星の海へ   作:ステルス兄貴

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十三話 再建、復興 帰還と卒業

三笠が機関の改修期間中、良馬は仕事をする傍らギンガの士官学校の編入試験の受験対策を教えたり、ギンガ自身もパイロット技術に関しては月村航空にあるシミュレーターを使い、リニスは紅葉と共にギンガにAFM状況下での魔導戦を教えた。

元々、フェイトにも魔法や戦闘技術を教えていたリニスなので魔法での戦闘を教えるのは上手かった。

最初は負け続きのギンガであったが回数を重ねる毎に段々と引き分けの回数、そして勝率も徐々に上がり始めた。

その結果、魔力レベルも、AFM環境下にもかかわらず徐々に上がり始めた。

それは魔導師にとってこの劣悪な環境の中で、それに適応しようとするリンカーコアの成長なのだろうとリニスは語っていたがその成長には限りがあり、十分適応できたとリンカーコアが判断すればその成長は止まるとの事だ。

しかし、今のギンガの魔力レベルはミッドに戻ればAAAレベルであり、ギンガとしては、十分に満足するレベルだった。

その理由は、元々地球は管理外世界にカテゴリーされているので、この世界で魔力が高かろうが低かろうが、そんな事は大して問題ではなかったからだ。

それに本来の目的でもあるリンカーコアの制御も出来た為、ギンガは地球に来た当初より、食事量が減った。 (それでも常人よりは多い)

 

「そう言えばギンガさん、最近あんまり食べないよね?」

 

ギンガの食事量に気が付いた桜花がギンガに訊ねる。

 

「ああ、うん。そうね、ちょっと減っているかも‥‥」

 

「具合でも悪いの?」

 

「具合‥‥というか、体調は悪くないわ。ちゃんと食欲もあるんだけど、以前ほど食べようって気にならないのよ」

 

ミッドに住んでいた時であれば「物足りない」と思ったであろう食事量。

だが、今はそれで充分満腹になるし、普段の生活や魔法の訓練でも特に体に違和感や異常を感じない。

ギンガの食べる量が減ったその理由は先ほどあげたリンカーコアの制御ができ始めているのと、加奈江の食事療法にあった。

 

 

防衛軍士官学校の編入試験の方は良馬との勉強の甲斐あってかギンガは見事、合格し宇宙戦士としての通過切符を手に入れた。

今後、防衛軍士官になれるかはギンガの努力次第であるが真面目なギンガの事だからたぶん大丈夫だろう。

ただ、ギンガが士官学校へ入学した時、校長が土方から山南に代わっており、その教育方針も教育方法も土方の頃と多少違っており、比較すると、山南の方が土方の頃よりも幾分楽なように感じたので良馬は少しギンガを羨んだ。

士官学校へ入校する傍ら、休日になれば実家へと戻りリニスと紅葉相手に模擬戦をする日が続いた。

それから暫くして、良馬は改修作業が終わった三笠に乗艦し、内惑星の資源輸送の護衛任務に再び就いた。当然、リニスも三笠へ搭乗するので、ギンガの模擬戦の相手は紅葉となった。

ただ、紅葉とはこの世界で初めて出会った筈なのにギンガは紅葉との模擬戦はずっと前から知っている同期の局員と模擬戦をしている様な感覚がした。

 

内惑星からの宇宙資源が小量ながらも着実に地球へと齎され、防衛軍は本格的に軍の再編へと乗り出した。

三笠を始めとするガミラスとの戦闘で運よく生き残った艦の機関改修はほぼ終わり、今まで採用されていた従来の地球型の機関は姿を消し、イスカンダルから齎された波動エンジン技術を地球独自で改良した地球製の波動エンジン、ロ号艦本イ401式次元波動缶へと変わった。

そんな中、防衛軍造艦局では、新たな艦船の設計が行われていた。

えいゆう と同型のM-21741式宇宙戦艦にとって代わって艦隊の主力を構成する戦艦は、対ガミラス戦役時の主力戦闘艦(M-21741式宇宙戦艦 M-2170式宇宙巡洋艦 M-21881式宇宙突撃駆逐艦)などの紡錘形艦型の艦首に箱形の波動砲口を装備した艦型で、ヤマト級の塔状艦橋と砲身がついた三連装主砲塔形式が採用されている。

