星の海へ   作:ステルス兄貴

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百七十四話 スカラゲック海峡星団 アリゾナ発見!!

 

 

惑星ファンタムは、当初地球人類を始めとする生物が住める星と言う結果が出た‥‥

 

惑星ファンタムが第二の地球となりえる星かと思われたが、その星の正体がコスモ生命体であり、デスラーからの命令を受けたグスタフ艦隊の手によって破壊されてしまった。

 

惑星ファンタムの破壊について古代はデスラーについて思う所があったが、いつまでも引きずっている訳にもいかず、ヤマト、まほろばは、当所の探査予定となっているスカラゲック海峡星団へと向かった。

 

このスカラゲック海峡星団はヤマト、まほろばが受け持つ最後の探査宙域であり、この星団内に地球そっくりな星が無ければ、日本担当の第二の地球探査任務は失敗で終わる事になる。

 

自分たち日本以外にも現在、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、ロシア、中国でも第二の地球探査が行われているが、地球との定時報告でも他国の探査状況が藤堂から伝えられているが、他の国でも第二の地球となる星が見つかったと言う報告は未だに入らない。

 

そして現在、スカラゲック海峡星団へと向かっているヤマト、まほろばは地球との定時報告の時間となり、相原とギンガは地球との通信回線を開いた。

 

ヤマト、まほろばの第一艦橋のパネルには藤堂の姿が映し出される。

 

「「藤堂長官」」

 

古代と良馬は藤堂に敬礼する。

 

「ヤマト、まほろば、新惑星探査の進捗状況はどうなっているか?」

 

「長官、残念ながら我々の方も第二の地球となる星は未だに発見には至っておりません」

 

「そうか‥‥」

 

「長官、事後報告となってしまいますが、実はガルマン・ガミラスへ立ち寄った際、デスラーから新惑星の情報をもらい、調査しましたがその星はコスモ生命体と言う生物であり、その星も残念ながら人類の居住には適さない星でした」

 

「‥‥」

 

古代はファンタムが破壊されたことは藤堂には黙って、ファンタムが第二の地球となる星ではなかった事を報告する。

 

もし、ファンタムが地球人類の居住が可能ならば地球へ報告を入れていたが、ファンタムは残念ながら地球人類の居住が可能な星ではなかった事からこうして事後報告になってしまった。

 

藤堂は古代からの報告を神妙な顔つきで聞いていた。

 

「そうか‥ガルマン・ガミラスの保有規模ならば、地球に似た星も知っているかもしれないと思ったのだがな‥‥」

 

「「‥‥」」

 

デスラーがファンタムの破壊命令を出した事が脳裏を過り、今度は古代と良馬が神妙な顔つきになる。

 

「古代、月村、実はこの所、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカの探査船団からの定時連絡が入らず、こちらから呼びかけても応答がないのだ」

 

「それって探査船団の身に何かしらのアクシデントが起きたと言う事でしょうか?」

 

良馬が藤堂にアメリカ、ヨーロッパ、アフリカの探査船団とのコンタクトが取れない件についてそれらの国の探査船団に何かアクシデントが起きたのかと質問する。

 

「まだ遭難したとは決まってはいないが‥‥」

 

「ええ、宇宙では何が起きるか分かりませんし、宇宙気象の影響で通信不良になっているだけかもしれませんが‥‥」

 

遭難したと言う確固たる証拠がないので、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカの探査船団の身に何が起きたのか分からない。

 

もしかしたら、宇宙気象の影響で通信障害が起きているだけかもしれないし、ブラックホール等の危険もある。

 

宇宙気象の他にどこかの星間国家と遭遇して一方的に攻撃を受けて沈んだ可能性もある。

 

何せ、宇宙には地球以外に知的生命体の存在が確認されているのだから‥‥

 

だが、少なくともガルマン・ガミラスがアメリカ、ヨーロッパ、アフリカの探査船団を襲ったとは思えないが、ボラー連邦は地球を敵視しているので、もし運悪くボラー連邦の艦隊と遭遇してしまったら、一方的に攻撃を受けるかもしれない。

 

護衛戦艦ならばともかく、非武装の探査船が攻撃を受けたら危険だ。

 

だが、武装し、船体を装甲板で覆われている護衛戦艦でも探査船団に付き従っている護衛戦艦は一隻なので、艦隊で襲われれば例え各国が建造した新鋭の宇宙戦艦でも多勢に無勢なので、やはり危険だ。

 

「既にロシア、中国は探索宙域の探査を全て終えたのだが、結果は残念なモノに終わってしまった」

 

「そうですか‥‥」

 

既に探査任務を終えた国もあるが、結果は芳しくない結果で終わった。

 

最も成果があれば、すぐに地球から第二の地球発見の報告が入っている筈なので、結果が残念なことは簡単に予測できた。

 

「音信不通となった探査船団の件について何か進展が分かれば連絡をしよう」

 

「分かりました」

 

「無事ならば良いんですが‥‥」

 

これから向かうスカラゲック海峡星団で第二の地球となる星が見つかるのか?

