星の海へ   作:ステルス兄貴

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百四十六話 ケンタウロス座・アルファ星沖会戦

 

 

まもなく第二の地球捜しへ向かう為に出航するヤマト。

 

そのヤマトの艦内にあるコンピュータールームでは真田たち技術班とアナライザーたちロボット班がコンピューターの増設作業を行っていた。

 

「このコンピュータールームの作業が一番遅れているんだ。頑張ってくれ」

 

「時間モナイノニ設備ノ拡張ヲスルカラデスヨ」

 

作業をしながらアナライザーがコンピュータールームの作業が遅れている原因を真田に指摘する。

 

「今度のヤマトの航海は地球と酷似した惑星探しなんだ。大気や鉱物質、生物の有無の調査にはコンピューターの増強をしておかなければならんのだ」

 

「調査ナラ、ボクヤ。ロボットガイルジャナイデスカ、全クヒトヲ信用シナインダカラ」

 

「お前が信用できないからコンピューターを増設している訳ではない。分からん奴だな」

 

アナライザーとしては分析ロボットとしてのプライドがあるのかコンピュータールームの分析・解析コンピューターの増設になんだか納得できない様子であるが、真田としては今回のヤマトの航海では分析・解析する分野が多いからコンピューターを増設するのだとアナライザーに説明するが、やはり納得のいかない様子のアナライザーだった。

 

技術班とロボット班がコンピュータールームで作業をしている中、雪はタラップで乗員のチェックをしていた。

 

「そろそろ、相原君が来る頃ね」

 

既に南部と太田は先任士官として着任しており、第一艦橋のメンバーでまだ来ていないのは通信長の相原だけであり、司令部からはヤマトへの乗艦命令が彼に届いている筈なのでそろそろ来るはずだ。

 

ヤマトの整備も最終段階となっている。

 

あとは現在真田たちが整備しているコンピュータールームと招集された乗員たちがヤマトに着任すればヤマトはもう出航するだけとなる。

 

やがて、タラップの下には招集された乗員たちを乗せたマイクロバスが到着した。

 

「‥‥相原‥義一、ヤマト通信長として着任しました」

 

タラップには肩を落とした相原が現れた。

 

「ご苦労様です‥って、相原君。どうしたの?」

 

雪が相原の顔を見ると、彼は何故かげっそりとしており見るからに元気がなかった。

 

「確か南十字島から来たのよね?もしかして時差ボケでもしたの?」

 

「いえ、時差ボケはしていません。それに体調も悪い訳ではありません」

 

「でも、その顔はなんでもないって顔じゃないわよ?一体何があったの?」

 

「‥‥」

 

相原本人は体調不良ではないと言うが、見るからに元気が無く、しかも時差ボケと言う訳でもないので、何か訳ありと言う様子から雪が相原に事情を訊ねるが、相原は気まずそうに雪から視線を逸らす。

 

しかし、意を決したように、

 

「ゆ、雪さん、その‥話を聞いてもらえますか?」

 

相原は雪に自らが抱える葛藤を聞いてもらう事にした。

 

「ええ、いいわよ。でもそこまで元気がないなんて‥‥もしかして失恋をしたの?」

 

「‥‥」

 

雪は何となく当てずっぽうみたいな感じで相原の元気がない原因を彼が南十字島で失恋でもしたのかと問うと、

 

「いえ、それ以前の段階なんです」

 

「えっ?」

 

彼の返答に本当に失恋したのか?と思いつつもどうやら失恋した訳でもなさそうなので、とりあえず相原から事情を聞くことにした。

 

相原は第一艦橋まで行く道中で、南十字島の空港で出会った女性の事を雪に伝える。

 

「なるほど、相原君はその女性に一目惚れしたのね?」

 

「は、はい‥‥どうやらそうみたいです」

 

「でも、名前を聞かずにその女性と別れてしまった‥と‥‥」

 

「はい。分かっているのはその人が東京へ行ったって事だけで‥‥」

 

あの時、南十字島で出会った女性は東京行きの飛行機に乗って行ったが、東京に相原が出会った女性と同じ年頃の女性は大勢いる。

 

手掛かりはその女性が東京の祖父の下へ向かったと言う事だけ‥‥

 

いくら何でも『一目惚れしたこの人を探してください』と警察に頼むわけにもいかず、探偵に依頼するにしても女性の写真も無く、名前も分からず、年頃と東京に祖父が居ると言う条件だけでは捜し様がない。

 

「はぁ~‥‥ドジなんだよなぁ~俺は‥‥肝心の名前を聞き忘れるなんて‥‥」

 

せめて別れ際に互いに自己紹介でもしておけば良かったと自己嫌悪になる相原。

 

