星の海へ   作:ステルス兄貴

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百七十話 惑星ファンタム上陸

 

 

ガルマン・ガミラスとボラー連邦との国境線付近にあるとされる惑星ファンタムへ向かっている最中にシャルバート教の信者たちが乗った宇宙船と遭遇し、彼らを助けた後、突如ベムラーゼの命令を受けたハーキンス率いるボラー艦隊がヤマト、まほろば、そしてシャルバート教の信者たちが乗った宇宙船を襲撃してきた。

 

シャルバート教の信者たちが乗った宇宙船はヤマト、まほろばのコスモタイガー隊がボラー艦隊を返り討ちにし、シャルバート教の信者たちが乗った宇宙船は無事に戦闘宙域から脱出することが出来た。

 

そして、ヤマト、まほろばの方もボラー艦隊を撃破し、ハーキンスは残存艦を纏め撤退した。

 

ヤマト、まほろばは惑星ファンタムに向けての航海を再開した。

 

ヤマト、まほろばはその後、二回の連続ワープは何事も起こらずに平穏な航海だった。

 

三回目のワープを終えたヤマト、まほろばの眼前に青く美しい星が現れた。

 

その星はまさしくデスラーの情報通り、地球にそっくりな星だった。

 

惑星ファンタムの姿を見てヤマト、まほろばの艦橋はどよめいた。

 

「あれが‥惑星ファンタム‥‥」

 

「地球そっくりだ!!」

 

「それにしてもよく似ている‥‥」

 

「ほんと、地球にそっくりだ」

 

「「‥‥」」

 

艦橋内で皆がどよめいている中、良馬は訝しむ様な表情をして、ギンガの方は啞然としている。

 

しかし、いつまでも訝しんでいる訳にもいかず、眼前の星が本当に目的地である惑星ファンタムなのかを確認する必要があるので、

 

「航海長、位置の確認を‥‥」

 

「は、はい」

 

座標位置の確認を命じる。

 

「現在位置は球状散開星団の外れ、星間座標G三Y五十一・β付近‥‥間違いありません。デスラーから情報提供された資料通り、惑星ファンタムです」

 

「‥‥」

 

眼前の星はデスラーからの情報提供通り惑星ファンタムで間違いなかった。

 

「やった!!ついに見つけたぞ!!地球にそっくりな星を!!」

 

「デスラーは嘘をつかなかったんだ!!」

 

「これで地球人類は救われた!!」

 

ヤマトの艦内でも惑星ファンタムが地球にそっくり星である事から各部署ではお祭りの様などんちゃん騒ぎとなっていた。

 

そんな中でヤマトの医務室では、

 

「まったく、今どきの若いもんは、喜びの表現方法も知らんと見える。嬉しいときは黙って一人、酒を飲む。‥‥これが本当の喜び表現じゃよ」

 

そう言いながら盃を傾ける佐渡の目にはキラリと嬉し涙が光っていた。

 

ただいつまでもはしゃいでいる訳にもいかず宇宙から見た表面上は地球そっくりな惑星でも大気成分や気温などの環境が地球と同じでなければ当然地球人類は住めないし、既に惑星ファンタムに知的生命体が生存していれば地球人類の移住先にする事は出来ない。

 

古代は急ぎ地表のデータを集めるように命令を出した。

 

ヤマトの中央コンピュータールームでは各種パネルが一斉に忙しく明滅し、惑星のチェックリストを手に技術班の坂東たちが各メカのチェックを始めている。

 

「データ・リンク異常なし」

 

「各分析回路オープン」

 

「探査コンピューター稼働、一号、二号、三号、異常なし」

 

工作室では探査用の衛星が次々とベルトコンベヤーで運び出されている。

 

真田、アナライザー以下のロボットたちがチェックに余念がない。

 

「大気探査用衛星Aタイプ」

 

「Aタイプ、作動異常ナシ」

 

「地表探査用衛星Cタイプ」

 

「Cタイプ、作動異常ナシ」

 

「生物探査用衛星Eタイプ」

 

「Eタイプ、作動異常ナシ」

 

「科学探査用衛星Gタイプ」

 

「Gタイプ、作動異常ナシ」

 

探査用の衛星準備が整うと宇宙空間にヤマトから次々と探索衛星が射出され惑星ファンタム目掛けて飛行していく。

 

やがて、惑星ファンタムの上空に達した探査用衛星の群れはヤマト、まほろばへ惑星ファンタムの地表の映像を送って来た。

 

惑星ファンタムの地表には地球とそっくりな海、川、湖、森があった。

 

そしてそこには惑星ファンタム在来の動物や鳥、魚の姿があった。

 

いずれも地球に生息している生物にそっくりな姿をしていた。

 

