星の海へ   作:ステルス兄貴

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改・ガイベロン級双胴型多層式航宙母艦 (二連三段空母)


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原作の二連三段空母の武装が回転砲塔四基と貧弱な印象があったので、武装を追加して、発艦する甲板にはガイベロン級に装備されていた管制アンテナを増設しました。

ガルマンガミラス雷撃機


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原作のガルマンガミラス雷撃機の武装は機体下部の大型ミサイル一基と半ば特攻機みたいな武装なので、機首にパルスレーザーを増設しました。

ガルマンガミラス重爆機


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旧ヤマトの高速空母艦載機をメランカと異なる感じでリメイクした様な機種となっています。

ゼードラーⅢ


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原作ではバーナード星やガルマンガミラスの軍事パレードで登場した機体で空母に搭載されている場面はありませんでしたが、バンダイifシリーズのウォーシミュレーションゲーム『宇宙戦艦ヤマト』では空母艦載機扱いになっており、6ユニット24機が二連三段空母に搭載可能の設定があったので、二連三段空母の搭載機に採用しました。


百四十八話 ジュラ来訪

 

 

北アルプスのドックで整備されていたヤマトは遂に出航準備が整い、朝日を浴びながら、第二の地球を求めて地球を発進した。

 

地球を出航したヤマトは月へと針路をとり、まずは主砲の訓練射撃を行う。

 

暗黒星団帝国との戦いから幾日かが経過しており、ベテランのヤマトの乗員でも僅かなブランクがあったので、太陽系内で勘を取り戻さなければならない。

 

「命中率98%」

 

「よし、腕は鈍っていないな」

 

「だが、射撃開始まで二十五秒かかっています」

 

「かかりすぎだな。十秒後半から二十秒に短縮しなければならない」

 

この後の訓練の課題を見つけつつ、まずは新人宇宙戦士の洗礼とも言えるワープ体験をしてもらう事になる。

 

古代は艦内マイクの電源を入れて、艦内放送を行う。

 

「総員に告ぐ、これよりヤマトは火星圏までワープを行う。総員ワープ準備!!」

 

「いきなりワープか‥‥新人にはキツイんじゃないか?」

 

島が古代に言うが、

 

「だからこそ、今の内に慣れて貰わないといけないんだ。太陽系内に居るうちにやるべきことはやっておかないとな」

 

「なるほど‥‥ワープ自動装置セットオン」

 

「メインエンジン異常なし、エネルギー上昇」

 

島がワープをする為、航路をセットし、機関長である山崎が機関長席でエネルギー調整を行う。

 

「スーパーチャージャーチェック。作業をしながらで良いから聞くように!!新人である君たちも訓練校でワープについて学んだと思うが、言うまでもなくワープは時間の波の頂点から頂点へと飛んで、本来なら何日もかかる距離を一気にすっ飛ばして航行する航法だ。ただし、机上で学ぶのと実際の体験は違うぞ、ワープは便利であるが決して生易しいモノではない。失敗すればそれは死に直結する航法だ。迅速に正確に作業をするんだ!!」

 

機関室では徳川が新人たちにワープについての注意事項を説いた。

 

厨房では幕ノ内と平田がチェックボードを手に厨房の食器や調理器具をチェックしながら新人たちに指示や注意をする。

 

「ワープ時体勢。訓練校で習っただろう?そんな座り方では身体に負荷がかかるぞ。もっとシートを倒してベルトをしっかり締めろ」

 

やがて、艦内の各部署でワープ準備が整うと、

 

「カウント開始!!十、九、八、七、六、五、四、三、二、一‥‥ワープ!!」

 

通常空間から亜空間へ放り込まれる強い圧迫感がドッと新人たちの全身に襲い掛かると同時に髪の毛が総毛立ち、身体中の神経と血管がキリキリと苦痛の悲鳴をあげる。

 

この衝撃で失神したり、気分が悪くなる者が続出する。

 

実際、最初のイスカンダルへの航海で古代たち第一艦橋のメンバーも初めてのワープでは失神したし、第十一番惑星でヤマトに救助された斎藤たち屈強な身体の空間騎兵たちも失神はせずともこの衝撃でワープ酔いする者が続出したりした。

 

しかし、回数をこなすと自然とこの衝撃に身体も慣れてくるので、最初のワープ体験はまさに宇宙戦士が体験する洗礼なのだろう。

 

苦痛がフッと消えると再び通常の宇宙空間に戻る。

 

すると、ヤマトの前方には火星の姿があった。

 

「ワープ終了、現在位置、火星軌道手前‥誤差の範囲0.003。十分な許容範囲だ」

 

「よし、これより火星圏のアステロイドベルト付近で実戦訓練を行う」

 