相原の言う女性が、相原と交際するかは分からないが、確かに相原の悩みは失恋以前の問題だった。

 

「ヤマトの出航も迫っているし‥‥俺はどうしたら‥‥」

 

「‥‥」

 

手掛かりもなく、ただでさえ日本国内で名前も分からない一人の女性を捜す事さえ、時間がかかる中、ヤマトの出航はもう間近に迫っている。

 

しかも今度の航海目的は第二の地球探し‥‥

 

最低一年は地球に戻れないし、万が一、第二の地球となる星が見つからなかったら‥‥

 

(私たちにとって、時間は無限じゃない‥‥)

 

そう思うと相原が葛藤するのも雪には理解できた。

 

雪が相原の悩みにどうしたモノかと思っている中、地球から離れたケンタウロス座では‥‥

 

 

ラム艦長率いるバース艦隊が、ガルマン艦隊との決戦に敗れ、母国であるバース星が既にガルマン・ガミラスに陥落した事を知る由もなく、バース星をはじめとするバジウド星系から脱出したボローズたちボラー連邦の将兵たちとボラーの保護・管理と呼ばれる支配を利用して甘い蜜を吸っていた元々の惑星の権力者たちはひたすら銀河系東部を東進し、オリオン腕へと向かっていた。

 

そんなボラー・バジウド連合艦隊はラム艦長らバース艦隊の決死の奮戦のおかげで、ガルマン艦隊に追跡されることなくケンタウロス座まで進出してきた。

 

 

ボラー・バジウド連合艦隊 旗艦 ゾルヴァ号 艦橋

 

「総督、未確認惑星国家の開拓惑星を発見いたしました」

 

ボラー・バジウド連合艦隊旗艦のゾルヴァ号のセンサーがケンタウロス座・アルファ星軌道上に存在するいくつかの人工衛星を確認した。

 

軌道上の人工衛星の存在からアルファ星がどこかの惑星国家が開拓したであろう証拠となった。

 

「またえらく辺境の惑星を開拓したモノだ」

 

「いかがいたしますか?素通りしても構いませんが、その場合ですと我々の姿を見られる恐れがあります。すでに接近し過ぎているので、ワープをしてもその反応を捕捉される可能性があります」

 

レバルスがボローズに指示を仰ぐ。

 

この場合、ボラー・バジウド連合艦隊は一時反転をしてアルファ星を大きく迂回すれば発見されることなくオリオン腕を東進する事が出来る。

 

無用な戦闘と自分たちの発見を避けるのであるならば、迂回するのが最適だったが、ボローズは、

 

「開拓したと言う事はあの惑星には人類と思われる知的生命体が存在すると言う事か‥‥よし、攻撃準備」

 

ボローズはアルファ星への攻撃を命じた。

 

「えっ?攻撃ですか⁉総督!?」

 

ボローズの攻撃命令を聞き、レバルスは驚愕する。

 

「総督、ここは迂回して我々の存在を秘匿した方がよろしいのではないでしょうか?」

 

「開拓惑星ならばたいした戦力は有していまい。我々の艦隊の戦闘力が如何ほどなのか試す絶好の標的だと思わんかね?」

 

ボローズとしてはボラー・バジウド連合艦隊の戦闘力を早い内に把握しておきたかったと言う思惑があった。

 

それに彼の言う通り、まだ発展途上の開拓惑星ならば防衛システムも完全ではなく貧弱な筈なので、味方の艦隊に被害なく、味方の戦闘力を把握することが出来ると判断した。

 

「た、確かに‥‥総督の仰る通りです。全艦戦闘用意!!」

 

ボラー・バジウド連合艦隊は戦闘態勢を取りつつ、アルファ星へと接近した。

 

そのアルファ星では当然、接近してくるボラー・バジウド連合艦隊の艦影を捕捉し始めていた。

 

 

ケンタウロス座・アルファ星 防衛軍基地 司令部 指令室

 

アルファ星に建設された防衛軍の司令部では接近してくる未確認の艦隊にてんやわんやの状態となる。

 

「接近してくる艦隊は従来の艦船データにはない未知の艦隊です!!」

 

防衛軍のコンピューターに保存されているこれまでの惑星国家が保有した宇宙艦隊と接近してくる艦隊は、ガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国、時空管理局のどの勢力とも異なる艦隊であることをオペレーターが基地司令官に伝える。

 

「艦隊にコンタクトをとってみろ!!」

 

「しかし、周波数が分かりません!!」

 

「地球とこれまでの惑星国家の周波数全てで試してみろ!!」

 

「りょ、了解!!」

 