ただその中に人工物らしき建造物もなく、この星には人類のような知的生命体の姿は見えなかった。

 

「大気組成は酸素二十三・一五%、窒素七十五・五一%、アルゴン一・二八%、二酸化炭素〇・〇五%‥‥」

 

大気の組成も地球そっくりだ。

 

「自転周期二十四時間五十五秒、重力〇・九G、両極に磁場が存在、地上温度二十五℃、湿度六十%、放射線許容範囲内‥‥地球人類の生存は可能です!!」

 

(これでヤマトの航海も終わるな‥‥)

 

探査用衛星からのデータがヤマトへ送られ、惑星ファンタムが地球人類の居住に可能というデータが次々と舞い込んでくる。

 

外見も内面も地球そっくりというデータに古代はこれでヤマトの探査任務は終わり、後は地球へ報告を入れ、地球人類の移住船の護衛を行い、全人類をこの惑星ファンタムへ移住させれば本当の終わりだと思っていた。

 

ヤマトに送られる惑星ファンタムのデータはまほろばにも転送されるのだが、データを見て良馬は首を傾げる。

 

「通信長」

 

「‥‥」

 

「通信長!!」

 

「は、はい!!」

 

「ヤマトに通信回路を開いてくれ」

 

「りょ、了解」

 

良馬同様、ギンガもどこか上の空な様子だった。

 

「古代艦長」

 

「あっ、月村艦長」

 

「惑星ファンタムのデータを見たが、もう地球へは報告を?」

 

「いえ、まだです。ですが、このデータから良い報告が出来そうです。これで地球人類は救われますよ」

 

「‥‥その件だが、地球への報告はもう少し待った方が良いかもしれない」

 

「えっ?それはどういう意味ですか?」

 

「まだ地表に降りての最終探査も終わっていないし‥‥うーん‥それでも‥‥やはり‥‥」

 

「何だか煮え切らない様子ですね」

 

古代が良馬の煮え切らない様子に違和感を覚えていると、

 

「艦長、艦長、古代サン!!」

 

慌てた様子のアナライザーが古代の下にやってきた。

 

「どうした?アナライザー」

 

「貴方ハ、ヤハリ惑星ファンタムヘ上陸スルノヲ命令サレルノデスカ?ドウデス?」

 

「ん?当然じゃないか」

 

「異議アリ!!反対!!大反対!!上陸ハ危険デス!!」

 

「なんだって?」

 

アナライザーは明確に惑星ファンタムへの上陸探査に異議を唱える。

 

「アナライザー、言ってくれ一体何が危険なんだ?」

 

「具体的ナ事ハイエマセンガ、アノ‥‥ソノ‥‥惑星ファンタムハ危険ナンデス。オレニハワカル‥ナニカコウ‥‥ベールノ様ナモノ二包マレテイテ‥‥本当ノ姿ガハッキリトシテイナイノデス‥‥トニカク危険ナンダ!!ワカッテクレ」

 

ロボットであるアナライザーにしては珍しく明確な解答を述べる事が出来ないにもかかわらず、惑星ファンタムへの上陸には強く反対している。

 

「アナライザーお前もか?」

 

「私モ?ソレハドウイウ事デスカ?」

 

「月村艦長も何だか煮え切らない様子だったんだ」

 

「ソレハ月村サンが正シイデス!!一刻モ早ク、コノ星カラ離レタ方ガイイデス!!」

 

「アナライザー、お前もしかして喜びのあまり壊れちまったのか?」

 

土門がアナライザーの頭を小突きながらからかう。

 

「無理もないよな。俺たちだっておかしくなる手前までいったもんな」

 

太田も土門同様、アナライザーをからかう。

 

「失礼ナ事ヲ言ウナ!!」

 

自分の言葉を信じてくれない事にアナライザーはキレる。

 

他の乗員たちもアナライザーの言動に笑っている。

 

「ヒ、ヒドイ!!テメェラ人間ジャネェ!!」

 

アナライザーはブチ切れてどこかに行ってしまう。

 

「艦長。アナライザーの言う危険とはどう言う意味なのだろうか?」

 

真田はアナライザーが意味も無くあんな事を言うには解せない様子なので、アナライザーが言った『危険』と言う部分が引っかかった。

 

「真田さん。未知の星である以上、予測のできない事は起こるでしょう。でも一体どんな危険があるのか上陸してみなければ分からないのではないでしょうか?」

 

「ま、まぁ、そうだな‥‥すまん」

 

古代の言う事も最もであり、データではようやく見つけた第二の地球となりうる惑星なので、此処でそう簡単に諦める訳にはいかなかった。

 

「古代艦長、やはりあの星へ降りるのかい?」

 

「ええ、勿論です」

 

「‥‥」

 

良馬もアナライザー同様、惑星ファンタムへの上陸に関しては消極的だった。

 

 

ヤマトが惑星ファンタムへの上陸探査を行おうとしている最中、その惑星ファンタムの情報をヤマトへ提供したガルマン・ガミラスでは‥‥

 

 

ガルマン・ガミラス本星 デスラー・パレス 

 

 

(ヤマトはもう惑星ファンタムへ着いた頃だろうか‥‥)

 

(惑星ファンタムが地球と同じ環境の星ならば、これで一つ罪滅ぼしをすることができただろうか‥‥?)

