星の海へ   作:ステルス兄貴

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二百十二 遠征 そのⅢ

 

 

バジウド星系のボラー連邦派の星間国家に対する地球側の遠征‥‥

 

各艦隊が各々の攻撃目標を定めてケンタウロス座のアルファ星を出撃していく地球艦隊。

 

その艦隊の一つ‥ラップが司令官を務めるアルファ星駐屯基地所属の第二艦隊は親ボラー連邦派の星間国家の一つ、セヴァトス所属の宇宙要塞、セヴェルを攻略した。

 

セヴェル要塞を攻略後、第二艦隊は二つの攻撃目標をほぼ同時攻撃するために艦隊を二分した。

 

ラップが指揮する第二艦隊の主力はセヴァトスへ‥‥

 

まほろばを旗艦とする別動隊はセヴァトスの近くにある親ボラー連邦派の惑星、ペツアモへと向かった。

 

二つの部隊がそれぞれ親ボラー連邦派の惑星へ向かっている中、攻略されたセヴェル要塞では、セヴァトス所属のパトロール隊が調査をしていた。

 

その調査中‥‥

 

「た、隊長!!コレを見て下さい!!」

 

「なんだ?」

 

調査を行っているパトロール隊の隊員が何かを見つけた。

 

「こ、これはっ‥‥!?」

 

「通信波を妨害するECMポットかと思われます!!」

 

「では、この宙域付近で通信機の不調が起きたのは‥‥」

 

「はい。このECMポットの影響かと思われます」

 

「ぬぅ~‥‥小癪な真似を‥‥」

 

「隊長、こちらを見て下さい!!」

 

「今度はなんだ?」

 

「この衛星から妨害電波が出ています!!」

 

「なにっ!?妨害電波だと!?」

 

「はい。レーダー機能を妨害する電波の様です!!」

 

「くっ、ガルマン・ガミラスの奴らめ!!どこまでも小癪な真似を‥‥!!」

 

パトロール隊員たちはまだこの仕業は、ガルマン・ガミラスの仕業であると思っていた。

 

「と、兎に角、本国へ知らせなければ‥‥」

 

「ですが隊長。ECMポットはかなりの量が要塞の周囲にばら撒かれており、この状況下では通信機の使用は‥‥」

 

「それにECMポットを一つ一つ破壊していては時間がかかり過ぎます」

 

「ECMポットとは言え、その効力は無限ではない。足の速い艦を一隻、ECMポットの効力外へ出して、その宙域から本国へ通信を入れさせろ!!付近に敵が‥いや、本国へ敵が向かっているかもしれん!!急げ!!」

 

「は、はい!!」

 

パトロール隊の隊長は急ぎ本国‥セヴァトスへ要塞の現状と敵の存在を知らせる為、パトロール隊の艦艇の内、速力が速い艦が急ぎセヴェル要塞を離れ、ECMポットの効力外宙域へと向かった。

 

 

親ボラー連邦派惑星 セヴァトス 宇宙艦隊司令部

 

「総司令。只今、セヴェル要塞に向かったパトロール隊より通信が入っております」

 

「モニターに表示せよ」

 

「はっ」

 

司令部に居たセヴァトスの宇宙艦隊総司令は定時交信が無い要塞の状況が気になっていたので、パトロール隊の報告はまさに待っていた通信であった。

 

司令部のモニターには敬礼しているパトロール隊の隊員の姿が映し出される。

 

「報告を聞こう」

 

「はっ、我がパトロール隊がセヴェル要塞へと急行したのですが‥‥」

 

「ん?どうした?セヴェル要塞に何があった?」

 

パトロール隊の隊員は気まずそうな表情を浮かべる。

 

「そ、それが、セヴェル要塞は全滅です」

 

「な、なにっ!?全滅だと!?一体どういう事だ!?」

 

「詳しい調査は現在も続行中ですが、要塞は何者かに襲撃を受けた痕跡があり、要塞周囲にはECMポットとレーダー妨害衛星が多数ありました。小官は隊長からの指示で、ECMポットの効果範囲外まで行き、通信を送っています」

 

「襲撃と言う事は、ガルマン・ガミラスの仕業か!?」

 

「恐らくは‥‥念のため、セヴァトス周辺の警戒を具申いたします」

 

「分かった。貴官らは引き続き調査作業を続行せよ」

 

「はっ!!」

 

パトロール隊の隊員は再び敬礼をした後、通信を切った。

 

「ぬぅ~ガルマン・ガミラスの連中め、よくも我が要塞を‥‥」

 

未だに要塞を破壊した下手人は、ガルマン・ガミラスの仕業だと思い込んでいるセヴァトス軍。

 

しかし、現状彼らがそう思うのも当然であった。

 

「セヴェル要塞を破壊したガルマン・ガミラスの連中が周辺をうろついているやもしれん!!本国周辺のパトロール隊へ通達!!何としてでもセヴェル要塞を破壊したガルマン・ガミラスの連中を探し正義の鉄槌を下せ!!」

