星の海へ   作:ステルス兄貴

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百五十六話 合流

 

 

ミッドチルダにて大小様々な出来事が起きている中、視点を破滅に向かっているもう一つの地球がある太陽系へと変わる。

 

ケンタウロス座アルファ星系第四惑星では、地球との同盟の為、ガルマン・ガミラスより使者として来訪したジュラたち一行が地球連邦政府からの指示を待っていた。

 

基地内での行動は軍事機密に関わる区画への立ち入りは当然禁止になっているが、それは軍人たる向こう側も理解しているので、特にガルマン側からの抗議等はなかった。

 

小規模ながらも地球とガルマン・ガミラスとの間で技術交換や空戦隊同士の演習も行われていた。

 

今回のジュラたち使節団の一行には護衛としてガルマン・ガミラスの新鋭空母とも言える二連三段空母が随行しており、その空母にはガルマン・ガミラスとなってから開発された航空機が搭載されていたので、航空機の技術交換が行われたのだ。

 

また技術交換の他に使節団一行の興味は地球の食べ物だった。

 

特にジュラとメルダはパフェやケーキ、プリン、シュークリームを始めとする地球のスイーツを大変気に入っており、連日まほろばの食堂に顔を出している。

 

使節団のメンバーもそんなジュラとメルダの行動に感化されたのか、基地内の食堂やまほろばの食堂へと赴き、各々が気に入った地球の料理を探求していた。

 

そんな中、ようやく地球連邦政府から使節団へ連絡がきた。

 

「ジュラさん、地球連邦政府より連絡が来ました。政府としては連邦市民に無用な混乱を避けるため、会談場所は地球本土ではなく月で行いたいそうです」

 

良馬がまほろばの食堂に居たジュラに地球連邦政府からの回答を伝えた。

 

「分かりました」

 

「月へ向かう途中に遭遇する事が予測される他の防衛軍艦艇への説明等を行う為、本艦も同行いたします」

 

「ご配慮感謝いたします」

 

「いえ、太陽系とは言え、宇宙では何が起こるか分かりませんから‥‥では、本艦も発進準備に入ります。使節団の方々も発進準備が整いましたらご連絡を下さい」

 

「承知しました」

 

ジュラは上品な仕草で、ナプキンを使用して口を拭うと椅子から立ち上がる。

 

「‥‥」

 

ただこの時、良馬はジュラとメルダが居たテーブルの上に置かれた大量のパフェグラスについてはスルーした。

 

そして、ジュラは少々名残惜しそうな様子で御召し艦であるガミラシアへと戻り、使節団一行へ今回の地球連邦政府からの通達を伝えた。

 

 

まほろば 艦橋

 

ジュラ同様、良馬もまほろばの艦橋へと上がり、地球連邦政府からの通達をまほろばの乗員たちに伝える。

 

「本日、地球連邦政府より使節団に向けての回答があった。地球連邦政府はガルマン・ガミラスの使節団との会談場所として月を指名した。本艦はこれより、使節団護衛のため、一時アルファ星を離れる。総員出航準備にかかれ!!」

 

良馬の放送を聞き、まほろばの乗員たちは出航準備へと取り掛かる。

 

「しかし、艦長。今我々がアルファ星を離れて大丈夫かのう?」

 

井上が機関チェックをしながらアルファ星からまほろばが離れるリスクを懸念する。

 

「一応、援軍が冥王星や第十一番惑星から来ているし、月までではなく太陽系内の惑星の途中まで送り、その後は内惑星防衛艦隊所属の艦に護衛を任せて我々はアルファ星へ直ぐに戻ることになるだろう」

 

先日のボラー連邦の宇宙艦艇の襲撃を受け、防衛軍も地球が太陽系外の初めての宇宙開拓を行った星なだけあり、民間企業・開拓業を生業にしようとしている民間人が中心になって開墾しているだけあってアルファ星には民間人が多数いる。

 

そうした民間人たちを守るため、防衛軍側も防衛力を強化しなければならない。

 

そんな中で戦艦であるまほろばがアルファ星を一時的に離れるのだから、良馬本人としても不安が残る。

 

冥王星や第十一番惑星から到着した援軍はパトロール艦、護衛艦、駆逐艦などの中小の艦艇だからだ。

 

しかし、使節団一行だけを向かわせて道中で何かトラブルがあれば、それこそガルマン・ガミラスとの同盟前に地球とガルマン・ガミラスとの間で再び戦争が起きる可能性もある。

 

アルファ星基地司令官のキャゼルヌも援軍の中・小艦艇を使節団一行の護衛に回すか?

