星の海へ   作:ステルス兄貴

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百七十五話 スカラゲック海峡星団会戦

 

 

スカラゲック海峡星団にてヤマト、まほろばは日本地区が担当する最後の探査惑星を探査するもその惑星は人類の居住には適さない星と言う最悪の結果で探査任務は終わる事になった。

 

ただ、探査を行う前の地球との定時報告にて、他の宙域で惑星探査を行っていたアメリカ、ヨーロッパ、アフリカの探査船団が相次いで消息不明となる事態が起きていたことを知ったヤマトとまほろばの乗員たち。

 

宇宙には地球の常識が通じない特殊な宇宙気象が起きるので、それらの探査船団は運悪くそう言った特殊な宇宙気象に巻き込まれてしまった可能性もあるが、他の星間国家に所属する宇宙艦隊からの襲撃を受けた可能性もあった。

 

そして、ヤマト、まほろばが担当する最後の探査惑星‥スカラゲック海峡星団β星の第五惑星の地表にアメリカの探査船団及び同探査船団の護衛にあたっていた戦艦アリゾナが大破したスクラップ状態で横たわっていた。

 

調査の結果、それらの探査船団には生存者はなく、アリゾナの船体には戦闘で出来たと思われる破孔がいくつもあった。

 

そして、被弾箇所の放射能測定から『ボラーチウム100』とボラー連邦のスペース・デストロイヤーの主武装である『スペース・ロック』の不発弾が確認された。

 

この結果から、アリゾナを始めとするアメリカの探査船団はボラー連邦の艦隊からの襲撃を受けた可能性が非常に高かった。

 

 

アメリカの探査船団と異なり、残骸が確認されていない事から宇宙気流による遭難も勿論考えられるが、アメリカの探査船団がボラー連邦の艦隊から襲撃を受けた結果を鑑みて、行方不明になったヨーロッパ、アフリカの探査船団もボラー連邦の艦隊に襲撃された可能性も十人に考えられた。

 

大破したとはいえ、アリゾナは比較的にその形を保っており、ボラー連邦及び時空管理局からの鹵獲防止の為、殉職したアメリカの探査船団・アリゾナの乗員たちの遺体を宇宙葬で見送った後、ヤマト、まほろばはアリゾナへ艦砲射撃を加えて自沈処分にした。

 

最後の探査惑星の探査が終わったヤマト、まほろば。

 

地球人類をケンタウロス座アルファ星への避難任務にでも従事することが予測される為、地球への帰還行動に入ろうとした中、ファンタムを破壊したグスタフ艦隊がワープアウトしてきた。

 

グスタフの目的はヤマトに乗り込んでいるルダであり、グスタフはヤマトに対してルダの身柄引き渡しを要求してきた。

 

デスラーからの命令を受けたグスタフは自身の命を懸けてでもルダを奪いに来るだろうし、此処でグスタフ艦隊と砲火を交えたらデスラーとの友情は決裂する。

 

古代はそのリスクを承知でルダの身柄引き渡しを拒否した。

 

スカラゲック海峡星団でヤマト、まほろばの地球陣営とグスタフ艦隊のガルマン・ガミラス陣営が砲火を交えようとした中、グスタフの下にデスラーから通信が入る。

 

それによると、ボラー連邦の方でもルダがヤマトに乗り込んでいる情報を使い、自分たちと同じくルダの身柄を奪おうとヤマトの下に主力艦隊を派遣したとの事だ。

 

ガルマン・ガミラスとしてボラー連邦にルダ‥‥正確にはルダの母星、シャルバート星の技術がボラー連邦に渡るのは何としてでも阻止しなければならない。

 

そこで、デスラーは最初の命令を撤回し、自身が赴くまでグスタフにヤマト警護の命令を下した。

 

武人としては不本意な命令ではあるが、デスラーからの命令では逆らう事は出来ず、グスタフはヤマトとの交戦を断念した。

 

そんな中、ボラー連邦の艦隊がヤマトに迫っていた。

 

ボラー連邦の先遣隊はハーキンスは率いる第八打撃艦隊であり、彼もまたヤマトにグスタフ同様、ルダの身柄引き渡しを要求してきた。

 

勿論、古代はこの要求も拒否をした。

 

するとハーキンスの決断と行動は早かった。

 

 

ボラー連邦 第八打撃艦隊 旗艦 バイオン号 艦橋

 

「全艦総攻撃開始」

 

バイオン号の艦内には警報が鳴り響き、乗員たちは駆け足で配置について行く。

 

