星の海へ   作:ステルス兄貴

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百六十四話 殲滅・亜空間襲撃艦隊

 

 

バース星を出航したヤマト、まほろばは第二の地球探査の為、銀河系中心部へと向かう‥‥

 

ジュラからガルマン・ガミラス本星への伝令任務を帯びたアルバレスは東部方面軍司令部の宇宙要塞へ向かっている中、三隻は突如魚雷攻撃を受けた。

 

東部方面軍が管轄する宙域ではここ数日、正体不明の艦船の攻撃を受け、輸送船団とその護衛艦隊は著しい被害を受けていた。

 

今回三隻が受けた魚雷攻撃は東部方面軍が受けた被害と同様の攻撃であり、その正体の突破口をまほろばの主計長であるディアーチェが宇宙空間に突出する潜望鏡らしきモノを発見した。

 

その事から正体不明の敵は次元潜行艦だと判断された。

 

現在、地球側が認識している次元潜行艦を保有している勢力はガルマン・ガミラスと彗星帝国、そして次元潜行艦に似ている艦を保有・運用している時空管理局の三つの勢力であった。

 

ガルマン・ガミラスが友軍のアルバレスを攻撃してくるとは思えない。

 

次に時空管理局は質量兵器を禁止としているので、魚雷攻撃なんてしてくるとは思えない。

 

ならば彗星帝国の残党が偶々この宙域に降り、ヤマト、まほろばの姿を見て攻撃してきたのか?

 

ひとまず敵が何処の星間国家に属するのかを確認する必要もあった。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「古代艦長、バレル大使、ヤマトとアルバレスはワープをしてこの宙域から離脱してください。敵の次元潜行艦は本艦が対処します」

 

良馬はヤマトとアルバレスをこの宙域からの離脱を提案する。

 

「そ、そんなっ!?」

 

「貴方たちを置いて逃げるなど‥‥」

 

古代とバレルもまほろばをこの宙域に残していく事に抵抗があった。

 

「ヤマトは地球の未来を担っており、アルバレスはジュラさんからの大事なメッセージを預かっているのです!!ここであなた方に万が一の事があってはならないのです!!」

 

「「‥‥」」

 

「例え相手が次元潜行艦でも我々は此処で死ぬつもりはありません!!後から追いかけますから‥‥」

 

「わ、分かりました。ですが、必ず来てください。我々も待っていますから」

 

「要塞に辿り着ければ、そちらに援軍を手配します。ご武運を‥‥」

 

「月村、次元潜行艦を相手にするなら例の新装備を惜しみなく使え!!いいな!?」

 

真田が良馬に対次元潜行艦の装備を使えとアドバイスする。

 

「分かりました」

 

後ろ髪を引かれる思いがある中、ヤマトとアルバレスはワープを行いこの宙域から離脱していった。

 

「艦長、真田さんが言っていた『例の新装備』ってなんですか?」

 

永倉が良馬に質問をしてきた。

 

「実は以前、ハラオウン執務官たちを管理局の艦に引き渡した後、彗星帝国の潜宙艦を鹵獲しただろう?」

 

「ええ」

 

「あの後、鹵獲した潜宙艦を真田さんたち科学局の研究者と技術者が調査をしていた時に真田さんと会ったんだ。その時にまほろばに新たな装備を追加した事を聞いたんだ」

 

良馬は永倉を始めとする第一艦橋のメンバーに暗黒星団帝国戦役後~アルファ星へ向かう前に密かにまほろばに新装備を追加していた事を話した。

 

元々暗黒星団帝国の本星を探索している最中、真田とトチローは彗星帝国の潜宙艦、時空管理局の次元航行艦の対策として艦首航路センサーに亜空間ソナー機能と対次元潜行艦の特殊弾頭の研究開発を行っていた。

 

「真田さんとトチローさんは彗星帝国や時空管理局がもしかしたら潜宙艦や次元航行艦を密かに太陽系へ送り込んで来る可能性を見越していたんだと思う」

 

「ですが、潜宙艦を探すのは通信機の探信機能で分かるのでは?」

 

ギンガが亜空間ソナーではなくとも通信機の機能で対応できるのではないかと質問する。

 

「通信機の探信では探査出来る宙域が狭い。しかし、亜空間ソナーならば、全周囲を捜索できるから次元潜行艦を発見しやすいんだ」

 

「な、なるほど‥‥」

 

良馬の説明を聞いて納得するギンガ。

 

「相手が次元潜行艦なら亜空間ソナーを使えば、亜空間に隠れている次元潜行艦を見つけることが出来る筈だ。航海長、艦首航路センサーを起動。ただし、ソナーの操作と探査は通信長が行ってくれ」

 

「了解」

 

「通信長」

 

「は、はい」

 

「亜空間ソナーの使用方法は探信機能とほぼ変わらないが、全周囲にソナーを打つから相手の反応が一度に複数くると思うが、何とかなるか?」

 