オペレーターは接近してくる艦隊に対して防衛軍をはじめとしてこれまで地球連邦・防衛軍が接触してきた惑星国家の通信の周波数でコンタクトをとってみた。

 

「万が一の事もある、住民には直ちに避難警報を出せ!!」

 

「は、はい!!」

 

接近してくる未知の惑星国家の艦隊とコンタクトをとると同時に基地司令官は住民に避難警報を出す。

 

町には警報が鳴り響き、

 

『避難警報!!避難警報!!住民の皆さんは直ちに最寄りのシェルターへ避難して下さい!!これは訓練ではありません!!繰り返します!!これは訓練ではありません!!住民の皆さんは直ちに最寄りのシェルターへ避難してください!!』

 

軍から住民に対して避難警報の放送が流され、放送を聞いた住民たちはシェルターへ避難し始める。

 

こうした避難はガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国との戦いから住民には慣れた行為だったのか大きな混乱もなく、住民たちはシェルターへと避難していく。

 

 

ボラー・バジウド連合艦隊 旗艦 ゾルヴァ号 艦橋

 

「総督、例の惑星より、通信波が来ています」

 

「通信だと?」

 

「はい。様々な周波数で通信を送っているのですが、その中でガルマン・ガミラスと似た周波数もありました」

 

「なに!?ガルマン帝国の周波数だと!?」

 

「はい。完全に一致するものではないのですが、周波数帯がガルマン・ガミラスに似ています」

 

ガミラスがガルマン・ガミラスへ変わった後、ガルマン艦隊の使用する通信の周波数はガミラス時代のモノと若干の変更点があるもののその大本はガミラスに酷似している周波数をガルマン・ガミラスは使用していた。

 

「内容は分からないのか?」

 

「少々、お待ちください。現在、解析しております」

 

ボローズとしては万が一、この通信がガルマン艦隊への暗号通信なのではないかと勘繰り、解析を急がせた。

 

「解析が出来ました」

 

「それで、内容は?」

 

「はっ、『貴艦らの所属、及び来訪の目的を求む』‥‥以上です」

 

アルファ星から発している通信波は自分たちの所属と目的を問う内容の通信であった。

 

「目的か‥‥それは直ぐに教えてやれ!!攻撃開始!!」

 

「はっ、全艦攻撃開始!!」

 

ボラー・バジウド連合艦隊はゾルヴァ号をはじめとしてアルファ星へ次々とミサイルの雨を降らせた。

 

 

ケンタウロス座・アルファ星 防衛軍基地 司令部 指令室

 

「艦隊より、高速飛来物接近!!おそらくミサイルと思われます!!」

 

「なに!?」

 

基地のレーダーがアルファ星の近くに展開する艦隊よりミサイルの飛来を捕捉した。

 

その直後、アルファ星のいたるところにミサイルが着弾した。

 

「地表にミサイルの着弾を確認!!」

 

「これより、アルファ星近海に展開中の艦隊を敵と認識する!!戦闘衛星と攻撃ステーションを集結させ、迎撃に当たらせろ!!それと、まほろば 以下の防衛艦隊、付近のパトロール隊に救難信号を送れ!!」

 

「りょ、了解!!」

 

基地司令官は戦闘衛星、攻撃ステーションを迎撃に向かわせ、まほろば以下のアルファ星の守備艦隊をはじめとするパトロール隊へ大至急アルファ星に引き返すよう救難信号を送った。

 

 

アルファ星の状況が地球でも確認できており、ヤマトの出航を控えている防衛軍司令部でも確認できており、アルファ星の基地へ交信を行うも戦闘の影響の為か地球との交信状態が悪く、アルファ星の詳しい状況は掴めずにいた。

 

「戦況はどうなっている?」

 

藤堂がオペレーターにアルファ星の状況を訊ねる。

 

「はっ、現在、周辺の戦闘衛星と攻撃ステーションで迎撃を行っている模様ですが、詳しい状況は不明です」

 

「‥‥外惑星パトロール艦隊は出撃したのか?」

 

「はい。第十一番惑星、冥王星、アステロイドベルト基地から第二、第三、第四パトロール艦隊が出撃しました。しかし、アステロイドベルト基地からは距離があり、冥王星、第十一番惑星は反対側の位置にありますので、到着までには時間がかかるかと‥‥」

 

「それまで戦闘衛星と攻撃ステーションで持ちこたえられるか‥‥」

 

「基地の方でも まほろば以下の守備艦隊を呼び戻している筈です。外惑星パトロール艦隊の到着までには、まほろば が時間を稼いでくれる筈かと‥‥」

 

「‥‥」

 

監視衛星からの映像では戦闘衛星と攻撃ステーションは射撃場の的の様に次々と撃ち落されていく映像が司令部のモニターに映し出されている。

 

(一体、どこの勢力だ‥‥?)

