星の海へ   作:ステルス兄貴

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sts時、ティアナは、はやてのことを『八神部隊長』と呼んでいましたが、今作ではティアナは既に管理局の局員ではなく防衛軍の軍人で、機動六課は運用終了しているので、ティアナは、はやての事を『はやてさん』と呼んでいます。


二百五十一話 再会

 

 

銀河系で起こった二つの銀河交叉の調査のために白鳥座から銀河系中心部にあるガルマン・ガミラスへ向かったヤマトとまほろば。

 

ガルマン・ガミラスに到着すると、そこにはかつての超軍事国家の姿は無く、音も無く、動く物も無く、荒廃する都市の廃墟ばかりが広がっていた。

 

地球がこの銀河交叉を観測する前にガルマン・ガミラスは不意を突かれた形で恒星の爆発による衝撃波をモロに受けた事で、ガルマン・ガミラスに居る住民たちは避難する間もなく、滅びてしまったのではないかと推測された。

 

犠牲者の中には当然、ガルマン・ガミラスを統治するあのデスラー総統も居たのだろう。

 

その為、簡易的な形式であるが、デスラーのお葬式を行った。

 

お葬式の終盤に、ガルマン・ガミラスの近くで恒星同士の衝突が起こり、ヤマト、まほろばは衝撃波から逃れるために座標設定なしのワープを行い、衝撃波から逃れた。

 

しかし、この座標設定なしのワープでヤマト、まほろばは離れ離れになってしまった。

 

離れ離れになってしまったヤマト、まほろばであるが、両方とも惑星に衝突したり、ブラックホール等の危険宙域にワープアウトする事はなかったが、まほろばは地球、ガルマン・ガミラスが把握していない宙域にワープアウトしてしまう。

 

しかも巻き込まれた衝撃波とワープ中、ワープアウトの衝撃でまほろばの波動エンジンに大きな負荷がかかってしまい動くことも出来なくなってしまった。

 

更にアクシデントは続き、まほろばが止まっている宙域に突如、所属不明艦がワープアウトしてくると、まほろばと衝突した。

 

ワープアウト後も回避行動を取る事もなく、衝突しても不明艦は何のリアクションを起こしてこなかったので、ギンガは不明艦に乗り込んで調査をする事を決める。

 

調査前に不明艦の艦内の空気成分を調べてみると、放射線の量が高かった。

 

そこで、まほろばに搭載されているコスモクリーナーを使って艦内の放射線量を地球基準にすると、不明艦の艦内への調査が行われた。

 

その最中でティアナはこの不明艦が管理局の次元航行艦に似ていると思い始めた。

 

外見に関しては管理局の艦というよりもむしろ、地球の艦に似ている造りをしているのだが、艦内の造りに関しては地球よりも管理局の艦に近かったのだ。

 

艦内の乗員たちは宇宙服を身に纏い倒れていた。

 

ただ、何人かの乗員は宇宙服の着用が間に合わなかったのか、未着用の者もおり、宇宙服を着ていなかった乗員はその場で死亡が確認された。

 

ティアナが不明艦の艦橋まで来て、乗員の状態を確認していると、ヘルメット越しではあるが、見慣れた顔を見つけた。

 

「えっ!?もしかして、フェイトさん!?」

 

ヘルメットを被っているので、確かな事は言えないが、バイザー越しながらも眼前で倒れている乗員がフェイトに見えるティアナ。

 

(ギンガさん!!ギンガさん!!)

 

そこで、ティアナは慌ててギンガに念話を送る。

 

(ん?ティアナ、どうしたの?)

 

(あ、あの‥この不明艦なんですけど、艦内を見た所、管理局の次元航行艦に見えたんです。それで、艦橋に来た際、そこで倒れている乗員でフェイトさんにそっくりな人を発見したんですけど‥‥)

 

(えっ!?フェイトさん!?)

 

(は、はい。ヘルメットを被っているし、まだ意識不明なので確かな事が言えないんですけど‥‥)

 

(分かったわ。まずはそこに居る人たちの救助を続行して)

 

(分かりました)

 

ギンガもティアナからの念話の内容に驚いていたが、一先ず乗員の救助が先だ。

 

ティアナは引き続き、不明艦乗員の救助を続ける。

 

(あの人がフェイトさんなら、もしかしてはやてさんやなのはさんが居るのかも‥‥)

 

機動六課では、はやてが部隊長を務め、なのは、フェイトがそれぞれの分隊の分隊長を務めていた事から、この不明艦にはやてやなのはが居るかもしれないと思うティアナ。

 

(もし、はやてさんが居るとしたら、きっと艦長席の筈‥‥)