古代はワープアウトしたばかりだが、早速訓練を行うように指示を出す。

 

ヤマトの艦首魚雷発射口からは一発のロケットが発射され、しばらくするとロケットの中からは標的用のダミー戦艦が出現する。

 

「ヤマト右舷前方二十五度に敵艦発見!!距離四万五千宇宙キロ」

 

「コスモタイガー発進用意!!」

 

パイロットルームから山本、坂本、椎名たちが格納庫にあるコスモタイガーに次々と乗り込む中、ワープ酔いで足元がおぼつかない揚羽たち新人は上手くコスモタイガーに乗れなかったり、格納庫の床に倒れたりしている。

 

「こら、肝心な時にモタモタするな!!敵は待っていてはくれないぞ!!」

 

『は、はい~』

 

新人たちはワープ酔いをする中、四苦八苦しつつもコスモタイガーへと乗り込む。

 

「コスモタイガー、発進準備完了!!」

 

「発進!!」

 

コスモタイガーは次々とヤマトから発艦する。

 

しかし、ワープ酔いが醒めない新人たちは編隊がなかなかとれない。

 

「何している!?ただちに戦闘態勢をとれ!!五番機、七番機、八番機、遅れているぞ!?」

 

『す、すみません!!』

 

四苦八苦しながらもコスモタイガー隊は戦闘態勢を取り、標的用のダミー戦艦へと迫る。

 

「敵艦発見!!これより攻撃を開始する!!」

 

山本を先頭にダミー戦艦へと攻撃を仕掛けるコスモタイガー隊。

 

コスモタイガー隊は何段にも分かれダミー戦艦へ波状攻撃をしかける。

 

「坂本隊、椎名隊、攻撃の時間にムラがあるぞ!!もっと綿密にしろ!!」

 

コスモタイガー隊がダミー戦艦相手に波状攻撃の演習を行って居る頃、ヤマトの医務室では、

 

医務科の乗員たちが負傷者役の乗員たちをストレッチャーで運んでくると、佐渡が診察をして、診察が終わった負傷者役の乗員たちは、次に医務科の乗員たちの手により薬を塗ってもらい、ガーゼ、絆創膏、湿布を貼ってもらい、包帯を巻かれ、治療が終わった患者役の乗員たちは医務室の外へ出る。

 

ただ、患者役の乗員の中には佐渡がおでこに白い三角のシールを貼られる者も居た。

 

「こら!!死んだ者は冷凍保存室じゃ!!」

 

「あっ、はい」

 

佐渡がおでこに貼った白い三角のシールは死亡者を示す天冠だった。

 

艦尾の被弾・故障とされる演習箇所では真田本人が自ら出向き、新人たちに指示を出していた。

 

「遅い!!何、モタモタしておるか!?」

 

『は、はい~』

 

「新人だからと言って容赦はせんぞ!!いいか!?ヤマトのどてっ腹に穴が開けば中に居る俺たちは真空の宇宙へ吸い出され、ヤマトは一貫の終わりだ!!素早く隔壁を閉め、消火をし、ヤマトの傷口を溶接する!!この一秒の成否がヤマトと自分たちの運命を左右するんだ!!『新人だから遅かった、間に合いませんでした』では、済まないんだぞ!!」

 

真田の檄にしごかれながら技術班の乗員たちは破損・故障箇所の応急作業を行った。

 

第一艦橋では、

 

「アステロイドベルトまであと五百宇宙キロ」

 

「もうそこまで来たか‥‥」

 

訓練に集中していたせいかアステロイドベルトまで進出して事に気付かなかった。

 

パネルには現在の演習状況が表示されていた。

 

「被弾箇所の火災鎮火」

 

「死傷者の収容完了」

 

「被弾箇所、応急修理完了」

 

「真田さん、まもなく次の演習地のアステロイドベルトです」

 

「了解」

 

「アステロイドベルトにて敵の根拠地を発見!!」

 

「コスモタイガー隊は帰還せよ」

 

「了解」

 

コスモタイガー隊へ帰還命令を下し、コスモタイガーはヤマトへと戻る。

 

「主砲発射用意!!」

 

帰還するコスモタイガーに代わり、アステロイドベルトへ接近するヤマト。

 

この無数に存在するアステロイドベルトには中型のアステロイドの中を刳り貫いて作られた防衛軍のアステロイドベルト基地の他に演習地も設置されており、そこには標的用の小さなアステロイドも存在する。

 

「方位、ヤマト左舷前方十五度、距離三百宇宙キロ」

 

「砲撃用意完了!!」

 

「撃て!!」

 

ヤマトの主砲からショックカノンが標的用のアステロイドに向かい飛んでいく。

 