主機には新型波動エンジンを一機装備予定で、補助エンジンを艦後部両舷にそれぞれ一基、計二基を装備予定で、補助エンジンとは別に、艦中間部両舷に艦の前方を指向した噴射口が一基、計二基、艦底前部のインテーク状の構造物の後方に推進ノズルが四基付属する予定である。

 

量産式主力戦艦

 

諸元

全長 310m

 

全幅 46m

 

主機 ロ号艦本イ401式次元波動缶(通称:波動エンジン)×一基

 

補機 艦本式コスモタービン改(76式推進機関)×二基

 

兵装 艦首拡散波動砲×一門

   三連装衝撃砲(ショックカノン)×三基

   六連装大型艦橋砲×一基

   固定式四連装舷側砲塔×二基

   対空パルスレーザー砲×十門

   ミサイルランチャー×十門

搭載機 多数

 

空母は建造時間の短縮化のため、主力戦艦の設計図を基に艦体後半部を格納庫と飛行甲板に改造し、その下に波動エンジンを備え、艦橋後部も主力戦艦と異なる形をしており、主力戦艦の派生型として設計された。

飛行甲板には二基のエレベーターを備え、出撃する際はエレベーターで最上部の飛行甲板に搭載機を上げ発艦する主推進口の上には着艦専用口があり、直接格納庫に繋がっている。

主機は勿論波動エンジンだが、主力戦艦のものと形状が異なる。

長方形型の墳進口で着艦専用口の下に設置されている。

補助エンジンは、艦尾両舷まで延びている台形型噴進口が二基。

その他に波動エンジン下部には五基の半円型噴進口が付いている。

艦中間部両舷に噴進口をそれぞれ一基配置し、その後方にも噴進口がある。

兵装は艦隊決戦兵器である拡散波動砲一門を装備。

主砲の三連装衝撃砲(ショックカノン)は前部の二基となっている。

全長は飛行甲板と格納庫を保有しているため、主力戦艦よりも長い340mとなり、幅も一回り大きい。

これらの艦はその形状から、かつて旧日本海軍が保有していた航空戦艦 伊勢 日向 に近いもので純粋な空母ではなく、正式名称は主力戦艦改級戦闘空母と設定されたが、後に完成し乗艦した乗組員からが正式名称を略した戦闘空母 または 戦艦空母と呼ばれた。

 

搭載される艦載機は当初、現在ヤマトに搭載されている99式空間戦闘攻撃機 コスモファルコンと零式52型空間艦上戦闘機 コスモゼロでいいのではないかと検討されたが、コスモファルコンもコスモゼロも防衛軍は初めて着手した宇宙艦載機と言う事で運用して様々な不具合等が懸念されていた為、本格的な戦闘機開発も必要と言う事で新型の艦載機設計が行われた。

 

中型の戦闘艦である巡洋艦は対ガミラス戦役時の地球防衛軍の艦艇と共通する紡錘-葉巻形の艦型を採用しており、艦橋のある艦中央部から艦尾がロケット型に絞られる形状が特徴である。

主機関には当然波動エンジンを採用し、艦後部にあるインテーク状の構造物上に艦の前方を指向した噴射口が片舷に一基ずつ、計二基ある。

 

諸元

全長 190m

 

全幅 32m

 

主機 ロ号艦本イ401式次元波動缶(通称:波動エンジン)×一基

 

兵装 艦首拡散波動砲×一門 (艦によっては未搭載型もあり)

   主砲:二連装衝撃砲×三基

   副砲:三連装衝撃砲×二基

   三連装宇宙魚雷発射管×二基

   四連装連射宇宙魚雷砲×二基

   八連装重火器

   二連装対空パルスレーザー砲×二基

 

搭載機 艦載機最大で三機搭載可能

 

