星の海へ   作:ステルス兄貴

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百二十六話 交信日の夜の出来事

 

 

暗黒星団帝国の脅威が去り、地球と管理局との間で交信が再開された日、フェイトとヴィヴィオが交信を終えて月村邸に戻ると何故かティアナはボロボロになっていた。

 

フェイトが理由を聞いてもティアナはその時は、はぐらかした。

 

夕食を摂った後、ティアナがボ〇太くんを相手にクロスミラージュ・改の起動実験をした月村邸の地下にて、

 

「やぁ!!」

 

「ふっ」

 

「たぁ!!」

 

「よっ、と‥‥」

 

大人姿になったヴィヴィオがギンガを相手にスパーリングをしていた。

 

ギンガもやはり、ミッドの様子‥‥スバルの事が気になったので、フェイト経由からスバルの様子を聞こうと今日は月村邸に来たのだ。

 

そして、ヴィヴィオはミッドでスバルのシューティングアーツの先生がギンガである事を知っていたので、ちょうどいい機会だったのでギンガに頼んでこうしてスパーリングの相手を頼んだのだ。

 

ギンガとヴィヴィオのスパーリングをフェイトはハラハラしながら見学している。

 

ヴィヴィオはSt.ヒルデ魔法学院初等科に通ってからノーヴェにストライクアーツを教えてもらっていた。

 

ティアナ同様、忍からデバイスを貰ったヴィヴィオは身体が鈍らない様にするためとティアナ同様デバイスの起動確認を兼ねてこうしてギンガを相手にスパーリングをしているのだ。

 

ギンガも格闘型の戦闘スタイルなので、ヴィヴィオの相手が務まっている。

 

ギンガの母、クイントはシューティングアーツを生み出した魔導師であり、そのシューティングアーツはストライクアーツを根源にしている。

 

クイントに保護されてから彼女が殉職する二年と言う短い期間であるが、ギンガはクイントからシューティングアーツを習っていた。

 

そして、クイントの殉職後はギンガがスバルにシューティングアーツを教えていたので、ギンガは教える事に関しても問題なくヴィヴィオに的確なアドバイスをしている。

 

「ほら、踏み込みが甘いわよ!!ヴィヴィオ!!もっと重心を意識して身体がぶれないようにしなさい!!」

 

「は、はいっ!!」

 

「回避の時もただ避けるんじゃなく、自分の攻撃を合わせられないか相手を常に観察するのよ!!」

 

「はいっ!!」

 

「身体は熱くても意識は冷たく冷静に!! 客観的に自分と相手を見ることを心がけなさい!!」

 

「はいっ!!」

 

「そして、刹那の隙に必倒の一撃を叩きこんで終わらせるのが打撃系のスタイル。出力がどうとか、射程や速度や防御能力がどうとか、自分と相手のどちらが強かろうがそんなの全部関係ない!!」

 

ギンガの強烈でなおかつ素早い拳がヴィヴィオの顔の横に叩き込まれる。

 

「相手の急所に正確な一撃。狙うのはただそれだけよ‥‥」

 

「‥‥」

 

身長差は大人モードになっているので、問題ないが経験と力の差があるので、ギンガは敢えて攻撃を逸らしながら、クイントから教わった打撃系スタイルの真骨頂をヴィヴィオに教える。

 

ギンガとヴィヴィオのスパーリングに決着がついたことで休憩となる。

 

「ふぅ~‥‥」

 

「お疲れ様です。ギンガさん」

 

「あっ、ありがとう。ティアナ」

 

ティアナがギンガにタオルとスポーツドリンクを差し出し、ギンガはソレを受け取る。

 

「はい、ヴィヴィオも‥ちゃんと水分補給はしないとね」

 

「ありがとう!!フェイトママ」

 

ヴィヴィオもフェイトがタオルとスポーツドリンクを渡している。

 

フェイトから渡されたスポーツドリンクをヴィヴィオはゴクゴクと飲んでいる。

 

「ねぇ、ティアナ」

 

「はい?」

 

ヴィヴィオにタオルとスポーツドリンクを渡し終えたフェイトがティアナに声をかける。

 

「それで、今日はどうしてあんなにボロボロだったの?」

 

フェイトは、やはり今日の交信を欠席したにもかかわらず、ティアナがボロボロになっていたのかが気になり改めて彼女に訊ねる。

 

「あぁ~‥‥それはですね‥‥」

 

ティアナは一度何かに興味を示したフェイトはなのは同様、しつこい事を学んでいるので、諦めて話す。

 