 

それとも、戦艦である まほろば 一隻を護衛に回すか検討した結果、まほろば 一隻の戦力よりも援軍の中・小艦艇の数をアルファ星の防衛に回す決断をしたのだ。

 

(留守中にあの時の敵が襲撃してこなければ良いけど‥‥)

 

アルファ星の防衛に不安を残しつつも、まほろば は使節団一行を護衛しながらアルファ星を出発し、太陽系へと戻った。

 

その頃、ケンタウロス座アルファ星の向かい側に位置するへびつかい座の方向にある恒星‥バーナード星には多数のボラー連邦の艦艇が集結していた。

 

ただし、艦影はボラー連邦の宇宙艦艇であったが、乗員はボラー連邦所属の人間も居れば、ボラー連邦の人間とは異なる肌の色をした人間も居た。

 

彼らはかつてボラー連邦が保護・管理していたバジウド星系の星々を統括していたボラー連邦の人間とボラー連邦に尻尾を振っていた現地の星の権力者たちであったが、ガルマン・ガミラスの東部方面軍がバジウド星系へ進出してきたことから、統括していた星、自分たちの故郷の星を捨て放浪者の運命を辿る事になった。

 

ガルマン・ガミラスから逃げるように銀河系を東進している中、ケンタウロス座アルファ星が自分たちの知らない星間国家が開拓しているのを発見し、突如、警告もなくアルファ星へ攻撃を仕掛けた。

 

アルファ星軌道上に展開していた無人戦闘衛星や無人攻撃ステーションを破壊し、ついにはアルファ星の地表に無差別のミサイル攻撃を加えた。

 

しかし、アルファ星からのSOSを受けたまほろばを始めとするホワイト艦隊と交戦し返り討ちに遭いケンタウロス座星系から蜘蛛の子を散らすように撤退。

 

そしてケンタウロス座の向かい側に位置するへびつかい座にあるバーナード星へ何とかたどり着いた。

 

「レバルス、こちらの被害は?」

 

この艦隊の指揮官とも言える元バース星総督のボローズは艦隊旗艦ゾルヴァ号の艦長である元バース星警備隊長のレバルスにアルファ星における戦闘で生じた味方の被害状況を訊ねる。

 

「はっ、本艦及び後方に控えていた工作船団、船団護衛をしていた護衛艦隊は無傷ですが、アルファ星攻撃に参加した戦闘艦艇の内、三分の一を失いました」

 

「くっ、どこの星かも分からぬ田舎蛮族共が‥‥」

 

同志を含む貴重な戦闘艦艇を失った現実にボローズは歯ぎしりをしながら悔しがる。

 

「レバルス」

 

「はっ!!」

 

「工作船団は無事なのだな!?」

 

「はい!!」

 

「よし‥‥これより、この星にアルファ星攻略の基地を設営する!!」

 

「この星に攻略基地を‥ですか?」

 

「我々が受けた屈辱‥田舎蛮族に還さねば、散って行った同志に顔向けが出来ぬ‥‥君自身も田舎の蛮族共に一方的にやられた屈辱を晴らしたいとは思わぬか?」

 

「勿論です。私としても負けたまま背中を見せるのは武人として我慢なりません」

 

レバルスの報告通り、工作船団が無事だった事は基地を建設するための資材・重機が無事である事を示すので、ボローズはアルファ星で受けた屈辱を晴らすべくバーナード星にアルファ星攻略のための基地を設営し始めた。

 

バーナード星がボローズの指示でアルファ星攻略のための基地が建造された頃、第二の地球探査の命令を受けたヤマトは木星、土星、天王星を通過して海王星宙域まで進出した。

 

海王星宙域まで来たヤマトの全天球レーダー室で周辺観測をしていた観測手が空間歪曲反応を捉えた。

 

「ヤマト左舷前方に空間歪曲反応!!距離五万宇宙キロ!!」

 

「総員戦闘配置!!」

 

いくら太陽系内‥防衛軍の領域でも突然の空間歪曲反応があったので、臨戦態勢をとるのは当然の事であった。

 

ヤマトが主砲を空間歪曲反応がある空間に向けていると、第一艦橋のパネルには まほろば を先頭にガミラスのゲルバデス級航宙戦闘母艦が三隻、そしてそのゲルバデス級に似た青色の航宙戦闘母艦、ガイペロン級多層式航宙母艦を二隻くっつけたような形状で赤色の多層式航宙母艦一隻がワープアウトしてきた。

 

「まほろば!?」

 

突然ワープアウトしてきたまほろばに古代はギョッとする。

 