空母同様、この巡洋艦の設計図は内惑星内のパトロール、輸送船団の護衛を主な任務とするパトロール艦、護衛艦の設計に流用された。

パトロール艦は、索敵を主な任務とするので、巡洋艦よりも武装は少ない。火力は前方及び側面に限定されるが、これは、艦底中央部と艦後部上面に各種探査装置類を装備し、情報収集と通信能力の強化した、パトロール艦の運用目的に則した配置となっており、武装は、艦隊決戦兵器である拡散波動砲を艦首に装備し、主砲は、15.5cm二連装衝撃砲を艦体の前部に上面に二基、下面に一基を配置。艦首部分には、三連装魚雷発射管を片舷に二基ずつ計四基装備している。

大きさは巡洋艦と同じ設計となっている。

 

諸元

全長 190m

 

全幅 32m

 

主機 ロ号艦本イ401式次元波動缶(通称:波動エンジン)×一基

 

兵装 艦首拡散波動砲×一門

   15.5cm二連装衝撃砲×三基

   三連装宇宙魚雷発射管×四基

 

搭載艇 偵察機一機

    連絡艇一機

 

護衛艦はその名前通り、物資輸送航路の護衛を目的とする艦であり、現在地球が行っている内惑星の資源輸送も、ヤマトが帰還し、地球が復興したあかつきには大規模になるものと、推察され、そうなれば、海賊やテロ、ガミラスの様に異星からの侵略から輸送船を守る必要があるため、護衛任務を主とする艦の設計を防衛軍は依頼した。

設計には巡洋艦の設計を流用しているが、その艦の大きさは巡洋艦やパトロール艦よりも小さく、その大きさは駆逐艦並の大きさとなっている。

武装は、艦隊決戦用の雷撃に特化した駆逐艦と異なり、輸送船の護衛用としてバランスのある武装を採用している。

艦首には小口径ながらも、艦隊決戦兵器である波動砲を装備し、艦前部の方は、巡洋艦と同じ、武装配置となっているが、後部には小型の連装砲塔が四基、X状に配置されている。

 

諸元

全長 115m

 

全幅 14m

 

主機 ロ号艦本イ401式次元波動缶(通称:波動エンジン)×一基

 

兵装 艦首拡散波動砲×一門

   二連装衝撃砲×三基

   三連装宇宙魚雷発射管×二基

   四連装連射宇宙魚雷砲×二基

   二連装対空パルスレーザー砲×四基

 

M-21881式宇宙突撃駆逐艦にとって代わる予定の駆逐艦はシミュレートでは現在防衛軍が保有する艦船、そして設計された艦船の中では、防衛軍艦艇随一の速力を誇り、宇宙魚雷発射管を十六基装備、強力な雷装を持つ設計となっている。

戦闘方法は、その快足を生かして敵艦隊に肉薄し雷撃を行うという、ガミラス戦役時のミサイル駆逐艦と同様の戦闘スタイルを持つ。

主機関に、波動エンジンを採用しており、対ガミラス帝国戦役時の宇宙駆逐艦とは、あらゆる面で比較にならぬ性能を有するが、波動砲を装備していないのが、この艦級の特徴である。

 

諸元

全長 150m

 

全幅 14m

 

主機 ロ号艦本イ401式次元波動缶(通称:波動エンジン)×一基

 

兵装 四連装連射宇宙魚雷発射管×四基

   主砲:二連装衝撃砲×二基

   副砲:二連装衝撃砲×四基

   艦橋側面連装対空パルスレーザー砲×四基

 

乗員 四十五名

 

そして造艦局の技術者達が特に力を入れたのが、旗艦級の大型戦艦だった。

技術者たちは早速、出来上がった設計図を日本連合艦隊提督である土方の下へ持って行った。

 

「ほぉ~之が‥‥」

 

技術者から受けっとった設計図を見た土方が思わず声をあげる。

受け取った設計図には旗艦級の戦艦の図と諸元が書かれていた。

 

諸元

全長 444m

 

全幅 114m

 

主機 ロ号艦本イ401式次元波動缶(通称:波動エンジン)×一基

 

補機 艦本式コスモタービン改(76式推進機関)×十基・四軸

   (機関は現在開発作業中)

 

兵装 艦首拡散波動砲×二門 

   主砲:三連装50.8cm衝撃砲×四基 

   七連装大型艦橋砲×一基

   三連装対空パルスレーザー砲×二基

   二連装対空パルスレーザー砲×二基

    艦首ミサイル発射管×四門

    対空ミサイル砲×八門 

    連装舷側砲×四基

 

