シャルバート星にて太陽の核融合を制御することが出来るハイドロコスモジェン砲を受け取ったヤマトは急ぎ太陽系へと向かい、破滅寸前の地球を救うために太陽にハイドロコスモジェン砲の砲口を向けた。
その時、ボラー連邦の艦隊が突如ワープアウトと同時にヤマトとまほろばへ攻撃を仕掛けて来た。
襲撃してきたボラー艦隊の迎撃と太陽制御の要であるハイドロコスモジェン砲が破損しないようにするため、ヤマトはハイドロコスモジェン砲を一時格納して、まほろばと共にボラー艦隊の迎撃にあたる。
なおも攻撃を仕掛けて来るボラー艦隊の後方にはボラー連邦の首相であるベムラーゼ自らが指揮する機動要塞、ゼスパーゼが出現すると、ゼスパーゼの主砲でもあり、切り札とも言えるブラックホール砲を斉射してきた。
ブラックホール砲から生成されたブラックホールに落ちまいと必死に脱出を試みるヤマトとまほろば。
そんな二隻の戦艦に対してボラー艦隊はブラックホールへ落とさんと言わんばかりに攻撃を仕掛けてくる。
太陽の核融合異常増進で破滅寸前の地球、ブラックホールへと追いやられるヤマトとまほろば‥‥
地球人類はまさに二重の危機を迎えていた。
「推進力が上がらない‥‥このままでは‥‥ブラックホールに‥‥」
「か、艦長!!」
「なんだ!?」
「約百隻の艦隊が出現しました!!」
「まさか、ボラーの援軍か!?」
金星軌道の戦闘宙域に突如、百隻程の艦隊が出撃した事でヤマト、まほろばの一同は更なる緊張感と絶望感を覚える。
もし、これがボラー艦隊の第二陣だった場合、ボラー艦隊の攻撃は更に苛烈となる。
ブラックホールに吸い込まれそうになっているこの状況下では回避行動など取れる訳も無く、また機関部に被弾でもしたらあっという間に推進力を失いブラックホールに吸い込まれてしまう。
ボラー艦隊の攻撃が今よりも苛烈になれば機関部への被弾の確率はぐんと上がる。
(地球人類も‥‥我々もこれまでか‥‥)
ヤマトとまほろばの一同が絶望しかけたが‥‥
「全艦、デスラー砲発射。目標ボラー艦隊」
ボラー艦隊の第二陣と思われた艦隊はデスラーが率いるガルマン・ガミラス艦隊であり、デスラーはデスラー砲を搭載しているフォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦へデスラー砲の一斉射撃を命じる。
多数のデスラー砲を受けたボラー艦隊は一気に壊滅状態へと陥る。
ボラー艦隊はヤマト、まほろばへ攻撃を集中し、デスラー艦隊は先ほど自分たちが行ったようにワープアウトと同時にデスラー砲を放って来たので、ボラー艦隊の多くがデスラー艦隊に対して対処出来なかった。
デスラー艦隊の出現の他にヤマト、まほろばにとっての転機はまだあった。
「あっ、推力が戻り始めました!!」
ヤマト、まほろばの後方にあったブラックホールが次第に縮小していったのだ。
「そうか、あのブラックホール砲で生成されたブラックホールには時間制限があったのか!?」
「じゃあ、あのブラックホールは‥‥」
「ああ、間もなく消滅する」
ゼスパーゼのブラックホール砲は確かに強力であるが、生成したブラックホールには時間制限と言う大きな弱点があった。
しかし、これはブラックホール砲を乱射した場合、友軍艦艇やゼスパーゼ自体もブラックホールに落ちてしまう危険性があった事から開発者が生成したブラックホールに時間制限を設けたのだろう。
やがて、ブラックホールは消滅してヤマト、まほろばは窮地を脱することが出来た。
「デスラー‥‥」
ヤマトの第一艦橋にあるパネルにはデスラーの姿が映し出される。
「古代、あの要塞には我々ガルマン・ガミラスの宿敵、ボラー連邦首相のベムラーゼが居る。戦闘は我々に任せろ。ヤマトは早く太陽を制御して地球を救うのだ」
「デスラー‥‥ありがとう」
「では、再会は勝利の後で‥‥」
そう言ってデスラーは通信を切った。