 

機動六課の部隊長を務めたのだから、この艦にはやてが居るとしたら、きっと艦長職を務めていると思い、艦橋内を見渡し、通常の座席よりも一段高い座席を見つける。

 

きっとそこが艦長席だと思い、ティアナは艦長席へと向かう。

 

艦長席の傍には艦長らしき乗員が倒れていた。

 

バイザー越しではあるが、ティアナはその乗員の顔を覗き込む。

 

(あれ?はやてさんじゃない‥‥)

 

その乗員は女性ではなく、男性だった。

 

(ん?でも、この人、どこかで見たような気が‥‥)

 

しかし、ティアナはこの艦の艦長にも見覚えがあった。

 

(あっ、そうだ!!この人、ハラオウン提督だ!!)

 

機動六課の後見人の一人でもあり、フェイトの義兄でもあり、管理局内でも有名だったので、ティアナはこの艦の艦長の顔に見覚えがあったのだ。

 

(ギンガさん、この艦、管理局の次元航行艦です!!)

 

フェイト、クロノが乗艦していた事からこの不明艦が管理局の次元航行艦だと決定的づけるティアナ。

 

(えっ?)

 

ティアナの念話にギンガは念話ながらも思わず素っ頓狂な声となる。

 

(先ほど、発見した人はやはり、フェイトさんで間違いありません。この艦の艦長が‥‥)

 

(もしかして、はやてさんだったの?)

 

ティアナが不明艦‥もとい、管理局艦の艦長について報告しようとした時、ギンガはこの管理局艦の艦長がはやてだと思い、ティアナが言う前に訊ねる。

 

(いえ、はやてさんではありませんでした。しかし、管理局でもそれなりに有名な人です)

 

(ん?それって誰?)

 

(ハラオウン提督です。フェイトさんの義兄の‥‥)

 

(ああ、あの人ね)

 

“陸”に所属していたギンガはクロノとは直接の面識はなかったが、はやて経由でクロノの名前くらいは機動六課稼働前に後見人の一人として聞いていた。

 

(フェイトさんにその義兄さんが居るって事はやっぱり、その不明艦は管理局の‥‥)

 

(はい。次元航行艦です。恐らく新型の艦なのでしょう。私が管理局に居た頃の艦影と大きく違いすぎるので‥‥)

 

(確かに、外見から見ると管理局と言うよりも地球の戦艦に近い艦影をしていたからね)

 

(それで、管理局の艦が此処に居ると言う事は、此処は管理局の‥管理世界の領海にあたり、私たちが領海侵犯した事になるかもしれませんよ)

 

(うーん‥‥確かにそれはありえそうだし、もしもそうだったらヤバいかも‥‥)

 

知らなかったとは言え、管理世界の領海侵犯をしてしまったら、管理局がまほろばを拿捕する可能性は充分ある。

 

そうなれば、地球連邦政府、防衛軍に多大な迷惑をかける事にもなるし、自分たちが地球へ帰国できない可能性もある。

 

(とは言え、まほろばは今も修理中だし、何よりもフェイトさんたちの救護もあるし‥‥)

 

(フェイトさんなら、話せばわかってもらえると思うので、目を覚ました時に訳を話してみてはどうでしょう?)

 

(やっぱり、それしかないね)

 

いきなり事を交えるのではなく、まずは話し合いをして事態の収拾に務める事が大事だ。

 

フェイトならば、自分たちと面識があるし、管理局の中でも常識人なので、話せばわかってくれるとギンガとティアナは判断した。

 

まほろばに収容されたガイアの乗員たちは医務班のトリアージによって重症な者は医務室、比較的軽傷な者は展望室に簡易ベッドや布団を用意してそこで治療された。

 

まほろばが艦の修理とガイア乗員の救助を行っている中、ガイアの母港であるミッドチルダでは、ガイアの帰還及び返信が無い事にリンディは不安を抱いていた。

 

最後の通信ではガイアからミッドチルダに通信が届くまで数日の間があった。

 

当然、此方からの通信も数日の間でガイアに届く筈だ。

 

それを考慮してもガイアの性能から、ガイアがミッドチルダに帰還もしくは短期間でミッドチルダとの通信圏内に戻ってきてもおかしくはない筈だ。

 

そこで、リンディは、

 

「はやてさん」

 

『はい、なんでしょう?』

 

「実は‥‥」

 

『なんですって!?ガイアが行方不明!?』

 

「ええ、まだ確定じゃないけど、帰還命令をだしてからガイアが未だにミッドへ戻ってきていないし、通信もないのよ‥‥それで、はやてさんにガイアの捜索を頼みたいの」

 