 

自分の故郷であるガミラス星を失って以後、大放浪時代と考え合わせてヤマトの今回の航海が他人事とは思えなかった。

 

(しかし、あの宙域はボラー連邦との国境線付近だから道中、ボラーの連中と鉢合わせをしていなければ良いが‥‥)

 

そんな中、

 

「総統、ただいま哨戒中の味方艦隊より、G一Y四十九αの地点にて、ボラー艦隊の残骸を発見したと報告があがりました」

 

タランがガルマン・ガミラスとボラー連邦との国境線付近でボラー艦隊の残骸を発見したと言う報告があがった。

 

「なに!?」

 

(残骸が見つかった地点は惑星ファンタムへの航路上だ‥‥)

 

(まさか、ヤマトがボラー艦隊と接触したのか‥‥)

 

「残骸の調査でその中に地球製のモノが無いか調査させよ」

 

「はっ!!承知しました」

 

友軍艦艇がボラー艦隊と接敵した報告は上がっていない。

 

ましてや今回ボラー艦隊の残骸が見つかったのはボラー連邦の国境付近とは言え、ガルマン・ガミラス領内なので、ボラー艦隊が領内に侵入したとなれば直ぐに報告が入る筈だ。

 

しかし、デスラーに報告が上がってきた時は既にボラー艦隊は残骸と化していた。

 

故にボラー艦隊を撃破したのは友軍艦艇ではなくヤマト、まほろばではないかとデスラーは判断したのだ。

 

そしてすぐに彼の下にはボラー艦隊の残骸の中から地球製のミサイルの破片が見つかったと報告が上がった。

 

(やはりヤマトとボラーは接敵していたか‥‥)

 

(ボラー艦隊を撃破したと言う事は、地球はボラーから敵として認識されたかもしれないな‥‥)

 

(今の地球は太陽の核融合異常増進でボラーとやり合っている暇はない‥‥)

 

(地球とボラーとの無用な戦闘は避けなければならない‥‥)

 

「タラン」

 

「はっ!!」

 

「ボラー連邦とのホットラインを再開しろ」

 

「えっ?ボラー連邦との‥‥ですか?」

 

「そうだ。ヤマトの調査が終了するまで、無駄な戦いに巻き込みたくはないのだ」

 

「承知しました」

 

タランは一礼した後、デスラーの命令を実行した。

 

デスラーがホットラインを再開しようとしているボラー連邦では‥‥

 

 

ボラー連邦 本星 首相官邸

 

「ゴルサコフ」

 

「はっ!!」

 

「例の地球の戦艦どもの動向は?」

 

ベムラーゼはゴルサコフにヤマト、まほろばの現状を訊ねる。

 

「はっ、例の地球戦艦は我が方のスペースデストロイヤーを破り‥‥」

 

「それは知っておる。その後はどうしたのだ?」

 

ハーキンス率いる艦隊がヤマト、まほろばとの交戦で破れた報告は既にベムラーゼの下に入っていた。

 

しかし、その報告には一部虚偽が含まれており、実際はハーキンス自らが艦隊を率いてヤマト、まほろばと交戦し敗北したのだが、ベムラーゼの下にはハーキンス自らではなく、ハーキンス麾下の艦隊がヤマト、まほろばと交戦し全滅したと言う報告が上がっていた。

 

ゴルサコフからみてもハーキンスは優秀な将官なので、一度の敗北で粛清されてはボラー連邦の軍部から見ても大きな損なので、ゴルサコフはボラー連邦の将来の為に虚偽の報告を上げたのだ。

 

ハーキンス自身もゴルサコフの行為には了承していた。

 

これにより、ハーキンスはゴルサコフに大きな借りを作る事になったが、粛清されるよりはマシであった。

 

「はっ。M16783散開星団の外れ、星間座標G三Y五十一・βの惑星ファンタム上空に居ます」

 

「ファンタム‥‥ファンタム上空‥‥とな‥‥」

 

「はっ‥‥」

 

(惑星ファンタム‥‥うーん‥どこかで聞いた名の星だが、どこであったか‥‥)

 

ヤマト、まほろばの現在位置をゴルサコフから受けたベムラーゼであるが、彼は以前惑星ファンタムの名をどこかで聞いた覚えがあったが、この時はまだ思い出す事が出来なかった。