 

そして、音信不通となったアメリカ、ヨーロッパ、アフリカの探査船団の行方はどうなったのか?

 

様々な不安を抱きつつもヤマト、まほろばは最後の探査宙域であるスカラゲック海峡星団へと向かう。

 

 

宇宙空間を航行するヤマト、まほろばの前方に星間物質が乱雲のように飛び交う宇宙の荒海‥‥

 

この荒海こそが、スカラゲック海峡星団の出入り口であった。

 

「艦長、前方にスカラゲック海峡星団が見えてきました」

 

「星間物質で荒れているな‥‥この分だと航路には多数の宇宙塵が存在している可能性がたかい‥‥航海長、用心して操艦してくれ」

 

「了解」

 

「しかし、こんな星間物質が荒れている宙域に第二の地球となる星があるのでしょうか?」

 

新見が不安そうに訊ねる。

 

確かに彼女の言う事も分かる。

 

こんな荒海の中に存在する星が第二の地球となりえるのか不安でしかない。

 

「とは言え、ヤマト、まほろばの探査宙域は此処が最後なんだ‥‥砂漠の中にオアシスがあるようにこの荒海の中にも地球人類が住める星がある事を祈ろう‥‥」

 

良馬自身も正直こんな荒海の中にある星の中で地球人類が住める星なんてあるのか限りなく怪しいと思いつつも乗員たちを不安にしないよう言った。

 

そして、ヤマトとまほろばの二隻は探査宙域であるスカラゲック海峡星団β星の第五惑星に到着した。

 

「艦長、本艦及びヤマトは探査惑星のスカラゲック海峡星団β星の第五惑星に到着しました」

 

「ヤマトの方は早速コスモハウンドの準備をしています」

 

「よし、本艦はそのままヤマトの護衛に就く。周辺の警戒を厳となせ」

 

「了解。ただ、周囲の星間物質の影響でレーダーの感度があまりよくありません」

 

「レーダーを近距離モードに切り替え、あとは目視による直接警戒を行う」

 

「了解」

 

まほろばがコスモハウンドが戻ってくるまで周囲を警戒する。

 

(雲らしき気象物質は存在しているみたいだ。それに海らしき水も存在しているが‥‥)

 

惑星表面を見ると、雲と海は確認できた。

 

あとは地表探査の結果が送られてくるデータを待つだけだ‥‥

 

ヤマト、まほろばの乗員たちはこの星が第二の地球となる星である事を祈った。

 

コスモハウンドには土門、雪、アナライザーが搭乗して、地表探査をしている。

 

スカラゲック海峡星団β星の第五惑星は常に強い風が吹き荒れる星であり、その影響で海も荒れている。

 

大地も砂塵が舞っている。

 

「アッ、金属反応アリ!!」

 

そんな中、アナライザーが地表で金属反応を捉えた。

 

「金属反応?それってこの星の鉱物か?」

 

操縦桿を握りながら土門がアナライザーに訊ねる。

 

「‥‥イエ、人工的ニ加工サレテイル金属ノ様デス」

 

「人工的?それじゃあ、この星には知的生命体が存在するのか?」

 

「ともかく、もう少し高度を下げて調査してみましょう」

 

「了解」

 

土門は地表に存在する金属反応の正体を探る為に高度を下げる。

 

コスモハウンドの映像はヤマト、まほろばにも送信されていた。

 

やがて、地表の映像が流れてくると、

 

「ん?あれは!?音信不通になっていたアメリカの探査船じゃないか!?」

 

スカラゲック海峡星団β星の第五惑星の砂漠の様な地表には地球の探査船が三隻、大破したスクラップ状態で横たわっていた。

 

そして、スクラップ状態になっている探査船の船体には所属を示す星条旗のマークが描かれており、スクラップ状態となっている探査船が地球の‥アメリカ所属の探査船であることが判明した。

 

「ほ、本当だ!!」

 

「なんでアメリカの探査船の残骸が此処に‥‥?」

 

このスカラゲック海峡星団はヤマト、まほろばの日本が探査担当の宙域であり、アメリカの探査宙域は別の宙域であった。

 

「音信不通になっていたのはやはり、遭難していたからなのか‥‥」

 

「しかし、何故あんな姿で‥‥」

 