「先頭は確かにまほろばだが、後方の艦隊は‥‥ガミラスか?」

 

島はゲルバデス級航宙戦闘母艦が三隻確認出来たことから、まほろばの後方の艦隊はガミラス艦隊ではないかと推測する。

 

「艦長、まほろばの月村艦長から通信がきました」

 

様々な推測と困惑の空気が流れるヤマトの第一艦橋。

 

そんな中、相原が古代に良馬から通信が来たことを報告する。

 

「パネルにまわしてくれ」

 

「了解」

 

ヤマトの第一艦橋のパネルに艦隊の艦影から良馬の姿へと変わる。

 

「月村艦長」

 

「古代艦長」

 

月村、古代の両艦長は互いに敬礼をする。

 

「月村艦長、まほろばの後方にいる艦隊はガミラスの艦隊なんですか?」

 

古代は早速良馬に後方の艦隊について質問する。

 

「それは半分正解だ」

 

「半分?それは、一体どういうことでしょうか?」

 

「後方の艦隊が所属している星間国家はガミラスが新たに建国した新国家所属の艦隊だ」

 

「ガミラスが建国した‥‥」

 

「新国家‥‥」

 

良馬の回答を聞いて古代たち第一艦橋のメンバーはガミラスがあのイスカンダルでの共闘からこの僅かな期間で新たなる新惑星を発見して、新国家を樹立させていることに驚愕した。

 

(デスラーはあの時の宿願を達成させたのか‥‥)

 

デスラーたちガミラス艦隊がイスカンダルを旅立つ直前に古代はデスラーと会い、彼と直接話をした。

 

その時、デスラーは自身の宿願をガミラス民族の復興であると宣言し、例え幾年の年月の間、宇宙を放浪しようとも必ず第二の故郷となる星を見つけてみせると強い信念を感じた。

 

ガトランティス戦役の際、地球が超巨大戦艦の砲撃を受けている中、ヤマトでは生き残った乗員たちはヤマトを退艦していた。

 

その際、古代は真田を脱出のための救命艇に運んでいた。

 

真田はその時古代に、

 

『デスラーを見習うべきだ』

 

と、諭した事があった。

 

幸いあの時はテレサの力によってガトランティスの超巨大戦艦は消滅して地球を救う事が出来た。

 

しかし、今回の地球の危機は自然相手であり人の力ではどうにもならない。

 

だからこそ、こうしてヤマトは第二の地球探査の特命で地球を発進したのだが、今回のヤマトの航海はまさにあの時のデスラーたちガミラスと同じ状況だった。

 

ただ、デスラーたちと異なるのは、あの時デスラーたちには無限の時間があったが、自分たちは一年以内と言うタイムリミットがある。

 

(デスラーたちが宿願を叶え、新たな星を見つけたのなら、俺たちも‥‥)

 

しかし、デスラーが新たな故郷となる星を見つけた実績から古代も第二の地球となる星が見つかるかもしれないと言う希望に変わった。

 

「それで、ガミラスの新国家がどうして まほろば と一緒に太陽系へ?」

 

「それは、彼女も交えて話した方が早いかもしれない」

 

「彼女?」

 

「うん。ヤマトの皆とは面識がある人物だよ」

 

(彼女?ヤマトの乗員と面識がある人物?)

 

(一体誰だ?)

 

此処で良馬が『彼女』ではなく『彼』だった場合、古代たちはデスラーの姿が脳裏を過ったに違いない。

 

しかし、良馬は古代たちにはっきりと『彼』ではなく、『彼女』と言った。

 

古代たちが一体誰なのだろうかと思っていると、

 

「ヤマトの皆さん、お久しぶりです」

 

ヤマトの第一艦橋のパネルの半分にジュラの姿が映し出された。

 

「あ、貴女はっ!?」

 

「ジュラさん!?」

 

パネルに映し出されたジュラの姿に驚く古代たち。

 

まさかデスラーの娘がわざわざ太陽系に赴いてきたのだから驚くのも無理はない。

 

「あ、あの‥ジュラさんはどうして まほろば と一緒に太陽系へ?」

 

意外な人物の登場に驚愕しつつも、古代は改めてジュラに太陽系への来訪目的を尋ねる。

 

「今回の私たちの来訪目的は二つあります」

 

「二つ?」

 

「はい。一つは父、デスラーが新たな国家を樹立した事、もう一つは地球との同盟締結です」

 

「地球との‥‥」

 

「同盟‥‥」

 

「はい。勿論、地球とガミラスの間には深い溝があることは知っていますし、そう簡単な道ではないことは十分承知しております」

 