「へぇ~忍がクロスミラージュを‥‥」

 

「ええ。それで、新しくなったクロスミラージュの起動実験でノエルさんが乗る特殊スーツを相手にしまして‥‥」

 

「それで、どうだったの?新しくなったクロスミラージュは?」

 

「シャーリーさんには申し訳ないですが、段違いでした」

 

「‥‥」

 

これまで使用してきたクロスミラージュよりも性能が上がったクロスミラージュ・改。

 

「ねぇ、ティアナ」

 

「なんでしょう?」

 

「模擬戦やらない?」

 

「えっ?」

 

バトルジャンキーな一面を持つフェイトとしてはティアナのクロスミラージュがどんな性能に生まれ変わったのか気になったのだ。

 

「一応、空戦なしの地上戦のみでどうかな?」

 

フェイトはなのはやはやてと同じく空戦属性があるので、空を飛べるがティアナは空戦属性がないので空を飛べない。

 

そこで今回はあくまでも新たに生まれ変わったクロスミラージュの性能を見てみたいので、ティアナと同じ土俵での模擬戦を提案した。

 

「‥‥分かりました」

 

昼間はノエルが乗るボ〇太くんとの模擬戦をしてボロボロになったが、夕食を食べある程度の時間でティアナの体力も回復したので、これからフェイトと模擬戦をするにしても問題はなかったので、ティアナはフェイトとの模擬戦を了承した。

 

「ギンガ」

 

「はい」

 

「ちょっと、ティアナと模擬戦をやるからヴィヴィオをお願い」

 

「分かりました」

 

「今度はフェイトママとティアナさんが模擬戦をやるんだ‥‥」

 

「そうみたいね。さっ、ヴィヴィオ、ちょっと離れようか?」

 

「うん」

 

フェイトとティアナの模擬戦は自分やヴィヴィオよりも広範囲になるかもしれないので、ギンガとヴィヴィオは地下室の隅に移動して二人の模擬戦を見学する。

 

地下室の中央でフェイトとティアナは対峙する。

 

「じゃあ、改めてルールの確認ね」

 

「はい」

 

「今回は地上戦メインだから、私は空を飛ばない、設定はミッドでの模擬戦同様、非殺傷設定ね」

 

「分かりました」

 

互いにデバイスを設定し、バリアジャケットを纏う。

 

そして、デバイスを起動する。

 

「‥‥」

 

(クロスミラージュの形状が変わっている)

 

自分が知るティアナのクロスミラージュはより質量兵器に近い形に変化している。

 

だが、変わったのはクロスミラージュだけではない。

 

「‥‥」

 

対峙しているティアナ自身もだ。

 

短期間とは言え、生死をかけた戦いに身を投じていたティアナはパルチザンとは言え、いわば戦場からの帰還兵だ。

 

目つきが獲物を狙う肉食獣の様で、顔に残る傷がより一層ティアナの凄みを強めている。

 

(なんだか、シグナムを前にしているみたい‥‥)

 

フェイトは同じバトルジャンキーのシグナムと対峙している様な錯覚を覚える。

 

両者は共に準備が出来、模擬戦が始まる。

 

「プラズマスラッシャー!!」

 

まずはフェイトが先手を打ち、バルディッシュから砲撃タイプの雷撃攻撃がティアナへと迫る。

 

「‥‥」

 

ティアナはそれを最小限の動きで避ける。

 

その間にフェイトは動作を高速化させる移動魔法、ソニックムーブでティアナとの距離鵜を詰めて、彼女の死角から斬撃をくらわそうとする。

 

スっ‥‥

 

ガチャっ!!

 

「えっ?」

 

すると、ティアナは自身の死角から迫るフェイトに向けてクロスミラージュの銃口を向けて、接近してくるフェイトにシューターを六発撃ち込む。

 

「くっ‥‥」

 

高速で死角を突いたと思ったがティアナはそれに反応して反撃をしてきた。

 

咄嗟のことながらもフェイトは体制を立て直し、一度ティアナから距離を取る。

 

フェイト自身も若いながらもさまざまな戦闘を経験しているので、ティアナと距離を取る際、牽制を含めてプラズマバレットを放つ。

 

しかし、フェイトの誘導射撃魔法もティアナのシューターで全て撃ち落される。

 

(シューターの精製が早い!!)