「目標、ヤマト、まほろば。前方450宇宙キロ」

 

バイオン号の主砲斉射と共に第八打撃艦隊の艦船は一斉にヤマト、まほろばへと砲撃を加えて来た。

 

ヤマトとまほろばは当初、正面に展開しているグスタフ艦隊を迎え撃つつもりでいたので、側面からやって来た第八打撃艦隊に横っ腹を見せている形であったので、側面にいくつもの主砲を浴びる結果となった。

 

 

まほろば 第一艦橋

 

「くそっ、景気よくばかすかと撃ちやがって!!」

 

永倉が回避行動をとりながら第八打撃艦隊に対して毒づく。

 

「ボラー連邦の艦隊数は!?」

 

「約六十隻前後!!」

 

良馬は新見に第八打撃艦隊の戦力を訊ねると、新見は直ぐに第八打撃艦隊の戦力を報告する。

 

(ボラー艦隊はグスタフ艦隊よりも四倍近い数か‥‥)

 

(厄介さで言えばグスタフ艦隊よりもボラー艦隊だ)

 

(ヤマト、まほろばの航空隊でどこまで防げるか分からないが、グスタフ艦隊の方も無視する訳にはいかない‥‥)

 

(せめて敵をどちらか一方に絞ることが出来れば良いのだが‥‥)

 

「コスモタイガー発進!!攻撃目標、前方ガルマン・ガミラス、グスタフ艦隊!!」

 

「了解!!」

 

「グスタフ艦隊の動きは!?」

 

「それが、接近してきたと思ったら急に進撃を止めて静止しています」

 

「止まっている?」

 

「はい。攻撃してくる様子もありません」

 

(ボラー艦隊が来る前は交戦する気満々だったのにボラー艦隊が襲来した途端、進撃を止めて静観しているだと?)

 

(我々とボラー艦隊が食い合って両方が弱った頃合いを見て、双方一気に叩いて漁夫の利をえようとしているのか?)

 

グスタフ自身も第八打撃艦隊と自身が率いる艦隊の戦力差は当然承知している筈だ。

 

第八打撃艦隊はルダ一人を目的にしているので、グスタフ艦隊には全く眼中には無い様子だ。

 

それならば、敢えて火中の栗を拾うリスクをせずにヤマト、まほろばに第八打撃艦隊の相手をさせて艦隊数を減らしてもらい、頃合いを見て、両陣営に攻撃をしかけて味方の損害を極力少なくしてルダを強奪する気なのだろうか?

 

「艦首、右舷反転九十度、第一~第三主砲、艦首ミサイル発射準備!!目標ボラー連邦艦隊!!」

 

グスタフ艦隊の思惑は分からないが、このままでは第八打撃艦隊の手で沈められてしまうので、良馬はグスタフ艦隊の相手をコスモタイガー隊に任せて、まほろば自体を艦数が多い第八打撃艦隊で対処する事にした。

 

古代も同じ判断の様でヤマトから発艦したヤマトのコスモタイガー隊はグスタフ艦隊へと向かって行き、ヤマト自体も艦首を第八打撃艦隊へと向け始めた。

 

「主砲発射準備完了!!」

 

「艦首ミサイル発射準備完了!!」

 

「撃て!!」

 

まほろば、ヤマトから主砲とミサイルが第八打撃艦隊へと向かって行き、前衛部隊に命中して被害を与える。

 

しかし、第八打撃艦隊は怯むことなくヤマト、まほろばへと攻撃をしてくる。

 

しかも第八打撃艦隊はラザレフ級航宙戦闘艦を多数保有している艦隊なので、例の誘導ミサイル、スペース・ロックも当然ヤマト、まほろばへと襲い掛かって来る。

 

「敵の誘導ミサイル接近!!」

 

「波動爆雷及び囮ミサイルを射出!!」

 

まほろば、ヤマトが第八打撃艦隊へ反撃をしている頃、グスタフ艦隊の方も攻撃準備が整い、

 

「全艦全砲門、ボラー連邦前衛艦隊に向けて発射!!」

 

グスタフ艦隊も第八打撃艦隊へと砲撃を始める。

 

だが、グスタフ艦隊の位置から第八打撃艦隊への距離があるので、攻撃出来たのはグスタフが座上している艦とノイ・ゼラード級航宙戦艦だけであった。

 

「艦長、グスタフ艦隊がボラー艦隊へ砲撃を始めました」

 

「なに!?」

 

新見からの報告を受け、グスタフ艦隊の様子を見ると、確かにグスタフ艦隊は第八打撃艦隊へ砲撃を行い、第八打撃艦隊の側面に展開している部隊に被害を与えている。

 

