星の海へ   作:ステルス兄貴

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百六十九話 惑星ファンタムへの道&管理世界での出来事

 

 

デスラーからの情報提供により、ガルマン・ガミラスとボラー連邦との国境線付近にあるとされる地球に似た惑星ファンタム‥‥

 

現在、探査担当宙域にて良い結果が出ていないヤマト、まほろばとしては地球人類生存のタイムリミットがあるので、此処は藁にも縋る思いで情報提供をもらった惑星ファンタムへと向かっていた。

 

惑星ファンタムへ向かっている道中、暗黒物質と小惑星が密集しているとある宙域にて、救助信号を受信したヤマトとまほろば。

 

現場に行ってみるとそこにはシャルバート教の巡礼者たちを乗せた宇宙船がエンジントラブルを起こして不時着していた。

 

本来地球とは縁も所縁も何の関係もない彼らであったが、目の前で困っている人々を見捨てて行く程、宇宙戦士は腐ってはいない。

 

巡礼者たちを乗せた宇宙船を修理し終え、彼らが出発した直後、この宙域に艦隊が出現した。

 

ガルマン・ガミラスの艦隊だったら、通信を交わして航行目的を話せばすんなりと終わったのだが、接近して来たのはボラー連邦の艦隊だった。

 

この宙域はガルマン・ガミラスとボラー連邦との国境線付近なので、運悪くボラー連邦の艦隊がガルマン・ガミラス領へ侵攻してきたのだろうか?

 

古代は無駄だと思いつつも接近してくるボラー連邦の艦隊指揮官に対して自分たちには戦闘の意志が無い事を告げるが、艦隊司令官であるハーキンスは元々ベムラーゼよりヤマト、まほろばを撃破する事を命じられていたので、当然古代の言葉を蹴ってきた。

 

 

ボラー連邦 第八打撃艦隊所属 ハーキンス座上 ラザレフ級航宙戦闘艦 艦橋

 

「ハーキンス司令」

 

「なんだ?」

 

「周辺宙域にヤマト、まほろば以外にもう一隻、宇宙船の反応があります」

 

「何?もう一隻だと?」

 

「はい。いかがいたしましょう?」

 

戦闘圏外へまだ退避出来ていなかった巡礼者たちを乗せた宇宙船はラザレフ級航宙戦闘艦のレーダーにいとも簡単に捕捉されてしまった。

 

「友軍艦艇でなければ沈めて構わん!!艦隊の一部を差し向けろ!!」

 

「はっ!!」

 

ハーキンスは巡礼者たちを乗せた宇宙船も攻撃対象にした。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「敵艦隊、二手に分かれました!!一方は巡礼船の方へ向かっています!!」

 

「やはり巡礼船はボラーに捕捉されていたか‥‥コスモタイガー、そっちにボラー艦隊の一部が向かった!!そちらの迎撃は任せたぞ!!」

 

「了解!!」

 

ヤマト、まほろばのコスモタイガー隊が護衛についているので、そう簡単に遅れを取ることはないだろう。

 

巡礼者たちを乗せた宇宙船の方はコスモタイガー隊に任せて、自分たちは眼前に迫るボラー連邦の艦隊の対処だ。

 

ボラーの主力艦隊は左右からヤマト、まほろばへと迫る。

 

そして、距離がある一定に達すると艦体中央部にある回転式弾倉発射管から次々と誘導ミサイルであるスペース・ロックを発射してきた。

 

スペース・ロックは不規則な動きをしながら両舷よりヤマト、まほろばの全方位を包み込むように迫って来ると船体のあちこちに命中する。

 

しかし、ヤマトもまほろばも波動防壁を展開していたので、致命傷は避けることが出来た。

 

「艦長、敵のミサイルは誘導型のミサイルの様です」

 

「よし、それならチャフをばら撒いて誘導機能を奪う!!反転上昇し、チャフを撒きながら小惑星帯へ突入せよ!!」

 

「了解!!」

 

まほろばはチャフを撒きながら反転上昇し、小惑星帯へ飛び込んで行き、ヤマトは波動爆雷で迫りくるスペース・ロックを迎撃する。

 

チャフによって誘導機能を失ったスペース・ロックは小惑星にぶつかったり、他のスペース・ロックに接触したりして爆発する。

 