 

「首相閣下、ガルマン・ガミラス‥デスラーよりホットラインが入っております!!」

 

ベムラーゼが惑星ファンタムの事を思い出す前に衝撃的な報告が入る。

 

オペレーターの一人がデスラーからホットラインが入った事をベムラーゼに報告する。

 

「なに!?デスラーからホットラインだと?」

 

「はっ‥いかがいたしましょう?」

 

「よし、繋げ」

 

「はっ」

 

ベムラーゼはデスラーが自分に何の用があるのか興味があったので、デスラーからのホットラインに出る事にした。

 

「ベムラーゼ首相、久しぶりだね」

 

モニターにデスラーの姿が映し出される。

 

「デスラー総統、あなたからこんな形で連絡して来るとは思ってもみなかった。それで何用で連絡を?」

 

「単刀直入に言う。地球‥ヤマトから当分の間、手を引いてもらいたい」

 

「手を引けだと?‥‥フフフ‥デスラー総統、あなたも老いたモノだな」

 

ベムラーゼはデスラーからの頼みを聞き鼻で笑った。

 

「なに!?」

 

「既にヤマト、まほろばは我が戦隊と戦端を開いておる。戦いの最中で、手を引くとか、引かぬとか出来るものか。デスラー総統ともあろう方が知らぬ訳がないだろう。ヤマト、まほろばをガルマン・ガミラスの先鋒にしたやり方は流石と言うべきだが、はてさて、気の弱い事を‥‥」

 

ベムラーゼの挑発にデスラーはカチンときた。

 

「分かった‥‥私が老いたかはいずれ戦いで知る事になるだろう」

 

そう言い残してデスラーはホットラインを切った。

 

(ベムラーゼの豚め!!お前がいかに無能な豚であるかその内にたっぷりと知らしめてやる!!)

 

ホットラインを切った後、デスラーは怒りで拳を固めた。

 

 

デスラーとベムラーゼとの間でちょっとしたやり取りが行われている中、惑星ファンタムの上空に居るヤマト、まほろばでは‥‥

 

アナライザーと良馬は惑星ファンタムへの上陸に関して否定的な態度の示している中、他に反対意見はなく、ようやく見つけた地球そっくりな星と言う事ではやく地表の探査を行い地球へ吉報を届けたい思いが古代にあった。

 

「これより惑星ファンタムの最終探査を開始する」

 

ヤマトの後部‥コスモハウンドの搭乗口には惑星ファンタムの地表探査に参加する真田、雪、土門、揚羽らが集まっていた。

 

「コスモハウンドの整備・点検終わりました」

 

「いつでも発進出来ます」

 

整備にあたっていた係員がコスモハウンドの準備が整ったことを報告する。

 

「よし、各員搭乗!!気密通路のハッチ開け!!」

 

古代たちがコスモハウンドンに搭乗しようとしたら開いていたハッチがいきなり閉まった。

 

「おい、どうした?」

 

急にハッチが閉まったと思ったら船内の照明も消えた。

 

「なんだ!?」

 

「どうした!?」

 

戸惑う中、警報も鳴り響く。

 

敵の襲撃かと思われたが、

 

「大変です!!アナライザーがパワーコントロール室で暴れています!!」

 

「なに!?」

 

この異常事態は敵の襲撃ではなく、アナライザーが暴れている事が原因であった。

 

「アナライザーが!?ちょっと行ってくる!!」

 

真田、土門、揚羽たちはアナライザーが暴れているパワーコントロール室へと向かう。

 

パワーコントロール室ではアナライザーが室内の機器に拳をぶつけ、配線を引きちぎっていた。

 

アナライザーはかつてテレザート星を目指す航海でデスラーが罠の一つとして放った宇宙ホタルに似せた鉄を食べるバクテリアに感染して艦内で暴れ回った事があったが、今回はアナライザー自身の意志で暴れている。

 

「やめろ!!アナライザー!!」

 

パワーコントロール室へ到着した隊員たちは暴れているアナライザーを取り押さえようとするもロボットのアナライザー相手に勝てずに逆に放り投げられてしまう。

 

「何トシテモ上陸ハサセルモノカ!!」

 

アナライザーは勢いよくパワーコントロール室の扉をぶち抜き、次はコスモハウンドを壊そうとコスモハウンドの格納庫へ向かうが、その通路に雪が仁王立ちしていた。

 

「アナライザー、お止めなさい!!」

 

「ゆ、雪サン‥‥ボ、ボクハ‥‥雪サンノタメニ‥‥」

 

アナライザーも雪に対して乱暴な行動はとれずに戸惑ってしまう。

 