探査宙域ではない筈のアメリカの探査船団が此処で遭難している疑問が浮かぶ中、コスモハウンドからはこの星の大気の組成データが送信されてきた。

 

「艦長、コスモハウンドから惑星のデータが送られてきました」

 

「それで、結果は?」

 

良馬が新見にこの星のデータの結果を訊ねる。

 

他の乗員たちもドキドキしながら結果を待つ。

 

「はい。惑星の大きさ、自転周期、重力に関しては地球とほぼ同じなのですが、大気の組成は‥‥酸素の含有量が地球よりも少なく、海水も重金属成分が多く含まれており、人類を始めとする地球の生物には有害物質です‥‥地球人類はこの星には住めません」

 

「そうか‥‥」

 

「ここもやっぱりダメだったか‥‥」

 

人類は住めない‥‥

 

最後の探査惑星の結果に落胆が隠せない。

 

「しかし、何故、この星にアメリカの探査船が遭難していたんじゃ‥‥?」

 

井上がアメリカの探査船団の遭難に首を傾げる。

 

「あっ、アレは!?護衛戦艦アリゾナですよ!!」

 

「なに!?」

 

スカラゲック海峡星団β星の第五惑星の砂漠には探査船の他にその探査船を護衛していた宇宙戦艦アリゾナも探査船同様、大破した状態で横たわっていた。

 

「あ、アリゾナが‥‥」

 

「あんな姿に‥‥」

 

軍艦はその国の技術の結晶である事を示す。

 

アリゾナはアメリカが独自に建造した宇宙戦艦であり、その能力はヤマト、アンドロメダ級に匹敵する程の強力な戦艦の筈であったが、その強力な筈の戦艦が今、自分たちの目の前に無残な姿を晒している事にヤマト、まほろばの乗員たちは唖然とする者、驚愕する者と分かれていた。

 

「コスモハウンドから通信です。『地表に降り、生存者が居ないか調査をする』との事です」

 

ギンガがコスモハウンドの動向を報告する。

 

「生存者か‥‥居ればいいが‥‥」

 

生存者が居ればアメリカの探査船団に一体何が起きたのか原因はすぐわかるが、この星の環境と遭難日数から、生存者が居る可能性は極めて少なそうだった。

 

アリゾナの直ぐ近くに降りたコスモハウンドからは土門、雪、アナライザーたちがアリゾナへと歩いて向かう。

 

その際、

 

コッ‥‥

 

「ん?」

 

雪の足に何かが当たる。

 

石かと思って、雪は足下を見るとそれは石ではなく、ヘルメットが割れて、彼方此方が破けている宇宙服を纏った白骨死体だった。

 

宇宙服の胸元には星条旗のマークが描かれていた。

 

おそらくアリゾナか探査船の乗員の遺体だろう。

 

「きゃぁぁぁー!!」

 

「うわっ!?」

 

白骨死体を見て雪は思わず悲鳴をあげ、思わず土門に抱き着く。

 

 

「ご、ごめんなさい、土門君。乗員の遺体を見てビックリして思わず‥‥」

 

「い、いえ、‥‥」

 

気を取り直してアリゾナへと近づくと、アリゾナの船体にはビームやミサイルで出来たと思われる破孔がいくつもあった。

 

「これは酷い‥戦闘でやられたんだな」

 

土門はアリゾナが宇宙気象ではなく何者かと戦った事によって大破したのだと判断した。

 

「じゃあ、探査船の方も‥‥」

 

「ええ、恐らく何者かの襲撃を受けたのでしょう。多分、襲撃を受けてワープをして逃げた際、力尽きてこの星に墜落したものと思われます」

 

アリゾナがこのような状態だったので、おそらくアメリカの探査船も何者かの襲撃を受けたのだと容易に察することが出来た。

 

そして、本来の探索宙域ではない筈のこの星で遭難している理由も土門は何者かに襲撃されてワープで逃げた際に偶然このスカラゲック海峡星団にワープアウトしたのだと推察した。

 

護衛をしていた筈の戦艦が此処まで大破し、探査船共々逃げている事から、アメリカの探査船団を攻撃してきた襲撃者は単艦ではなくある程度の艦隊である事が予測される。

 

「アナライザー、被弾箇所の放射能を測定してくれ」

 

「アイアイサー」

 

「班長、俺たちは生存者の捜索をしましょう」

 

「そうね」

 

アナライザーは破孔部分を調べ、放射能の残留成分を調べ、土門と雪は艦内に入り、生存者が居ないか捜索する。

 

だが、大方の予想通り、アリゾナの艦内には生存者はおらず、全員が戦死していた。

 

「アナライザー、破孔部分からは何か分かったか?」

 