搭載機 約三十機搭載可能

 

乗員 九十五名

 

新造艦の諸元を見て、土方が気になった点はまず二つ。

新造艦の最大の特徴の一つ、兵装の艦首拡散波動砲×二門 と言う部分と乗員の数であった。

波動砲の威力は既にヤマトから報告を受け、その威力を知っている。

その波動砲を二門も装備し、しかも発射された波動砲は、波動砲制御室に設置された強力な波動エネルギー増幅装置により、広範囲に拡散し、敵を殲滅する。

予想される威力はヤマトの艦首波動砲の二倍の威力と推察された。

 

「しかし、乗員の数がヤマトよりも少ないな‥‥ヤマト級戦艦の百十四人の八割程度の人数ではないか」

 

「しかし、それはやむを得ません。度重なる戦役による深刻な人的資源の問題がありました。乗員の育成は一朝一夕では行えませんから‥‥」

 

「確かに、宇宙戦士一人の育成には少なくとも一年半以上はかかる。一人前となると、最短で二年から三年はかかるからな」

 

士官学校の校長を務めた経験のある土方だからこそ、人材育成の時間と労力の大変さはよく知っている。

 

「そこで人員不足を補う為、今後の艦船は波動エンジンや機関の制御や作動は全て設置されたロボットやコンピューターが行い、機関室には機関部員を置きません。また、武器に関しても同様で主砲塔内部には座席を設けず、砲術部員も置きません。攻撃においてはレーダーからの情報をコンピューターが即時に分析、各パートに伝達、照準から射撃までの戦闘指揮を中央でコントロールします」

 

これが果たして戦艦と呼べる代物なのか疑問は残るが、やはり人員不足の問題から仕方なく土方はこの自動管理方式を採用しこの艦の建造を許可した。

防衛軍が内惑星の鉱物資源の確保と軍艦の建造を行い、再建をしている中、

 

遂に地球の人々が待ちに待った日が来た。

 

ガミラスとの数多くの死闘を繰り広げ、ヤマトは遂にイスカンダルへ到達、そしてコスモクリーナーを持って地球へと無事に帰還した。

地球はギリギリの所で救われた。

しかし、ヤマトが帰還したその日、ある訃報があった。

その日の朝、農林水産省 食糧局局長室にて、一人の男がその部屋にある机の中から一丁のコスモガンを取り出し、自らの蟀谷に銃口を押し当て‥‥

 

バキューン

 

引き金を引いた‥‥。

 

「あっ!!」

 

秘書官がその部屋に入るとデスクに突っ伏す様に部屋の主であるその男は既にこと切れていた。

 

「何!?食糧局局長が!?」

 

「はい‥‥護身用のコスモガンで、自決なさいました」

 

「局長は食糧の蓄えが残り少なくなったのを気にしていたからな‥‥」

 

省内で、食糧局のトップである局長の死は瞬く間に知れ渡り、事件性が全く無いことから警察の方も『責任を感じての自殺』という事でこの件を処理した。

ヤマトからの通信はその数時間後に地球へと齎された。

 

あと数時間、ヤマトからの通信が早ければ‥‥

 

あと数時間、局長が思いとどまってくれたら‥‥

 

局長の家族や部下たちはそんな思いを巡らしていた。

 

ヤマトの帰還に地球の人々は皆歓喜し、ヤマトが帰還したこの日を世界共通の祝日にされるぐらいのものだった。

その偉業を達成したヤマト艦長の沖田十三は地球を目前に宇宙放射線病で亡くなった。

沖田以外でもこの航海でヤマト乗組員、百十四名の内、四十七名が戦死した。

そしてこの戦死者の中で、不名誉な戦死を遂げた者たちも居た。

ヤマトが苦難の末、ようやくイスカンダルへ到着し放射能除去装置であるコスモクリーナーを受け取り、翌朝、地球へ向け出航しようとしていたその日の夜、一部のヤマト乗組員達が艦を脱走し、イスカンダルへの永住を宣言した。