その隙に土門、揚羽、坂東がアナライザーを取り押さえ、鎖でグルグル巻きにして電子錠でその鎖をロックして動きを封じた。

 

「アナライザー、何故あんな真似をした!?」

 

土門がアナライザーに暴れた理由を訊ねる。

 

「何故?キミタチハマダ僕ノ言ッテイル事ノ重大サガワカラナイノカ!?アンナ正体不明ナ星へ皆ヲイカセル訳ニハイカナインダ!!」

 

アナライザーは古代たちを惑星ファンタムへ行かせないために強硬策を取ったのだと主張する。

 

「此奴、とうとういかれちゃったのかな?」

 

「マダソンナ事ヲ言ッテイルノカ!?オカシイノハ僕ジャナイ!!ヤマトノコンピューターノ方ダ!!」

 

アナライザーのこの発言に真田も首を傾げる。

 

「しかし、アナライザー。ヤマトのあらゆるコンピューターが同じ結果を導き出しているんだ」

 

「確かに全てのコンピューターが一斉に故障する訳がない」

 

揚羽も真田と同じ意見だ。

 

「と言う事は‥‥」

 

坂東がアナライザーをジッと見つめる。

 

「な、ナンダ?ソノ目ハ!?」

 

アナライザーはロボットながらも嫌な予感を覚える。

 

「よし、分解して調べてみよう」

 

やはり、アナライザーの電子頭脳に異常があると判断し、アナライザーをバラバラに解体してその原因を調べてみようと坂東は工具を手にアナライザーへと迫る。

 

「ワァー!!ヤメロ!!アナライザー殺シ!!」

 

鎖で縛られているがアナライザーは身体をジタバタと動かして暴れる。

 

「なんじゃ?なんじゃ?何を騒いでおる」

 

そこへ佐渡が騒動を聞きつけてやってきた。

 

「アァ~佐渡先生~助ケテ~僕、殺サレルゥ~」

 

「なに?殺される?穏やかな発言じゃないの~」

 

「穏やかじゃないのはこっちですよ!!」

 

「そうですよ。アナライザーが暴れまわったせいで、惑星ファンタムの調査が遅れているんですから!!」

 

「まぁ、まぁ、ここは儂に任せてくれんか?アナライザーは儂の大事な友達だからのう」

 

佐渡は倒れているアナライザーを引き起こす。

 

「分かりました。では先生、アナライザーの事を頼みます」

 

一同はアナライザーを佐渡に任せて、惑星ファンタムの地表調査へと向かった。

 

 

アナライザーがヤマトの艦内で暴れている頃、まほろばでは‥‥

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「‥‥」

 

良馬が浮かない顔でヤマトからのデータを見ながらまほろばのコンピューターで惑星ファンタムの事を調べていた。

 

しかし、結果はヤマトのコンピューターが導き出した結果と同じく、惑星ファンタムは地球と似た環境の惑星と言う結論が出た。

 

(やはり妙だ‥‥)

 

だがコンピューターの結果に良馬は納得がいかなかった。

 

(そう言えばギンガも惑星ファンタムを見て何だか上の空だったな‥‥)

 

(もしかして‥‥)

 

そして、ギンガが惑星ファンタムを見た際のリアクションを思い出す。

 

「通信長」

 

「は、はい」

 

「惑星ファンタムについて君の意見を聞きたい」

 

「えっ?」

 

良馬から惑星ファンタムについての意見を求められギンガは一瞬唖然とする。

 

「惑星ファンタムについて‥ですか?」

 

「ああ。何だか、惑星ファンタムの姿を見て君は上の空みたいだったしね」

 

「その‥‥」

 

良馬からの指摘を受け、ギンガはおもむろに口を開く。

 

「皆さん、惑星ファンタムの姿を見て地球にそっくりだと言っていたんですけど‥‥」

 

「けど?」

 

「私の目から見た惑星ファンタムの姿はどう見ても私の故郷であるミッドチルダに似ているんです」

 

「‥‥」

 

ギンガの目には惑星ファンタムが地球ではなく生まれ故郷であるミッドチルダに見えるのだと答えた。

 

(ギンガの目には彼女の生まれ故郷であるミッドチルダに見える‥か‥‥)

 

魔導師兼戦闘機人であるギンガが地球とミッドチルダを見間違える筈がない。

 

(となるとリニスにも惑星ファンタムの姿がミッドチルダに見えるのかもしれないな‥‥)

 

ミッドチルダ出身のギンガには惑星ファンタムの姿が生まれ故郷であるミッドチルダに見える。

 

そして地球出身のヤマト、まほろばの乗員たちには惑星ファンタムが地球に見えると言う。

 

良馬は念の為にリニスへ念話を飛ばす。

 

(リニス‥‥リニス‥‥)

 

(は、はい。なんでしょう?)