各部署で演習が行われている中、土門が所属する生活班炊事科の仕事場であるヤマトの厨房では戦闘配食の弁当が作られている。

 

土門は出来上がった弁当を各部署へ運んでいた。

 

第一砲塔に来ると砲術科の乗員たちが代わる代わるでヤマトの砲をぶっ放していた。

 

(いいな‥‥俺も撃ちたい‥‥)

 

砲術科志望だった土門にとって今、第一砲塔で主砲を撃っている同期が羨ましかった。

 

そう思いつつもまずは自分の仕事を務めなければならず、土門は弁当が入ったボックスを床に置く。

 

そして主任の坂巻浪夫に声をかけた。

 

「弁当、置きます!!」

 

「おう、全員、交代で飯を食え!!あぁ~腹減った‥‥」

 

砲術科の乗員たちが代わる代わるで、主砲を撃つ者、弁当を食べる者に分かれる。

 

そんな中、土門は坂巻に声をかける。

 

「坂巻キャップ、私に撃たせてもらえませんか?」

 

「何?お前、やれるのか?」

 

「はい!!お願いします!!」

 

「じゃあ、俺が弁当を食っている間、撃たせてやる」

 

「ありがとうございます!!」

 

土門は砲術席に座り、標的用のアステロイドへ狙いをつけて主砲を放つ。

 

土門が撃ったショックカノンは標的用のアステロイドへと命中する。

 

「やった!!」

 

見事標的用のアステロイドへ命中したが、

 

「バカ、命中点を外している。まだ十年早い」

 

土門が撃ったショックカノンは確かに標的用のアステロイドに命中したが本来当てる箇所からズレていた事を坂巻に指摘された。

 

その後も演習は続き、演習時間は故に十六時間にもなる猛演習だった。

 

雷王作戦に従事した当時、新人だった北野、徳川、坂本、椎名たちの時も作戦前に演習を行ったが、今回の演習はその時の演習以上の演習だった。

 

北野たちが行った演習と今回の演習の違いは、北野たちは士官学校・訓練校を正規の時期に卒業したが、今回のヤマトの新人たちは繰り上げ卒業だったので本来の卒業までの間に行われるはずの演習をこの機会で取り戻すかのように行われたのであった。

 

演習が終わり、誰もが疲れ果てて、居室に戻るとベッドに倒れ、そのまま眠ってしまう。

 

土門も他の新人同様、疲れ、自分の部屋に戻るとベッドの上に倒れる。

 

しかし、初めてヤマトの主砲を撃ったことでまだ興奮していたので、すぐに眠気は押し寄せてこなかった。

 

「十六時間ぶっ続け‥‥全く思いやりがないなぁ~ヤマトの艦長は‥‥」

 

「疲れたぁ~」

 

同室の新人たちは疲労困憊の中、古代に愚痴ったりしている。

 

そんな中、土門は自分の拳を広げたり閉じたりしていた。

 

「おい、土門。何やっているんだ?」

 

訓練校の同期で技術班に配属になった坂東平次が土門に声をかけて来た。

 

そんな坂東に対して土門はニヤリとドヤ顔をして、

 

「さっきの演習でヤマトの主砲を撃ったんだよ」

 

「ええっ!!お前、生活班だろう?どうして主砲を撃てたんだよ!?」

 

「弁当を運んだ時、坂巻キャップに頼んだんだよ」

 

土門の発言を聞き、坂東は驚き、部署が異なる土門が何故、ヤマトの主砲を撃てたのかを訊ねると、土門は坂東に主砲を撃てた理由を自慢げに話した。

 

そして坂東のリアクションを見て、満足したのか土門はトイレに行ってから寝る事にして、トイレで用を済ませると自室へと戻る。

 

そんな中、平田の部屋から明かりが漏れている事に気づき、平田の部屋に向かうと、彼はデスクで本を読んでいた。

 

「失礼します」

 

「ん?土門か?どうした?」

 

「平田さんの部屋から明かりが見えたので気になって‥‥その机の上にあるのは何です?漫画ですか?」

 

「いや、これだ」

 

平田が土門に見せたのは『宇宙生命体の栄養学的分析』と書かれた本だった。

 

「土門」

 

「はい」

 

「見せたいモノがある。着いてこい」

 

「は、はい」

 

もう寝ようとしていた中、土門は平田に射撃場に連れて行かれた。

 

射撃場では第一艦橋のメンバーを中心に各部署の長たちが射撃訓練をしていた。

 

(あれだけの訓練の後でまだ射撃訓練を‥‥)

 

射撃訓練場での訓練を見た土門は唖然とする。

 

「こっちにはもっと凄い奴がいるぞ」

 

「えっ?」

 

