星の海へ   作:ステルス兄貴

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今回の話の中で、管理局の”陸”における非魔導師の局員の装備等についてもし公式の設定がありましたら、自分の作中の設定と異なる形になっております。



百四十九話 ジュラ来訪Ⅱ 陸の改革案

 

 

第二の地球を探索する任務を帯びたヤマトは太陽系内で新人たち向けの大規模な演習を行っていた。

 

そんな中、ケンタウロス座アルファ星では、外宇宙から意外な来訪者一行がやって来た。

 

その来訪者はガミラスの総統、デスラーの娘であるジュラだった。

 

まほろばと接触したジュラたち一行は、来訪目的を伝えるためにジュラは護衛のメルダと共にまほろばへと赴く。

 

当然、まほろばの乗員たちも一体何の用があってジュラがわざわざ来訪してきたのか気になった。

 

そして、良馬がジュラとメルダを出迎え、応接室にて今回の来訪目的を訊ねると、彼女はまず、ガミラスが新惑星の発見と新国家の樹立を伝え、地球との同盟を提案してきた。

 

ジュラの話では現在の銀河系はデスラー率いるガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦の二分した状況となっており、先日アルファ星と地球を攻撃してきた謎の艦隊の正体はボラー連邦であることが判明した。

 

「ジュラさんたちの来訪目的は分かりました。ただ、一介の軍人である自分一人では決めかねる案件なので、この件は地球連邦政府と防衛軍司令部へ報告させていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「はい。構いません」

 

ジュラからの了承を受け、良馬は今回のジュラたち一行の来訪目的と先日、アルファ星を攻撃してきた名の艦隊の正体を地球の防衛軍司令部とアルファ星基地の司令部に知らせる事にした。

 

「あ、あの‥‥月村艦長」

 

「はい?何でしょう?」

 

来訪目的を告げ、やる事をやり終えたジュラは遠慮がちな様子で良馬に声をかける。

 

「あの‥‥実は、私とメルダがまほろばへ来たのはもう一つ目的があるのですが‥‥」

 

「えっ?」

 

ジュラは今回の来訪目的を告げること以外にまほろばへ来た目的があると言う。

 

しかもジュラだけでなく、メルダにも何か目的があるみたいだ。

 

女性とは言えメルダは軍人なので、まほろばの何か軍事機密に属するモノを見たいとでも言うのだろうか?

 

「な、何でしょう?」

 

とりあえず、その目的を聞かなければ分からないので、良馬はジュラにその目的とやらを訊ねる。

 

ただ、心なしかメルダは『自分を巻き込むな』と心外そうに顔を小さく歪めているように見えた。

 

「実はまほろばで食べたあの『パフェ』なる食べ物を食べたいのですが‥‥」

 

「ぱ、パフェ‥‥?」

 

ジュラたちのもう一つの目的がまほろばの食堂で提供されているパフェを食べたいと言う事実に良馬は唖然とする。

 

「ダメ‥でしょうか?」

 

「い、いえ‥それぐらいなら‥‥」

 

「よかった~実は、私もメルダも以前、まほろば で食べたあの『パフェ』の美味しさの虜になっておりまして‥‥またあの味に出会える日を一日千秋の思いで待っていました」

 

パフェが食べられると言う事でジュラの目は輝いているように見えた。

 

メルダの方も小さくガッツポーズをしている。

 

(第二の故郷となった星にはパフェがないのか‥‥)

 

(まぁ、地球と異星だし、食文化の違いってやつかな?)

 

良馬はガルマン・ガミラスにはジュラとメルダの好物なるパフェが存在しない事がジュラの発言から窺えた。

 

二人のまほろばへの来訪目的が軍事機密とは全く関係なく食堂に行けば普通に提供されている食べ物なので、問題はなく、良馬はジュラとメルダにパフェを提供することに了承を出した。

 

そして、応接室からまほろばの食堂へ移ると、二人は早速パフェを注文した。

 

それからしばらくして‥‥

 

「‥‥」

 

「お主らは一体何杯食べるのだ?あまり食べ過ぎると腹を壊すぞ」

 

ジュラとメルダのテーブルには空になったパフェグラスがたくさん置かれていた。

 

そんなテーブルの状態に良馬は言葉を無くし、ディアーチェは呆れつつも二人の腹具合を心配して忠告している。

 

「それは分かっているのですが‥‥」

 

「止めたくてもこの手が止まらんのだ‥‥」

 