土門が船外で調査をしているアナライザーに訊ねると、

 

「破孔部分カラハ『ボラーチウム100』ガ検出サレマシタ。ソレニ、船体ニハ、ミサイルノ不発弾ガ突キ刺サッテイタノデスガ、ソノミサイルガ、先日ヤマト、マホロバヲ襲撃シテ来タボラー連邦ノ戦闘艦ガ使用シテイタミサイルト同ジミサイルデス」

 

「じゃあ、この護衛戦艦アリゾナを沈めたのは‥‥」

 

「ソウデス。ボラー連邦デス」

 

アナライザーの分析の結果、アリゾナを始めとするアメリカの探査船団を襲撃したのはボラー連邦である事が判明した。

 

アメリカの探査船団がボラー連邦に襲撃されたのだから、音信不通となっているヨーロッパ、アフリカの探査船団もボラー連邦の襲撃を受けた可能性が高い。

 

「ボラーの奴ら、どうして邪魔をするんだ!!」

 

土門がボラー連邦の所業に対して悪突く。

 

「地球がガルマン・ガミラスの同盟国になったと誤解しているのよ」

 

「そうか‥‥」

 

地球とガルマン・ガミラスの間に同盟話は持ち上がっているが、正式な同盟締結にはなっていない。

 

しかし、デスラーがベムラーゼにヤマト、地球に対しての武力行為を禁じるように頼み込んできた事から、ベムラーゼは既にガルマン・ガミラスと地球が同盟関係にあると見ていた。

 

もっともベムラーゼにしてみれば、地球がガルマン・ガミラスと同盟関係であろうとなかろうと自軍の艦隊が手痛い目にあっている事からボラー連邦の面子を考えるならば、地球もガルマン・ガミラス同様、敵視していてもおかしくはない。

 

だが、このボラー連邦の横やりのせいで、アメリカの探査船団が全滅してしまい、それによって本来のアメリカ担当の探査宙域の探査が不完全のままになってしまった。

 

ヨーロッパ、アフリカも同様の事が言える。

 

もしかしたら、まだ探査していない宙域に第二の地球となる星があったかもしれない。

 

ヤマトはこのスカラゲック海峡星団が最後の探索宙域であったが、この後で、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカの探査船団が探査する予定だった宙域へ向かう事は時間的にも距離的にも無理がある。

 

「ともかく、この事を古代艦長たちに報告しましょう」

 

「はい」

 

雪はアリゾナを調査した結果をヤマト、まほろばへと送る。

 

「ボラーの仕業か‥‥」

 

「アメリカの探査船団がボラーの手でこうなっていたとなると、ヨーロッパやアフリカの探査船団も‥‥」

 

「ああ、もしかしたら、ボラー連邦の襲撃を受けて全滅した可能性があるな‥‥」

 

「まったく余計な事を‥‥」

 

ボラー連邦の手によってアメリカの探査船団が全滅した報告を受けてヤマト、まほろばではボラー連邦に対する不満と怒りが沸く。

 

「古代艦長」

 

「なんでしょう?」

 

「アリゾナは探査船と違って大破しているがある程度の形は残している‥鹵獲を防ぐために破壊した方がいいのではないだろうか?」

 

「えっ?破壊!?」

 

良馬は古代にアリゾナの完全破壊を提案する。

 

古代はそんな良馬の提案に唖然とする。

 

「出来る事ならば、アリゾナを牽引して地球へ運びたい所ではあるが、此処から地球までは距離が離れすぎている。だからといってこのまま此処に放置しているとボラー連邦に鹵獲される恐れもある」

 

「そうですね‥‥分かりました」

 

(ボラー連邦以外に時空管理局も同じことが言えるのだかな‥‥)

 

管理局がこのスカラゲック海峡星団まで来るかは分からないが、もし到達してアリゾナの残骸を見つければ必ず鹵獲するだろう。

 

ギンガもアリゾナの残骸を見て、さらに良馬の『鹵獲』と言う言葉を聞いて良馬同様、ボラー連邦以外にも管理局ならばアリゾナの残骸を発見すれば鹵獲するだろうと思っていた。

 

「こちらからも人員を出す。まずはアメリカの探査船団の乗員たちのご遺体を宇宙葬に出した後、アリゾナを完全破壊しよう。ただ、その前にこの事を藤堂長官にも伝えよう」

 

「分かりました。相原、藤堂長官に繋いでくれ」

 

「了解」

 

相原は地球の地下都市に設けられた宇宙開拓省へと通信を入れた。

 

「ヤマトか、どうした?」

 

パネルには藤堂と秘書の晶子の姿が映し出されたのだが、何だかおぼろげな映像であった。

 