 

『了解!!』

 

セヴァトスの宇宙艦隊司令部のオペレーターたちは急ぎセヴァトス周辺に展開しているパトロール隊へ通信を入れ始めた。

 

そんな中、

 

「総司令」

 

「なんだ?」

 

副官が総司令へ声をかける。

 

「セヴェル要塞崩壊の知らせを同盟国であるペツアモへ知らせますか?」

 

「むっ?」

 

「セヴェル要塞は我がセヴァトスとペツアモを共に守護する宇宙要塞でした。しかし、その要塞が破壊されたとなると、我がセヴァトスは勿論ですが、ペツアモへセヴェル要塞を破壊したガルマン・ガミラスの艦隊がペツアモへ向かった可能性もあります」

 

「‥‥」

 

セヴァトスの宇宙艦隊総司令として、自軍の宇宙要塞が破壊されたなんて不名誉な事実を同盟国とは言えそれを知らせるのは自らの恥を他者へ教える事になる。

 

しかし、バジウド星系におけるボラー連邦派は、東部方面へ進出して来たガルマン・ガミラスの破竹の進軍で大きく力を失ったのも事実だ。

 

銀河系中心部が、ガルマン・ガミラスの勢力下になり、このバジウド星系はボラー連邦本国から見捨てられたような形となり、同じボラー連邦派同士、力を合わせなければガルマン・ガミラスにあっという間に滅ぼされてしまう。

 

そう言った経緯からセヴァトスの総司令は決断を下す。

 

「ふむ、貴官のいう事も尤もだ。急ぎ、ペツアモへのホットラインを開け」

 

恥を忍んで、総司令はペツアモに対しても警戒する旨を伝える事にした。

 

 

親ボラー連邦派惑星 ペツアモ宇宙艦隊司令部

 

「長官、セヴァトスの宇宙艦隊司令部よりホットラインが届いております」

 

「セヴァトスから?分かった。ラインを繋いでくれ」

 

「了解」

 

オペレーターがラインを開くとモニターにセヴァトスの宇宙艦隊総司令の姿が映し出される。

 

「突然のホットラインですが、いかがなさいましたか?」

 

『先ほど、緊急事態が発生した』

 

「緊急事態?」

 

『あ、ああ‥情けない話だが、我が軍のセヴェル要塞が何者かの手によって破壊された』

 

「は、破壊ですと!?」

 

ペツアモの宇宙艦隊総司令もセヴェル要塞の存在は知っていた。

 

セヴァトス、ペツアモの主要航路を守護している宇宙要塞が破壊されたと聞きペツアモの宇宙艦隊総司令は驚愕する。

 

別のモニターには破壊し尽くされたセヴェル要塞の様子が映し出される。

 

その映像がけしてフェイクではない事もペツアモの宇宙艦隊総司令‥いや、司令部に居た全員が驚愕したのは言うまでもない。

 

「そ、それで、セヴェル要塞を襲撃したのは、やはりガルマン・ガミラスの仕業ですかな?」

 

やはり、ペツアモの宇宙艦隊総司令もセヴェル要塞を破壊した下手人はガルマン・ガミラスの仕業だと思った。

 

『現在、我が軍のパトロール隊が調査を行っているが、もしガルマン・ガミラスの仕業であったら、そちらにもガルマン・ガミラスの艦隊が襲来する可能性がある。故に周辺宙域に警戒態勢をとってくれ』

 

「承知した。情報提供に感謝する」

 

セヴァトスからのホットラインが切れた後、ペツアモの宇宙艦隊総司令は急ぎ宇宙艦隊の出撃準備を行う。

 

オペレーターがキーボードを操作して、セヴァトス要塞からこのペツアモまでの進撃コースをコンピューターが予測する。

 

「総司令、予想される敵の進撃コースがこちらです」

 

「うむ‥‥」

 

敵艦隊の進撃コースが表示されているモニターを見つめるペツアモの宇宙艦隊総司令。

 

「進撃コースが判明したとは言え、総司令。どの部隊を警戒・迎撃に当てますか?」

 

副官がペツアモの宇宙艦隊総司令に警戒に当てる部隊について訊ねる。

 

「うむ、あの要塞をあそこまで破壊したのだ‥ガルマン・ガミラスの仕業だとしたら、かなりの精鋭部隊だな」

 

「グレゴール准将の部隊には確か、試作機ですがその機体を使いこなす腕のいいパイロットが居ます。いかがでしょう?例の試作機の実戦を兼ねて、かの部隊を迎撃に当ててみては?」

 

「そうだな。ただちにグレゴール准将の部隊に出撃命令を出せ!!」

 

「はっ!!」

 

 

親ボラー連邦派 ペツアモ マンスク宇宙艦隊基地

 

マンスク宇宙艦隊基地の司令官であるグレゴールの下にペツアモの宇宙艦隊司令部より緊急伝が届いたのはセヴァトスの宇宙艦隊総司令とペツアモの宇宙艦隊総司令のやり取りが終わってから直ぐの事であった。

