星の海へ   作:ステルス兄貴

222 / 294
今回、管理局側の場面にて、登場したクラーク・オサリバンはその名の通り、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに登場したアナハイム・エレクトロニクス社の常務、オサリバン(名前の部分はオリジナル)。

そして、ニナ・パープルトンも機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに登場したニナ・パープルトンと同じ容姿をイメージしてください。

ただし、両名ともMSが存在しない管理局の局員なので、MSの関係者ではなく造艦技師と言う設定です。


二百十三話 遠征そのⅣ・管理局艦政部造艦科での出来事

 

 

バジウド星系におけるボラー連邦派の勢力を討伐する為、地球本土とケンタウロス座アルファ星から遠征艦隊が出撃したが、バジウド星系内にあるバース星からも駐屯している地球艦隊も遠征が決まっていた。

 

バース星所属の遠征艦隊は、エイパー・シナプスを司令官とする艦隊で、その戦力は、

 

プリンス・オブ・ウェールズ級戦艦のハウを旗艦として、

 

 

【挿絵表示】

 

 

速力を重視したドレッドノート級主力戦艦 後期生産型 乙型のフッド レパルス

 

巡洋艦のドーセットシャー

 

駆逐艦四隻

 

支援部隊としてギンガが副長を務める新型巡洋艦 八雲

 

彗星帝国戦役前に建造された前期生産型巡洋艦 アルジェリー 香椎

 

駆逐艦六隻の編成となった。

 

攻撃目標は親ボラー連邦派のマノフ。

 

シナプス自身もやはり今回の遠征については反対派であったが、上からの命令ではいくら反対をしても覆らないので、シナプスは複雑な思いを抱いて出撃する事となった。

 

アルファ星駐屯基地からそれぞれの攻撃目標を目指して出撃した頃、バース星駐屯艦隊もマノフを目指して出撃するが、支援艦隊所属のアルジュリーが出撃直前に機関不良を起こした。

 

通常ならば、機関不良を起こした艦は作戦に不参加として置いて行くが、バース星駐屯艦隊がただでさえ艦艇数が少ない。

 

なので、残留すると言う選択肢はなく、基地の整備兵を総動員して機関の修理が行われた。

 

シナプスはアルジュリーの修理が待てず、ひとまず自分が率いる艦隊を先行出撃した。

 

少数艦隊が幸いしたのか出撃した後、敵の次元潜航艦の襲撃も敵の哨戒艦隊に見つかることなく進撃することが出来た。

 

「運よく、敵に見つかることなくここまで来ることが出来ましたね」

 

「ああ、何だか拍子抜けするな」

 

シナプスは苦笑交じりに呟く。

 

「ですが、この先もこうした航海が続けば良いんですけどね」

 

「しかし、困った‥‥」

 

敵に見つからず、此処まで来れた事は幸運であったが、現状ある悩みが生じた。

 

アルジュリーの修理が戸惑っているのか未だに支援部隊と合流出来ずにおり、このままでは攻撃目標であるマノフへはシナプスの艦隊のみで突入する事になりそうなのだ。

 

バラバラに行動をすると各個撃破されてしまう。

 

バース星駐屯艦隊はただでさえ艦艇数が少ないのだ。

 

「いっそのこと、速度を落としますか?」

 

「しかし、それだと敵に発見されるリスクが高くなりませんか?」

 

「‥‥航海長、このままの速度で進撃すると目的地にはどれくらいになる?」

 

「約十二時間後になります」

 

「まずいな‥‥何かいい案はないか?」

 

「ひとまず、速力を落としまずが、偵察機をだしてこの先の敵情偵察を行ってみてはどうでしょうか?」

 

「うむ、そうしよう‥敵状を知ることが出来ればこの先の戦いを少しでも有利に展開することが出来るかもしれぬし、後から来る支援部隊にも知らせることが出来るしな」

 

三隻の戦艦に搭載されている偵察機が飛び立ち、この先の敵状視察へと向かった。

 

その偵察機が情報を伝えたのが、一時間後であった。

 

マノフ前にあるラプニコフ海峡星団にて敵艦隊の姿が確認できた。

 

 

「急げ!!何としてでも先行艦隊との合流をしなければならん!!全艦全速前進!!」

 

僚艦の機関トラブルで遅れてしまった八雲を含めた支援部隊は全速でシナプス艦隊を追いかけた。

 

支援部隊は巡洋艦と駆逐艦で構成された部隊なので速力はあったので、支援部隊は全速でシナプス艦隊を追いかけていた。

 

一方、先行していたシナプス艦隊は支援部隊との合流を諦め、単独で進撃する肚を決めた。

 

「支援部隊の予想現在地はこの宙域となります」

 

「くそっ、いくら巡洋艦と駆逐艦を中心とした部隊でも到着までまだ時間がかかるぞ‥‥」

 

「この宙域に留まっては敵の次元潜航艦の襲撃を受ける可能性もあります」

 