しかも、人質もしくは自分達の子孫を残す為かヤマト乗組員の一人、森雪を拉致して‥‥

これらの行為はヤマトの仲間、そして地球に残る人々に対して許しがたい裏切り行為であった。

何故彼らがこの様な行動をとったのかと言うと、ヤマトの航海日数に関係していた。

当初、ヤマトの予定航海日数は地球~イスカンダル間を九ヵ月で終える予定だった。

だが、度重なるガミラスとの戦闘、宇宙気象等の影響で航海日数は遅れに遅れて地球到着がヤマト抜錨後の十一ヵ月掛かる見通しとなった。

その為、艦内では地球に戻っても既に人類は死滅しているのではないか?と言う噂が立ち始め、乗員達の中に不安が付き纏った。

やがて、疑惑は狂気へと変貌し、これまでの航海の中で地球人類が住めそうな唯一の星としてこのイスカンダルが選ばれ、彼らはヤマトを脱走し、イスカンダルにあるダイヤモンド大陸へと籠城した。

しかし、彼らは失念していた。

このイスカンダルもガミラス同様、年老いた星であった事を‥‥

彼らが籠城したダイヤモンド大陸は急激な地殻変動が起こり大陸は大きく避け、巨大な津波が起こった。

懸命の救助活動が行われるもこの災害の生還者は拉致被害者の雪のみであった。

ヤマト戦死者の中で、今回の脱走者達の名も加えられたのはせめてもの情けであった。

だが、この一件はヤマトの航海を汚す醜聞として封印され、また脱走者達の遺族や関係者の為、この事件がヤマト乗員の口から語られる事は無かった。

大勢の戦死者を出したヤマトであったが、その一方で、冥王星海戦にて戦死したと思われていた宇宙駆逐艦、雪風の艦長でもあり、古代の兄、古代守がイスカンダルで生きていた。

彼は冥王星海戦の後、ガミラスの捕虜となり、本星に護送されている最中にその護送船がイスカンダルの付近で遭難し、イスカンダルの女王スターシアに救助され、彼は一命を取り留めていた。

スターシアは救助した古代守に一目惚れをしており恋焦がれていた。

また、守の方も自らを助け、献身的に自分を看病をしてくれたスターシアの事を愛していた。

ヤマトが地球へ帰還する日、スターシアはヤマトのタラップで、守に告白した後、泣きながらタラップを駆け降りていき、守はそんなスターシアの後を追いかけた。

そして、守は最終的に地球へは帰らず、スターシアと共にイスカンダルに残った。

互いに愛する者通しを引き裂くのは余りにも無粋である。

沖田は守のイスカンダル残留を許可し、弟の進も兄の守を笑顔で見送った。

 

防衛軍の再建と地球の復興が進められていく中、ギンガは主席‥‥と言うわけではないが、それでも上位の成績で無事に士官学校を卒業した。

もし、途中編入でなければ主席で卒業できたかもしれないと源三郎は後にそう語っていた。

しかし、途中編入にも関わらず上位の成績で卒業したのだから大したものだろう。

士官学校を卒業したが任官先はまだ決まっておらず、ギンガは任官先が決まるまで待機を命じられ、士官学校の寮を後にし自宅である中嶋家へと戻った。

士官学校を無事に卒業し新たに地上に建てられた中嶋家に戻ったギンガは皆から歓待を受けた。

 

「ギンガ、士官学校卒業おめでとう」

 

「おめでとう。ギンガ」

 

「おめでとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

「ところで配属先はもう決まったのか?」

 

卒業祝いの最中、源三郎がギンガに訊ねる。

 

「いえ、まだです」

 

「そうか‥‥」

 

ギンガの配属先がまだ決まらないことを知った源三郎は顎に手を当てて、考える仕草をとる。

 

「あっ、父さん」

 

そんな源三郎を見たギンガが源三郎に声をかける。

 

「ん?なんだい?ギンガ」

 

ギンガに『父さん』と呼ばれて少し嬉しい源三郎。

なお、加奈江もギンガから『母さん』と呼ばれると、嬉しそうな顔をする。

 

「私の配属先がまだ決まらないのを良い事に強引に人事部に圧力をかけて、安全な後方勤務とかに回すのは止めてね」

 

ジト目をして源三郎に釘を刺すギンガ。

 