 

『グレゴール准将、突然ですまないが、緊急事態だ』

 

「総司令官殿、一体どうしたのですか?」

 

『先ほど、セヴァトスの宇宙艦隊総司令より緊急伝があった。信じられない事だが、セヴェル要塞が破壊された』

 

「えっ‥‥?」

 

ペツアモの宇宙艦隊総司令の言葉にグレゴールも一瞬、唖然とする。

 

『貴官の驚愕は分かるが、これは紛れもない事実だ』

 

「そ、そんなっ!?あの要塞が‥‥」

 

グレゴールは未だにセヴェル要塞が破壊された事に信じられない様子だ。

 

「そ、それで、一体誰がセヴェル要塞を破壊したのですか?」

 

『恐らくガルマン・ガミラスの仕業だと思うが、現在詳しい調査はセヴァトス側が行っている。しかし、仮に要塞を破壊したのが、ガルマン・ガミラス出会った場合、要塞を破壊しただけでは済まない筈だ』

 

「と言うと?」

 

『バース星が陥落した時の様にガルマン・ガミラスは一つの要塞を陥落させて、進撃を止めるとは思えない。この星かセヴァトスか‥あるいは両方へ向かう可能性が高い』

 

「た、確かに‥‥」

 

バース星の陥落の経緯はバジウド星系にある星間国家ならば、当然知っているし、その経緯も時間が経った今ならそれも知っている。

 

そんなバース星の経緯から、ガルマン・ガミラスがセヴェル要塞を攻略したのなら、要塞一つを攻略しただけで止まる筈がない。

 

そうなると、セヴェル要塞から近いボラー連邦派の星間国家であるセヴァトスかこのペツアモへガルマン・ガミラスが侵攻してくる可能性は充分にある。

 

「分かりました。直ちに出撃準備を行い、準備が出来次第出撃します!!」

 

『君も出撃するのかね?』

 

「はい。大切な部下たちだけを出撃させ、自分だけがのうのうと安全なところで待っている訳にはいきません!!」

 

『そうか‥‥分かった。くれぐれも気を付けてくれ』

 

「承知いたしました」

 

ペツアモの宇宙艦隊総司令からの緊急伝を受けたグレゴールは直ちに出撃準備を行う。

 

基地には警報が鳴り響き、将兵たちが慌ただしく基地内を走り回る。

 

「急げ!!緊急出撃だ!!」

 

「艦載機はありっけ空母に乗せろ!!」

 

基地内が騒然としている中、グレゴールはリトビャクを司令官室へと呼び出した。

 

「司令官、リトビャク中尉です」

 

「はいりたまえ」

 

「失礼します」

 

リトビャクが司令官室へと入ると、グレゴールは神妙な顔つきであった。

 

「中尉、君もこの騒動は分かっているだろうが、先ほど、司令部から緊急伝があった」

 

「緊急伝‥‥」

 

グレゴールの言葉を聞き、リトビャクの表情も強張る。

 

「そうだ。それによると、セヴァトスが保有するセヴェル要塞が破壊された」

 

「‥‥」

 

「まだ、破壊した者が何者なのかは調査中との事だが、恐らくガルマン・ガミラスの仕業だろう」

 

「はい。私もそう思います」

 

「仮にガルマン・ガミラスの仕業だとすれば、奴らの事だ。要塞一つを攻略しただけで済ませる筈がない。必ずや、要塞から近いペツアモかセヴァトスへとやって来る筈だ。故に我々はこの星に向かってくるであろうガルマン・ガミラスを迎え撃たなければならない。君とリューシン₋01にとって初の実戦となるが、やってくれるか?」

 

「勿論です司令官。この日のために私は訓練を重ねて来たのですから‥では、私も出撃準備に入ります」

 

「うむ、頼むぞ、中尉」

 

「はっ!!」

 

リトビャクはグレゴールに敬礼した後、司令官室を急いで出て行った。

 

(来たな!!悪魔どもめ!!この星には一匹たりとも入れない!!)

 

(この星をお前たちの自由にさせてたまるものですか!!)

 

リトビャクは勇んで自らの愛機が駐機してある格納庫へと走った。

 

やがて、部隊は出撃準備を整えると、直ちに出撃した。

 

その戦力は、

 

ヴェトラーナ級航宙戦闘母艦のネツォフを旗艦として、同型艦の戦闘空母七隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

グラード級航宙母艦 五隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

ロスチラフ級航宙戦艦 三隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

の空母を中心とした機動部隊であった。

 

 

攻撃目標であるペツアモにて、侵攻して来る相手がガルマン・ガミラスだと思い込み、まさか迎撃態勢をとっているとは知らないまほろば以下の別動隊は攻撃目標であるペツアモへと向かっていた。

 

 

まほろば 艦橋

 