「はい。大丈夫です。視力と聴力には自信がありますから」

 

ギンガは自信をもって返答する。

 

(こういう時、普通の人じゃなくて戦闘機人で良かったって思うわね)

 

スバルは空港火災の時、なのはに助けてもらっただけではなく、戦闘機人として生まれた自分は普通の人とは異なる身体である事を当然認識していた。

 

当初は、普通の人よりも丈夫な身体を持って生まれた事を嫌悪していたが、なのはに助けられてからは戦闘機人として出生した自分の役割を探し、あの空港火災の時、自分はなのはに助けられたように、災害に巻き込まれた人を助け出す事が、自分が戦闘機人として生まれた理由なのだと悟った。

 

ギンガ自身も暗黒星雲を航行した時、流れてくる岩塊をユリーシャと張り合う形でまほろばの危機を救った。

 

そして、今回も戦闘機人としての自分の能力が役立つ機会が来て、戦闘機人モードになり集中し敵の次元潜行艦の探査を行う。

 

ワープをしてこの宙域から離脱したヤマト、アルバレスの行動は亜空間に潜んでいたボラー連邦の次元潜行艦の方も掴んでいた。

 

 

ボラー連邦 B型次元潜行艦 B-001 艦橋

 

「ゲルバデス級と新型艦の一隻がワープをしてこの宙域から離脱しました!!」

 

「残りの一隻は!?」

 

「まだこの宙域を航行しています!!」

 

「どうやら残った艦はワープ機関にダメージを負ったみたいだな」

 

ボグダークシュは僚艦の魚雷攻撃でまほろばのワープ機関に深刻なダメージを与え、ワープ不能になったのだと判断した。

 

「よし、まずはあの艦を先に葬る。残りの二隻はあの艦を葬った後、ワープ航跡を追って追尾する」

 

「了解!!」

 

「さあ、さっさとあの艦を片付けるぞ!!何せ残り二隻の獲物がこの後に控えているのだからな」

 

「はっ!!」

 

ボグダークシュはニヤリと笑みを浮かべる。

 

しかし、ボグダークシュの思惑は外れており、まほろばのワープ機関は健在であった。

 

そして、まほろばは、彗星帝国の潜宙艦と戦っていた頃の防衛軍の艦艇よりも対次元潜行艦の装備も充実している事を知る由もなかった。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「‥‥ソナー反応ありました」

 

「どこだ?」

 

亜空間ソナーでギンガは敵の次元潜行艦の位置を突き止めた。

 

「一番近いのは本艦の後方、距離十五宇宙キロ」

 

「よし、まずはそいつを仕留める。砲雷長、まほろば後方十五宇宙キロに向けて波動爆雷発射!!」

 

「了解、まほろば後方、十五宇宙キロに向け波動爆雷発射!!」

 

まほろばの後方の爆雷発射管から波動爆雷が四方八方へと撃ち出され、次々と爆発していく。

 

ズドーン!!

 

ズドーン!!

 

すると宇宙空間の一角がグニャリと歪んだかと思ったら、潜水艦が浮上するかのように一隻の次元潜行艦が姿を見せた。

 

 

ボラー連邦 B型次元潜行艦 B-001 艦橋

 

「ぐあっ!!」

 

「がはっ!!」

 

亜空間に潜んでいたB-001の船体が大きく揺れる。

 

「な、何事だ!?」

 

「て、敵の爆雷攻撃です!!」

 

「なにっ!?バカな、たかが爆雷如きでこんな事が起こる筈がない!!我々は亜空間に隠れているのだぞ!?」

 

「そ、それが敵の爆雷には波動エネルギーが仕込まれていたもようです!!その波動エネルギーが我々の潜んでいる次元断層と共鳴してこのような振動が‥‥」

 

以前、クラウディアが次元断層へ落ちてしまった時、偶然スターシアの通信カプセルを解析した結果、次元断層からの脱出のカギが波動砲であると告げられたように、波動エネルギーは異次元の空間に何らかの干渉を引き起こす様だ。

 

そして、波動カートリッジ弾に波動砲とまではいかないものの少量の波動エネルギーが仕込まれている様に波動爆雷にも波動エネルギーが仕込まれていた。

 

「敵の爆雷が一発、本艦の機関室付近に命中!!」

 

「し、司令官、通常空間に浮上しなければ危険です!!このままでは亜空間に取り残されてしまいます!!」

 

「くっ、緊急浮上!!」

 

ボグダークシュは亜空間に取り残されることを恐れ通常空間へと浮上した。

 

しかしそれはヤドカリが貝を脱ぎ捨て海中・海岸を漂う様なリスクを伴っていた。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「敵次元潜行艦、通常空間へ浮上!!」

 

通常空間へ姿を見せた次元潜行艦は当然、ガルマン・ガミラスの次元潜行艦ではなく、また彗星帝国の潜宙艦とも異なる形状をしていた。

 

勿論、時空管理局の次元航行艦とも異なる。

 