(まだ、油断は出来ないが、此処はグスタフ司令を信じてみるしかない‥‥)

 

「コスモタイガー隊は至急、ボラー艦隊へ攻撃目標を変更!!攻撃を開始してくれ!!」

 

「了解」

 

グスタフ艦隊が静観、ヤマト、まほろばへ攻撃せずに第八打撃艦隊へと攻撃を仕掛けている事から、良馬はコスモタイガー隊の攻撃目標をグスタフ艦隊から第八打撃艦隊へと変更した。

 

グスタフ艦隊の戦艦群が第八打撃艦隊へ攻撃を始めても元々戦力の差が有り過ぎる事で、ヤマト、まほろばは次々と被弾していく。

 

被弾によりヤマトの船体が揺れ、ルダは不安そうな表情だ。

 

「ルダ王女、大丈夫です。ヤマトは決して負けません」

 

揚羽はルダを宥める。

 

「は、はい」

 

ルダ本人はヤマトのスペックをよく知らないが、ヤマトの乗員である揚羽が言うのであるならば、ルダは揚羽の言葉を信じるしかなかった。

 

 

「ヤマト、まほろばに敵主砲による被弾で被害が出ています!!」

 

パネルから見てもヤマト、まほろばは第八打撃艦隊の弾雨に晒されている。

 

一応、まほろばがヤマトの前面に立ち、ヤマトを守っているが、何せ相手の数が多いので、全ての敵弾を防ぐことは出来ず、ヤマトにも敵弾の被害が出ていた。

 

(デスラー総統からの命令だ‥‥ヤマトを守らねば‥‥)

 

「全艦、ボラー連邦前衛艦隊の前に立ち塞がり、総攻撃だ」

 

グスタフ艦隊は艦隊を前進させて、まほろば同様、ヤマトの前面に立ち塞がり第八打撃艦隊の攻撃からヤマトを守ろうとする。

 

そして、グスタフ艦隊は全速前進をして、まほろば、ヤマトと第八打撃艦隊との間に砲撃しながら割って入っていく。

 

グスタフ艦隊のこの一連の動作を見て古代は、

 

(デスラーがグスタフ司令にヤマトを守りように命じたに違いない‥‥)

 

第八打撃艦隊が来る前までは、ヤマトと一戦を交えてでもルダの身柄を強奪しようとしていたグスタフ艦隊が突然進撃を止め、第八打撃艦隊が進撃して来ると、ヤマトを守るような行動をとった事からグスタフの下にデスラーから新たな命令が下ったのだと判断したが、

 

(いや、それともデスラーはルダ王女を生きたまま手に入れたいのかもしれない)

 

ルダの存在は幻と言われながらも最強の軍事惑星とも言われているシャルバート星の存在を幻から現実にする事実であり、そのシャルバート星の座標を知るのは今の所、ルダだけであり、シャルバート星へ行くにはルダの協力が必要不可欠である。

 

ボラー連邦の場合は、ルダの身柄が手に入らなければ、シャルバート星の秘密諸共ルダを抹殺しようとしているが、デスラーの方はボラー連邦‥ひいては全宇宙制覇の為、是が非でもシャルバート星の軍事技術を手に入れたいのではないかと古代はそう勘繰る。

 

古代がグスタフ艦隊の動きを見てデスラーの心理について考察している中、第八打撃艦隊は自分たちを攻撃してくるグスタフ艦隊を目障りだと判断したのか、グスタフ艦隊の艦船にも攻撃をしかけ始める。

 

巨大な船体を誇るノイ・ゼラード級航宙戦艦も第八打撃艦隊の凄まじい砲撃の前にたちまち被弾して、蜂の巣状態となり爆沈する艦、機関部に著しい損傷を受けて航行不能に陥る艦が続出し始める。

 

コスモタイガー隊も第八打撃艦隊へ攻撃をしかけるが、その戦果は焼け石に水の様な微々たる状態だ。

 

ただ一つ幸いなのは第八打撃艦隊には空母が含まれず、敵艦隊の周囲には直掩機や迎撃機が居ない事だ。

 

 

(敵は集中砲火をする為に密集隊形をとっている)

 

(波動砲を撃って殲滅したいところだが、この集中砲火では波動砲へエネルギーを充填する間もない‥‥)

 

(何か相手の密集隊形を利用できる手は無いか‥‥)

 

良馬は相手が密集隊形をとっている事からそれを利用して一気に第八打撃艦隊を殲滅出来ないかと考えを巡らせる。

 