 

(今度のヤマトの航海も決して安寧した航海とは言えないようだな‥‥)

 

地球がまさに滅びようとしている中で未知の艦隊が地球の開拓惑星へ突如、襲来し攻撃を仕掛けてきた。

 

ヤマトは間もなく、第二の地球を探す航海へと向かうのだが、この分ではただ単に第二の地球となりうる惑星の探査だけでは済まなそうな予感が藤堂にはあった。

 

 

アルファ星へ襲来した謎の艦隊からの攻撃と救援の知らせは、まほろばにも届く。

 

 

まほろば 艦橋

 

「艦長、アルファ星より救援要請です!!」

 

ギンガがアルファ星からの救援要請を良馬に伝える。

 

「なに!?救援要請!?」

 

救援要請と聞いて良馬は驚愕する。

 

「アルファ星に一体何があった!?」

 

ガミラスはおろか、彗星帝国、暗黒星団帝国の残党も既に太陽系から撤退し、周辺の星団からも撤退が確認されており、地球に対して逆襲をするにしてもあまりにも期間が短すぎるので彗星帝国、暗黒星団帝国が逆襲してきたとは思えない。

 

戦闘力ではかつてギンガが所属していた時空管理局は論外だ。

 

良馬はギンガにアルファ星の詳しい現状を訊ねる。

 

「謎の艦隊からの攻撃を受けているようです!!」

 

「謎の艦隊?」

 

「はい。襲来した艦隊はこれまでのデータには無い艦隊の様です」

 

「‥‥どこの勢力か不明との事だが、アルファ星が攻撃を受けているのは確かだ。急ぎ、アルファ星へ急行する。航海長、方位確認」

 

「了解。方位確認。方位策定開始」

 

永倉が現在位置からアルファ星への最短ルートを策定する。

 

「通信長、僚艦とアルファ星基地へ打電、『我、救援ヘ急行ス』だ」

 

「了解」

 

そして、ギンガはアルファ星基地へ救援へ向かう旨を打電。

 

「機関長、機関全速」

 

「機関、全速」

 

「砲雷長、戦闘用意」

 

「戦闘用意」

 

まほろば以下の艦艇は戦闘準備をしたまま急ぎアルファ星へ急行した。

 

そして、アルファ星の近海まで戻ると、敵の存在を確認した。

 

そこにはアルファ星の地表へミサイル攻撃をしている艦隊の姿が、まほろばの艦橋にあるモニターに映し出される。

 

「‥‥確かにこれまで戦ってきた勢力の艦とは違うな」

 

モニターに映し出されている艦隊の艦はガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国、時空管理局の艦艇とは異なり、全体的に丸みを帯びてずんぐりした形をした艦ばかりであった。

 

「艦長、どうしますか?」

 

地球連邦が保有する開拓惑星を攻撃している事から、彼らが地球に対して脅威となるのは明白であった。

 

敵であるなら、現在、まほろば以下の守備艦隊は敵艦隊の後方に位置しているので、この位置から攻撃をすれば敵への奇襲攻撃が可能となる。

 

これがもし、デスラーであるならばこのまま背後から強襲していたところであるが、良馬は‥‥

 

「通信長、前方の艦隊に通信を送れ」

 

「えっ!?あの艦隊に‥ですか!?」

 

良馬はアルファ星を攻撃している艦隊に対して攻撃ではなく通信を送れと言う。

 

彼の判断に新見も通信を送る役のギンガも驚愕する。

 

「艦長、お言葉ながらあの艦隊は地球連邦政府が所有する開拓惑星を攻撃しているのは事実です。ここは背後から強襲するのが最良なのでは?」

 

「確かに副長の言う通りだが、敵の勢力がどこの惑星国家かを知る切っ掛けにもなるかもしれない」

 

「それは‥そうですが‥‥」

 

良馬とて、相手に攻撃中止の要請をしたところでこう言った輩が攻撃を辞めてすんなりと引き下がるとは思えない事は知っている。

 

しかし、今はあの艦隊の情報が少しでも欲しい。

 

相手と通信をしてあの艦隊がどこから来たのか?