そして、ヤマトの方では発射された波動爆雷の爆発に巻き込まれる。

 

二隻の宇宙戦艦の周囲には次々と爆発するスペース・ロックが赤やオレンジの花を咲かせた。

 

「敵艦隊、急速接近!!」

 

「主砲発射用意!!目標、ボラー艦隊!!」

 

「了解!!主砲発射用意!!目標、ボラー艦隊!!」

 

良馬の命令をフェリシアは復唱する。

 

「第一主砲は右舷、第二主砲は左舷の敵を狙え!!」

 

「照準固定、主砲発射準備完了!!」

 

「撃て!!」

 

まほろば、ヤマトからは主砲が放たれ命中するとボラー艦は相次いで吹っ飛び、陣形が崩れる。

 

「敵艦隊の陣形が乱れました!!」

 

「艦首魚雷及び煙突ミサイル発射!!」

 

砲撃によって混乱が生じたボラー艦隊へ次は魚雷とミサイルが襲い掛かる。

 

ヤマト、まほろばが相手をしているボラー艦隊に関しては優位に戦況が進んでいる中、巡礼者たちを乗せた宇宙船の護衛を行っているコスモタイガー隊の方では‥‥

 

やはり、非武装の宇宙船と戦闘艦とでは速力の差があり、多少の距離があったにもかかわらず、ボラー艦隊は宇宙船の近くまで迫っていた。

 

「くそっ、もう追いついたか‥‥」

 

迫りくるボラー艦隊の姿を見て山本は苦々しく呟く。

 

「全機、反転!!」

 

このままではボラー艦隊に追いつかれてしまうので、コスモタイガー隊は反転をしてボラー艦隊を迎え撃つ。

 

ボラー艦隊は主砲の射程に宇宙船を捕捉すると砲撃してきた。

 

スペース・ロックで攻撃してこなかったのは、非武装の宇宙船相手にスペース・ロックはもったいないと判断したのだろう。

 

ボラー艦隊のショックカノンが巡礼者たちを乗せた宇宙船に容赦なく襲い掛かる。

 

「キャァァァァァー!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁー!!」

 

宇宙船の中ではシャルバート教の信者たちがボラー艦隊からの砲撃を受けて、パニックに陥る。

 

子供たちは泣き喚き、大人たちは不安そうに周囲を見ている。

 

しかし、補強で装甲を厚くしていた事が功を奏したので、宇宙船がボラー艦隊の一撃で撃沈されることはなかったが、このまま砲撃を受け続けていれば撃沈は時間の問題であった。

 

「全機突入!!」

 

「俺に続け!!」

 

コスモタイガー隊は宇宙船を攻撃してくるボラー艦隊へと迫る。

 

「攻撃開始!!」

 

「全機、敵前部甲板へミサイル集中攻撃!!」

 

ボラー艦隊がいつ砲撃からあの厄介なミサイル攻撃に移るか分からず、またミサイルの発射管ならばミサイルへの誘爆を狙えるので、コスモタイガー隊はスペース・ロックの発射管へミサイル攻撃を行う。

 

コスモタイガー隊の狙い通り、ミサイル攻撃を受けたラザレフ級航宙戦闘艦は搭載していたスペース・ロックに誘爆して爆沈する。

 

「うわぁ!!凄い!!」

 

「助かった‥‥」

 

自分たちを攻撃してきたボラー艦隊が沈んだことでシャルバート教の信者たちは助かった事で歓声をあげる者、ホッと胸を撫で下ろす者で湧き上がる。

 

子供たちは自分たちを助けてくれたコスモタイガー隊へ手を振っている。

 

「マザーシャルバート‥‥我らの為に戦ってくださった地球の方々に大いなるご加護を与え給え‥‥」

 

本来ならば自分たちシャルバート教とは何の関係が無いにもかかわらず自分たちの船を直し、自分たちを守る為に戦ってくれているヤマト、まほろばの為に長老はマザーシャルバートへ祈りを捧げた。

 

コスモタイガー隊の奮闘により巡礼者たちを乗せた宇宙船を追撃してきたボラー艦隊は全滅し、追撃者が居なくなったことで宇宙船は無事に戦闘宙域から離脱する事が出来た。

 

 