「相原、なんだか画像が不鮮明じゃないか?」

 

南部が相原にボソッと耳打ちする。

 

「地球側の出力が弱まっているんだろう。これが精一杯だ」

 

相原は通信機器を操作するが、このおぼろげな姿以上の画像は出来ないと返答する。

 

通信のエキスパートである相原が言うのだから、地球側の環境が差し迫っている事が窺える。

 

「長官、現在我々は最後の探査惑星であるスカラゲック海峡星団β星の第五惑星を調査しましたが、残念ながらこの星も地球人類の居住には適さない星でした」

 

「‥そうか」

 

最後の探査惑星が地球人類の居住に適さない星と言う結果に藤堂は落胆が隠せない。

 

いや、藤堂だけではなく宇宙開拓省に居た職員全員が同じことが言える。

 

「それともう一つ、このスカラゲック海峡星団β星の第五惑星の地表にて、音信不通となっていたアメリカの探査船団の残骸を発見しました」

 

「なに!?残骸だと!?」

 

「はい」

 

アメリカの探査船団が残骸と化していた事に藤堂は目を見開いて驚く。

 

「我々が調査をした結果、アリゾナを始めとしてアメリカの探査船団には生存者は無く、遭難した原因はボラー連邦に襲撃された事によるものだと判明しております」

 

「ボラー連邦か‥‥」

 

藤堂もボラー連邦に関してはジュラ経由からレベロと山南から報告を受けている。

 

「では、同じく音信不通となっているヨーロッパやアフリカの探査船団も‥‥」

 

「恐らく、それらの探査船団もボラー連邦からの襲撃を受けた可能性があります」

 

「‥‥くっ、地球と人類は最悪の事態を迎えたと言うわけか‥‥」

 

『‥‥』

 

藤堂の呟きにヤマト、まほろばの艦橋に重苦しい空気が流れる。

 

「長官。地球の現状はどうなっているのですか?」

 

南部が思ったように古代は藤堂の姿がおぼろげだったことから地球の現状を訊ねる。

 

「地球は想像を越える速さで太陽が膨張を続ける高熱のため、地球各地の地下都市では冷房設備のエネルギー不足、オーバーヒートが多発してまさに灼熱地獄だ。既にケンタウロス座アルファ星への避難活動も開始している」

 

「そんなことが‥‥」

 

地球の現状を聞いてますます空気が重くなる。

 

「長官。話を戻しますが、月村艦長の提案で、ボラー連邦にアリゾナを鹵獲されぬよう完全に破壊したいと思います。曳航するにはここからではあまりにも距離の問題がありますので‥‥」

 

「うーむ‥やむを得ないか‥‥よろしい、アリゾナの破壊を許可する。アメリカ政府にはこちらから説明をしておこう」

 

「御配慮ありがとうございます」

 

藤堂からのアリゾナ破壊の許可が出たので、ヤマト、まほろばからはアメリカの探査船団の乗員たちの遺体収容を行う。

 

「この人たちも俺たちと同じく地球を救うために宇宙に出て必死に第二の地球となる星を探していたのに‥‥」

 

アメリカの探査船団の乗員たちの遺体を棺に納めながら土門はボラー連邦に対する怒りが沸き上がる。

 

アメリカの探査船団の乗員たちのご遺体を棺に納めるとその棺を宇宙空間へと放出する。

 

「宇宙戦士の霊に敬礼!!」

 

ヤマト、まほろばの乗員たちが宇宙空間へと放たれていく棺に対して敬礼をし、ヤマト、まほろばからは弔砲が放たれる。

 

そして、二隻の宇宙戦艦はスカラゲック海峡星団β星の第五惑星の地表に横たわっているアリゾナに対して主砲の照準を合わせる。

 

「鹵獲防止とは言え、こうして友軍艦艇に砲を向けるのは、あまりいい気がしないな‥‥」

 

照準を合わせながらフェリシアが呟く。

 

「古代艦長や南部君もきっと同じ気持ちなのだろう」

 

「‥‥艦長、砲撃準備完了しました」

 

「よし‥‥撃て!!」

 

「発射!!」

 

ヤマト、まほろばからショックカノンが放たれ、アリゾナの船体に命中するとアメリカが誇る戦艦アリゾナの船体は木端微塵に吹き飛んだ。

 

(アリゾナはこうして完全破壊することが出来た‥‥)

 

(しかし、ヨーロッパやアフリカの探査団‥‥特に護衛戦艦群は残骸を残していたら、ボラー連邦に鹵獲されているかもしれないな‥‥)

 

