙の果てで戦っているヤマトと地球艦隊が暗黒星団帝国に勝利することを‥‥

 

 そして、地球で戦っているパルチザンたちの勝利も‥‥

 




フェイトとヴィヴィオの新たなバリアジャケットのデザインは117話の後書きにてイラストを展示しております。

子供姿のヴィヴィオのバリアジャケットのデザインは、漫画版なのはINNOCENTの第二部三巻でヴィヴィオが着ていたなのはと同じバリアジャケットのデザインをイメージしてください。
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