「では反転して、支援部隊との合流を図りますか?」

 

「それだと、ラプニコフ海峡星団に展開する敵に対して背中を見せる事になる。追撃されたらそれはそれで厄介だ」

 

此処まで敵に発見されずに進撃したシナプス艦隊は無傷のままラプニコフ海峡星団付近まで進出していた。

 

旗艦であるハウのレーダーには敵の艦船が多数映っており、此処で反転して支援部隊との合流をしようとすると、背後から攻撃を受ける事になる。

 

かと言って、この宙域で留まり、支援部隊を待てば次元潜航艦の餌食となる。

 

「もはや支援部隊を待つ余裕は無い。やむなし‥全艦突入」

 

「全艦突入!!」

 

「全艦戦闘準備!!」

 

意を決したシナプスは静かに命令を下した。

 

シナプス艦隊を迎え撃つのは、親ボラー連邦派マノフの宇宙艦隊所属、パエル・ルーデンドフ提督の艦隊で、その陣容は‥‥

 

大型新鋭戦艦二隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

アポストロ級航宙戦艦 三隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

旗艦としてルーデンドフ提督が座上するセヴァストー級航宙戦闘艦 一隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

ラザレフ級航宙戦闘艦 十隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

小型戦闘艇 十九隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

護衛艦 十六隻

 

 

【挿絵表示】

 

 

と、シナプス艦隊の艦数よりも多かった。

 

 

親ボラー連邦派 マノフ所属 セヴァストー級航宙戦闘艦 アルメス 艦橋

 

「ルーデンドフ提督。ラプニコフ海峡星団へ接近して来る艦影を捕捉しました」

 

「艦影だと?味方識別信号は?」

 

「ありません」

 

「ふむ、では敵と言う事だな?」

 

「はい。おそらくガルマン・ガミラスまたはガルマン派に所属する星間国家の艦隊かと思われます」

 

「では、盛大に祝ってやろう。参謀長、出迎えの戦闘艇部隊の配置は完了しているか?」

 

「はっ、海峡付近に戦闘艇部隊は既に配置済みです」

 

「よし、ただちに出撃と攻撃命令を下令しろ」

 

「はっ!!」

 

ルーデンドフの決断は早く、先陣の戦闘艇部隊に攻撃命令が下された。

 

シナプス艦隊がラプニコフ海峡星団へ進撃すると、敵の小型戦闘艇が出現した。

 

戦闘艇部隊は魚雷攻撃をしては一撃離脱する戦法をとってきた。

 

「左舷より魚雷接近!!」

 

ハウは左舷に四発の魚雷を受けた。

 

「やはり待ち伏せをしていたか‥‥被害は?」

 

「軽微です。戦闘、航行ともに影響はありません!!」

 

「よし、反撃に移る!!主砲、発射!!」

 

ハウを始めとする戦艦部隊が主砲による遠距離砲撃を行う。

 

しかし、射程距離ギリギリで放ったため、初弾は外れた。

 

 

親ボラー連邦派 マノフ所属 セヴァストー級航宙戦闘艦 アルメス 艦橋

 

「敵艦隊は発砲しながら接近中」

 

「戦闘艇部隊は?」

 

「攻撃は行っていますが、決定打は無い模様です」

 

普通、小型の戦闘艇相手に戦艦の主砲は撃ち込まない。

 

命中率も悪く、接近戦にも不向きなので、射撃の効力が無いからである。

 

ルーデンドフ自身も小型の戦闘艇部隊に大きな働きも期待もしていなかった。

 

「いかがなさいますか?」

 

「引き続き戦闘艇部隊には攻撃を続行させろ!!敵を攪乱してくれればそれでいい!!」

 

高速で小回りも効く戦闘艇は海峡のいたるところに忍ばせており、敵が進めば進むにつれて四方八方から攻撃が可能になって来る。

 

撃沈までとはいかなくてもチマチマとダメージを蓄積させるか、本隊の攻撃で落伍した損傷艦を始末してくれればいい。

 

ところが、シナプス艦隊はそんなこともおかまいなしに進撃して来る。

 

自分たちよりも数が少ないにもかかわらず、進撃して来る姿はルーデンドフ艦隊の将兵たちにとっては蛮勇にも見えた。

 

しかし、そんなシナプス艦隊と最初に砲火を交える事になった小型戦闘艇の部隊も同じ様にシナプス艦隊へと接近して攻撃を仕掛ける。

 

戦艦では対処が難しいので、駆逐艦がその対象にあたる。

 

戦闘艇は小型で防御面も脆く、一発のショックカノン、ミサイル、魚雷、が命中すればあっという間に爆散する。

 

奇襲に近い攻撃を行うも、態勢を立て直したシナプス艦隊の駆逐艦群の攻撃を受けて、戦闘艇部隊は次第にその数を減らしていく。

 