これにより、正体不明の次元潜行艦は未知なる勢力が保有する次元潜行艦となる。

 

しかし、向こうが最初に攻撃を仕掛けてきたのだから、まほろばの行動は正当防衛である。

 

「第四、第五主砲砲撃!!」

 

「了解、第四、第五主砲発射!!」

 

まほろばの後部にある第四、第五主砲のショックカノンが通常空間へ浮上した次元潜行艦へ向け放たれる。

 

 

ボラー連邦 B型次元潜行艦 B-001 艦橋

 

「敵のショックカノン、本艦に接近!!」

 

「か、回避!!面舵一杯!!」

 

「だ、ダメです!!回避、間に合いません!!う、うわぁー!!当たる!!」

 

「そ、そんな‥‥こんなところで‥‥」

 

亜空間から浮上したB-001はまほろばのショックカノンの直撃を受け轟沈した。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「敵、次元潜行艦の撃沈を確認!!」

 

「よしっ!!」

 

「やったぞ!!」

 

「喜ぶのはまだ早い!!敵はまだまだ居るぞ!!」

 

良馬が一喝し、艦橋内は再び緊張が走る。

 

まほろばが仕留めたのは後方に居た一隻。

 

当初の攻撃は前方からやってきた事から敵の数は前方の方が多く、仲間が弔い合戦を仕掛けてくる可能性は十分にあった。

 

「早期警戒型コスモタイガーを出撃、敵の魚雷と潜望鏡の発見と可能ならば敵の次元潜行艦を攻撃させろ!!」

 

「はっ!!」

 

暗黒星団帝国戦役時に真田が急ごしらえとは言え開発した早期警戒型コスモタイガー‥‥

 

 

【挿絵表示】

 

 

同戦役時には急ごしらえ故にヤマトに一機しか搭載されていなかったが、暗黒星団帝国戦役後にはこの機は量産され、まほろばにも搭載されていた。

 

早期警戒型コスモタイガーは発進し、まほろばの前方へ哨戒飛行を行う。

 

なお、この時早期警戒型コスモタイガーには波動カートリッジ弾、波動爆雷の様に波動エネルギーを仕込んだ爆弾‥波動エネルギー爆弾を装備していた。

 

この新型爆弾も真田とトチローが新開発した新装備の一つであった。

 

「艦長、敵の次元潜行艦の位置、トレース出来ました」

 

ギンガは敵の次元潜行艦の位置をトレースし終えていた。

 

「位置は?」

 

「この様な陣形をとっています」

 

ギンガがトレースした敵の次元潜行艦の位置は楔型‥‥鶴翼の陣形をとっていた。

 

「‥‥では、本艦はこのまま進み左側の次元潜行艦から順に攻撃を行う」

 

「了解」

 

まほろばは速度を上げ、自らボラー連邦の次元潜行艦隊が待ち受ける鶴翼の陣形へと突入していく。

 

 

ボラー連邦 B型次元潜行艦 B-005 艦橋

 

「敵艦、直進してきます」

 

「早いな‥‥飽和攻撃は時間厳守だ」

 

「どうしますか?」

 

「一度、このままやり過ごす」

 

「はっ!!」

 

B-005は単独ではなく僚艦との合同攻撃‥すなわち飽和攻撃を行うために攻撃はせずに待機していた。

 

「敵艦、間もなく本艦の頭上を通過」

 

まほろばがB-005の頭上をまもなく通過しようとした時、

 

ズドーン!!

 

ズドーン!!

 

「うぉっ!?」

 

「くっ‥‥」

 

衝撃と共に船体が大きく揺れる。

 

「な、なんだ!?」

 

「敵の攻撃です!!」

 

「機関全速、面舵一杯!!」

 

B-005が右側に大きく回避しようとした時、まほろばの波動爆雷がB-005の艦橋付近で炸裂し、B-005の船体はそのまま圧壊、亜空間の狭間に消えていった。

 

B-005を撃沈した頃、早期警戒型コスモタイガーの一番機が右翼の次元潜行艦B-002へ攻撃を行っていた。

 

「敵の次元潜行艦の潜望鏡発見!!」

 

「よし、新型爆弾の威力を見せてもらうぞ!!」

 

B-002は潜望鏡深度の通常空間と亜空間の境目付近におり、早期警戒型コスモタイガーの姿を発見すると急速潜航を行うも間に合わず、早期警戒型コスモタイガーが投下した波動エネルギー爆弾の攻撃を両舷中央部に受け、B-005同様亜空間の中で爆沈した。

 

「こちら一番機、敵右翼の次元潜行艦を一隻撃沈!!」

 

こうしてボラー次元潜行艦隊は旗艦の他に鶴翼の陣形の両翼を失った。

 

本来ならば、両翼の二隻はまほろばを袋の鼠にし、B-001と共に後方遮断の任務を担う筈であった。

 

「そのまま作戦を続行!!トレースした艦は此処で確実に沈める」

 