 

それだけでも知ることが出来れば今後の防衛策にも生かせるかもしれない。

 

「ですが、艦長。相手の周波数が分かりません」

 

未知の相手と言う事でアルファ星の基地同様、相手と通信を行うにしても相手の周波数が分からなければ通信のしようがない。

 

良馬はそこでもアルファ星の基地と同じくこれまで地球が遭遇した星間国家が使用した周波数と地球の周波数を使って相手とのコンタクトを図った。

 

まほろばからの通信は当然、アルファ星を攻撃しているボラー・バジウド連合艦隊の旗艦であるゾルヴァ号でも受信された。

 

 

ボラー・バジウド連合艦隊 旗艦 ゾルヴァ号

 

「総督、我が艦隊の後方より少数ですが宇宙艦艇が出現しました」

 

「して、その所属は?ガルマン艦隊か?」

 

「いえ、ガルマン艦隊ではありません。おそらく現在攻撃をしている開拓惑星の守備艦隊と思われます」

 

「総督、後方の艦隊より通信がはいっております。周波数も先ほど、開拓惑星より発せられた周波数と同一のモノです!!」

 

「やはり、この開拓惑星の守備艦隊とみて間違いないようですね」

 

レバルスが後方に居る艦隊が目の前の開拓惑星の宇宙防衛をしている守備艦隊であることは間違いないことが証明された事をボローズに伝える。

 

「それで、通信の内容は?」

 

ボローズはオペレーターに後方の艦隊が送っている通信内容を訊ねる。

 

オペレーターは既に通信を解析しており、すぐにボローズへ伝えることが出来た。

 

「はっ、『貴下の所属を述べ、直ちにアルファ星への攻撃を中止されたし』 『これ以上の攻撃を行うのであるならば、貴下らの行動を侵略行為とみなし、こちらも厳正に対処するモノなり』‥以上です」

 

「ふん、小癪な」

 

「いかがなさいますか?返答をなさいますか?」

 

レバルスが後方の艦隊に対して返答を行うかをボローズに訊ねる。

 

「こんな辺境の田舎蛮族に何故我々が一々相手をしてやらなければならない?」

 

ボローズは小馬鹿にした様に言うが、自分たちもガルマン艦隊を恐れ都落ちをした落ち武者にもかかわらず、ボラー連邦出身で一時は一惑星の総督と言う立場から相手を見下していた。

 

「後衛の艦隊を反転させ相手をさせろ」

 

「はっ!!」

 

ボラー・バジウド連合艦隊の後衛の艦隊は反転し、まほろば以下の守備艦隊へと向かう。

 

「敵艦隊は防御陣をとっている模様です。いかがなさいますか?」

 

後衛の艦隊と言ってもまほろば以下の守備艦隊より数が多い。

 

数で勝っている事が後衛艦隊を指揮していた指揮官の慢心を誘った。

 

「知れた事、小細工は無用、数で圧倒するまでだ!!撃て!!」

 

後衛の艦隊は主砲を撃ちながら接近してきた。

 

 

まほろば 艦橋

 

「所属不明艦隊より、通信は?」

 

「ありません」

 

良馬がギンガにアルファ星を攻撃している艦隊から返信の有無を問うが、相手からは返答はなかった。

 

「艦長、前方の艦隊に動きがあります。後衛の艦隊が戦闘態勢をとっています!!」

 

そんな中、艦隊に動きがあり、後衛の艦隊が反転しこちらを攻撃しようとしている。

 

「やっぱりそうなるか‥‥」

 

「やはり、あの時攻撃した方が良かったのでは?」

 

新見がジト目で良馬を見てくる。

 

「まぁ、今更言ったところで後の祭りじゃな」

 

井上が良馬の言葉を代弁するかのように言う。

 

「とにかく、相手がやる気ならこちらも相手をするまでだ。作戦を指示する」

 

良馬は、まほろば以下の守備艦隊に指令を飛ばす。

 

まず、まほろばの他にホワイトランサー級、パトロール艦が相手の正面に陣取り相手をし、その後方にホワイトスカウト級中型高速空母がいつでもコスモタイガーを発艦できるように待機する。

 

そして、ホワイトアーチャー級巡洋艦及びホワイトパイカー級高速駆逐艦部隊はタイミングを見計らい反時計回りに敵の側面を突くように指令を受けた。

 

「パトロール艦はまほろばやホワイトランサー級と比べて装甲が薄い。装甲が厚い本艦とホワイトランサー級は防御壁を築きつつ、敵艦隊を攻撃。パトロール艦は本艦とホワイトランサー級の隙間から砲雷撃戦を行え」

 

「敵艦隊の一部突出してきます」

 

「敵艦発砲!!」

 

アルファ星を攻撃していた一部の艦隊は反転し、まほろば以下の守備艦隊へ攻撃してくる。

 

しかし、敵艦の主砲はまだ距離があったらしく、敵艦の主砲のエネルギー波が届く前に消滅か波動防壁で防がれる。

 