「艦長、間もなく惑星国家、ペツアモの警戒宙域に入ります」

 

「分かった。此処からは艦船の他に監視衛星等の監視システムもある筈だ。油断せずに慎重に進むぞ‥‥亜空間ソナーに反応は?」

 

「ありません」

 

まほろば以下の別動隊はこの宙域より少し前からコスモタイガーのエネルギー消費と搭乗員の負担軽減の為、コスモタイガーによる哨戒を取りやめていた。

 

その為、次元潜航艦の探査は、まほろばとパトロール艦、畝傍が装備している空間ソナーが行っていた。

 

妨害についてもレーダー電波障害も取りやめ、ECMポットによる通信の妨害だけとしている。

 

やはり、敵のホームグラウンドでありパトロール隊、監視衛星等の監視網の中、レーダーが使えないと敵の発見が遅れるので、レーダーに関してはどうしても必要だった。

 

パトロール艦、畝傍のレーダー装置も就航から新型のレーダーが開発されるとアップグレードされており、戦艦にも負けないほどの探知機能を有している。

 

その為、現状の様に索敵が重要な戦況では畝傍の探査能力はありがたい。

 

すると、その畝傍のレーダーが艦隊らしき反応を捉えた。

 

「畝傍より発光信号。『敵艦隊らしき反応を捕捉。距離及び方位は‥‥』」

 

「攻撃目標前に艦隊が‥‥」

 

「パトロール艦隊か?」

 

「艦長、どうしますか?」

 

この宙域は敵のホームグラウンドであり、警戒・監視網は強力な筈だ。

 

そんな中で敵艦隊が出て来た。

 

単なるパトロール艦隊かもしれないが、この艦隊が自分たちを迎え撃つために出撃したてきたモノだったら‥‥

 

いや、どちらにしろ、こちらが捕捉出来たのだ。

 

向こう側もこちらを捕捉している可能性は充分にある。

 

艦隊のレーダーが捕捉できなくとも、監視衛星がこちらを捕捉して、その情報を送っているかもしれない。

 

「正規の攻撃目標ではないが、各空母へ発光信号。攻撃隊の発進を要請しろ」

 

良馬は捕捉した艦隊との戦闘を選択した。

 

「えっ?戦うんですか?」

 

「こちらが捕捉出来たんだ。当然向こうも捕捉しているだろう‥相手が空母を中心とした機動部隊だったら艦載機を早く跳ばした方が戦いを優位に進められる」

 

土星圏フェーベでの機動戦を経験した良馬だからこそ、敵よりも早く艦載機を展開させたかった。

 

そして、良馬の予想通り、ペツアモから出撃した艦隊もまほろば以下の別動隊を捕捉していた。

 

 

親ボラー連邦派 ペツアモ所属 機動部隊 旗艦 ネツォフ 艦橋

 

「司令官、監視衛星017がペツアモ方向へ航行する艦隊を捕捉しました」

 

オペレーターがグレゴールへ報告を入れる。

 

「なに!?ガルマン・ガミラスの艦隊か!?」

 

ペツアモ方向に向かっているのだから、友軍かセヴェル要塞を攻撃したガルマン・ガミラスの艦隊かとグレゴールは思った。

 

「いえ、解析した映像からガルマン・ガミラスの艦隊ではありません」

 

「ガルマン・ガミラスではない?では、友軍が?」

 

「それが、友軍でもありません」

 

「すると、どこの勢力だ?」

 

「艦影からガトランティスに似た艦影なのですが、純正なガトランティスとも言えません‥‥同盟国からの情報ではこれは地球の艦隊ではないかと‥‥」

 

「地球?」

 

「はい。オリオン腕方面にある小さな星系の中にある惑星です。そして、ガルマン・ガミラスの同盟国とのことです」

 

「なにっ!?ガルマン・ガミラスの同盟国だと!?」

 

ガルマン・ガミラスの艦隊ではないが、ガルマン・ガミラスの同盟国となればそれは自分たちボラー連邦派の勢力としては敵である。

 

「全艦に警報!!空母は艦載機の発艦用意!!」

 

グレゴールは直ちに全艦へ戦闘命令を下す。

 

各空母では、警報が鳴り響き艦載機が次々と発艦シークエンスへと入る。

 

そして、準備が整った機体から次々と空母を発進して行った。

 

一方その頃、まほろば以下の別動隊も既に艦載機を飛ばしていた。

 

「今回はECMポット、レーダー妨害衛星は射出しない。代わりに少しでも早く敵艦隊へ辿り着け!!全機、高速推進ポット点火!!」

 

コスモタイガー隊は速度を上げて敵艦隊を目指すが、その途中別動隊を目指して飛行する敵艦載機群を発見した。

 

「敵機発見!!」

 

「攻撃機隊はそのまま敵艦隊へ向かえ!!戦闘機隊はこのまま敵艦載機を迎え撃つぞ!!いいか、自分の命ではなく敵を落とせ!!」

 

『了解!!』

 