「了解!!波動爆雷発射!!」

 

まほろばの快進撃が続くかと思いきや、早期警戒型コスモタイガーが波動エネルギー爆弾を撃ち尽くした頃、果敢に反撃へ転じる次元潜行艦も居た。

 

 

ボラー連邦 B型次元潜行艦 B-003 艦橋

 

「配電盤修理完了」

 

「敵艦、遠ざかります」

 

「魚雷戦どうか?」

 

「準備良し」

 

「よし、メインタンクブロー、アップトリム二十。機関微速」

 

B-003の艦長は潜望鏡を上げ、遠ざかるまほろばの艦影を確認する。

 

すると、周囲の宙域には早期警戒型コスモタイガーが自分たちを探しているのが見えた。

 

早期警戒型コスモタイガーを見た艦長は、一時退避を考えたが、ここまで僚艦がやられた事と絶好の射程に自分たちが居る事に軍人としての警戒心を鈍らせた。

 

「雷撃戦を行う。右五度修正、距離四千二百、調整深度八、急げ!!」

 

「発射!!」

 

「急速潜航!!急げ!!」

 

亜空間魚雷を放ったB-003は亜空間の奥底に深く潜ろうとする。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「コスモタイガー三番機より通信、敵の魚雷本艦へ接近!!」

 

「位置は!?」

 

「左舷十時方向、距離四千二百」

 

「主砲に対潜弾装填!!魚雷はミサイルで迎撃!!波動爆雷で空間の歪みを形成した後、対潜弾で仕留めろ!!」

 

「了解!!主砲戦用意!!

 

「主砲に対潜弾装填!!」

 

「距離、四千二百」

 

この対潜弾装填も真田たちが開発した新型弾で波動カートリッジ弾の弾頭が高速回転するドリルになっており、敵の船体へ深く突き刺さり炸裂すると言うモノになっている。

 

早期警戒型コスモタイガーが敵の次元潜行艦が居る付近に空間照明弾を投下する。

 

「目標確認!!」

 

「方位良し、距離微調整。修正角二十五‥‥」

 

「撃て!!」

 

まほろばからまず波動爆雷が発射され、次いで主砲から対潜弾が放たれる。

 

一方でB-003が放った亜空間魚雷もまほろばへ接近していた。

 

「魚雷接近、雷速四十」

 

「距離四百で迎撃ミサイル発射!!」

 

「了解、距離四百で迎撃ミサイル発射」

 

「距離六百‥‥五百五十‥‥五百‥‥四百五十‥‥四百!!」

 

「ミサイル撃て!!」

 

「発射!!」

 

まほろばのミサイルとB-003の亜空間魚雷の弾頭がぶつかり合い宇宙空間にいくつもの閃光の華が生じる。

 

 

ボラー連邦 B型次元潜行艦 B-003 艦橋

 

「早く‥‥早く潜れ‥‥」

 

B-003の艦長を始めとする乗員たちは祈るように船体が潜行していくのを待つ。

 

彼らにしてみれば一秒の時間がこんなにも長く感じた事はないだろう。

 

ズドーン!!

 

ズドーン!!

 

通常空間と亜空間の狭間で波動爆雷が炸裂したと同時に空間の歪みから対潜弾がB-003の潜む亜空間へと入り込みそして‥‥

 

「むっ!?」

 

ズガーン!!

 

数発がB-003の船体に命中した。

 

僚艦が次々と沈められていく中、残ったのはB-004とB-006の二隻のみでもはや陣形など意味はなかった。

 

 

ボラー連邦 B型次元潜行艦 B-004 艦橋

 

「艦長、既に味方は本艦とB-006のみとなりました」

 

「ここは撤退なさってはいかがでしょうか?」

 

「バカもん、敵を撃破せずに此処まで味方の被害を出してノコノコと戻ってみろ、我々は敵前逃亡罪で死刑だぞ!?」

 

「し、しかし‥‥」

 

「数ではまだ我々が勝っている!!魚雷戦用意!!潜望鏡深度まで浮上!!」

 

B-004の艦長の言う事も当たっており、乗員たちに残されている道はまほろばを撃沈するか自分たちが撃沈されるかの二択であった。

 

ズドーン!!

 

ズドーン!!