平田は射撃場に隣接する訓練場へ土門を案内すると、訓練場には古代がおり、彼もまた訓練を行っていたが、この訓練場はかつて兄の守やティアナも訓練を行った場所で、電気ショックを与えてくる標的がある本格的な模擬戦用の訓練場だった。

 

「艦長‥‥」

 

「俺と古代は同期でね。務める部署は違うがそれぞれがプロフェッショナルになろうと約束した。奴もあれだけの作戦指揮をして、まだ自分を鍛えようとしている。身体を虐め抜くんだ。奴の指はヤマトの波動砲の引き金にかかる。撃ち損じたらヤマトが沈む‥‥ヤマトの破滅は地球の破滅に繋がるかもしれない。だからいつも彼に要求されるのは絶対と言うことだ。万分の一にも狂わぬ正確さを求めて柔軟な身体と精神の統一を作り上げているんだ」

 

時刻は日本時間で午前三時を示していた。

 

平田と土門は一度、炊飯室へ戻ると平田はレモンティーを淹れ始める。

 

「そりゃあ、奴だって人間だ。恐ろしいと言っている、不安だと言っている。だから鍛えるしかない。俺に出来るのは彼の為に温かいレモンティーを用意して待ってやることだけだ‥‥」

 

平田はレモンティーを用意して古代が来るのを待った。

 

やがて上半身裸で肩にバスタオルをかけ、シャワーで汗を流した古代が炊飯室へやって来た。

 

そして、平田が用意したレモンティーを一口飲み、

 

「土門、まだ起きていたのか?疲れているだろう?」

 

「はぁ‥‥疲れてはいますが、何だか、いい気持ちです。興奮しています」

 

「そうか‥‥始めは誰でもそうだ」

 

そう言って古代はカップに残っていたレモンティーを飲み干す。

 

「うまい」

 

「もう一杯飲むか?」

 

「ああ、頼む」

 

土門はレモンティーをカップに注ぐ平田に近寄り、声をかけた。

 

「平田さん、明日からはこの役‥俺にやらせてください」

 

土門の頼みに平田は笑みを浮かべて頷いた。

 

 

ヤマトが太陽系内で猛訓練を行っている中、ケンタウロス座アルファ星では‥‥

 

先日、謎の艦隊から突如攻撃を受け、アルファ星周辺に展開していた戦闘衛星と無人攻撃ステーションが破壊されてしまった事から、アルファ星の守備は有人の守備艦隊となった。

 

幸い冥王星、第十一番惑星、アステロイドベルト基地から援軍の守備艦隊が来たことから当初、アルファ星を開拓したばかりの頃と比べ駐屯する戦力は格段に上がった。

 

あの時、アルファ星を攻撃してきた謎の艦隊はその全てを撃破した訳ではなく、大半はどこかへワープして逃げて行ったので、再びアルファ星を攻撃してこないと言い切れないので、アルファ星周辺の哨戒は連日行われていた。

 

まほろばも僚艦を率いてこの日も哨戒任務を行っていた。

 

「いまだにあの時、襲撃してきた敵の正体は不明のままか‥‥」

 

星の海を眺めつつ良馬は先日、アルファ星を襲撃してきたあの艦隊について考えていた。

 

「あの時は大半を逃してしまいましたからね‥しかし、あの艦隊が再びアルファ星に攻勢をかけてくる様子がありませんね」

 

「今の所はね‥‥ただ、いつ仕掛けてくるか分からないからこうして哨戒任務を続けなければならないのだが、不安を抱えるアルファ星に居る開拓民の人たちの事を思うと、やはり敵の正体と根拠地を掴みたいものだ」

 

あの時、それなりの戦力があれば敵艦隊を逃すことなく殲滅できたと思うと悔しい思いがあるが、地球の軍備もまだ復興途上なのだと思うと贅沢は言えない。

 

あの時の艦隊との接触もなく、平穏な哨戒任務が続いていた時、

 

「っ!?艦長、前方に多数の空間歪曲反応を確認!!」

 

「なにっ!?」

 

突如、まほろば以下の哨戒艦隊の前面に多数の空間歪曲反応が現れ、次々と宇宙艦艇がワープアウトしてきた。

 

「あの時の艦隊か‥‥?」

 

先日のアルファ星を襲撃してきた艦隊が再びアルファ星へ攻勢にかけて来たのかと誰もが思った。

 

「総員、戦闘配置!!アルファ星の基地へ緊急連絡!!」

 

「は、はい!!」

 

ギンガが未確認艦と遭遇した旨をアルファ星の防衛軍基地へ連絡する。

 

やがてワープアウトした艦隊の映像が、まほろばの艦橋にあるメインモニターに表示される。

 

「ん?あの艦のシルエットは‥‥」

 

「ま、まさか‥‥」

 

メインモニターに映し出されたのは先日アルファ星を攻撃してきた艦隊ではなく‥‥

 

「ガミラスのゲルバデス級?」

 

「それにガイベロン級を二つくっつけた様な艦も居ます」

 

メインモニターに映し出されているのはガミラスのゲルバデス級とそれに似たシルエットを持つ大型の戦闘空母らしき艦が一隻にゲルバデス級が三隻、同じくガミラスのガイベロン級を二隻くっつけたシルエットをした大型の航宙母艦であった。

 

(ガミラスは既に新惑星を発見し、新型艦を建造していたのか‥‥?)