そんな中、自分たちと同じく第八打撃艦隊へ攻撃をしているグスタフ艦隊が視界に映る。

 

(そう言えば、グスタフ司令の艦は‥‥)

 

(あの大型ミサイルを再装填している‥‥ならば‥‥)

 

「通信長」

 

「はい」

 

「グスタフ司令に通信を入れてくれ!!」

 

「えっ?ガルマン・ガミラスの艦隊に‥ですか?ヤマトではなくて‥‥?」

 

「そうだ」

 

ギンガは一瞬、良馬が何を言っているのか理解できなかったが、良馬の事だから何か考えがあるのだろうと思いグスタフの艦に通信を入れ始める。

 

そのグスタフは、今一つの決断を下そうとしていた。

 

やはり数の差はどうしても埋められず、グスタフ艦隊は確実に数を減らしている。

 

相手の第八打撃艦隊の方も減っている筈なのだが、こちらも減っているので相手が減っている実感がわかない。

 

(このままでは全滅だ‥‥それではヤマトを守れない‥‥くそっ、こうなれば決死の覚悟で一艦一殺するしかない‥‥)

 

グスタフが体当たりによる特攻を決意した。

 

そんな中、

 

「グスタフ司令、まほろばより通信が入っています」

 

「まほろばから?この大変な時に一体何の用だ?」

 

煩わしいと思いながらもグスタフは通信回線を開く。

 

「月村艦長。一体何の用かね?現状、呑気に会話をしている余裕などないと思うが?」

 

グスタフは苛立ちや焦りから皮肉を込めて良馬に言い放つ。

 

「グスタフ司令、貴官の艦にぶら下がっているプロトンミサイルは遠隔操作による無線起爆は可能でしょうか?」

 

一方の良馬はグスタフの皮肉などどこ吹く風で、グスタフ艦が搭載しているプロトンミサイルの性能について訊ねる。

 

「そんな事の為だけに通信を送って来たのか!?」

 

グスタフとしては良馬の質問はあまりにもくだらない内容だった様だ。

 

「前方の敵を壊滅する重要な案件です」

 

「‥‥遠隔操作だったな‥‥出来る」

 

「では、プロトンミサイルを敵艦隊に向かって撃って下さい」

 

「プロトンミサイルをか!?」

 

「ええ、敵艦隊は集中砲火をする為に密集隊形をとっています。プロトンミサイルの威力はファンタムで確認済みですからね」

 

「だが、いいのか?」

 

「と、言いますと?」

 

「前方の艦隊は前衛艦隊だ。後続にはボラーの主力艦隊が控えておるのだぞ?」

 

プロトンミサイルの威力は確かに凄まじく、良馬の言う通りにすれば第八打撃艦隊を殲滅する事は可能かもしれない。

 

しかし、第八打撃艦隊はあくまでも前衛艦隊に過ぎず、その後続には第八打撃艦隊よりも強力なボラー連邦の主力艦隊が控えている。

 

その主力艦隊の規模も戦力も不明な中で、切り札とも言えるプロトンミサイルを第八打撃艦隊相手に使用しても良いのかと言う疑問が浮かぶ。

 

「確かにグスタフ司令の仰る通りですが、その前衛艦隊を殲滅しなければ、此処で終わりです。後先のことよりも今は眼前の敵に集中しましょう」

 

(最後まで希望を捨てず、後の事は考えず、まずは眼前の敵に集中する)

 

(沖田艦長や土方提督ならきっとこうする筈だ‥‥)

 

ガミラス戦役、そして太陽系へ侵攻してきた白色彗星との戦いを沖田艦長や土方提督と共に戦った良馬としてはもし、この場に沖田艦長や土方提督が居たらきっと自分と同じ選択をする筈だと判断した。

 

「分かった」

 

良馬の提案を受けてグスタフは特攻を断念してプロトンミサイルの発射準備をする。

 

「プロトンミサイル発射準備!!目標、ボラー連邦前衛艦隊!!」

 

「はっ!!プロトンミサイル発射準備!!目標、ボラー連邦前衛艦隊!!」

 

「起爆はこちらの無線誘導で起爆させる!!敵艦隊のど真ん中で起爆させるぞ!!」

 

「はっ!!」

 

「安全ロック解除、プロトンミサイル発射準備完了!!」

 

「発射!!」

 

「発射!!」

 

グスタフ艦の下部に吊るされていたプロトンミサイルが放たれ、第八打撃艦隊へと向かって行く。

 