 

相変わらずまほろばの波動爆雷の攻撃は止まない。

 

「諸元入力はやらなくてもいい!!亜空間魚雷を信じて撃つ!!」

 

「はっ!!」

 

「一番~六番まで発射!!」

 

「発射後は直ちに潜行!!」

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「敵次元潜行艦、魚雷を発射!!」

 

「迎撃!!」

 

「敵の次元潜行艦の位置は!?」

 

「時計回りに大きく迂回しています!!」

 

「波動爆雷と対潜弾発射用意!!」

 

第一艦橋では火事場のように様々な報告と指示が飛んでいた。

 

そんな中、

 

「敵魚雷、至近距離!!」

 

「なにっ!?迎撃!!パルスレーザー掃射!!」

 

B-004同様、B-006も徹底抗戦をしており、まほろばが魚雷の対処をしている隙を突いて、まほろばの至近距離まで迫り、いきなり浮上して砲撃戦を仕掛けてきた。

 

「敵次元潜行艦本艦前方に浮上!!極めて至近です!!」

 

「な、なにっ!?」

 

敵の次元潜行艦のあまりにも常識外れの行動に驚く第一艦橋のメンバー。

 

まほろばの至近距離に浮上したB-006は艦橋全部にある格納式砲塔を亜空間の中で出しており、その砲口をまほろばの艦橋へ向けてきた。

 

「回避、面舵一杯!!下げ舵一杯!!」

 

良馬はB-006の船体下部へ回避しようとする。

 

「了解!!面舵一杯!!下げ舵一杯!!」

 

永倉が慌てて指示通り操縦舵を操作するが、あまりにも至近距離と咄嗟の事で完全に回避することは出来なかった。

 

ズガーン!!

 

まほろばに大きな衝撃が襲ったかと思うと、第一艦橋の天井の一部が被弾により崩落してきた。

 

声を上げようとした瞬間、天井から降り注ぐ瓦礫が良馬を押しつぶした。

 

一瞬にして目の前が暗くなり、良馬は暗黒の奈落へと転落していった。

 

(くそっ、こんなところで‥‥)

 

良馬以外の第一艦橋のメンバーも被弾による衝撃で何人かが座席から床に叩きつけられる。

 

「いたたたた‥‥」

 

ギンガも座席から放り出されて身体を打った。

 

打ち身で痛む身体を起こしていると、

 

「艦長!!」

 

新見の悲痛な叫びが聞こえ、ギンガが艦長席を見上げると良馬が血塗れで倒れていた。

 

「医務長!!直ぐに艦橋へ!!艦長が負傷した!!」

 

「‥‥」

 

「医務長!?どうした!?返事を!!」

 

「こ、こちら原田衛生士!!医務長が突然倒れました!!」

 

新見の問いにリニスは答えず、代わりに答えたのは衛生士の原田だった。

 

「倒れた!?」

 

良馬と魔力ラインで繋がっているリニスも良馬が負傷した事で倒れてしまったのだ。

 

ギリギリ人の姿を保っていたみたいなので、リニスが山猫を素体とした良馬の使い魔であることは原田たち医務科の乗員にはバレなかった。

 

「どういう事!?医務室にも何か被害があったの!?」

 

新見はリニスが倒れたのだから医務室が被弾したのかと思ったのだが、

 

「いえ、医務室は無傷です!!」

 

医務室に被弾はなく、被害は全くなかった。

 

「じゃあ、何で医務長は倒れたの!?」

 

「わ、分かりません!!」

 

(恐らく良馬さんが倒れたせいで、使い魔のリニスさんも倒れてしまったのね‥‥)

 

良馬とリニスの関係を知らない者にしてみれば、リニスが突然倒れた理由は分かる筈もない。

 

ギンガはリニスが倒れたと言う報告を聞いて、すぐに察しがついた。

 

「とにかく、医務科の人間を艦橋まで寄越して!!大至急!!」

 

「は、はい!!」

 

原田は急ぎ応急処置に必要な医療具や薬が入ったバッグを持って第一艦橋へと急いだ。

 

まほろばの艦橋で良馬が倒れ、医務長であるリニスも原因不明の昏睡状態となり、指揮系統に混乱が生じる中、決死の行動でまほろばへ一矢報いたB-006は再び亜空間へ逃げようとするが、

 

「この野郎!!逃がすか!!」

 

「今更、潜ろうったって遅いぜ!!」

 

波動エネルギー爆弾を全て使い切った早期警戒型コスモタイガーであったが、パルスレーザーでB-006の格納式主砲と艦橋部へ機銃斉射を行う。

 

主砲は兎も角、艦橋部への攻撃は効果的でB-006の艦長を含め、艦橋員に死傷者を出す結果となり、B-006の動きが鈍った。

 

「第一、 第二副砲発射!!」

 

フェリシアが艦橋下部両舷に備わっている無砲身の副砲でB-006を攻撃する。

 

副砲から放たれたショックカノンはB-006の左舷船体中央部に命中し、B-006は船体を真っ二つに割られ撃沈された。

 

 

まほろばがボラー連邦の次元潜行艦の相手をして居る頃、ワープにて戦闘宙域から離脱したヤマトとアルバレスの二隻は、アルバレスの先導の下、東部方面軍司令部の宇宙要塞へと全速で向かっていた。

 

 

アルバレス 艦橋

 

「前方に東部方面軍司令部・宇宙要塞を確認!!」

 

「よし、直ちに要塞へ現状を伝えろ!!」

 

「はっ!!」

 

アルバレスの通信士は急ぎ東部方面軍司令部の宇宙要塞へ通信を入れる。

 