『分かりました。準備が出来次第、ガイアの捜索へ向かいます』

 

「ガイアの最後の通信があった予測地点は‥‥」

 

リンディは、はやてにガイア捜索を頼んだ。

 

そこへ、

 

「総合統括官」

 

オペレーターがリンディの部屋に入って来た。

 

「どうしたの?」

 

「それが、先ほど妙な事態を観測しまして‥‥」

 

「妙な観測?」

 

「はい。先日、ガイアから送られて来たどこかの世界を水没させた水の世界の事なんですけど‥‥」

 

「確かミッドチルダに来るのは六千年後の筈よね?」

 

「ええ‥ですが、ガイアがその水世界に設置したビーコンが一時消滅したかと思ったら、二十四時間毎に150光年の距離を一気にミッドチルダ方面に進んでいる事が確認されました」

 

「何ですって!?」

 

『それは間違いないんか!?』

 

オペレーターからの報告に驚愕するリンディとはやて。

 

「は、はい。間違いありません。既に二回の移動を確認しています」

 

「‥‥急いで、そのペースでミッドチルダ方向に進んだ場合、いつミッドチルダまで来るのかを計算して頂戴!!」

 

「分かりました」

 

(どういう事?ミッドチルダへ来るのは六千年後の筈‥‥)

 

(クロノが間違った報告をした?)

 

(でも、一世界が一気に150光年もの距離を進むなんて普通ありえない)

 

(これも次元震の影響なの?)

 

ガイアの行方不明、そして水世界のミッドチルダへの急速な接近。

 

リンディの不安は益々募るばかりであった。

 

『リンディさん。何の話ですか?』

 

はやてはアクエリアスについて何も知らなかったのだが、オペレーターとリンディとのやり取りで何かミッドチルダに対して大変な事が起きたのだと察した。

 

「実は、ガイアが行方不明になる前に‥‥」

 

リンディはガイアから入ったアクエリアスの情報をはやてに教える。

 

『そんな世界が‥‥しかし、それが150光年の距離を瞬時に二回も移動するなんて普通はありえないと思いますが‥‥?』

 

「そうね。ただ原因は現時点では分からないわ。だた、最近頻発して起きている次元震が関係しているのか、それとも‥‥」

 

『何か別の理由‥‥これがもしも人工的に行われているとしたら‥‥』

 

「誰かが意図的にミッドチルダへ水世界を近づけている‥‥」

 

『ええ、何の目的があるのかは分かりませんがこのまま放置しておくと、ミッドに多大な被害が及ぶかもしれません』

 

「そうね。一先ず、この水世界について何か情報があれば良いんだけど‥‥」

 

ミッドチルダに接近してくる水世界について何か情報を得たいところだが、その情報があったかもしれない本局の無限図書館が無く、情報が得られない。

 

『そうですね。無限図書館は既にないし‥‥あっ、ユーノ君なら無限図書館で働いていたし、何か知っているかもしれません』

 

「そうね‥ミッドチルダに近づく水世界については此方で調べてみるから、はやてさん。貴女はガイアの捜索を頼んだわ」

 

『分かりました』

 

リンディは早速、ユーノに連絡をして水世界について何か知らないかを調べてもらう事にし、はやてはガイアの捜索へと向かった。

 

その頃、宇宙のとある一角では‥‥

 

「艦長、不明艦‥もとい、管理局艦の乗員の救助が完了しました。現在、石田医務長の下、治療が行われております」

 

「分かったわ。ありがとう」

 

ティアナがガイア乗員の救助作業が終わった事を報告する。

 

「技師長、機関長。波動エンジンの修理はあとどれくらいかかりそう?」

 

『それなんだが、艦長‥‥』

 

ギンガが機関室の柳原とアルバートに修理状況を確認する。

 

すると、柳原が何だか答えにくそうな様子で返答する。

 

「えっ?どうしたの?」

 

『艦長、マズイ事になった』

 

柳原が答えにくそうだったので、アルバートが代わりに答える。

 

「マズい事?一体何があったの?」

 

『修理に使う部品が不足している』

 

「えっ?」

 

『地球を出る前に十分に積んだと思っていたのだが、艦の被害が此方の予想以上に激しく、部品の数が足りなくなる恐れがある』

 

「‥‥」

 

アルバートの返答にギンガは絶句する。

 

柳原やアルバートが思っていた以上にまほろばが受けた被害は大きかった。

 

座標が分からない宇宙空間で、修理に使う部品が無い。

 

それは、まほろばの波動エンジンが直らない‥‥地球に戻れない事を指している。

 

