ハイペロン爆弾がパルチザンの手によって、占拠され、地上における地球占領軍総司令官代理であるアルフォン、憲兵隊司令のメイトリックがパルチザンとの戦いによって、捕虜となる結果に地球の衛星軌道上に展開している占領軍司令部は大混乱となる。
地球に残っている艦隊の主力艦船は護衛艦、駆逐艦などの中、小の最低限の武装艦艇と大型の輸送船のみ‥‥
司令部は護衛艦、駆逐艦でのハイペロン爆弾への艦砲射撃を検討したが、パルチザンは、占領軍の逆襲により、再びハイペロン爆弾が奪還されるのを防ぐために占拠したハイペロン爆弾のバリアを稼働させた。
ハイペロン爆弾のバリアは、かなり強力なもので、襲来当時、防衛軍が迎撃の為に放ったミサイルの軌道を変更させるほどの強力なバリアだった。
中、小艦艇の護衛艦、駆逐艦程度の砲撃能力ではとてもこの強力なバリアを破ることは出来ない。
そもそも、本星の許可なくハイペロン爆弾を攻撃して、起爆させて、地球人類を絶滅させることは現場の軍人たちの勝手な判断ではできない。
反対に、これらの大敗北の結果を本星に知らせるわけにもいかず、占領軍司令部は手詰まり状態だった。
また、地上の占領軍もハイペロン爆弾の占拠、アルフォン、メイトリック両司令官の捕虜の情報により、指揮系統はバラバラとなり、武装解除して投降する占領軍の部隊や兵士たちも続出するが、中には徹底的に抵抗する部隊もあったが、既に戦車も満足になく、抵抗する部隊や兵士たちはボ○太くん部隊の手によって短期間で鎮圧された。
そして、占領軍の手によって、囚われの身となっていた地球連邦大統領をはじめとする地球連邦政府の高官、官僚らも無事に救出された。
大統領は藤堂からハイペロン爆弾の占拠の話を聞いたが、地球に対してその解放宣言はまだ行わなかった。
ハイペロン爆弾の占拠には成功したが、起爆装置はまだ暗黒星団帝国の本星にもう一つある。
その起爆装置が存在している限りは下手に情報を世界に公開するわけにはいかなかった。
またヤマトら地球艦隊の動向がつかめず、暗黒星団帝国の本星の起爆装置の状況がどうなっているのか?
それらの情報を掴むまでは解放宣言を控えたのだ。
ハイペロン爆弾の占拠、指揮官らの捕虜や地上部隊の壊滅‥‥
これらの要素から、軌道上の司令部は地球圏からの撤退を決めた。
しかし、彼らはこのまま地球圏にとどまり、投降すれば、命は助かったのかもしれない。
ハイペロン爆弾の襲来時、太陽系における惑星や衛星にある防衛軍の主だった基地は壊滅したが、まほろば、春藍のように試験航海やパトロールに出ていた艦隊、ヤマトの様に密かに小惑星の基地に滞在してハイペロン爆弾の影響を免れた艦隊も存在していた。
彼らはハイペロン爆弾がある限り、地球への帰還は出来ず、またヤマトの様に敵本星の場所を探知することが出来ずに、シリウス恒星系、プロキオン恒星系に集結し、ジッと地球奪還の機会を伺っていた。
そして、地上におけるパルチザンがハイペロン爆弾の占拠に成功した情報を掴み、地球へと向かった。
地球奪還艦隊の中にはアンドロメダ級戦艦、二番艦のネメシスやパトロール艦の畝傍、渦潮、主力戦艦の薩摩らの姿もあった。
地球を目指している奪還艦隊は地球圏から退避しようとする占領軍司令部の艦隊と遭遇。
両艦隊は戦闘となるが、護衛艦、駆逐艦‥しかも最低限の数しかいなかった占領軍の艦隊は瞬く間に奪還艦隊の餌食となった。
地球にて、事態が好転した時、太陽系から遠く離れた二重銀河にある暗黒星団帝国本星、デザリアム星では‥‥
サーグラス艦隊を破るも、その残骸が地球そっくりな暗黒星団帝国本星に降り注ぎ、星が崩壊していく。
唖然としながら、その光景を見ている地球艦隊の乗員たち‥‥
あの星の残ったサーシアの生存が絶望的だと誰もがそう思った。
しかし、地球の姿にそっくりな星の下から機械で出来た星が出てきた。