 

一方、アルバレスと行動を共にしているヤマトもアルバレスが向かっている宇宙要塞を肉眼で視認できる距離まで来ていた。

 

 

ヤマト 第一艦橋

 

「前方に巨大な人工物を確認!!」

 

「アレが、バレル大使が向かっていた東部方面軍司令部の宇宙要塞か‥‥」

 

「宇宙要塞と言うだけあってデカいな‥‥」

 

「ああ、暗黒星団帝国の補給基地と同じくらいか?」

 

ガルマン・ガミラス東部方面軍司令部の宇宙要塞を見たヤマトの乗員たちの印象は暗黒星団帝国が保有していた中間補給基地を始めてみた時と同じ印象だった。

 

「艦長、アルバレスが宇宙要塞へ通信を送っています」

 

「バレル大使がこちらに敵対の意志がない事をちゃんと伝えて貰わないとな‥‥」

 

「ああ、外見から見ても暗黒星団帝国の補給基地と比べるとかなり装甲が厚い感じだ」

 

古代たち第一艦橋の乗員たちが東部方面軍司令部の宇宙要塞を唖然とした表情で見ていると、

 

「艦長、アルバレスのバレル大使から通信が入っております」

 

「繋いでくれ」

 

「了解」

 

第一艦橋のメインパネルにはバレルの姿が映し出された。

 

「古代艦長、さきほど要塞と連絡を入れ、本艦とヤマトの入港許可がとれました。それとまほろばが残った宙域への援軍も決まり、すぐに援軍が向かうとの事です」

 

バレルは古代たちに要塞の入港許可とまほろばが戦っている宙域への援軍を急ぎ送る事が決定された旨を伝える。

 

「ありがとうございます。バレル大使‥ただ、援軍には本艦も同行します」

 

古代はガルマン・ガミラスの援軍と共にまほろばが戦っている宙域へ戻る事を伝える。

 

「そうですか‥分かりました。ですが、気を付けてください。それと援軍艦艇はヤマトの指揮下に就くように話を通しておきました」

 

「はい。ありがとうございます」

 

ヤマトは宇宙要塞から出撃したガルマン・ガミラスの一個小隊の艦艇と共にまほろばが戦っている宙域へワープした。

 

ヤマトとガルマン・ガミラスの援軍が向かっている中、まほろばでは‥‥

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「原田さん!!こっちです!!」

 

「は、はい!!」

 

第一艦橋に原田とバトライザーが到着した。

 

「バトライザー、慎重に瓦礫を撤去して」

 

「ワカリマシタ」

 

バトライザーは良馬を押しつぶしている天井の瓦礫を丁寧に撤去していく。

 

ギンガは当然、自分もそこへ行き良馬を助けたかった。

 

しかし、亜空間ソナーを操作している自分は言わばまほろばの目と耳‥‥

 

まほろばに乗っている大勢の乗員たちの運命は自分が担っている。

 

敵の次元潜行艦はまだ残っている。

 

その次元潜行艦を撃破ないし捕獲しなければ安心できない。

 

そしてその次元潜行艦を見つけることが出来るのは自分だ。

 

きっと良馬もギンガが任務をすっぽかして、怪我をした良馬につきっきりな状態だったと知れば怒るだろう。

 

ギンガが必死に敵の次元潜行艦の行方を探った。

 

その次元潜行艦B-004は‥‥

 

 

ボラー連邦 次元潜行艦 B-004 艦橋

 

「か、艦長、B-006までもが‥‥」

 

B-006の決死の行動をB-004は亜空間から潜望鏡で見ていた。

 

そして最後の僚艦であったB-006も撃沈されて残るのは自分たちだけとなる。

 

「の、残っているのは本艦のみです」

 

「くっ‥‥」

 

B-004の艦長は苦虫を嚙み潰したように悔しさから顔を歪める。

 

「艦長!!」

 

「て、撤退だ‥‥」

 

B-004の艦長はここにきて撤退を決めた。

 

「急速潜航、針路五十、全速前進」

 

「急速潜航、ヨーソロー」

 

「針路五十、全速前進」

 

B-004は亜空間へ深く潜り、全速で現宙域から逃げて行った。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

バトライザーは瓦礫を取り除き、良馬をストレッチャーに乗せ原田と共に医務室へ向かう。

 

その間もギンガは医務室へ行きたい衝動を抑えて敵の次元潜行艦の行方を追う。

 

(ん?敵の次元潜行艦が離れていく‥‥)

 

すると、敵の次元潜行艦の反応が遠ざかって行く。

 

「ふ、副長。敵の次元潜行艦の反応が遠ざかっていきます」

 

「撤退‥したのかしら?」

 

「‥‥はい。反応がドンドン遠ざかっていくので、恐らくは‥‥」

 

「副長、この後はどうします?」

 

敵の次元潜行艦が撤退した事でとりあえず周辺の安全は確保できたとみていいだろう。

 

「ヤマトとアルバレスを追いかけますか?」

 

敵が撤退して行ったのであるならば、まほろばもヤマトとアルバレスの後を追いかけるべきなのだろう。

 

「そ、そうね」

 

新見がヤマトとアルバレスの後を追うべきだと判断した時、

 

「ふ、副長。本艦の近距離に空間歪曲反応!!た、多数です!!」

 

「なんですって!?」

 

取り逃がした敵の次元潜行艦が救援を呼んだのだろうか?