「よし、攻撃開始!!」

 

ひらりと翼を翻した隊長機に戦闘機隊が続いていく。

 

一方、ペツアモ側の艦載機隊はコスモタイガー隊をまだ探知していない様で、戦闘機同士の戦闘となればまず編隊を解除して散開するのだが、隊長機が上方から最初の一撃を放つまで敵艦載機は編隊を保っていた。

 

上方からの奇襲により敵艦載機群はあっという間にいくつかの火球が出来、敵のパイロットたちは宇宙の塵へと成り果てる。

 

いきなりの奇襲にやっと散開を始めるペツアモの艦載機群。

 

しかし、態勢を整える前にコスモタイガー隊は追撃をして戦果を広げていく。

 

一方、艦隊へ向かった攻撃機隊の方は‥‥

 

「見つけた敵艦隊だ‥‥全機攻撃態勢!!」

 

真空の宇宙空間ではあるが、コスモタイガー雷撃機タイプの攻撃機隊は急降下しながら敵艦隊へと迫る。

 

当然、相手は対空戦闘を行う。

 

密集隊形をとった空母からは対空弾幕が攻撃機隊に襲い掛かる。

 

被弾し、撃墜される機体も居るが、敵の対空砲にひるまず敵空母へと接近し、下部に装備している対艦ミサイルを敵空母へと叩きつける。

 

複数の対艦ミサイルを受け大破する空母が出始める。

 

「やった‥‥っ!?」

 

爆撃を終え、帰還行動に入ろうとした攻撃機が背後から攻撃を受ける。

 

「な、なんだ‥‥?あの機体は‥‥?」

 

被弾した攻撃機のパイロットが最後に見たのは機首に巨大な砲塔を持つこれまでボラー連邦、そしてボラー連邦派でも見た事の無い赤い機体だった。

 

「第二次攻撃隊発艦準備!!」

 

龍驤 龍鳳 神鷹の空母では第二次攻撃隊の発艦準備が行われる。

 

第二次攻撃隊の発艦準備が行われている理由は、第一次攻撃隊からの通信で、

 

『敵の新型機により第一次攻撃隊に甚大な被害!!第二次攻撃隊の発艦を求む!!』

 

と言う内容の通信が入ったからだ。

 

第一次攻撃隊は増援を求めつつも必死に敵艦隊を攻撃していた。

 

「八番機被弾!!」

 

「十番機も墜ちます!!」

 

「くそっ、ことごとくあの新型機に‥‥」

 

攻撃隊の隊長機は、自分たちの戦隊に壊滅的被害を齎せたボラー連邦派の新型機を睨みつける。

 

(あいつを始末しなければ、死んでも死にきれない‥‥)

 

(我が愛機も被弾し、もうすぐ機体は‥‥)

 

隊長機も既に被弾しており、残された時間は少ない。

 

「隊長!!消火は可能ですか!?」

 

「ざ、残念だが手遅れだ‥‥状況は我々に不利だが、今ここで帰還行動をとれば、奴らは送り狼となり、艦隊を危険に晒す事になる‥‥この宙域で少しでも多くの敵を葬れ!!我々にはその道しかない!!」

 

「隊長‥‥」

 

第一次攻撃隊は艦隊を守る為、母艦への帰還を諦め、決死の覚悟でこの場に留まり、少しでも敵に被害を与える。

 

 

親ボラー連邦派 ペツアモ所属 機動部隊 旗艦 ネツォフ 艦橋

 

別動隊の第一次攻撃隊が壊滅しようとしている中、ペツアモの機動部隊が発艦させた艦載機群もコスモタイガー隊の襲撃を受け、壊滅寸前の被害を受けていた。

 

「司令官、味方の第一次攻撃隊に甚大な被害!!」

 

「攻撃隊は索敵攻撃中に敵戦闘機隊の襲撃を受けた模様です!!」

 

「味方の艦載機が襲撃を受けた宙域の情報もCICへ送れ!!この宙域周辺の監視衛星の映像は!?」

 

「少々お待ちください。すぐに検索を掛けます!!」

 

「映像が届き次第、それもCICに送れ!!」

 

「了解!!」

 

(敵機の数から敵の空母は恐らく搭載機数が少ない小型空母‥‥)

 

(と、なれば艦載機のほとんどを発艦させている筈だ‥‥)

 

(母艦さえ叩き潰せば、残りの敵機などリトビャク中尉たちで十分処理できる)

 

「司令官、CICより、敵艦隊の予想位置が判明しました!!」

 

「よし、その情報を直ちに全機へ送れ!!そして、第二次攻撃隊も発艦させろ!!」

 

「了解!!」

 

別動隊の位置を突き止めたペツアモの機動部隊は直ぐにその情報を第一次攻撃隊の迎撃を行っている艦載機部隊へと送る。

 

「ん?ネツォフから通信?」

 

当然その情報は、リューシン₋01に搭乗しているリトビャクの下にも伝えられる。

 