「あ、あれは一体なんだ?」
「どういうことなんだ?」
「敵の本星が‥‥」
地球にそっくりな暗黒星団帝国本星が崩壊した光景も衝撃的だったが、その星の下から新たな星らしきものが出現した。
この光景にも唖然とする地球艦隊の乗員たち。
そんな中、真田は冷静に自分の座席に座り新たに出現したあの機械の星の解析を行っていた。
「真田さん、あれは一体‥‥」
古代が真田に訊ねると、ちょうど、解析が終わり、真田があの機械で出来た惑星について説明する。
「あれが敵の本体だ。地表は見かけの都市だったのだ。おそらくあの中心部の核から各パートにエネルギーを伝達しているんだ。あの巨大なパイプも中心部の装甲もこれまでの敵の装甲とことなり、未知の力場でコーティングされた超宇宙金属から成っていて、波動砲をもってしても決定的なダメージを与えることはできない」
「波動砲でさえ、ダメージを与えられないなんて‥‥」
これまでの暗黒星団帝国の艦艇は波動融合反応によって誘爆することがあり、この周辺での戦闘では、その波動融合反応を気にして戦っていた。
しかし、暗黒星団帝国の本星はその波動融合反応を起こすこともなく、波動砲を撃っても無傷であると真田はそのような見解を下す。
暗黒星団帝国の艦船には波動エネルギーが有効な手立てだったのに、その切り札でもある波動砲は相手には効果がない。
艦橋内に重苦しい空気が漂う。
(敵を‥‥暗黒星団帝国を倒さなければ、起爆装置を破壊しなければ地球を救えない‥‥)
(占領軍の手から地球を救うことは出来ないのか‥‥?)
地球艦隊ではパルチザンがハイペロン爆弾を占拠し、更には宇宙へ逃れた占領軍司令部が既に地球の残存艦隊により、殲滅されていることをまだ知らない。
「問題はあの中心部だ‥‥この宙域を包むダイソン球殻状のガスから、あの中心部に向かって、ものすごいエネルギーが流れ込み続けている‥‥十中八九、爆弾の起爆装置を含む、敵の司令中枢は、あそこにあると見ていいだろう‥‥」
敵の司令中枢‥‥爆弾の起爆装置が置かれている箇所が分かってもそこを破壊すことが出来ない。
地球艦隊の中で重苦しい空気が漂う中、そのデザリアム星では‥‥
「ドクター、ダミー情報作成完了」
「よし、ではダミー情報を流してくれ」
「了解です」
「さっ‥‥準備できたよ。ヤマトに現状を伝えてくれたまえ」
「はい」
ロベルとジェレミアがデザリアム星の通信網にダミー情報を流して逆探知を妨害し、その間にサーシアが地球艦隊へ今、自分が置かれている現状とジェレミア立てた作戦を伝えるために通信を送る。
地球艦隊のメインパネルにサーシアの姿が映りだす。
「サーシア!?サーシアがパネルに!!」
メインパネルに映し出されたサーシアに太田が思わず声をあげる。
「周波数を同調させてきたのか‥‥」
通信担当の相原がどうやってデザリアム星にいるサーシアが地球艦隊に通信を送ってきたのかを言う。
もちろん、この通信にはジェレミアロベルの協力があってこそだ。
「サーシア‥‥」
守も父親として、娘が無事だったことにホッとする。
「無事だったんだな‥‥」
叔父の古代も守と同じ反応だ。
(サーシア?それがこの娘の本名か‥‥)
サーシアの傍には彼女以外の人物もおり、その人物は図らずもサーシアの本名を知ることとなった。
「みんな、まだよ!!ここまでは敵も予測していたらしく、この星の人は誰も傷ついていないわ」
サーシアは、聖総統らデザリアム星側は、表面の偽物の地球がバレることも計算していたことを伝える。
「なんだって!?」
「この星の内部は空洞よ。内部空洞の中央には巨大な人工都市があるわ‥‥暗黒星団帝国の中枢は全てそこに‥‥もちろん、地球に打ち込まれた重核子爆弾の起爆装置もそこにあるわ。私が南極にあるパイプの出入口を開けるから、その隙に内部に突入して、人工都市に波動砲を撃ちこむのよ!!」