小型戦闘艇群を抜けると、次はスペース・ロックを主兵装とするラザレフ級航宙戦闘艦が立ち塞がる。

 

ボラー連邦が誇る誘導ミサイル、スペース・ロックがシナプス艦隊に襲い掛かる。

 

「シナプス司令、敵の誘導ミサイルです!!」

 

スペース・ロックについては既に防衛軍側も情報を得ていた。

 

「波動爆雷とフレアで周囲を固めろ!!」

 

スペース・ロック迎撃のため、ハウ、フッド、レパルス、ドーセットシャーからは波動爆雷とデコイとなるフレアを放出する。

 

スペース・ロックと波動爆雷、フレアが互いに命中してラプニコフ海峡星団に爆炎の花が咲く。

 

迎撃に成功したかと思ったが、迎撃網を潜り抜けたスペース・ロックがシナプス艦隊へと迫る。

 

そして、シナプス艦隊に所属している駆逐艦、テネトスの艦橋付近に命中すると、テネトスは大爆発を起こす。

 

この轟沈の原因は、搭載していたミサイルと魚雷による誘爆であった。

 

テネトスに続き、同じく駆逐艦、サネットもスペース・ロックが命中。

 

テネトスと違い、轟沈はしなかったが、航行不能に陥り落伍する。

 

二隻の敵討ちではないが、駆逐艦、ジャーヴィスがラザレフ級航宙戦闘艦へミサイルと魚雷を撃つ。

 

ジャーヴィスが撃ったミサイルと魚雷は二隻のラザレフ級航宙戦闘艦の艦首部に命中するが、撃沈には至らなかった。

 

「テネトス爆沈!!」

 

「サネットも被弾し落伍!!」

 

「司令官、乗員を救助しますか!?」

 

副官がシナプスに損傷艦の乗員たちの救助を訊ねるがシナプスの返答は意外にも冷たかった。

 

「救助をすれば、艦を止めなければならない‥‥そうなれば、その艦も被弾して沈んでしまう‥‥よって救助は‥出来ない‥‥」

 

冷たい言葉を言うシナプスであったが、彼の表情と声は重く悔しそうであった。

 

ただでさえ、艦船数が敵よりも少ないのだ。

 

救助で時間を割く事は出来ないし、救助をするには艦を止めなければならない。

 

この状況下で艦を止めれば、格好の的であり、被弾すれば無駄に戦力を喪失する結果になる。

 

シナプスは味方艦の救助を泣く泣く諦め進撃を続ける。

 

シナプス艦隊、三隻目の被害艦はドレッドノート級後期生産乙型のレパルスであった。

 

後期生産乙型は速力重視をした型なので、通常のドレッドノート級よりも装甲が薄い。

 

レパルスに発生した火災は艦の後部へと広がり、やがて艦全体が爆炎に包まれる。

 

シナプス艦隊にとって戦艦の喪失は大きな戦力ダウンとなり、かなりの痛手となる。

 

レパルスが被弾してから直ぐに駆逐艦、ストロングホールドも艦首に被弾した。

 

戦局がいよいよ敗色濃厚となった時、

 

「司令官!!巡洋艦、八雲より通信が入りました!!」

 

支援部隊所属の八雲が通信可能圏内に入り、ハウに通信を入れた。

 

その内容は‥‥

 

「我、戦場に到達セリ」

 

と、支援部隊の到着を知らせる内容であった。

 

戦場であるラプニコフ海峡星団に到着した八雲以下の支援部隊はシナプス艦隊が撃ち漏らした小型戦闘艇部隊と交戦状態となる。

 

八雲は右舷方向から来る魚雷を避ける事に成功する。

 

しかし、八雲の影になって接近して来る魚雷の発見が遅れた香椎の艦首部に魚雷が突き刺さる。

 

幸い不発弾だったみたいであるが、香椎の乗員たちとしては急ぎ、その不発弾を除去しなければならない。

 

魚雷自体は不発であってもその魚雷に敵のショックカノンが当たれば誘爆する可能性がある。

 

香椎の技術班員たちは外が戦場の中、必死に不発魚雷の除去作業を行った。

 

小型戦闘艇をあらかた片付けた支援部隊は八雲を先頭にシナプス艦隊の後を追う。

 

しかし、八雲の艦橋からは明らかに交戦中と思われる大型艦が爆発し、炎に包まれたのが、肉眼で確認出来た。

 

「戦艦レパルス、被弾し轟沈!!」

 

「レパルスが‥‥」

 

八雲の艦橋員たちは轟沈するレパルスの姿を見て唖然とする。

 

シナプス艦隊は戦艦であるレパルスを失うも攻撃精神は衰えず、ルーデンドフ艦隊への攻撃を止めない。

 

シナプス艦隊は誘導ミサイルを放つラザレフ級航宙戦闘艦を優先的に攻撃する。

 

ラザレフ級航宙戦闘艦の一隻、マラトフはスペース・ロックを放とうとした時、スペース・ロック発射管にショックカノンが命中し、爆沈する。

 