『せめて動けるように修理箇所は選定して行っているが、それでもどこまで持つか‥‥一応、技術班、機関部全力で行っている』

 

「わ、分かったわ。皆の腕を信じます‥‥あっ、それと技師長」

 

『なんです?』

 

「修理に影響のない範囲で技術班の何人かを彼方の艦に調査員として送ってもらえないかしら?あちらの艦にもしかしたら、この宙域の座標を知る手掛かりがあるかもしれないから‥‥ただ、向こうの艦の物質には手を付けない様に‥‥」

 

『承知した』

 

アルバートに指示を出した後、ギンガはドサッッと艦長席に力なく座る。

 

「艦長‥‥」

 

先程のギンガとアルバートの会話が聞こえたのか、ティアナを始めとして艦橋メンバーが不安そうにギンガを見ている。

 

「此処は信じましょう。技術長と機関長を‥‥」

 

「は、はい」

 

艦橋に重苦しい空気が漂った。

 

そんな中、まほろばの展望室に設けられた臨時の患者収容室でフェイトの目蓋が少しずつ開き始めた。

 

「う、うーん‥‥こ、ここは?」

 

「あっ、気が付きましたか?」

 

フェイトは瞬きをした後、周囲を見渡す。

 

周囲の状況からどうやら、あの世ではないと理解するフェイト。

 

「此処は戦艦、まほろばの展望室に設けられた臨時の患者収容室です」

 

「まほろば!?」

 

看護師から此処がどこなのかを言われてフェイトは思わずまほろばの名を口にする。

 

「は、はい。少々お待ちください。艦長と副長を呼びますね」

 

フェイトの大声に思わず、ギョッとする看護師であるが、フェイトに艦長と副長を呼ぶ事を伝える。

 

ティアナは看護師にフェイトかクロノが目を覚ましたら、自分とギンガに知らせるように言っておいたのだ。

 

「えっ?あっ、はい。分かりました」

 

(まほろば?どうして私はまたまほろばに居るの?)

 

(流石に過去に戻って来たって訳じゃないよね?)

 

看護師に返答しつつもフェイトは困惑していた。

 

そして、思わず自分は過去にタイムリープしたのではないかと思ったが、周囲を見渡すと自分以外のガイアの乗員も居たので、過去にタイムリープした訳ではないと判断する。

 

(まほろばの艦長と副長って事は、月村さんとリンディ義母さんに似た声の人だった筈‥‥)

 

最初にまほろばに救助された時、まほろばの艦長は良馬で副長は新見だった。

 

フェイトはてっきり、良馬と新見が現れるのかと思いきや、やってきたのはあまりにも意外な人物であった。

 

「えっ?」

 

フェイトは現れた人物を見て目が点になる。

 

「フェイトさん、お久しぶりです」

 

「お久しぶりです」

 

「えっ?えっと‥‥ギンガに‥‥ティアナ?その恰好‥‥」

 

女性用の艦長服と副長服を身に纏ったギンガとティアナに驚愕するフェイト。

 

「地球連邦政、防衛軍所属、宇宙戦艦まほろば艦長の月村ギンガです」

 

「同じく副長のティアナ・ランスター・北野です」

 

「えっ?えっ?えっ?」

 

今のギンガとティアナの名前を階級・役職を聞いてフェイトは益々困惑する。

 

「えっと‥‥つまり、今のまほろばの艦長がギンガで、副長がティアナ。そして、二人とも結婚をしている‥‥と‥‥」

 

暫しの時間が経ち、フェイトは現状を整理できたのか、確認するかのようにギンガとティアナに訊ねる。

 

「はい」

 

「そうですね」

 

フェイトの問いにギンガとティアナは頷きながら肯定する。

 

「‥‥」

 

ギンガとティアナの現状を知り、フェイトは固まる。

 

(ギンガは地球に居る頃、月村艦長とそんな仲だって分かっていたけど、まさかティアナまで、結婚しているなんて‥‥)

 

ギンガがまほろばの艦長で、ティアナが副長と言うのも驚いたが、一番驚いたのは二人が結婚‥特にティアナが結婚している事に驚愕するフェイト。

 

「えっと‥ギンガは月村艦長と結婚したのは何となく分かるけど、ティアナの方はどういった縁で結婚したの?」

 

「パルチザン活動をしている時の縁で‥‥あっ、それとギンガさんもですけど、私、子供も居るんですよ」

 

ティアナは追加の補足説明で自分とギンガに子供が居る事をフェイトに教える。

 

「えっ?子供?それって養子や後見人‥じゃなくて?」

 

「はい。正真正銘、私がお腹を痛めて産んだ子供です」

 