 

ティアナは魔力が魔導師の中でも多い方ではないので、なのはのみたいに一度で何十発のシューターを精製するのは無理だ。

 

AMAの状況下で一度に六発のシューターを撃った後、短時間で再びシューターを精製して撃ってきた。

 

デバイスの演算能力がずば抜けており、フェイトは驚愕する。

 

(でも!!)

 

魔導師としてのキャリアはフェイトの方が上。

 

フェイトは追加にプラズマバレットを放つ。

 

(いくら演算が早くても三連続でのシューターなら‥‥)

 

とは言え、フェイトもAMAの環境下で三連続のシューターはきつかったのか、一撃目と二撃目のプラズマバレットよりも三撃目のプラズマバレットは数が少ない。

 

「クロスミラージュ、ダガーモード」

 

『イエス・マム』

 

クロスミラージュ・改が銃口から銃床にかけてオレンジ色の魔力刃を形成すると、ティアナは迫りくるプラズマバレットを切り裂きながらフェイトへと向かう。

 

(プラズマバレットを切り裂くなんて無茶苦茶よ!!)

 

(それでも私の速さにはついていけない筈)

 

フェイトが思うように、流石に今のティアナでもソニックムーブ状態のフェイトには走って追い付けないので、ティアナはシューターでフェイトの動きを誘導する。

 

六課のFW陣で参謀のようなセンターガードを務めていた事とこれまでフェイトと行動を共にして彼女の動きの癖をこれまで見てきたからこそ出来る。

 

(流石ティアナ‥私の動きの癖をよく知っている‥‥だからこそ、私の動きを誘導している‥‥)

 

当然、フェイトも自身がティアナに誘導されているのは気づいている。

 

(それなら‥‥)

 

しかし、フェイトは敢えて罠の‥ティアナの懐へと飛び込み死中に活を求める。

 

「バルディッシュ!!ザンバーフォーム!!」

 

『イエス・マム』

 

フェイトはバルディッシュを斬馬刀のような形状に変形させてティアナへと切りかかる。

 

「クロスミラージュ、サーベルモード!!」

 

すると、ティアナも新たに追加されたサーベルモードでフェイトを迎え撃つ。

 

ガキン!!

 

フェイトのザンバーフォームの魔力刃とクロスミラージュ・改の長くなった銃身部分がぶつかり合う。

 

「クロスミラージュの形が違ったけど、その形も初めて見る形だね」

 

「はい、重力サーベル?ってやつを基にして製作されたクロスミラージュの新しいモードです」

 

(室内だけど、ダガーモードじゃあ、フェイトさんのバルディッシュを防げない。近接戦はそこまで得意じゃないけど、四の五の言っていられる余裕はないしね!!)

 

鍔迫り合いをしながら初めて見るクロスミラージュの新たなモードについて訊ねるフェイト。

 

ティアナもクロスミラージュ・改の新たなモードについてフェイトに答える。

 

鍔迫り合いをする両者であったが、ティアナは横へとズレ、鍔迫り合いから脱し、銃身の下に魔力刃を形成して、フェイトに切りかかる。

 

フェイトは切りかかるティアナを迎え撃ち、両者は魔力刃を打ち合う。

 

しかし、ティアナのクロスミラージュ・改のサーベルモードは彼女が言った通り重力サーベルを基にしているので、銃口がある。

 

ティアナは刃の打ち合いの隙を見てフェイトの腹部にシューターを撃ち込んだ。

 

不意を突かれたフェイトはもろにシューターを喰らい飛ばされ、思わずバルディッシュを手放してしまう。

 

デバイスを手放したことで勝敗がつき、色々と縛りのルールはあるが、今回の模擬戦はティアナに軍配があがった。

 

 

「ふぅ~負けちゃったけど、なかなか面白かったよ、ティアナ」

 

「は、はぁ~」

 

ヴィヴィオからタオルとスポーツドリンクを受け取り、スポーツドリンクを口にしながらフェイトは、負けはしたが今回のティアナとの模擬戦は楽しかったと言う。

 

この地球へ来てから本格的な模擬戦は行っておらず、久しぶりに魔力を使用しての模擬戦はバトルジャンキーであるフェイトにしてみればやはり楽しかったのかもしれない。

 

(今回と同じように空戦なしの条件だったら、なのはもティアナに負けていたかも‥‥)

 

今のティアナの実力を体験したフェイトは今回と同じルール‥空戦なしの地上戦の場合、なのはでもティアナに負けるのではないかと思った。

 

「それにしても銃と剣が一緒になっているなんて驚いたよ。それに近接戦も強くなったんじゃない?」

 