アメリカの探査船団はボラー連邦から襲撃を受けた際、ワープをしてボラー連邦からの追撃を逃れたが、ヨーロッパ、アフリカの探査船団の遭難状況が不明なので、ワープをして離脱できずに大破してボラー連邦に鹵獲された可能性もあったが、現状確認のしようがなかった。

 

 

宇宙葬を終えて、アリゾナの完全破壊も終えたヤマト、まほろば。

 

「あの‥艦長、この後は‥‥」

 

永倉は気まずそうに恐る恐るこの後の予定を良馬に訊ねる。

 

「‥地球へ帰還するしかないだろう」

 

良馬も重苦しそうに次の予定を口にする。

 

探査すべき宙域を全て回って、探査した全ての惑星の探査結果が、人類が住めない星であると判明した以上、此処に留まっていても時間の無駄だ。

 

ならば、地球へ戻り、アルファ星への一時避難の護衛か連邦市民を乗せての避難活動に従事することが予測された。

 

ルダの件もアルファ星に地球人類と動植物を避難させてから身の振りを考える事になるのだろう。

 

ヤマト、まほろばが地球へ戻ろうとしていた時、スカラゲック海峡星団β星の第五惑星の近海に多数のワープアウト反応を捉えた。

 

「艦長、近くでワープアウト反応を捉えました!!」

 

「距離は?」

 

「前方、約五万宇宙キロ‥艦影多数‥艦隊と思います。急速にこちらへ接近してきます」

 

「艦籍を調べろ!!」

 

「はい!!」

 

「総員、戦闘配置につけ!!」

 

地球へ帰還しようとしていた中、突如艦隊の出現により艦内には警報が鳴り響き慌ただしく移動する乗員たち。

 

「艦籍判明しました!!」

 

「どこだ!?」

 

「ガルマン・ガミラスです」

 

「ガルマン・ガミラス?‥‥何故、ガルマン・ガミラスの艦隊が此処へ‥‥?パトロールだろうか‥‥?」

 

「艦隊旗艦がヤマトに通信を送っています」

 

「様子を知りたい。パネルに映してくれ」

 

「了解」

 

まほろばの第一艦橋ではヤマトとガルマン・ガミラスとのやり取りが映し出される。

 

ワープアウトしてきたガルマン・ガミラスの艦隊は先ほど、ファンタムで出会ったグスタフの艦隊であった。

 

「あっ、アイツは‥‥」

 

「ファンタムを破壊したガルマン・ガミラスの軍人じゃないか!?」

 

「今更何の用で此処まで来たんだ!?」

 

「ファンタムの破壊を詫びに来た‥‥って感じじゃなさそうじゃのう」

 

「となると狙いは‥‥ルダ王女かもしれないな」

 

「ルダ王女?」

 

「時間差ではあるが、ヤマトにルダ王女が乗艦している事に気づいたんだ」

 

良馬はグスタフが再び自分たちの前に現れたのはデスラーがヤマトにルダが乗っている事に気づいたのだろうと予測する。

 

そしてその予測は当たり、

 

「宇宙戦艦ヤマトの艦長に告ぐ。貴艦内に我がガルマン・ガミラスにとって最も重要な人物が惑星ファンタムから乗り込んだとの情報が入った。その人物はシャルバート星のルダ王女である、そのルダ王女を我々に引き渡しを要求する。もし拒否するならば我々が貴艦に乗り込む事になる。いずれか決めていただきたい」

 

グスタフは古代に素直にルダを引き渡すか、それとも一戦交える覚悟はあるかを問うてくる。

 

(やはり、ヘルマイヤー少佐にルダ王女の姿を見られていたか‥‥)

 

グスタフの発言からやはり、ファンタムでルダがヤマトに乗っている事がヘルマイヤーからデスラーに伝えられたのだと察した。

 

「それはデスラー総統の意志ですか?」

 

古代はグスタフにルダの身柄引き渡しはデスラーからの命令なのかと問う。

 

「そうだ」

 

グスタフはデスラーからの命令である事を古代に言う。

 

「答えはNOです」

 

古代は拒否した。

 

「それは我々と一戦交えると言う意味かな?」

 

「我々はあなた方との戦いを望みません。ですが、あなた方が攻撃すると言うのであるならば、やむを得ないでしょう。受けて立つまでです」

 

「よろしい」

 

古代の態度にグスタフは納得するような様子でパネルから消えた。

 

(友情よりもルダ王女の方を選ぶとは‥‥デスラーにとってシャルバート星の存在はかなりの脅威と見えるな‥‥)

 

グスタフ艦隊と交戦し、艦隊を全滅してグスタフを戦死させた場合、デスラーとの友情は完全に決裂するかもしれない。

 

しかし、古代としてもルダをそう簡単にガルマン・ガミラスへ引き渡す訳にはいかなかった。

 