「ふん、遠いわ。間合いも分からないのか?全艦十分に引き付けてから撃て」

 

「距離、8000!!」

 

「よし、撃て!!」

 

まほろば、ホワイトランサー級の主砲とミサイル、パトロール艦のミサイルが一斉に敵艦隊に向かって放たれる。

 

数で圧倒しようと密集隊形をとっていた敵艦隊は次々と被弾し、宇宙に光の花を咲かせる。

 

まほろばとホワイトランサー級が敵艦隊の正面に立ち塞がり、攻防を開始したのを見計らい、ホワイトアーチャー級巡洋艦、ホワイトパイカー級高速駆逐艦部隊は艦隊から離れ、反時計回りに迂回し始める。

 

 

ボラー・バジウド連合艦隊 旗艦 ゾルヴァ号

 

「総督、後衛艦隊の被害が甚大であります」

 

ボローズの下には敵艦隊殲滅の報告ではなく、逆に敵の逆襲を受け、後衛艦隊が受けた被害が甚大であると言う報告がきた。

 

「な、なんだと!?」

 

ボローズとしては信じられなかった。

 

数の上では自分たちの方が上である筈なのに、何故自分たちよりも数が少ない相手に大きな被害をだしたのか?

 

「総督!!」

 

「くっ、やむを得ない。開拓惑星への攻撃を中止して、本艦を含め、残りの艦も回頭!!後方の艦隊を撃滅せよ!!」

 

アルファ星を攻撃していたゾルヴァ号を含めた残りの艦も反転し、後衛艦隊の加勢に向かう。

 

「そもそも何故、少数の敵に手間取っておるのだ!?何故、簡単に殲滅出来ん!?」

 

「数が勝っているとは言え、我が方はその構成も編成比率も通常の艦隊とは異なっておりまして‥‥」

 

ボローズは味方の艦隊が、数の力を活かせていない事に対して不機嫌そうに訊ねる。

 

レバルスは、その訳をボローズへと言うが、

 

「レバルス、君はこの艦隊が無能の集まりだと言うのか?」

 

「い、いえ。決してそのような‥ですが、数ほどの働きをするには‥‥」

 

「左舷方向より、新たな敵を確認」

 

「なに!?」

 

ボローズのゾルヴァ号が後方艦隊と合流しようとした矢先、艦隊の左舷方向から新たな敵部隊を捕捉した。

 

「くっ、敵の増援か!?」

 

横っ腹を晒しているボラー・バジウド連合艦隊の艦艇にホワイトアーチャー級巡洋艦、ホワイトパイカー級高速駆逐艦部隊が敵中突破をする形でボラー・バジウド連合艦隊の艦艇に砲雷撃をくわえる。

 

ホワイトアーチャー級巡洋艦、ホワイトパイカー級高速駆逐艦部隊の敵中突破と攻撃でボラー・バジウド連合艦隊は大混乱となる。

 

「何を狼狽えている!?敵は正面の艦隊よりも少数ではないか!?」

 

ボラー・バジウド連合艦隊の混乱ぶりを見たボローズの不快指数は益々高くなる。

 

 

まほろば 艦橋

 

「巡洋艦部隊、駆逐艦部隊、敵艦隊の側面より攻撃を開始しました」

 

「敵艦隊に混乱の動きがみられます」

 

「よし、敵の混乱に乗じて一気に攻める!!全艦突撃!!空母部隊はコスモタイガーを発艦させろ!!」

 

良馬の命令を受けホワイトスカウト級中型高速空母からはコスモタイガーが次々と発艦し、近接戦闘を行う。

 

 

ボラー・バジウド連合艦隊 旗艦 ゾルヴァ号

 

「敵戦闘機来襲!!」

 

「こちらも戦闘機を出せ!!」

 

「航空隊のスクランブル準備がまだ出来ていないので、発艦にはもうしばらく時間がかかります」

 

バジウド星系からの都落ちから何事もない平穏な航海で訓練もろくに行わなかったツケがここで来た。

 

その間にもコスモタイガーとアルファ星守備艦隊の攻撃は苛烈さを増す。

 

「戦艦ガルンゼ撃沈!!レボルチ大破!!」

 

「戦艦アルゼフ通信途絶!!」

 

「空母アチャパエル撃沈!!」

 

「くっ‥‥」

 

味方の被害報告を聞きながらボローズは悔しそうに歯軋りをしながら顔を歪める。

 

「総督、このままでは‥‥」

 

「くそっ、やむを得ない!!全艦、ワープにて撤退!!集結地点、バーナード星近海!!各艦、ワープ準備が出来次第ワープしろ!!」

 