「ギンガもそうなの?」

 

「はい」

 

「‥‥」

 

「え、えっと‥フェイトさん?」

 

ギンガとティアナの結婚と出産の事実を知り、フェイトからはドヨ~ンとしたオーラが出る。

 

そんなフェイトの様子に気づき、ギンガが声をかける。

 

「え、えっと、私たちの事よりもフェイトさんたちの事情を聞いても良いですか?」

 

「私?私は、もう一つの地球から還った後、士官学校に入って‥それからガイアの副長になったんだけど‥‥私生活じゃあ、二人と違って彼氏も居ない生活を‥‥」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!フェイトさんの私生活とかじゃなくて、どうして昏睡して倒れていたのかです。艦の中には異常な量の放射線が検出されたんですよ」

 

現状の確認とお互いの身に何が起きたのかの情報交換が行われた。

 

「そう‥そっちの銀河系ではそんなことが‥‥」

 

ギンガはフェイトに自分たちが住んで居る銀河系に起こっている異常事態とどうして此処に居るのかを説明した。

 

「それで、フェイトさんたちは何があったんですか?」

 

「実は‥‥」

 

フェイトもギンガとティアナにミッドチルダ周辺の次元の海‥宇宙空間で起きている異常事態を話し、その調査の過程でどこかの星間国家に所属している宇宙艦隊から警告無しに攻撃を受けた事を話した。

 

とは言え、本局がローレライの魔女で崩壊した事については、今回の一件と関係ないので黙っていた。

 

「いきなり攻撃をして来るなんて随分と失礼な連中ですね」

 

ティアナはフェイトの話を聞いて、ガイアを攻撃して来た連中に嫌悪感を出す。

 

「それで、艦の方の被害は私たちでは把握できないので、一先ずフェイトさんたち乗員を救助してから事情を聞こうとして居た所なんです」

 

「そうなんだ‥‥何か、またギンガに助けられちゃったね」

 

「いえ、元々はフェイトさんにあの時、空港で助けてもらえなかったら、今の私はこの場にはいませんでした。ですが‥‥」

 

ギンガは何だか言いにくそうに言葉を濁す。

 

「ん?どうしたの?」

 

「‥‥その‥辛い事になりますが、救助の際、そちらの艦の乗員の何名かは発見時既に‥‥」

 

「‥そう」

 

ギンガの言葉の意味を瞬時に理解したフェイト。

 

(またクロノに辛い事実を‥あっ、そう言えばクロノは大丈夫なのかな!?)

 

「ギンガ、ティアナ、艦長は無事なの!?」

 

「艦長ってハラオウン提督の事ですか?」

 

クロノを発見し、救助したティアナが訊ねる。

 

「うん。そう」

 

「ハラオウン提督でしたら、無事です。まだ連絡がないので、目を覚ましてはいない様ですが‥‥」

 

「そう‥無事なら良かった」

 

より詳しい情報と今後についてはクロノが目を覚ましてからとなった。

 

クロノが目を覚ますのを待っている中、ガイア捜索の任で出航したはやてが艦長を務めるジャガーノートは、ガイアが最後に送って来た座標に向かう。

 

幸いディンギル軍はアクエリアスをワープさせる事で、ディンギル星系に居らず、ジャガーノートはディンギル軍の襲撃を受けることなく、ディンギル星系を航行していた。

 

「此処が、ガイアの最終通信地点‥‥」

 

「はい。本部からの情報なので間違いないかと‥‥」

 

「通信長、ガイアからの応答は?」

 

「ありません」

 

はやてはディンギル星系に来た後、広域通信を行いガイアを呼び出しているが、未だに応答はない。

 

「レーダーにガイアらしき反応はありません」

 

オペレーターもガイアの反応を探るが、未だに反応はない。

 

「此処周辺にガイアは居ないのか‥‥それとも何らかのアクシデントで沈んでしまったのか‥‥」

 

はやてとしてはフェイトやクロノが死んだとは思いたくないが、此処までガイアの反応がないと脳裏に最悪のケースが過る。

 

それでもはやては希望を捨てずにガイアの‥フェイトたちの生存を信じて、ガイアを捜す。

 

「此処からミッドチルダへの最短ルートは?」

 

航海長のルキノにミッドチルダまでの最短ルートを検索させる。

 

「えっと、ガイアの性能から、この地点まで次元跳躍を行い‥‥」

 

ルキノはガイアがミッドチルダへ戻る為に辿るであろうコースを選出する。

 

「こうなります」

 

「では、本艦もそのコースを辿り、逐次その現場で広域通信を行い、ガイアを探索するで」

 