しかし、二人にしてみれば久しぶりのパフェであり、次はいつ食べられるのか分からないので、ここで食い溜めしたかったのだ。

 

「ふぅ~‥‥大変に美味しかったです」

 

「やはり、このパフェなる食べ物は宇宙の宝だ‥‥」

 

心ゆくまでパフェを堪能し、備え付けの紙ナプキンで口元を拭うジュラと空になったパフェグラスを見つめながら改めてパフェの存在を褒めるメルダ。

 

「い、いえ‥‥それでは、自分は地球とアルファ星の基地へ連絡を入れてきますので、もうしばらくお待ちください」

 

「はい。お願いします」

 

良馬は地球の防衛軍司令部とアルファ星の基地司令部へ今回のジュラたち一行の来訪目的を伝えに艦橋へ戻った。

 

なお、その間にジュラとメルダはパフェをたくさん食べたのでお腹が冷える事を心配したディアーチェがハーブティーを出してそれを飲んでいた。

 

「あっ、艦長」

 

「それでガミラスさんの用って一体何だったんですか?」

 

まほろばの艦橋メンバーも当然、ジュラたちの来訪目的は気になっていたので、艦橋へ戻って来た良馬に早速訊ねてきた。

 

「ああ、それについてはこの後でアルファ星の司令部と地球へ知らせるが、まずは皆に伝えておこう」

 

良馬は艦橋メンバーに今回のジュラたち一行の来訪目的を伝えた。

 

「なるほど、ガミラスは既に新惑星を見つけて新国家を築いておったか‥‥」

 

「しかも銀河系中心部では勢力を二分する程の大国家になっているとはね‥‥」

 

「それにもう一方の勢力は先日、地球とアルファ星を攻撃してきたあの艦隊が所属していた国家だなんて‥‥」

 

「もしかして、それでデスラーは地球と同盟を結ぼうと‥‥?」

 

「デスラー総統の真意は分からないけど、確かに地球と同盟を組めば自軍の戦力と技術の強化になるしね‥‥」

 

艦橋メンバーは良馬からの話を聞き驚きが隠せなかった。

 

イスカンダルでの共闘からこんなにも僅かな期間で新国家を建国させた事、

 

しかもそれが銀河系を二分する程の強大な星間国家へ成長させた事、

 

地球との同盟を画策している事、

 

そしてデスラーが新たに建国した星間国家の他に銀河系にはもう一つの強大な星間国家が存在し、その星間国家に所属する艦隊が先日アルファ星と地球を攻撃してきた事、

 

いずれにせよ、この件は地球へ報告することになるが、藤堂も連邦政府大統領もきっと驚くだろう。

 

「とりあえず、今回のジュラさんたちの来訪目的をアルファ星基地の司令官と地球へ報告しよう。通信長」

 

「はい」

 

「防衛軍司令部とアルファ星基地へ通信回路を開いてくれ」

 

「了解」

 

ギンガは地球とアルファ星へ通信回路を開き、良馬は藤堂とアルファ星の基地司令官へジュラたちが来訪した事、そしてその来訪目的を伝えた。

 

良馬の話を聞いて藤堂もアルファ星基地の司令官も予想通り驚いていた。

 

「まさか、ガミラスがこの短期間で新国家を建国するとは‥‥」

 

「そしてボラー連邦か‥‥」

 

未だに自分たちの知らない宇宙‥‥銀河系の中心部でデスラーが建国した新国家、ガルマン・ガミラスとボラー連邦が激しい星間戦争を行っている事実を知り、藤堂長官はヤマトに課した第二の地球探査任務は宇宙環境の他にこの二つの星間国家との戦争に巻き込まれるのではないかと危惧した。

 

実際に地球とアルファ星はそのボラー連邦所属の宇宙艦隊に攻撃を受けたのだから‥‥

 

しかし、アルファ星の攻撃については多少事実と異なっていた。

 

地球とアルファ星を攻撃してきたのは正確にはボラー連邦所属の宇宙艦隊ではなく、ボラー連邦から脱走した集団と言える艦隊だった。

 

その艦隊が所属していたボラー連邦では‥‥

 

 

ここで時系列は少し時間を過去に戻す。

 

バース星の陥落の報告はガルマン本星に届けられたのと同じく、バース星を実効支配していたボラー連邦本星にも届けられた。

 

「なんだと!?バース星がガルマン・ガミラスの手に落ちただと!?」

 

「はい。彼奴等の通信を傍受した結果、東部戦線所属の艦隊からガルマン本星と東部方面軍司令部へバース星を陥落させた通信を送っておりました」

 