此処に来てボローズはケンタウロス座・アルファ星からの撤退を決め、集結地点を指示しワープにて撤退して行った。

 

 

まほろば 艦橋

 

「艦長、敵艦隊がワープして撤退していきます」

 

「敵を追撃しますか?」

 

「いや、逃げていく敵を追いかけるよりもアルファ星の被害の方が心配だ。艦隊の一部を周辺警戒と敵艦の残骸回収に当たらせ、その他の艦は基地へ帰還、被災者の救援に向かう」

 

良馬は敵の追撃よりも攻撃を受けたアルファ星の救援を優先した。

 

「了解」

 

「あいつら、広範囲にミサイルをばら撒いたな‥‥」

 

「ただめくら撃ちしたみたいで、被害が開拓地に集中しなかったことが不幸中の幸いでしょうか?」

 

まほろば艦橋のモニターにはアルファ星の地表の様子が映し出され、地表にはあちこちにミサイル攻撃で出来たクレーターがあり、開拓地にある建物の一部も破損し、煙や火災が起きている。

 

「それでも全くの無傷ではない筈だ‥‥通信長」

 

「はい」

 

「アルファ星基地司令部へ打電、アルファ星周辺に展開中だった敵艦隊は撤退した旨を伝えてくれ」

 

「了解」

 

ギンガはアルファ星基地司令部に通信を送る。

 

「ディアーチェ」

 

ギンガがアルファ星基地司令部に通信を送っている中、良馬は厨房に内線を入れる。

 

「ん?なんだ?」

 

「O・M・C・Sをフル稼働して、食糧の生産を行ってくれ。被災者に炊き出しを行いたい」

 

「うむ、承知した」

 

「リニス」

 

厨房の次に良馬は医務室に内線を入れる。

 

「はい」

 

「アルファ星の被害は聞いていると思う」

 

「はい。かなりの広範囲になったとか?」

 

「ああ‥映像からでは一体何人が負傷したのか分からないが、かなりの人数が出た筈だ。医療班は直ぐに負傷者の対処できるように準備をして待機していてくれ」

 

「了解しました」

 

良馬はディアーチェに被災者の炊き出しの準備、リニスには負傷者の応急手当てを直ぐに出来るように指示を出した。

 

アルファ星の守備艦隊は一部をそのまま周辺哨戒の為に残し、その他の艦はアルファ星へと降りた。

 

「まほろばより入電、本星を攻撃していた敵艦隊はワープにて撤退。現在一部の味方艦が周辺哨戒を行い、残りの艦は被災者救援の為、降下して来るとのことです」

 

「よし、入港を許可しろ」

 

「はっ!!」

 

一先ず脅威が去った事に基地司令官を含め、司令部に居た隊員たちはホッと一息ついた。

 

 

アルファ星の脅威が去った頃、地球では‥‥

 

「古代、ケンタウロス座・アルファ星がどこかの惑星の艦隊より攻撃を受けた」

 

藤堂は古代にアルファ星で起きた事件を伝える。

 

「攻撃!?それで、攻撃してきた艦隊の正体は掴めたのですか?」

 

「いや、監視衛星からの画像で、アルファ星を攻撃してきた艦隊はこれまで地球が接触した星間国家のモノではない」

 

「新たな敵‥‥と言う訳ですか?」

 

「うむ‥‥今度のヤマトの航海も決して平穏なモノにはならない事を覚悟してもらいたい」

 

「承知しました」

 

藤堂と古代がアルファ星の件で通信をしていると、

 

ウウウウウ~!!

 

ウウウウウ~!!

 

司令部に警戒サイレンの音が鳴り響いた。

 

「ん?どうした!?何事だ!?」

 

「長官、所属不明艦が地球軌道上に突如ワープアウトしてきました!!」

 

「なに!?」

 

「映像出ます!!」

 

司令部のモニターにはつい先ほどまでアルファ星を攻撃していた艦と同じ艦影の艦が映し出されていた。

 

「これはっ!?」

 

「アルファ星を攻撃していた艦‥‥」

 

モニターに映し出された艦を見て藤堂をはじめ司令部に緊張が走った。

 

 

ボラー・バジウド連合艦隊所属 ロスチラフ級航宙戦艦 艦橋

 

「ワープ計算違いで戦略外惑星の軌道上にワープアウトしてしまったみたいです」

 

「観測データによると先ほど攻撃をした植民惑星の母星と思われます」

 

「母星だと‥‥むぅ~‥‥いずれは我々が攻略する星だ。それに先ほどの借りもある。エネルギー反応が高い所を叩き、しかる後反転ワープしてバーナード星へ戻る!!」

 

「はっ!!」

 

地球圏へワープ計算違いでワープアウトしたロスチラフ級航宙戦艦は地球へ降下していき、都市部に対して砲撃とミサイル攻撃を行う。

 

この艦を指揮する艦長にしてみれば先ほどのアルファ星での戦いで破れた憂さ晴らしでもあったのだろう。

 

地球に侵入したロスチラフ級航宙戦艦は都市部を攻撃しながら北アルプスへと向かった。

 

「藤堂長官、敵艦は北アルプスへ針路を向けました!!」

 

「なに!?」

 

(まさか、ガミラスの時の様にヤマトの存在に気づいたのか!?)