「至急、戦艦部隊の支援を乞う!!」

 

前線に展開するラザレフ級航宙戦闘艦からは同様の電文が後方に展開する戦艦部隊へ届く。

 

ラザレフ級航宙戦闘艦の主武装で切り札でもあるスペース・ロックが波動爆雷とフレアで無効化されては、ラザレフ級航宙戦闘艦が戦艦を相手にするのは少々厳しい。

 

案の定、ラザレフ級航宙戦闘艦同士が衝突する事態が起きた。

 

「くそっ、戦艦部隊の奴らは一体何をしているんだ!?」

 

そう言う遠慮のない声がラザレフ級航宙戦闘艦の艦内で響いた時、ルーデンドフは護衛艦を前面に立て、戦艦部隊を率いて来た。

 

やがて、シナプス艦隊、ルーデンドフ艦隊の距離が縮んでいくなか、まずは護衛艦部隊が発砲し、続いて戦艦部隊も砲撃する。

 

シナプス艦隊のハウとフッドも戦艦部隊を狙い砲撃する。

 

巡洋艦のドーセットシャーの主砲では敵戦艦部隊に大きなダメージは与えられないので、護衛艦部隊に向けて発砲し、敵の護衛艦一隻を沈める事に成功した。

 

駆逐艦のジャーヴィスも戦艦ではなく、ドーセットシャーと共に敵の護衛艦部隊へ攻撃を集中する。

 

しかし、多数の護衛艦部隊と交戦したドーセットシャーは左舷機関部付近に命中弾を受けて、速力が低下する。

 

「全速はもう出せないが、艦が動く限り進撃を止めるな!!」

 

ドーセットシャーの艦長は、這ってでも敵艦へと近づき、砲雷撃戦を続けるつもりだ。

 

ドーセットシャーとジャーヴィスが護衛艦部隊の相手をしている間、ハウとフッドは戦艦部隊と激しい砲撃戦を繰り広げていた。

 

フッドが主砲を発射した時、フッドで激しい爆発が起き、艦橋に居た全員が床に叩きつけられる。

 

「い、一体何事だ‥‥」

 

フッドの艦長が艦に何が起きたのかを副長に訊ねる。

 

「第一‥‥第二主砲に命中‥‥ゆ、誘爆が‥起きたようです‥‥」

 

副長は苦しそうな声でフッドに何が起きたのかを報告する。

 

「こ、これまでか‥‥」

 

フッドの艦長はその場にバタッと倒れた。

 

その直後、フッドは再び大爆発を起こした。

 

戦艦フッドの爆沈はハウの方でも確認出来た。

 

しかし、シナプスを始めとするハウの乗員たちには悲しんでいる暇もなく、敵戦艦からの砲撃がハウを襲う。

 

「第二主砲被弾!!」

 

「隔壁を閉じろ!!」

 

「各被弾箇所で火災発生!!」

 

「消火急げ!!」

 

「格納庫付近にも命中!!」

 

「くそっ、使用可能な主砲は撃って、撃って、撃ちまくれ!!」

 

戦う前から戦力差が分かっていた。

 

しかし、軍人としてのプライドが敵前逃亡なんて出来なかった。

 

「此処で一矢報いなければ、軍人として恥であり、戦死した戦友たちに申し訳がない‥‥」

 

此処まで来るのに大勢の戦友たちが戦死した。

 

此処で反転して逃げては戦死した軍人たちの死さえも蔑ろにする行為だ。

 

「撃てる限り、撃つのだ!!」

 

シナプスはハウが沈むまで、攻撃を止めるような男ではなかった。

 

その時、ハウに今までにない衝撃が艦全体に走った。

 

「命中弾多数!!」

 

「伝導菅破損!!波動エネルギーが主砲に伝達できません!!」

 

「ショックカノンがダメならば、ミサイルと魚雷、実弾で攻撃せよ!!」

 

まだミサイル発射管は沈黙していないので、攻撃手段があるならば、それらを使用してでも敵への攻撃を一切止めようとしないシナプスであったが、エネルギー伝導管から漏れた波動エネルギーが誘爆してハウは艦首で大爆発を起こし、その爆発は艦橋、艦尾へと広がり、ハウは轟沈した。

 

フッドが爆沈する前、八雲を始めとする支援部隊は先に爆沈したレパルスの残骸の傍を通過する。

 

レパルスの残骸付近には艦の構造物の残骸以外にも乗員の亡骸も漂っていた。

 

前方には未だにルーデンドフ艦隊と奮戦しているシナプス艦隊の姿が確認できる。

 

そして、機関部に被弾し、速力が低下したドーセットシャーと無傷のジャーヴィスの姿が確認できた。

 

「ドーセットシャー、ジャーヴィスの前方に敵護衛艦部隊、ハウ、フッドの前方には敵の戦艦部隊を確認!!」

 