「お、おのれぇ~奴隷共の分際で我が神聖なる領土を侵すとは~‥‥」

 

ゴルサコフがベムラーゼにバース星陥落の報告をするとベムラーゼは烈火の如く憤慨した。

 

とは言え、このバース星の陥落についてはボラー側も決して無関係ではなかった。

 

ガルマン星をはじめとする銀河系中心部をデスラーたち旧ガミラス陣営とガルマン星でレジスタンス活動をしていたガルマン人たちに取られた時点でバース星をはじめとするバジウド星系のボラー連邦系の星々は分断されて孤立した点となってしまった。

 

そんな孤立している状況下にもかかわらず、ボラー連邦本星はバース星をはじめとするバジウド星系のボラー連邦系の星間国家に対して援軍を送らず半ば彼らを見捨てた形であった。

 

それにもかかわらず、陥落した事について憤慨するのは何か間違っている気がする。

 

「ゴルサコフ」

 

「はっ」

 

「バース星陥落の責任は君にある。君は国家中央作戦室の責任者なのだからな」

 

するとベムラーゼはバース星の陥落の責任をゴルサコフにあると言い放つ。

 

「御意、立場上の責任を取るのはやぶさかではありません。しかしながら私は銀河系中心部がガルマン・ガミラスに制圧されかけた時に首相閣下へバジウド星系への援軍を進言したしました」

 

しかし、ゴルサコフは冷静に言い返す。

 

「ほう?君はバース星陥落の責任は私にあると言うのかね?」

 

「無論です。首相閣下は我がボラー連邦の軍における最高司令官なのですから‥‥」

 

「き、貴様‥‥」

 

ゴルサコフはバース星陥落の責任は自分一人だけではなく、ベムラーゼにもあると言うのだから、ベムラーゼの額には憤怒の血管が浮き出て側近たちは戦々恐々している。

 

「ですが、より多くの責を担うのが、現場の指揮官であることは明白です」

 

だが、ゴルサコフはここで切り返す。

 

「ぬぅ~‥‥ボローズたちはどうなった?」

 

「艦隊を率いてバース星を出た後、行方不明となっております。恐らくガルマン・ガミラスの艦隊に撃破されたモノと思われます」

 

「それでは、彼奴等に責任を取らせる事が出来ぬではないか!?」

 

ボローズが既に戦死している可能性からバース星陥落の責任を取らせることが出来ない事にまたもや憤慨するベムラーゼ。

 

「本星にある彼ら一門の全財産を没収し、それを戦没者基金として運用する‥‥無能な指揮官の一罰百戒になると同時に首相閣下への国民の信望も厚くなるかと‥‥?」

 

しかし、ゴルサコフは代案をベムラーゼに提案し、自身に降りかかりそうになった責任問題をボローズたちに被せた。

 

「フフ、面白い。いいだろう‥‥ゴルサコフ‥君の提案を採用しようではないか」

 

ベムラーゼは憤慨していた様子から一転し、不敵な笑みを浮かべ、ゴルサコフの提案を採用した。

 

ゴルサコフの言う『国民からの信望』と言う言葉に動かされたのだ。

 

領地を奪われた責任についてもボローズたちに被せる事により、自身の支持率の低下には繋がらず、逆にボローズたち一門の資産を戦死した遺族へ分配することにより逆に支持率を上げられる算段があったからだろう。

 

ただこの時、ボローズはまだ生きており、自身に賛同する者たちと共にオリオン腕方面へひたすら東進していたのだが、ゴルサコフも仮にボローズが生きていたとしても敗残兵となった彼らがガルマン・ガミラスの包囲網を命からがら突破してボラー連邦本星に戻って来るなんて絶対にないだろうと見越していたのだ。

 

それからすぐにボラー連邦本星にあるボローズたち一門の家系は突如、途絶える事になった‥‥

 

 

そして、時系列は元に戻り、場面はケンタウロス座アルファ星近海へ移る。

 

「流石にガルマン・ガミラスとの同盟については一介の軍人である自分には決断しかねますので、その点に関しては申し訳ございませんが藤堂長官及び大統領ら地球連邦政府の閣僚たちの判断にお任せいたします」

 

ジュラの来訪目的である地球とガルマン・ガミラスとの同盟について、良馬はその決断を地球連邦政府へと委ねた。

 

軍人としてはガルマン・ガミラスとの同盟よりもボラー連邦の方が興味と言うか今の地球における重要度が高かった。

 