「確かにガミラスとの過去の戦争の経緯からいくら新国家となり、国名を変えたとは言え、連邦市民の中には反ガミラス感情を持つ市民もいるでしょうから‥‥」

 

第二次イスカンダルへの航海で、ヤマト まほろば の乗員たちはイスカンダルを救うためにガミラスと共闘し、デスラーたちが新たな星を見つけるための航海へ出る前に共同で補給・修理をした時、ガミラス軍人と防衛軍軍人との間にいがみ合う空気はなく、むしろ手に手を取るような空気があった。

 

しかし、防衛軍軍人、連邦市民全員があの時のヤマト まほろば の乗員たちみたいにガミラスを簡単に受け入れるといは言い切れない。

 

ジュラの言う通り、地球との同盟はそう簡単な道ではない事は明白であった。

 

だが、ジュラもデスラーの血をちゃんと引いており、一度や二度、壁にぶち当たったからといってそう簡単に諦めるとは思えず、必ず地球との同盟を締結すると言う固い意志をパネル越しながらも古代は感じた。

 

まほろば、ガルマン・ガミラスからの特使団一行の動きは防衛軍司令部へ逐次知らされており、一行が海王星宙域にてヤマトと鉢合わせした事も当然、藤堂の知る所になった。

 

「長官、まほろば 及びガルマン・ガミラスからの特使団一行は海王星宙域にてヤマトと邂逅したようです」

 

「ふむ‥‥まほろばの‥‥月村艦長に通信を入れてくれ」

 

「はっ」

 

藤堂はまほろば‥‥と言うか、良馬に対して通信を入れた。

 

 

まほろば 艦橋

 

「艦長、防衛軍司令部の藤堂長官から艦長宛てに通信が入っています」

 

通信長のギンガが良馬に藤堂から通信が入った事を報告する。

 

「えっ?俺宛てに?まほろばの乗員全員ではなく?」

 

「はい」

 

「分かった。古代くん、すまないが藤堂長官から通信が入ったので、通信を一時切る」

 

「分かりました」

 

「通信長、通信をこっちに転送してくれ」

 

「了解」

 

良馬はヘッドホンを装着し、自分以外の艦橋メンバーに通信内容を聴こえない様にして、艦長席にある通信回路を開く。

 

そしてモニターに藤堂の姿が映し出される。

 

「藤堂長官。どうしました?」

 

良馬は藤堂に何故自分だけに通信を送って来たのかを訊ねる。

 

「月村艦長、今まほろばは海王星宙域に居る事が確認出来ているが近くにヤマトも居ると思う」

 

「はい。ワープアウトした際、近くにヤマトが居ました。ジュラさんたち特使団一行の存在はまだ地球に居る連邦市民にその存在を公にする訳にはいきませんから、民間船の航路情報を念入りに調べ遭遇しないような航路とワープを行ってきました。勿論防衛軍の艦艇ともなるべく遭遇しない様に‥‥」

 

「うむ、その判断は妥当だな」

 

「ですが、まさか海王星宙域にてヤマトと遭遇するとは思いませんでした」

 

「その件についてなのだが、現在ヤマトはある特務の為に出航しているのだが、まほろばもその特務に加わってもらいたい」

 

「えっ?特務‥ですか?」

 

藤堂から放たれた『特務』と言う単語に良馬は眉をひそめる。

 

(特務に参加という事はアルファ星を暫く留守にすると言う事だよな‥‥うーん‥‥)

 

「藤堂長官、自分は軍人なので、長官からの命令となれば従いますが、自分としてはアルファ星の事が気がかりなので、まほろば が特務に参加すると言うのであるならば、まほろば の代わりにアルファ星の防衛力をもう少し強化していただけないでしょうか?」

 

「先日のボラー連邦との一件かね?」

 

「はい。あの時、全ての脅威を排除できれば良かったのですが、あの時の戦力差から全ての敵艦を葬ることが出来ませんでした。今後、アルファ星にボラー連邦が再び攻撃を仕掛けないとは言い切れないので‥‥」

 

「分かった。冥王星基地と第十一番惑星からアルファ星へもう少し戦力を割り振ろう」

 

「ありがとうございます。それで、ヤマトが受けている特務とは一体どんな特務なのでしょうか?」

 

気がかりとなっているアルファ星の件について更なる援軍を確約したことで一先ず安心し、次にヤマトが受けている特務について訊ねる。

 

「現在ヤマトは表向きの任務は太陽系周辺のパトロールとなっているが、本当の任務は第二の地球を探査する事だ」

 

「第二の地球?」

 