ボラー連邦 第八打撃艦隊所属 ハーキンス座上 ラザレフ級航宙戦闘艦 艦橋

 

「は、ハーキンス司令、味方の艦が次々と‥‥」

 

「不明船を追撃した分艦隊も敵の航空隊の攻撃に遭い全滅です!!」

 

「我々も空母を持ってくるべきだったか‥‥残存艦の数は‥‥」

 

「はっ、本艦を含めあと七隻です」

 

「くっ‥‥任務は失敗だ‥‥」

 

(ま、まさか、辺境の田舎蛮族如きの艦があそこまでの能力があるとは‥‥)

 

事前にある程度の情報を得ていたとは言え、ハーキンスはヤマト、まほろばの能力を侮っていた。

 

また、戦艦ながら多数の航空機を搭載していた事とその航空隊の強さもハーキンスにとっては予想外だった。

 

「司令官、いかがいたしましょう?」

 

「撤退だ」

 

「は、はい‥‥?」

 

「撤退だ。今の戦力ではあの戦艦には勝てない」

 

「しょ、承知しました」

 

ハーキンスはすぐさま敗北を悟ると残存艦に撤退命令を下した。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「敵の残存艦がワープしました‥‥撤退したと思われます」

 

「巡礼船は?」

 

「無事に戦闘圏外へ脱出しました」

 

「そうか‥‥通信長、コスモタイガー隊へ帰還命令を出してくれ」

 

「了解」

 

ボラー艦隊の撤退と巡礼者たちを乗せた宇宙船が戦闘圏外へ脱出した事が確認できたので、良馬はコスモタイガー隊へ帰還命令を出した。

 

ヤマトでも同じくコスモタイガー隊へ帰還命令が出たみたいでコスモタイガーは次々とヤマト、まほろばへと戻って行く。

 

コスモタイガーを収容し終え、戦闘によるダメージ箇所のチェックと応急修理を行う。

 

「波動防壁とチャフのおかげで致命的なダメージはありません。応急修理も間もなく終わります」

 

「ヤマトの方も同じく航行に支障をきたす程のダメージは無く、応急修理ももうすぐで終わるみたいです」

 

やがて、応急修理が終わり、ヤマトとまほろばは惑星ファンタムへの航海を再開する。

 

「艦長、本艦及びヤマトの応急修理が終わりました」

 

「よし、針路を戻せ!!惑星ファンタムへ向かうぞ!!」

 

「了解、針路惑星ファンタム」

 

永倉が航海計器を操作してヤマト、まほろばは惑星ファンタムへ針路を戻し、ゆっくりと動き始めた。

 

ヤマト、まほろばが惑星ファンタムへ針路を向け、航行しだした時、突如、前方の空間にマザーシャルバートの姿が浮かび上がった。

 

突然のマザーシャルバートの出現にヤマト、まほろばの乗員たちはドキッとした。

 

「ま、マザーシャルバート!?」

 

「驚いたな‥まさかマザーシャルバートが姿を見せるなんて‥‥」

 

ヤマト、まほろばの乗員の中にシャルバート教の信者は居ない。

 

それにもかかわらずマザーシャルバートはヤマト、まほろばの前に姿を見せた。

 

「あの方向は惑星ファンタムがある方向です」

 

「マザーシャルバートが我々を惑星ファンタムへ導いているのか‥‥」

 

「ボラー連邦に敵認識され、シャルバートにも見込まれたって事か‥‥」

 

「なんだか先が思いやられますね」

 

「だが、我々は行かなければならない。例え前途にいかなる事態が待ち受けていようともな‥‥」

 

ヤマト、まほろばがマザーシャルバートの導きの下、惑星ファンタムへと全速で向かった。

 

 

ヤマト、まほろばが惑星ファンタムへ向かっている頃、ミッドチルダでは‥‥

 

ユーノ・スクライアが司書長を務めている彼の職場である無限図書館にて、この日一人の訪問者が居た。

 

「スクライア司書長。司書長にお客様が来ております」

 

「あっ、はい。今行きます」

 

受付係からの内線を受けてユーノは訪問客の居るロビーへと向かう。

 

「やあ、スクライア君」

 

「スピアーノ教授、お久しぶりです」

 

訪問者はユーノと同じスクライア族でミッドにあるペトルグリフ大学にて考古学を教えているランティス・スピアーノ教授だった。

 