「ええ‥パルチザンに居た時、古野間さんに習いましたからね」

 

六課に来る前に使用していたアンカーガンは射撃魔法専用で六課時代にクロスミラージュに出会ってダガーモードが備わって近接戦も可能となったが、ティアナは生粋の射撃タイプの魔導師だったので、近接戦はそこまで得意ではなかった。

 

機動六課卒業まで自分の相棒が近接戦タイプのスバルだったのも一因していた。

 

しかし、パルチザンに居た時は近接戦が苦手だからやらないでは、死に直結することもあるので、ティアナは古野間から空間騎兵仕込みの近接戦の訓練を受けていたのだ。

 

 

フェイトとティアナの模擬戦が終わったその頃、ミッドチルダでは‥‥

 

 

「そうか、フェイトちゃんもヴィヴィオも元気そうだったんやな?よかったな、なのはちゃん」

 

「うん。でも、ティアナは風邪気味だったから今日の交信はお休みだった」

 

なのは は はやてに今日の交信でのフェイトとヴィヴィオの様子を語っていた。

 

「もう一つの地球が暗黒星団帝国を倒したって話は私も“海”の人から聞いたんやけど、まさかこの短期間で倒すなんてな‥‥やっぱり、もう一つの地球は強いなぁ~」

 

暗黒星団帝国に地球全土を占拠されたのだから、奪還するにはもっと時間がかかるモノかと思われたが、防衛軍は僅かな期間で地球を奪還して、暗黒星団帝国を退けた。

 

その結果からも防衛軍の強さが分かる。

 

自分たちもJS事件の際における最終決戦を一日と言う短期間で片づけたが、JS事件と今回もう一つの地球が経験した戦争では規模が違いすぎる。

 

「管理局のお偉いさんたちが躍起になるのも分かるけど、あんまり向こうの地球を刺激しないでほしいわぁ~」

 

「う、うん‥‥」

 

「それで、次の交信にもなのはちゃんは行くんか?」

 

「うん、そのつもりだよ。今回はティアナの様子が分からなかったし‥はやてちゃんはどう?これそう?」

 

「うーん‥ちょっと厳しいわぁ~艦の整備が終わったらまたパトロールの仕事が入ってもうて‥‥」

 

「そうなんだ‥‥まぁ、はやてちゃんは艦長さんなんだし、色々お仕事も沢山あるもんね」

 

フェイトとヴィヴィオはもう一つの地球に、そしてはやては艦長職と言う事で今はそのほとんどを本局か宇宙へ出ている。

 

学生時代や機動六課時代は顔を合わせる時間が多かったのだが、こうして役職が異なる部署では会う時間も必然的に減ってしまう。

 

今のなのはとしてはそれが寂しく感じてしまう。

 

(早くフェイトちゃんとヴィヴィオが帰ってきたらええんやけど‥‥)

 

はやて自身もなのはの心情を察して一日でも早く、フェイトたちがミッドに戻ってきてほしかった。

 

「あっ、それで、はやてちゃん」

 

「なんや?なのはちゃん」

 

「一つ気になった事があったんだけど‥‥」

 

「気になった事?なんや?」

 

「その‥‥ヴィヴィオの事なんだけど‥‥」

 

「ん?ヴィヴィオ?ヴィヴィオは元気やったんやろう?」

 

「う、うん‥‥そうなんだけど‥‥」

 

「なんや、随分と煮え切らんな、なのはちゃん」

 

何やら歯切れが悪いなのは。

 

「その‥‥ヴィヴィオの様子に違和感があって‥‥」

 

「違和感?」

 

なのはは今日の交信でヴィヴィオと話して、ヴィヴィオの様子に違和感を覚えた。

 

「なんや?空元気だったんか?」

 

「ううん‥ヴィヴィオは元気だったよ。むしろ、ミッドに居る頃よりも元気に見えた‥‥」

 

ボラー連邦への武力制裁失敗後に広げられたなのはやはやてらのデマ‥‥

 

そのデマの影響でヴィヴィオが学校で虐められることを危惧したカリムやシャッハが一時的に学校を休ませてヴィヴィオの身柄を海鳴の実家で預かってもらうように提案した。

 

フェイトが居ない中、ヴィヴィオもなのはも家族と引き離されることになるが、ヴィヴィオの身を案じれば、シャッハからの提案を受け入れざるを得なかった。

 

海鳴の実家で預けられた後、今は海鳴市に住んでいるクロノの奥さんであるエイミィが定期的になのはにヴィヴィオの様子を伝えていたのだが、その時のヴィヴィオは家族から引き離されたせいで元気はなかった。