「あ、ああ‥勿論だとも」

 

顔を少し引きつらせ、乾いた声を出す源三郎。

如何やら、ほんの少しだけ、ギンガが言ったように人事部に遠まわしで圧力をかけようかと考えていた様だ。

 

 

ギンガが士官学校を卒業した同じ頃、ミッドでもある部隊が解散を迎えていた。

それは八神はやてが部隊長を務めた機動六課であり、彼女の部隊はロストロギア関連の危険な任務を扱う古代遺物管理部の部隊で主にレリックと呼ばれるロストギアの回収を専門としていた部隊だった。

後見人にリンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウン、カリム・グラシアを据えており、本局の上層部と聖王教会からの支援を得ていた。

噂ではあの三提督も影ながら支援をしていたらしい。

しかし、六課は正式な部隊ではなく、一年間という制限がある試験部隊だった。

何故こうなったのかと言う理由は六課の設置目的が、「最悪の事態が起こった場合に対応する部署の設立」というあやふやなものの為、大々的に優秀な人材を集めるわけにも行かなかったためである。

ギンガも本来、妹のスバルと共に108部隊からこの機動六課へと出向する予定だった。

その目的は、この部隊の隊長陣は八神はやての身内ばかりを中核にして、FW陣は、高町なのはと選んだ能力や将来性に優れるものの、出向者や訓練校を卒業したばかりで、実績や経験の乏しい新人達だった為、隊長陣とFW陣との間の確執を防ぐ為、両方と繋がりのあるギンガがその中和剤の役割を果たす予定だったのだ。

 

 

ここで時系列は一年前の過去に時間を戻す。

 

新暦75年 三月 ミッドチルダ中央区画 湾岸地区

 

 

ミッドチルダ中央区画 湾岸地区‥‥此処は八神はやてが部隊長となる機動六課隊舎建設地区だった。

外装は既に完成し、後は内装のみとなっていた。

建設中の隊舎をはやてとシャマルは外から見学していた。

 

「なんや、こーして隊舎を見ていると、いよいよやなーってきになるな‥‥」

 

「そうですね、はやてちゃん‥‥いえ、八神部隊長」

 

それから二人は隊舎の敷地内を散策した。

 

「それにしても、いい場所があって良かったですね」

 

「交通の便は不便やけど、ヘリの出入りにはちょうどええ、六課にはええ隊舎や」

 

「何となく海鳴に似ていますものね」

 

シャマルが隣接する海岸を見ながら、はやての故郷、海鳴とこの場所が地形的に海鳴に似ている事を示唆する。

 

「そう言えば、そうやな」

 

はやては、新築の隊舎と海を見比べながら来月から始動する自分の部隊、機動六課に胸を躍らせていた。

しかし、その最中に自らの師でもあるゲンヤ・ナカジマの娘、ギンガ・ナカジマが任務中に殉職した知らせを聞いた。

ギンガが、任務中に殉職(管理局の正式記録ではそうなっている)してしまったが、はやては部隊の設置を戸惑うことなく、機動六課を設立し予定通りに六課は起動した。

 

そして試験運用期間の一年の間、様々な事があった。

起動した最初の月は、出動の機会は無く、訓練校と変わらず、教導官である高町 なのはと八神 ヴィータが、FW陣の訓練をする日々が続いた。

主に魔力効果を減少させるAMF状況下の戦闘訓練と敵の尖兵ともいうべきガジェット・ドローンと呼ばれる機動兵器との模擬戦闘が行われた。

この起動最初の月は平穏な一ヵ月だった。

翌月になり、FW陣に新たなデバイスが支給されたその日、機動六課は初出動を迎えた。

山間部を走るリニアレールにレリックが運び込まれていたのだ。

直ちに機動六課は出動し、レリックの回収へと向かった。

現場に向かう途中のヘリの中で、新人FW陣の一人、キャロ・ル・ルシエ三等陸士は不安にかられていた。

初めての現場と言う事もあるが、彼女は竜召喚士として類稀な素質を持って生まれたが、その力が強過ぎることを危惧した長老から故郷の集落を追放された経緯があり、魔法の使用に関して、消極的だったのだ。