ユーノもランティスも同じ種族でありミッド在住と言う事でお互いに知らない仲ではなかった。

 

「それでスクライア君。頼んでおいたモノは‥‥」

 

「あっ、此方です」

 

ユーノは先日、ランティスよりある資料を頼まれており、それを今日ランティスは取りに来たのだ。

 

「ただ、教授。自分も事前にこの資料に目を通しましたが、正直信じられないような内容でしたけど‥‥」

 

「まぁ、古代ベルカ時代よりも前の記述であるからね。しかし、いくら古い記録で眉唾物の様な内容でもそれが全て空想だと言い切れないだろう?我々スクライア一族は遺跡を発掘しそこから古代の記録を読み取っていくのだから」

 

「それはそうですけど‥‥」

 

ランティスからの依頼の資料についてユーノはいまいちその資料の内容は信じられない内容であった。

 

しかし、スクライア族で大学にて考古学を教えているランティスは受け取った資料の内容すべてを否定する事は出来なかった。

 

「ですが、資料によるとそれに記載されている内容は他の世界ではなくミッドの出来事ですが、ミッドにはそのような形跡や遺跡は存在していませんよ」

 

遺跡の発掘を生業とするスクライア一族ならば、ミッドに遺跡があれば当然その遺跡を発掘するがミッドでは資料に記載されているような遺跡が見つかったという報告は未だにない。

 

「古代ベルカ時代前の遺跡だとしたら、あのベルカ戦争の戦乱で破壊されたと思われるからね。まったく当時の王たちは後先考えずに目に映るモノを常に破壊し続けていたのだろう」

 

「まぁ、あの時代はミッド全体が戦乱の時代でしたからね‥‥」

 

「それにだ。仮に破壊されていなかったとして、あのJS事件における『聖王のゆりかご』の様にまだ見つかっていない可能性も捨てきれないのでないか?例えば海の底に沈んでいる可能性もあるのだからね。その可能性を確認する為にもう一冊の資料を君に頼んだのだ」

 

「た、確かに‥‥」

 

古代ベルカ時代に失われたと思われていた 『聖王のゆりかご』 はベルカ戦争の折に失われることなくスカリエッティが発掘しJS事件まで保守・整備していた。

 

『聖王のゆりかご』の様に失われたと思われる古代の遺物がまだミッドにあり、ただそれが見つかっていない可能性もあった。

 

資料内容についてランティスとユーノは暫しの間、意見交換をした後にランティスは資料を持って無限図書館を後にした。

 

「司書長、スピアーノ教授が頼んだ資料って一体どんな資料だったんですか?」

 

ランティスが帰った後で司書の一人がユーノにランティスへ渡した資料内容について訊ねてきた。

 

「ああ、古代ベルカ時代よりもさらに昔‥超古代文明に関する資料とある回遊惑星に関する資料だよ」

 

「古代ベルカ時代よりも昔‥‥そんな時代に文明何てあったんですか?」

 

「古代ベルカ時代よりも昔からミッドには既に人類が既に存在していたからね。その人類が文明を築き上げていてもおかしくはないかもしれないが、何分古すぎる記録のせいか若干信憑性にかける内容だったけどね。まぁ、スピアーノ教授は肯定的だったけど‥‥」

 

「確かに文明が存在したという遺跡などの決定的な証拠がなければ信憑性が欠けますね」

 

「ああ‥‥第97管理外世界‥地球でも似たような話が沢山あるんだ。『バベルの塔』 『バビロンの空中庭園』 『ロドス島の巨像』とかは記述だけでその存在が曖昧であったし、エジプトという国にある『ギザの大ピラミッド』は王の墓とされているけど、本当に王の墓なのか?そしてその建造方法も謎とされている」

 

「あの世界は魔法が存在しませんからね。魔法が使えればそうした謎も解決するのではないでしょうか?」

 

「それはどうかな‥‥実際に魔法が存在するミッドや他の世界でもまだまだ解明されていない謎があるから、魔法も万能というわけじゃないんだよ。だからこそ、考古学者や僕たちスクライア一族は遺跡を発掘して謎を一つずつ解明していくしかなく、無限図書はそうした人たちの手助けをする機関の一つなのだと僕はそう思っている」