「そして、特使より齎されたボラー連邦の情報ですが、アルファ星へ攻撃し、一部を撃退した以降、音沙汰がありませんが、その大半はまだ存在しているのでアルファ星近海は油断できない状況が続いております」

 

「うむ‥銀河系を二分する程の星間国家だ‥‥今後もアルファ星へ攻撃をしかけてくる可能性は十分あると言う事か‥‥」

 

「はい。それにアルファ星への攻撃はあくまでも前哨戦であり、今後は本格的に太陽系へ牙を向けてくる可能性もあります。実際に一隻の戦艦が地球圏へワープアウトをして、日本のライフラインを攻撃したと聞きました」

 

「そうだな‥‥アルファ星や第十一番惑星、冥王星には可能な限りの防衛戦力を割り振る事にしよう」

 

「もし、地球への航路確保ができるのであるならば、今の内にアルファ星の民間人を地球へ避難させた方がこの場合賢明ではないでしょうか?」

 

良馬は藤堂にボラー連邦の攻撃が本格化する前に現在地球から最も遠距離の開拓地であるこのアルファ星に居る民間人の安全確保のため地球へ一度引き揚げさせてみてはどうかと提案する。

 

「むっ?‥‥うーん‥‥それはそうなのだが‥‥」

 

アルファ星に赴任していた良馬は現在太陽系で起きている太陽異常について一切知らされていない。

 

破滅するかもしれない地球へ民間人を戻すことは危険でもあるが、ボラー連邦の艦隊が再びアルファ星へ攻撃を仕掛けてこないとも言い切れず、アルファ星に居ても民間人を危険に晒す可能性もある。

 

藤堂としてはいきなり舞い込んできたガルマン・ガミラスとの同盟の件もあるが、破滅するかもしれない地球にヤマトへ課した第二の地球の探査任務、そしてアルファ星の民間人の安全にも配慮しなければならなくなり、重大な責任が伴うがやらなければならない仕事が重なり、胃がキリキリと痛む様な思いだった。

 

そんな藤堂の様子を見て良馬は、

 

(ん?長官の様子‥‥なんだか煮え切らない感じだな‥‥)

 

(民間人を地球へ帰す事に何か問題があるのか?)

 

民間人の地球への一時引き上げについて、軍人視点ならば本来即決する様な案件なのだが、藤堂は即決せずに煮え切らない様子だ。

 

「月村君」

 

「はい」

 

「民間人の地球への引き上げについてだが、アルファ星から地球までの航路の安全が未だに確保できていない状況下では民間人の地球への輸送には未知の危険が伴う。故に民間人の地球への引き上げについてはしばらくの間延期とする」

 

「えっ?」

 

藤堂はアルファ星に居る民間人の地球への引き上げについては見送る判断を下した。

 

「だが、アルファ星に居る民間人の安全には十分配慮する。シェルターの建設に必要な機材、戦闘衛星、攻撃ステーションの大幅な設置も手配しよう」

 

「わ、分かりました」

 

良馬の方も煮え切らない思いがありつつもアルファ星の防衛強化と避難設備の増設をしてもらえるならば、今はそれを良しとした。

 

一方で藤堂は、

 

(ボラー連邦か‥‥銀河系にデスラーが建国した星の他にそのような星間国家があるとは‥‥)

 

(ヤマトが銀河系中心部へ行けば行くほど宇宙環境の他にこのボラー連邦とデスラーとの星間戦争に巻き込まれる可能性もある訳か‥‥)

 

ヤマトが第二の地球探査へ向かうのは銀河系中心部なので、銀河系の中心部へ近づけば近づくほど、ガルマン・ガミラスとボラー連邦との間で起きている星間戦争にヤマトが巻き込まれる可能性が十分にあった。

 

(ここはヤマト単艦ではなく、月村のまほろばをヤマトの護衛として一緒に探索任務に向かわせた方がいいだろうか?)