「月村君はアルファ星に赴任していたから知らないのも無理はないが、今太陽では核融合の異常増進が起きている」

 

「核融合の異常増進‥‥」

 

「そうだ。専門家の分析によればあと一年以内に地球は人類が住めない状況下になり、三年で太陽は超新星化し、太陽系の全ての惑星を道連れに爆発する」

 

「‥‥」

 

自分たちの知らない間に太陽系が破滅に突き進んでいる事態を聞き驚愕する良馬。

 

「既に地球にはその影響が出ていて世界的規模で電波障害が何度も起きている」

 

「なるほど、故にヤマトへ第二の地球探査の命令を‥‥それでは他の国も第二の地球探査を開始しているのですね?」

 

「いや、第二の地球探査をしているのはヤマトだけだ」

 

「えっ?な、何故です!?地球の危機だと言うのに‥‥」

 

「大統領府も太陽エネルギー省も今回の核融合の異常増進は単なる自然現象だと決めつけているのだ」

 

「そ、そんな‥‥白色彗星の一件でほんの些細な出来事も調査をする大切さを学んだと思ったのですが‥‥それに世界規模での電波障害が起こっているのに、あくまでも自然現象だと言い切っているのですか?」

 

「うむ、しかし今回は外宇宙からの侵略ではなく、太陽系内の自然相手故に信じられない部分もあるのだろう」

 

「‥‥」

 

ガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国何度も地球の危機を経験してきた筈なのに今回の件は外宇宙からの侵略ではなく、太陽系内にある自然相手と言う事で脅威とも感じていない地球連邦政府の対応に呆れる良馬。

 

「今は大統領府も太陽エネルギー省も自然現象だと片付けてはいるが、いずれは単なる自然現象ではないと気づくだろうが、その時に第二の地球探査をしても間に合わない可能性がある」

 

「そうでしょうね‥‥」

 

今は世界規模の電波障害だが、時間が進むにつれて電波障害だけではなく、もっと大きな障害が地球に起きる事が予測され、大統領府も太陽エネルギー省も今回の太陽で起きている核融合の異常増進が自然現象ではないと確信する時が来るだろう。

 

ただ大統領府と太陽エネルギー省がソレに気づいた時に対処し始めても第二の地球探査の時間があまりにも足りなく人類を移住するための第二の地球となる星を見つける前に人類を始めとする地球にいる生物が滅んでしまう可能性が高い。

 

「だからこそ、私はヤマトを第二の地球探査の特務を命じたのだ。そして、まほろば にはヤマトの護衛を頼みたい」

 

ヤマト単艦でも問題はないだろうが、世の中には『絶対』などと言うモノは存在しない。

 

それにこの広大な宇宙には地球人類以外の星間国家が存在しているのはこれまでの歴史が証明しているし、もしかしたらその中にはまだ地球人類が遭遇しておらず、現状の地球の科学技術よりも優れた星間国家が存在している可能性は十分にある。

 

故に藤堂は少しでも成功率を高める為にヤマトの護衛として、まほろば にも今回の移住探査の特務を命じたのだ。

 

「事情は分かりました。だた、本艦はアルファ星の守備の他に現在、ガルマン・ガミラスからの特使団一行の先導を行っています。そちらの方も代行を手配していただけますか?」

 

「分かった。海王星のトリトン基地所属の艦に代行を頼もう」

 

「ありがとうございます。では、乗員たちと特使団たち説明を行い、ヤマトからも航海計画等の情報を得たいと思います」

 

「そうしてくれ‥ヤマトもトリトン基地にて補給の予定もある。そこでヤマトから情報を得てくれ」

 

「承知しました。しかし、地球がその様な危機的状況となるとガルマン・ガミラスとの同盟についての話は少々難しい様そうになりそうですね」

 

「うむ。ただでさえ、連邦市民には未だに反ガミラスの感情があるからな‥‥しかし、広大な宇宙を長きにわたって侵攻をしたガミラスならば、もしかしたら地球に似た環境の星の所在を知っているかもしれない」

 

「皮肉な話ですね」

 

「ああ‥‥だが、地球人類が生き残る為にはこの際面子など気にしてはいられないのだよ」

 

「そうですね‥‥」

 

「では、頼むぞ月村艦長」

 

「はっ!!」

 

藤堂からの特務を受け、良馬はヘッドホンを外し、

 

「通信長、特使の艦とヤマトにもう一度通信回路を開いてくれ」

 

「了解」

 

ギンガにガミラシアとヤマトとの間に通信回路を開かせる。

 

「ジュラさん」

 