 

その後、教会の強硬派のせいでフェイトたちがいるもう一つの地球へと跳ばされてしまったヴィヴィオであるが、暗黒星団帝国侵攻前に何度か交信した際は教会に預けている時よりもヴィヴィオは元気になっていた。

 

しかし、今日‥暗黒星団帝国侵攻後に初めて交信したのだが、ヴィヴィオは侵攻前と同じく元気であったのだが、なのははヴィヴィオの様子を見て違和感を覚えたのだ。

 

「ん?どういう事や?なのはちゃん」

 

「その‥なんだか目力が強く感じられた」

 

「目力?」

 

「うん‥‥何か強い意志を宿したみたいな‥‥」

 

「それはやっぱり、なのはちゃんの子どもやからやないか?」

 

「そうかな?」

 

「そうやで。不屈のエース・オブ•エースが育てた子なんやから、そうなるのも当然なんちゃうか?それに、無事だったけど、ヴィヴィオは戦時下を経験したんやし、それも影響しとるかもしれへんよ‥‥」

 

はやてはなのはが育てたのだから、なのはに似るのも当然だと言い、なのはは自分の勘違いかもしれないし、はやてが言う通り自分に似たのかもしれないと思った。

 

 

なのはがはやてに今日の交信の事を話していたようにスバルの方も今日の交信の出来事を家族に話していた。

 

ただ、ノーヴェだけはバイトがあるみたいでナカジマ家に不在だった。

 

ノーヴェは現在、嘱託局員としてスバルと同じ救護隊で働いているが、救護隊の仕事以外に最近ではジムでのバイトも始めており、局員よりもジムでの仕事の方がノーヴェ本人としては向いているようで、ジムトレーナーの資格やジムの経営についての勉強をしている。

 

「そうか、ティアナの嬢ちゃんは風邪か‥‥」

 

「うん、久しぶりにティアと話せると思っていたのに‥‥」

 

ゲンヤにスバルは今日、ティアナと話せなかったことにややがっかりした様子で話す。

 

「でも、フェイトとヴィヴィオは元気そうだったのだろう?」

 

チンクがフェイトとヴィヴィオの様子をスバルに訊ねる。

 

「うん、二人は元気そうだった」

 

「でも、少し前までもう一つの地球は暗黒星団帝国に占領されていたんでしょう?よく無事だったね」

 

ディエチがもう一つの地球のついこの前の現状からフェイトとヴィヴィオがよく戦乱に巻き込まれずに無事だったとしみじみと思う。

 

「シェルターに避難していたっスか?」

 

ウェンディがフェイトとヴィヴィオの二人が占領下の際、シェルター生活をしていたのかを訊ねる。

 

「ううん、色々な規制はあったみたいだけど、基本的に自由に生活ができたみたい」

 

「しかし、もう一つの地球を占領下におくなんて暗黒星団帝国と言うのはかなりの強さを持つ世界なのだろうな」

 

暗黒星団帝国の存在は管理局でもその名称だけはもう一つの地球の経緯から判明したが、その詳しい実力に関して、管理局は実態を掴めていない。

 

だが現状の管理局よりも、もう一つの地球が上なのはナカジマ家の皆はこれまでの経緯から察している。

 

そして、その地球全土を占領下においたのだから暗黒星団帝国の実力は管理局よりも上なのだと分かる。

 

「でも、その暗黒星団帝国は地球に負けたんでしょう?」

 

ディエチがチンクに訊ねる。

 

「こうしてもう一つの地球と交信が再開されたのだからそうなのだろうな」

 

「それってもう一つの地球が暗黒星団帝国よりも強いってことっスか?」

 

「暗黒星団帝国の詳しい実力が分からないが、結果的にそうだろうな」

 

「それで、ヴィヴィオがその暗黒星団帝国の大佐?って人と仲良くなって、なのはさんが驚いていた」

 

「えっ!?ヴィヴィオが!?」

 

「暗黒星団帝国の人と!?」

 

「仲良く!?」

 

ヴィヴィオ自身がなのはに暗黒星団帝国憲兵大佐のメイトリックと仲良くしていたことに驚いていたが、スバルからヴィヴィオの現状を聞いたチンクたちもこれには驚いた。

 

「えっ?なんでヴィヴィオが暗黒星団帝国の人と仲良くなっているっスか!?」

 

「その人、女の人だったの?」

 