「コスモタイガー隊を直ちに戦闘宙域から離脱させろ!!」

 

「は、はい!!」

 

プロトンミサイルの爆発に巻き込まれない様に良馬は第八打撃艦隊を攻撃しているコスモタイガー隊を戦闘宙域から離脱させた。

 

「敵戦艦より、プロトンミサイル接近!!」

 

「迎撃しろ!!」

 

第八打撃艦隊の方でもグスタフ艦から放たれたプロトンミサイルを認知しており、プロトンミサイルを破壊しようとプロトンミサイルへ砲撃をするが、元々プロトンミサイルはかなり分厚い装甲で造られており、ボラー連邦の宇宙艦船の砲撃ではビクともしない。

 

「今だ!!プロトンミサイルを起爆させろ!!」

 

「了解!!」

 

グスタフはタイミングを見計らいプロトンミサイルを第八打撃艦隊の中心で起爆させる。

 

「ぜ、全艦、回頭!!回避~!!」

 

ハーキンスは回避命令を下すがその命令は少々遅かった。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁー!!」

 

ズガーン!!

 

プロトンミサイルはバイオン号を含め、第八打撃艦隊の艦船を巻き込み眩い光と共に爆発した。

 

「ふぅ~‥‥あんな爆発に巻き込まれたらコスモタイガーじゃああっという間にお陀仏だぜ‥‥」

 

プロトンミサイルの爆発に巻き込まれた第八打撃艦隊の艦船を見ながら加藤は呟いた。

 

「ん?」

 

そして、アステロイドの向こう側に此方に接近して来る大艦隊の姿を見つける。

 

「こちら加藤。前方六十度方向、距離2000宇宙キロにボラー連邦の主力艦隊を発見!!」

 

「おいでなすったか‥‥副長、パネルにまわしてくれ」

 

「了解」

 

ヤマト、まほろば、そしてグスタフ艦隊の一同はパネルに映るボラー連邦の主力艦隊を様々な思いで見つめる。

 

パネル越しではあるが、先ほど戦った第八打撃艦隊の倍以上の数が確認できる。

 

「ワープをしてあの敵艦隊振り切れませんかね?」

 

第八打撃艦隊を破ったすぐ後で、それ以上の数の艦船と第二ラウンド‥‥

 

冥王星基地のガミラス軍や彗星帝国本土と戦った時とは異なる絶望感が込み上げる。

 

永倉が此処はワープをして相手を振り切れないか提案する。

 

「いや、此方のパネルで既に捕捉している様に相手も此方を既に捕捉しているだろう‥‥此処でワープをしても航跡をトレースされてワープアウト後の空間に相手もワープアウトしてくるだろう‥‥」

 

「‥‥」

 

「暗黒星団帝国のワープ技術には航跡を消す機能もあったが、残念ながら我々のワープ機関には航跡を消す機能はまだ開発されていない」

 

「では、ガルマン・ガミラスの方はどうでしょう?連続ワープ機関はガミラスからの技術提供でしたし、グスタフ艦隊の艦船ならば、ワープの航跡を消す機能を有しているかもしれません」

 

新見がグスタフ艦隊の艦船ならばワープの航跡を消す機能を有しているかもしれないので、グスタフに訊ねてみてはどうかと提案する。

 

もし、グスタフ艦隊の艦船にワープの航跡を消す機能があれば、同調ワープをしてボラー連邦の主力艦隊を振り切れるかもしれない。

 

「そうだな‥‥通信長、グスタフ司令にもう一度通信を繋いでくれ」

 

「はい」

 

ギンガはグスタフ座上の艦に通信を入れる。

 

「グスタフ司令。司令も眼前のボラー連邦の艦隊の存在は既に捕捉していると思いますが、戦端を開く前にお聞きしたいことがあります」

 

「何かな?月村艦長」

 

「グスタフ司令、麾下の艦船にはワープの航跡を消す機能は有していますか?」

 

「残念だが、本艦を含めワープの航跡を消す機能は有していない。デスラー総統の旗艦や親衛隊の艦船ならばあったかもしれないが‥‥」

 

「そうですか‥‥」

 

グスタフ艦隊の艦船にはワープの航跡を消す機能は有していなかった。

 

その為、ワープでボラー連邦の主力艦隊を振り切るのは無理みたいだ。

 

「それよりも月村艦長、どうする?今度の主力艦隊は先ほど倒した前衛艦隊よりも数は倍以上だぞ。勝算はあるのか?」

 

「‥‥分かりません。でも、物事は何事もやってみないと分かりませんから」

 