 

(いや、その判断はまだ早計か?)

 

ゲルバデス級は兎も角、旗艦と思われるゲルバデス級に似た戦闘空母に二隻のガイベロン級を合わせた大型の航宙母艦はこれまでのガミラスとの戦闘、共闘では見なかった事から新造艦であることが窺えるが未だに推測の域を脱しない。

 

(しかし、ガミラスが何故、この宙域に‥‥?)

 

問題はガミラスがどう言った理由でケンタウロス座まで進出してきたかである。

 

個人的な関係であったが、ガミラスと地球は停戦している形である。

 

しかし、終戦ではなく、あくまでも停戦の様な形なので、ガミラスが新たな居住惑星を見つけ、再び地球へ侵攻してきたのではないか?

 

そんな考えが一瞬、脳裏を過るが、ワープアウトしてきたガミラスの機動部隊ではとても地球を攻略できる戦力ではない。

 

デスラーも地球の軍備を正確に把握している訳ではないだろうが、それでも2190年代に侵攻してきた時よりも大幅に力をつけている事は知っている筈だ。

 

ガミラス側の意図が読めないが、いきなり発砲するのはまずい。

 

ガミラスが一体どう言った理由で此処まで来たのかを知るには相手と交信して訊ねなければならない。

 

「‥‥通信長」

 

「はい」

 

「ガミラスの周波数で相手と交信を求めてくれ」

 

「りょ、了解」

 

ギンガはアルファ星の基地へ緊急電を送った後、次にワープアウトしてきたガミラス艦へガミラスが使用していた周波数で通信を送った。

 

 

ガミラシア 艦橋

 

「ワープアウト完了‥‥」

 

「現在位置は、ケンタウロス座アルファ星付近の宙域です」

 

流石のガルマン・ガミラスのワープ技術力でもガルマン・ガミラス本星から地球まで一気にワープは不可能だった。

 

しかし、戦場である東部方面の宙域は極力ワープで切り抜けてきた。

 

そして、艦隊は現在ケンタウロス座付近まで進出していた。

 

そんな中、ガミラシアに通信が齎された。

 

「ジュラ様、バレル様、旧式の周波数で通信がきました」

 

通信士がジュラとバレルに旧ガミラス時代に使用されていた周波数で通信が来たことを報告する。

 

「旧式の周波数?」

 

旧式の周波数と言う事でバレルは首を傾げる。

 

「はい」

 

「それで、なんと言ってきている?」

 

バレルが通信士に通信内容を訊ねる。

 

「『停船シ、貴艦ノ所属、目的ヲ答エヨ』‥‥以上です」

 

「恐らく地球の艦でしょう」

 

ジュラには誰が通信を送って来たのか分かっていた。

 

「いかがなさいますか?」

 

バレルがジュラに指示を求める。

 

「私たちは地球との関係を築くために来ました。ここは地球側の指示に従いましょう」

 

「はっ、全艦停止。通信士、こちらの所属を相手側に送れ」

 

バレルが通信士に自分たちの所属を伝えるように指示出すが、

 

「いえ、ここは私が直接話します。映像回線を開いてください」

 

「えっ?ジュラ様自ら‥‥」

 

ジュラの行動にバレルをはじめ、ガミラシアの艦橋に居た者たちが度肝を抜かれるが、彼女の護衛兼世話係のメルダは父親であるデスラーらしい行動だと思った。

 

 

まほろば 艦橋

 

「ガミラス艦より映像通信です」

 

「分かった。パネルに回してくれ」

 

「はい」

 

ガミラスからの返答があったのだが、通信ではなく映像通信だったので、パネルに投影してもらう。

 

すると、パネルに映し出されたのは‥‥

 

「まほろばの皆さん、お久しぶりです」

 

「えっ?」

 

「あ、貴女はっ!?」

 

「じゅ、ジュラさん!?」

 

パネルに映し出された人物はデスラーの娘であるジュラだった。

 

まさかの人物の登場にまほろばの艦橋メンバーは驚く。

 

「ジュラさんがどうして此処へ?」

 

良馬はジュラにわざわざ此処まで出向いて来た訳を訊ねる。

 