八雲のコスモレーダーが敵艦隊の全容を捕捉した時、

 

「戦艦フッド、爆沈!!」

 

フッドが爆沈した。

 

「これで残る戦艦はシナプス司令のハウだけか‥‥」

 

瓢は自軍と敵との戦力差からこれ以上、戦っても大した戦果は得られないと悟る。

 

(もともと、バース星駐屯艦隊の規模では大きな戦果は期待できないことぐらい、分かるだろうに‥‥)

 

シナプスと異なり、瓢は艦と部下たちの生命の安全を守る義務感からこれ以上の進撃は味方の被害をいたずらに多く出すだけの無意味な戦いだと判断し、シナプスへ撤退を進言しようとした中、

 

「ハウ被弾し大破!!」

 

「なにっ!?」

 

シナプスが乗艦するハウが大破する。

 

「すぐにハウのシナプス司令官に通信!!撤退を進言しろ!!」

 

「りょ、了解!!」

 

通信長がハウへ通信を入れようとしたら、

 

「ハウ、爆沈しました!!」

 

「‥‥」

 

ハウが沈んでしまった。

 

「‥‥残存艦へ通達!!直ちに撤退だ!!」

 

旗艦であるハウが沈んだ事で、支援部隊の指揮官である瓢がドーセットシャーとジャーヴィスへ残存艦隊の指揮を執る旨を伝えると同時に全艦へ撤退命令を下す。

 

瓢の命令を受けて、残存艦隊は反転し、撤退行動に入る。

 

「殿は八雲が務める!!」

 

無傷で支援部隊の中でも新鋭艦で重巡クラスの八雲が残存艦の撤退を支援する。

 

ドーセットシャーとジャーヴィスが支援部隊との合流を図る中、

 

「ドーセットシャーがこちらに向かってきます!!」

 

機関部を損傷して、速力が低下し、舵の利きが悪いドーセットシャーが八雲に向かってくる。

 

ドーセットシャーの艦首が八雲の艦首と接触する。

 

金属が擦れるような音と衝撃が八雲に襲い掛かる。

 

恐らくドーセットシャーも同様の事態が起きただろう。

 

ドーセットシャーとの衝突で八雲は艦首‥特に波動砲の発射口が歪み、八雲は波動砲を撃つことが出来なくなった。

 

衝突したドーセットシャーと共に八雲は撤退行動をとるが、逃げる敵をそのまま逃がす者は少ない。

 

ましてや、自分たちの数が多く、戦況的には有利なのだから‥‥

 

「敵艦隊、接近してきます!!」

 

「全速後進しつつ応戦!!」

 

艦を反転させるよりも後進しながら安全宙域まで撤退行動をする八雲。

 

元々八雲は後部よりも前部の方が主砲搭もミサイル発射管もあるので、殿を務めるならば後進しながらの方が、応戦力がある。

 

ジャーヴィスが牽引ビームでドーセットシャーを曳航し、途中から香椎とアルジュリーが代わった。

 

殿を務める八雲に敵艦隊は猛攻を仕掛ける。

 

八雲の船体は被弾し、乗員に多数の負傷者を出す。

 

「艦首部Aブロックに被弾!!」

 

「火災発生!!」

 

「メディックは大至急現場に急行!!」

 

「右舷、Bブロックにも被弾!!」

 

「続いてCブロックも被弾!!」

 

「艦長、メディックの応援に向かいます!!」

 

被弾箇所が増え、負傷者の人数も比例するように増えるとメディックの負担も大きくなると、人手が回らない。

 

なので、ギンガはそのメディックの応援へと向かう。

 

ヘルメットと手袋、ブーツを履き、現場に向かうと、そこはまさに生き地獄の様な光景が広がっている。

 

「‥‥」

 

その光景に唖然とするギンガであったが、

 

(って、なに惚けているのよ!!すぐに救助しないといけない命がすぐそばにあるのよ!!)

 

ギンガは自分に喝を入れて、メディックと共に救護作業を開始する。

 

そして、救護作業をしていると、

 

「‥‥うぅ~‥‥ふ、副長殿‥‥」

 

負傷した一人の乗員がギンガの姿を見つけ、苦しそうな声をあげつつギンガを呼び留める。

 

「しっかり!!直ぐに処置するわ!!」

 

呼び留められたギンガは負傷した乗員の傍に寄り、隊員服が血で汚れる事も気にせずに救護を始めるが、乗員の負傷具合とその出血量を見て、ギンガは『もう手の施しようがない』と判断した。

 

しかし、このまま何もせずにただ見ているだけは出来ない。

 

もしかしたら、奇跡が起きるかもしれない。

 

そう信じて、ギンガは救護処置を始める。

 

「ふ、副長殿‥‥て、敵は‥‥敵は倒しましたか‥‥?」

 

 

処置をされている中、負傷した乗員はギンガに戦況を訊ねてきた。

 