サーシアはジェレミアが立てた作戦を地球艦隊に伝える。
「この星の中枢は、エネルギー炉も含めて、すべて波動融合物質‥‥波動砲の波動エネルギーと都市中心部のエネルギーが融合すれば、星全体が自己崩壊するはずよ。波動砲を発射後は反対の北極のパイプから脱出して」
サーシアの情報と真田の解析では、デザリアム星の外装は波動砲さえもダメージを与えることが出来ない装甲となっているが、内部は生物同様、波動砲には脆いみたいだ。
「波動融合反応‥‥」
「それしかこの星を打ち破る方法はないわ‥‥」
「待て、サーシア!!そんなことをしたら、今度こそ君は‥‥」
地球そっくりな地表を吹っ飛ばした時は、こうしてサーシアは無事だったが、今度はサーシアが居るデザリアム星の内部‥‥人工中心都市部に波動砲を撃ちこめば、今度こそ、サーシアを殺してしまうことになる。
「‥‥」
サーシアはグッと唇をかみしめる。
そこへ、
「あぁ~話の最中だが、いいかい?」
サーシアの隣には紫色の髪の毛、白衣を着た怪しい雰囲気の男が映し出される。
白衣の男、ジェレミアが会話に割り込んだのはこのままでは、脱出する前にここに波動砲を撃ちこまれてしまう恐れがあったからだ。
「あ、貴方は!?」
突然見ず知らずの男が映し出されたことにギョッとする古代。
「私はジェレミア・ゴットバルト。彼女の協力者さ」
「協力者?」
敵中の中にサーシアの協力者と名乗るのだから、戸惑いは隠せない。
サーシアがジェレミアにもう一つの名を名乗っていたように、ジェレミアもサーシアに偽名を名乗っていた。
ギンガが管理局に居た頃、当時、管理局から広域指名手配をされていたジェイル・スカリエッティ‥‥彼の名前は当然知っていたが、顔までは知らなかった。
もし、ギンガが彼の顔も知っていたら、今パネルに映し出されたジェレミアと名乗る男の顔を見て、「もしかしたら‥‥」という思いがあったかもしれない。
「ほんとうなのかい?サーシア」
守はジェレミが本当に暗黒星団帝国の本星におけるサーシアの協力者なのかを訊ねる。
「ええ、本当です。お父様‥‥お二人の協力がなければこの短時間でこの星の秘密を知ることは出来ませんでした」
「何故、貴方はサーシアに協力を?貴方は暗黒星団帝国の人間ではないのですか?」
「詳しい説明は後にして、南極の出入口から侵入後、できればこちらに迎えの船を寄こしてくれると助かるのだが‥‥居場所についてはビーコン発生装置を起動させるので、そのビーコンを辿って迎えの船を突入させてくれ」
ジェレミアはヤマトに南極の出入口からは侵入した後、波動砲を撃つ前に自分たちを迎えに来る船を寄こしてから、波動砲を撃ってくれと言う。
たしかにそれなら、サーシアも無事だ。
「分かった」
「ただ、時間がないのは事実だ。聖総統閣下はいつ起爆装置のボタンを押すのかわからない。こちらでもなるべく時間は稼ぐ」
そう言ってデザリアム星からの通信は切れた。
「‥‥サーシアは今の情報を得るために敵の星に残ったんだ‥‥協力者を得たのはこちらでも意外だったが‥‥」
「しかし、信じられるのでしょうか?相手は敵の星にいた人物ですし‥‥これも敵の罠と言う線も捨てきれません」
「敵の罠だとしたら、サーシアが生きているのも辻褄が合わない‥‥今はサーシアとあのジェレミアと言う協力者を信じよう‥‥それ以外に今は敵を撃破する方法がないのだから‥‥」
守は確かにあのジェレミアと言う男からは怪しい雰囲気を出していたが、サーシアが捕まって無理矢理セリフを言わされていたようにも見えなかった。
とすると、あのジェレミアと言う男は本当にサーシアの協力者なのだろう。
地球とサーシアを救うにはサーシアとあのジェレミアと言う男の立てた作戦を実行するしかない。
すると、再び地球艦隊に通信が送られてきた。