 

「な、なるほど‥‥」

 

当初はランティスに渡した資料に関してやや否定的な立場であったユーノであったが、ランティスと会話をしてスクライア一族として古代文明に関して全てを否定的するのは間違っていると自覚した。

 

そして司書もユーノの言葉に納得していた。

 

しかし、後にこの資料の内容がミッドを巻き込む大騒動になる事をユーノもランティスもこの時はまだ知る由もなかった。

 

 

ヤマト、まほろばをはじめとする地球が第二の地球となる新惑星を探査している中、はやてが艦長を務めるヴォルフラムも新たな管理世界になりうる惑星を探していた。

 

 

ヴォルフラム 艦長室

 

「艦長」

 

「ん?グリフィス君。どないしたん?」

 

艦長室に居たはやてにグリフィスが内線を入れて来た。

 

「実はヴォルフラムに備蓄してある資材が底を尽きそうなんです」

 

ヴォルフラムは次元断層へ落ちたクラウディアの救助に赴いた後、すぐに新世界探査の航海に出ていた。

 

その期間がかなりの日数になっており、探査中は補給も行われていなかった。

 

「それはアカンな‥‥どこかで資材を調達せな」

 

「ええ、近くに資源が眠っている世界でもあればいいんですが、そう都合よくは‥‥」

 

「艦長、ヴォルフラムの前方に惑星反応があります」

 

すると、タイミングがいい所にヴォルフラムの近くに惑星があるのをオペレーターが発見し、はやてに報告を入れて来る。

 

「おっ、それはナイスタイミングや!!」

 

「はい。ですが、問題はその惑星に資源があるかどうかです」

 

「探査も兼ねてその惑星へ行ってみるで」

 

惑星発見の報告を受け、はやてはブリッジへと上がった。

 

はやてがブリッジに上がると、ヴォルフラムの眼前には青い星があった。

 

「艦長、惑星の解析ですが、星全体の約90%が海の惑星の様です」

 

「陸地が殆どない星やな」

 

「ええ‥ですが、海底に十分な資源が存在しているようです。大気の成分もミッドよりも若干、酸素濃度が高いようですが、宇宙服を着用するほどのレベルではありません」

 

「ほんなら、その惑星で資材を調達するか。ひとまず前方の惑星へ降下や」

 

「了解」

 

ヴォルフラムは前方の青い星へと向かった。

 

そして、惑星に広がる海へ着水する。

 

空は快晴で波は穏やかで仕事でなければ海水浴や釣りでもやりたい環境だ。

 

「ほな、さっさと資源回収をやろうか?」

 

「はい」

 

管理局の艦は戦闘よりも調査がメインの艦なので、潜水行動も可能であり、資源が海底にあると言う事でヴォルフラムは海へと潜水して、海底に眠る資源を取りに行く。

 

そして海底にて無事に航海に必要な資源を入手することに成功した。

 

「艦長、資源確保終了しました」

 

「どうします?このまま引き続きこの惑星を探査しますか?」

 

「せやな、次いでやしやっておこうか」

 

必要な資源は入手したが、こうして資源が眠り、ミッドと対して変わらない環境な星なので、より詳しく探査を行えば本局に良い報告が出来ると思いはやては探査命令を出した。

 

「それにしても水の色が綺麗ですね」

 

「せやね‥‥もしかしたらミッドの海よりも綺麗かもしれへんな」

 

「本局へ報告を入れましたら、此処は資源世界か自然保護世界になるのでしょうか?」

 

「多分そうなるな」

 

海底とは言え資源が豊富な世界を管理局が黙って見過ごす筈が無く、はやてが本局へ報告を入れればこの星は管理局が管理世界として組み込む可能性が高い。

 

「ん?なんだ?この反応は‥‥ん?おお、これは凄く大きな魚だな」

 

ソナー員が海中で大きな魚らしき反応を捉えた。

 

「‥‥ん?って‥これは魚じゃない!!艦長!!海中に巨大な生物の反応があります!!」

 

しかし、よくよく見ればそれはただ単に大きな魚という訳ではなかった。

 

「巨大な生物?」

 

「大きさは!?」

 

「約18メートル!!」

 

「18メートル!?」

 

「かなりデカいですね」

 