「‥‥」

 

負傷した乗員の問いにギンガは一瞬何を言っていいのか判断を迷うが、

 

「大丈夫よ。さっき、敵の戦艦を一隻沈めたわ!!もう一隻にも止めをさすところよ!!」

 

例え嘘であってもそれで、生きる気力を取り戻してもらえればと思い、ギンガは咄嗟に敵の戦艦を一隻沈め、一隻大破させたと言う嘘をつく。

 

「ど、どうか‥‥我々の仇を‥‥」

 

そう言い残し、その乗員は息絶えた。

 

「‥‥」

 

ギンガは静かにその乗員の両手を胸の上に組ませた。

 

そして、泣きたいのを必死に堪え、ギンガは引き続き負傷者の救護作業を続行した。

 

 

八雲は中破した状態で何とか戦闘宙域から離脱した。

 

敵も深追いは避けた事が支援部隊には幸いした。

 

「はぁ~‥‥」

 

「お疲れ様です。ギンガさん‥‥」

 

通路のある箇所でギンガはその場に座り、深いため息をつく。

 

そんなギンガにティアナはカップに入った紅茶を差し出す。

 

「あ、ありがとう‥ティアナ」

 

ティアナから紅茶が入ったカップを受け取り、口をつけるギンガ。

 

ティアナもギンガの隣に腰を下ろす。

 

そして、チラッとギンガを見る。

 

ギンガの服の彼方此方には血の痕があり、救護作業の苛烈さを物語っている。

 

「艦が揺れていないから、無事に戦闘宙域から脱出できたみたいね」

 

救護作業に集中していた為、やっと八雲が戦闘宙域の外に出た事を実感できたみたいだ。

 

「ええ、何とか無事に‥‥」

 

八雲が安全宙域を航行している事をティアナがギンガに伝えると、自身もカップに入っているコーヒーを飲む。

 

「‥‥本当にろくでもない戦いでしたね」

 

そして、今回の戦いについて振り返る。

 

「ティアナの言う通り、本当に無駄な戦いだったわ‥‥」

 

ギンガの目から見ても今回の遠征はあまりにも無意味な遠征だった。

 

遠征に対する準備が全くできていない状態での出撃だった。

 

なによりも戦力不足だ。

 

情報はガルマン・ガミラスから齎されていたが、正直その情報を活かしきれていない印象がぬぐえない。

 

「他の艦隊は大丈夫でしょうか?確か、月村艦長のまほろばも今回の遠征に参加しているんですよね?」

 

今回の遠征では、バース星駐屯艦隊以外にアルファ星駐屯基地、地球本土からも遠征に参加する艦隊が居た。

 

無線封鎖をしているので、互いの現状を知る由もない。

 

「まほろばなら大丈夫よ。ヤマト同様、あの艦は不沈艦だもの‥‥」

 

しかし、ギンガはあのまほろばがそう簡単に沈む姿なんて想像できなかった。

 

「信じているんですね。月村艦長の事を‥‥」

 

「こう見えてもまほろばの元通信長だからね」

 

ギンガはまほろば乗艦時の事を思い出しつつ微笑みながらティアナに言う。

 

 

やがて、バース星に到着した遠征の規模にバース星駐屯基地の司令官が驚愕したのは言うまでもない。

 

シナプス艦隊は巡洋艦のドーセットシャーが大破状態で駆逐艦もジャーヴィスのみで戦艦部隊は全滅‥‥

 

シナプスを始めとして多くの将兵を失った。

 

支援部隊の被害について、損失艦はないが八雲は中破し乗員に多数の死傷者を出す被害を受け、香椎は小破した状態だ。

 

「な、なんという事だ‥‥」

 

バース星の数少ない駐屯艦隊を投入し、大した戦果も得られずただ無駄に戦力を失わせるだけで終わった。

 

「アルファ星駐屯基地と地球本土へ現状の報告と他の遠征艦隊の状況確認、それと援軍要請もしろ‥‥」

 

「は、はい」

 

バース星駐屯基地司令官は半ば憤慨するように指示を出した。

 

アルファ星でも似たような状況で遠征から命からがら戻って来た艦の状態、残存艦隊からの報告で司令部は驚愕した。

 

「遠征艦隊が壊滅!?」

 

「何かの間違いではないのか!?」

 

「それで、被害は!?」

 

次々とあがる被害報告にオペレーターは顔を青くする。

 

アルファ星、バース星、両方の艦隊被害は約八割に達しようと言う惨状であった。

 

アルファ星、バース星からあがる被害報告は地球にも伝えられる。

 

今回の遠征失敗は、当然ながら地球の政治、経済、社会、軍事の各方面に大きな影を投げかけた。

 

財政としては既に失われた経費とこれから失われる経費‥‥遺族への一時金や年金、喪失した艦を補填するための新たな艦の建造費などの見積もりをして青くなった。

 