「貴官という男は‥‥」

 

良馬の返答にグスタフはやや呆れていた。

 

「艦長、ヤマトがボラー連邦主力艦隊へ通信を送っています」

 

そんな中、古代はボラー連邦主力艦隊の司令官であるバルコムの下へ通信を送った。

 

 

ボラー連邦第一主力艦隊 旗艦 アーバル

 

「バルコム提督。宇宙戦艦ヤマトの艦長より、通信が入っております」

 

「よし、繋げ」

 

通信士が古代からの通信を繋ぐと艦橋のパネルに古代の姿が映し出される。

 

「宇宙戦艦ヤマト、艦長の古代進」

 

「第一主力艦隊司令のバルコムだ。我が軍の前衛艦隊をガルマン・ガミラスの手を借りて倒したみたいだが、その少ない戦力でまだ我々と砲火を交えるつもりか?」

 

戦友である筈のハーキンスや大勢の同胞が散ったにも関わらず、バルコムは悲しむ様子もヤマト、まほろば、グスタフ艦隊に対して怒りのような感情も無く、バルコムは余裕な態度だ。

 

彼としては、将来自分の地位を脅かしかねないハーキンスが死にさらに相手は自分が率いる戦力で十分に叩き潰せる相手であることから、この任務に成功すれば昇進も出来る絶好のチャンス故の余裕だった。

 

「‥‥要件を聞こう」

 

緊張した面持ちでバルコムの目的を問う古代。

 

最も、彼が何を欲しているのは大体予想が出来る。

 

「ハハハ‥‥随分と気が強いではないか。我が艦隊は前衛艦隊の五倍の戦力があるのだぞ?最後まで言わせるな‥‥ルダ王女を引き渡すのだよ」

 

「くどい、いかなる要求もNOだ!!」

 

「もうよい!!通信を切れ!!」

 

先程の余裕とは打って変わって古代からあっさりと要求を拒否されたバルコムは怒気を含む声で古代との通信を一方的に切り、

 

「全艦、十秒以内に総攻撃を開始せよ!!」

 

バルコムが下した総攻撃の命令一下、主力艦隊の前衛部隊は主砲の照準をまほろば、ヤマト、グスタフ艦隊へと向ける。

 

「古代艦長、まほろばはこれより拡散波動砲の発射準備を行います。十分で良いので、何とか時間を稼げますか?」

 

良馬は古代に拡散波動砲を撃つので、エネルギー充填中の時間稼ぎを頼む。

 

「拡散波動砲を!?しかし、いくら拡散波動砲でもあの数の敵を全て殲滅することはできないのでは?」

 

収束波動砲ではなく、拡散波動砲は確かに対艦隊戦では強力な武器だ。

 

しかし、距離と数の問題からいくら拡散波動砲でもあの大艦隊全てを殲滅するのは無理があるのではないかと古代は思い、良馬に訊ねる。

 

「敵全てを殲滅する必要はない。ある程度の数を減らせれば多少なりこちらにも勝機はある筈だ」

 

これまでのボラー連邦の戦闘からボラー連邦は波動砲の類を持つ戦艦はおらず、また火炎直撃砲の様なワープで弾丸を打ち込んで来る特殊艦艇も存在していない。

 

ならば、波動砲の威力を見せつける事により数を減らすのは勿論の事、例え全てを殲滅できなくとも残った相手に対して心理的ダメージを与える事も可能なのではないだろうか?

 

「分かりました。コスモタイガー隊と共に何とかしてみます」

 

「よろしく頼む」

 

コスモタイガー隊はまほろばの拡散波動砲発射までの時間を稼ぐために高速推進ポッドを点火して、急速に敵艦隊へ近接戦闘をする。

 

しかし、第八打撃艦隊との戦闘を終えたばかりでコスモタイガー隊でも強化対艦ミサイルの数も減っており、逆に敵は第八打撃艦隊よりも多い為、対空砲も濃密であり、被弾して撃墜されるコスモタイガーもちらほらと出始める。

 

そして、第一主力艦隊はその数の多さを活用してコスモタイガー隊の戦闘網を突っ切ってヤマト、グスタフ艦隊へと砲火を向ける。

 

「凄い砲撃だ‥‥」

 

「まだか‥‥まだ、まほろばの波動砲は準備が整わないか‥‥」

 

ヤマトやコスモタイガー隊としてはこの波動砲のエネルギーを貯める十分の時間がとてつもなく長く感じとれた。

 

グスタフもただ黙っている訳ではなく、残存艦を纏めヤマト、コスモタイガー隊と共にボラーの主力艦隊へ攻撃をする。

 