「なんでしょう?」

 

「大変申し訳ございませんが、只今司令部より本艦へ別の任務が入ってしまいました」

 

「そうですか‥‥」

 

「‥大変心苦しいのですが、此処から先は別の艦がジュラさんたちを月まで先導するとのことです」

 

「いえ、月村さんも軍人です‥‥上からの命令があればそれに従わなければならないのは理解しています」

 

「ご理解の程ありがとうございます」

 

ジュラに特務が入った事と まほろば の代わりの艦が月まで先導する旨を伝えた後に、

 

「古代くん、先ほど藤堂長官から話を聞いたのだが‥‥」

 

「あっ‥‥」

 

藤堂からの話と言う事で、藤堂が良馬に何を話したのか直ぐに察しがついた。

 

「ヤマトはこれからトリトン基地で補給を受けると聞いた‥‥そこで、詳しく話をしたい」

 

「分かりました」

 

やがて、海王星トリトン基地からはジュラたち特使団一行の先導役のパトロール艦が到着し、特使団一行を月まで案内して行く。

 

「航海長、針路変更。トリトン基地に向かう」

 

「えっ?トリトン基地に‥ですか?」

 

「ああ」

 

「りょ、了解。針路変更、トリトン基地に向かいます」

 

そしてヤマト、まほろば はトリトン基地へと降下していく。

 

「艦長、特使団の方々を案内しなくていいのですか?」

 

「それについてはトリトン基地に到着後に伝える」

 

新見が特使団一行の先導を他の艦に任せてトリトン基地へヤマトと共に降下する事に疑問を抱き良馬に訊ねる。

 

特務の内容から今この場では説明しきれないと判断した良馬はトリトン基地に着陸した後に まほろば の乗員たちに説明し、その後にヤマトから航海計画を訊ねる事にした。

 

トリトン基地にある浮遊ドックにてヤマト、まほろば は着陸する。

 

「通信長、艦内放送を入れてくれ」

 

「はい‥どうぞ」

 

「んっ‥‥艦長の月村だ。先ほど、藤堂長官より通信が入り、本艦はこれよりヤマトと共にある特務に従事することになった」

 

「特務?」

 

「一体どんな任務なんでしょう?」

 

良馬が放った『特務』と言う単語に艦橋メンバーは勿論の事、艦内のあちこちでも乗員たちが戸惑う様子が窺えた。

 

「‥‥これはまだ公になってはいないが、現在太陽にて核融合の異常増進が観測された。専門家の観測により、これは単なる自然現象ではなく重大な災害の予兆である仮説がたてられた」

 

「重大な‥‥」

 

「災害‥‥」

 

「一体どんな‥‥」

 

「専門家の判断では、あと一年以内に地球は太陽の核融合異常増進によって生物が住めない環境となり、三年で太陽は超新星化し、地球を含む太陽系の惑星を道連れに爆発、太陽系は消滅するとの事だ」

 

『‥‥』

 

あと一年以内に地球は生物が住めない死の惑星になり、三年で太陽系が消滅‥‥

 

あまりにも突拍子過ぎて俄かに信じられない話だ。

 

「突然このような話をされて信じられないかもしれないし、この仮説が本当に事実なのかと言う疑問もあり、確実な確証もない。しかし、今地球では世界規模での電波障害が起きており、一概にこの仮説が間違っているとも言えない」

 

自分たちがアルファ星に居る間に地球では大変な宇宙災害が起きていた事に増々困惑する まほろば の乗員たち。

 

良馬自身も乗員たちに説明をしているが、地球に居る忍たちの事を思うと不安だろうが、今は まほろば の艦長として藤堂からの特務の説明をしている。

 

「この事態を重く見た藤堂長官はヤマトに第二の地球探査の特務を命じ、先ほど本艦にもヤマトの護衛と共に第二の地球探査の特務を命じられた。これより、ヤマトから情報を得た後、本艦もヤマトと共に第二の地球探査を行う。なお、アルファ星には更なる援軍の派遣が決定したので、アルファ星の守備については心配はない‥‥」

 

まほろば が留守中のアルファ星の守備に関して更なる援軍がアルファ星に行く予定なので、アルファ星の守備に関しては心配はないと言うが、地球に残している家族や大切な人が居る中で、あと一年以内に地球は生物が住めない星になる可能性がある中、第二の地球探査の特務を行っている精神的余裕があるのか疑問なところだ。

 

ヤマトの乗員たちと違い、まほろば の乗員たちは今この場で突然言われたのだから戸惑うのは当たり前だ。

 