パネルに映し出されたのはサーシアでもなく、ジェレミアでもなく、灰色の肌にシワと血管が浮き出た不気味な男だった。
肌の色や顔立ちはイスカンダルでゴルバを率いて戦ったメルダ―スと似た顔立ちだった。
そして、その声は宮殿で出会った聖総統スカルダートの声そっくりであり、今、パネルに映し出された男こそ、暗黒星団帝国、デザリアムの国家元首、聖総統スカルダートの本当の姿だった。
宮殿で古代たちと出会った時は、地球人に似せたマスクを被って変装していたみたいだ。
「地球人たちよ、悪あがきは止めたほうがよい‥‥」
「今度は別の所から通信が‥‥」
「これが聖総統の正体か‥‥」
「変装していたのか‥‥」
「今、私がこのスイッチを押すと地球時間で五分以内に重核子爆弾が爆発する。爆発すれば、当然地球人類は絶滅することになる‥‥諸君、考え直して降伏したまえ。フフフフ‥‥あと五分だけ猶予を与えよう。それが、私が諸君らに与える最後の慈悲だ。賢明に考えることだな。ハハハハハ‥‥」
スカルダートは地球艦隊の乗員たちにハイペロン爆弾の起爆装置のボタンを見せつけ、高笑いをしながら通信を切った。
なお、彼はロベルが流したダミー情報のために先程のサーシア、ジェレミアの通信に関しては全く知らなかった。
しかし、サーシアとジェレミアこの通信をちゃんと傍受していた。
「ふむ、随分と余裕だね、聖総統閣下は‥‥」
傍受した通信内容を聞いて、ジェレミアは顎に手を当てて、不敵な笑みをこぼす。
「まぁ、全地球人類の生死を己の手の中に握って、圧倒的優位な位置に居るのですから、聖総統閣下の余裕な態度にも理解できます」
ロベルもジェレミア同様、冷静な姿勢だ。
「ちょっと!!二人とも!!そんな悠長な事を言っている場合じゃないでしょう!?」
サーシアは反対に地球人類の命がスカルダートの手の内にあることに焦りを感じている。
「だから、言っただろう?『時間稼ぎをする』って」
「えっ?」
「南極の出入口を開ける前に起爆装置の回路を破壊する。そうすれば、多少なりとも時間は稼げるはずさ。もっとも本当にそれはただの時間稼ぎにしかならない。ここには優秀な技師が大勢いるからね。すぐに修復されてしまうだろう」
「優秀と言ってもドクターには及びませんが‥‥」
ロベルが付け足すようにしてジェレミアを褒める。
彼女の言う通り、ジェレミアほどの優秀な科学者がいれば、暗黒星団帝国の悩みは解決でき、わざわざ地球へハイペロン爆弾を打ち込む必要はなかった。
「とにかく、急ぎましょう」
サーシアは起爆装置の回路を破壊するため、行動しようと言う。
確かに回路を破壊する前にあのボタンを押されてしまったらアウトだ。
サーシアたちは早速行動に出た。
ロベルの案内の下、宮殿地下の配線室へと忍び込むと、起爆装置の回路を破壊する。
すると、巡回の警備兵がやってきた。
サーシアとロベル、ジェレミアは物陰に隠れてやり過ごすことにした。
兵士は回路が破壊されているのを見つけると、
「回路が破壊されている‥‥一体誰が‥‥?」
「技師を呼べ!!すぐに修理するんだ!!」
「サーダ様と聖総統閣下にも知らせろ!!急げ!!」
破壊された回路を見て、慌てた様子で配線室から出ていった。
「ひとまず成功ですね」
「しかし、すぐに修復されてしまうでしょう。時間は無駄には出来ません」
「はい」
サーシアとロベル、ジェレミア次に南極の出入口を開ける作業のため、配線室を出て制御室を目指す。
「あのボタンを押されたら、地球人類は絶滅‥‥」
「これじゃあ、手も足も出ないじゃないか‥‥」
「どうしたらいいんだ‥‥」
まだ南極の出入口が開いておらず、五分の間に南極の出入口から内部に突入して、サーシアたちを助けて波動砲を撃って、反対の北極の出入口から脱出‥‥
とても、五分以内には無理だ。
更なる絶望感がただよう中、三度通信が入る。