 

(報告では先のイスカンダルでの航海で月村は今回の特使であるデスラーの娘と交流を持っているみたいだしな‥‥)

 

藤堂は銀河系中心部で起きているガルマン・ガミラスとボラー連邦との星間戦争を考慮してヤマト単艦だけではなく、まほろばをヤマトの護衛として第二の地球探査任務に向かわせようと思った。

 

実際に良馬はジュラやバーガーたちと交流がある。

 

そして、今回特使として地球へ来たのはそのジュラであることから良馬を待通じて銀河系中心部までの航路図を貰えるかもしれない。

 

藤堂がまほろばにヤマト護衛の任務を与えようと思っていると、

 

「しかし、ジュラさんたちガルマン・ガミラスからの特使は長官や連邦政府大統領らと直接会って同盟の件について会談したいと思いますが?」

 

良馬が藤堂にジュラたちと連邦政府の高官たちの面会を求める。

 

「分かった。その件についてはこの後、私が大統領に連絡をしておこう。大統領府の返答があるまで特使たち一行はアルファ星で待機してもらいたい」

 

「了解しました」

 

同盟の会談をするにしても大統領たち連邦政府らの閣僚との調整も必要でありいきなりジュラたち一行を地球へ連れてこられても連邦政府がガルマン・ガミラスとの同盟を拒否する可能性もあるので、ジュラたちには連邦政府の決定が下るまで一時アルファ星で待機してもらった。

 

藤堂との通信を終えた良馬は再び食堂へ戻り、ジュラたちに地球側の対応について説明しに行った。

 

「お待たせしました。先ほど防衛軍の長官と地球側に今回、ジュラさんたちの件を話しました。ただ、地球側も直ぐには対応できないみたいで、準備が整うまでケンタウロス座のアルファ星で待機してもらいたいとの事です」

 

「わかりました」

 

「では、我々が先導いたします」

 

ガミラシアに戻ったジュラとメルダはバレルに地球側の対応を伝えた。

 

そして、まほろばが先導してガルマン・ガミラスの特使団一行をアルファ星へと案内した。

 

まほろばがジュラたち特使団一行をアルファ星へ案内している中、藤堂は先ほど良馬から受けた通信内容を早速大統領府へと伝えた。

 

 

地球 地球連邦大統領府

 

「大統領閣下、藤堂長官より映像通信が来ております」

 

地球連邦大統領が大統領府の執務室にて執務作業をしていると、内線で大統領秘書官が大統領に藤堂から連絡が来たことを告げる。

 

「ん?藤堂長官から?‥‥繋いでくれ」

 

「承知しました」

 

(また例の太陽異常の件か?やれやれ、防衛軍の長官職何かに就いていると些細な事でも大袈裟にとらえる程の重度な心配性になるのだな)

 

大統領は先日、サイモン教授や倉田博士、藤堂から現在太陽で起きている核融合の異常増進における太陽異常の話を聞いたが、太陽エネルギー省の黒田博士が提唱する自然現象説を信じ、太陽の異常は一時的なものだと信じていた。

 

そんな中、藤堂から通信が来たので、大統領が藤堂の要件がまた太陽異常の件なのかと思うのも不思議ではなかった。

 

正直に言って大統領は面倒だと思いながらも藤堂は地球防衛に関する役職に就いているので無下には出来なかった。

 

「大統領閣下」

 

「どうかしたのかね?藤堂長官。また例の太陽異常の話か?」

 

「いえ、今回はその件とは別の件でお話しがあります」

 

「ほう?それはどんな要件なのかね?」

 

「大統領閣下は先日、地球に突如飛来し日本のライフラインを攻撃した謎の宇宙戦艦とケンタウロス座にある開拓惑星を攻撃した謎の艦隊の話を既にご存知かと思います」

 

「ああ、報告は受けておるよ」

 

「実はその地球とケンタウロス座の開拓惑星を攻撃してきた勢力が判明しました」

 

「ほう?それで、攻撃をしてきた勢力は一体どこの勢力だったのかね?」

 

「その件を含めまして二つ、大統領閣下にお話がございます」

 

「ん?」

 

「まず、地球とケンタウロス座の開拓惑星を攻撃してきた勢力についてですが、その勢力はボラー連邦と言う星間国家であることが判明しました」

 

「ボラー連邦?」

 

「はい」

 

「して、どのような経緯があって判明したのだ?」

 

大統領は藤堂に攻撃してきた謎の艦隊がボラー連邦と言う星間国家だと判明した経緯を訊ねる。

 

「襲撃してきた勢力が判明した経緯については、もう一つお伝えしたい件と関係しております」

 

「ん?それはどういうことだ?」

 

「実はつい先ほど、ケンタウロス座の開拓惑星に外宇宙からある特使団が参りました」

 

「特使団?それはもしかして年始年末に報告があった例の時空管理局とやらかね?」

 

管理局の存在は防衛軍からの通達で地球連邦政府、大統領も周知の事実となっていた。

 