「先に地球とヤマト、まほろばを撃滅しデスラーを悔しがらせてやろうかと思ったが、まんまとやって来おったわ‥‥フフフ‥此処で地球もろともブラックホールの餌食にしてやる」
ヤマト、まほろばの援軍としてやってきたデスラー艦隊を見ながらベムラーゼは不敵な笑みを浮かべた。
「首相、ヤマトは太陽へと向かっているようです」
「ふむ、彼奴等が何をしようとしているのかは分からぬが、このまま手を拱いて彼奴等の思い通りになるのも癪だ。ゼスパーゼに搭載されている艦載機全てを出撃させろ」
「はっ!!艦載機隊全機出撃!!」
ゼスパーゼにある全ての艦載機射出口からは次々と艦載機が出撃していく。
デスラー砲の一斉射を受け、艦隊戦力に大ダメージを受けるが、そのハンデさえもベムラーゼはゼスパーゼの力があればデスラー艦隊、ヤマト、まほろばを殲滅することが出来る自信があった。
「敵機動要塞より艦載機の射出を確認!!物凄い数です!!」
「コスモタイガー隊発進!!」
敵艦載機の迎撃の為、ヤマト、まほろばからはコスモタイガー隊が出撃する。
ブラックホールも消滅し、ゼスパーゼはヤマト、まほろばに対してブラックホール砲を斉射してこなかった事からコスモタイガー隊は無事に発進することが出来た。
「通信長、デスラー艦隊の旗艦‥デスラー総統へ通信をいれてくれ」
「は、はい」
コスモタイガー隊を出撃させた後、良馬はデスラーへ通信を入れる。
「デスラー総統」
「月村か?なんだ?」
「敵の要塞はブラックホールを生成する特殊な砲台を装備しています」
「ブラックホールを生成する砲台だと?」
「はい。生成されたブラックホールは時間制限があり、しばらくすれば消滅しますが、その吸引力はヤマト、まほろばでもギリギリでした。故に推進力が弱い艦や損傷した艦はブラックホールの餌食になってしまいますので、敵がブラックホール砲を撃つ前に退避を促してください」
「ふむ‥ブラックホールか‥‥やむを得ないな‥‥」
戦力の低下はデスラーとしては不本意ではあるが、ゼスパーゼが搭載するブラックホール砲の餌食になってしまえば同じ事であり、艦船そして国民にいらぬ犠牲者を出してしまう事になる。
デスラーはフォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦以外の艦をワープで戦線から離脱させた。
「タラン、デスラー砲第二斉射。目標、ベムラーゼ首相、機動要塞」
「全艦デスラー砲第二斉射!!目標、ベムラーゼ首相旗艦!!」
フォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦からはゼスパーゼに向けてデスラー砲を放つ。
しかし、ボラー艦隊は殲滅することが出来たフォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦のデスラー砲であったが、ゼスパーゼの表面装甲は多数のデスラー砲の直撃に耐えきった。
「アハハハハハ!!」
デスラー砲を耐えきった事にベムラーゼは機嫌よく高笑いをする。
「デスラーに通信を繋げ」
「はっ!!」
そしてベムラーゼはデスラーへと通信を送る。
「デスラー君。ようこそ、見えられた。我々は地球の戦艦どもなど、どうでも良かったのだ。貴方をおびき出すのが目的だった。罠にはまったな、デスラー君」
ベムラーゼは不敵な笑みを浮かべてデスラーを挑発する。
「大将同士の決闘にご招待とは光栄だ。念のため聞いておきたい‥‥貴方のお葬式は何宗で出せば良いのかな?ベムラーゼ君」
「葬式を出してやるのはこっちだ!!ブラックホール砲発射!!」
デスラーのこの一言にカチンと来たベムラーゼはデスラー艦隊に向けてブラックホール砲を放つ。
「来たな。アレが例のブラックホールを生成する特殊砲か‥‥全艦散開せよ!!」
良馬から事前にゼスパーゼのブラックホール砲について聞いたデスラーはブラックホールが生成される前に密集隊形から艦隊を散開させた。