しかもそれは意外なところからの通信であり、送信元はなんと地球からだった。
「地球からの通信です!!‥‥でも、周波数は地球のものなんですが、なぜこんなところまで届く出力が‥‥」
相原が疑問に思いながらも通信回線を開くとそこには雪の姿が映し出されていた。
雪の姿を見て、ヤマトの艦橋員たちは喜んでいた。
そして、雪は通信を送ってきた内容を伝える。
「古代艦長、山南艦長、月村艦長、地球防衛軍司令長官からのメッセージを伝えます。長官をはじめとして、地球の有志は地下に潜ってパルチザンを組織し、戦ってきました」
(やはり、地球でも暗黒星団帝国に対して抵抗運動をしていたか‥‥)
誰もが、地球でただ黙って事態の改善を待っている訳でなく、占領軍を相手に戦っていたのだと実感する。
「そして、ようやく重核子爆弾の占拠に成功しました。この通信も、重核子爆弾内部の通信回線を使って送っています」
「なるほど‥‥敵の回線を使って通信を‥‥」
地球の通信技術ではまだ、この二重銀河にいる地球艦隊へ通信を送ることは当然不可能だが、この太陽系から遠く離れた二重銀河から太陽系の地球にハイペロン爆弾を撃ちこむことが出来るこの暗黒星団帝国の技術力ならば、当然通信技術も地球より発達している。
ハイペロン爆弾は爆弾と同時に半ば宇宙船としての機能も有していた。
内部に通信機能を有していても不思議ではなかった。
雪はその通信回線を使用して二重銀河にいる地球艦隊に地球の現状を伝えるために通信をしてきた。
(でも、それって、この通信が敵に傍受されているんじゃないだろうか?)
(もし、傍受されて、スカルダートが、ハイペロン爆弾が地球側に占拠されたことを知ったらヤバいような気もするが‥‥)
周波数を地球のものにしても、暗黒星団帝国の通信回路を使用しているのでは、敵に傍受されている可能性が高い。
スカルダートが地球に打ち込んであるハイペロン爆弾が地球人の手によって占拠されたことを知ったら、あのボタンを押すのではないだろうかと思う良馬。
「雪、それで現在地球の起爆装置は?」
守がハイペロン爆弾内部の起爆装置の現状を訊ねる。
「解体できました。あとは敵本星の起爆装置を破壊すれば‥‥」
「そうか‥‥よくやってくれた」
地球側の脅威はなんとか排除されたことを知ったが、まだ敵本星の起爆装置が残っているので、地球の脅威は完全に拭われた訳ではない。
そして、良馬が恐れていた通り、この通信は暗黒星団帝国側でも傍受されていた。
「愚かな地球人め‥‥降伏する気はないようだな‥‥」
(カザンの奴め、しくじりおって‥‥)
スカルダートは占領軍総司令官であるカザンと地球人に対して憤慨する。
「仕方ない‥‥地球人どもの新鮮な肉体が得られないのは惜しいが、もはや放っておくわけにはいかぬ」
スカルダートはスカリエッティが生成したクローンの肉体となってしまうが、帝国に対してここまで反抗した地球人類を許すわけにはいかず、ハイペロン爆弾を起爆させることにした。
そして、ハイペロン爆弾の起爆装置のボタンを押した。
しかし、いくらボタンを押してもカチ、カチ、カチ、と空打ちの音がするだけで、起爆を知らせる警告音やシステム音、爆発までの秒読みなどが一切しない。
「????おかしい、作動せんぞ‥‥これは‥‥どうしたことだ?」
スカルダートは焦るように何度もボタンを押すが、やはり作動しない。
そこへ、慌てた様子でサーダが駆け込んできた。
「聖総統‥‥サーシアが起爆装置の回路を破壊したようです」
「なにぃ!?あの小娘は今どこにいる!?」
「わかりません。現在捜索中です。ですが、破壊された回路はすぐに修復可能で、現在修理中です」
「よし‥‥あの小娘は見つけ次第射殺しろ!!そして、修理作業を急がせろ!!これ以上、我が帝国を侮辱する輩を放置するわけにはいかん!!」
「はっ‥‥本星周辺にうろついている連中はいかがなさいましょう?」