ガミラス、彗星帝国との戦争で被った被害と復興費、そして暗黒星団帝国戦役からの復興費、太陽異常における地球本土の復興費などこれまでの戦いから地球は財政的にもギリギリ‥いや、半ば赤字状態であり、ようやく財政再建が宇宙開拓で出来たと思ったら今回の遠征の失敗だ。

 

連邦政府の財務担当者が卒倒するのも無理はない。

 

そして、無謀な遠征を強行した政府と軍部に対しては、遺族や反戦派の野党から苛烈な非難と弾劾が浴びせられた。

 

選挙戦略や出世欲にかられた一部の軍人たちの手によって、父親、母親、夫、妻、息子、娘‥家族を失った連邦市民の怒りは政府と軍部を叩きのめす事態となり、次の選挙を有利に進めようとした連邦政府大統領や政治家たちの思惑は外れてしまった。

 

軍部に関しても今回の遠征に賛成した者たちには悉く降格、減給の処分が下された。

 

その中でもフォークは、『今回の遠征の失敗は全て前線指揮官の責任によるもので、作戦参謀である自分には一切の責任にはない』と、抗弁するが、

 

「前線指揮官が責任をとるのは当然であるが、それと同時に作戦参謀も作戦の責任はとれ」

 

と、司令部より通達を受け、二階級の降格処分と予備役編入なると発狂しそのまま精神病院へと送られ、彼の出世街道と言う名の野心は絶たれた。

 

 

ケンタウロス座 アルファ星駐屯基地

 

「あの作戦参謀や遠征に賛成した者たちが処分を受けるのは当然として、何故、キャゼルヌ司令までもが処分対象になるのですか!?」

 

アルファ星駐屯基地へ戻った良馬は軍部への処分内容の内、キャゼルヌも処分対象者に入っていた事に不満を零す。

 

「キャゼルヌ司令は、アルファ星が無防備になる危険を承知で、第一、第三艦隊を迎えに寄越したんですよ!?そもそも、あの遠征自体が狂っていたんですから!!」

 

「俺のために怒ってくれるのはありがたいが、まぁそう言うな‥‥誰かが責任を取らなければならない。誰も責任を取らない、追求されない社会よりはまともって事だ」

 

「し、しかし‥‥」

 

「まぁ、閑職とは言え地球司令部の第十四補給課の課長職だ‥‥フォーク作戦参謀やガルシア司令の様に病院送りや予備役になるよりは、はるかにマシだろう?」

 

「‥‥」

 

キャゼルヌはデスクの私物や書類、パソコンを段ボールに詰めながら苦笑する。

 

「新たな基地司令官にはラップ少将が就く。幸い、お前さんやヤマトの古代艦長らも処分対象から外された。今後はこんなバカな作戦が実施されない様、お前さんたちにこれからの軍は託されたんだ」

 

「‥‥」

 

キャゼルヌの言葉に良馬は神妙な表情を浮かべた。

 

そして、キャゼルヌはその日の内に、家族を連れて地球へと戻って行った。

 

地球防衛軍は、ガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国戦役程の被害ではなかったにせよ、艦船、人的被害が出た事に変わりなく、逆に親ボラー連邦派を勢い付かせる結果となった。

 

地球はアルファ星とバース星で暫くの間は親ボラー連邦派の星間国家に対して防戦と戦力、人員と財政の確保が課題となった。

 

 

 

此処で時系列は過去に時間を巻き戻し、視点は地球からミッドチルダへと移る。

 

 

時空管理局の艦政部造艦科所属のヴェルタンとヴェルニーが密かに次世代の次元航行艦をクロノの力で建造している中、

 

艦政部造艦科のあるオフィスの通路を一人の男性局員が不機嫌そうな顔で歩いていた。

 

「いくら才能があるとはいえ、本局からの意向を無視するとは一体何を考えている‥‥」

 

不機嫌そうな男性局員こと、クラーク・オサリバンはヴェルタンの上司であったが、最近ヴェルタンがもう一人の艦政部造艦科の局員と共に資料室で何かコソコソと動いていると言う噂を聞き、二人が居るとされる資料室へとやって来た。

 

しかし、ヴェルタンも、もう一人の局員も資料室には居なかった。

 

この時、ヴェルタンとヴェルニーは本局の第零造船ドックに赴き、新型艦の建造を指揮していた。

 

オサリバンはそんな事とはつゆ知らず、資料室へとやって来たのだ。

 

「居ない‥‥くそっ、この忙しい時にアイツは何処で油を売っている!?」

 

管理局‥艦政部造艦科は現在、総力をあげて次世代の次元航行艦の建造を行っている多忙な時期だ。

 

元々優秀な造艦技師ではあるのだが、どうも性格に癖がある人物と評されており、直属の上司であるオサリバンに対しても自分の意見を貫こうとする気概がある。

 

艦政部造艦科が進めている次世代の次元航行艦建造に対しても噛みついて来た経緯がある。

 