「了解」

 

ディンギル星系に既にガイアは居ないと判断したはやては、ガイアが辿ったであろう航跡を辿りつつガイアの捜索を続けた。

 

「うぅ~‥‥はっ!?」

 

ジャガーノートがガイアの捜索を行って居る頃、まほろばでは、そのガイアの艦長であるクロノが目を覚ました。

 

「お気づきになられましたか?」

 

看護師が気づきクロノに声をかける。

 

「こ、此処は‥‥助かったのか?」

 

「はい。此処は戦艦まほろばの艦内です」

 

「まほろば!?」

 

まほろばの名はクロノも知っている。

 

何せ、フェイトとティアナを助けたもう一つの地球の戦艦の名で自分はその艦の艦長とモニター越しではあるが、会った事があるからだ。

 

「はい。それで、艦長が目を覚ましたら話がしたいと仰っていますが、どこか痛む箇所や体調の不調はありますか?」

 

「いえ、打ち身以外特に問題はありません」

 

「では、艦長を呼んできますね」

 

「はい」

 

看護師はクロノが目を覚ました事をギンガに伝えた。

 

「連絡があってハラオウン提督が目を覚ましたようです。私はこれから今後についてハラオウン提督と話をしてきますが、フェイトさんも一緒に来ますか?」

 

「うん。私が居た方がクロノもギンガも話しやすいでしょう?」

 

「分かりました。では、行きましょう」

 

ギンガとフェイトはクロノの下へと向かった。

 

「クロノ‥いえ、艦長」

 

「副長も目が覚めていたか」

 

「はい。あっ、こちら現まほろばの艦長の‥‥」

 

「月村ギンガです」

 

「えっ?月村艦長?でも、確か前に会ったのは‥‥」

 

「ハラオウン提督が会ったのは私の夫です」

 

「あっ、ご結婚されたんですね、月村艦長は‥‥」

 

「はい。それで今は妻の私がまほろばの艦長を務めています」

 

互いの自己紹介が終わり、早速現状確認の話となる。

 

尤もギンガは予めフェイトと話していたので、その辺はスムーズに進んだ。

 

「それで、月村艦長はこの後、やはり地球へ戻るのですか?」

 

「ええ、そのつもりなんですが‥‥」

 

クロノの問いにギンガが気まずそうな様子で答える。

 

「何かあったんですか?」

 

「エンジンの修理が芳しくなく‥‥このままでは地球に戻れない可能性がありまして‥‥」

 

「「‥‥」」

 

まほろばの現状を知り、クロノとフェイトも気まずい雰囲気になる。

 

「ハラオウン提督の艦ですが、外壁が一部損傷して数か所の区画、隔壁が使用できない状況ですが、航行には問題がないみたいなので、乗員の意識が戻りましたら母港に戻れる筈です」

 

「他の乗員たちは?全員無事ですか?」

 

「‥‥残念ながら宇宙服の着用が間に合わなかった乗員は‥‥」

 

「‥‥」

 

全員が助からなかった事実を知り、クロノは俯く。

 

「あ、あの‥ギン‥いえ、月村艦長」

 

「はい?」

 

「まほろばが自力で航行できないと言うのなら、一番近い管理世界で修理をしてみてはどうでしょう?」

 

フェイトは話題を逸らす目的もあったが、ギンガに近くの管理世界に来てそこでまほろばの修理を提案する。

 

「えっ?」

 

フェイトの提案にギンガは目を見開き驚く。

 

確かに現状、まほろばは動けない。

 

動けなければ地球に戻れない。

 

しかし、管理局の息のかかった惑星‥管理世界へ赴くとまほろばが管理局に拿捕されるのではないかと言う不安がある。

 

「ギンガの不安は勿論分かるよ。でも、このまま此処でまほろばを放置してもエンジンは直らないし、乗員の生命に関わる事だよ」

 

「それは、分かっています。ですが‥‥」

 

「管理局がまほろばを拿捕するかもしれない‥‥でしょう?」

 

「はい」

 

フェイトはギンガが抱く不安をしっかりと理解していた。

 

(確かに月村艦長の不安は尤もだな)

 

(いくらMS機関を手に入れたからと言っても、まほろばが手に入るかもしれないと知ったら、管理局は絶対にまほろばを拿捕するだろうな‥‥その先に待つ恐ろしい結果を知ろうともせずに‥‥)

 

クロノも管理世界にまほろばを曳航すれば、管理局は絶対にまほろばを拿捕するだろうと思った。

 

その結果、地球連邦政府‥防衛軍は、まほろばを奪還しに来るだろうと予測する。

 

「それだったら、リンディ義母さんに言って、まほろばの安全を確約してもらおう。それなら大丈夫でしょう?」

 

「まぁ、母さんは総合統括と言う立場でもあるから、その母さんがまほろばの安全を約束してくれれば、よほどのバカが行動を起こさなければ大丈夫だろうが‥‥」

 

(果たして母さんだけで抑えることが出来るだろうか?)