これによってブラックホールへ吸い込まれる被害を少しでも防ごうとしたのだ。
ヤマト、まほろばよりも巨大なノイ・デウスーラ二世は当然推進力もヤマト、まほろばよりも優れていた。
しかし、そのノイ・デウスーラ二世をもってしてもブラックホール砲から生成されるブラックホールからの吸引力は凄まじく、またヤマト、まほろばの時は一つであったが、ベムラーゼはデスラーを確実に殺そうと、ノイ・デウスーラ二世の周辺にいくつものブラックホール砲を打ち出した。
「推進力低下!!」
「機関最大出力だ!!」
「このノイ・デウスーラ二世をもってしてもこの現状‥‥他の艦ではブラックホールに吸い込まれていたな‥‥」
「はっ、しかし、これ以上周辺にブラックホールが生成されれば、強力な推進力を誇る本艦でも危険です」
艦隊が既に壊滅状態となっていた事からベムラーゼはブラックホール砲の連射でデスラーを仕留めようとしていたがギリギリでノイ・デウスーラ二世はブラックホールへは落ちていなかったが、これ以上周辺にブラックホールを生成されてしまえばいくら強力な推進力を持つノイ・デウスーラ二世でもブラックホールへ吸い込まれてしまう。
デスラーが必死に打開策を考えている中でベムラーゼは‥‥
「ハハハハハ‥‥無様だな、デスラー」
ブラックホールに吸い込まれまいと必死にスラスターを吹かしているノイ・デウスーラ二世の様子を悦に浸りながら高笑いをしていた。
「楽には殺さんぞ。じわじわと苦しめ、恐怖を与えた後でブラックホールの餌食にしてやる」
ベムラーゼはブラックホール砲をノイ・デウスーラ二世の周辺に連続して斉射しなかったのはデスラーをじわじわと苦しめて、恐怖を与えた後にブラックホールへ落としてやると意気込んだ。
ブラックホール砲が生成したブラックホールに時間制限があるのは当然運用しているベムラーゼも理解している。
なので、ブラックホールが消滅すれば再びブラックホールを打ち込む。
「ベムラーゼの奴め、調子に乗りおって‥‥」
ベムラーゼの真綿で首を締めるような行為にデスラーは怒りを募らせる。
デスラーがヤマト、まほろばと同様、ブラックホールの対処に苦戦している中、ヤマトは太陽に向かいハイドロコスモジェン砲を打ち込もうとしていた。
そんなヤマトに対してボラーの艦載機隊は襲い掛かるが、コスモタイガー隊が迎撃に回るが、大型の要塞に搭載されているだけあってボラーの艦載機数は一個機動部隊かそれを若干上回る機数であった。
ボラー艦載機の迎撃にあたっていたヤマト、まほろばのコスモタイガー隊であるが敵機の数に苦戦を強いられていた。
そんな中、山本玲の背後から三機の敵機が迫る。
「くっ、しつこい!!」
玲はスピードを上げ、スラスターを吹かして機体を捻って敵の攻撃を回避して、敵機を振り切ろうとするが、相手のパイロットたちもそれなりの腕なのか、玲の背後にぴったりとついて離れない。
今は何とか敵の攻撃を上手く躱しているが、このままではいつ撃墜されてもおかしくはない。
そんな中、玲の背後から迫る敵機の上方からパルスレーザーの雨が降り注ぎ、玲の背後をとっていた敵機が撃墜される。
玲は味方のコスモタイガーが撃墜したのかと思ったが、敵機を撃墜したのはコスモタイガーではなく、赤く塗装されたツヴァルケだった。
赤いツヴァルケ以外にも緑色のツヴァルケが複数、コスモタイガー隊の援軍としてボラー艦載機との戦闘を始める。
「ツヴァルケ!?」
「一体何処から!?」
デスラー艦隊はシャルバート星へ来た時同様、空母を有していなかった。
フォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦は艦載機を有していない。
ツヴァルケ以外にも突如、ゼーアドラーIIIがワープアウトしてツヴァルケ同様、ボラー艦載機と戦闘を始めた。
艦載機にワープ機能なんて有していない。
ならば、このツヴァルケとゼーアドラーIIIが何処から来たのか?