「相原、まほろばに繋いでくれ」

 

「了解」

 

相原が急ぎ、まほろばに通信を入れる。

 

「月村艦長」

 

「やり取りは見ていたよ。ルダ王女の事を考えるとやむを得ないだろう。本艦が前に出る」

 

「分かりました」

 

「航海長。本艦をヤマトの前へ移動!!航空隊も直ちに発進せよ!!」

 

グスタフ艦隊がワープアウトした時から戦闘準備を行っていたので、すぐに対応できる体制でいた。

 

「副長、グスタフ艦隊の戦力は?」

 

「旗艦らしき戦艦を含め、大型戦艦七隻、駆逐艦クラスの小型艦が八隻の計十五隻です」

 

グスタフ艦隊の構成は旗艦の戦艦以外はノイ・ゼラード級航宙戦艦とリンチェント級航宙駆逐艦で編成された中規模な艦隊であった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

「第一~第三主砲、発射準備!!」

 

まほろばの前部主砲がグスタフ艦隊へ向けられる。

 

まほろばで戦闘準備が進んで行く中、ヤマトでも当然戦闘準備が進められる。

 

主砲、ミサイルの発射準備、そして航空隊の発進準備が進められる中、古代はふと不安になり、コスモタイガーの格納庫に艦内放送を入れた。

 

「揚羽!!揚羽武はいるか!?」

 

「はい!!いつでも発進OKです!!」

 

と、揚羽の返答がきた。

 

(まったくアイツは‥‥)

 

揚羽の返答を聞き、古代は若干呆れつつも、

 

「バカ!!お前にはルダ王女の警護の役を言っておいただろう!?」

 

「あっ!!」

 

古代に言われてルダの護衛役を言われていた事を思い出す。

 

「ヤマトに万が一の事があっても命をかけてルダ王女を守れ!!分かったか!?」

 

「は、はい!!」

 

グスタフ艦隊はヤマトに強制接舷をしてルダの身柄を確保しようとしてくるので、揚羽はビームライフルを持ってルダの部屋に向かった。

 

「ルダ王女、まもなく戦闘が行われるかもしれません」

 

「‥‥」

 

「艦長の命令で私が貴女を警護いたします」

 

「分かりました」

 

ルダは揚羽の言葉を聞いて頷いた。

 

古代からルダの身柄引き渡しを拒否されたグスタフはヤマトに強制接舷をしてでもルダの身柄を確保しようとし、全艦に戦闘命令を下令する。

 

「ヤマト、まほろばへの攻撃準備。全砲門、全ミサイル発射準備!!」

 

「はっ!!」

 

「五百宇宙キロで交戦する。距離測定を間違えるな!!」

 

「了解!!」

 

戦闘準備をしながらヤマト、まほろばに距離を詰めていくグスタフ艦隊。

 

そこへ、

 

「司令、デスラー総統から入電です!!」

 

デスラーから通信が入る。

 

「総統から?パネルに切り替えてくれ」

 

「了解」

 

通信士が通信回線を開くと艦橋のパネルにデスラーの姿が映し出される。

 

「デスラー総統」

 

グスタフはデスラーに敬礼をする。

 

「グスタフ、私も急いでそちらに向かう所だ」

 

デスラーの通信内容はデスラー自ら親衛艦隊を率いてヤマトの下へ向かうと言う内容だった。

 

「総統御自ら?ルダ王女の件でしたら私にお任せ下されば‥‥」

 

「いや、実はボラー連邦の主力艦隊がそちらに向かっているとの情報を得た」

 

「ボラー連邦の主力艦隊が!?」

 

「うむ。奴らの狙いも我々同様ルダ王女に違いない。知っているとは思うが、ルダ王女の母星、シャルバート星は昔から大銀河系最強と名高い星だ。この星がもし、ボラー連邦の陣営につけば全宇宙征服の大きな障害となる。しかし、問題はシャルバート星の所在だよ‥‥」

 

ガルマン・ガミラスでもボラー連邦でもシャルバート星の正確な座標は把握できていない。

 

つまり、先にシャルバート星を見つけ、その星の技術を接収できた方が全宇宙の覇者に慣れると言う事だ。

 

「ルダ王女はそのシャルバート星の重要な鍵となる人物だ」

 

「分かりました。では、ヤマト艦内への臨検を急ぎます」

 

「いや、私が行くまで待て」

 

「は?」

 

「いいか?その前にもし、ボラー連邦から攻撃を受けた時には、何をおいてもヤマトだ。ヤマトを守るのだ」

 

「ヤマトを!?守る‥‥?」

 

「そうだ。ヤマトを死守するのだ。よいな?」

 