そのため、ケンタウロス座のアルファ星にやってきた特使団が時空管理局の一行だと思っても不思議ではなかった。

 

(時空管理局か‥‥軍からの報告では、彗星帝国の様に植民地を多数保有している治安維持組織のようだが、印象的にはあまり付き合いたいとは思えない組織だな)

 

大統領でさえ、時空管理局の存在やその在り方については疑問を抱いており、やってきた特使団が時空管理局の場合、一体地球へ何を要求してくるのは分からないがどうせ碌な事ではないだろうと思っていた。

 

「いえ、その特使団は‥‥」

 

「特使団は?」

 

「ガミラスからの特使団です」

 

「何ぃっ!?ガミラスだと!?」

 

大統領は特使団の正体を聞き思わず椅子から立ち上がる。

 

やってきた特使団は時空管理局ではなく、かつて地球を絶滅寸前まで追い込んだガミラスからの特使団だった。

 

「正確に言うと旧ガミラスからの特使団です」

 

「旧ガミラス‥だと?」

 

「はい。ガミラスは第二次イスカンダルの航海でヤマトらの共闘の後、銀河系中心部へ第二の故郷を求めた所、新惑星を発見し新たな国家を建国したようです」

 

「‥‥」

 

「今回の特使団はその新国家の建国を知らせると共に地球との同盟を結びたいとの事です」

 

「地球との同盟‥だと?」

 

「はい」

 

「‥‥」

 

外宇宙からの特使団の目的を聞き、大統領は怪訝な顔だ。

 

大統領の反応も当然であり、依然ガミラスは地球に対して地球人類の奴隷化か絶滅の究極の二択を迫り、地球側が徹底抗戦の選択をすると地球人類を含め地球に存在する全生物を一年で絶滅寸前まで追い込んだ。

 

その元凶が今度は地球と対等な関係の同盟を結びたいと言ってきたのだから複雑と言うか信じられない。

 

「それで、返答は?」

 

「いえ、これは何分あまりにも大きな決断が必要な案件ですので、ひとまず特使団の方々はケンタウロス座の開拓惑星で待機してもらっています」

 

さすがに防衛軍司令長官とは言え、勝手に地球とガルマン・ガミラスとの同盟を結ぶ決定は下せず、こうして大統領に連絡を入れて来たのだ。

 

「うむ、それは賢明な判断だろう」

 

「今回の同盟の話は私や大統領、地球連邦政府閣僚を含めた見解の一致が必要不可欠な案件かと?」

 

「だがな、藤堂長官。連邦市民の中には未だに反ガミラス感情の市民が大勢居る。家族や大切な者を一方的にガミラスへ奪われたのだからな。そんな市民たちの前でガミラスとの同盟を発表すれば暴動が起きるかもしれないぞ」

 

「は、はい‥‥」

 

「いや、市民の暴動なら兎も角、軍がクーデターを引き起こす危険性もあるのではないか?」

 

「ええ、その可能性は否定できません」

 

「ならば、答えは既に決まっているではないか。特使団には早々にお引き取りいただけ」

 

「ですが、会談の場を設けずに特使団を追い返しては地球の心象が悪くなるのではないでしょうか?」

 

「‥‥」

 

「ここは形だけでも会談の場を設けてはどうでしょうか?」

 

「‥‥」

 

藤堂の指摘を受けて大統領はまたもや怪訝な顔をする。

 

大統領の反応を見る限り、ガルマン・ガミラスとの同盟話は一筋縄ではいかないだろうと藤堂は予測した。

 

だが、良馬から報告を受けた銀河系を二分する勢力‥ボラー連邦の存在を危惧するのであるならば、ガルマン・ガミラスとの同盟は今後の地球にはひつようなのかもしれないが、連邦市民の感情ではそう簡単にいかないのも致し方無い事だった。

 

地球側としては何だか無理矢理会談の席に着かされた形で特使団との会談に臨むことになった。

 

ただ、こうしている間にも太陽では核融合の異常増進が続いていた‥‥

 

 

藤堂が地球連邦大統領府へ連絡を入れている頃、まほろばの先導の下、ガルマン・ガミラスの特使団一行の艦隊はケンタウロス座、アルファ星へとやって来た。

 

肉眼でアルファ星が確認できる中、通常の宇宙空間から突如、世界大戦中にドイツが建造したUボートとガミラス艦を併せ持った様な外見の艦が次々と出現した。

 

「が、ガルマン・ガミラスの小型艦艇らしき艦が次々と出現しました!!」

 