「攻撃しろ!!奴らも生きて帰すな!!」
「承知しました」
デザリアム星のいたるところに設置されている砲台から砲撃が始まる。
「いきなり撃ってきたぞ!!」
「まだ、五分経っていないのに‥‥」
スカルダートは五分待つと言ったにもかかわらず、いきなり地球艦隊を攻撃してきた。
「ヤマト、艦橋部に被弾」
「なにっ!?」
ヤマトの艦橋部への被弾は、まほろば からでも確認できた。
「ぐあっ‥‥!!」
艦橋部の被弾で、艦長席から放り出された守。
「大丈夫ですか!?兄さん!?」
古代が守に駆け寄る。
「だ、大丈夫‥‥だ‥‥」
傷口を手で押さえながら答える守。
意識は、はっきりとあるようだ。
「だが‥‥動けそうに‥‥ない‥‥進‥‥お前が代わって‥‥艦の指揮を執れ‥‥」
「はい‥‥相原、佐渡先生を第一艦橋によこしてくれ!!」
「了解‥‥あっ、サーシアから通信です」
パネルには再びサーシアの姿が映し出される。
「重核子爆弾の起爆装置の回路の一部を破壊しました。でも、わずかな時間しかありません、突入してください。攻撃するのは今です。今から、南極の出入口を開けます」
サーシアが起爆装置の回路を破壊したおかけで時間は稼げた。
彼女の言う通り、起爆装置を完全に破壊するのは今しかない。
突入を決めた古代は山南と良馬に通信を送る。
「山南艦長、月村艦長、いったん中に入ってしまえば、無事に外へ出てこられるかどうかもわかりません。ここはヤマトのみで突入します」
古代はヤマト一隻で内部に突入すると言うが、
「いや、古代君。本艦も同行するぞ」
「月村艦長!?」
良馬は、まほろば もヤマトと同行して内部に突入すると言う。
「その方が、ヤマト一隻よりも少しは成功する確率が上がるだろう?」
「では、我々は外で耐え凌ぎ、北極の出口をなんとしてでも確保しよう」
春藍、ハルバード、ファルシオンは出口確保のため、外部で戦線を支えることになった。
「おい、古代。雪風も連れていくぞ!!」
「トチローさん‥‥」
「人工都市がどれくらいの大きさなのかわからないが、サーシアを迎えに行くなら、ヤマトやまほろばの様な大型艦船よりも小回りが利く雪風の方が適任だろう?」
「‥‥わかった‥‥頼むぞ」
ヤマト、まほろば、雪風・改はデザリアム星の南極部に向かって突き進む。
その間、デザリアム星からの砲撃があるが、波動防壁を張り、ひるむことなく突き進んでくる。
「地球艦隊の一部が接近してきます!!」
「撃滅せよ!!生かして帰してはならぬぞ!!」
「見つけた!!あれが南極の出入口だ!!」
「でも、まだシャッターが閉まっています!!」
サーシアが先程、南極の出入口を開けると言っていたが、まだ南極の出入口は閉まったままだ。
波動防壁を展開しているとはいえ、防壁+宇宙戦艦の装甲ではとてもあの分厚いシャッターは破れないだろうし、体当たりをすれば逆にこっちが大きな被害を受けそうだ。
「サーシアを信じるんだ‥‥突入!!」
まだ、シャッターが閉まっているにもかかわらず、ヤマト、まほろば、雪風・改は速度を落とす事無く進んでいる。
その頃、制御室にやって来たサーシアたちは、
「どれが南極の出入口を開ける装置なの!?」
制御室には沢山の機械があり、どれが南極の出入口を開ける装置なのか分からない。
地球艦隊は既に南極の出入口を目指して接近している。
早く開けなければ、接近してくる地球艦隊の艦船が南極の出入口を塞いでいるシャッターに衝突してしまう。
「これです」
ロベルが当然かのように一つのレバーを下げる。
すると警報と共に、
ゴゴゴゴゴゴゴ‥‥‥‥
地響きの様な音と共に南極の出入口を塞いでいる分厚いシャッターが左右に開いていく。
「シャッターが開きはじめました!!」
「よし、このまま突入だ!!」
ヤマト、まほろば、雪風・改は南極の出入口のシャッターの開口部から内部へと侵入した。