ヴォルフラムのモニターには海中を自由に泳ぐ巨大生物の映像が映し出される。

 

それも一匹ではなく複数の同一個体がいる。

 

その巨大生物はクジラや鮫、シャチというよりも太古の昔に地球で繁栄していた海竜と呼ばれた首長竜に近い姿をしていた。

 

「どうしますか?艦長」

 

「あの生物が攻撃的とは必ずしも言い切れへんけど、私らを敵視している可能性は高そうや‥‥まぁ、あちらさんにしてみれば私らは自分たちの縄張りにズカズカと踏み込んで来た訳やからな」

 

(こんな時、キャロが居てくれたら何か分かったかもしへんな‥‥)

 

海竜とは言え竜‥そして竜と言えば、かつて機動六課に在籍していたキャロ・ル・シエルは竜を使い魔にしていた召喚士であったので、キャロが居ればあの海竜とコンタクトがとれたかもしれないとはやてはそう思っていた。

 

しかし、現状そのキャロが居ないのでどうにもならない。

 

「とにかくあちらさんをこれ以上刺激しないようにこちらからの手出しはNGや」

 

「りょ、了解」

 

「しかし、もし向こうが襲い掛かって来た場合は‥‥?」

 

「あの巨体の体当たりを喰らえばいくらヴォルフラムとは言え、船体にダメージを負う可能性が十分にあります」

 

「その時はやむを得ない‥‥攻撃して相手を追っ払うが、基本こちらからの手出しは無しや」

 

「了解」

 

ヴォルフラムは海竜たちの動向を注視しながら海中を進んで行く。

 

「艦長、海竜の他に別の巨大生物の反応があります!!」

 

ソナー員が新たに別の生物の反応を捉えた。

 

「海竜とは別?」

 

「それは。別個体の海竜か?」

 

「いえ、反応が海竜とは異なります‥‥まもなく映像に映ります」

 

やがてヴォルフラムのモニターには海竜とは別の生き物‥‥物凄く巨大な魚が映し出された。

 

「魚!?」

 

「それもかなり巨大な魚ですね‥‥」

 

「いや、それだけじゃない‥‥あの異様な姿を見ろ‥‥」

 

ヴォルフラムのモニターに映る魚は、骨格上は魚なのだろうが、その大きさもさることながら、外見も異常な姿をしていた。

 

魚の頭部には角の様な突起物が生えており、鱗も映像で見る限り鎧の様に固そうだ。

 

口の中には鮫以上に鋭い牙が何本も生えていた。

 

「うわぁ~何や?あの魚‥‥」

 

はやてはモニターに映る魚の姿を見てドン引きし、

 

「これまでの管理世界で確認された生物の中でもこれほどの大きさで異様な姿の魚なんて確認されていませんね」

 

グリフィスがモニターに映る魚を見て呟く。

 

「あの海竜と言いこの魚と言い、この星の生態系は一体どうやっとるんや?」

 

「生物学者が居たら目を輝かせていたでしょうね」

 

「せやけど、私らにしてみれば最悪な環境や」

 

海竜や巨大な魚‥‥この星の海はまるで太古の地球の海の様だ。

 

(まさか、クラーケンや大ウツボみたいな化け物も居らんよな‥‥)

 

地球における大航海時代に海には大きな船をいとも簡単に沈める巨大なイカの化け物であるクラーケンや巨大なウツボが居ると信じられていた。

 

こんな地球の太古の海を再現した様な惑星の海であるならば、それらに類似した巨大生物が居てもおかしくはなかった。

 

ヴォルフラムが海中を進んでいると突如、氷塊が出現した。

 

「っ!?な、なんだ!?これはっ!?」

 

ヴォルフラムの航海長が突然現れた氷塊に思わず声を上げる。

 

「氷塊だ!!周囲一帯に無数の氷塊が出来ている!?」

 

「で、ですが、どうして突然氷塊なんて‥‥」

 

「此処は未知なる惑星だ。何が起きても不思議じゃない」

 

あんな巨大生物が住んでいる惑星なのだから、これまでの管理世界の常識は未知なる惑星には通じないのかもしれない。

 

「‥‥すまんが海中温度の記録を表示してや」

 

「は、はい」

 

はやてはヴォルフラムが記録したこの惑星における海の温度記録を見る。

 