その答えは地球側の金星沖にあった。
「ツヴァルケ隊、第二陣。ワープ光線のエリアに入りました」
「照射」
地球側の金星沖には月基地から発進したジュラが座乗するガミラシアが搭載していた艦載機で、第一陣で戦闘宙域にワープアウトしてきたのはメルダ率いるツヴァルケ隊で、ゼーアドラーIIIの方は‥‥
「瞬間物質移送機、連続発射」
「はっ!!」
ジュラが地球へ来た際、ガミラシアの護衛として随行していた第十七空母艦隊所属の二連三段空母もガミラシアに同行しており、二連三段空母の発艦甲板に埋め込まれていた瞬間物質転送機から転送された艦載機隊であった。
コスモタイガー、ツヴァルケ、ゼーアドラーIIIからなる地球・ガルマン・ガミラスの連合航空隊でボラーの艦載機隊と十分にやり合える展開となった。
「ガルマン・ガミラスの航空隊です!!」
「一体何処から来たんだ!?」
「多分、ジュラさんだ」
「ジュラって言うとデスラーの娘で、ガルマン・ガミラスからの特使ですよね?」
「ああ。地球が滅びそうにもかかわらず、ギリギリまで地球圏に居たんだ‥‥この機を逃すな!!ボラーの連中にヤマトの太陽制御作業の妨害はさせるな!!何としてでも食い止めるんだ!!」
『了解!!』
ヤマトは太陽制御のため、太陽へと向かいデスラーはブラックホールの対処に戸惑っている中、まほろばは対空戦闘を行いながらフォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦と共にボラー艦隊の残存艦の対処をしていた。
デスラー砲の一斉射撃で艦隊が壊滅状態とは言え、全滅したわけではなくヤマトへ再び襲い掛かり、太陽制御の邪魔をされては困る。
「デスラー艦、ブラックホールに捕まってしまったようです!!」
「牽引ビームで助けたいが下手に近づくとこちらまでブラックホールに吸い込まれてしまう‥‥」
ノイ・デウスーラ二世の周辺にあるブラックホールを懸念して近づけない中、ボラーの残存艦隊はヤマト、まほろばにしたようにノイ・デウスーラ二世を攻撃してブラックホールへと追いやろうとしている。
フォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦の乗員たちも自分たちの国家元首であるデスラーを救助したい気持ちで一杯なのだが、やはりブラックホールのせいで近づけない。
「ボラー艦隊の残存艦、デスラー艦へ接近!!」
「あいつら、デスラー艦をブラックホールへと追いやるつもりか‥‥ガルマン・ガミラス艦隊と共にボラー艦隊の残存艦を殲滅する」
(ブラックホール砲も厄介だが、あのブドウ要塞は多数のデスラー砲を喰らっても無傷だった‥‥つまり、防御面に関してもかなり堅い)
(暗黒星団帝国のゴルバは波動エネルギーとの融合反応で倒す事が出来たが、あのブドウ要塞にもソレが通じるだろうか‥‥?)