「レーダーに反応はなかったのか!?」

 

「は、はい。突然現れました!!」

 

「ワープアウトしてきたのか!?」

 

「い、いえ、それがワープアウト反応もありません」

 

いきなり出現してきたガルマン・ガミラスの艦艇の出現にワープアウトを疑うもワープアウト反応がなく、一体これらの艦艇がどこに潜んでいたのか戸惑う中、

 

(あの艦‥なんだか潜水艦‥‥Uボートに似ているな‥‥ん?まさか‥‥)

 

良馬は突如出現した艦影が潜水艦に似ている事から、

 

「副長、ヤマトと彗星帝国の潜宙艦の戦闘データから潜宙艦の出現パターンの波長と先ほど出現したガルマン・ガミラスの艦の出現パターンの波長を調べてみてくれ」

 

「は、はい」

 

新見は良馬の指示を受け、保存されている過去の戦闘データから、ヤマトと彗星帝国の潜宙艦との戦闘データを調べる。

 

すると、彗星帝国の潜宙艦の出現パターンの波長と先程出現したガルマン・ガミラスの艦艇の出現パターンの波長が完全に一致とはいかないまでも物凄く似た波長となっていた。

 

「艦長、彗星帝国の潜宙艦とあの艦の出現パターンの波長は、物凄く似ている波長となっていました」

 

「やはり‥‥あれはガルマン・ガミラスの潜宙艦だ‥‥」

 

「ガルマン・ガミラスの‥‥」

 

「潜宙艦‥‥」

 

「ああ。デスラーは一時、彗星帝国の下に身を寄せていた。その際、彗星帝国と技術交換をしていたんだろう‥‥土星圏とシャンブロウで戦った彗星帝国の戦艦は瞬間物質転送機を装備していた‥‥反対にガミラスは潜宙艦の建造技術を彗星帝国から得ており、新国家を建国した後に建造したのだろう」

 

「あれが、ガミラスの潜宙艦‥‥」

 

「た、確かに潜水艦に似た外見をしていますね」

 

「じゃあ、突然出現したように見えたのは‥‥」

 

「亜空間に潜んでいたが通常空間に浮上したからだろうね」

 

良馬の説明を聞き、納得する艦橋メンバーだった。

 

(それにしても予想通り、ガミラスでも潜宙艦を建造していたか‥‥)

 

以前、彗星帝国の潜宙艦を鹵獲した際、ガミラスも潜宙艦技術を得ており、新たな星間国家を建国した時には建造するかもしれないと思っていたが、まさに良馬の予想は当たっていた。

 

(ガルマン・ガミラスとの同盟‥‥市民感情的には難しいし、ボラー連邦との星間戦争に巻き込まれるかもしれないが、その反面、ガミラスからの優れた技術を得られるかもしれない。ガルマン・ガミラスとの同盟は地球にとっては諸刃の剣になるな‥‥)

 

この後に控える地球とガルマン・ガミラスの同盟について良馬は一喜一憂するのであった。

 

 

アルファ星の地表は先日のボラー連邦からの攻撃で町の建造物はあちこち破損し、荒野にはいくつものクレーターが出来ていた。

 

そんな中でガルマン・ガミラスの特使団一行がアルファ星へ来るのは既に藤堂から通達されており、基地司令官ら幹部級の職員たちは緊張した面持ちで特使団の到着を待っていた。

 

 

地球でガルマン・ガミラスとの同盟についての会談が決定する少し前、ミッドチルダの地上本部の会議室の一室では、ロールスロイス中将をはじめとする“陸”の幹部たちが集まり会議を行っていた。

 

“海”にて密かにミノフスキー博士の協力の元、新型の宇宙艦船のエンジンを研究・開発が行われているように、“陸”の方でも新型の装備の検討会議が行われていた。

 

なお、“空”に関してはフェイトが将来的に導入した方が良いのではないかと思っている防衛軍で採用されているコスモゼロやコスモタイガーみたいな宇宙・大気圏でも飛行可能な戦闘機の導入を当然見送り、現在はボラーへの武力制裁失敗で失われた空戦魔導師の育成に力を注いでいる。

 

「現在“海”では先のボラーへの武力制裁失敗の件で喪失した艦の補填と新たな艦の建造を模索しているらしい」

 

「“空”に関しては新たな装備を開発する動きはなく、空戦魔導師の育成に留まっております」

 

「我々“陸”に関しても新たな装備を開発して行こうと思う」

 

「しかし、“海”の連中がそれを許すでしょうか?」

 