 

「引き続き、戦闘配備!!コスモタイガーも発進用意!!」

 

まほろばの乗員たちが緊張した面持ちでワープアウトしてくる艦隊が敵なのかそれともガルマン・ガミラスの艦隊なのかを待っていると、ワープアウトしてきたのはヤマトを先頭にしたガルマン・ガミラスの艦隊だった。

 

「や、ヤマト!?」

 

「それに後続の艦はガルマン・ガミラスの艦です!!」

 

「ふぅ~‥‥」

 

ヤマトの姿を見て一息つきながら座席に腰を下ろす新見。

 

「副長、ヤマトから通信が入っております」

 

「繋いで頂戴」

 

「はい」

 

まほろばの第一艦橋にあるメインパネルには古代が映る。

 

「古代艦長」

 

「アルバレスを目的地の宇宙要塞へ送り届けたので、ガルマン・ガミラスの援軍艦艇と共に救援に戻りました‥‥えっ?艦橋部が損傷しているように見えるのですが、月村艦長は!?」

 

「艦長は艦橋への被弾時に倒れられました」

 

「月村艦長が!?」

 

新見の報告に古代は驚愕する。

 

「それで月村艦長の容体は!?」

 

「それが、医務長も原因不明の昏睡状態になってしまって治療が出来ない状況なんです」

 

「わ、分かりました。急ぎ佐渡医師をまほろばに向かわせます!!」

 

「ありがとうございます」

 

「交戦中の敵の動きは!?」

 

「亜空間ソナーを操作していた中嶋通信長によれば敵の次元潜行艦は撤退したもようです」

 

「そうですか‥‥分かりました。ガルマン・ガミラス側にはこちらから伝えておきます」

 

「わかりました」

 

ヤマトと通信を行った後、佐渡がまほろばに赴いて良馬を始めとする負傷者の治療を行う事になった。

 

「副長、私も医務室の手伝いへ向かいます」

 

するとギンガも医務室へ応援に行くことを伝える。

 

「えっ?でも‥‥」

 

「すでに敵の次元潜行艦は撤退しましたし、医務長が昏睡状態となってしまった状況では医務科の人たちも大変な筈です。私、士官学校で医務科のコースも受講したので、応急手当は出来ます」

 

「分かったわ。通信業務に関してはバトライザーを呼び戻して代わってもらうことにするわ」

 

「はい。では‥‥」

 

ギンガは急ぎ医務室へと向かった。

 

 

ヤマト 第一艦橋

 

「まさか、月村艦長が‥‥」

 

「大丈夫かしら?月村さん」

 

古代は良馬が負傷した事に驚き、雪は良馬の容体を案じた。

 

「佐渡先生が向かったから大丈夫だと思うが‥‥」

 

古代は名医である佐渡が手術をするのだから、良馬は助かると信じた。

 

「それにしてもこの宙域でいきなり攻撃してきたあの次元潜行艦は一体何処の次元潜行艦だったのだろう?」

 

良馬の事を佐渡に任せ、次は敵の正体がどの勢力に所属していたのかが気になる。

 

「まほろばの戦闘記録では少なくとも二隻は通常空間で撃沈したとの事だ。それらの残骸を回収して調べれば何か分かるかもしれない」

 

真田はまほろばが撃沈した敵の残骸を調査すれば敵の正体が分かるだろと判断し、現在ガルマン・ガミラスの艦艇に搭載されている小型艇が敵の残骸を回収している。

 

勿論、ヤマトの方でも同じく敵の残骸の回収作業は行われていおり、真田たちヤマトの技術班の乗員が次元潜行艦と戦い損傷したまほろばの修理を手伝う。

 

一方、まほろばの医務室内に設けられている手術室では佐渡が良馬を手術していた。

 

ギンガも医務室にて負傷者の応急手当を行うがやはり気になるのかチラチラと手術室を見ていた。

 

やがて、負傷者の応急手当も終わった頃、手術中のランプが消え佐渡が出てきた。

 

「あっ、先生!!りょ‥‥か、艦長は!?手術はどうなりました!?」

 

ギンガは佐渡に真っ先に良馬の容体と手術の成否を訊ねる。

 

「安心せい、手術は成功じゃ。一週間もすれば元通りの身体に戻れる」

 

「ありがとうございます!!」

 

ギンガは深々と佐渡に頭を下げて礼を言う。

 

ギンガの他に医務室に居た乗員たちも良馬の容体が心配だった様で、佐渡の言葉に安堵していた。

 