「その件に関しては直接、そちらへ出向いて話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「えっ?あっ、はい‥‥分かりました」

 

「では、今からそちらへ出向きます」

 

「は、はい。お待ちしております」

 

ジュラは通信越しではなく、直接まほろばに来て自分たちが此処まで来た要件を話したいと言うので、その訳を知るにはジュラをまほろばに受け入れるしか方法がない。

 

そもそも彼女は、ジレル星人特有の性格故か嘘は言わないだろうし、彼女に対して嘘は通じない。

 

まほろばはジュラが乗艦する新型のゲルバデス級と思われる戦闘空母に横付けをしてジュラの到着を待つ。

 

一応、警戒しているのか?それともポーズなのかは分からないが、ゲルバデス級と新型のガイベロン級の航宙母艦もまほろば周辺を包囲する様な陣形を取り、地球側もパトロール艦、護衛艦も警戒態勢を取る。

 

しかし、ゲルバデス級が戦闘甲板を開いていないのでそこまで厳しく警戒している訳ではなさそうだ。

 

 

ガミラシア 艦橋

 

「じゅ、ジュラ様、些か危険ではありませんか?」

 

ジュラの行動にバレルは自重してくれと諫めるが、

 

「大丈夫です。私自身、短期間でありますが、あのまほろばに乗艦していた経験がありますから」

 

「で、ですが‥‥」

 

「バレル大使、私はモニター越しではなく、ちゃんと面と向かって地球の方々と話をしたいのです」

 

「は、はぁ‥‥」

 

「ちゃんとメルダも連れて行きますから」

 

バレルに留守を頼み、ジュラはメルダと共にまほろばへと向かう。

 

「ジュラ様、もしかしてジュラ様がまほろばへ行きたい理由はやはり‥‥」

 

メルダはジュラがまほろばへ直接行きたがる理由に心当たりがあった。

 

「あら?メルダ。私はガルマン・ガミラスの特使として赴くのよ」

 

「それならば、バレル大使でも問題はないのではありませんか?何もジュラ様御自らが赴かなくとも‥‥」

 

「上に立つ人間が率先して動かなければならない‥‥父様もそうでしょう?」

 

「‥‥ジュラ様‥‥ジュラ様は既に私の心を読んでおられ、私が何を言いたいのかもうお分かりの筈では?」

 

メルダはジト目でジュラを見る。

 

「でも、内心メルダも喜んでいるのではなくて?」

 

ジュラは直接口にするのではなく、遠回しな返答をする。

 

先ほど、メルダの言う通り、ジュラはメルダの心の声を読み取っており、彼女が何を言いたいのかちゃんと理解しているのと同時にメルダの隠された本音もちゃんと読み取っていた。

 

ジュラの返答を聞き、メルダは気まずそうにジュラから視線を逸らす。

 

「心配せずとも、ちゃんと特使としての仕事もしますから、それが終わったらまほろばの人に頼んでアレを出してもらえないか頼んでみます。勿論、メルダの分もちゃんと頼みますから」

 

「は、はい」

 

「では、行きましょう」

 

ジュラはメルダが操縦する内火艇に乗り、まほろばへと向かった。

 

ジレル星人の血が濃いジュラは地球型の空気でも平気だが、ガミラス人であるメルダはちゃんとまほろばへ向かう前に酸素適合薬を飲むのを忘れなかった。

 

 

「まさか、ジュラさんが来るなんてな‥‥」

 

ガミラス側の予想外である客人に良馬は戸惑いが隠せない。

 

「あまりにも意外過ぎる客人ですね」

 

「ああ‥‥」

 

それはまほろばの第一艦橋のメンバーも同じだ。

 

「しかし、一体何の用があって来たのでしょうね?」

 

「それは直接本人に聞いてみる事にするよ」

 

良馬はジュラを出迎えに行く為、艦橋を後にした。

 

やがて、ガミラスの内火艇がまほろばへ到着し、まずはメルダが降りてくる。

 

そして、悠々とした足取りでジュラが内火艇からまほろばの格納庫へと降り立つ。

 

彼女はデスラーのカリスマ性をちゃんと受け継いでおり、ジュラの纏っている雰囲気は以前に出会った時よりも増している。

 

「お久しぶりです。ジュラさん」

 

ジュラを出迎えた良馬は若干緊張した面持ちで彼女へ挨拶をする。

 

「はい。月村さんもお元気そうでなによりです」

 

「お話があるということですので、応接室へご案内いたします。どうぞ、こちらへ‥‥」

 

来訪理由を流石に格納庫で話す訳にはいかないので、良馬はジュラとメルダを応接室へと案内する。

 

(本当は食堂でもいいんだけどな‥‥)

 