「早く‥‥もっと早く‥‥」
南極の出入口から侵入し、パイプの空洞を走るヤマト、まほろば、雪風・改。
それほど長くはない筈の空洞パイプを航行する三隻の姿を見て、サーシアにはそれさえも物凄く長く感じた。
やがて、ヤマト、まほろば、雪風・改の三隻が空洞パイプを通り抜けるとサーシアはホッと胸を撫で下ろした。
ヤマト、まほろば、雪風・改の三隻が空洞パイプを通り抜けるとそこは巨大なからの空間が広がっており、その空間の中心部に宙に浮くイガグリ状の超近代人工都市が存在していた。
地表はガラスかクリスタル、水晶の様なもので構成されていた。
人工で作られたものとはいえ、それは目を奪われるほど美しい人工都市だった。
「あれが人工都市か‥‥」
「顔に似合わず、随分と綺麗なモノを作りますね‥‥」
「人工都市表面に熱反応を確認!!」
「なんだって!?」
突然、人工都市からビルの何本かが突然、都市部を離れると物凄いスピードでヤマト、まほろば、雪風・改の三隻に迫ってきた。
ヤマトにとってはガミラス本星の戦いを彷彿とさせるようなミサイルだった。
ガミラス本星での戦いの時も、海底火山脈を波動砲で撃ち抜いた後、地表の火山を連鎖爆発させた。
その後、デスラーは天井部にあるビル群をヤマトにぶつけてきた。
この水晶状の人工都市が放ってきたミサイルはまさにその時のミサイルに似ていたのだ。
「ミサイルだ!!」
「あの都市全体が迎撃要塞になっているんだ」
「白色彗星の要塞都市と同じですね」
「迎撃!!」
まほろば、ヤマトはミサイルと砲撃で迫りくるミサイルを迎撃する。
続いて、人工都市にも攻撃を行うが、まほろば、ヤマトが撃ったショックカノンは人工都市に命中する前に中和されて消滅する。
「な、なんだ‥‥?今のは!?」
「ショックカノンが消えたようにも見えたぞ!?」
「人工都市周辺にバリア反応を探知」
新見が人工都市を包み込むようにして展開されているバリアの反応があることを報告する。
「バリアだって!?」
「はい。しかも反応から、これまで敵が使用してきた偏向型バリアではありません。完全にこちらの攻撃を消失させています」
「じゃあ、ミサイルや魚雷、砲弾による実弾攻撃も‥‥」
「効果はないでしょうね。無尽蔵のエネルギーがあるからこそ、できる超強力な中和バリアでしょう」
「中和バリア‥‥」
「なんて厄介な‥‥」
彗星帝国ガトランティスの要塞都市にあったガスバリアも厄介な代物であったが、厄介度で言えば、この暗黒星団帝国の中和バリアの方が厄介かもしれない。
「しかも、あの強度では波動砲さえも中和してしまうかもしれません」
「波動砲でさえも!?」
「敵は波動砲による波動融合反応を恐れています‥‥どうやらちゃんと対抗策を用意していたみたいですね」
「じゃあ、どうすればいいんですか?波動砲をあの都市に撃ち込まないと地球が‥‥」
「あの都市は周囲の外郭から完全に独立して浮いています。無尽蔵のエネルギーを外から供給するには都市部へエネルギーを送る伝達ユニットがこの周辺にあるはずです」
「そうか、そのユニットを破壊すれば、人工都市はエネルギー供給が止まる‥‥」
「無尽蔵のエネルギーも都市へ供給されなければ、宝の持ち腐れですね」
「副長、すぐに周辺を探査して敵のエネルギー伝達ユニットの位置を探りだしてくれ!!」
「了解」
新見はさっそくこの人工都市周辺を探査してエネルギー伝達ユニットを探りだす。
内部ではエネルギー伝達ユニットの探査が行われている頃、外部では、
「山南艦長、周辺に敵のワープ反応を確認!!」
「敵艦隊が次々とワープアウトしてきます!!」
「敵も総力戦を挑んできたか‥‥ヤマト、まほろば が出て来るまで何としてでも耐え凌ぐのだ!!総員戦闘配置!!」
外部にいた春藍の方も一筋縄ではいかぬ状況になりそうだった。