 

(しかし、ミッドチルダではなく他の管理世界ならば多少はマシか‥‥)

 

「一先ず、ミッドチルダに連絡を入れてみましょう」

 

クロノはリンディに現状を伝えるためにガイアへと戻る。

 

 

ガイア 艦橋

 

 

ガイアの艦橋に来た時、誰かが広域通信を行っている事に気づく。

 

クロノがそれに気づき、通信回路を開く。

 

『ガイア‥‥応答せよ。ガイア‥こちら、時空管理局所属次元航行艦ジャガーノート。応答せよガイア』

 

「ジャガーノート‥はやての艦か」

 

広域通信を送っているのがはやての艦である事に気づき、クロノはジャガーノートにとうとうする。

 

「ジャガーノート、ジャガーノート、こちらガイア」

 

『あっ、やっと応答しれくれた‥‥ガイア、現状を伝えて下さい。ガイアは今、何処に居ますか?本艦はハラオウン総合統括官の指示でガイア捜索に出ています』

 

「現在の位置は‥‥」

 

まほろばには現在位置を把握する術がなかったが、ガイアは今自分たちが居る座標を把握することが出来ていた。

 

『分かりました。本艦も直ぐに現場に向かいます』

 

「ああ。ただ、現場に居るのは本艦だけではないんだ」

 

『えっ?他に何かあるんですか?』

 

「もう一つの地球に所属している戦艦、まほろばが居るんだ」

 

『えっ?えええー!!』

 

クロノの言葉にジャガーノートの通信士は驚いていた。

 

『それって、本当ですか!?』

 

「ああ。詳しい話は後でするが、まほろばに救助されたんだ。そのまほろばも現状困っている状態にある。だからすぐに来てくれ」

 

(はやてならば、強硬な手段には出ない筈だし、まほろばを曳航するにしてもガイア一隻では、まほろばを近くの管理世界に曳航するのも時間がかかるしな)

 

『分かりました』

 

クロノとの通信を終えたジャガーノートの通信士は、艦長であるはやてにガイアとコンタクトが取れた事を報告する。

 

 

ジャガーノート 艦橋

 

 

「八神艦長、ガイアと連絡がつきました」

 

「ほんまか!?それで、ガイアはどこに居るんや?」

 

「此処です」

 

通信士は、はやてにガイアが居る座標が書かれた紙を手渡す。

 

「それと、ガイアは現在、もう一つの第97管理外世界の戦艦、まほろばと一緒に居るとの事です」

 

「なんやて!?」

 

通信士のその報告を聞きはやては思わず声を上げる。

 

「それはほんまか!?」

 

「はい。ハラオウン提督が仰っていましたから‥現場に到着後、詳しい話をすると‥‥」

 

「分かった。それなら急いでガイアが居る場所まで行くで、航海長、全速や!!」

 

「りょ、了解」

 

ジャガーノートは次元跳躍とMS機関をフル稼働してガイアとまほろばが居る宙域まで向かった。

 

「発見しました!!ガイアです!!近くには例のまほろばらしき戦艦も居ます!!」

 

ジャガーノートが現場に到着すると、まほろばの艦首部にガイアが衝突している。

 

「確かにガイアとまほろばや‥‥でも、何で衝突しとるんやろう?」

 

はやても以前、まほろばの姿を見ているので、眼前の戦艦がまほろばである事を認める。

 

しかし、ガイアとまほろばが何故、衝突しているのかまでは分からず、その点を踏まえてクロノとまほろばの艦長から事情を聞く必要があると思った。

 

ジャガーノートからまほろば、ガイアが確認できるようにまほろば、ガイアからも接近して来るジャガーノートを確認出来た。

 

 

まほろば 艦橋

 

「ハラオウン提督より連絡があった管理局艦、接近してきます」

 

「ハラオウン提督の艦もそうですが、私たちが管理局を去ってから管理局の次元航行艦も随分と代わりましたね」

 

ティアナが艦橋にあるモニターに映るジャガーノートの姿を見てギンガに呟く。

 

「そうね‥‥フェイトさんとハラオウン提督の艦は地球‥今、近づいている管理局の艦は何だかボラー連邦の艦に似ている印象があるわね」

 

「管理局がボラー連邦と手を組んでいたと?」

 