(しかし、波動カートリッジ弾を使うにしてもあの要塞に接近しなければならない)
波動カートリッジ弾は波動砲と異なり、実弾なので射程距離が短い。
仮にゴルバ同様、波動カートリッジ弾がゼスパーゼに有効であっても使用するにはゼスパーゼに接近しなければならないが、当然接近すればゼスパーゼは後退し距離をとりながらあのブラックホール砲を撃ってくるだろう。
下手にゼスパーゼに接近すれば自らブラックホールへ突っ込んでしまう結果になりかねない。
良馬は、ひとまずゼスパーゼの対処は後にしてまずは、ボラー艦隊の残存艦隊と艦載機の対処に集中することにした。
金星宙域にて、大規模な戦闘が行われている中、ヤマトはハイドロコスモジェン砲を太陽に撃つため再び発射準備を行う。
しかし、此処で大きな問題が生じた。
太陽制御を行うためのハイドロコスモジェン砲が出てこない。
「土門、どうした?ハイドロコスモジェン砲が出てこないぞ!?」
土門は必死に操作盤を弄るが一向にハイドロコスモジェン砲は出てこない。
ボラー艦隊が出現する前は確かに出て来たはずなのに格納ドームのハッチが開かない。
「艦長、格納ドームが開口しません!!」
「なに!?」
「ボラーの攻撃を受けてどこか回路が破損したのかもしれません。調べてきます」
土門は第一艦橋からエレベーターへと走っていく。
「土門、今は危険だ!!戻れ!!」
航空隊、まほろば、デスラー艦隊が奮戦しているとは言え、外ではまだ戦闘が続いている。
そんな状況下で甲板へ出るのはあまりにも危険だ。
古代は土門を呼び止めるが彼はエレベーターに乗り第一艦橋を降りてしまう。
甲板に降りた土門はハイドロコスモジェン砲が格納されている艦首の格納ドームへと急ぐが、航空隊の防空網を突破した一機のボラー艦載機が甲板を走っている土門を見つけると、機銃斉射をしてきた。
「古代君!!土門君が危ない!!」
「なに!?」
艦首部では土門がボラー艦載機からの機銃斉射を何とか躱している光景があった。
「土門!?」
ボラー艦載機と戦闘をしていた揚羽がその様子に気づき急ぎヤマトの艦首へと向かう。
揚羽は土門を狙っているボラー艦載機を攻撃しようとするが、土門とボラー艦載機の位置関係から、パルスレーザーを斉射した時、土門に当たってしまう懸念があった。
揚羽が攻撃を戸惑っていると、ボラー艦載機の機銃が土門の背中に命中する。
土門を殺したと判断したボラー艦載機はヤマトから離れるが、揚羽は当然それを許す筈もなく、
「くそっ!?土門の仇だ!!」
揚羽は逃げようとしたボラー艦載機を撃ち落した。
そして、土門の様子をコックピットか窺うと、土門はかろうじて生きており、必死に這い起きてハイドロコスモジェン砲が格納されているドームに取り付く土門の姿があった。
次いで揚羽はゼスパーゼを睨みつける。
「このままでは勝ち目がない!!あのブラックホール砲を破壊しなければ‥‥」
今はノイ・デウスーラ二世を狙っているブラックホール砲であるが、ノイ・デウスーラ二世がブラックホールへ吸い込まれたら、ゼスパーゼは再びヤマト、まほろばへブラックホールを差し向けてくるだろう。
揚羽は機首をゼスパーゼに向け、そのまま突進していく。
「揚羽!!戻れ!!揚羽!!」
揚羽の行動を見て、山本は揚羽機に通信を送り、戻る様に命じるが、揚羽は止まることなくゼスパーゼに接近していく。
「宇宙の平和の為にお前は存在してはならない!!」
揚羽は鬼気迫る表情でゼスパーゼのブラックホール砲を目指す。
「敵機一機、急速接近!!」
「対空戦闘はじめ!!」
「ゼスパーゼに近づく前に撃ち落せ!!」
揚羽機の接近を察知したゼスパーゼは対空砲で撃墜しようとパルスレーザーを撃ってくるが、それを縫って揚羽機はなおもゼスパーゼへと接近する。
「何故、撃ち落せない!?もっと弾幕を張れ!!」
揚羽の眼前ではそれらの対空砲火がまるで花火の様に散り始める。
一方で揚羽機をなかなか撃ち落せない事にベムラーゼは怒気を荒げる。