ディエチはその暗黒星団帝国の大佐がヴィヴィオと同じ女性なのかと思いスバルに訊ねる。

 

「ううん、多分男の人?だと思うよ」

 

「なんか随分と曖昧な表現だな」

 

「暗黒星団帝国の人って私たちと違う肌の色をして、見かけも変わっている容姿なんだって」

 

「違う肌の色って何色なの?」

 

「灰色だって」

 

「灰色‥‥」

 

「灰色の肌の人‥‥」

 

ミッドのこれまでの歴史の中で肌の色が灰色の宇宙人なんて邂逅したことがない。

 

一般的にミッドの人間が肌の色が異なる宇宙人を初めて見たのはボラー連邦のベムラーゼで、一部の管理局の人間ではそこにミノフスキーも含まれる。

 

はやてに関しては短い時間であるが、バース星人であるラムとも出会っている。

 

チンクたちは灰色の肌の人間を想像するが、やはり気味が悪い。

 

「それでヴィヴィオはどういった経緯でその大佐と仲良くなったの?」

 

「ゲームだってさ」

 

「ゲーム?」

 

「うん。BRAVE DUELって言う仮想空間で遊べるゲームらしいよ」

 

「ふむ、仮想空間か‥‥」

 

「それって管理局が採用しているシミュレーターとは違うの?」

 

「自分自身をアバターって言うデジタルの自分をシミュレーター内で戦闘を体感しながら武器や魔法で戦うみたい。戦闘の他にも色んなステージも用意されていてそこでイベントとかもやるんだって」

 

「へぇ~面白そうっスね」

 

「うん。ヴィヴィオの話を聞く限り、面白そうだった」

 

スバルもヴィヴィオから聞いた内容でBRAVE DUELには興味があった。

 

「ミッドでも出来ないかな?そのBRAVE DUEL‥‥」

 

管理局が訓練で使用しているシミュレーション装置があるのだから、それを応用すればミッドでもBRAVE DUELは出来そうだった。

 

「でも、ゲームを介して地球を占領していた宇宙人と仲良くするなんてヴィヴィオは凄いね」

 

「ああ‥‥私たちが言うのも変であるが、実際にヴィヴィオはノーヴェとも仲良くやっているからな‥‥」

 

JS事件の際、自分たちは管理局と敵対関係にありヴィヴィオを攫い酷い目に遭わせた。

 

だが、今はヴィヴィオと自分たちの関係は180度異なっている。

 

ヴィヴィオの養母であるなのはの魔導師としての経歴を見ても最初はジュエルシードを巡りフェイトと敵対し、ヴィータともはやてを巡り対立し戦った。

 

一度は敵対しつつも何らかのきっかけで友になりえる。

 

なのはとヴィヴィオの高町親子は似たような経歴を辿っていた。

 

「それで、次の交信も行くの?」

 

「うん。次の交信にはティアも来るみたいだし」

 

フェイトは次の交信にはティアナも来るとの事なので、スバルは次の交信にも行くつもりであった。

 

 

ミッドで再開された交信について様々な感情や話題が出た中、フェイトたちがいる地球では‥‥

 

『ア“ア“ア“ア“~』

 

月村邸の食堂ではバルディッシュが普段は出さないような声を出している。

 

これは決してバルディッシュが不具合を起こしているわけではない。

 

ついさっき、ティアナのクロスミラージュ・改の性能を確かめるために久しぶりに起動して模擬戦を行ったので、フェイトに例のメンテナンスを頼み込んできたのだ。

 

そこで、フェイトはノエルに頼み暖かいお酒を頼んだ。

 

この仰天メンテナンスの方法はノエルもあらかじめ紅葉から聞いて知っていたのでバルディッシュの為にホットビールを用意してくれたのだ。

 

バルディッシュが普段出さないような声を出したのは、今バルディッシュがホットビールの中に沈んで、疲労?を癒しているためだった。

 

その様子は仕事終わりに風呂へ入るサラリーマンの様だ。

 

バルディッシュがこの仰天メンテナンスを行っているのだから、対戦相手であるクロスミラージュ・改も例外ではなく、ホット・バタード・ラムが入った耐熱グラスの中に沈んでいる。

 

『ふぅ~‥‥労働の後のメンテナンスは最高です』

 

「あんた、改良されても性格は変わっていないみたいね」

 

忍の手により、改良してもらい形状は変わってもクロスミラージュ自体の性格は変わっておらず、この仰天メンテナンスも普通にティアナに要求してきた。

 