通信内容を聞き、チラッと通信を送ってきた艦隊旗艦のネツォフを見る。

 

すると、ネツォフの後方から一機の被弾し煙を吐いたコスモタイガー雷撃タイプが迫っていた。

 

しかもそれは艦橋への直撃コースであった。

 

「っ!?司令官!!危ない!!」

 

リトビャクはリューシン₋01のコックピット内で思わずネツォフに居るグレゴールへ叫ぶが、当然グレゴールにリトビャクの叫びは聞こえない。

 

ネツォフは第二次攻撃隊の発艦を行っていたので、回避する事も出来ず、コスモタイガー雷撃タイプの特攻を受け、艦橋部が吹き飛んだ。

 

そして、艦橋部の爆発は次第に艦全体へと広がって行き、ネツォフは発艦作業の中、爆発をした。

 

(グレゴール司令‥‥貴方はボラー連邦の人でしたが、軍人として貴方は誇るべき我が軍の司令官でした‥‥)

 

爆発するネツォフに対してリトビャクは敬礼をして見送った。

 

旗艦を沈めたとは言え、ペツアモの艦艇はまだ存在しており、更に第二次攻撃隊は別動隊へと向かい始めた。

 

ペツアモ艦隊への攻撃に関して、攻撃隊の壊滅と言う事実は畝傍が友軍機をマーキングしており、その反応が消えた事で判明した。

 

「艦長、敵艦隊へ向かった攻撃隊が全滅した模様です!!」

 

「全滅!?」

 

「はい。戦闘機隊は健在ですが、敵は第二波攻撃隊をこちらに向かって発進させた様です」

 

「各空母へ通達。第二次攻撃隊は戦闘機のみ発艦させろ。まほろばからもコスモタイガーを発進させろ」

 

「は、はい」

 

「なにっ!?第一次攻撃隊の攻撃隊が全滅!?」

 

「敵の艦載機が近づいているらしいぞ!!」

 

「攻撃隊を全滅させるとは、かなりの大艦隊と言う事か!?」

 

第一次攻撃隊の攻撃隊が全滅と言う事実にコスモタイガーのパイロットたちは困惑している。

 

しかし、敵の大編隊が接近している中で、いつまでも困惑している暇はなく、降りかかる火の粉は避けなければならない。

 

「敵は戦爆連合五十七機!!」

 

「方位220度方向から我が艦隊へ進撃中!!」

 

龍驤 龍鳳 神鷹からは通常のコスモタイガーが発艦し、まほろばからもコスモタイガーが発進する。

 

玲はカタパルトからコスモゼロにて出撃した。

 

一方、別動隊に向かっているペツアモの第二次攻撃隊は‥‥

 

「中尉、第一次攻撃隊の援護を行いそこから敵艦隊へ向かいますか?」

 

「‥‥いや、第一次攻撃隊にはそのまま敵戦闘機の相手をしてもらい、我々はこのまま敵艦隊への攻撃を敢行する」

 

リトビャクは味方の第一次攻撃隊を囮にして、第二次攻撃隊はそのまま別動隊を目指した。

 

「居た!!敵の大編隊だ!!」

 

「全機突入!!一機も艦隊へは近づけさせるな!!」

 

やがて、コスモタイガー隊とペツアモの第二次攻撃隊は互いに遭遇し、戦闘となる。

 

「此奴らは私たち戦闘機隊に任せて、爆撃機隊はそのまま敵艦隊へ迎え!!」

 

ペツアモの第二次攻撃隊は戦闘機隊と爆撃機隊と分かれる。

 

「艦隊へ!?くっ‥‥」

 

それに気づいたコスモタイガーのパイロットであるが、その後方からペツアモの戦闘機が攻撃してくる。

 

「ちぃっ!!邪魔するな!!」

 

ペツアモの戦闘機隊の攻撃に阻まれて爆撃機隊へ攻撃できず、否が応でもまずは敵戦闘機の相手をしなければならなかった。

 

その間、爆撃機隊は別動隊へと迫る。

 

「第二次攻撃隊より、敵爆撃機の編隊がこちらに向かっているそうです」

 

「‥‥畝傍に通達。畝傍は空母部隊を率いて暗黒ガス雲の中へ退避。敵爆撃機隊は本艦と駆逐艦群で相手をする」

 

良馬は空母部隊を守る為にまほろばと駆逐艦群を盾とし、畝傍には空母部隊の案内役として、空母部隊と共に暗黒ガス雲へ退避するように伝える。

 

畝傍の索敵能力と通信能力があれば、暗黒ガス雲でも衝突することなく、また見失うことなく空母部隊をナビゲート出来る筈だ。

 

良馬からの指示を受け、畝傍を先頭に空母部隊は直ちに暗黒ガス雲へ針路をとる。

 

「各艦、対空戦闘用意!!」

 

(防空仕様にした功がまさか此処で活かされるとはな‥‥)

 