「ルダ‥‥このままでは貴女から頂いたハイドロコスモジェン砲で太陽を制御することが出来ません。ルダ‥‥ルダ‥‥」
揚羽は祈るようにルダの名を何度も口にする。
すると、ゼスパーゼに重なってルダの姿が現れる。
それはまるで自分をブラックホール砲へ導いているように見えた。
「ルダ‥‥ルダーっ!!」
揚羽機はそのままゼスパーゼのブラックホール砲の砲口内部へ突っ込んだ。
ブラックホール砲は揚羽機が搭載していたミサイルとブラックホールを生成するエネルギーの融合で爆発し、爆炎の大輪を咲かせる。
「敵機がブラックホール砲に激突!!」
「ブラックホール砲使用不能!!」
「なんだと!?すぐに修理しろ!!」
「はっ!!」
揚羽機の特攻によりブラックホール砲は砲内部で大きな損傷が出来、使用不能となる。
その事実にベムラーゼは慌てふためき、ブラックホール砲の修理を命じる。
「揚羽‥‥揚羽!!」
揚羽の特攻を目撃した山本は揚羽の名を絶叫する。
もしかしたら、かつて彗星帝国との戦いの最中で、自らも行ったようにベイルアウトして宇宙を漂流しているのかと思ったが、揚羽はベイルアウトせず最後までコックピット内に留まり、コスモタイガー自体を一つの有人ミサイルとしてブラックホール砲まで導いていた。
「艦長、味方のコスモタイガーがブラックホール砲に‥‥」
「‥‥」
「敵のブラックホール砲、完全に沈黙‥‥」
「デスラー艦周辺のブラックホールも消滅し始めています」
「‥ガルマン艦と共に牽引ビームでデスラー艦を救出する」
良馬はグッと握り拳を固めながらデスラー艦を牽引ビームで救助する。
まほろばとフォルヴァルツ級一等航宙巡洋戦艦の牽引ビームによってブラックホールから引力圏から脱出したデスラーはハイパーデスラー砲の発射準備を行う。
「見たかタラン‥‥地球の少年が命をかけて咲かせた美しい華を‥‥」
「はい」
デスラーの問いに神妙な表情で頷くタラン。
「あの華を‥‥あの華を無駄に散らせるわけにはいかない‥‥ハイパーデスラー砲‥発射!!」
ノイ・デウスーラ二世から発射されたハイパーデスラー砲は破損したブラックホール砲が搭載されている区画に命中。
ハイパーデスラー砲が命中し、内部から誘爆が広がりゼスパーゼは大爆発をする。
「こ、こんな‥こんなバカなぁぁぁぁぁー!!」
ベムラーゼはハイパーデスラー砲が命中する直前、指令室の椅子から立ち上がりその場から逃げ出そうとするが当然間に合う訳も無くゼスパーゼと運命を共にした。
「敵要塞‥消滅」
「分かった‥‥コスモタイガー隊に敵の掃討を下令」
「了解」
まだ残っているボラーの残敵を掃討する中、ヤマトの艦首では瀕死の土門が故障個所を見つけ、修理をしていた。
「ここだ‥‥ここが断線していたのか‥‥」
断線していたコードを繋ぎとめるとハイドロコスモジェン砲が格納されているドームがゆっくりと開口し始めた。
ハイドロコスモジェン砲が出てきた事を確認した土門はその場にパタリと倒れる。
古代は急ぎ発射レバーに手をかける。
「ハイドロコスモジェン砲秒読みはじめ!!」
「了解!!ハイドロコスモジェン砲発射まであと十秒!!九‥‥八‥‥七‥‥六‥‥五‥‥四‥‥三‥‥二‥‥一‥‥」
「発射!!」
古代が引き金を引くとハイドロコスモジェン砲の砲口からは虹色のビームが太陽に向かって放たれる。
虹色のビームが太陽に命中すると太陽全体がゆっくりと柔らかい七色の光に包まれ始めた。
まだ視直径は大きいが太陽は急速にコロナが収まりながら七色の光の中で柔らかさを取り戻しつつあった。
「はっ!?土門!!」
太陽に変化に一時目を奪われていた古代であったが、ハッとして甲板で倒れている土門に気づき、雪と共に急ぎ甲板へと向かう。
「土門!!」
「土門君!!」
甲板に出た古代は倒れている土門を抱き起す。
「先生!!」
古代と共に甲板に来た佐渡に土門の容体を訊ねるも佐渡は首を左右に振る。
それは既に土門が手遅れである事を意味する。
「艦長‥‥太陽は‥‥?」