 

(ギンガに聞いたんだが、ギンガには惑星ファンタムの姿がミッドチルダに見えるらしい‥‥)

 

(‥‥)

 

(もしかして、リニスにも惑星ファンタムの姿がミッドチルダに見えるのかと思って今こうして念話で確認をとっているんだが‥‥?)

 

(リニスにもやはり惑星ファンタムの姿はミッドチルダに見えるのかい?)

 

(は、はい。原田さんは惑星ファンタムの姿が地球に見えると言うのですが、私の目には惑星ファンタムの姿は、ミッドチルダに見えます)

 

(‥‥)

 

ギンガ同様、リニスも惑星ファンタムの姿はミッドチルダに見えると回答がきた。

 

(マスターには惑星ファンタムの姿はやはり地球に見えるのですか?)

 

良馬は地球出身なので、原田と同じく当然惑星ファンタムの姿は地球に見えるのかとリニスはそう思っていた。

 

(いや、それが‥‥)

 

良馬がリニスに自分の目に映る惑星ファンタムの姿を語ろうとした時、

 

「艦長、ヤマトからコスモハウンドが発進し、惑星ファンタムの地表探査へ向かうみたいです」

 

新見がヤマトの動きを報告する。

 

「あっ、うん。分かった。またボラー連邦の襲撃があるかもしれない。全方位警戒のまま待機だ」

 

「了解」

 

良馬がリニスに惑星ファンタムの姿がどのようにして見えるのかを伝える前にヤマトの方に動きがあり、この惑星ファンタムがある宙域がガルマン・ガミラスとボラー連邦との国境線付近であるため、ボラー連邦のガルマン・ガミラス領への侵攻艦隊や国境警備艦隊と遭遇する可能性もあるので、まほろばは警戒態勢のままコスモハウンドからの調査報告を待つことになった。

 

(惑星ファンタムへ降りてしまうのか‥‥)

 

(何事もなければ良いのだが‥‥)

 

アナライザー同様、惑星ファンタムに対して不信感が拭えない良馬は地表探査で何か危険がなければ良いと願うばかりであった。

 

 

アナライザーの妨害があり、予定よりも多少調査に遅れたが、コスモハウンドは無事に惑星ファンタムの地上に着陸した。

 

コスモハウンドの中では真田が惑星ファンタムの空気の成分の最終チェックを行い、宇宙服なしで行動できるのかを判断する。

 

「よし、最終チェック終了‥‥この惑星ファンタムでは宇宙服なしで行動できるぞ」

 

第二の地球の条件が空気の成分が地球と同じと言う事なので、惑星ファンタムの空気成分はそれをクリアしていた。

 

コスモハウンドの下部ハッチが開き、古代、雪、真田、坂東、揚羽、土門の順で惑星ファンタムの地へと降りた。

 

コスモハウンドの他に機材と隊員を乗せた上陸用舟艇も惑星ファンタムへ着陸し、隊員たちも機材を惑星ファンタムの地に降ろしていく。

 

一同は周囲に人工物が一切存在しない大自然の風景にしばし見とれた。

 

古代は胸いっぱいに惑星ファンタムの空気を吸い込む。

 

「空気がおいしいわね」

 

雪も古代の隣で深呼吸をして地球と似て異なる惑星ファンタムの空気に関して感想を口にする。

 

「ああ‥‥地球も大昔はこんな空気だったんだろうな‥‥」

 

人が文明を築き、その文明を発展させるために人類は地球の環境を汚染した。

 

しかし、この惑星ファンタムには人類の様な知的生命体が存在せずに自然のみの環境下なので、空気が地球よりも綺麗だった。

 

「あっ、あそこ」

 

雪が指さした先には地球に存在する野うさぎと同じ姿のうさぎが居た。

 

「おーい、こっちに小川があるぞ!!」

 

揚羽が近くを流れる小川を見つけ声をかける。

 

「おぉぉ~冷てぇ!!」

 

土門が小川に手を入れ水の冷たさに思わず声をあげる。

 

「自然を堪能するのは後だ!!これより各班事に作業をする!!技術班はベースキャンプの設営、生活班は動植物の調査、戦闘班は周囲の偵察だ!!以上!!」

 

古代は各班の役割を伝えると、各班員は命じられた作業を行い始める。

 

そんな中、揚羽と土門はエアースクーターで惑星ファンタムの森の中を走っていた。

 

本来ならば土門は生活班なので、惑星ファンタムの動植物の調査であったが、偵察要員の戦闘班の人数が少なかったので、土門にはそちらに回ってもらった。

 

森の中を走っているとまるで童話の中の森の様にうさぎや鹿などの動物が小川で水を飲んでいたり、草を食べていた。

 