「はっ!!」

 

最初の命令から一転してデスラーからの命令変更が来た事で、

 

「ええい、ヤマトめ!!悪運が強い‥全艦進撃中止!!」

 

ヤマトへの攻撃を中止せざるを得なかった。

 

ヤマト、まほろばがグスタフ艦隊との戦いに向けて準備をしていると、レーダーが新たな艦隊の反応を捉えた。

 

「右舷90度、三万宇宙キロに別の艦隊が出現!!」

 

「ガルマン・ガミラスの援軍か!?」

 

こうしてガルマン・ガミラスと対峙しているので、出現した艦隊がガルマン・ガミラスの艦隊かと思われたが、

 

「‥‥いえ、ボラー連邦の艦隊です!!」

 

出現した艦隊はガルマン・ガミラスの援軍艦隊ではなくボラー連邦の艦隊だった。

 

「何!?ボラー連邦‥‥まさか、ボラーもルダ王女の存在を認識していたのか!?」

 

ボラー連邦の艦隊が此処へ来たのはグスタフ同様、ルダを狙って来たのだろう。

 

(方向は異なるが、まさに前門の虎後門の狼だな)

 

ヤマトとまほろばは、ガルマン・ガミラスとボラー連邦の艦隊に挟まれてしまった。

 

「ボラー連邦艦隊がヤマトへ通信を送っています」

 

「大方、グスタフ司令と同じくルダ王女を引き渡せとでも言っているのだろう」

 

良馬はボラー連邦艦隊の狙いがガルマン・ガミラス同様、ルダであると確信する。

 

そして、良馬の予測はまたもや当たる。

 

出現したボラー連邦の艦隊はハーキンス率いる第八打撃艦隊であり、ハーキンスは今回、自身の旗艦であるバイオン号で艦隊を率いて来た。

 

そして、ハーキンスは良馬の予測通りヤマトへルダの身柄引き渡しを要求してきた。

 

「ヤマトに告げる。そこにシャルバート星の王女が乗っている筈だ。私の任務は貴艦にいるルダ王女を貰い受ける。さもなくば、ヤマトごと破壊するだけだ」

 

「‥‥」

 

「どうなんだ!?早く答えろ!?」

 

「答えは決まっている。NOだ!!」

 

グスタフの要求と同じく古代はハーキンスからの要求も拒否した。

 

「いいだろう。では、我々はヤマトごとルダ王女を葬るだけだ!!覚悟しろ!!」

 

ハーキンスはグスタフと異なり、ルダの身柄が確保できなければ、彼女を抹殺する気でいた。

 

自分たちの手に入らず、相手の手に入るぐらいならば、殺してしまえ‥‥ベムラーゼのあまりにも極端な命令をハーキンスは実行しようとしていた。

 

ヤマト、まほろばがハーキンス率いる第八打撃艦隊を捕捉したようにグスタフの方でもボラー連邦、第八打撃艦隊を捕捉していた。

 

「グスタフ司令、ボラー連邦の前衛艦隊と思われる艦隊がヤマト、まほろばへと接近しています!!」

 

「なに!?」

 

艦橋のパネルには第八打撃艦隊の艦影が映し出される。

 

「ボラー連邦前衛艦隊の方位を確認!!」

 

「了解!!」

 

オペレーターは機器を操作してボラー連邦の動きを調べる。

 

「方位二百九十五度、速度六十宇宙ノットでヤマト、まほろばへと急接近!!」

 

艦橋中心部にある三次元レーダーに自軍、ヤマト、まほろば、そして侵攻するボラー連邦の艦隊図が映し出される。

 

それを見るだけでもボラー連邦の艦隊が自軍よりも数が多いことが窺える。

 

ボラー連邦の艦隊がこの宙域に出現するのは予想外の出来事であった。

 

デスラーが掴んだボラー連邦の主力艦隊がヤマトの下へ向かっている情報がグスタフの下に入っていれば、彼は艦船を補充して来ていた。

 

「凄い数だ‥‥くそっ、全艦全砲門をボラー連邦前衛艦隊に向け発射準備!!」

 

「了解!!」

 

とは言え、デスラーから『ヤマトを死守せよ』と言う命令を受けた以上、グスタフは現有戦力でその命令を実行しなければならなかった。

 

ヤマト、まほろばに向けていた砲塔を全て第八打撃艦隊の方向に転換するグスタフ艦隊。

 

こうしてスカラゲック海峡星団にてルダを巡り、ヤマト、まほろばの地球陣営、グスタフ艦隊のガルマン・ガミラス陣営、第八打撃艦隊のボラー連邦陣営と三つ巴の戦いが始まろうとしていた。

 

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