デスラーから言われた『ヤマトを守れ』と言う命令は相手が第八打撃艦隊から第一主力艦隊へ変更されてもデスラーからの命令は有効だ。

 

「残存艦は集結、こちらも密集隊形をとり、ボラーの主力艦隊に向けて集中砲火!!」

 

既に第八打撃艦隊との戦闘でグスタフ艦隊の総数は半数以下になっていたが、グスタフ艦隊は怯むことなくボラーの第一主力艦隊へ砲撃を行う。

 

「波動砲の準備完了!!射線軸から退避を!!」

 

「全艦、全機、波動砲の射線軸から退避!!」

 

まほろばからヤマト、コスモタイガー隊、グスタフ艦隊へ退避勧告が送られると各々は急いで射線軸から退避行動をとる。

 

「拡散波動砲、発射!!」

 

まほろばから拡散波動砲が放たれ周辺の岩塊と共にボラー連邦の第一主力艦隊の艦艇を飲み込んで行く。

 

しかし、良馬や古代の予想通り、ボラー連邦の第一主力艦隊全てを殲滅する事は出来なかったが、一斉射で第一主力艦隊の三分のニを葬ることが出来た。

 

 

ボラー連邦 第一主力艦隊 旗艦 アーバル 艦橋

 

「な、なんだ!?あの兵器は!?」

 

バルコムのアーバルは後方に居たので、拡散波動砲に巻き込まれることは無かったが、あれだけの艦船が一瞬のうちに消滅した事でバルコムが動揺するのも無理は無かった。

 

「わ、我がボラー連邦が誇る主力艦隊が一撃で‥‥」

 

「て、提督、いかがなさいますか?」

 

副官がバルコムに指示を仰ぐ。

 

撤退か?それとも徹底抗戦か?

 

最もこれだけの被害を出しておめおめと本星に帰れる筈がない。

 

戻れば敵前逃亡罪で粛清されるのは目に見えている。

 

「狼狽えるな!!戦力ではまだ我々の方が上だ!!こうなれば総力戦だ!!全艦砲門開け!!突撃だ!!」

 

バルコムが取った選択肢は一つしかなかった。

 

 

「敵艦隊、急速接近!!」

 

「焦りだしたか?」

 

あれだけの被害を出したにもかかわらず、ボラー艦隊は撤退せずに向かってくる。

 

ガミラス戦役や彗星帝国との戦いでも防衛軍の撤退は地球人類の絶滅に繋がる事態であったが、ボラー連邦の場合は一度の戦で撤退したところでボラー連邦の存亡に繋がるとは思えない。

 

ルダの身柄確保または抹殺を何としてでも行わなければならないのか?

 

それとも撤退すれば『死』に繋がるような国家体制なのだろうか?

 

「古代艦長、此処は波動カートリッジ弾で一気に殲滅しよう!!」

 

「ええ!!敵の数も減り、向こうから向かってくるこの機会は絶好のチャンスですね。島、頼むぞ!!」

 

「ああ、任せろ!!」

 

「航海長、こちらも頼むぞ」

 

「了解。ヤマトに遅れは取りませんよ」

 

島、永倉、両艦の航海長は操艦桿をギュッと力強く握る。

 

ヤマト、まほろばは反転また反転とボラー連邦主力艦隊の攻撃を躱しつつ、こちらからも接近し、波動カートリッジ弾と波動爆雷の必中距離まで距離を詰めると、波動カートリッジ弾と波動爆雷がボラー連邦主力艦隊へと襲い掛かった。

 

命中したボラー艦は船体がグニャグニャに捻じ曲げられ、変形し、眩い閃光と共に切り裂かれ、宇宙空間から消滅していく。

 

波動カートリッジ弾の威力は波動砲と比べると1000分の1だが、それでも一つ一つの艦には凄まじい効果を発揮する。

 

「直撃、来ます!!」

 

「か、回避~!!」

 

「だ、ダメです!!回避、間に合いません!!」

 

「そ、そんな‥‥」

 

次々と殲滅されていくボラー艦の中にはバルコムが乗艦するアーバルも含まれていた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁー!!」

 

アーバルは波動カートリッジ弾の一撃を受け粉々に吹き飛ぶ。

 

「よし、とどめだ!!敵艦隊下部へ潜り込み、煙突ミサイル発射!!」

 

ヤマト、まほろばは逃げ腰になっているボラー主力艦隊の残存艦に対して煙突ミサイルと波動爆雷をぶつける。

 