時折、小鳥の鳴き声も聞こえ木の上にはリスに似た小動物が木の実を齧っている。

 

「なぁ、土門」

 

「なんだ?」

 

「綺麗な所だな」

 

「ああ、そうだな」

 

「こんな綺麗な森の中をカワイ子ちゃんと一緒にドライブ出来たら最高だと思わないか?」

 

「ああ、そうだな。隣に居るのが野郎じゃあ全然楽しくないからな」

 

「そりゃあお互い様だ」

 

「ハハハ‥違いない」

 

軽口を叩きながら森の中を進んで行く二人。

 

「この星の調査が終わって第二の地球と認定されたら、当然地球に居る人たちはこの星に移住するんだよな?」

 

「そりゃあそうだろう。地球はもうすぐ、人が住めない星になるんだからな」

 

「そうなれば、またティアナやうららたちと会えるな」

 

「そうなるな」

 

「そうなると、俺たちはあいつらにとって救世主になる訳だな。何せ地球人類の移住先を見つけたんだから」

 

「そうだな。アイツらは俺たちに一生頭が上がらないだろうな」

 

「ハハハ‥‥」

 

地球に居るティアナとうららに事を思い出し笑いあっている中、二人は慌ててエアースクーターのブレーキをかけ、前方を見てハッとした。

 

何しろ前方に死んだ筈の土門の両親、そして地球に居る筈の揚羽の両親が微笑みを浮かべながら立っていた。

 

「お、親父‥‥お袋‥‥」

 

「そ、そんな‥‥まさか‥‥」

 

揚羽と土門はギョッと目を見張る。

 

しかし、二人の前方には確かに二人の両親が立っている。

 

揚羽と土門の二人は思わず互いに顔を見合わせた。

 

揚羽と土門の二人が森の中で互いの両親の姿を見つけた時、コスモハウンドの着陸地点の近くでは技術班がベースキャンプを設営し、テントの中では調査機器が置かれ、チェックリストを手にした真田が坂東たち技術班を指揮して調査機器のチェックをしていた。

 

「パワーレベル正常」

 

「よし」

 

「大気センサー一号、二号、三号、正常」

 

「よし」

 

「分析コンピューター、通信装置作動‥‥正常に稼働」

 

「よし」

 

多数の調査機器の稼働チェックを終えた真田はコスモハウンドの中の機械と連動しているかチェックしようとテントを出た時、ふと人の気配を感じそちらへ視線を向けると、そこにはこの場に居る筈のない人物たち‥‥イスカンダルに居る筈の古代の兄、古代守、その妻のスターシア、娘のサーシア、友人のトチローの姿があった。

 

「こ、古代‥スターシア‥サーシア‥それに大山も‥‥そ、そんなバカな‥‥」

 

真田は眼前に現れた人物の姿を見て思わず手に持っていたチェックリストを落とす。

 

揚羽、土門、真田が本来ならば、あり得ない人物たちと遭遇している頃、古代と雪たち生活班の面々は惑星ファンタムに生息する動植物の調査を行っていた。

 

「さっきもチラッと見たけど、やっぱり水も綺麗ね‥‥」

 

雪が森の中に流れている小川を見つめていると、水面に雪以外の人の姿が映った。

 

「えっ?」

 

雪が水面に映る人物たちの姿を見て、顔を上げると小川の対岸には地球に居る筈の雪の両親が立っており彼女の事を微笑みながら見つめていた。

 

「こ、古代君‥‥あ、あれ‥‥」

 

雪が近くに居る古代に自分の両親が居る事を伝えようとすると、古代も信じられないと言った表情で小川の対岸を見ていた。

 

雪も古代が何を見ているのか視線を向けると、

 

「っ!?」

 

雪自身も古代同様、目を見開いて驚く。

 

古代と雪の視線の先には死んだ筈の沖田艦長が立っていたからだ。

 

「お、沖田艦長‥‥」

 

「そ、そんな‥‥こ、古代君、一体どういう事なの?」

 

「わ、分からない‥‥」

 

古代も雪も眼前に居る沖田艦長の姿が信じられなかった。

 

兎も角、死んだ筈の沖田艦長が自分たちの目に前に立っている筈もないので古代たちは急いでその場から撤収して、ベースキャンプまで戻った。

 

ベースキャンプに戻るとあちこちから古代や雪同様、この星に居る筈のない人物の姿を見たと言う報告が相次いだ。

 

「君たちも見たのか!?」

 

「はい。自分は死んだ筈の両親の姿を‥‥」

 

「俺は地球に残してきた筈の彼女の姿が‥‥」

 

「私は昔住んでいた家を見ました」

 

隊員たちは口々に自分たちが見たあり得ないモノを報告する。

 

「家までも‥‥」

 

報告を受け古代は思わず絶句し、雪と顔を見合わせた。

 