幹部の一人がロールスロイスに“陸”の装備開発に関して“海”が新装備の開発費をすんなりと許すだろうか?と言う懸念があった。

 

ボラーへの武力制裁前でも“海”は多額の予算に人材を優遇されていた。

 

そして、ボラーへの武力制裁が失敗して、所有していた次元航行艦を多数喪失し、管理世界の治安維持及び管理世界になりうる世界の探査もままならない現状で、“海”は“空”“陸”よりも人材、予算を優先で得ようとするので、そんな中で“陸”が新たに装備を開発したいので、その開発費を貰いたいと言ったところでその予算がおりるのか疑問なところだ。

 

「いや、“海”がこれまでの管理局の歴史の中でも弱体化している今だからこそだ」

 

しかし、ロールスロイスは幹部の懸念を他所に“海”が物凄く弱体している今だからこそ、“陸”が新たな装備の開発費を貰えるチャンスなのだと言う。

 

「そ、それはどういう事でしょう?」

 

ロールスロイスの真意が分からず幹部がロールスロイスに直接訊ねる。

 

「“海”は艦も人材も不足しており、これまで以上に“空”“陸”から人材を廻してもらいたい筈だ。故に我々“陸”は人材を“海”は廻す見返りとして新装備の開発費を廻してもらうのだよ」

 

「な、なるほど‥‥」

 

予算確保の名分を得た“陸”は次に何を開発するかの議題に移る。

 

「魔導師の局員がこれまで通り“海”へ引き抜かれると非魔導師の局員も今後は事件現場へ赴くことになる。そんな事件現場に丸腰のままで行かせるわけにはいかない」

 

ロールスロイスは会議に集まる“陸”の幹部たちを見渡しながら今後の“陸”の局員らが境遇する事態を口にする。

 

彼の言葉を聞き幹部たちは頷く。

 

「これまで摘発されたテロリストが使用していた質量兵器である拳銃、ライフル‥‥これらの武器を非魔導師の局員にも通常装備させると共にこれらの装備を更に進化させる必要がある」

 

「し、進化と申しますと?」

 

「これまで押収してきた質量兵器は火薬を必要とする兵器だが、これを火薬ではなく、光学武器に変更する形で開発を進めていきたいと思う」

 

「光学武器‥‥ですか?」

 

「ああ‥光学武器ならば、弾薬の不足と言う事態にはならぬし、火薬の炸裂による反動もない」

 

「し、しかし、どうやって‥‥」

 

「スカリエッティが使用していたガジェットⅠ型はあの大きさで光学兵器を搭載していた。ガジェットをベースに更に小型化を目指す。108の隊舎倉庫には機動六課からの押収品が管理されている。そこからガジェットの残骸を引き取り、調査・開発を行ってもらいたい」

 

光学武器の銃‥‥つまり、防衛軍が採用しているコスモガンを管理局でも採用しようと“陸”は動き出した。

 

また“陸”は非魔導師の局員への装備以外にも更なる装備の強化を考案する。

 

実際に“海”が見つけた管理世界に駐屯するのは“空”と“陸”の局員であり、無理矢理管理世界にされた世界では住民のテロ事件が横行している。

 

そんな危険地帯での勤務でテロ事件に巻き込まれ殉職する局員も居る。

 

しかし、“海”はテロ事件の解決に協力せずに利益のみを奪っていく。

 

だからこそ、“陸”局員個人の装備だけではなく、“陸”自体の装備強化も議題にあがる。

 

「次に個人ではなく、隊への装備だ。管理局のエース、八神はやて 高町なのは らの故郷である第97管理外世界では戦車なる鋼鉄製の戦闘車が陸の主力兵器となっている」

 

ロールスロイスは会議室のモニターに第97管理外世界‥地球の陸上における主力兵器‥戦車と軍用装甲車の映像を映し出す。

 

「つまり我々もその戦車を導入するべきと?」

 

「うむ」

 

幹部の問いにロールスロイスは頷く。

 

“陸”が持つ装甲車は装甲車と言える代物ではなく、中型トラックに鉄板を装備したモノや地球のハマーの様な四輪駆動しかなく、非魔導師の局員にはこれらの装備では心もとない。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「諸君、今こそ、我々“陸”が開花期を迎える時なのだ!!」

 

『おう!!』

 

だからこそ、ロールスロイスは局員の個別装備以外にもこの機会に乗じて戦車や装甲車の開発予算をもぎ取ろうと意気込んだ。

 

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