 

「古代、現在地球圏に侵入した敵艦は北アルプス‥‥ヤマトへ向かっている」

 

ヤマトのイスカンダルへの最初の航海の際、まだ地表で艤装中だったヤマトはガミラスの偵察機が襲来した経緯がある為、今回の敵艦もヤマトを攻撃するつもりなのではないかと藤堂は危惧し、通信が繋がったままの古代に敵艦接近の旨を伝える。

 

「今、ヤマトに何かあってはまずい。敵は既に都市部へ攻撃を仕掛けている事から侵略目的であるのは明白だ。古代、敵がヤマトを捕捉する前にコレを迎撃せよ」

 

「はい!!」

 

藤堂は古代に敵艦撃破の許可を出した。

 

「北アルプス東南11度、上空23000m、敵艦接近、航空隊は直ちに発進し、これを迎撃せよ!!」

 

古代は山本たちヤマト航空隊にスクランブル発進を命じる。

 

北アルプスドックには周辺哨戒用に中型雷撃艇が多数配備されていた。

 

 

中型雷撃艇

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ヤマト航空隊の隊員たちは中型雷撃艇へと飛び乗っていく。

 

「揚羽、いきなりの初陣だが緊張してないか?」

 

「は、はい!!大丈夫です!!」

 

山本は雷撃艇に乗る前に今回の迎撃任務に出撃する揚羽に声をかけた。

 

揚羽にとってはこれが初の実戦になるが、覚悟は出来ているみたいだった。

 

「発進!!」

 

北アルプスドックにある山の中を刳り貫いた秘匿飛行場からは次々と中型雷撃艇が発進する。

 

中型雷撃艇の接近はロスチラフ級航宙戦艦でも捕捉した。

 

「地表より迎撃飛行隊が多数接近」

 

「引き付けて一気に撃滅しろ」

 

「はっ!!」

 

ロスチラフ級航宙戦艦と中型雷撃艇の距離が徐々に縮まっていく。

 

「敵艦距離、前方3500、坂本、椎名の隊は上方より、残りは俺に続け、全機戦闘態勢をとれ!!」

 

山本は隊を二つに分け、敵艦上方からは坂本と椎名の隊が、下方からは山本が率いる隊が襲い掛かる。

 

「攻撃開始!!」

 

中型雷撃艇からは多数のミサイルが放たれる。

 

まず上甲板に中型雷撃艇のミサイルが多数命中し、次いで左舷下方に山本隊が放ったミサイルが命中する。

 

中型雷撃艇はなおも波状攻撃をしかけてくる。

 

ロスチラフ級航宙戦艦も当然迎撃をするが、砲塔やミサイル発射口は次々と潰されて行き、艦内で誘爆が広がる。

 

「右舷第三ブロック、第八ブロック被弾!!」

 

「左舷第五ブロックも被弾!!」

 

「くっ、小さいながらもよくやる!!アルファ星でもそうだが、えらく動きの良いメカだ‥‥」

 

アルファ星で遭遇したコスモタイガーも宇宙戦闘機ながらも動きが素早かった。

 

そしてコスモタイガーよりも大きいが中型雷撃艇の運動性能は素早く迎撃が間に合わない。

 

「一番砲塔、二番砲塔被弾し、使用不能!!」

 

それは老いて動きが鈍くなったクジラに多数のシャチが群がるかのようだった。

 

「動力回路A~Gまでが破損!!」

 

「て、撤退だ!!」

 

艦長はここで勝てないと判断し撤退を指示するが、その命令は遅すぎた。

 

上昇しようとするも機関の損傷がひどく上昇するどころか艦は墜落していく。

 

「ば、蛮族共が‥‥」

 

艦長のその言葉を最後に地球に侵入したロスチラフ級航宙戦艦は爆発した。

 

空中で爆発したことでこの艦の生存者は確認できなかった。

 

「敵艦の爆発を確認。これより帰還する」

 

ロスチラフ級航宙戦艦の爆沈を確認した中型雷撃艇は次々と北アルプスドックへと戻っていった。

 

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