ジュラは応接室ではなく、食堂ならば特使としての話をした後、すぐに例のモノを食べる事が出来るので、食堂でも構わないと思いつつも特使としての役目があるので、それは黙っていた。

 

「そう言えば、フォムトやリッケさん、バーレンさんたちはお元気ですか?」

 

良馬はジュラにシャンブロウに迷い込み、共闘してガトランティスと戦ったバーガーたちの事を訊ねた。

 

「はい。皆さん元気ですよ。ただ、バーレンさんは軍を退役して悠々自適な隠居生活を送っています」

 

「そうですか‥‥」

 

今回の来訪にバーガーたちは来ていないみたいだが、新惑星でバーガーたちは元気にしているようだ。

 

彼らの事を聞けてホッとした良馬。

 

やがて、応接室に着き室内にある椅子へ案内すると、

 

「艦長、失礼するぞ」

 

ディアーチェがジュラとメルダにもてなしのお茶とお茶菓子を出す。

 

ジュラはお茶菓子を一つ摘まみ、カップに口をつけ、お茶を一口飲む。

 

「さて、それではお話をお聞きしましょう」

 

そして良馬はジュラに来訪理由を訊ねる。

 

「はい。月村さんは薄々分かっていると思いますが、私たちガミラスはイスカンダルで暗黒星団帝国との戦いの後、第二の故郷を探し求める放浪の旅に出ました‥‥」

 

「‥‥」

 

「旅の終点がいつになるのか分からない果てしなく長い旅になるかと思われましたが、銀河系中心部核恒星系に来た時、ガミラスとイスカンダルに似た二連星の星を見つけました。そして、その星にはガルマン民族と言う民族が住んでいました」

 

「ガルマン民族‥‥」

 

「はい。このガルマン民族はガミラス民族と同じ民族で遠い昔、ガルマン星から一部のガルマン民族がマゼラン星雲へと移民し、ガミラスを建国したのです」

 

(なるほど、ガミラスがイスカンダルを攻撃、占領しなかったのは、大家と下宿人みたいな関係があったからか‥‥)

 

ガミラス建国の歴史を聞き、ガミラス星は昔、イスカンダルの領地だった後のガミラス星になる星を当時のイスカンダル王家が移民してきたガルマン民族に与えた恩があったのだろう。

 

ガミラスがその気になれば、イスカンダルへ遊星爆弾の雨を降らせてガミラス人が住める環境にすることも可能だった筈だ。

 

にもかかわらずガミラスはイスカンダルを攻撃せず、逆に敬う理由にはガミラスの建国にイスカンダルが関わっていたからだ。

 

「ただ、当時のガルマン星はボラー連邦の占領下に置かれており、ガルマン星の人々は奴隷扱いされておりました」

 

「ボラー連邦?聞いた事の無い勢力ですね」

 

「はい。私たちもガルマン星を発見するまでは知らない勢力でした」

 

(それにしてもあのガミラスと同じ民族であるガルマン星人を奴隷化するなんて一体どんな勢力なんだ?)

 

ジュラの話の中に出てきた『ボラー連邦』と言う新たな星間国家に嫌な予感を覚える良馬。

 

「父たちガミラスの方々は自分たち、祖先の故郷をボラー連邦から解放する為にガルマン星でレジスタンス活動をしている方々と協力し、ガルマン星からボラー連邦を駆逐し、銀河系中心部でもボラー連邦と決戦を行い、周辺の星々をボラー連邦から開放していきました。そして、解放後、父は星の名前を『ガルマン・ガミラス』と名を改めて、総統へ選出されました」

 

「なるほど、そのガルマン星やボラー連邦に支配されていた星々の人たちにとって、貴女のお父様であるデスラー総統はまさしく救世主ですからね」

 

「はい」

 

(やはり予想通り、ガミラスは新惑星を発見していたか‥‥)

 

ジュラが乗っていた新型のゲルバデス級や双胴型のガイベロン級を見る限りガミラス時代にはなかった新造艦だったので、それらの艦艇からガミラスが新惑星を見つけたのではないかと推測した良馬であったが、その時はまだ確証が持てなかったのだが、こうしてジュラから話を聞き、ガミラスが新惑星を発見したのだと確証が持てた。

 

「それで、私たちがこうして赴いた理由ですが、地球へガルマン・ガミラスの建国と地球との同盟を結びたく、私がガルマン・ガミラスの特使として赴いた次第です」

 

「えっ?地球との同盟!?」

 

ジュラの来訪目的を聞き、良馬はまたもや驚愕する。

 

「ガミラスとの一件でもちろん、地球との同盟はそう簡単に行くとは思ってはいません。ですが、父は地球との同盟を望んでいます」

 

「‥‥」

 