「さあ、治療が済んだ者は仕事に戻るんじゃ。もう心配は要らん」

 

ギンガは手術室から良馬が乗るストレッチャーを押して病室へと向かう。

 

そして病室に入ったギンガは良馬をストレッチャーからベッドへと移す。

 

良馬をベッドに横たえ、掛け布団を掛けると、良馬はゆっくりと瞼を開けた。

 

「あっ、良馬さん。気づきましたか!?」

 

「こ、ここは‥‥?」

 

「病室です。良馬さん、艦橋で怪我をしたんですよ」

 

「‥‥あっ」

 

ギンガから何故自分が病室に居るのかを伝えられ、それを思い出し上半身を起こそうとするも全身に走る苦痛に顔を歪める。

 

「ダメですよ。動いちゃあ」

 

そんな良馬をギンガは再びベッドへと沈める。

 

「戦闘は‥‥?それにリニスの事も心配だ」

 

良馬も自分がこうして怪我で倒れた事により使い魔であるリニスにも何か影響が出ている筈だと思いリニスの身を案じる。

 

「戦闘に関して、敵は撤退しました。リニスさんは良馬さんが倒れた影響のせいか、倒れられましたが、山猫の姿には戻っていません。なので、リニスさんの正体はバレてはいないようです。良馬さんが目を覚ましたことでリニスさんも時期に目が覚めるでしょう」

 

「そ、そうか‥‥」

 

「はい。バレルさんたちも無事に要塞へ辿り着いたみたいで、ヤマトはわざわざ戻って来てくれました」

 

「古代艦長には貴重な時間を無駄にさせてしまったな‥‥」

 

ヤマトを逃す為にまほろばが敵の次元潜行艦を引き付けたのだが、先ほどのギンガの言葉から『敵は撤退』‥つまり殲滅は出来ずに何隻かは取り逃がしてしまったと言う事だ、

 

「そんなことはありませんよ。確かに敵を全て倒すことは出来ませんでしたが、大半の敵は倒すことは出来、バレルさんたちは無事に目的地に到着できたのですから、まほろばがとった行動は決して無駄ではない筈です」

 

「‥‥」

 

「何はともあれ、敵の脅威は去りました。安心して休んでいて下さいね」

 

「あ、ああ‥‥」

 

ギンガの言葉を聞き、良馬は静かに目を閉じた。

 

良馬が意識を取り戻したことにより、リニスの方も目を覚ました。

 

「うっ‥‥あ、あれ?私‥‥」

 

「あっ、医務長!!」

 

目を覚ましたリニスに気づいた原田が声をかける。

 

「突然、倒れたから心配したんですよ。医務長」

 

「倒れた?私が?」

 

「はい」

 

(突然倒れた?私が?っ!?ま、まさか、マスターの身に何かあったんじゃあ‥‥)

 

リニスは自分が理由なしに突然倒れた原因として使い魔との契約‥‥すなわちマスターである良馬の身に何か起きたのだと察した。

 

しかし、自分が消滅していない事から良馬は死んではいないのだろうが、それでも突然倒れたのだからそれなりの事が起きた筈だ。

 

「原田さん、もしかして艦長の身に何かあったんですか!?」

 

リニスは原田に良馬の事を訊ねる。

 

「は、はい。敵の攻撃が第一艦橋付近に命中して艦長は怪我を負いました」

 

「怪我‥‥艦長が‥‥」

 

「はい。でも、ヤマトの佐渡先生が来てくれたおかげで手術は成功して今は病室で休まれています。他の負傷者たちも応急手当ては既に終了しています」

 

「そう‥‥はぁ~‥‥肝心な時に倒れるなんて医務長失格ね」

 

リニスは手で顔を覆いながら自嘲する。

 

「いえ、きっと医務長は疲れていたんですよ」

 

そんなリニスを原田は励ます。

 

「‥‥」

 

使い魔と言う存在である以上、マスターの身に何かしらの事があればそれに連動してしまうこの身体がとても忌々しく思ってしまう。

 

そのせいで、肝心な時‥マスターが怪我をした時に手当をすることが出来なかった事がリニスに強い屈辱感を与えた。

 

 

敵の残骸の回収は終わったが、その残会を調査し敵が所属していた勢力が未だに不明なままであったが、この宙域に長く留まると敵が引き返してくる恐れがあった。

 

良馬の手術と負傷他の手当てが終わり、まほろばも応急修理も終わって航行可能なので、周辺を哨戒していた早期警戒型コスモタイガーを収容した後、ヤマト、まほろば、ガルマン・ガミラスの艦艇はこの宙域を後にし、アルバレスが待つガルマン・ガミラス東部方面軍司令部の宇宙要塞へと向かった。

 




主人公が負った傷は、旧作のヤマト映画、『ヤマトよ永遠に』で山南が負った傷未満、ゲーム版『宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊』で古代守が負った傷以上のモノと思って下さい。
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