ヴィヴィオのクリスもボ〇太くん人形から取り出しホットミルクの中に沈んでいる。

 

当然、ギンガのブリッツキャリバーもホットワインに入っている。

 

「ギンガ様も本日はお泊りなさいますか?」

 

各メンバーのデバイスをメンテナンス中にノエルがギンガに今日は月村邸に泊るかを訊ねる。

 

「あっ、はい。お願いします」

 

夜も更けているのでギンガは今日、月村邸でお泊りすることにした。

 

(フェイトさん‥‥)

 

(ん?何かな?ティアナ)

 

ティアナはフェイトに念話で語り掛ける。

 

(ギンガさんが泊っていくと言う事は‥‥まさか‥‥)

 

(‥‥ま、まぁ、否定はできないかな?)

 

二人が初めてこの地球へ来た際もギンガは月村邸に泊っていた。

 

そして、二人はギンガと良馬がキスをして恋人繋ぎをして良馬の寝室へ入っていくのを見ている。

 

寝室でナニが行われたかなんて、良馬とギンガの様子と保健体育の知識があれば想像は容易い。

 

実際に翌日の良馬とギンガの様子を見ても夜中にナニがあったなんて想像はつく。

 

それに二人は既に良馬とギンガの現場を図らずも見てしまったので、わざわざ覗きなどと言う野暮な真似をするつもりはなかった‥‥そう、この時は‥‥だ‥‥

 

それから時間が過ぎ深夜‥‥

 

「‥‥ん?」

 

ティアナはベッドで寝ていたのだが、ふと生理的欲求を催してふと目が覚めた。

 

「うーん‥‥お手洗い‥‥」

 

ティアナはベッドからムクッと上半身を起こし、ベッドから降りるとお手洗いへと向かう。

 

「‥‥ん?ティアナ?」

 

すると、ティアナのベッドの隣でヴィヴィオと一緒に眠っていたフェイトも目を覚ました。

 

「あっ、フェイトさん。すみません、起こしてしまいましたか?」

 

「ううん‥それよりどこかに行くの?」

 

「あっ、お手洗いに‥‥」

 

「じゃあ、私も‥‥」

 

どうやらフェイトもティアナの気配を感じたのと同じく、彼女も生理的欲求を催して、ティアナと共にお手洗いへと向かった。

 

二人がお手洗いで用を終えて、寝室へと戻ろうとした時、その帰り道には良馬の寝室がある。

 

「「‥‥」」

 

お手洗いへ行く時は、早く用を足したかったので特に気にも留めなかったが、こうして用を足し終えて後は再び寝室にあるベッドの中に戻るだけとなった今、ふと良馬の寝室の様子が気になった。

 

ギンガは確かに今日、月村邸にお泊りしているが、だからと言って今日も良馬の寝室に居るとは限らない。

 

それでももしかして‥‥

 

と言う思いもある。

 

(‥‥ねぇ、ティアナ)

 

(なんでしょう?)

 

フェイトはティアナに念話で話しかける。

 

(‥‥ギンガ‥今日も月村艦長の部屋に居ると思う?)

 

(さ、さあ?)

 

(ねぇ、ティアナ)

 

(はい?)

 

(‥‥気にならない?)

 

(えっ?)

 

(ギンガが居るか、居ないか?)

 

(そ、それは‥‥)

 

クリスマスの時は、露天風呂と言う場所だったので驚きと共に温泉のせいで湯あたりをしてダウンしたが今は月村邸の中でフェイトもティアナも多少は耐性が出来て覚悟も出来ている。

 

そして、フェイトもティアナも興味があるのも事実‥‥

 

ティアナの頭の中では悪魔の羽と尻尾、角を生やしたティアナと天使の羽と頭に輪っかをつけたティアナが語り掛けている。

 

(ティアナ、覗き何て駄目よ!!もし、気づかれたらどうするの?)

 

(貴女も行為中、他人に覗かれたら嫌でしょう?)

 

(何言っているのよ!!行為中なら気づくわけがないじゃない!!)

 

(それにしていなければさっさと戻れば済む話じゃない)

 

理性(天使)と欲求(悪魔)がティアナの頭の中で戦っている中、

 

キィィ‥‥

 

フェイトが細心の注意を払いながら良馬の寝室の扉を開けていた。

 

(フェ、フェイトさん!?貴女、一体何やっているんですか!?)