「うーん‥‥あまりにも妙や」

 

「と言いますと?」

 

「真水は零℃で凍り、海水はマイナス三℃以下で凍るモノや‥‥でも、ヴォルフラムが記録したこの星の海の温度は二十五度‥‥潜って多少海水が冷えてもいきなり氷塊が出来るマイナス三℃以下になるなんてあまりにも時間が少なすぎる」

 

「確かに‥‥海水の成分はミッドとあまり変わらないので、海水が凍るとしても艦長の言う通りマイナス三℃以下で凍る筈ですね」

 

「もしかしたら、この氷塊が出来たのは単なる自然現象と異なるかもしれへんな」

 

はやてはこの氷塊の出現は自然によるものではないと判断した。

 

そしてはやての判断は当たっていた。

 

「か、艦長!!見てください!!」

 

「ん?どないした?」

 

ヴォルフラムのモニターには例の海竜の姿が映し出されているのだが、海竜が口から青い光線を吐くと海竜の周辺に氷塊が出現する。

 

「あの海竜が原因か‥‥」

 

「竜は口から火を吐くイメージが強いけど、海竜はまさかの冷気とは‥‥」

 

この惑星に生息する海竜はただの海竜ではなく冷気を操る特質を有していた。

 

氷塊が突如発生したのはこの海竜が周囲に冷気をまき散らしたためだ。

 

「うーん‥どう見ても歓迎や求愛って感じには見えへんな」

 

「ええ‥あれは一種の威嚇行動かと思われますね」

 

海竜の行動を見てはやてとグリフィスはあの海竜が自分たちを威嚇しているのだと判断した。

 

「あの海竜は我々の侵入にたいして相当敏感になっているようです」

 

「やっぱり、私らを敵と認識したか‥‥」

 

「艦長、これ以上の海中での行動は危険ではないでしょうか?」

 

「せやな‥今は氷塊を出すぐらいやけど、体当たりやあの氷塊をぶつけて来たりしたら厄介や‥‥全速で浮上するで!!いくらあの海竜や魚でも空までは追っては来れないやろう」

 

「は、はい」

 

ヴォルフラムは全速で海中からの脱出を図る。

 

「離水、成功!!ただちに上昇します!!」

 

はやての予測通り、空中へ浮上したヴォルフラムへは流石の海竜や巨大魚も襲い掛かって来る事はなかった。

 

やはり、彼らは自分たちの縄張りに入り込んできたヴォルフラムを追い出したいだけだった様だ。

 

「このままこの惑星を出るで!!」

 

「はい‥‥惑星引力圏まもなく離脱します!!」

 

「いやぁ~一時はどうなることかと思いました」

 

「ああ、全くや‥‥」

 

「生きた心地がしませんでしたよ‥‥」

 

「自然保護官は普段からこんな職務をやっているんですかね」

 

「それで艦長、あの惑星についてどうしますか?本局へ報告をいれますか?」

 

グリフィスがはやてにあの惑星について本局へ報告を入れるかを訊ねる。

 

「うーん‥‥いや、報告は入れんでええ」

 

はやてが出した結論は意外にもあの惑星については放置するという判断だった。

 

「えっ?それは何故です?」

 

グリフィスもはやての判断に意外性を覚え、改めて何故本局へ報告を入れないのかを訊ねる。

 

冷気を吐く海竜と巨大魚が生存しているとは言え、海底には莫大な資源が眠っている星をわざわざ見て見ぬふりをするとはあまりにも勿体ない。

 

「確かにあの星の海底には莫大な海底資源が眠っているし、本局が知ったらあの星の海に資源採掘の為の海上プラントを建設するやろう‥‥」

 

「でしょうね」

 

「でもな、その海上プラントを建設するまで一体何人の作業員があの海竜と巨大魚の餌食になると思う?」

 

「そ、それは‥‥」

 

はやての問いにグリフィスは言葉に詰まる。

 

自分たちの縄張りを守る為にあの海竜と巨大魚は海上プラントを建設中の作業員に牙をむくだろうし、例え大勢の犠牲を出しつつ海上プラントを完成させたとしてもその後に海上プラントへあの海竜と巨大魚が襲ってこないとも言い切れない。

 