ジュラの言う通り、地球はイスカンダルからのコスモクリーナーで絶滅の危機から脱することが出来、ガミラス戦役前の技術を手に入れることが出来た。

 

しかし、ほんの少し前のガミラスとの戦争の過去はそう簡単には拭えない。

 

未だにガミラスに対して憎悪を持っている地球人だっている。

 

そんな中で例え国家の名前を変えたとは言え、旧ガミラスと今度は同盟を組もうと言われても『はい。分かりました』とは言えないだろう。

 

それは特使のジュラ自身も理解しているし、一介の軍人である良馬が決定できる問題ではなかった。

 

「わかりました。その件は地球連邦政府と交渉していただきましょう。ジュラさんたちの来訪はこちらから地球連邦政府に知らせておきます」

 

「分かりました。月村艦長のご厚意に感謝いたします」

 

「それで、軍人の自分としてはそのガルマン星を占領していたボラー連邦についてお聞きしたいのですが‥‥」

 

良馬の問いにジュラはメルダに視線を向け、彼女は頷くとタブレット端末のようなモノを取り出す。

 

「ボラー連邦は銀河系の一翼‥丁度オリオン腕(太陽系)の反対側に広がる広大な星間国家です。我々がガルマン星に来たばかりの頃は銀河系の半分以上の領域を支配する星間国家でした。ガルマン・ガミラス建国後、銀河系中心部は我がガルマン・ガミラスが抑えており、全体の支配領域は銀河系の30~40%ほどになりましたが、依然強大な星間国家であることにかわりはありません」

 

そして、ジュラにかわりメルダが良馬にボラー連邦について説明をした。

 

(銀河系にそのような星間国家が存在していたとは‥‥地球がいかに井の中の蛙であることを自覚させられるな‥‥)

 

タブレット端末に映るボラー連邦とガルマン帝国の勢力図を見て地球が発展途上な星間国家だと現実を突きつけられる。

 

「月村艦長。私からもよろしいだろうか?」

 

「はい?」

 

すると、次はメルダが良馬に質問をしてきた。

 

「地球艦隊は何故、ここまで進出していたのだ?何かの任務か演習なのか?あっ、勿論、軍の機密になるのであるならば、語らなくて結構だが‥‥」

 

「いえ、そこまで機密になる訳ではないので大丈夫です。現在、地球はケンタウロス座まで宇宙開拓を行っているのですが、先日謎の艦隊から突如攻撃を受けました。大半はワープで逃げられましたが、撃破した艦を調べた結果その宇宙艦艇のエンジンがガミラス製のエンジンの造りに似ている事が判明したのですが‥‥」

 

「えっ?ガミラス製のエンジン?」

 

「はい」

 

良馬はここで先日、アルファ星を攻撃してきた艦隊がもしかしたらガルマン帝国の艦隊もしくは二人が何かを知っているかもしれないと思いアルファ星を攻撃してきた艦の調査報告を含めて二人に話した。

 

「「‥‥」」

 

良馬の話を聞き、ジュラとメルダは東部方面軍の艦隊が地球の開拓惑星を攻撃したのではないかと思った。

 

地球との同盟を模索している中、旧ガミラスとの因縁もあるなかで、さらに溝を深める出来事があれば今後地球と同盟何て夢のまた夢となってしまう。

 

「その地球が開拓した惑星を攻撃した艦の画像があれば見せていただけないだろうか?」

 

「‥‥どうぞ」

 

今度は良馬がタブレット端末を操作してアルファ星で撃破した艦の画像を二人に見せる。

 

「これは‥‥」

 

「何か心当たりがありますか?」

 

「ええ、これこそボラー連邦の宇宙艦艇です」

 

「えっ?」

 

ジュラ曰くアルファ星を攻撃してきたのはガルマン帝国ではなくボラー連邦の艦である言う。

 

「しかし、この艦が仮にそのボラー連邦の艦だとして、何故エンジンの構造がガミラス製のエンジンに似ていたのでしょう?」

 

「それはボラー連邦がガルマン星を占領していた事が関係しています」

 

「と言うと?」

 

「ガミラス同様、ガルマンの方々も優れた技術力を有している星で、ボラー連邦がガルマン星を占領したのはその技術力を欲した為でした」

 

「つまり、ボラー連邦が使用している宇宙艦艇のエンジンがガミラス製のエンジンに似ていたのはガルマン星の技術が使用されていたから‥‥と言う事ですか?」

 

「はい」

 

「なるほど‥‥」

 

ジュラからガルマン星の歴史を聞き、アルファ星を攻撃してきたあの謎の艦隊の所属、そして何故、ガミラス製のエンジンに似た造りをしていたのか?

 

その謎がとけた瞬間であった。

 

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