改装前の状態では対空戦闘に若干の不安があったが、こうして対空戦闘能力を上げたことでその不安は払拭された。

 

一方、コスモタイガー隊の迎撃網を掻い潜り、別動隊へと迫るペツアモの爆撃機隊はと言うと‥‥

 

「隊長、敵の空母部隊が暗黒ガス雲に逃げて行きます!!」

 

「くっ、今から追いかけても‥‥間に合わないか‥‥」

 

畝傍と空母部隊は既に暗黒ガス雲へと入り始めており、今から追いかけたところで暗黒ガス雲の手前で空母に攻撃を仕掛けることは出来そうにない。

 

暗黒ガス雲内では電子偵察機の誘導なしに突入するのはあまりにも無謀だ。

 

「ですが、隊長。まだ獲物は残っていますよ!!」

 

空母部隊には逃げられたがまだ通常空間にはまほろばと駆逐艦群が残っていた。

 

いや、敢えて残っていたのだ。

 

「よし、全機あのデカブツを仕留めるぞ!!貧弱な駆逐艦なんて放っておけ!!」

 

『了解!!』

 

ペツアモの攻撃隊は、まほろばを攻撃目標にして迫る。

 

対空砲火を始めた駆逐艦群を無視してまほろばへと接近するペツアモの攻撃隊。

 

「敵機接近!!」

 

「対空戦闘開始!!」

 

まほろばの主砲、副砲、パルスレーザー砲塔、ミサイルが一斉に吹き、迫りくるペツアモの攻撃隊に襲い掛かる。

 

「デカい戦艦と思ったが、対空戦闘能力も凄まじいな‥‥」

 

まほろば直上から急降下爆撃機を行う機体もあるが、煙突ミサイルで迎撃する。

 

船体下部に潜り込んだ機体も船体下部にある魚雷や爆雷で迎撃する。

 

「くそっ、奴は要塞かよ!?」

 

激しい対空砲火を受け、ペツアモの攻撃隊のパイロットは思わず毒づく。

 

攻撃隊がまほろばに返り討ちに遭っている中、コスモタイガー隊とペツアモの戦闘機隊の戦闘では一進一退の艦載機戦が繰り広げられていた。

 

そんな艦載機戦で一際目を引いたのが、リトビャクのリューシン₋01だ。

 

「あの赤い機体、ボラー派の新型か!?」

 

「艦載機なのに対艦砲みたいなデカい砲を積んでいやがる!!」

 

「あんな大口径の砲撃を受けたら、コスモタイガーじゃあひとたまりもないぞ!!」

 

「しかもあんなデカい砲を積んでいるのに、スラスターがあちこちに装備しているから速度も旋回性も高い!!」

 

艦載機に搭載するとは思えないくらいの大きな砲を搭載しているのだから、動きが鈍いのかと思いきや、設計者はそうしたリスクを考慮して機体のあちこちにスラスターを備えて機体の旋回性を下げず、速度もコスモタイガーに着いて来れるほどの速度を有していた。

 

一方でリトビャクの方も敵艦載機群の中で気になる機体が居た。

 

「な、なんだ!?あいつは!?」

 

味方のパイロットから驚愕した声がしたと思うとすぐに通信が切れた。

 

リトビャクが確認すると、機首・垂直尾翼・主翼に突起状の特徴を持つ機体が味方の戦闘機を次々と血祭りにあげていた。

 

その動きは疾風のように鋭く、その戦闘機に背後を取られた機体は三秒後には残骸と成り果てている。

 

果敢に挑む味方の戦闘機も居るが、あっさりと返り討ちに遭っている。

 

(あいつはきっと敵のエースパイロット‥‥)

 

(あいつを討ち取らなければ、私たちの故郷の空が‥‥)

 

(私の腕とリューシンの力があれば‥‥)

 

リトビャクは狙いを敵のエースパイロットが搭乗するその機体へと定める。

 

 

玲は八機目の敵機を堕とし、興奮していたこともあり、後ろから舞い降りた敵機の存在に気づくのが一瞬遅れた。

 

今までの敵機を相手にするように左右に大きな重力がかかる機動を行ったが、この敵機は全く振り切れることなく玲のコスモゼロへロックをかけようとしてくる。

 

(こ、こいつ‥‥やる!!)

 

パイロットは空中戦闘開始から数秒で相手の力量を知ると聞く。

 

機体を左右に振りながら玲は自分の背後に居る敵機のパイロットに対して玲の心に相手を尊敬する気持ちが芽生える。

 

だが、例え尊敬する相手でも相手は敵であり自分を堕とそうとしてくる。

 

振り切ろうと機体を揺すると重力が玲の身体に掛かり、体力と気力を奪っていく。

 

そんな中、敵機にロックオンされた警報音がコスモゼロのコックピット内に鳴り響く。

 

「くっ‥‥」

 

操縦桿を握る手に力が籠る。

 

(いいか、玲。艦載機戦は不思議なものでな‥‥)

 

(不思議?)