そして、現場には、レリックを狙うガジェットと呼ばれる謎のロボットが襲撃してきた。

その襲撃により、同僚のエリオ・モンディアル三等陸士がピンチに陥った中、キャロの使役竜であるフリードリヒの完全制御に成功し、キャロは自分の殻を破る事が出来た。

その後、無事にリニア内にあったレリックは無事回収され、破壊されたガジェットから一連のガジェットによる襲撃犯の黒幕が判明した。

黒幕は管理局が指名手配しているジェイル・スカリエッティと呼ばれる科学者であった。

犯人が分かり、六課のその後の方針はレリックの回収と共にスカリエッティの逮捕に決まった。

その後、八神 はやて、高町 なのはの故郷である地球でロストギア反応があり、六課のメンバーは地球へと向かった。

なのは、フェイトは中学校卒業後、嘱託から正規の局員となり管理局に就職し、居住も地球からミッドへ移したので久しぶりの帰郷となり、昔の学友と再会し懐かしんだ。

幸い地球で発見されたロストギアはレリックでもなく世界を破壊する程の危険物でもなく無事に回収された。

 

六課の稼働が進んでいく中、FW陣の一人、ティアナ・ランスターは焦りを感じていた。

彼女は殉職した兄の意志を継ぎ、将来は執務官になると言う夢を抱き、管理局へと入局したが周りが自分よりも魔力レベルが高い上司や相棒で囲まれており、更には自分よりも若く才能の開花が大いに秘められているキャロやエリオに嫉妬の様なモノを抱いていた。

そんな中、六課はホテル・アグスタにおいてロストギアのオークション会場の警備を依頼され会場警備を行った。

そしてオークションの最中、予想通りガジェットが突然出現しホテルへと迫ってきたので警護任務を任された六課の面々はその迎撃にむかった。

その中で、ティアナは焦りの余り相棒のスバルを誤射しそうになるミスショットをしてしまった。

その後、ティアナの焦りは益々募り、早朝訓練が始まるより前に起き、自主練をする日々が続き、後日、行われた模擬戦でティアナの危険行為になのは、オーバーキル並の方法でティアナを叩きのめした。

隊長陣とFW陣の間に深い溝が生まれるかと思ったが、FW陣に隊長陣が経験した過去の出来事を知り、「強さ」の意味を知り、ティアナとなのはは衝突することなく、無事に和解した。

 

夏の終わりにミッドの首都、クラナガンで一台の輸送トラックが突如ガジェットの襲撃を受けた。

現場に着いた捜査官が見たのは破壊されたガジェットの残骸と空になった生体ポッドだった。

その日、六課のFW陣は久しぶりの休日を満喫していたのだが、キャロとエリオがマンホールの近くで両足にレリックの入ったケースを鎖で括り付けた少女を保護した事から事態は一変した。

今までガジェット以外姿を見せなかったジェイル・スカリエッティの軍勢‥‥ギンガやスバルと同じ戦闘機人たち、ナンバーズとの戦闘に入った。

結局、この時は戦闘機人たちの逮捕もスカリエッティの詳しい情報も得られなかったが、レリックの回収と少女の保護は出来た。

後日、保護した少女に事情を聞くと彼女は自らをヴィヴィオと名乗った。

そして、彼女の正体は古代ベルカ時代の人物、「最後の『ゆりかご』の聖王オリヴィエ」のクロ-ン体「聖王の器」であった。

同じ、クローン体であるフェイトと彼女の親友であるなのはに保護され、検査入院していた病院で初体面をして、そこで懐かれたなのはとフェイトの二人はヴィヴィオの後見人となり事件解決のあかつきには、この子を養子にしようと思った。

しかし、九月に地上本部ビルで行われた公開陳述会にて、今までなりを潜めていたスカリエッティ一味は一気に攻勢へと出た。

公開陳述会が開かれた地上本部ビルと六課の隊舎が同時襲撃を受け、多くの局員が負傷しヴィヴィオはスカリエッティ一味に攫われてしまった。

ヴィヴィオを手に入れたスカリエッティ一味は古代ベルカの戦艦 ゆりかご を浮上させ、同時に地上に設置されていた砲台施設 アインヘリアル を破壊した。

六課は破壊された隊舎の代わりに廃艦予定だった次元巡航艦 アースラ に司令部を置き、スカリエッティとの決戦に臨んだ。

その結果、なのはは無事にヴィヴィオを保護し、フェイトはスカリエッティを逮捕、FW陣はそれぞれ相手をした戦闘機人達との戦いに苦戦しながらも勝利し、彼女らを捕縛した。