そこへ、真田も古代に自分が見たモノを口にする。

 

「古代‥‥俺も見たぞ‥‥」

 

「真田さんも!?一体何を見たんですか?」

 

「イスカンダルに居る筈のお前の兄‥古代守とその妻、スターシア‥‥娘のサーシアと大山の姿もあった」

 

「兄さんにスターシアさん‥‥それにサーシアとトチローさんも‥‥」

 

イスカンダルに居る筈の守やスターシアたちがこの惑星ファンタムに移住している可能性は極めて低い。

 

「真田さん、これは一体どういうことなんでしょう?」

 

「うーむ‥‥最初のイスカンダルでの航海でサイレンの星近海で見た現象と似ているが‥‥」

 

第一次イスカンダル航海でヤマトの乗員たちは、ガミラス領サイレンの星近海でサイレンの星に幽閉されていたデスラーの妻であり、ジュラの母親であるジレル人のメラがヤマトの艦内で幻を見せた事があった。

 

今回自分たちが見た人物たちや建造物はまさにあの時の再来だ。

 

「この星の何処かにジレル星人が居るのでしょうか?」

 

「それにしてはヤマトのコンピューターで生体反応が無かったのはおかしい」

 

事前の調査で生物が存在しているのは確認出来ているが、知的生命体の存在は確認できていない。

 

ジレル星人は当然知的生命体に該当するので、ヤマトのコンピューターに引っかからないのはおかしい。

 

「しかし、我々はあり得ないモノを実際にこの目で見ている訳ですし‥‥」

 

この幻の騒動がジレル星人の仕業なのかと思われていた時、

 

「あっ、あれはっ!?」

 

誰かが悲鳴のような声を上げた。

 

一同が視線をある方向へ向けると、彼らの視線の先にあったのは‥‥

 

「そ、そんなっ!?」

 

「ば、バカなっ!?」

 

「あ、あり得ない‥‥」

 

「なんでこの星にアレが‥‥」

 

何と惑星ファンタムに絶対にありえない人工の建造物‥‥

 

地球のメガロポリス東京にある筈の英雄の丘と沖田艦長の銅像がそこにあった。

 

「え、英雄の丘‥‥?」

 

「どうして英雄の丘が惑星ファンタムに‥‥?」

 

「でも、あれは間違いなく英雄の丘だ!!」

 

この星に絶対にあり得ない英雄の丘の登場に一同は唖然としていたが、やがて本当にあそこにあるのは英雄の丘なのか確認しようと駆け寄ろうとしたが、英雄の丘と沖田艦長の銅像は一瞬のうちに消えてしまった。

 

「き、消えた!?」

 

「あれも幻だったのか!?」

 

「雪、今の見たか?」

 

古代は雪に先ほど自分たちの前に出現した英雄の丘を見たのかを訊ねる。

 

「ええ、見たわ。はっきりと‥‥あれは間違いなく英雄の丘だったわ」

 

雪も先ほど現れた英雄の丘を見たので、どうやら自分の見間違いではない様だ。

 

「どうしてこんなことが‥‥」

 

森で見た地球に居る筈の両親の姿に先ほど見た英雄の丘‥‥揚羽は信じられない様子で首を振る。

 

「真田さん‥‥」

 

古代は真田に視線を向ける。

 

「わ、分からない‥‥俺にもさっぱりだ‥‥古代、ここはデスラーに連絡をとって惑星ファンタムについて問い合わせてみてはどうだろう?」

 

この惑星ファンタムの情報を自分たちに教えたデスラーならば、何か知っているかもしれない。

 

デスラーに自分たちの惑星ファンタムの到着を伝えると共にこの星で起きている現象についても彼には訊ねてみる価値はありそうだ。

 

「そうですね。早速、デスラーに聞いてみます」

 

古代が頷くと、真田は坂東たちの方へと顔を向ける。

 

「俺たちはもう一度、調査をしてみる。坂東、ベースキャンプに戻ってこの星の再調査だ!!」

 

「は、はい!!」

 

真田と坂東たち技術班のメンバーは急ぎベースキャンプへと戻って行った。

 

(惑星ファンタム‥‥此処は宇宙の亡霊の住処なのか?それとも昔話で人を化かす狸や狐の様な能力を有する生物が存在しているのだろうか?それともジレル人が既にこの星に居るのか‥‥?)

 

(アナライザーの言っていた危険とはこの事だったのか‥‥?)

 

古代は惑星ファンタムに広がる草原を見渡しながらこの星の何処かに人を惑わす正体不明な魔物が潜んでいるかもしれない事に思わず生唾を飲み込んだ。

 

そんな古代の緊張を煽るかのように惑星ファンタムの草原には生暖かい風が吹き抜けた。

 

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