 

(ああ、何千発の対空砲火、敵の攻撃を受ける中を飛んでも当たらない時にはかすりもしない)

 

(‥‥)

 

そんな中、玲の脳裏に兄である明夫の言葉が過る。

 

(だがな、当たる時は流れ弾でも当たる。俺たちパイロットは腕を磨き生き残るために生死の努力をする‥‥それに死は生きる事を諦めた方に訪れる。いいか、玲‥最後の最後まで生きることを諦めるなよ)

 

「‥‥ええ‥そうね。こんな所で死ぬわけにはいかない!!」

 

「良い腕ね。でも、これで‥‥」

 

リトビャクは照準器越しにロックしたコスモゼロを見ながら思わず舌なめずりをしながら機銃の発射ボタンに手を置き、ボタンを押そうとする。

 

すると、機銃を放つ前に眼前に居た玲のコスモゼロが消えた。

 

「っ!?な、なに!?」

 

玲のコスモゼロは前方下部のバーニアを吹かして一気に減速すると、上方後方に飛び上がった。

 

高速でコスモゼロの背後から迫っていたリトビャクにとって、玲のコスモゼロが消えた様に見えたのだ。

 

リトビャクのリューシン₋01が玲のコスモゼロの下を通過したことを玲は確認後、今後は機体上面のバーニアを吹かして機体を水平に戻し、アフターバーナーを吹かして、リトビャクのリューシン₋01の後方につける。

 

「くそっ!!」

 

攻守が逆となり、今度はリトビャクが機体を左右に振り、玲のコスモゼロを引き離そうとする。

 

「沈め‥‥」

 

玲は機首に装備されている陽電子砲を数発放つ。

 

コスモゼロの陽電子砲弾はリトビャクのリューシン₋01の後部中央と左舷付近に命中する。

 

被弾箇所からは紅蓮の炎が噴き出し、その噴射と被弾の影響でリトビャクのリューシン₋01は機体の維持を出来ずに錐揉み状態となる。

 

「そ、祖国‥万歳‥‥」

 

リトビャクのその言葉を最後にリューシン₋01はリトビャクと共に爆散した。

 

「良い腕をしたパイロットだった‥‥」

 

玲は錐揉み状態となり、爆散したリトビャクのリューシン₋01へ敬礼を捧げた。

 

うぬぼれではなく、自分とあのパイロットの腕はほぼ互角だったと思い、ほんの少しの差で宇宙に爆散していたのは自分だったかもしれない。

 

玲は一息つくが、まだ敵の戦闘機が存在しているので、油断は出来ず、玲は再び敵機を狩る。

 

「リ、リトビャク中尉が堕とされた!!」

 

「中尉が‥‥」

 

「そんなバカなっ!?」

 

リトビャクのリューシン₋01の撃墜はペツアモの戦闘機隊に大きな衝撃を与える。

 

「ちゅ、中尉でも勝てなかった奴に勝てるのか?」

 

「む、無理だ‥‥」

 

兵が最も不安に陥るのは敗北の予感に襲われる瞬間だ。

 

特に指揮官、エースパイロットの戦死だ。

 

大勢の部下の前で、絶対的な存在である指揮官やエースパイロットが戦死しては残された部下は不安となり、それが敗北に繋がる。

 

「て、撤退だ!!」

 

既に空母部隊は暗黒ガス雲内に逃げてしまい、攻撃目標のまほろばの強力な対空砲火で攻撃隊は決定打を撃てずに壊滅状態‥‥

 

戦闘機隊も段々とその数を減らしている。

 

これ以上此処に居たら、全滅だ。

 

残った戦闘機隊は撤退を始めた。

 

敵機の撤退を確認した良馬は、畝傍と空母部隊を暗黒ガス雲内からの脱出、及びコスモタイガー隊の撤収を命じた。

 

「航空隊収容と同時に現宙域を撤退する」

 

「撤退ですか?」

 

「航空隊にかなりの被害を出した。これ以上の進撃は消耗戦となる。空母あっての航空戦力だが、航空機あっての航空機戦力でもある。これ以上の犠牲は無用だ。時間をかけると敵の大艦隊が襲来する可能性が高い。いくらまほろばでも一惑星国家の宇宙艦隊全てを相手にして勝てると思うか?」

 

「そ、そうですね。直ちに命令を通達します」

 

そして、航空隊を収容するとこの宙域からの撤退を開始した。

 

今回の戦闘で別動隊の艦船には被害はなかったが、航空隊には大きな被害を出す結果となった。

 

ラップが率いる第二艦隊も別動隊と同じ様にセヴァトス所属の哨戒艦隊と遭遇し、航空機戦となり、別動隊同様、艦船に被害はなかったが、やはり航空機隊には少なからずの被害を受ける事となった。

 

しかし、アルファ星に戻った際知る事となる他の艦隊と比べると、第二艦隊は被害も少なければ、戦果も十分な結果であった。

 

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