スカラゲック海峡星団が、ボラー連邦第一、第二主力艦隊の終焉の地となった。

 

「か、勝った‥のか?」

 

「ぼ、ボラーの主力艦隊‥ぜ、全滅です」

 

グスタフ艦の艦橋でオペレーターがボラーの主力艦隊が全滅した事を報告する。

 

「こ、これが地球の戦艦の力なのか‥‥」

 

一武人としてヤマトとは戦ってみたいと言う思いがあったが、こうしてその力を間近で見て、今グスタフはヤマトと敵対しなくて良かったと思った。

 

「通信士」

 

「はっ!!」

 

「総統閣下に通信を‥‥」

 

「了解」

 

通信士はデスラーが乗艦しているガルマン・ガミラス総旗艦、ノイ・デススーラ二世に通信を送る。

 

「グスタフ、どうした?」

 

「はっ、ボラーの前衛艦隊並びに主力艦隊はヤマト、まほろば、そして我が艦隊が何とか殲滅することが出来ました」

 

「ほう‥それは何よりだ。ベムラーゼも今頃はさぞかし悔しがっている事だろう」

 

「はい。ですが、我が艦隊は当艦を含め、大きな損害を受けました」

 

「やむを得ない。君が指揮をする艦隊とボラーの前衛艦隊、主力艦隊との数があまりにも違い過ぎた。しかし、君たちは良く戦い、その職務を全うしてくれた」

 

「ありがとうございます。ですが、被害状況を鑑みて、残念ながらこれ以上のヤマト護衛の任は‥‥」

 

「分かっている。ボラーの主力艦隊を殲滅し、ヤマトを守ったのだ。これ以上君たちに無理強いは出来ぬ。直ぐに近くの基地へと向かい補修と補給を受けるといい」

 

「はっ!!」

 

グスタフ艦隊はこれ以上のヤマト護衛は不可能だと判断したデスラーはその任を解いた。

 

続いてグスタフは古代と良馬に通信を送る。

 

「古代艦長、月村艦長」

 

「グスタフ司令」

 

「いかがされました?」

 

(まさか、ボラー艦隊を殲滅したから、次は我々の番だ‥‥とか言わないよな?)

 

ボラー艦隊は襲撃する前はグスタフ艦隊と砲火を交えるつもりだったので、共通のボラー艦隊が居なくなったことで、次は自分たちがルダの身柄をかけて砲火を交えるつもりなのかと警戒してしまう。

 

「我が艦隊は著しくダメージを受け、これ以上の同行は不可能だ」

 

「ルダ王女の件ついては?」

 

「確かにルダ王女の件について、私は身柄を要求する任務を受けていたが、これ以上砲火を交え、部下を殺す訳にはいかない。ただ、デスラー総統はルダ王女の事は諦めていはいない。古代艦長、月村艦長。ルダ王女の件について総統とは砲火ではなく対話によって解決してもらいたい」

 

「分かりました。デスラーは私にとっても友人でありますから‥その友情を出来れば破るようなことはしたくはありませんから」

 

「では、古代艦長、月村艦長。さらばだ」

 

グスタフとの通信が切れるとグスタフ艦隊は反転して近くの基地がある星へと向かって行った。

 

「古代艦長」

 

「はい」

 

「この後はどうする?」

 

良馬は古代に今後の方針を訊ねる。

 

良馬としては地球へ帰還して、地球人類・動植物をケンタウロス座アルファ星への避難任務に従事する為に地球へ向かうのかと思っていた。

 

「‥‥月村艦長。私自身もこの後どうすればいいのか分からないんです」

 

「‥‥」

 

「ヤマトが探査すべき星は全て探査して人類は住めないと分かりました。しかし、まだ時間が残されていない訳ではありません。ですが、どこを探査すればよいのか‥‥」

 

「アメリカの探査船団の全滅が確認されたので、アメリカの探査船団が探査する宙域を我々が代行して探査をするか‥‥地球へ帰還してケンタウロス座アルファ星への避難任務に従事するか‥‥」

 

良馬は自身が予測したケンタウロス座アルファ星への避難任務を含め、アメリカの探査船団が探査する宙域の探査をするかを提案する。

 

「‥‥」

 

地球には時間が残されていないが、まだゼロではない。

 

古代は良馬があげた二つの提案の内、どちらかを採用するか?

 

その判断をしている時、

 

「艦長」

 

ヤマトの第一艦橋にルダと共に揚羽がやって来た。

 

そして揚羽は古代に驚くべき提案をしてきた‥‥

 

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