作業員と海上プラントの安全の為にあの海竜と巨大魚を絶滅させる作戦を管理局ならば平気で実行する事も厭わないが、一つの種を絶滅させることによりあの星の生態系に異常をきたす可能性もある。

 

はやての故郷である第97管理外世界‥地球でも自然ではなく人間の手によって絶滅させられた生物は多く存在しており、残った生物の生態系に少なからず影響を与えている事例も存在する。

 

幼少期、図書館通いをしていたはやてはそれら人類の過去の過ちに関して、はやては本を通して知っている。

 

自分が本局へ報告を入れる事であの星で暮らしている生物たちを絶滅させるきっかけを作る事をはやては嫌悪したのだ。

 

「まぁ、そういう事や」

 

「な、なるほど‥‥」

 

はやての意図を理解したグリフィスはこれ以上の事は言わずにあの星についての報告を入れないはやての判断に賛成した。

 

海洋惑星で資源を調達できたヴォルフラムは再び新惑星の探査を続けるために星の海を進んた。

 

 

ヴォルフラムが星の海を航海しながら新たな管理世界になりうる惑星を探査している中、母港である本局では‥‥

 

本局内にある建造ドックにて、一基の剝き出しの大きな宇宙船のエンジンが鎮座していた。

 

「ようやく試作機ですが出来ましたね」

 

「うむ」

 

「うまく動いてくれれば良いんですけど‥‥」

 

この剝き出しの宇宙船のエンジンはミノフスキー、マリエル、シャーリーらが理論を立て、本局の技術者たちが建造した新型の宇宙船のエンジンだった。

 

「やはり、八神二佐が見つけて来た別の星間国家のエンジンが時間の短縮になりましたね」

 

マリエルとシャーリーがミノフスキーの助手として新型エンジン開発に加わったがそれだけでは試作機の建造まで時間がかかる所であったが、以前はやてが某宙域にて防衛軍と暗黒星団帝国の戦闘で撃破された暗黒星団帝国の宇宙艦艇の残骸を見つけ、管理局の回収班が無事にその残骸を回収し、ミノフスキーらが解析した事で新型エンジンの開発における時間短縮が実現した。

 

そして出来上がった試作エンジンを後は宇宙空間へと運び稼働実験を行う運びとなった。

 

出来上がった試作エンジンを次元航行艦数隻で慎重に宇宙空間へと運ぶ。

 

「試作エンジン、稼働五秒前‥‥四‥‥三‥‥二‥‥一‥‥零‥‥点火!!」

 

宇宙へ運び込まれた試作エンジンの稼働にはミノフスキー、マリエル、シャーリーの他にリンディ、レティも同席していた。

 

ごく限られた局員らが見守る中、試作エンジンが始動する。

 

「試作エンジン、順調に稼働中‥‥」

 

「出力レベル上昇中」

 

「よし、続いて急停止‥‥」

 

「了解」

 

様々な項目の実験を行い、実験が終わると宇宙服を身に纏ったミノフスキーは試作エンジンのあちこちを見て試作エンジンに損傷が無いかを確認する。

 

本局のドックへ運ぶのを待ち切れずにその場でチェックするあたり、ミノフスキーの技術者としてのプライドだったのだろう。

 

マリエルもシャーリーの二人もミノフスキーと同じく宇宙服を着て試作エンジンを確認している。

 

「破損や亀裂は?」

 

「エンジン本体に亀裂や破損個所は‥‥なし」

 

「熱融合による融解箇所も見当たりません」

 

そんな三人の様子を次元航行艦からリンディとレティは見ながら、

 

「試作エンジンの稼働実験はどうやら成功みたいね」

 

「ええ‥これで管理局は新たな一歩を踏み出せるわね」

 

(管理局はこれまで防衛軍にボラー連邦、ガミラス、彗星帝国に後れをとってきたけど、これでようやく彼らに追いつけそうね)

 

リンディもレティも試作とは言え、新型エンジンの完成に管理局の新時代の幕開けを予感したのだった。

 




今回はやてたちが遭遇した惑星の海竜の姿はドラクエシリーズのモンスターであるギャオース

巨大魚はゼルダの伝説ムジュラの仮面 グレートベイ神殿のボスである巨大魚のモンスター 巨大仮面魚グヨーグ の姿をイメージしてください。
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