復活した ゆりかご も管理局の次元航行艦隊のアルカンシェルの一斉射撃を受けて消滅した。

後にこの事件はJS事件と呼ばれ管理局史上ミッドで起きた大規模テロ事件としてその名を後世の歴史に名を残した。

そしてこの事件を解決に導いた六課も奇跡の部隊として管理局の歴史にその名を残した。

その中で、スバルは姉であるギンガの名誉を回復しようとしたが、それについては、未だ賛否両論となっており、ギンガの名誉は未だに回復はしていない。

そして今日、機動六課の運用期間が終わりの日を迎えた。

終わりは六課らしいFW陣対隊長陣との全力全開の模擬戦で終わりを告げた。

 

六課卒業後、FW陣はそれぞれの夢に向かって新たな一歩を歩んだ。

ティアナは執務官を目指す為、まずは執務官補佐として六課卒業後もフェイトの下で働く事となった。

スバルは“陸”所属の部隊の一つで、災害救助のエキスパートである特別救助隊からスカウトが来て、そのまま特別救助隊に入隊し、任務をこなすと同時にギンガの名誉回復のための活動を続けている。

キャロとエリオの二人は自然保護官となり、ミッドから離れた自然世界で暮らしている。

スカリエッティとその配下の戦闘機人、ナンバーズには管理局が司法取引を持ち掛けたが、スカリエッティ本人とナンバーズの内、ウーノ、トーレ、クワットロ、セッテの四人は取引を拒否しスカリエッティと共に刑務所へ服役した。

ナンバーズ唯一の死亡者であるドゥーエを除く、残りのナンバーズは皆、この取引を受け、海上隔離施設で更生プログラムを受けた。

プログラムの担当には108部隊とマリエル・アテンザ技術官が主に担当した。

その理由は、108部隊の部隊長ゲンヤ・ナカジマが戦闘機人である娘を育てた経験からでゲンヤ自らがこのプログラムの担当に志願した。

マリエルの方はギンガとスバルの健康診断を何度も行ってきた事から、スカリエッティに次ぐ、戦闘機人の権威でもあったからである。

更生プログラムが終了した後、司法取引を受けたナンバーズの内、チンク、ディエチ、ノーヴェ、ウェンディの四人はナカジマ家の養子となり、セイン、オットー、ディードの三人は聖王教会が引き取り、彼女達は教会の修道女となった。

そして、聖王のクローンであるヴィヴィオはなのはが養子として引き取り、フェイトもヴィヴィオの後見人となった。

 

一緒に過ごした時間と受け取った思い出があるなら、それはきっと「お別れ」ではなく、新たな旅立ちである。

終わりのない夢の途中ならば、きっとまた再会出来る。

駆け抜けた日々はまた会う日まで大切に抱きしめる。

愛しくて優しい宝物として‥‥。

六課の皆はそう思いながら新たな未来へと夢を抱いて旅立って行った‥‥。

 




ヤマト機関員の薮助治は2199では最終的にザルツ人として次元潜航艦の機関員になっておりましたが、旧作のTV版ではイスカンダルにて反乱を起こし災害に巻き込まれ死亡している。
この世界では旧作のTV版を採用しました。

さらば宇宙戦艦ヤマト 宇宙戦艦ヤマト2 宇宙戦艦ヤマト2202に登場した主力戦艦は、旧作では全長242m 2202では250mと言う設定でした。

当初2202での設定ではヤマトと同じ333mという設定でデザインが進められていたが、アンドロメダと対比した際に波動砲口や艦橋が相手よりも大きくなり、アンドロメダより強そうに見えてしまうと判断されたため、全長を縮められた らしいのですが、250mでもちょっと小さいと思ったので、この世界では310mと言う設定です。

空母の形状に関してはゲーム版ではなく、宇宙戦艦ヤマト2に登場した空母の形状です。
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