それに第二の地球となる星が絶対に見つかる確証はない。

 

もし見つからなかったら、地球人類は滅んでしまう。

 

しかも、ガミラス戦役時の放射の除去装置と異なり、確実に太陽の核融合異常増進を止める術もない。

 

地球人類を救うためには一年以内に第二の地球となる星を見つけなければならない。

 

この特務の責任は重大である。

 

それと同時に精神的負担もある。

 

「突然このような事態になり、困惑するのは当然であると思う。もし、今回の航海について、不安がある者は退艦を許可する」

 

良馬は地球で古代と同じ様に今回の特務に対して不安がある者、航海に耐えられそうにない者に対して退艦を許可する訓示をする。

 

此処は海王星なので、地球へ帰還する術は同じ防衛力の宇宙艦艇、民間の船があるので、地球へ戻ることは出来る。

 

「退艦を望む者は各部署のチーフに申告せよ」

 

退艦についての方法と伝えると、

 

「では、これからヤマトに行き情報を共有してくる」

 

ヤマトへと赴き、航海計画を訊ねることにした。

 

ヤマトへと向かうとタラップの出入り口にて古代が良馬を出迎えてくれた。

 

「ん?その恰好‥‥もしかして古代君、正式にヤマトの艦長に‥‥?」

 

良馬を出迎えた古代の服装は士官ジャケットに艦長帽を被っていた。

 

「は、はい。今回の航海前に‥‥」

 

「そうだったんだ‥‥遅ればせながら艦長就任おめでとう」

 

「ありがとうございます。ですが、今回の任務の内容が内容だけに責任を重く感じています」

 

「まほろば も今回の航海で少しでもヤマトの‥古代君の負担軽減になるように協力をするよ」

 

「重ね重ねありがとうございます。月村艦長」

 

「それで、早速だが、ヤマトが立てた航海計画を聞きたい」

 

「はい。こちらへどうぞ」

 

古代は良馬をヤマトの第二艦橋へと案内した。

 

「今回、ヤマトが探査をする宙域はこのコースであり、針路はこのようなコースを辿ります。ただ、5000光年先は地球でも観測が出来ていない状況下なので、そこからは宇宙海図を作成しながらの航海となります」

 

第二艦橋では、ヤマトの副長兼航海長の島からヤマトの航海計画を聞いた。

 

「発見した惑星の探査についてはどのような方法で探査を?ヤマトのセンサーや観測衛星を飛ばして行うのかい?」

 

「その方法もありますが、衛星の方も数は無限ではないので、今回の探査航海の為に新たに実装したコスモハウンドを使用します」

 

惑星探査についての説明は古代がコスモハウンドのスペックと共に良馬へ説明する。

 

一通り今回のヤマトの航海計画聞いた良馬は、

 

「島航海長」

 

「はい」

 

「時間が有限である事は重々承知しているが、計画の中で一部変更を入れて貰っても構わないだろうか?」

 

「変更‥ですか?」

 

計画の変更に島は怪訝な顔をする。

 

「ああ‥藤堂長官から聞いているかもしれないが、先日ケンタウロス座の第四惑星であるアルファ星が外宇宙から飛来した艦隊の攻撃を受けた。その艦隊の一隻が地球にも出現し、北アルプス上空で撃破された事は俺の方でも藤堂長官から聞いた」

 

「はい。我々もアルファ星の件については藤堂長官より聞いております」

 

「ジュラさんからの情報ではアルファ星、そして地球に出現した艦隊はボラー連邦と呼ばれる星間国家に所属している艦隊らしい」

 

「ボラー連邦?」

 

「ああ‥‥デスラーが樹立した新国家であるガルマン・ガミラスはそのボラー連邦と対峙しているらしい」

 

「デスラーが‥‥」

 

「新国家を樹立した後、デスラーはやはり宇宙侵略を?」

 

「いや、ボラー連邦との関係についてはどうも事情があるみたいだ」

 

「事情?」

 

「どんな事情なんですか?」

 

「デスラーが新国家を樹立した星‥‥当初の名前はガルマン星と言う星でそこにはガルマン民族と言う現地人が居た‥‥そのガルマン民族とガミラス人は同一の民族で遥か昔、一部のガルマン民族が大マゼラン雲へ移民をし、サンザー星系で二連星を見つけた‥‥」

 

「まさかっ!?」

 

「それがイスカンダルとガミラス星‥‥?」

 

「そうだ。それで、話はガルマン星に戻るが、デスラーたちがガルマン星を見つけた時、ガルマン星はボラー連邦に支配されて、ガルマン民族は奴隷化されていたんだ」

 