 

自分が必死に欲求(悪魔)と戦っている中で、フェイトはあっさりと好奇心に負けて良馬の寝室を覗いていたのだ。

 

フェイトが覗いていたことでティアナも欲求に負けてフェイトと共に良馬の寝室を覗いた。

 

(つ、月村艦長が普通に寝ていれば問題ないわよね)

 

別に良馬へ夜這いを仕掛けに来た訳ではないのにドキドキするティアナ。

 

しかし、ティアナの予想は裏切られ、月明かりの下、寝室のベッドでは一組の男女の影が一つになっていた。

 

「うわぁー……うわぁー……」

 

顔を赤くしたフェイトが、良馬の寝室を覗きながら小声を漏らす。

 

流石に明かりは点けていないが月明かりでシルエットや声、音で良馬とギンガがナニをしているのか分かる。

 

「‥‥」

 

ティアナも顔を赤くし、部屋の中で行われている男女の行為を覗いている。

 

「うわ、ちょっ、そ、そんな事までしちゃうの?」

 

「すご……月村艦長もギンガも大人だ……」

 

夜の一族(吸血鬼)と戦闘機人の行為は一度では終わらず、体勢を変えて再び交じる。

 

「……わー」

 

「……わぁ」

 

(ちゃんと避妊しているのかしら?)

 

此処からでは避妊具の確認は出来ないが、あそこまで何度も交わってはギンガが妊娠するのではないかと思うティアナ。

 

「あ、あの‥フェイトさん。そろそろ戻った方が‥‥」

 

「もうちょっと。もうちょっとだけ、後学のために‥‥」

 

「なんの後学ですか‥‥?」

 

(彼氏もいないのに‥‥)

 

フェイトの言動にやや呆れるティアナ。

 

「そんなに言うならティアナは先に戻っていいよ」

 

「そ、それは‥‥」

 

ティアナだって気になっている。

 

だからこそ、こうしてフェイトと共に覗いているのだ。

 

その後も良馬とギンガの行為を覗いていた二人であったが、ティアナの欲求(悪魔)の囁き通り、良馬とギンガの二人は行為に集中しているのか、フェイトとティアナが覗いている事に気づいていないが、流石にこのままずっと覗いているとノエルか忍に見つかる可能性もあるので、そっと扉を閉め二人は自分たちの寝室へ戻ることにした。

 

「「‥‥」」

 

寝室へ続く廊下を歩いている最中、二人の顔は当然まだ赤い。

 

「す、凄かったね‥‥ギンガも月村艦長も‥‥」

 

「え、ええ‥‥そうですね‥‥」

 

「あれだけやってギンガ大丈夫なのかな?」

 

「?」

 

「‥‥その‥妊娠しないのかな?って」

 

「ああ‥‥」

 

フェイトもティアナが思っていた疑問を感じていた様だ。

 

二人は成人しているので赤ちゃんがどうやって生まれてくるのかぐらいは当然知っている。

 

「ギンガは‥‥」

 

「えっ?」

 

「ギンガは‥どうするのかな?」

 

「ん?それはどういう意味でしょう?」

 

「私たちは近々ミッドに戻るでしょう?」

 

「えっ?ええ‥‥」

 

「その時、ギンガはどうするのかな?って思って‥‥」

 

「‥‥」

 

「それで、もし、その時にギンガが妊娠していたら‥‥」

 

フェイトの言う事は分かる。

 

ミッドにはゲンヤ、スバルとギンガの家族が居る。

 

最も今ではスバルの姉妹たちも増えている。

 

スバルの姉妹はギンガの姉妹でもある。

 

そして、ゲンヤとスバルの二人は今でもギンガの名誉を回復するための活動を続けている。

 

ミッドではギンガは既に死亡している事になっている。

 

しかし、ギンガはこうして無事に生きている。

 

ミッドに帰れる機会は恐らく自分たちの帰還する機会が絶好の機会である。

 

もし、ギンガが望むのであれば彼女も一緒に連れて帰ってもいい‥‥

 

だが、その時にもしもギンガが妊娠していたらと思うとギンガにも生まれてくる子供も片親になる可能性が高い。

 

その理由は良馬がミッドに来るとは思えないからだ。

 

スバルやゲンヤはギンガが生きている事を知れば、きっと帰って来て欲しい筈だ。

 

勿論、フェイトはミッドに帰る前にはギンガへ聞いてみるつもりだ。

 

しかし、ギンガだって家族か愛する人かきっと葛藤するはずである。

 

とりあえず、今はギンガが妊娠してないことを望むぐらいだった。

 

翌朝の朝食の席にて、ギンガの顔色はツヤツヤとしていた。

 

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