「うーん‥たまたま似ているだけだと思うけど‥‥」

 

ボラー連邦も管理局もどう考えてもどこかの傘下に入るような国家でも組織でもない。

 

だからといってボラー連邦と管理局が同盟を組むとは思えない。

 

ガイアが地球の艦に、ジャガーノートがボラー連邦の艦に似ているのは偶然なのかもしれないと思うギンガ。

 

やがて、ジャガーノートがガイアに接舷し、同艦の艦長がまほろばへとやって来た。

 

「っ!?ギンガにティアナ!?」

 

「「はやてさん!?」」

 

そこで互いに顔を合わせたはやて、ギンガ、ティアナは驚愕する。

 

ギンガ、ティアナ側としてはまさか、やって来た管理局の次元航行艦の艦長がはやてだったとは意外であり、はやてとしてはまさか、まほろばにギンガとティアナが乗艦しているとは思ってもみなかった。

 

特に、

 

「ぎ、ギンガ‥生きていたんか?」

 

ギンガの生存を知っているのは、ミッドチルダでもフェイト、スバル、ゲンヤとごく一部の限られた者たちであり、はやては今ここでギンガの生存を知った。

 

「ギンガさん、はやてさんと知り合いだったんですか?」

 

「ええ、108部隊にはやてさんが研修に来た時にね‥‥」

 

ティアナはギンガがはやてと顔見知りである事を訊ねるとギンガは、新米局員時代にはやてと交流があった事を話す。

 

「ん?はやて、君は月村艦長と知り合いなのか?」

 

一方、クロノもギンガの事を知っているのかをはやてに訊ねると、

 

「えっ?月村?いや、ギンガのファミリーネームは確か『ナカジマ』やった筈ですが‥‥」

 

「あぁ~‥‥はやて、ギンガはもう一つの地球で結婚しているみたいなの」

 

「はぁぁぁぁー!!」

 

フェイトの発言を聞いて、はやては声を上げる。

 

「それと、ティアナも結婚しているみたいだよ」

 

「ティアナ!!お前もかぁぁぁぁー!!このリア充共がぁぁぁー!!」

 

フェイトから補足説明を受けるはやて。

 

すると、はやては思わず絶叫する。

 

「ちょ、はやてさん?」

 

「どうしたんですか?」

 

いきなり絶叫するはやてに戸惑うギンガとティアナだった。

 

はやてが落ち着いたところで、話し合いの場所をまほろばの艦長室に移して話し合う事になった。

 

そして、艦長室へ向かう通路にて、

 

「はやて」

 

「ん?」

 

再びクロノがはやてに声をかける。

 

「君は月村艦長と知り合いの様だが、一体いつ、何処で知り合ったんだい?」

 

ギンガはもう一つの地球の軍人で、はやては言わずもがな管理局員。

 

管理局ともう一つの地球は交流がないので、通常ならば知り合う事は無いのだが、ギンガもはやてを知っている様子だったので、クロノは気になったのだ。

 

「ギンガは、元々もう一つの地球の人ではなく、管理局に居ったんよ」

 

「えっ?管理局に?」

 

クロノはギンガが防衛軍の軍人ではなく、ティアナ同様元々は管理局員である事に内心驚く。

 

「私が新米士官の頃、お世話になった108部隊の部隊長のナカジマ三佐の娘さんで、機動六課にも来てもらう予定やったんや」

 

「それがどうしてもう一つの地球の戦艦の艦長に?」

 

「機動六課稼働直前に108部隊の管轄内で起きた美術品窃盗団の事件で、ギンガは輸送船諸共次元震に巻き込こまれて殉職‥って、事になった筈やったんやけど‥‥私もどうしてギンガがまほろばの艦長になっているのか分からへんから、その点もこの後でギンガに聞いてみようと思っとる」

 

ティアナの場合、事件に巻き込まれ、もう一つの地球に滞在する事となり、その後ミッドチルダに戻る際、敢えてもう一つの地球への残留を希望していたのだが、ギンガの場合は、管理局内の公式記録では殉職扱いとなっており、ティアナとは状況が異なる。

 

そもそも輸送船諸共次元震に巻き込まれて何故生きているのか?

 

はやてにもギンガについては様々な疑問があった。

 

なので、この後の話し合いにて、はやてはギンガがどうしてまほろばの艦長を務めているのかについて聞いてみるつもりであった。

 

「そうか」

 

クロノもはやての言葉を聞いて一先ず納得した様子だった。

 

同僚を失い傷心のユーノ、そんな彼の身を案じたなのはの今後の進展について

  • 付き合っちゃえ
  • お友達のままで
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