「異なる星とは言え、あのガミラスと同じ民族を奴隷化させるなんて‥‥」

 

波動エンジンがイスカンダルから齎されるまで地球はガミラスに苦しめられた。

 

イスカンダルから波動エンジンを齎されてもヤマトのイスカンダルへの旅路は苦難の連続であった。

 

あの時の航海がヤマト単艦だったと言う点もあるが、それを差し引いてもガミラスは強国であった。

 

そんなガミラスと同じ民族が住む星を支配下に置いたと言うのだからそれだけでもボラー連邦と言う星間国家が強力な事が窺える。

 

「デスラーたちガミラス人にとっては自分たちの先祖の星が何処の星かも分からない勢力に支配されて同じ民族たちが奴隷化されていたのだからボラー連邦に対して怒りを覚えるのは当然だろうね‥‥そしてデスラーはガルマン星からボラー連邦の勢力を一掃し、更にはガルマン星周辺の星々からもボラー連邦の勢力も一掃した。これによって銀河系中心部からボラー連邦の勢力は一掃された」

 

「では、現在銀河系中心部は‥‥」

 

「今はガルマン・ガミラスの勢力下だ」

 

「「‥‥」」

 

良馬の話を聞いて古代も島も絶句する。

 

「そんな中でジュラさんが新国家樹立と地球との同盟締結のために来訪したわけだ。それで話を戻すが、そんなボラー連邦の艦隊が先日アルファ星へ襲来し、地表に対して無差別のミサイル攻撃をしてきた。まほろば とホワイト艦隊でこれを迎撃したが敵艦隊を完全に殲滅する事は出来なかった‥‥一応、藤堂長官からアルファ星へ援軍の確約を取り付けたが、被災をした事には変わりない‥‥故に救援物資を此処、海王星で積み込みアルファ星へ届けたいのだが‥‥」

 

「そんなことが‥‥」

 

「島、アルファ星へ寄れるか?」

 

「寄れなくはないが、俺たちの任務は一刻も早く第二の地球を探す事だぞ」

 

「それは分かっている。だが、未だにボラー連邦の脅威があるし、アルファ星には被災者が大勢いるんだ。放っておくわけには居なかだろう」

 

「古代、今回のヤマトの航海は戦闘をする為に出航したわけじゃないんだ。月村艦長の話を聞く限り、アルファ星周辺ではまだボラー連邦の残党が居る危険な宙域みたいじゃないか。つまらん戦闘に巻き込まれて時間を無駄にする訳にはいかないだろう」

 

「理屈は分かる‥‥しかし‥‥」

 

島の言う通り、地球に残された時間が決して多くはないのは古代も良馬も理解している。

 

しかし、古代、良馬の心情としてはやはり援軍が来るとしてもボラー連邦の脅威がある以上やはり心残りがある。

 

「島航海長の言う事は最もだ。ただこの先の長い航海を考えると、アルファ星にある鉱物資源はこの先の航海に役立つと思う」

 

「と言いますと?」

 

「アルファ星で採掘されているオスミウムは金の比重二十三%と良質の白金属だから、修理に使用する金属としてあっても困らないと思うのだが‥‥」

 

「うーん‥‥まぁ、それなら‥‥」

 

良馬の説明を聞き島は渋々と言った様子でアルファ星へ寄る事を了承した。

 

「では、補給が終わり太陽系を出た後、ケンタウロス座第四惑星のアルファ星へ寄港する針路をとります」

 

「古代艦長、島航海長、ありがとうございます」

 

アルファ星へ寄港すると言う事で話がつき、良馬は古代と島の二人に礼を言った。

 

(それにしても島の態度‥‥少し妙だったな‥‥)

 

ただこの時、古代はアルファ星へ寄港する事を渋った島の態度に妙な違和感を覚えていた。

 

補給及び救援物資の積み込みに際、退艦者を受け付けていた まほろば であったが、まほろば からの退艦者は零であった。

 

やがて、ヤマトの補給、まほろばの補給及びアルファ星への救援物資の積み込みが終わると二隻の宇宙戦艦はケンタウロス座第四惑星のアルファ星へと針路をとった。

 




原作と異なり、海王星にラジェンドラ号がワープアウトしてこなかった事、ジュラが地球へ特使として来訪した事により、第十一番惑星宙域にてヤマトとダゴン艦隊との戦闘は起こらず、一気にアルファ星へ向かう展開となります。

復活編やリメイク版にて雪は艦長に就任している事からギンガもいつかは艦長に就任する可能性があるので、艦長服姿のギンガのイラストを作成してみました。


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