「よくやった土門!!太陽は制御出来た!!これで地球は救われる!!さあ、一緒に地球へ還ろう!!」
「良かった‥‥これで‥安心して‥‥俺も両親の下へ‥‥」
「何を言うんだ!!土門!!」
「そうよ、みんなで一緒に地球へ還りましょう!!」
「艦長‥‥生活班長‥‥お世話になりました‥‥」
土門はそう言ってゆっくりと瞼を閉じた。
彼が再び目を開ける事は無かった。
「土門!!」
「土門君!!」
眠るように安らかな土門の死顔を見て、古代と雪は涙を流す。
「立派な若者じゃった‥‥土門も揚羽も‥‥もっとヤマトで‥‥もっと地球の為に働いて貰いたかった‥‥」
佐渡も目に涙を浮かべ、鼻を啜り上げながら若くして命を散らした土門と揚羽の死を悔やむ。
揚羽の遺体はブラックホール砲の爆発で残らなかったが、土門はこうして残っていた事からヤマトでは土門の宇宙葬が行われた。
「土門竜介の霊に‥‥敬礼‥‥」
第一艦橋のメンバー、そして坂東たち訓練校の同期生が宇宙葬に参列し、土門の死を悲しむ。
土門の宇宙葬が終わると、ヤマトの直ぐ傍にはノイ・デウスーラ二世が横付けする様な距離で停止する。
やがて、ノイ・デウスーラ二世の甲板にデスラーが現れる。
「デスラー‥‥」
「古代、おめでとう。これで地球は再び蘇るだろう」
「ありがとう。君も宿敵を倒したな」
「ああ‥これで銀河系統一にまた一歩近づいた‥‥」
「そうか‥‥」
ベムラーゼは倒したが、ボラー連邦全てが完全に滅んだわけではない。
今後、ボラー連邦内ではベムラーゼの死に伴う混乱が起きるだろうし、その隙を突いてガルマン・ガミラスはボラー連邦の領土内へ本格的な侵攻を行うだろうが、相手はガルマン・ガミラスと銀河系を二分する一大星間国家‥‥恐らく一筋縄ではいかないだろう。
銀河系では今後もガルマン・ガミラスとボラー連邦との激しい戦乱はしばらくの間続くことになる。
しかし、地球はシャルバート星のおかげで未来を手にすることが出来た。
掴み取った未来を平和の実現の為に今後も地球人類は努力を惜しまないだろう。
「さらばだ、古代。いつの日かまた会おう‥‥」
デスラーはマントを翻し、ノイ・デウスーラ二世の艦内へと戻ると艦隊と共にガルマン・ガミラスへと帰還していった。
太陽制御を終えたヤマト、まほろばも地球への帰還の途についた。
ただし、太陽が通常に戻ったとは言え、すぐに地球全体の温度が直ぐに下がる訳ではなかったので、地表の気温が戻るまでは地下都市の生活が続く。
また、今回の異変で地上の都市部も津波や火山の噴火によって壊滅した都市もあり、地球はまたもや復興を行わなければならない。
「地球はまた復興作業ですね」
「ああ‥‥でも、人類はこれまで何度も文明を破壊されながらも文明を復興してきた。今度も必ず復興出来るさ、人類が存在し続ける限り‥‥」
「ええ、そうですね」
ガミラスとの戦争から今日まで地球人類のしぶとさをちゃんと自覚しているし、平和の尊さとソレを勝ち取る難しさも知っている。
だが、人類が存続するかぎり、地球は何度も復興し、平和を勝ち取ってみせると信じていた。
地球人類の滅亡を目の前にして太陽は人類に再び希望を与える姿を取り戻した。
地球へ帰還後、坂東は訓練校へと赴きティアナとうららに揚羽と土門の訃報を伝えた。
「そんなっ!?嘘でしょう!?」
「あの二人が死んだなんて‥‥」
「俺も信じたくはないが事実だ。ヤマトの甲板で行われた土門の宇宙葬に俺も参列したし、ヤマトの飛行隊隊長の山本さんも揚羽の最後を見たって言っていた」
「「‥‥」」
当初は坂東の話が信じられないティアナとうららであったが、土門と揚羽の死は紛れもない事実であった。
「そう‥‥全く先に宇宙へ行って、多少のハンデはあげるって言ったけど‥‥」
「戦死して二階級特進なんて‥‥バカよ‥‥アイツら‥‥」
「ホント、バカね‥‥アイツら‥‥」
「ああ、本当にな‥‥バカな奴らだったよ‥‥」
揚羽と土門‥二人の戦死に対してティアナとうらら、坂東は口では悪態をつくもその目からは涙が流れていた。