それ以降、何故かヴェルタンはオフィスに顔を出さない。

 

通常の会社ならば、無断欠勤で解雇なのだが、何故か本局より彼の解雇は通達されない事にオサリバンの機嫌を不快にさせた。

 

「むっ!?」

 

そんな不機嫌なオサリバンの目に何枚もの次元航行艦の設計図が入った。

 

「これは‥‥」

 

一枚の設計図を手に取り、その設計図を見た後、周辺にある設計図を集めてそれらに目を通すオサリバン。

 

設計図にはヴェルタンと誰かの執筆で『没』と書かれており、没となった理由の他に長所と思われる補足書きもあった。

 

現在本局の第零造船ドックで建造されている新型艦が建造へと、こぎ着ける前、ヴェルタンとヴェルニーは何枚もの設計図を拵え、互いに評価をしていた。

 

その中で、『没』となった設計図が今、オサリバンが見ている設計図の数々である。

 

『没』になったのだから、早々に処分すればいいのだが、ヴェルタンもヴェルニーもミノフスキー同様、そうした配慮には無頓着な所があった。

 

ヴェルタンが仕事をサボっていると思われていたが、こうして何枚もの設計図を書き残している事で、オサリバンの不機嫌さはいつの間にかナリを潜めていた。

 

(これは‥‥今、建造をすすめている次世代の次元航行艦よりも高性能かもしれない‥‥)

 

(設計図にはヴェルタンの奴と誰かの補足書きがあるが、長所の部分だけを集めれば‥‥)

 

オサリバンの錆びついていた造艦技師としての野心が久々にうずいた。

 

そして、オサリバンは資料室にあった『没』と書かれてあった設計図を全て持っていた。

 

後々、ヴェルタンとヴェルニーが資料室へ戻ってきた際、没にした設計図が無かった事に対しても清掃員がゴミとして捨てたのだと思っていたくらい気にも留めていなかった。

 

資料室から没設計図を持っていたオサリバンであるが、多少時間がかかったが、大量の設計図から長所の部分を集めた。

 

しかし、それだけでは一隻の艦を造るには不十分な個所が多々あった。

 

そこで、オサリバンは‥‥

 

「パープルトン君、少しいいだろうか?」

 

「えっ?は、はい」

 

オサリバンは艦政部造艦科に所属する女性局員、ニナ・パープルトンに声をかける。

 

「なんでしょうか?オサリバン主任」

 

「君に特別任務を任せたい」

 

「特別任務‥ですか?」

 

「うむ」

 

オサリバンは自分が纏めたヴェルタンとヴェルニーの没設計図から纏めた長所部分を部下のパープルトンに見せる。

 

「こ、これは‥‥」

 

パープルトンはこの設計図がただの設計図ではないと瞬時に悟る。

 

「これはまだ設計途中のモノだが、これの続き‥‥そして、出来上がった設計図を基に艦を建造してはくれないだろうか?」

 

「そ、そのような重要な仕事を私にまわしてもらっていいのですか?」

 

「構わん。君は優秀な造艦技師だ。あのフランソワ・エミール・ヴェルタンの鼻を明かしてやりたいと思わんかね?」

 

「‥‥」

 

パープルトンは設計図をジッと見つめる。

 

オサリバンがヴェルタンの事を毛嫌いしているように、パープルトン自身も自由奔放で団体行動がとれないヴェルタンの事を毛嫌いしていた。

 

「やります!!いえ、やらせてください!!」

 

ヴェルタンを出し抜いて物凄い艦を造る‥‥その思いがパープルトンの胸の中にあり、オサリバンからの提案を受け入れる。

 

「君ならそう言ってくれると思っていたよ」

 

オサリバンは目を細めながら微笑む。

 

「しかし、この作業は秘密裏に行ってもらいたい」

 

「秘密裏‥ですか?」

 

「そうだ。サプライズというものだよ」

 

「は、はぁ~‥‥」

 

「しばらくの間、コロニーでの生活となるが、このプロジェクトが成功したあかつきには君は造艦技師としての名誉も地位も確たるものとなるだろう。どうか、よろしく頼む」

 

「わ、分かりました。必ずや、このプロジェクトを成功させてみせます!!」

 

パープルトンも造艦技師としてのプライドがあり、多少不便なコロニー生活となってもこの仕事を完全にこなし、ヴェルタンに自分の実力を見せつけてやろうと言う気概があった。

 

決して上司から頼まれ断る事が出来なかった訳ではない。

 

それから直ぐに、パープルトンは設計・建造に必要な物を持ち、極秘プロジェクトの舞台となるコロニーへと向かった。

 

また時を同じくして、管理局の陰とも言えるとある部隊に所属する指揮官が自身の部下たち共に次元航行艦を奪って脱走すると言う事件が起きた。

 

だが、その指揮官が所属していた部隊は管理局の陰なので、一般の局員、そして市民にこの事実が知られることはなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。